tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

Precious -21

2023-09-30 00:49:06 | Precious



奥のキッチンにもベランダはあり、景色も楽しめた・・・その窓は隣にあるリビングのような寛げるスペースと繋がっている。

入り口は別にあるのだが、キッチンとリビングは繋がっていた・・・リビングの方は大きなモニターがあり映画も見れるようになっていて前回は本より映画をみた。

軽く食べ部屋へ戻る・・・サンがジッと見ていたが、観察されていた事に苦笑いをし部屋へ戻った。

自分を知って欲しくて部屋の扉は開いたままにし窓は開け放った。

心地良い風が室内を通り過ぎていく事で心身が癒されていく気までしたハルトだった。


それにしてもと苦笑いしかない・・・久しぶりに全身の筋肉痛に加え、足の怠さを味わった。

足の裏が熱く・・・じわじわと全身に痛みが走る・・・その痛みは諦め身をほぐそうと体を動かした。


部屋からでれば、柔軟体操のように体を動かしているハルトの姿が見え驚いた・・・筋肉痛なのだろう唸りは苦笑いだ。

確かに軽く動かせば多少、身は軽くなる・・・自分の疲れを癒すようマッサージをしてから眠った。

昔・・・爺とトウマから習ったからだ・・・疲れたと思えた日は習慣のようにしていた。


『大丈夫ですか?』
『うっ・・・だ大丈夫だ(笑)、久しぶりに歩いたから体がついてけなかったみたいだ(笑)』

そんな自分が可笑しいのか笑いながらもハルトはマッサージしては軽く動かしていた。

『あ、そうだ・・・ドア(笑)開けといても構わないか?』
『・・・大丈夫ですけど・・・クロウ達の視線(笑)気になりませんか?』

『ならなかった(笑)、さっきはサンからチェックされてた気がする(笑)』
『・・・(笑)』

そうかと見返したハルトの笑みに、可笑しくて苦笑いだ・・・その前から順番のようにクロウ達は眺めていた事は知っていた。

クロウ達にも大丈夫な人なのだと分かるまで放っておこうとアイリは黙っていた。

アイリの部屋のドア下はクロウ達が自由に出入り出来る仕掛けはあった・・・それは出入りしていたサンやウィンの姿を見て気づいた。

彼女が下へ行く・・・皆の世話があるのだろう話はしたかったがハルトは黙り体を動かした。


階段の上で座り皆を眺めていたハルトに気付いた・・・その姿も気にはならないクロウ達にホッとした。

階段の手摺へ凭れ動かないハルトがいた・・・よく見れば眠っていて苦笑いをした。

クロウ達は先に気付いたのか途中までだが、そっと近寄り観察が終われば下へ戻ってきた。

サンが近付き眺めている姿が見え驚いた・・・警戒心はサンも強い・・・それでも目が合えばハルトは笑みを溢し話しかけていた。

今は眠っている姿まで眺める・・・他の子達よりも真剣にだ・・・クロウは理由を知りたいのかサンを観察し始めた。

見ていたのだが飽きたようにフッと視線を外して遊びにいったサンを目で追う。

その様子にアイリは何故だと考える・・・思い浮かぶ事もなくサンを眺めた。


庭と室内の間に置いてあったベンチに座り駆け回り遊んでいる子達を眺めるアイリの隣へハルトが座る。

『(笑)何を考えてた?』
『あー・・・(笑)』
ベンチの背へ凭れ膝をかかえていたアイリが1頭だけ眺めている気がして声をかけた。

『何が気になる?・・・』
『・・・(笑)』
隣へ座ったハルト・・・ウィンを追いかけていたサンのスピードが落ちチラリと自分達を見始めた気がした。

『・・・アイリ?』
『・・・すみません・・・
えっとですね・・・サン・・・が』
『サン?』

彼女の言葉でサンは何処だと探すハルト・・・フラワ達がサンの近場を通り抜ける。

いつもなら監視のようにジッと眺め視線を外さないサンが、今は真剣に自分達を見ていた・・・それも伺うように。

クロウはと眺めれば、さっきと同じようにサンを観察していた事に気付けば可笑しくて苦笑いをした。

『・・・アイリ(笑)教えて貰えたら』
『・・・ずっと(笑)・・・理由は知らないんですけど、サンがハルトさんを気にし始めてるみたいで・・・』

『・・・俺?』
『はい(笑)、スッとハルトさんが現れると(笑)考えてるみたいに観察してました』

『・・・あれ・・・今もだよな?』
『(笑)はい。何故か・・・そう思って見てたらクロウまで(笑)サンを気にし始めたようで・・・なぜか・・・』

『な(笑)・・・クロウなら分かる気はしたが』
『クロウですか?』

『(笑)そのクロウだ。アイリの彼氏のように守って・・・(笑)見張って・・・寄り添ってるだろ・・・』
『はい・・・』

『(笑)ログでさ・・・』
『はい・・・』
『(笑)朝・・・起きた時、アイリの隣でクロウが寝てたろ?』

『はい(笑)、早起きなので私が起きるまで隣で待ってますけど・・・』

『な・・・起きて(笑)アイリを見てたらスッて顔を出した・・・俺を見て(笑)起きたなって顔で・・・そう(笑)自分に言われた気もして(笑)可笑しかった』
『・・・(笑)』

