tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

Precious -13

2023-09-15 23:39:27 | Precious



マウレアが世間に馴染み始めホッとしたエリン・・・直ぐに気持ちを切り替えスタッフへも声にしていく。

客へ馴染めば改めてマウレアはと説明しなくても大丈夫な状況になりホッとした。

それでも完全に軌道に乗らなければマウレアは存続しない・・・緩めた糸は自分がしっかり握り締めていなければ飛んでいってしまう。

これから先ヘ続くよう気を引き締めるエリンだった。



『エリン?どうしたの?』
『マウレアの今の流れが止まらないようにって・・・(笑)考えてた』
『なら、新作は回さなくてい?』

『アキ?』
『契約書には載せてないし(笑)大丈夫よね?』
『・・・』

今度はソウが呟く。
『ALLにさ(笑)弁護士さんいたよね?ちょっと相談してきてもい?』
『・・・いい。でも』

『(笑)レンタルとして出してるドレスは戻さない。だけど次のマウレアドレスは出さない事にしない?』

『・・・ずっと売るって契約はしてないけど?』
『相互の考えが食い違ってたら?』

『もしかして打診されてる?新作はって?』
『スタッフの一人からね。そう理解されてるなら早めの対策はしておかないと』

『(笑)気付きが早くて助かった』
『ん(笑)、じゃ明日にでも』
『私も一緒に行く?』
『(笑)頼んだ』

『二人に頼んだわ。それから、連絡してアポ取ってから行ってね(笑)向こうの予定があるかもしれないし』

『(笑)了解』
そうするとアキが笑み準備を始めたのだった。


コナツとの打ち合わせ・・・ドレスの進行状況までを確認していくエリンもいた。

手が空きだした事でアイリは次へと考え始めた事は知った・・・それはシズカの呟きから始まった。

考えるのも楽しそうで、アイリは作業室と庭を何度も往復してはドレス生地を眺めた。

今回はサンとクロウの2頭だけ連れて来ていた・・・この2頭は庭を縦横無尽に走り回る事もない。

今は運動場のように遊べる器具は楽しめている・・・トウマが考え造ったのだが教える間に遊び場になっていた。

少しずつ使い方を教えれば競技のように動き回るサン・・・クロウは試しのように一周したが、今は気持ち次第で遊んでいた。

アイリと遊ぶ時間を持つより、それぞれに思ってはいるが互いの時間だと過ごしていた。


時々だが、フッとクロウと目があう・・・次はサンが自分を見つめ暫くすれば2頭が揃って見ていた。

2頭の視線は気付く・・・そこでドレスへの考えは止まる・・・一瞬だがアイデアは過るのに進まなかった。

仕事が煮詰まるとはコレかと苦笑いだ・・・そして自分は庭へ出てもいなかった事に気付いた。

フッとクロウとサンの隣へ座り作業場を眺めていた・・・暫くして離れるはずがサンまで離れない。

『(笑)戻ろう!』
そう2頭へ呟けば理解したのか、抱けといいたいのかクロウが身を寄せた。

可愛いと改めて思ったアイリはギュッと抱き締めサンを眺めた。

不思議とサンが笑っていた気もして苦笑いだ・・・気分転換は必要で、少し離れろと言われた気もした。

置き手紙を残したアイリ・・・2頭を連れ表へ出れば既に夕方だった・・・車かと少し離れた駐車場へ向かう。

先月にトウマが車を準備してくれていた・・・理由はクロウ達の為だった・・・怪我や病気と急を要する事もあるかと。

殆んどないがクロウ達には住みかでもないここは慣れない場所で、2頭は我慢して過ごしているかもしれない。

そのストレスも解消はしない・・・それが気になるとトウマは直ぐに戻れるよう置いてくれたのだ。

それが今、使える事にホッとした自分がいた・・・


形ばかりのリードだが我慢したような顔に謝り駐車場へ急ぐ・・・途中で水を確保しようと思ったが、店内へ入るにもクロウ達はと考えてしまう。

まずは車へ乗せようと駐車場へ向かった・・・道行く人が驚く姿に苦笑いだ。

大型犬が近場を通り過ぎていく事に恐怖を覚えるのだろう・・・子供連れの人は子を庇う。

子供は驚きながらもジッと眺めるがクロウ達は何だと視線を向けながら歩く・・・近付くと、その大きさに驚き立ち止まる。

