道の遥か向こうから雪煙のように舞い上がり出した事で何だと覗き見た。
ギュッと守るように自分を抱く人に驚き見上げれば、不安そうな顔は優しい笑みになり自分を安心させるように微笑んだ。
大丈夫と言いたくて、そっと頬へ触れる・・・そうかとより見つめた人に笑み返した。
ホッとしたような笑み・・・自分の気持ちが伝わったのだと笑み返せば、優しい笑みは近付き安心しとけとキスを落とされた。
激しい音は近場で止まった・・・動かず聞き耳をたてるように様子を伺った。
『聞きたい事がある』
「何用でしょう・・・」
『言葉は知らぬか?
王女を探しておる。そなたと共にいた者の容姿が似ておると聞いた』
『顔だけで?』
『話せるのか(笑)。良かった』
『その姿・・・』
『私は王女の弟でもある・・・端の露家で探させていた。さっき知らせを受け参った・・・会わせて貰おう・・・』
『貴方の国の王女は捧げられたと聞く・・・違いましたか?』
『 ・・・』
『そっその下の王女を探しておる!』
みるからに嘘と分かる・・・取り繕う姿に迷う・・・より叫ぶように言った事で護衛の者達が剣を抜き差した音がした。
知る言語と気付き話を聞く・・・会話が始まり、皆も話せる言葉だった事に苦笑いだ。
早く声にしておけば会話で楽しめたのだと・・・出ようか迷った・・・捧げたという言葉が気になったから。
本当にそれが自分なら、誰かが身代わりになっている事になる・・・自分がその瞬間に飛ばされていなかったなら、その誰かを助ければいいのかと思えた自分を誉めた。
包まれた中で、お腹をつつく・・・そっと探りながら静かに自分を見つめる人に微笑んだ。
『あれは私も知る言葉なの・・・』
本当に小さな声で呟いた。
『王女か?』
『それは記憶になくて・・・会ってみる・・・』
『事実だったら?』
『行く(笑)』
『生け贄になるんだぞ?』
『(笑)誰かに身代わりはさせられないから・・・』
『 ・・・』
『(笑)いっぱい、ありがとう(笑)・・・皆にも伝えてくれない?楽しかったって(笑)』
『本当に?』
いいのかと戸惑う人に微笑んだ・・・
『いつか・・・生まれ変わった誰かが会いに来たら(笑)楽しませてくれる?』
『 ・・・』
『(笑)ありがとう・・・サン』
小さく呟き笑み返すと彼のお腹へキスをした・・・
出ようとした自分を押し込め見返す人に微笑んだ・・・悲し気な目に頬へ触れて大丈夫だと笑み返した。
キスを落とした・・・その唇は離れず自分を抱く手が強くなった・・・別れを惜しむような優しい手は忘れるなと温かさを感じた。
そっとサンの隣へ座る・・・
見つけたと驚きながら見返す弟という子を眺めた・・・
『姉さま!』
そう自分を呼んだ事で先の道はと考える・・・
『 ・・・本物だった』
思わず呟いた自分が可笑しくて笑みを浮かべ弟という子を眺め、サンを眺めた。
『生き延びろ・・・』
小さな小さな声で呟き見つめるサンに優しい時間をありがとうと、もう一度礼を言った。
慌て立ち上がるスカイ達に笑み返し彼女もまた礼を言った。
王子が近寄り彼女を下ろす・・・
『今度は逃がす者・・・いませんよ』
ほんの小さな囁きに口を引く・・・ならば言い返そうと声にした。
『必要ないけど、前の人は?』
『仕置きは必要でしょう。(笑)偽物もこれからです』
『それをしたら、貴方に交替と言ってみていい?』
『 ・・・』
押し黙った事で交替は出来るのだと思え・・・ならばと考える・・・
自分を見つめ静かに見送ってくれる人達に笑み返すのだった。