『(笑)クロウと目が合ったが、またスッとアイリの隣で眠ったのか伏せて見えなくなったんだよな・・・』
『へぇ・・・』

『今(笑)クロウが気になるのがサン?だから見て考えてる?(笑)あれ』
そっと静かに声にするハルトに頷くアイリ・・・苦笑いで返す彼女もいた。

おすわりし今度は丁寧に・・・そんな様子でハルトを見始めるサンに驚いた・・・自分ではないハルトへ視線を向けていた。

何故だと理由を考える・・・よく見れば微かに自分を確認するように見ていた気がした・・・

クロウはと探せば、さっきとは違う場所でサンを眺めながらも自分の方へ歩いて来ていた。

視線を感じたのか自分を見るクロウに微笑んだアイリ・・・チラリとハルトを見たが直ぐに自分の足元へ伏せた。

驚いた顔でクロウを眺めるハルト・・・見上げたクロウが見返したが自分を見てから今度はサンはと視線を戻した。

『アイリ(笑)・・・』
『はい』
『・・・(笑)俺の位置があがった?』
『はい?』

『サンの中で考える俺の位置(笑)』
『・・・』
『んー(笑)、最初は無関係な人』
『あの・・・意味が・・・』

『(笑)サンにはアイリが家族で俺は他人だった・・・(笑)だけど会う度にアイリと近くなって来た事で、他人から知り合いに昇格・・・(笑)とか』

『・・・』
『(笑)その知り合いから友人に・・・ま、友人とまでは(笑)なってないけどな』
『それはサンから見て・・・』

『そうだ(笑)アイリと近くなってきたから俺とどう接するか考えてるとか(笑)』
『・・・あー(笑)』

そうなのかと考えながらサンを眺めるアイリ・・・ならばコナツの時はと思い出すのだった。


とはいえ自分とも近くはなったが、より近くなっているのはトウマだ・・・今のコナツとの付き合いはマウレアのエリン達とも違う。

家族に近くなっていた・・・でもサンもクロウも今のような様子はなかった気がする。

へんな違和感を覚えたのは初めてだった・・・足元にいるクロウの隣へ座るサンを撫でながら眺める。

スッと歩きだしたサンに笑みを浮かべたアイリだった・・・近場へくるとクロウと同じように伏せ前足へ顔を凭れていた。

遊び疲れたのか皆が集まる・・・近場へ休憩と伏せ寝始めた様子に苦笑いだ・・・逆に考えながら1頭ずつ眺めるハルトもいた。

『・・・(笑)飼い主が知らないんじゃ、分かるはずないな(笑)』
静かに笑みながら呟くハルトと苦笑いをした。



食事をすませキャンプ場へハルトを送った・・・散歩のように皆がそれぞれに遊びながら向かったが、いつものようにアイリの近場を歩くクロウ。

サンは少し離れた場所で歩いていたが確認するような視線は自分だけでなくハルトへまであった事に気付いた。

挨拶をしたアイリが戻る・・・クロウはアイリの行動に合わせ歩き出す・・・サンはと、そっと見れば驚いた事にハルトを見ていた。

苦笑いだ・・・それでも今はとアイリは家へ戻る・・・いつの間にかクロウと自分の回りをサンは遊びながら歩き始めた。


その夜・・・爺の家へ食事をしに向かった・・・相談したくて・・・

『(笑)話は?』
『サンの事なんだけど・・・』
『(笑)どんなだ?』
『んー自分の想像があってたか(笑)知りたかったの・・・』

『サン?・・・サンだけか?』
『ん・・・
一緒に暮らしてきたのに、最初の居場所から違う場所に・・・違うな(笑)』

『居場所?・・・サンが居場所を変えたって事か?』

『ん・・・サンの飼い主は私じゃなくてサンが選び直してるみたいに思えきて・・・自分から選び直すものなの?サンが認めた人に・・・』

『・・・クロウは?』
『クロウは私だけ・・・でもサンの様子が違うって観察はしてる』
『・・・喧嘩は?してないか?』
『全く(笑)』

なかったと爺へ言ったアイリに苦笑いをしながら見返した。

『(笑)どんな様子だった?』
『観察してた・・・ジッと見て考えてる感じはしたかな・・・声を待ってるような顔・・・
さっきは、私を少し見て直ぐに』

『誰だ?』
『・・・ハルトさん。彼が動くと眺める・・・ジッと観察して伺うように待ってる』
『どう見えた?』

『気付いた時は、ハルトさんの様子を見てる気がしたけど庭では指示を待って待機してるって感じの顔だった。

だけど私の隣に来たからかチラッて(笑)一瞬、私を見たけど直ぐにハルトさんに戻ったの』

『(笑)残念か?』
『そうじゃなくて・・・(笑)』
『(笑)今は確かに飼い主でもあるが、アイリが絶対的な存在だと思ってるのはクロウだけだろ』

『・・・』
『確かに命令もきく。クロウ達はアイリを家族の一人と受け入れた。
クロウにはアイリがトップだと思ってるがサンは違ってたのかもしれんな・・・』

『それはサンがハルトさんを自分の家族の一人と認めたって事?』
『声をかけてみたか?』

『なにもしてない・・・私は観察してる理由を考えてたし、見てる理由はなんだろうって』
『・・・(笑)物は試しだろ』

『なんか・・・寂しくなってきた』『(笑)大丈夫だ。見てきた感じでは家族の一人と思ってるはずだ』

『・・・もしかして訓練士としか思ってなかったとか・・・』
『そーじゃなく(笑)、フィンやフラワ達とかトウマとの関係と同じ感じじゃないのか?』

『・・・あー(笑)』
そうかとアイリが唸った・・・家族の中でも順位はある・・・それはサン達にも。

クロウだけは違う・・・強さでいえばクロウが一番だが、皆の中でのトップはサンだった。

観察すればサンより前へ出ないし、ウィン達が出れば駄目だと教えるように吠え押さえ込む。

一番上だと皆へ知らしめるクロウの様子は仔犬の頃に見て驚いた事は度々あった。

アイリへつくクロウ・・・サンはクロウの行動に注意するような態度もないがウィン達には違っていた。

5頭の中での順位は絶対で外れない事に気付いた頃からは、命令も世話も全てサンからにした。

外出もクロウは絶対についてくる・・・サンは他の子達の様子で決めると気付き声をかけてから促す。

人のように話しては考えさえ自分の命令が絶対に必要だと思えた時は服従だと教えてきた。

だからサンが動けば他の子達は絶対に従うようにもなった・・・絶対的命令は滅多にさせてきてもいないアイリ。

どこからとサンの様子を思い出しながら考えたが・・・それは、どこからではないと苦笑いだ。

今回、一緒にいった事で彼の様子を観察してサンはより考え始めたはずで、危険度はサン達は知るが彼の声は皆へ向けていた。

近寄れば触らせた・・・偶然でも出来れば褒めあげる・・・飲食は彼へ頼んでいた・・・なぜなら自分は手が回らなかったから。

その前に彼へ頼みサン達へ説明もし飲み水も餌も見せてから彼へ渡し改めて見せた。

トウマの時も同じように頼んだのに餌は見向きもしなかった・・・だから自分が声をかけ食べさせた。

今回もだろうと最初のタイミングで説明はした・・・だから彼が準備したものを飲んだし食べた・・・。

その様子で彼はサン達に謝り、誉めちぎった・・・全員が彼へ近寄りはしなかったが、水も餌やおやつも合図を待って食べた。

・・・クロウの様子を思い出し、そうだったと口を引く・・・

食べていいと合図をしたハルトだった・・・サンは彼を見て考え食べ始めたが、クロウは自分を探し確認した。

頷けばクロウは食べた・・・その様子を見たサンも自分へ視線を向けた事で頷いた。

ログまでの道のり・・・その1日でグッと近くなったのだとアイリは気付いた。

明日からより確認してみようと、そう思えたアイリだった。


苦笑いだ・・・滅多にない言動とサン達の事での戸惑い・・・躊躇う事なく過ごしてきた。

なぜか自分もマウレアの人達に抵抗もなく自分から近寄った・・・いつもなら迷子の客は夜遅くてもキャンプ場へ帰す・・・危険なら大丈夫な場所を探し帰るよう促してきた。

今回は自分の居場所に抵抗なく連れてきた・・・それはオールの人達まで・・・その場の人達と知らずに。

彼らにも戸惑いはなく、それでも女性でもない事で自分の自宅ではなかったがトウマへ連絡し近場に居て貰ってはいた。

驚いたトウマから連絡がきて初めて気づいた・・・初めて会った人達なのにテリトリーに入れたから。


少しずつ慣れだと外へ出してきたのはトウマだった・・・そのトウマはアイリが外で暮らせるようにと声にしてきた。

そして・・・言葉の最後に話の理由を声にした・・・だから・・・本当に・・・アイリには必要でもあると。

落ちついた事で学校に行こうと促した・・・戸惑うアイリを安心させ大丈夫だと教えてきた。

でもと言えば、ならと言い聞かせるように優しく呟くトウマ・・・自分の体験まで話しては家から出した。

興味はソコかと驚き慌てるようにトウマが連絡してきて知ったアイリの夢。

自分とトウマ、そしてクロウ達がアイリの家族で一番に思うのだと嬉しそうに言った・・・アイリの中で絶対的な家族だと。

ある日は、サンがリーダーだったと驚きながら教えに来たアイリを思い出す・・・

喧嘩をしても怯える事なく立ち向かうクロウだったからか、クロウがリーダーだと思っていた。

なのに違ったと慌てながら教えてくれた・・・それはじわじわと広がるような嬉しさがアイリを笑顔にしていった。

楽しみながら始めたアイリ・・・その数に驚き、凄かったとトウマが呟く・・・友人に見せ、その彼女達の声も増えていく。

全部見たいと言われたが持ち出しは拒否された・・・恥ずかしいのだと照れた笑みに苦笑いだ。

ならばと考え記念と写真に撮りためたが、アイリには言わず表に出してみれば数多くの仲間に好評だった。

トウマから聞いて驚いたが、自分でも確認すれば驚いた事を思い出した・・・その腕に外へ目を向けさせたが出る気もないアイリだった。

まずは本人の自信をつけさせ外へ目を向けさせようと待った・・・そっとでも出れた笑みを思い出した。

嬉しかったがクロウ達を中心に過ごす事は、アイリには絶対で動かなかった事は驚いた。

それに縛られた生活をさせているようで申し訳なかった・・・連れてきたばかりにと・・・。

ブリーダーと犬達を育ててきた自分・・・今は小さくし副業のような状態にした事でトウマにも負担にならず助かった。

なにより今は専門にスタッフは残ってくれている・・・通いだがトウマに負担が向かないよう頼んである。

それでもアイリへ5頭もの大型犬を預けてしまっている・・・家族と一番真ん中へ孫のアイリは置いた。

悩んでいる姿に苦笑いだ・・・その感情の複雑さは見てとれる・・・戸惑いはアイリの中を揺らしている気もしたが本人が気付かない事はホッとした。

親を失くした喪失感に似た感情の始まりのような気もすると・・・その頃のアイリに似ていて自分まで戸惑ってしまう。

それでもハルトという男を知ってからか変に大丈夫な気もする・・・そんな事まで考えていく自分もいて笑えた。

そのアイリの笑みに息子トウリと重なる・・・その優しい瞳はアイリの母アヤの笑みと重なり驚いた。

色んな思いが重なり苦笑いをすればアイリが見ていて苦笑いだ・・・どうしたのかと考えながら見ていたアイリだった。

『・・・(笑)』
『大丈夫だ(笑)、サンの親はアイリだと知ってるし変わらないから安心(笑)しなさい』

『(笑)・・・』
『主が変わっても(笑)親はアイリだとサンは思ってるはずだしな』
『ん(笑)、分かった』
『今は(笑)様子を見てればいい』

『分かった(笑)悩むの止める』
『それがいい(笑)。それより』
『ん?』
『(笑)その人は・・・』

『だれ?・・・ハルトさん?』
『(笑)そうだ。アイリには、どんな人なんだ?』
『・・・分からない』

『(笑)初めてだしな』
『・・・何が?』
『・・・(笑)クロウ達のように警戒せずに近寄せただろう?』

『・・・あー、泊めた事?』
『・・・』
他の事では気付きも早いのに、恋愛に関しての事へ考えも向かないアイリに苦笑いだ。

『爺?』
『・・・(笑)アイリには特別な男かと思っただけだ』

『なんで?なんでそう思うの?』
『(笑)理由を作った気がしたからだ』

違うかと笑み見返せば驚いた顔は自分の言葉を思い出し考え始めた姿になった。

孫の女の子達の様子を思い出しアイリへ声にした・・・そうなのかと考え始めるアイリだった。

その年頃の子達と違った様子は仕方ないと、アイリのペースで考えて欲しいと願った。

ようやく見れた事も嬉しくて、それを楽しめと思いながらアイリを見つめる藤城だった。







Precious -20

2023-09-28 00:58:16 | Precious