小さな犬を散歩させていた人は慌てるように抱き上げ端へ寄る・・・気にもせずクロウとサンは視線さえ向けずに自分の後ろを歩いた。

その様子で、この子達には住みにくいのだろうと改めて思うアイリだった・・・


車に乗せれば自分の方がホッとしてしまった・・・謝りながらも運転席へ座るアイリ。

コンビニへ寄り水を求め直ぐに車内だが2頭へ飲ませた・・・その間に休めそうな場所を地図で探す。

そこへ向かい2頭を車からだし持ってきていた餌を食べさせるアイリだった。

夜という時間が近いからかドッグランに他の犬が利用していなかった事は変にホッとした。

暫く遊ばせてから帰ろうと2頭を離した・・・この場所の柵が低くて苦笑いをする。

これは簡単に飛び越えるなと思う間にクロウが柵を飛び越え自分を眺め始めた。

どこかで静かに唸る声・・・その驚いた叫びは自分達へかと笛を使い柵の中へ戻した。

クロウがサンを追いかける・・・じゃれあう2頭を笑いながら眺めるアイリだった。


不安そうな人がドッグランを眺めていた・・・迷ったような顔にも見え苦笑いだ。

腕に抱いた子犬を入れても大丈夫か不安そうな顔・・・その人を見返すアイリだった。

『あの・・・』
『(笑)すみません。もう帰りますから』
『ご、ごめんなさい』
『いえ(笑)、こちらこそ』

『大きいので驚いてしまって』
『・・・(笑)気にせず』
『・・・ありがとう(笑)』
笑み返したアイリは2頭を眺め名を呼んだ。

『サン!・・・クロウ(笑)』
走り回っていた2頭が振り向いたが・・・帰ると気づいたのか勢い良く走り出し・・・止まる事なく柵を飛び越えた。

驚いて身構えた人へ会釈したアイリは行こうと2頭を眺める・・・アイリが歩きだした後ろを のんびりと歩く姿になった。

子犬が気になったのか2頭が振り向き出した・・・
『リードしたい?』

アイリの呟きに見返した2頭は彼女へ駆け寄った事に、視線も外さず驚いた顔で眺めていた人に謝るアイリだった。


気分転換になったのか車の中でも落ち着き静かに寝始める2頭にホッとした・・・この2頭だけだから。

フィン達までいたら休憩も出来なかったかしれない・・・慣れない場所に抵抗するフィン達・・・そのフィンとフラワより我慢できるウィン。

我慢強い2頭だから寄れたのだと苦笑いのアイリだった。


家へつけば素早く飛び降り庭を駆け回る・・・出迎えたフィン達と一緒に遊び始めた。

休めるよう準備をするアイリ・・・そこへ驚いた顔のトウマが眺めていたが庭へ視線を向けた。

『(笑)マジで正解だったな・・・』
『ん・・・集中し過ぎて不味かったみたい。次は気を付けなきゃ』

『・・・(笑)置いていけと言えずに悪い・・・』
『大丈夫だよ(笑)』

『電話で教えとけよ(笑)。向こう』
『思い立って来ちゃった・・・あ、連絡が来てた?』

『コナツからな(笑)、それより何で遅かった?会議に来ないって呼びに行ったら居ないって(笑)ヤバかったらしいぞ?』

『あー(笑)・・・電話する』
『そうしとけ・・・』
トウマにも謝りクロウ達の部屋を綺麗にしたアイリだった。

電話をしてみれば自分の状態も知られていて苦笑いだ・・・頑張れという励ましと頼んだという思いだけ言ったエリンに感謝だ。

勝手した自分は責められずホッとした・・・本当に何も思い浮かばず、今はドレスという言葉さえ頭から追い出した。

穏やかな時間が自分にも合っていた気がした・・・それは余計にホッとしたのだった。



小さな小川が流れている草原の端で遊んでいるサン達の姿を眺めるアイリだった。

連れ戻って来た事は正解だったとホッとした・・・飛び回り皆で遊ぶ姿は自分も嬉しかった。

辺りを眺めては考える・・・膨らませては写真を撮りメモった・・・この自由さが自分にもあっている気がした。

それでも ほんの一瞬だがマウレアの保管室を思い出す・・・色んな種類の材料が揃っていたから。

知らなかった部分は多かった・・・余計に学べる楽しさを思い出す自分もいた。

だから余計に次のドレスはと考える事が嬉しくなる・・・書き込んでは自然の中で過ごしクロウ達と遊んだ。

ふと思い出し苦笑いだ・・・シズカさんの呟きで考え悩んだドレスのデザイン。

そうかと・・・これだと思えた自分に変な期待が込み上げた事に気づいた・・・それが嬉しさへ変化した事で書き留める。