思いの外 近くだった事に笑えた・・・自分の役目はと考える・・・身代わりの子はと知れず探す事も忘れなかった。
日を選ぶのか直ぐに囲われず、助かったとホッとしたが、今の出来ることを優先してみた。
仕置きは何か十分に知れた・・・最近でもないが手当てもされていない姿だった・・・そこから少し奥に誰かの姿が見えた。
今、自分に着せられていたドレスと似たモノを着せられていたが・・・それは仕置きはされていたのだろう所々に傷はあり寝かされていた。
『王女さま・・・なんで・・・もしかして・・・・もしかして・・・・』
『(笑)いいのよ』
『捕まえたら一緒にと生かされておりました・・・』
『どこ・・・で・・・』
『天空橋で・・・
そこまでは大丈夫だったんです・・・強い風が吹いて・・・被せられたモノが飛んでしまって・・・』
『それは落とされるの?』
『連れ出されるそうです・・・来ませんでしたけど・・・
慌てて中止になり戻されて・・・誰と仕組んだと拷問までされ・・・関係者はと探し始めてしまって・・・』
『あの人達ね・・・ごめんなさい・・・』
『いえ!これが役目と自分で決めて来たんです!謝らないで下さいませ・・・・』
『それでも・・・』
取り合えず言った・・・本当の自分でもない・・・
-この子を皆へ届ければ・・・
お伽話は存在してたって事?昔に?-
色んな思いが過っていく・・・それでも自分が助けるべき子なのだと確信した。
そしてその日・・・
行く間に色んな話が呟かれる・・・国の繁栄・・・その名目で生け贄は必要なのだと知れた。
なにかへ捧げる・・・それはドラゴンで・・・完全にお伽話なのだと項垂れる・・・それでも、その中へ自分は飛ばされた・・・同じように助け自分をENDさせ抜け出ればいいと思った。
白っぽいドラゴンなら先は安泰らしいと聞けば可笑しくて笑えた・・・静かに口を引けば隣で身代わりになった子は静かに泣いて謝っていた。
立たされ待たされる・・・・
『白のドラゴンと祈りますね』
『大丈夫(笑)。貴女の名前は?』
『アンジェです』
『(笑)ふっ』
笑えた・・・自分の本当の名前と一緒だったから・・・不思議そうに見返すアンジェに優しく微笑んだ。
『貴女は寒がり?』
『(笑)そうでもありませんよ。ようは慣れですから』
『おっきなサンタが(笑)お腹を空かせてるの。(笑)料理は得意?』
『出来ます(笑)。体が大きいなら沢山(笑)必要でしょうね』
『そうよ(笑)、アンジェ・・・そこで幸せに暮らして(笑)』
『王女さま・・・』
『優しい人達だらけで(笑)物凄く幸せだったの・・・だから、これからは貴女が一緒に幸せって叫んで(笑)』
『 ・・・』
『(笑)ドラゴンに頼んでみる・・・』
『人の言葉を知るんですか?』
『(笑)たぶんね。 アンジェ・・・・』
『はい・・・』
『(笑)私の本当の名前もアンジェなの』
『 ・・・』
『皆と(笑)楽しく暮らしてね。アンジェは私というアンジェと一緒に(笑)ずっと・・・楽しく・・・頼んでもい?』
『・・・ ・・・王女さ・・・ま・・・』
『それが私の夢(笑)そんな気もする』
『・・・ ・・・はい』
わかったと真剣に呟くアンジェに笑み返し空を眺めた。
優雅に舞う・・・本当にドラゴンに見えた事で可笑しくて笑えた・・・それも自分が絵本やアニメで見たドラゴン・・・CGかと想像もし本当に笑えた。
その生け贄のはずが捕まれ連れ出されれば・・・・優しく包むように自分達を運ぶ事に苦笑いだった。
『ドラゴン(笑)。お願いがあるの!この子を皆の所へ運んで!