着いて直ぐに宴会に交ざった自分に苦笑いだ・・・既に酔っていた皆は一人ずつ静かになっていく。

暫くして交代のように寝始めれば誰かが起き出す様子は笑えた・・・酔いを覚ました誰かはシャワーをしに向かう。

これもまた交代のようで可笑しくなる・・・それに気づいたトウマも笑いながら向かい 身綺麗にすると、まだ飲めると威張りながら戻った。


暫くしてコナツがウィンと来た事に驚いた・・・
『そういえば(笑)』

自分が来た時には居なかった事を思い出し・・・思わず呟いた自分に何だと見返すコナツに苦笑いだ。

『連絡を貰った時に(笑)居た事は知ってたんだ』
『・・・(笑)あー』
なるほどと笑みを浮かべるコナツだった。

『あれ?』
『(笑)トウマならシャワーしに行った』
『・・・どっかで(笑)寝てますかね』

シャワー室がある方角を眺めながら呟き待つかとベンチへ座るコナツ。

笑みを浮かべ静かに飲んでいるハルトやタクミとサクヤ・・・他の友人は手足を投げ出し眠っていた。

『(笑)テントで寝れなかったとか?』
『違ーう(笑)、起きたら飲めるように移動しないんだよ』
『えっ・・・皆?』

それは本当かと驚いたコナツは一人一人眺める・・・自分達を見返す仕草に可笑しくて笑う・・・タクミは笑みを浮かべていた。

やっと戻ったトウマがコナツを見つけ歩いてくる・・・ウィンが一鳴きし眺めれば笑うトウマが手を上げた。

今度はコナツへ視線を向け・・・ジッとみていたウィンだったが踵をかえし走り去った。

『えー・・・』
戻ってしまったウィンに残念そうに唸るコナツ・・・その隣へ座りコナツを抱き込んで火灯りを眺めるトウマもいた。

『(笑)ウィンが送ってくれた?』
『散歩途中で行く気がして(笑)着いてきただけなの・・・
戻りはどーしよー』

『(笑)泊まる?』
『皆が寝る場所は(笑)取れません』
『・・・(笑)酔ってるからまともに歩けないけど?』

『(笑)アイリが迎えに来てくれるかも』
『あー・・・』
そう思うのだろうトウマの呟きに本当に来そうだと笑むコナツだった。

彼女の名前が出た事でドキッとした自分を知った・・・それは同時にサクヤも自分に気付き笑っていた。

気付かれた恥ずかしさに照れるハルトだった・・・見返せば急に呆れたタクミもいた。

『・・・どれだけ』
好きなんだと思わずだろうサクヤの呟きに口を引くハルト・・・その二人の様子を眺めるトウマとコナツに気付けば苦笑いしかない。

ふと・・・トウマにすまなそうに見返したハルトの様子に直ぐに気付き驚いた顔をした。

『・・・言った?』
『悪い・・・(笑)』
『それ・・・(マジ?)』

気付かないコナツ・・・彼女の視線はウィンが帰った方角・・・だからハルトへ聞き返し声に出さずにトウマは聞いたのだ。

苦笑いをしながらも頷いたハルトに、彼の思いの深さを知った・・・そのアイリはどの位だと考えてしまう。

ハルトに対して気持ちはあるのか様子を見なければと笑み返したトウマもいた。

『トウマ・・・』『ん?』
『携帯・・・持ってきた?』
『(笑)ごめん』
『・・・どーやって連絡しよー』
コナツが呟く・・・

『な(笑)』
可笑しくて笑うトウマだった。


暫くして何処からか犬が吠えている鳴き声が聞こえ嬉しそうに立ち上がるコナツを笑いながら引き止めたトウマ。

その二人の様子に笑いながら飲む彼ら・・・トウマは缶を手にし飲み始めたのだった。

『(笑)アイリもいるのぉ?』
叫んだコナツに飲めと缶を口へ運んだトウマに笑いながら飲むコナツもいた・・・戻って来たのはウィン。

『ウィン(笑)、アイリは?来てくれた?』
迎えにと声をかければウィンが振り向き眺め始めた。

現れたのはフラワ・・・そこへフィンが走りより自分達を見始めれば苦笑いだ・・・自分達が観察され始めたから。

『ウィン(笑)サン達も?皆居た?』
ちゃんと返事をするウィンに嬉しくて撫でようとしたが、するりと避けた姿に皆が笑う。

サンが現れた・・・嬉しいのか3頭が走り回る・・・じゃれあう様子に笑いながら眺めるトウマもいた。

じゃれあい過ぎたのか喧嘩のような気もした自分に苦笑いだ・・・喧嘩だと呟くハルトに苦笑いをしたトウマもいた。

サンが吠える・・・その一声で静まる様子に驚き皆で眺める・・・偉いと褒めるトウマの手も拒否したサン。

お前もかと笑うトウマに笑いながらコナツが転げそうで慌て捕まえた。

暫くしてまたサンが吠える・・・少しして吠えていサンを眺め考えていたコナツが立ち上がる。

戻り始めるサン達に気付きコナツが笑みを浮かべ呟いた。

『トウマ(笑)』
『ん?』
『帰るね。(笑)飲み過ぎないでね?』
『・・・マジ?』

『ん(笑)、サンが一緒に帰ってくれるみたい』
『・・・なんで分かる?』
『(笑)ほら、輪っかがある』

サンへ指差したコナツを皆が視線を辿れば、輪になった紐を口に咥えていたサンがいた・・・コナツが近寄れば差し出すような仕草に驚いた。

『あー(笑)、爺に使ってたヤツを持たしたのか・・・(笑)気を付けろよ』
『(笑)おっけ』

笑み返したコナツは皆へ帰ると笑み返しサンが咥えた輪を手にする・・・すると来いと言いたげにサンは ゆっくりと歩き出した。

誘導するように歩く・・・コナツが掴んだが、それはリードのように使えるのだと驚いて眺めた。

暗い夜道だが明るい場所を選んでいく・・・暫くすれば暗さで彼女の姿は見えなくなった。

『(笑)凄いな・・・』
『(笑)な』
『・・・あれはトウマでも連れ帰ってくれるのか?』

『(笑)そうだと有り難い』
『駄目なのか・・・(笑)』
『(笑)滅多にない。爺の散歩に付き合う時にアイリが言ってサン達の訓練はしてたんだ』

『にしてもコナツに慣れたんだな(笑)』
『な(笑)・・・いつか(笑)ハルトも迎えに来てくれたらいいよな』

それは嬉しいだろうと呟くトウマに苦笑いのハルトだった・・・



山登り・・・ライフの中で一番高い山だった・・・そこは一般客の入山は許可されていなかった。

前に違う山へ登ったが、そこから見えた山に登ってみたかった・・・荒さが見え危険度もありそうだった。

それでも岩山の部分もあり大変そうだが行けそうな気もして、トウマへ許可を貰いイツキと登る計画を立てた事はあった。

キャンプ場に来た翌日にアイリへ電話をした・・・その日は解放されたようにサン達が飛び出して行った事で回りの手入れをしていると聞いた。

その夜・・・今度はアイリから電話をくれた・・・また話せると嬉しくてライフという場所を詳しく聞いた。

その時に聞いて登ってみたくなったが、作業の手伝いで近場に行くと知り足手まといにならないか聞いてから頼んでみた。

服装を確認するアイリ・・・それから出かける時間を教えてくれた・・・本当に行くかと何度も確認する彼女に苦笑いだ。

最近は許可なく入り込み勝手し森を荒らす者が増えてきた事で、どうするか考えているのだと聞いた。

勝手に入り無茶をし怪我で動けず捜索されてようやく下山するのだと苦笑いをしたアイリの声に口を引いた。

取りあえず山道を整備する為の目印をつけに行く仕事だと楽し気に話していた。


そしてその日・・・トウマに準備された靴を履きアイリを待った。
『毎年?』

『そーでもない(笑)、爺とアイリが山道を作ってきたが 獣道に入って怪我してくヤツが増えてな(笑)・・・そっちが面倒だからって』

『勝手にゲートを開けて入る人はいたのか・・・無断進入してく・・・
わざわざ作るのか(笑)』

『だ・・・・(笑)ま、俺的には助かるから声も出さないけどな』
苦笑いをしながら呟くトウマもいた。

『コナツさんは?』
『(笑)行くってさ。だからアイリが仕度させてる(笑)』
『熊とか・・・大丈夫か?』

『(笑)そこはほら、アイリが知るから何とか・・・俺らが歩ける場所を整備するんだとさ』
『へぇ・・・』

『(笑)大丈夫だ。クロウ達の気付きは早い。だけど大丈夫か?本当に野宿もしてくるぞ?』
『たのしそー(笑)』

不意に交ざり歩きながら呟くコナツの笑みに苦笑いだが、ハルトもまた楽し気な顔でホッとしたトウマもいた。

『トウマ(笑)、アイリだから楽な道を・・・選ぶよね?』
『コナツ(笑)、確率の低い方を俺は行くんだぞ?』

『(笑)ごめん。もしもって・・・あ、ウィン(笑)一緒に来ないかな・・・』
『来ない(笑)、やつらは遊び場を知るから直ぐに姿を消すぞ?』

『えっ・・・見張らない?』
『もともと(笑)アイリも見張らせてない』
『『そうなんだ・・・』』

聞いていたコナツとハルトの呟きに苦笑いのトウマだった・・・暫くして大きめのリュックを背負ってきたアイリに驚いた。

『アイリ(笑)』
『何?』
『コナツに何を持たせた?』
『(笑)1日分と着替え』

『何でだ?』
『ん?見に行かない?』
『『どこに?』』『・・・』
『・・・こっちは登るけど、沢のログ・・・』

『星?』
『(笑)見れるの?』
『沢?上流?』
コナツとハルトの呟きに苦笑いのトウマはアイリを見返した。

『沢に戻るだろ?』
『上沢にね(笑)』
『使うって言ったか?』

『(笑)・・・大丈夫よね?』
『当たり前だ(笑)下を使う・・・』
『なに・・・』

何かを言いたいが声にしないトウマを眺めるアイリ・・・逆に何の話だと気になったハルトとコナツがアイリ達を眺めていた。

クロウ達と行く・・・が、ハルトも一緒に行くと聞き戸惑った・・・安全ではあるがクロウ達とは大丈夫なのかと。

何よりハルトと二人だ・・・誰かと滅多に行かないアイリを知る・・・それでもアイリ自身が気付き考えるしかない。

その状況が早々に来ただけだと考えることは止めたトウマ・・・ハルトへもリュックを手渡す・・・中の確認をと見せながらしまう。

背負ったハルト・・・それより大きなリュックを背負う自分とアイリ・・・なぜなら道具も入っているから・・・

コナツが行く事で半分の作業にし近場で止めるつもりだった・・・確かに今はそれほど獣は寄り付かない。

沢には水を飲みに獣が来る事もある・・・その一角に避難場所として鉄柵で囲いログを建てた。

管理する人達にも安全にと鍵は持たせ入っていた・・・数ヶ所で頑丈に作り使えるようにもした。

数日は過ごせる備品もチェックはしている・・・そこは綺麗な水が流れてくる場所。

見上げれば夜空も観察できるほどに拓けている・・・上流にある沢の近くにも下まで戻れない時の為にと作ってあった。

今回、そこをアイリは使うつもりなのだと知った・・・休憩も出来る場所・・・そしてライフに来れば常に鍵は持ち歩いていた。

ならばと考えるトウマだった・・・


嬉しそうな笑みのハルト・・・楽しそうなクロウ達も走り回る・・・暫くして・・・登る事に、彼女に着いて行く事に必死で回りの景色に目は向けられなかった。

ようやく頂上に来たのだと振り向いた彼女の笑みに見惚れる自分・・・岩肌が剥き出しで山の天辺だと誇示したように突き出ている場所を登る。

立ち上がれたが、着いた事にホッとしてふらつく自分に苦笑いをした。

直ぐ下で待つクロウ達が辺りを眺めては休むと地面へ伏せる姿が見えた。

『(笑)気は抜かずに・・・』
『・・・(笑)ごめん。』

自分の腕を掴んだ彼女に苦笑いをして、遠くへ視線を飛ばした・・・木々の隙間から、緩やかに流れる川も見えた。

澄んだ空気に笑む・・・心地良い風が自分を撫でていく。

自分の腕を掴む彼女の手が温かく感じれば自分の手を重ねた・・・緊張してくる自分に苦笑いだ。

それでも手は離されず広がる景色ごと記憶に焼き付けた・・・

『アイリが羨ましい・・・(笑)』
『なん・・・で・・・』
『(笑)いつでも見れるから・・・』

『見たい時に教えてくれたら』
『(笑)一緒に登ってくれるのか?』
『(笑)私で良ければ』

『また・・・アイリと一緒に見たいんだ』
『・・・・(笑)了解です』
『・・・(笑)』

自分に笑み返事をしてくれた彼女に、嬉しくて・・・照れるが見つめた自分の中が自然に弾んでくるようだった。


けっこうな時間をかけて登って来たが、戻りもだと下山している間も気が遠くなりそうで苦笑いだ。

楽しんだ自分・・・嬉しかった自分・・・何より彼女と一緒にいる対価のようで苦笑いだ。

急に薄暗くなりアイリに追い着けと頑張ったが、来る時より休憩は多い気がした。

謝れば大丈夫だと、より慎重にと声にする・・・時に話をしながら来た道を戻った。

彼女につくクロウ・・・自分の後ろにはサンが着いていてくれた・・・他の3頭は気分で前後を歩く。

自分を観察し目が合えばサンに笑み返した・・・慎重に歩けば、よしと確認できたからか歩き出す。