材料が残っていた事で手にし頭の中を整理したアイリは作り始めたのだったが・・・これは、やり過ぎかと・・・自由過ぎた自分に苦笑いをした。

布を切り裂き縫い付けては編み込むと緩く糸をほどいた・・・縁起は担げない・・・切れた布は柔らかに見えたが裂かれている。

これは展示用だと眺めたアイリ・・・シルエットは柔らかなのにと可笑しくなった。

いつもの見学とトウマが来て笑い始める事に苦笑いだ・・・

『(笑)それは遊んだのか?』
『そーともいう(笑)』
『白じゃなきゃ(笑)可愛いかったぞ?それ・・・』

『(笑)だよね。裂いたら駄目だった』
『惜しいな(笑)。ま・・・気分転換できて何よりだ』
『これは展示用にする(笑)』

笑いながら言ったトウマに笑み返すと、ドレスを着せていたトルソーを端へ寄せアイリはクロウ達と遊ぶのか庭へ出て行った。

笑うトウマは写真を撮りコナツへ送った事はアイリに内緒にしたのだった。


コナツがトウマから送られてきたメールの写真を眺めた・・・

『(笑)デート?』
『気分転換したアイリの作品みたい(笑)』
『もう?』
『・・・凄い(笑)』

『(笑)カメラマンは撮り方が違いますね・・・』
『ね・・・(笑)』

モノクロだったが光りで調節しているのか、綺麗なドレスのシルエットだった。

もう一枚はカラーだったが、シルエットからみて同じドレスだった事に驚いた。

スッと覗いたエリンが微笑んだ・・・
『ポスターでも使えそうね・・・』
『素人の(笑)トウマが、展示なら映えるとか言ってるけど・・・』

ほらとメールを見せたコナツに笑み返すエリンもいた。

『クロウ達は?大丈夫みたい?』
『理由(笑)、知ってたんだ』
『私も気になってたから・・・(笑)ずっとアイリを見てたから・・・きっと訴えてたのよね・・・』

『・・・(笑)』
『(笑)材料持って行ってきてくれる?』
『本当にい?』
『ん・・・依頼が入ったら連絡するわ』

『了解(笑)トウマに連絡して運んで貰うかな』
『(笑)そーして。今のところは大丈夫って事も伝えてね。物凄く気にしてたから(笑)・・・』

『無意識に戻ろって出たみたい(笑)』
『(笑)それでいいの。アイリらしくが一番だから』

そう言ったエリンが戻っていく・・・数多くあるドレス・・・直しも調整も出来る人はいた。

戻ったドレスは直ぐに変えてクローゼットへ戻す事で貯まりは多くない・・・一気に変化させるアイリだったから。

時に作業場のスタッフが飾りで変化させる事でアイリもまた楽しんでいた。

休みかと皆を眺めながら考えるエリンが苦笑いをした・・・今日まで連休は、それほど作って来なかったからだ・・・落ち着いた今ならと考え始める彼女がいた。



久しぶりの食事だとアサヒに誘われ外出した・・・エリンは ずっと忙しかった・・・時間が出来れば 今度はアサヒの方が忙しくなり食事をともにしてこなかった。

出れるかと連絡があり食事をしようとエリンはマウレアを後にした。

『(笑)働きすぎた・・・』
『ね・・・そろそろ(笑)やすもかな』
『・・・休みが取れる?』
『(笑)取るのよ。定休日を作るか考え中だった(笑)』

『・・・なかったっけ?』
『(笑)店と私達はね』
『あー・・・』
なるほどと笑みを浮かべたアサヒに苦笑いをした。

『(笑)相談しに行こうか考え中よ』
『・・・オーナーに?それ何泊?』
『ん・・・ついでの報告と相談だから・・・』

『(笑)また観光してくる?』
『ね・・・誘われなきゃ(笑)多少』
『・・・見合いはするな(笑)』
『(笑)断ってるけど?』

『俺も行く?』
『・・・』
『(笑)どうせソウさんとアキさんも行くだろ?今回は行かないのか?』

『今回は(笑)私だけよ』
『・・・エリン』
『ん?』

戸惑いながら自分を引き留めるアサヒを見返せば、今度は悩み始めた彼がいた・・・その悩みは何だと考える。


やっと軌道にのり少しずつ安定してきていた事で休日を増やす事は自分達も考えていた。

そしてアサヒと会う機会も増え気心が知れた間柄にもなった・・・それでも互いに恋人という場所へ向かえなかった事も事実だ。

遠慮という言葉は互いを引き留めていた・・・それは互いに仕事を優先してきたから。

互いに親友という近さになっていった事で先へ進めずにいた・・・そこが壊れたら気まずくなりそうだから。