あの雪が舞う場所に!皆が待ってる場所に!(笑)お願い!』
大きく叫んでみる・・・それは了解したのか激しく揺れていた自分達は優しい揺れに代わり出した事にアンジェが驚いた・・・片足ずつに掴み直した事で了解したのだとアンジェに笑み返した。
『王女さま!』
『アンジェ(笑)、貴女は私の代わり!だから笑って(笑)』
叫び返した姿に驚いた・・・雪が舞い始める・・・ドラゴンの回りは冷たく降る雪はなかった。
急降下したかと思えば、自分達にまで熱さが分かるほどに下へと火を吹いた・・・。
眺めれば山の麓へまで道が作られている・・・それは滑り台のようで可笑しかった。
『(笑)アンジェ・・・サンやスカイ達に会ったら(笑)身代わりって言われたと声にして(笑)アンジェ・・・幸せに』
驚いたままに頷いた姿を見つめれば、アンジェが優しく落とされた・・・・落とされたのに、その場所は激しく滑り出し・・・楽しいというよりは怖そうだと苦笑いしかない。
何処かで叫ぶ声が響く事に驚いた・・・山に響く悲鳴・・・見合わせた皆で戻れたのかと慌て外から飛び出した。
より響く場所に走る・・・
皆が大きいからかアンジェにかけよる姿が見えホッとした・・・
『ありがとう(笑)』
そう叫んだ途端に勢いよく空を舞った・・・その加速について行けず気は遠退いた・・・・。
甘い香りに苦笑いしかない・・・
さんざん、あの場所で甘い匂いは嗅いできた・・・
一際大きな荷台は絶対にチョコレートだと知れた・・・僅かに身へ匂いを残して帰ってくる人達で知った。
暫くは好きで食べてきたのだと想像していた・・・なのに運ぶ・・・作っているのだと知った。
その香りが強くなる頃には、既になれ甘ったるい香りも平気になった・・・
サンタの国だと思っていたが、お菓子を作る国でもあったのだと思え笑えた。
何より彼らが作るモノと同じ匂いがするチョコや菓子は自分が戻された城に大量にあったから。
あそこで食べた事はなかったが・・・それが口に出来た事が嬉しかった。
だから頑張って探せもし、彼女を生きて連れ出せたのだとも勝手に想像し思えた。
一瞬・・・戻った場所は山小屋だったかと錯覚した・・・その匂いだけでだ・・・
目を開ければ、自分の目の前にはホットチョコがカップにはいり出されていた。
バレンタインは関係ないと言った友達と、イベントに理由をつけて飲みに来た。
『(笑)これが話題のカフェか・・・』
誰かの呟き・・・甘いけど旨いと呟く誰か・・・
こんな場所だったから、お伽話に飛ばされたのだと勝手な理由を作ってみた。
飛ばされた訳でもなく、自分の想像した夢・・・想像豊かだった自分に笑うしかない。
『(笑)味はどう?』
不意に店員に聞かれ振り向けば、パティシエみたいな身形の人が笑みを浮かべていた。
『サン?』
『ん?何で知る?』
『 ・・・』
似ていた事で思わず呟けば、本当に同じ名前だった事に笑えた・・・
新たな疑問は増える・・・よく考えれば回りと似た偶然は重なっていた。
今は香りと名前・・・
考えてもきりはないが、面倒さは本当に諦めるしかないと腹を括るしかないと思えた。
その笑みが自分の友達とも重なっていく・・・・同じ優しい笑みだと、不思議と懐かしくなるのだった。
『(笑)アンジェ?』
『・・・ ・・・(笑)』
とつぜん呼ばれた自分の名・・・フッと思い出し驚いたが、呼ばれた声音も同じかと笑みを浮かべただけだった。
-end-
※
お付き合い下さり、ありがとうございました。
とはいえ、バレンタインに出せてないはず(笑)。
なぜなら未だ携帯を新調してないから。
2号館は 全然 関係ない季節に、出した事になってるかな。
バレンタイン用のお話でした。
これは、いつかの話の 中の一つ。
どれかは暇な時間が出来たら探してみて下され(笑)。
< あ、まだ出してません >
新しい携帯を手にしてからなので・・・2020・1末の現在・・・身動き取れずです・・・
ありがとうございました-tami-
※2
放置すること一年。ま、バレンタイン話だったので(笑)
でも年代は入れて出そうと思いコレで運ぶ事に。
お付き合い下さり感謝です。-tami-