列をなすよう歩く姿も楽しくて気も紛らせられた・・・ひたすら歩く事も彼女となら疲れは忘れられた。

アイリの命令でだろうが時々だが自分を気にしてくれるサン・・・あの観察は自分の為だったと知った。

重なる視線も嬉しくて・・・その度に笑み返す自分もいた・・・嬉しさが沸き、それで頑張れる自分に苦笑いをした。

視線の重なり・・・頑張ったという笑みの気がすれば、少し先にログが見えた

彼女の家と同じように頑丈に作られた鉄柵で囲っていた・・・錠を開け二人で入れば直ぐに閉じ丈夫そうな閂で扉を止め鍵までした。

自由時間だと走り回るクロウ達に笑みアイリはログに向かう・・・入れば荷を出さず直ぐに火を灯してくれた。

少し高めのスペース・・・そこへマットを敷けば自分へ振り向き、ここへと促された。

そのスペースの高さに足が着いていかず驚いた・・・恥ずかしくて笑うしかない。

『(笑)食べられそうですか?』
『ごめん(笑)』
『先に(笑)』

『そーしてくれ(笑)、クロウ達の世話を先に・・・』
『・・・』
『(笑)違ったか?』

『そう・・・言おうとしてました(笑)』
『構わない(笑)』
『休んでて下さい(笑)』
『ありがとう(笑)』

礼を言えば優しく笑み返した彼女は、まだ外で遊んでいるクロウ達を眺めては準備を始めた。

少しずつ薪をくべる・・・それからクロウ達用だろう場所へマットを敷き詰め水を汲み餌を準備していった。


いつの間にか寝ていた自分・・・程よい温かさにホッとして室内を眺めた。

飲み物とおにぎりが近場にあり彼女が書いたろうメモに嬉しくてジッと眺めた。

ふと彼女は何処で寝ているのかと探せば、驚いた顔の彼女と目があった・・・これは起こしたのだと思い申し訳なくなった。

『(笑)起こしたよな・・・悪かった』
『・・・(笑)いえ。お腹、すきましたよね・・・食べて下さい(笑)』

『悪かった・・・(笑)一人先に寝たからアイリの居場所が気になって・・・から・・・』

『(笑)すみません、隣に寝かせて貰います』
『当たり前だろ(笑)。俺のせいで余計に疲れたろ・・・』

『(笑)そこは気にせず。付き合わせたから・・・(笑)待つのも疲れるって知ってます』

『長時間歩くって事が久しぶり過ぎて(笑)迷惑を』
『(笑)それはないですよ?』

『ほんとに?』
『(笑)大丈夫です。私の代わりにクロウ達の世話をして貰えてたので予定より多くチェックは出来ましたし』

『・・・(笑)それは良かった・・・』
ホッとした・・・本当にそう思ってくれていた気がしたから。

食べながらも静かに話をしてくれる彼女に感謝だ・・・汗も流せるログだった事には驚いた・・・

なぜなら川で身綺麗にするのかと思っていたから・・・促され、教えてくれた彼女に礼を言った。


暖炉で沸かした湯は直ぐに奥の部屋へ運ばれる・・・それは大きな釜があり、水で温度を調節し掬って流すだけ。

その体験も面白かった・・・逆に謝る彼女に笑いながら押し出し汗を流した。


隣へ寝転ぶ彼女・・・既にクロウ達は寄り添って眠っていた・・・少しずつ自分が緊張してくる。

そう思えば彼女もまた同じなのか眠れずにいたようだ・・・ならばと謝り少しだけ話そうと言ってみれば頷いた。

高めの窓から星が見え・・・それを眺めながら会話を楽しんだ・・・嬉しくて会話は弾む・・・

暫くして夜空を眺め笑みを浮かべた彼女・・・見惚れる自分にも笑みは溢れてくる事に気付き口を引く・・・

『(笑)キャンプ場から見るより近く見えるな・・・』
『(笑)・・・ですね』
『(笑)一緒に見れて嬉しいよ』

『・・・(笑)誰かと見るって、久しぶりの気がします・・・』
『・・・前は誰と?』
『(笑)爺とか・・・トウマ君です』

『・・・だ、だよな・・・(笑)』
『・・・』
『(笑)向こうじゃ、こんな輝きはないしな・・・来れて良かった(笑)』

『天気が良くて助かりましたね(笑)』
『(笑)だな・・・』

長い時間、話せた事が嬉しかった・・・そしてまた星の観察をしながら二人で会話する・・・この時間も心地好かった。

柔らかな彼女の話し声が優しく響く事で何故か眠気が自分を捉え始める気がした。

それも嬉しかった・・・疲れが互いに忍び寄る・・・途切れ途切れの会話に気付けば苦笑いしかない。

自分は寝るのも惜しいと頑張ってみた・・・それでも疲れが自分を抑えてくる・・・眠そうな顔の彼女と分かった。

その姿は可愛くて・・・ずっと見つめていたいと願っている自分・・・そう思えば不意に彼女と目があった。

ドキンと高鳴る自分の心臓・・・静まれと落ち着かせる間も彼女を捉える目は離れなかった。

眠りへ入る儀式のように優しい目が揺らぐ・・・眠くて話せないと言いたい彼女の唇が微笑んだ。

囁くように謝る彼女の小さな声音に笑み返せば照れた目は余計に潤んだ・・・声は出さず自分の口は勝手に「おやすみ」と唱えた。

柔らかな笑みが少し頷いたが、優しい彼女の目は自分を見ている気がして嬉しくてなった。

疲れが自分に睡魔を運ぶ・・・ふと彼女の手が見え思わず繋いでしまった自分に照れた。

目が閉じそうな彼女は優しく微笑み眠りへ入り込んでいく・・・笑みを浮かべたまま眠ったようだ。

繋いだ手に目が向いた・・・外されずホッとする・・・嬉しくて眺めていたいのに眠気は急に自分を襲った。

幸せだと十分に浸りたいのに、見つめていたいのに叶わない・・・こんな自分に呆れながらも睡魔に連れられていった。



目覚めれば身が堪え何故か痛みが走った・・・苦笑いだ・・・最近はトレーニングもサボっていたことを思い出す。

筋肉痛だろう痛みに可笑しくて笑ってしまう・・・隣にいたはずの彼女を探せば、微かに笑みを浮かべたまま眠っていた。

近くで彼女が見れる事が嬉しくてジッと見つめるハルト・・・繋いでいたはずの手は既に離れていた。

クロウ達の気配がない気がした・・・遊びに出たのかと見やれば外で飛び回るフラワが見えた。

スッと彼女の背から覗いたのはクロウだった・・・互いに見合う・・・犬の姿ではあるが不思議と彼女を守る人のような気配。

そう思えた自分に苦笑いだ・・・笑み返せばまたスッと姿は見えなくなった。

寝返りした彼女の手が優しく動く・・・近場に居る事を知った彼女がクロウを撫でているようだった。

起きろというのか鼻で彼女を促す仕草に自分まで笑みが溢れてしまう事に気づいた。

『(笑)おはよ・・・』
クロウへだろう呟きに起きた事を知った・・・それから自分へ振り向けば驚いた顔をしていた。

『(笑)おはよう』
『おはようございます(笑)、体は大丈夫ですか?動けますか?』
『・・・(笑)何とか』

寝たままに体を動かすハルト・・・多少の痛みは走るが大丈夫そうだと笑みを浮かべた。


持参していた朝食を食べ、背負ってきたリュックに道具を確認しながら詰め直す彼女を待った。

そして帰りの行程を言いながらログを出たのだった。


ここからの帰り道は目印のように印をつけ布を軽く巻き付けていく・・・その間にクロウ達は辺りを走り遊んでいた。

自然の中で静かに浸る自分も落ち着き自分の中まで穏やかな気持ちになっていく。

話ながら歩ける事は嬉しかった・・・本当に色んな話をして楽しかった。

時々だが彼女と話していると確認のようにサン達が自分まで見る・・・会話に交ざっているような不思議な感覚を覚える。

だから笑み返す・・・彼女が作業していれば自分の目はクロウやサン達を探す事に可笑しくて苦笑いだ。

緊張はほどけていた気がする・・・だからか話していない間も楽に居られたハルトだった。


二人で泊まる緊張は、ハルトと話していく内に静まった事にホッとした・・・

その自分の緊張に気付いたからか数多く声をかけてくれた彼に感謝だ。

アイリといういつもの自分に戻れた・・・クロウ達が警戒する様子も無かった事もホッとした。


いつものように遊んでいる姿にホッとする・・・そして危険もなくログへ着けた事も。

さすがに彼へ言ったが隣で寝る緊張は激しかった・・・初めての事で、これは警戒するクロウでさえ今回はサン達と同じ場所で眠った事は驚いた。

優しく話してくれる彼・・・ここまで色んな話をしながら来た事で、近い人の一人になった気がした。

不思議と安心できる人だった・・・話題も多く楽しめた・・・眠気は直ぐに起きたが彼の声が心地好く聞いていたかった自分を知れば驚いた。

目覚めればいつものように隣で寝ていたクロウに微笑んだ自分がいたが逆にジッと見返す仕草に苦笑いだ。

眠れたからか多少の疲れは取れているようでホッとする・・・帰り道も大丈夫そうだと思えたから。

作業に集中できるよう静かに待ってくれた・・・次の場所へ行く間は色んな話をしてくれた。

自分の知らない事は本当に多かったのだと知った・・・逆に知らなかったと驚き、ならと聞いてくるハルトに苦笑いもした。

戻るまでの時間は楽しかった・・・いつもなら会話はしない・・・それはクロウ達だけだったから。

今回は話をしながらだったからか疲れる身は忘れている気がした・・・次々と始め移動しては取り付けられた・・・予想より早めに終われた事も嬉しかった。

危険もなく終われた事は本当にホッとした・・・熊に遭遇する事もなく無事に来れたから。

だからかホッとした瞬間は敷地へ入ってからだった・・・互いにもどれたと見合う。

笑みを浮かべた互いに力が抜けていく気がして驚いた・・・取りあえずとベンチに座る。

クロウ達用に水をくむ・・・おやつを出せば匂いで知ったのか家の中へ飛び込んできた。

それが可笑しくて眺めるアイリだった・・・

『(笑)前と同じ部屋でいいですか?』
『・・・』
『(笑)戻れます?キャンプ場・・・』
『・・・(笑)』

『気にせず使って下さい(笑)』
『サンキュ(笑)』
『(笑)私も勝手しますが・・・』

『大丈夫だ(笑)、クロウ達の世話が終わったら休んでくれ。
俺が居て余計に気を遣ったろうから(笑)』

『(笑)大丈夫でしたよ?話ながら出来たので楽しかったです。(笑)ありがとうございました』
『いーや(笑)、こちらこそだ』

『次は(笑)仕事なしで』
『(笑)分かった。今度は小川が歩く場所に・・・頼める?(笑)』

行きたいがと言ってみれば可愛い笑みが頷いた・・・部屋を使わせて貰うと指さしすればどーぞと手招く彼女に笑み返した。


隣に彼女は居ないが同じ空間に居るような不思議な感覚が起きた・・・互いの気配が感じる自分に笑えた。

一緒にいないのに居るような不思議さがあった・・・世話をしている気配・・・クロウ達へ声をかけている微かな声音があった。

落ち着く自分・・・穏やかに過ごせる空間・・・全てに自身が癒されていく・・・ここもまた自分の居場所でもいいのだという錯覚までする。

自分の時間を過ごしていく・・・そんな自分に笑えたが、彼女と過ごせた時間は幸せだと嬉しくなった。


2階にいるハルト・・・誰かと居る不思議さは自分に違和感も沸かなかった事に驚いた。

キャンプ場へ送るか迷った自分は確かに居た・・・なのに戻る体力は残っているのかと気になり休んで欲しくて声にした。

クロウ達まで気にもせず自分達の時間だと自由に過ごしていた。

いつも通りの準備をしたが、それぞれに過ごし始めた子達に感謝した・・・ならば自分の時間にしようと2階にあがった。


着いてきたのはクロウだけ・・・他の子達も騒がず静かで、いつもの時間を過ごし始めたようだった。

身綺麗にしベツドへ寝そべればクロウが隣で寝始めた・・・ハルトがいる変な緊張は ここでも無かった事は不思議だった。

彼が居る・・・いつもなら一人で勝手気ままに過ごす・・・彼が居る事の不思議さに苦笑いだ。

それでも嫌ではない・・・大丈夫な人で・・・一緒に居て気にもならないし、へんな緊張がない事も不思議だった。

自分が知る人・・・祖父の知り合いで、もっと近い人でも気になり眠れなかった事はある。

トウマの友人は不思議と クロウ達は警戒し見張りのように彷徨き大変だった・・・トウマも居て部屋からも出なかったのに。

今のクロウ達の様子は違った・・・いつも通りに自分の時間を過ごしていた。

彼は、ちゃんと休めているかは気になるが疲れは取って欲しいと思えた・・・軽く食べられる品を準備しておきメモをつけた。

起きて来たときに話せるかは気になるが、彼ならと思いメモにした自分・・・いつもと違うのは自分の方だった事に苦笑いのアイリだった。







Precious -19

2023-09-26 00:21:59 | Precious