外部からは付き合っていると思われていた・・・その事で皆から聞かれた事はなく、不思議だと二人で口を閉じていた・・・

否定しない自分に苦笑いだ・・・自分の中で飛び跳ねるほどに嬉しかったから。

自分達へ僅かに聞こえる程度の会話て知ったが、それは彼女もだった事に驚いた。

ほんの少し・・・僅かに期待が沸く自分もいるが、それは彼女も同じと思いたい気持ちもあった。

それを言葉にしたいのに、声にした瞬間・・・友人以下へ戻りそうで怖かった。

こんな自分にも苦笑いだ・・・好みのタイプだと初めは彼女に目が止まったが、それは一目惚れだったのだと今更ながら気付いた。

前回の出張だとオーナーへ報告も兼ねてソウとアキ、3人で向かった・・・予定通りに帰ってきたのはアキ達だけで驚いた。

その理由はコナツからトウマに伝わりキャンプ場で会ったハルトから自分は聞いて戸惑った。

残された理由・・・オーナーに秘書としてつき仕事をするのだと・・・そのついでの見合い・・・パーティーにも連れ出されるのだと聞いた。

そのオーナーの意気込みはアキ達まで危うくなり、早々に帰ってきたのだと聞いてきたようだった。

不味いと電話をしてみても繋がらず戸惑いはハルトが気付き知らせはコナツからエリンへ戻った。

笑うエリンの声に話も濁せずハルトが笑いながらエリンの様子を聞いてくれた・・・自分を助けろと頼み込む・・・驚きは声も出ず項垂れるアサヒだった。


時間が出来たとエリンからの電話に静かに聞き入る事しか出来ず苦笑いしかない・・・その自分の様子を気にしつつ戻る日付を教えてくれた。

戻れば心配事され、何かと連絡は来て黙るしかないアサヒだった。

だから体調が悪かったのだと、何とか切り抜けたアサヒに理由を知るハルトだけが静かに笑っていた。

また行くのだと聞けば激しく自分の中で何かが渦巻く・・・それでも前よりエリンと近くなった自分はなれていた事に苦笑いだ。

どう言えばと考える自分・・・自分の上司だ・・・オーナーでもある人の命令にもなる。

断る口実は言っておきたい自分がいた・・・はっきり断るとも言わない彼女もいた。

押しきられたなら断れない気もする・・・どうしたらと見つめれば彼女が自分を見ていて苦笑いだ。

『その顔の理由は?』
『・・・』
不意に呟く彼女に驚き余計に声が出なかった・・・

『・・・もしもを考えても・・・戸惑うのも焦るのも私だけど?』
『・・・』

驚いた・・・少しずつ彼の顔が変わっていく・・・今度は悲し気な目になった気がした。

『・・・少し・・・散歩しない?』
『・・・酔った?』
『(笑)・・・』
迷うように呟いた彼に笑み返すエリンだった。


街の明るさで夜でもない気がしてくる・・・少し歩けば散策も出来る大きな公園があった。

運動をしている人や自分達と同じように散策と楽しむ人もいたが、今は夜だ・・・それほど多くないが人影はあった。

彼をそっと眺めれば迷った顔で苦笑いだ・・・何を言いたいのかと、その迷う言葉は何だと考えてしまう。

本当は気づいている自分もいる気がした・・・それでも違うと勘違いしている自分も分かる。

思い込みは駄目だと言い聞かせてきた・・・そう思いたい自分にも気づいていたから。

少し前から自分の意識は彼へ向かっていた事に気づいていた・・・何を言っても聞いてくれる人は早々に居ないと分かる。

愚痴もだ・・・この濁しや例えを理解し聞き流しては話題を変え気分まで変えてくれる友人は なかなか出来ない。

アサヒからの話も自分と似ているが、他の人からの言葉を聞くより気は楽だった。

簡単に聞き流せる・・・ストップと言わなくても止める・・・この近さになって余計にアサヒとなら楽に自分らしく過ごせていた。

だから壊せない・・・自分を晒せる人は多くない・・・アキ達に言えない事も彼になら言えたから。

アサヒもまたサク達へ親友だからこそ言えない事も彼女へ内緒だと声にする・・・だからこそ互いに必要だった。

自分の思いを勝手に向けては駄目だと思っていた・・・気まずさは互いに距離を広げる。

ここまでの近さに安心さえ覚えた自分から離れたくなかった・・・声にして距離が出来たらと怖くなる。

この気持ちが何かは知る・・・彼から伝わる想いも、自分から彼へ向ける想いも・・・

