隣二軒が変わるのか、工事するようでシートが覆われ始めた。
営業中の静けさで、自分達の場所に気を使ったのだとホッとした。
何が出来ると話題は商店街の中で囁かれ始めた。
暫くすると全て撤去され更地のような状態は続き・・・その理由を知った。
立浪コウヤが部下を引き連れ店が終わる時間帯にやって来た。
マリナまで笑いながら一緒に来た事に驚いた。
『(笑)想像した話で合ってるの?』
アキが目の前に座り、コウヤが話す前に声にした。
『(笑)数が増えただろ・・・チャンスだと思った。
いつか変化してくなら、俺の場所に交ざると解決しないか?それを利用してくれたら、俺は叶う・・・』
『(笑)だから始めないの?』
『下準備は済んでる・・・それでも二人が相手なら出しても無駄だと俺でも分かる。
だから今まで通り変えずに居ていい・・・店が横になっただけと頼めないか?
日中はカフェ・・・店の半分は飲食・・・ここと同じ感じに・・・時間は長いが二人は飲食だけだから、同じ時間から始めればいい』
どうだと見返すコウヤ・・・その間にマリナがタブレットを出して店の雰囲気だと見せてくれた。
『私ね(笑)カフェがしたかったの・・・だから色んな事は勉強してきた。
働くと前の店から噂が始まっちゃうから長く続ける事も出来なくなっちゃう。
ずっと出来そうなココなら大丈夫かなって・・・自分で頑張れそうかなって思ったの。
前に話してた・・・コウちゃんが昔、話してた事を思い出して頼んでた・・・』
『俺はさ・・・こんな場所に居たかったが、無理だと諦めてた・・・一人にさせられて・・・ずっと何かが足りないって・・・
そんなヤツが集まったから・・・寂しさは少なくなった・・・それでも出来立ての飯は温かいと、笑って食べれる場所が欲しかった』
『 ・・・それがハヅキのご飯だったって事?』
アキの呟きに苦笑いをして小さく頷くコウヤだった。
『ハヅキが欲しいんじゃない・・・今は・・・自分を置ける場所が欲しくて・・・マリナを利用してる。
店が大きく、新しくなっても雰囲気は同じように作れるだろ?
タケルも・・・個人でって夢はあるだろうが、同じ場所で続けられないか?
一緒に働き続ける事は出来ないか?』
『私はね(笑)、ハルト君たちが嫌じゃないなら雇いたい。知らない誰かより、知ってる人と一緒にしたいの。
安心して一日を過ごせる場所が欲しいから・・・』
『向こうは?』
『(笑)・・・抜けたいの。自分を変えたいって・・・驚いたけど・・・自分が可笑しくなったみたい(笑)』
『(笑)先まで一緒に居てくれそうな人が見つかったのね・・・』
『ハヅキは気づくの早いね(笑)。でもね、本当の先は分からない』
『(笑)相手に試して貰うのも、いいかもね。マリナの居場所を見つけたなら』
『一人でも頑張れる場所(笑)』
言い直した彼女に微笑んだ。
『(笑)同じ場所にアキと私を引っ張ってるわよ?』
『無理かな・・・』
『弟まで(笑)』
今度はアキまで呟いた・・・
『(笑)人が増えたって聞いたから・・・ココも変化させて住まいにして・・・入り口は見えるけど塀にして(笑)。
裏は増えるし(笑)そんな場所に・・・二人なら出来そうでしょ?』
『増えるから雇えば給料は高くつくよ?』
『(笑)物凄く考えてきた・・・流れも知ってたし、それはアキの店だから変更しないで続けられるようにって頑張ったのよ?』
『誰が纏めるの?』
『代表はコウちゃん(笑)、以外と経営向きなの知ってた?』
煩いとムッとしたコウヤに笑うマリナ・・・前より柔らかな笑みだとハヅキはアキを眺めた。
『ん?』
『(笑)アキの店よ・・・私は今も居候だった・・・』
『(笑)店もだが、上は賃貸にして・・・もしもの金は賄う事にした。
必要なら安く売る(笑)ココを完全な住まいにするとは思ったが・・・
裏は閉じて、売った金で上に入らねーか?』
『 ・・・』
『通り抜けはな・・・いくら囲っても絶対じゃない・・・ガキの安心を考えるなら塞いで一ヶ所の出入り口を確保した方が心配は減るぞ?』
『(笑)建ててない理由に気づいたわけだ・・・』
『買ったくせに進ませないから考えた・・・雑魚寝が増えてんのに出さねーし』
『(笑)了解。コウヤも交ぜてあげるわ』
突然呟くアキの声に驚き、マリナとコウヤが見返した。
『了解(笑)、裏は売れと話は出てるから売ったら考える(笑)。
アキがいいなら店から始める』
『いい・・・か・・・?』
『(笑)自分の直感は信じときな』
『サンキュ・・・』
『(笑)食べさすけど、探しな』
『 ・・・そこはさ』
『ハヅキ自身が(笑)離さないのよ?隙間はない・・・今も昔もね。
二人の恋しさは分かるけど(笑)寄り添う事は出来ても浸りはない。
自分達は自分達で(笑)』
『手がいっぱい?そんな意味か?』
そうだと頷く笑みに苦笑いだった。