作品は仕上がりウィンドウに飾ってあった・・・その連絡があり仕事あがりにイツキと二人で出向いた。

柔らかな布はふんわりと床へ流れているようなドレスで・・・レース使いで清楚に見せ綺麗だった。

レース地の袖の先・・・スーツを着たマネキンが手を取り招いているようだった。

『へぇ(笑)』
思わずだろうハルトの呟きに口を引く・・・見惚れるように眺めている姿に苦笑いだ。

ドレスにあるレースと似た素材がスーツ側にも施してあった・・・
―バランスが・・・―

その言葉を思い出す・・・前に見たマネキンとの違いも分からないが、こうなったのかと眺めるだけの自分もいた。


退社の時間なのだろう次々と出てくるマウレアスタッフの子達・・・エリン達は中だと教えてくれた。

顔を出して行こうと言うイツキに苦笑いをしながらも、自分も彼女に会いたくて思わず頷いてしまった。

会議も終わり残る片付けをしていたソウ・・・手伝えと笑う彼女に楽し気に交ざるイツキだった。

嬉しそうに歩いていくハルトの姿が目の端に見え頑張れと祈りながらイツキは離れたのだった。


静かでも僅かに何かの曲が流れていた・・・隙間があった作業場の扉・・・そこから聞こえたのだと思えた。

入ってみれば、大量の布が作業台の上に並んでいて驚いた・・・アイリは考えながら眺め、別の布をあてては眺めと悩みながら作業していた。

思い立ち巻き付けてみる・・・決まれば鋏を手に一気に切り裂く姿を眺めた。

暫くして近場にある椅子へ座り作りかけのドレスを眺める・・・背へ凭れ椅子の上で胡座をかき眺めるアイリに口を引いた。

真剣な眼差し・・・思い付けば笑みが溢れ手にしていくようだったが、また悩みながらも考え 違うモノを手にする。

色んな顔をする彼女を静かに見学するハルトだった。


ドアの出入口近くにある作業台兼テーブル・・・そこにハルトの姿が見え驚いたが、頬杖をしたまま眠っている事に驚いた。

何より、こんなに近くにいたのに気付かなかった自分がいて苦笑いだ・・・それでも頭に浮かぶデザインに近くなり、忘れないようメモをした。

そのメモはトルソーの上の部分にピンで刺し止めているアイリ。

次の為に、時間を置く時にしている事でもあった・・・巻き付けている布へ線を引く・・・一枚ずつ離しては裁断して戻した。

ある程度は進んだが、取りあえず休もうと水を飲みながらハルトが寝ていた作業台に向かった。

連絡した事で見に来てくれたのだろうハルトに感謝する・・・仕事の疲れが出たのだろうと思った。

そう思ったが疲れているのに呼んでしまったようで急に申し訳なくなった。

疲れた顔・・・早く帰り休んで欲しいが起こすのも申し訳なくて迷う自分もいる・・・せっかく寝ているのにと・・・。

手を止めていた事で室内が静かになった・・・静か過ぎて目が覚め自分が寝ていた事に気付く。

目を開ければ目の前にアイリがいて、飲み物が入ったカップを手にし作品を眺めていた・・・

『ごめ・・・悪かった・・・』
『(笑)疲れてるなら』
『大丈夫だ・・・(笑)』
『見に来てくれたんですか?』

『・・・(笑)』
『あ(笑)、お礼は別の日にお願いしても構いませんか?』
照れながら小さく頷いたハルトに笑み返した彼女・・・

『(笑)セルフですが、向こうのドアからなら飲み物は持ってこれますよ』
『ドレスがあるのに・・・あ』

『・・・(笑)はい。ここから出なければってルールはあって・・・』
『わかった(笑)。後で貰う』
『(笑)どーぞ』

笑みあった事で照れたハルト・・・笑み返した彼女はまたドレスを眺めていた。

『・・・・・(笑)全部に白系のドレスが基本・・・だとして(笑)次々に変化させてくって凄いな・・・』
『・・・』

『(笑)そー思った。同じドレスが3着じゃなくて(笑)、別のドレスみたいに3着になってるって事だろ?』
『・・・(笑)』

『だから凄い(笑)って思った』
『・・・(笑)私一人でしてませんから・・・』

『それは?(笑)新たらしく作ってるんだよな?(笑)それ』
『(笑)はい(笑)』

そうだと頷きながらドレスを眺めている彼女の姿に笑み返すハルトもいた。

『その線・・・(笑)何がはいる?』
『(笑)考え中です。どんな感じにするか何をつけるか(笑)とか』

『あ・・・ごめん、邪魔してたな』
『(笑)大丈夫ですよ。眠気防止に助かってます』
『・・・急ぎ』

『(笑)じゃないです。だけど、ここで止めたくなくて(笑)考えてたので。
少し(笑)、飽きて寝ちゃいましたけど』

『・・・(笑)』
『ハルトさんはないですか?本当なら帰っていいのに(笑)続けたいって時』

『(笑)ある。待てば結果が出るかもしれない・・・(笑)自分達が止めた次の瞬間に起こったらとか、もしかしてって・・・思ってた事を止めずに粘る・・・(笑)とか』

『(笑)やっぱり』
『・・・(笑)後悔するより、まだ大丈夫って続ける事は多いかも』

『(笑)感は自分を信じてると、何かと正解する事は多い気はします(笑)』

『確かに(笑)。見てるし体験してる可能性はある。だから自分でも気にしないかな(笑)』
『・・・(笑)なれ?』

『かもな(笑)。
そういえば・・・ ・・・』
『(笑)聞き難いですか?』

『んー(笑)、クロウ達の事なんだ(笑)』
『・・・どんな』

『(笑)・・・5頭も・・・育てて今は一緒に暮らしてるだろ?』
『はい(笑)』
『・・・迷いはなかったか?』
『・・・』

『・・・確かに命は大事だと自分も思うが、大型犬だし・・・それが5頭となるとって・・・』

『・・・(笑)仔犬は可愛いと思った途端に2頭から増えただけです』
『・・・』

『(笑)たぶん、住んでた場所だったから迷うって事も育てるのも大変な事って知らなかった気はします(笑)』
『・・・ライフ?』

『はい(笑)。囲いの中で自由に動けてたから、あの子達にストレスはかからず(笑)私に負担も少なかったので』
『そっか(笑)』

『はい(笑)。初めてだったから(笑)これが普通なんだと・・・
それは違うって事は(笑)ライフに来たお客様とか・・・2頭だけ連れて外出した時の反応で (笑)何となく』

気付いたのだと笑えば、そうかと驚きながらも一緒に笑う彼に笑み返した。

『これから先も住むのはライフ?』
『(笑)ですね・・・あの子達が大事なので(笑)休みは全て向こうにしてます』

『・・・(笑)クロウ達が楽だもんな』
『はい(笑)。そういえばキャンプはしてますか?』
『あ・・・(笑)最近はしてなかったな・・・』

『(笑)忙しいですもんね。コナツさんから聞いてました(笑)』
『・・・(笑)』

『時間に余裕がないと(笑)、いくら好きでも行けませんね・・・』
『(笑)向こうで会ったら、俺とも遊んでくれるか?』

『・・・私とですか?』
『(笑)だめか?キャンプは好きじゃないとか?』

『(笑)クロウ達と出ると、ちゃんとしたキャンプって出来ないですし(笑)』
苦笑いをしながら話す彼女に笑み返したハルトだった。

『森の中とか(笑)山の中とか・・・アイリは泊まれる?(笑)』
『(笑)出来ますよ?というか、遠すぎて家に戻れなかったりする事もあるので(笑)』

『それは危険じゃないのか?』
『(笑)本当に危険な状態だと、あの子達が落ち着かなくなるので(笑)そういう時は泊まりませんよ?』

それは大丈夫なのだと笑み返す彼女に苦笑いだ。

それでも一緒にとも言えなかった・・・なぜなら足手まといに なりそうだったから。

驚いた彼の顔は少しずつ残念そうになり、その理由はなんだと考えた。

考えたのだが思い付かず彼を見つめれば気づいた彼が苦笑いをした。

『(笑)ごめんな、それ悩ませたんだよな?』
『そーじゃなくて・・・(笑)一緒にキャンプは無理でも家でなら大丈夫でした?』

『(笑)いいのか?』
『ハルトさんが(笑)いいならですけど』
『サンキュ(笑)行かせて貰う事にするから遊んでくれよ?』

『(笑)了解です。どんな事かは考えて下さいね?』
『・・・分かった(笑)』

微笑んだ彼女の笑みが可愛くて自分まで嬉しくなる・・・ずっと話をしていたいが、目の前に製作中のドレスを見始めた事で黙った。

静かな空間だからか、話をして気分転換できたからか目がドレスを捉え始めた。

その彼女の顔が綺麗だと見惚れるように眺め、ドレスへも視線は向く自分に苦笑いをした。




忙しくしていた事で纏めて休みを取れと出されたハルト・・・トウマから連絡がきて驚いた。

少し前から街で会う事が増え一緒に飲むことも増えていた・・・それより前にタクミと知り合っていた事に驚いた。

常連になっていたトウマ・・・なによりキャンプの話から始まっていた事に笑えた。

自分と近い仲間と知り合っていてライフを知ったのだと聞けば、驚きは笑いに変化していた。

飲んでるから来いと誘われ返事をしてみれば、その居場所に苦笑いだ・・・

少し前にタクミからキャンプに行くと連絡があり羨ましかった事を思い出した。

その時は休めと言われていなかったから楽しめと返事をしたが、その自分まで休みが取れ行く事にした矢先だった。

笑えた・・・トウマの、その居場所に苦笑いしかない・・・遠慮なくと支度を終えたハルトはライフへ向かうのだった。


今はまだ明るい・・・この明るさから始めた飲み会・・・電話の向こうは酔っている声音もあり可笑しかった。

不思議な繋がりだが感謝した・・・酔っているからか電話は切らず、忘れているのか普通に話していた。

その話の中で、コナツも来たぞとタクミと話していたトウマ・・・そこでアイリの名前も出て驚いた。

彼女も休みを取り来ているのだと知れば嬉しくて・・・早くと自分を急かし思わず電話を切ってしまった。

なのに彼女に連絡をしようか悩む自分に苦笑いをする・・・会いたかったからだが、会えるか不安にもなった。

暫く走らせていたが、彼女との会話を思い出し変に緊張していく自分に気づいた。

会いたくて・・・そう思い考えていたが、無意識に彼女の番号に触れていた自分に苦笑いをした。

コール音だけが耳へ滑り込む・・・ドキドキした音が自分の中で激しくなった。

彼女の声に出てくれたと思い話している彼女の声が聞こえていなかった・・・聞こえた自分の名に口を引く。

『ん?・・・あ・・・(笑)ごめん』
少し大きな彼女の声音に気づき苦笑いしかない・・・返事がなかった事で自分の名を何度も呼んでいた。

『(笑)休みが取れてね・・・そっちで(笑)』
『さっき(笑)コナツさんから連絡がきて教えてくれました』

『さっそくだが(笑)』
『(笑)了解です。時間が出来たら連絡くれますか?』
『(笑)迷惑じゃないか?』
『大丈夫ですよ?』

『(笑)良かった』
『たくさん(笑)気分転換しましょー』
『了解(笑)』
『運転中ですよね?』
『(笑)そうだ』

『気を付けて(笑)。連絡も忘れず』
『分かった(笑)』
『では(笑)』
『・・・ん(笑)』
『・・・』

『ん?』
『(笑)先に切らないんだなって思ってたから』
『ん・・・』
『・・・ん?・・・(笑)』

『あ・・・・(笑)ごめんな、久しぶりのキャンプだからか嬉しくて・・・(笑)遊ぶ約束が出来た事も嬉しくなってたから(笑)』
『・・・』

『ん?』
『(笑)嬉しそうな声だったから、本当に久しぶりなんだなーって・・・』

『そうなんだ(笑)、休みはあってもキャンプに来る時間までは作れなかったし(笑)アイリと話せてる事も不思議で』
『何でですか?』
『・・・』

『(笑)物凄く忙しいって事もないので電話に気づいた時なら(笑)でますよ?携帯・・・(笑)近場にあったら』

『(笑)そっか。アイリが本当に構わないなら(笑)電話しても?』
『はい(笑)』

『変に静かだけど(笑)、クロウ達は外で遊んでる?』
『(笑)確かに静かかも。私も外ですけどね(笑)』

『・・・(笑)アイリの声だけがハッキリ聞こえてるんだ・・・
(笑)不思議と自然の音って携帯には入らないんだな・・・』

『・・・ハルトさんからのは(笑)人の声・・・ラジオですか?』
『(笑)そうだ。走らせてるだけの音は眠くなるから(笑)これで気を紛らせてる』

『そうなんですね(笑)・・・これは不思議な感じで(笑)面白いですね』
『そうか(笑)?、でもキャンプ場でならラジオの音も、何もない方が自分的には好きなんだ(笑)』

『風とか(笑)水の音とか?』
『そうだ(笑)生きてる全ての音・・・その音が自分を落ち着かせてく気がしてから(笑)余計に好きになった。
だからアイリが羨ましい(笑)』