それでも、親友という距離・・・この場所から離れたくない自分がいて・・・寄る事も離れる事も出来ずにいた。

彼が声にしたい話は何だと考える自分がいた・・・話の流れで見合いを断ってくれる為に一緒に行くのかと驚いた。

言葉の流れで思ったが、単に一緒に遊びに行きたくて言ったのかと色んな理由は自分勝手な思いで都合よく考えてしまう。

取りあえず理由は知りたくて彼を見返し声にした。

『・・・』
『(笑)・・・自分で(笑)断れるけど?』
『・・・』

『・・・その話に繋がるんでしょ?さっきの話を続けるなら・・・違った?私が思い込みすぎた?』
『・・・(笑)悪かった』
『・・・何の話?』

『(笑)・・・俺さ・・・』
『ん・・・』
『(笑)お前が・・・エリンが好きみたいだ・・・』
『・・・』

『・・・だから行けばまた見合い話が出るのも嫌だと思って・・・エリンは俺のだと・・・見合いは集めるなと伝えたくて』
『・・・一緒に?』

行こうと思ったのだと言われ驚き戸惑いながらアサヒに笑み返したが、静かに彼は話し出したのだった。


自分の中で喜ぶ思いが飛び跳ねる・・・嬉しくて踊り出してしまいそうな自分がいて驚いた。

照れた笑みで自分を見つめていたアサヒに笑み返す・・・そうだと恥ずかしそうに頷く彼が可愛く見えた。

『(笑)ありがとう・・・』
『・・・』
『(笑)大丈夫と信じて、待っててくれる?』

『・・・(笑)』
『私も貴方が好きなの(笑)、でも行くのは仕事だから・・・ひとり』

嬉しくて礼を言えば彼は驚いた顔になった・・・それでも自分の思いは届いた・・・

少しずつ笑みを浮かべ始めた彼になりホッとした・・・やっと言えた言葉に照れる自分がいた。

確かめるように見返す彼へ今はと話を続けたが、話している間に伸ばした彼の手に触れた。

仕事だからと思いながら言ったが繋いだ手が引かれ近くなったが・・・一人で行く事にすると言いたかった。

触れていた唇が笑む・・・優しく見つめる彼に照れながら見返した自分がいた。

『・・・あ』
唸るアサヒ・・・苦笑いを始めたが視線は回りへ流れ自分へ笑み返す・・・その理由にエリンも気付き苦笑いだ。

恥ずかしさは自分の心臓まで激しく踊る・・・ずっと歩きながら話していた・・・無意識に。

少し先に夜景が一望できる開けた場所があった・・・そこまで歩いていた自分達だった。

その場所には少しずつ、離れて座っている恋人たちが数組いた・・・景色を楽しみ小さく呟けば聞こえないほどの距離。

大の大人でもある自分達・・・思いを吐き嬉しくて照れながら話をしていた。

告白に喜び、人の目さえ関係ないとキスしていた・・・驚いた顔で自分達を観察していたような視線が向けられていた。

その中で口付けたアサヒが先に気付き唸ったのだ・・・エリンを見つめ苦笑いをしたアサヒは彼女の顔を隠すように抱き締めた。

『(笑)アサヒ』
『ん?』
『これ・・・もの凄く(笑)恥ずかしいんだけど・・・』

『だよな・・・ごめん(笑)、それより本当に一人で行く?』
『私の仕事だしね(笑)、今後の報告は必要だから・・・だからね(笑)』

彼へ回していた両手を繋ぎ彼を眺めた。

『・・・(笑)』
『(笑)誓えるけど?』
「ちゃんと付き合おう(笑)」

そっと優しく抱き寄せたアサヒはエリンの耳元で言語を変えて囁いた・・・彼女の頷きは嬉しくて・・・笑みながら彼女を見つめ眺めてはキスを落とした。

『(笑)この雰囲気は若さで』
『成り立つ(笑)。私もそう感じたわ』
『(笑)戻る?』
『ん(笑)・・・アサヒ』

『ん?』
『これは隠れてない(笑)』
『(笑)だよな。行こう』

回りの恋人たちは自分達より若く見えた・・・それぞれに話している声まで聞こえたが、その会話は可愛くて・・・苦笑いしかない。

回りの子達の声が はっきり聞こえた・・・普通に呟く声の大きさでだ・・・逆に自分達の話し声は余裕で聞こえていたのだろう。

それに気づけば 恥ずかしさは大きくなり、逃げ出したい衝動は自分達の若い頃を思い出した。

そんなに年も離れてはいないと思うが、見た目が自分達より年下だと見て取れる。

それが羞恥心を煽る・・・戻りの歩みは互いに早くなり可笑しくなった。

その帰り道・・・笑いは止まらず暫くの車内は楽しくなった気がした。