あわよくばの考えは二人でしていた笑み、それでも拒否される予想はあり楽し気な嬉しそうな笑みになった二人に微笑むアキとハヅキだった。
打ち合わせと次々と決めていくコウヤの楽しさを眺める・・・自分が楽しい仕事や生活が出来ているのだと、不思議とホッとした自分に笑った。
自宅に戻りタケルやハルトへ相談だと話を早々に始めるアキ・・・本当かとハヅキを見返すハルトに苦笑いだった。
『悩んでたカフェは、本当に自分でしたい部分だけで仕事が出来る。
それでもいいなら、マリナへ話をしてきなさい。
それでも(笑)修行は必要だからね』
『 ・・・(笑)雇われるのが俺には合ってる・・・だけど一緒にする笈川さんと相談はしないと・・・』
『そうね。だけど約束だからというだけの思いは駄目よ。ハルト自身の本音はちゃんと言う事(笑)』
分かったかとハルトを見つめたハヅキに、確かにと苦笑いをするハルト・・・早々に流されそうな気がしたハヅキの声に、自分を持とうと改めて感じたハルトだった。
タケルはと眺めれば一人考えていた姿に口を引いて声を待った。
その間だとアキと、家の確保と考えていた。
それでも素早い決断をする二人に、本当に深く考えない事に笑うハルトだった。
何でと苦笑いをするアキもいた・・・
『本当にそれでいいのか(笑)迷わないから不思議だと可笑しかった』
『(笑)アキが頑張った場所は自分家にしなきゃ・・・店の上なら近いけどね(笑)』
『ファミリールームかなんかにして貰って(笑)入ろうと思ったのよ』
『俺・・・俺はさ・・・』
『(笑)タケルといいなら、二人で住める広さを確保するけど?』
『ん・・・それを頼もうと思った(笑)、どっちにしても二人で住むだろ?
ここでならケイタ達も安心するだろうし、俺も来れるし(笑)』
『俺は?』
『タケルさ(笑)俺と折半しね?駄目か?』
『あんた達は私と同じにして協力してくれない?』
『 ・・・』
アキの呟きに驚く二人・・・同じように見返したハヅキは、タケル達も眺め改めてアキを眺めた。
『杉原さんが来やすくって(笑)タケルもハルトも遠慮したと思うけど?』
ハヅキが変わりに声にする。
『分かる(笑)。それでも子供たちの安心が欲しくて・・・
二世帯みたいな造りなら・・・気にならないかと思った(笑)。
いつかは結婚して出てくだろうけど(笑)近場で私の安心を貰えないかなーって(笑)』
『広さは十分あるけど・・・』
『(笑)練習用、自宅用で下は考えるし部屋に戻れば完全にプライベートにもする(笑) ・・・一瞬・・・さ・・・』
『私か(笑)・・・自分を鍛える為に出るよ。なにより不規則な時間だから、こっちは楽になると思う(笑)何より隣だしね。
必要なら手は出す(笑)。それとね・・・』
『分かるよ(笑)自立でしょ?』
アキの呟きに俺達かと二人を見返したタケル達・・・そうだと頷くハヅキに苦笑いだった。
『学生は終わったわ(笑)、今度は自分を自分で育てる・・・(笑)大丈夫と時間を自分の為に使いな・・・』
『 ・・・同じ敷地にあっても別(笑)』
『あー(笑)それが二世帯ってやつ?』
『中で行き来 出来るドアはあるけどね(笑)独立って家にしてみる。
もちろん部屋代は貰う(笑)それが貯まったら自分で考えるもよし!』
そうかとアキの言葉を考えるハルトだった。
『アキちゃん(笑)。俺さ、働いてみるよ・・・確かに独立して自分の店って大きく思ってたけどさ・・・
この店だったから(笑) ・・・アキちゃん達がいたから出来てた・・・安心を貰ってて・・・錯覚してたみたいだ。
(笑)家族が近くにいる安心は、俺にもまだ必要で・・・雇って貰えるなら、(笑)俺には合ってる気がする』
『(笑)いつかは出せば?』
『ん・・・いつか(笑)考える・・・』
そうかと笑みを浮かべたアキに、笑み返したタケルだった。
『ハル・・・』
『ん(笑)、俺もアキちゃんに払うから頼んだ。
今まではハヅキにして貰ったから(笑)、大人の一歩と恩返しするよ』
『(笑)ケイタ達に?』
『ん(笑)ハヅキはそれが希望でしょ?自分によりも俺より小さな子に・・・』
『そうだ(笑)カズキは?トモヤも一緒に住めば?』
『 ・・・そんなに広いの?』
『(笑)この広さに店の少しを家にして塞ぐかなって。
玄関にして(笑)ここが私達、上を作って4部屋に水回りとリビング(笑)余裕でしょ?』
『あー(笑)私達の安心・・・そこが埋まるな・・・』
アキの大まかな雰囲気だけでも、十分な広さはあると分かる。
季節によっては家の下はリビング代わりに使いそうな雰囲気もある・・・何より月一の宴会は新規の店ではしなそうで・・・まだ暫く世話になると声にしてタケルとハルトは頼むのだった。
翌日からはマリナ達へも相談をしていくアキ・・・子供たちへ不安は出さないように楽しみだと教えていく彼女達だった。