『(笑)暮らしてるから?』
『ん・・・(笑)』
『ビックリしたり怖くなる事も(笑)多いですよ?』

『だよな(笑)・・・熊には本当に驚いた・・・でも(笑)』
『・・・でも?』

『(笑)クロウ達の様子の方が気になって・・・熊と犬の会話は成立するのか(笑)後から思い出して考えた事がある』

『えっ・・・』
『・・・(笑)互いに見合ってたろ』
『あー・・・』
確かにと思い出して考えたアイリもいた。

『(笑)吠えたり睨みあったり、唸った時は(笑)帰れとか言ったのか・・・とか』

笑いながらも本当に考えていたような言葉に可笑しくて笑ってしまう・・・吠えて追い返しているとしか自分は思って居なかった。

確かにクロウ達は互いに会話をしているような視線や仕草、鳴き声はあった・・・その状況で強く吠えたり、優しく唸ったりはしていた。

それでも犬笛と同じで「走れ」や「止まれ」と細かく、分かりやすく教えてきた。

笛の決まりはあるのだろうが、よく調べもせず始めた・・・それはクロウ達が分かりやすいように・・・それは自分まで。

数が増え一頭ずつより、一斉に皆へ指示できるよう考えてから始めた。

ハルトの言葉にそうかと驚きはしたが、考えた事もなかった自分だったと思えば苦笑いだ。

なにより想像豊かなハルトからの話は凄いと声を聞き入った・・・彼の想像は楽しくて笑ってしまう。

そんな気もした自分に照れた・・・
『ん?クロウ達が戻ってきたみたいだね(笑)』

そういわれ耳を澄ませば鳴き声が近付いて聞こえてきた・・・待てと言ってるのは誰だと声にするハルトに笑った。

本当にそう聞こえてる気もしたからだ・・・楽しそうな鳴き声は近くなり先に着いたクロウは近場へ居座り自分を見ていた。

次々とクロウ達が集まり始める携帯ごしの音に耳を澄ませながら聞き入る自分に苦笑いをした。

『ごめんなさい(笑)長話は駄目でしたね・・・・運転中だった事、忘れてました』
『(笑)いいや。準備が出来たら連絡する・・・』
『はい(笑)』

切れた音まで聞き入る自分に苦笑いしかない・・・彼女を思いながら車を走らせるハルトだった。












Precious -18

2023-09-25 00:54:13 | Precious



仕事に集中していくハルトを皆で見守る日々に苦笑いだ・・・気を紛らせるよう仕事で時間を埋めていたからだ。

暇な時間が出来るとバイトと警備の仕事を引き受ける・・・それは前の職場の先輩へ話をしていて知った。

その先輩の紹介で警護の仕事を短期でもしていたハルトに慌て引き留める事も増えた。

会いにも行かないが偶然でも姿が見れれば嬉しそうに笑む・・・気になるが悩む自分も好きではない。

だから時間を埋める・・・忙しくなければ考え動けなくなるから・・・昔は直接会いに行っていた。

執着しているのかと思えばたんに寂しかったからなだけだった・・・それを理解して貰えず別れた事もある。

今回は自分から気を紛らせるだけのハルトに驚いた・・・彼女への気持ちさえ声にしない。

迷惑だろうと行かないのだ・・・どうにかメールだけの やり取りはしていたハルトに仲間だけがホッとした。

強引に行かないハルト・・・今まで見た事もないほどに想いを寄せているハルトを知れば変に不安だった。

アイリと繋がらず終われば確実にハルトの方が激しく落ちそうな気がした・・・そう言った仲間の声に確かにと思える皆もいた。

そんな時に偶然にも仕事はなく、皆の手も空いていたある日、マウレアからの依頼が舞い込めば変にホッとしたアサヒ。

すぐに飛び付き考える・・・その間に思い付いた事は実行した・・・足りなさを感じれば誰かの一声で一斉に動いた。


エリンが気づく事に苦笑いだ・・・それでも仕事という声を回してくれるエリンに感謝し自分はハルトへ指示した。

久しぶりに会うのか嬉しそうな笑みで彼女を見つめていた姿が見れた。

暫くしてハルトを探せば、愛しそうな目がまだ外れていなかった・・・クロウが起きていたが吠えられず不思議だと苦笑いをした。

サンが起きたが気にも止めず水を飲んでから庭へ出て行った・・・クロウだけはアイリが眠るベッドへ顔を凭れさせ眺めていた。

アイリを優しく撫で始めたハルト・・・前なら激しく唸り気づけとアイリを眺めるが、今回は撫でさせてやると言いたげに黙りハルトをチラリと見ていた。

そのクロウの姿に苦笑いだ・・・少しだけでもハルトを認め始めた気がしたから。

そう言ったのはトウマだ・・・何故だと愚痴のように溢しコナツと話をしていて知った。

ほんの少しだけ前進していてホッとする自分にも苦笑いだ・・・


『(笑)ご苦労様でした。急な事に対応して頂き感謝します。オールの皆さんには本当に助かりました・・・』

アサヒに笑み皆へ礼を言ったエリン・・・起こすなと静かにアイリの耳を塞ぎエリンを見ていたハルトに気付き呆れて次の声も出なかった。

そんな自分に気付いたエリンが二人へ視線を向け静かに笑い出す・・・だからか皆の視線が集まった。

『お前・・・』
『ハル・・・』
『あーぁ・・・』

それは不味いたろうとハルトへ唸るオールの人達・・・マウレアの人達は驚いて声も出さずに見ていた。

『・・・』『ご・・・ごめん』
何だと目覚めたアイリだった・・・が、自分の耳を塞ぎ誰かを見ていた人に驚いた。

そっと自分の耳を隠していたハルトの手に触れれば慌てるように彼は自分へ謝る・・・それでも外さない手に彼を見返し理由はなんだと眺めた。

ツンと頭をつつくように触れたのはクロウ・・・何だと振り向けばチラリとハルトへ視線を向ける。

慌て手を引っ込めたハルト・・・その間に身をおこしクロウを見つめれば近寄り抱けと膝へ顔を寄せた。

待たせた事で疲れたのかと様子を眺めるアイリに笑うだけの彼女達・・・起きたかと気付いたサンとウィンも走り寄ってきた。

クロウを優しく抱き待たせ撫でると気持ち良さげにアイリへより凭れた事に苦笑いだ。

それからサン達も撫で待ってくれた褒美と おやつをあたえたアイリだった。

満足したのか3頭は庭へ出て行った姿を眺めるアイリ・・・そうだと思い出し振り向いた。

照れた笑み・・・それでも声はなかったが、静かに謝っている声は聞こえた。

『・・・なんで・・・』
『勝手に触ったから・・・』
『・・・耳?それは』

『起きると思った・・・からだ。終わったとエリンさんが皆へ声をかけていたが(笑)大きな声だったんだ』

『だから起こさないように?』
『・・・(笑)ごめん』
『・・・いいえ(笑)』

そんな理由だったのかと笑み返したアイリだった・・・そうかと今度はエリンを探せばアサヒと楽し気に話をしていた。

『・・・これは(笑)、今日は休むのかな・・・(笑)』

庭から入ってきたコナツ・・・皆の様子を眺めながら声にする・・・そうなのかと期待する皆へ優しくエリンが微笑んだ。

『(笑)あー・・・』
『頑張ろうー(笑)』
『(笑)交代で休もうねー』

直ぐに気付き唸るように見返したアキとコナツだった・・・そしてソウは皆へ連絡だと話していく。

徹夜組へ声をかけていくソウに苦笑いをするのだった・・・


他のスタッフへまで声をかけていくソウに苦笑いをしながらも、了解とそれぞれに出ていく。

何だと様子を見ていれば交代で身綺麗にしてこいと皆を出すのだと知った・・・何より店を開けるのだと気付いた。


朝一に客を出した・・・それで終わりと思っていたが出勤してきたスタッフもいた。

事情は知るのだろう、それぞれ変わりにと予定を確認しては自分の仕事を探し向かった。

当番する場所はあるのだろう、徹夜組のスタッフと相談して今日の予定を決めていた。

『(笑)凄いな』
『・・・(笑)ハプニングはつきものだしね。本当にありがとう(笑)』
『飯は?』

『(笑)時間ごと交代で するけど?』
『この人数で?』

アサヒに言われ頷くエリン・・・打ち合わせとソウがエリンへ声にする・・・自分へ謝りながらアキまで報告のように指示をあおった。

『ごめんなさい。この部屋なら客は入らないわ。だけどアイリが始めたら出てくれる?』
『・・・』

仕事だというエリンの呟きに笑み頷けば静かに謝り作業場から出て行った・・・

そのドアのすき間から聞こえた会話・・・客が来はじめた事を知った。

コナツが控え室にと案内されれば、大量の軽食が準備されていて他のスタッフの子達も食べていた。

どーぞと席を直ぐに譲る人へ苦笑いする・・・ここはマウレアだからと先に食べて欲しくて促す。

その子達もまた謝りながら食べては出て行った事に驚いた。

イツキが自分達用にと珈琲等、買い物へ出ていた事に苦笑いする・・・確かにと笑うアサヒもいた。

これは徹夜した子達以外でも食べれるよう準備されていたはずだと言うハルトの呟きで買い出しに出たのだと。

買って戻り控え室を借りる話をしに行けば、自分達用もあるのにとエリンに言われたのだと聞いた。

礼を言いたかったが既に仕事と始めている彼女達・・・まずはメールで謝り場所を借りると改めて連絡をした。

手があいたのだろうエリンが来れば逆に謝られ苦笑いだ。

『頭が回らずで(笑)・・・本当にごめんなさい、早く言えば買わずにすんだわ』
『(笑)いいや。ほら』

大丈夫だとエリンへ珈琲を渡したアサヒ・・・笑みで皆へ少し休んでから帰るよう声にし戻っていった。


作業場へ戻れば、乱雑にあったモノが綺麗な状態になっていて驚いた・・・普段から使うスペースなのだろうと眺めた。

あったはずのベッドさえない・・・ふと思い出し庭を眺めればクロウ達がいなかった。

トウマが連れ帰ったのだろうが、それはアイリまでかと残念で・・・話をしたかった自分に気付けば苦笑いだ。

ふと触れてしまった自分に驚いたが、へんに照れ・・・バレたが近くで彼女を見れた事の方が嬉しかった。

こんな自分に苦笑いしかない・・・嫌われなかった事だけを祈るしかない。


長い作業台の上に生地はあり、次の作品の為かと眺めた・・・誰もいない空間・・・ここで過ごすアイリの姿を想像する。

『ハルトさん?』
『・・・』
ふいに声をかけられた事に驚き振り向けば、やはりアイリの声だったと笑み返した。

『クロウ達が居なかったから(笑)帰ったかと思った・・・』
『(笑)トウマ君が連れてってくれました』
『素直に帰るんだね・・・(笑)』

『今回は(笑)、なぜかクロウまで帰って驚いてます(笑)』
『・・・へぇ』
『(笑)ハルトさんは?仕事・・・』

『(笑)あるようで、ないって言える職業なんだ・・・』
『あれ?確か・・・忙しくしてるとか聞いてましたよ?』
『・・・』

それは誰からと驚き見返したハルトに笑み返すアイリだった。

『・・・(笑)ハルトさん』
『ん?』
『(笑)時間・・・これからの予定とか(笑)ありました?』

『な・・・なんで』
『(笑)ちょっと、少しだけ・・・』
『・・・ん?』
それは何だとアイリを見返したハルト。

『ウィンドウに置くドレスの隣に男性用のスーツを置くつもりなんですけど(笑)、ちょっとモデルを頼んでも・・・いいですか?』

『・・・俺でい?』
『(笑)頼んでも?』
『いい(笑)、俺でよければ』
『(笑)ありがとうございます。サイズを図らせて下さい・・・・』

『・・・』
『(笑)必要なんです・・・』
『おっけ(笑)。どこ・・・ここで?』

はいと笑み返したアイリはメジャーを手にしハルトに立って貰いサイズを図ってはメモしていった。

『・・・(笑)見学しててもいいか?邪魔にならないか?』
『あー・・・(笑)大丈夫です。でも集中したら会話も・・・』
『いい(笑)』

小さく謝りメモを取る・・・顔も近くなれば照れてしまうが気にしない彼女の真剣な目を見惚れるよう見つめてしまった。

目が合えば互いに照れる・・・次だと笑む彼女に苦笑いをした・・・出来たと笑み返した彼女・・・邪魔にならない場所はソコだと指差した。

謝れば気にするなと笑み返す・・・それでも少しずつ集中していく彼女を眺めた。

トルソーの高さを調節する彼女・・・それは自分と似た高さになり驚いた・・・

何より自分の写真まで撮り直ぐに印刷した事に驚いた・・・ならばと声にしてみれば恥ずかしいがと照れた笑みで写真を撮らせてくれた。

一人よりはと一緒に撮れた・・・ミスらないようにと思わず連写で撮る・・・最後の方は驚いた顔から照れた笑みになり謝った。

その一枚を見せる・・・自分がいいならと呟く彼女に照れてしまう・・・こう撮れるのだと知った事の方が楽しかったという彼女に苦笑いだ。

会話をしてくれる彼女に嬉しくて・・・そう思う自分が可笑しくて照れてしまう。


ドキン!と自分の中で響き出す・・・親友達が笑いながら自分を観察している姿が見えたから。

彼女と話せている自分に嬉しくて・・・変に恥ずかしい自分もいた・・・それでも嬉しさが勝ち話をしていた。

そんな自分を見られた恥ずかしさ・・・その音のようで苦笑いをした自分もまた笑えてしまう。

苦笑いをすれば、気付いたアイリが視線を辿る・・・見られている恥ずかしさは同じで照れながらも手は動かしていた。

彼女に謝れば、仮縫いまで時間は必要で出来たら連絡すると言った彼女に笑み返し静かに作業場から出たのだった。

その日から話のつまみとからかわれる自分に苦笑いだ・・・また会えるなと煽る彼ら・・・良かったなと励ます仲間達・・・色んな言葉で緊張する自分に笑った。



彼女からの連絡に緊張する・・・マウレア内が楽しくてとイツキ達まで着いてくる。

笑いながら眺めるアイリだったが、暫くすれば直しと細かな調整をする・・・そこへコナツが来て彼女へ呟きながらスーツを眺めた。

ベルトはないがフィットするサイズに驚いた・・・ベルトは飾りだと呟きながら笑み返すコナツに苦笑いだ。

そうかと見ていれば、手はこうだと動かされ眺める彼女達に緊張してきた・・・

『おっけーでーす(笑)ありがとうございました』
『いや・・・』
『(笑)運動してますか?』
『一応(笑)』

『ですよねー(笑)。やっぱり体型が違う』
『シルエットが違うよね(笑)』
コナツとハルトの会話に交ざるイツキに笑み返した・・・

『ドレスによって(笑)バランスが悪いから・・・さすがアイリ(笑)ぴったりよね!』

『どれと?』
『(笑)ウィンドウに置くドレスです』
『・・・』
『違う?』

『広がるから(笑)ドレスの方が大きく見えちゃって・・・ちょっと(笑)バランスが・・・』
『(笑)ハルが役に立って良かったよ』
『助かりました(笑)』

脱いできたハルトからスーツを受け取るコナツ・・・二人で話している間に、アイリはボードにある計画表のようなモノを眺めては書き込んでいた。


「アイリさーん。2番です」
どこからかの声が作業場に響いた・・・呼ばれたアイリは奥にあるモニターのスイッチをいれた。

「それは何処を?」
「袖に刺繍があったのが良いみたいですけど・・・」
「んー・・・そのドレスのまま?」

聞きながらもドレスを眺めては客の詳細だろうモノを隣の画面へ出して眺めていた。

「刺繍があるドレスが着たくて・・・でも隣のドレスに手は出なくて・・・」

新婦だろう女性の声に考えるアイリだった・・・担当の子が似たドレスで刺繍があるモノを出してくる。

手が空いているのだろうスタッフまで揃えていた・・・後から刺繍をする手間は日数も必要で金額もプラスされる。

それを話しては悩む新婦を眺めるアイリだった・・・その新婦が言ったドレスは一着しかない事を思い出した・・・

滅多に刺繍を入れていなかった事に苦笑いだ・・・それでもマウレアのルールはあり他の客へも失礼になる事は避けたかった。

それぞれに特別だが、勝手に自分からはサービスだと言葉に出来なかった。

何より生地ではなくデザインという刺繍の部分・・・それをメインにと数を増やしていなかった。

「んー・・・袖だけでも日数は必要で・・・似た感じの刺繍は細かいので経費は余計に・・・」
「間に合いませんよね・・・」

「ごめんなさい・・・
生地は違いますけど下の・・・もうない?」
「無かったです。これ・・・」

希望している刺繍のあるドレスは数点あったが、気に入ったのがソレなのだろうと眺めていた。

「ごめんなさい・・・少し考えます」
「了解です(笑)」
プチっと音声が切れた・・・

『詰まってるしねー・・・』
『ミソノさんは?』
『無理よ(笑)、二つ持ってたもん』
『あー・・・』

『(笑)アイリはずっと徹夜してくの?帰れなくなるよ?』
『それはいいけど』

『倒れます(笑)。全て叶えたら、相応に頑張って出した新婦様は?
新規のドレスの締め切りが危なくなるのよ?』
『・・・だった・・・』

式に間に合わなければ客はドレスを着れない・・・それは、どーするのだと言ったコナツに苦笑いをしたアイリだった。

『刺繍ねぇ・・・』
『向こうは稼働してたよね?』
『増やしてはいるけど・・・似た感じで揃える?』

『(笑)だね・・・』
『了解(笑)。ならコレ終わったら繋ぐよ?』
『(笑)お願いします』

『おっけ。(笑)新規は何処?』
『裁断してから持ち込む予定でーす』

次だと始めるアイリに苦笑いだ・・・ならばと、ハルトとイツキを作業場から出し 礼をしたコナツは彼らを見送ったのだった。


謝られながらも出される自分達が可笑しくて・・・笑いながら彼女へ謝った。

邪魔になるのかもしれないと素直に出るハルトに苦笑いをした・・・嫌われないよう謝る姿に静かに笑う。

最後にモデルをしてくれた礼は今度と呟いたコナツの声に反応したハルトも可笑しかった・・・こいつはと肩を抱きイツキは帰るぞとハルトを促したのだった。






Precious -17

2023-09-22 01:37:02 | Precious



役員室の階・・・散歩だとアイリは廊下を出歩く・・・一面硝子張りの窓から眺める事も好きになった。

前は嫌そうで来る事も拒否していた・・・トウマがいた頃から来るようになり、誘っても来るようになった。

連なる役員室の前に秘書達が待機している部屋があるが、そこへアイリが出向く事もない。

無闇に出歩く秘書もいない・・・クロウ達が来れば尚更だが怖くて通路へ出れないのだ。

だからアイリは社員の近くにだけは行かせもしない・・・なによりクロウも行かない・・・

社員が役員へ用があり廊下から出れば気づいたアイリはクロウを会長室へ戻す。

気付きも早いアイリだった・・・時に役員の代わりにアイリが対処する事もあった。

その迷いは秘書が決める・・・それはアイリの方が決定も早いからだと知った会長から許可は貰っていた。

大丈夫そうだと頷けばサインだけを貰い受ける・・・その階の役員達は書類を細かく読む事もなかったから。

アイリが悩めば会長室へ自分で運ぶ・・・その会長秘書はクロウ達に慣れたのか、そのクロウ達も余計な事はしないと騒ぐ事もない。

クロウは覚えたのか大丈夫な人達だと認識したように気にも止めなかった。

なにより唸りもなくなった・・・それはアイリに危害を加える人達ではないと覚えたから。

恐らくという推測をするアイリ・・・へぇと笑うトウマと会長達だった。


帰ってもいいかと会長室を覗けば忙しそうで声をかけるべきか迷った・・・

秘書の方が気付き自分の方へ来ようとしたのを止め、帰ると謝り静かに自分の荷物を持って出た。


『乗りますか?』
エレベーターの前で考えていたアイリへ声をかける人・・・振り向けばボタンを押すかと手を伸ばしながら来て苦笑いをした。

『ごめんなさい(笑)、この時間は動きも増えてるので・・・
あ、押さなくて大丈夫です(笑)』

『降りられませんよ?』
『ね(笑)・・・』
押そうとした手を止め苦笑いをしたアイリだった・・・

クロウを眺めれば自分を見ていて苦笑いだ。
『クロウ(笑)、階段・・・い?』

アイリの呟きに驚いた人がクロウを眺め始めた。

伏せて待たせていたが階段と言ったアイリの言葉でスッと立ち上がり待つように見返した。

『だ、大丈夫ですか?呼ぶので乗って行かれて・・・は・・・』
『大丈夫です(笑)。遊びながら帰りますから』

そう言いながら鞄から運動靴を取り履き替えた姿に戸惑い秘書室を眺め誰かへ目配せた事に苦笑いだ。

軽く体をほぐすアイリ・・・クロウまでが行くぞと彷徨き始めれば驚いた人が慌てるように秘書室へ戻った。

鞄を背負う・・・身へ張り付けクロウに微笑んだアイリ・・・非常口のドアを開ければクロウは嬉しそうに階段を降り始めた。


楽しそうに非常階段へ向かう人に驚いた・・・会長の孫だと聞き飼っている犬も居たと聞けば余計に驚いた。

帰るという彼女が見えたがエレベーター前で考え始めた・・・今はまだ乗らないのかボタンさえ押していない。

飼い犬の種は何だと見たくて声をかけた・・・大型犬だったが静かに彼女を見て待っている姿に賢いのだと笑みも浮かぶ。

遊びながら階段を降りると聞けば驚いた・・・会長の孫・・・社のV.I.P.なのに気を使う人だと。

二十数階もある・・・急な作りでもないし他社より広さは十分にあるが滅多に使う人はいない。

踊り場がある階は非常ドアのような扉はない・・・それでも結構な時間は要するはずだ。

同僚に言ってみれば会長と一緒に乗る以外、殆んどは階段を使うと聞き凄い人だと驚いた。


ある程度 降り休憩と休ませ水分補給をさせ自分も飲んだ・・・いつもの踊り場に人影があり不味いとクロウを眺めた。

遅かった事に苦笑いだ・・・社員の誰かの驚いた声・・・誰かの叫びが響いた。

『すみません!』
慌てるように叫び返せば、走り去る足音だけ・・・苦笑いだがクロウを追いかけるように階段を降りていった。

その踊り場で驚いた顔の人へ謝りながら通り過ぎるアイリ・・・クロウの名を呼べば楽しいのか、ひと声吠えて数階下で待っていた。

サンキュと笑み返せば先に行くぞと降りていくクロウに苦笑いだ・・・山とは違い床は硬い・・・本当に大丈夫かは今は分からなかった。

それでもサン達よりクロウは慣れている・・・クロウのペースなのだろうと後を追いかけた。

ようやく終わりをつげ・・・待っていたクロウの頭を撫でる・・・一階の階段口の扉は解放されていた・・・。


大型犬だけに驚いた人達が身構えクロウを眺めていた・・・そこへ自分も来た事で余計に視線は集まってしまった。

『・・・アイリさん?』
名を呼ばれ誰だと辺りを眺めれば、従姉妹のマリだった・・・

誰かを知り手だけで挨拶をしたアイリにムッとした顔で見返す・・・そのマリは人目を気にするタイプで面倒だった。

その妹と彼女達の母親は煩い人でもありアイリには避けたい人達でもあった・・・

だからかクロウが自分の前に控え始め苦笑いだ・・・不穏も察知するようで怒りを露にし威嚇する。

歩きを止め何かを言いたげな顔にアイリは口を引く・・・ボトルの水を飲みながらクロウを眺めた。

警備係へ目配せたマリだが、アイリを知る人達でもあり軽く会釈するだけでマリへ謝っていた・・・

『アイリさんだけ贔屓されてる?』
『(笑)いいえ。この子が暴れない理由でもあるから来ないだけよ』
『・・・』

マリは自分より年上だが、理由をあら探しして要らぬ噂もそのまま声にし場を荒らす人だった。

そして勝手な物言いで執拗に話し続け声で攻撃する・・・それでも彼女は自分の名前にさんを付ければ気にもしない変わった人でもある。

マリがアイリに近づこうとすればクロウが唸る・・・強引に来ようとした姿にアイリは苦笑いをしながら来るなと手を伸ばし掌をみせた。

『なんで、来るな!よ・・・』
『(笑)動物の言葉は知らないわ。だけどマリさんへ飛び付きそうだから止めただけよ』

『・・・早く帰り』
『(笑)帰ります。気にせず通り過ぎてくれたら吠えられないのに(笑)』
『・・・』

確かにと思えたのだろうクロウを暫く眺めていたが自分を睨みながらも離れてくれた事にホッとした。

何より社員達の目が余計に集まったから静かな物言いですんでいると思えた。

クロウは念には念をと言いたげに姿が見えなくなるまで視線で追っていた。

マリが振り向く・・・まだ足りない言葉を探すような目に苦笑いしかない・・・

クロウを眺めていたが我慢は出来なかったのだろう自分の名をまた言いながら戻ってくる。

激しく唸り身構えるクロウ・・・マリへ恒例の如く吠え数歩ほど前へ歩いた・・・焦り慌てながらマリは走り去った。


苛立ち吠えたクロウの声に驚いた人達に謝るアイリ・・・その声は小さかったが、しんと静まるロビーでは皆へ聞こえているようで響いたのだと思えば苦笑いをした。

『・・・アイリさま・・・大丈夫でしたか?』
声をかけてきた人は会長の第一秘書だった・・・事情を説明すれば既に聞いたから来たのだと知り謝った。

何よりマリが会長へ連絡をしていた事で余計に心配した会長から指示されたようだった。

受付の女性がホッとして自分を見ていた事にも苦笑いだ・・・それでも自分を知る一人・・・警備係の人もだが、その対応に感謝だ。

だから会長秘書へも助かったのだと伝えて貰う事にした・・・クロウが座り自分達を眺める・・・

『(笑)迎えが来たようですね・・・』
秘書の呟き・・・その視線を辿れば社屋前の通りに大型の車が停まったようだった。

『(笑)トウマ君を呼んでくれたんですね。すみません、ありがとうございました』
『お気をつけて(笑)』

互いに会釈する・・・外まで来ようとした人を止めアイリはクロウを促し社屋を出たのだった。


後部ドアを開けて待つトウマ・・・サンとウィンがゆっくりと顔をだし自分達を出迎えるように待っていた。

嬉しそうに走るクロウ・・・それでもアイリとの距離は離れない・・・待てず走り出すウィンに吠えたサンもいて笑うトウマだった。

社屋の前で大型犬が遊ぶように走り回る・・・頻繁にも車の出入りはないから出来る事だ。

驚きながら眺める社員だろう人達の視線に苦笑いだ・・・車に乗れとアイリが促すと踵を返した3頭が素早く乗り込んだのだった。



向かった先はマウレアだ・・・コナツの迎えだとトウマが呟きながら車を走らせていた。

いつもの場所ではなく店先へ停めるトウマ・・・直ぐに出るとコナツと連絡をしていた。

明日まで休むつもりだったアイリは車内で待ったが・・・驚きながらも自分を見返してはコナツだろう彼女と電話をしているトウマだった。

『クロウ達も?』
『あ?だけど今は・・・』
慌てるように話しては聞き入り、今の自分達の事を話しては黙る・・・その理由は何だと眺めるアイリもいた。

何かが起きていると知るが3頭を連れ入るのも気が引ける・・・それでもと諦めたアイリが車から降りれば案の定、クロウ達が騒ぎだした。

連れていけと言うのだろう動きは車を揺らす・・・笑いながらもトウマがドアをあけた。

『何があったって?』
『・・・明日のドレスに問題が起きたとさ(笑)。
も1つも直しで(笑)コナツの手が外れないからアイリに助けて欲しいらしい』

『・・・』
『クロウだけとは(笑)いかないぞ?サンも来たがったから連れてきたんだし』

今はと笑うトウマだった・・・確かに遊びたそうな顔は分かったが、どのくらいの時間が必要かも分からない。

迷ったがトウマへクロウ達の餌を頼む事にしたアイリは連れだって店内へと向かった。

入れば、その人の多さに驚いた・・・なのに客達の方が騒ぎだした事にアイリが驚いた。

気づいたスタッフの子がクロウ達へ指を差し苦笑いだ・・・リードをしていない3頭の大型犬が入ってきたのだから。

それは驚くだろうなと苦笑いだが、いつもの専用通路へ向かうアイリ・・・大人しくアイリの後を追うクロウ達だった。

姿が見えなくなればホッとする客達に謝り次へと促すスタッフに感謝して庭へクロウ達を行かせた。

遊び回る子達に笑み、水を汲む・・・自由にと眺め作業室へ入り込んだ。


『ごめんねー(笑)』
ドアを開けて入ってきたコナツの声に笑み返したアイリだった。

『緊急?』
『時間がねー(笑)』
『いったい何があったの?』

『明日の挙式に使うドレスを確認してたらしいんだけど(笑)、向こうのスタッフが引っ掻けちゃったみたい』
『破れたとか?』

『激しくはなかったけど(笑)、それにしても管理ミスだよね・・・』
『新婦は・・・ドレスは向こうのスタッフがココに持ち込んだの?』

『そりゃそーよ(笑)。泣き崩れて今も大変・・・』
『落ち着いた?』

『なんとかね・・・
だけど似たドレスはなくてさ・・・時間も必要な直しで数人でしてたんだけどね(笑)』

『直しもあるって聞いたよ?』
『そっちは何とかなって(笑)、あと少しだと思う』
『大丈夫で良かった(笑)』

『ん(笑)。
それより明日の(笑)・・・デザインを思い出してくれる?今は跡が残ってる所につけ直してるんだけどね・・・
レースのバランスが微妙で・・・(笑)激しく困ってたの』

『それ・・・』
『ん・・・似た感じで始めたドレスだった(笑)・・・もー・・・違うのにとも言えないし・・・』
『始めよ(笑)』

『ここに持ち込んでいい?』
『(笑)ここに無いから終わったのかと思ったの・・・』

『向こうの部屋でしてたの。何か今日は客が多くて変なの(笑)』
『(笑)変って?』

『数組みずつ交代で入れ替わって来てる感じなのよ・・・(笑)仕組まれてる?』
『(笑)そう言いたいわけだ・・・』

そうだと笑うコナツは誰かへ連絡をいれながらも、ココで始める準備をするのだった。


円形の作業場を作る・・・その真ん中は高く、そこへドレスを置いて眺められる作りだ。

一歩ほど下がれる幅にまた円形の台はあり、それはドレスが見やすくチェックする為にあった。

そこへセットするコナツ・・・スタッフが飾りの入ったケースを持ち込み床へ置いた。

その間に新婦の情報を見やすく準備するアイリもいた。

Aラインのドレスの裾には上から下へ流れるような刺繍もありレースもついているが、そのレースの中にはパールが散りばめられている。

裾近くのレースとパールが引きちぎられていたようになかった・・・ドレスから少し離れ眺めるアイリ。

取れている部分が分かるよう広げてはピンをさし、また離れてはジッと見つめ考える。

直しだが新たなデザインを考え始めた気がすれば苦笑いだ・・・これは徹夜かと思えたから。

この客のデータを眺め二人で悩み、好みはと思い出しては呟くスタッフもいた。

ピンで止めバランスを見る・・・
『これはレースで?』
『そ・・・赤はレース、青はパールだけど』

『了解(笑)・・・』
『下を隠すから(笑)多めで』
『そっか(笑)確かにね・・・跳ね防止でパールがいいかな・・・繋がるように(笑)』
『だね(笑)』

そうしようと笑む二人・・・その言葉で材料を集めるスタッフ・・・始めようと互いに笑むのだった。



暫くしてクロウ達が気になり眺めれば、いつもの餌の時間だとトウマが食べさせていた姿にホッとした。

また少しだけ遊び回る・・・それから部屋へ行き寝るのだが、そこから先はアイリしか いうことはきかない。

そしてトウマまでが泊まる気でいた事に苦笑いだ・・・どーぞと言ったがクロウ達が寝る場所に誰も入れない。

取りあえず謝り世話を頼むと作業室へ戻るのだった。



作業場から庭へ出れるが、その出入り口にはクロウ達用にマットが敷かれている。

そこで昼寝もする・・・少し前にアイリはクロウ達用にマットを敷き、休める場所を二ヵ所にして寝れるようにした。

だからか今はそこで3頭は眠りへついていた・・・そういう時は、トウマがアイリとクロウ達が眠る部屋で寝てしまう。

姿が見えない事で部屋で寝ているのだろうと思えば、いつの間にか様子見に行っていたコナツもいた。

自分へ謝る事に苦笑いだ・・・それはトウマのせいで部屋で寝れなくなると思うからだ。

気にしないでと言っても声にするコナツに笑うアイリだった・・・


疲れたのだろうスタッフは既に、その場でそれぞれに寝落ちしていた・・・外側のサークルに凭れ眠っている人も。

暫くすればコナツもまた転た寝のようにみえ彼女の手から針を取り寝ていいと囁けば謝りながら深い眠りへ吸い込まれていった。


出来た事にホッとしたが、最後のチェックと片付ける・・・定位置の道具の確認もしてから、ドレスへアイロンをし綺麗にしてから眺める。

腕を組み疲れたようなアイリの顔に苦笑いをするエリンがいた・・・何度も声はかけたが手を止め休むのはスタッフだけで苦笑いだ。

時々はコナツも休んだが集中していくアイリだけは手が止まらなかった・・・そして楽し気に眺めては作り上げていくアイリに感心していた。

ようやく出来たのだろう片付けまで自分一人でしたようだ・・・完成したドレスをチェックしながら眺めていた。

間に合った事にホッとした・・・なによりアイリの手助けがあったからなのだと思えた。

向こうの直しはとうに済み客は安心して持って帰った・・・だが、こっちのドレスの方が 当日の完成になる事が不安だった。

見落とし・・・客へ迷惑もかける事は避けたかった・・・何よりドレスに針が残っていれば客の大事な日に怪我をさせてしまう。

チェックした後のアイリは道具箱を閉じる・・・全ての数を確認し片付けてから最後のチェックを始める。

今は その状態で中央に置いたドレスを確認している姿があった・・・アイロンまでしていたのだろう、道具の置き場へ戻されていた。

『(笑)ご苦労様』
『仕上がって良かったです(笑)』
『ありがとう(笑)、クロウ達にも褒美をあげなきゃね・・・』

『(笑)新婦様の支度時間に間に合ったかな・・・』
『十分に(笑)。ついでにココで支度して貰って見送るわ』

『・・・(笑)それで間に合うの?』
『間に合わせる為に(笑)向こうに交渉したの。向こうのミスだしね(笑)リムジン利用で豪華に送り出せそうよ』

『お顔・・・大丈夫かな・・・泣いてたって聞いたけど・・・』
『(笑)何とかね・・・』

『楽しく出来たし(笑)幸せが今日から続けって思った(笑)』
『良かった(笑)、そーなるわ(笑)』
二人で眺めながら話をした。


不意にふらつき苦笑いのアイリに、慌て支えたエリンがいた・・・謝りながらアイリは外側の円台へ寝転び苦笑いのエリンだった。

『(笑)ごめんなさい・・・眠すぎて・・・』
『寝ても大丈夫よ(笑)。後は私がするわ』

『ドレス・・・ダブルチェックもお願いします(笑)』
『了解・・・ありがとね(笑)。おやすみ』
『おやすみなさい・・・』

スーッと寝入り始めたアイリから少しずつ力が抜けていく・・・深い眠りへ落ちていったようだった。



作業場に簡易ベッドが隠されていた事に驚いた・・・それはクロウ達が眠っているマットの隣だった。

出されたベッドへアイリを運べと促され照れながらも彼女を抱き上げ連れていったのはハルトだった。


早朝にアサヒから連絡があり急いで行ってみればイツキ達までが揃って来ていて苦笑いをした。

マウレアからの依頼・・・リムジンを運び店先へ停める・・・専属の運転手は着替えも終わったようで配置についた。

自分への用はなんだと探せば、アイリ専用の作業場に案内されたが・・・数人のスタッフと一緒に寝ていたアイリの姿に驚いた。

ちょうどトウマがコナツを抱き上げ連れて行った・・・アイリはと眺めれば奥にあるベッドへ寝かせろと促され驚いた。

全ての力が抜けているアイリに、どれだけ疲れたのかと驚いた・・・運べばクロウ達がいて戸惑ったが、起きるなと願いながら静かに連れていき寝かせた。

寝顔も可愛いのだと眺めていれば、イツキに見ていたことがばれ苦笑いをした。

そのイツキ達も寝ているスタッフを運んでいる・・・皆の疲れ・・・それは寝ずに仕上げたのだと知った。

総出で駆り出されたのだと知れば苦笑いだ・・・来いと促され行ってみればドレスを着た新婦の笑みがあった。

綺麗だと笑むスタッフ・・・幸せだと笑む人達の顔・・・汚れないようにかスタッフ数人が裾を持ち上げ新婦を歩かせていた。

迎えに来たのだろう人達・・・マウレアのスタッフが説明する・・・そうかと話をしている姿かあった。

深く礼をする人達に笑み返しているマウレア側だった・・・リムジンへ乗せれば新婦は笑みを浮かべ礼を言っていた。

丁寧に見送る・・・列を作り新婦の姿を見ていた・・・その笑む数は多く余計に嬉しそうで、照れた笑みの新婦も綺麗だった。