tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

うぇいと 45 -end-

2018-08-09 00:15:52 | うぇいと



気分で始まる事が消えた事に笑う美都・・・理由が知りたくてカウンターから美都を眺める雪吹だった。

その視線を辿る・・・

あちこちと眺めながら笑っていた美都だった・・・酔った比野が泥酔の域に入り出した月島を支え客室へと入っていく・・・

反対側は雪音が項垂れたように、ふらふらとよろけ、あちこちへ身を支えながら自分の寝室へ戻っていく姿があった。

それぞれの時間だと、戻っていく姿は幸せそうで・・・美都と視線があった時に彼女の笑みで思えた。

『雪吹ー(笑)』
寝室で自分を呼ぶ声に、お休みと笑う美都は帰って行った。

電気を消しながら寝室へ戻れば・・・何も着ていない雪音がベッドへ潜りこんでいた。

可笑しくて・・・楽しくて・・・そんな時間を自分も持てていた事に感謝した。
酔っているが、笑って布団を開けて待つ雪音の笑みに静かに入り込んだ。

『お待たせ(笑)』
自分を抱き込んで呟く酒臭い雪音に笑ってキスで返事をした。
ここだと笑み唇を指さす・・・フッと笑いながら唇を指ごと重ねた。

張り付き吸い取るほどに強く絡ませ始める雪音に苦笑いだ・・・久しぶりでもない口付けは、そんな気持ちが芽生えたように追い絡み付く。

気持ちは分かると言いたいのに・・・塞がれた唇は言葉も出せなかった。
自分だけと知らしめたいほどに全てへ巡らせる・・・愛しいのだと、感じていけと優しく触れる。

激しくも触れは優しく・・・焦らしかと思えば激しく貪る・・・だから雪吹は丁寧に返す・・・自分もだと知って欲しくて・・・愛しいのだと、覚えろと言いたくて・・・

身が昂り余計に笑みは溢れる・・・唇が道を辿り・・・巡る手を追い絡み付く。

心地好く・・・互いを感じ昂りは激しく寄り添う二人だった。
狙い追い込むが昂る先で互いを待つ・・・息は荒く止まりそうなほどに苦しくても、潤む目で互いを見つめれば溢れる笑みが弾く。

その瞬間・・・それは自分もだと分かる笑みが浮かべば、同じだと口付けた・・・触れていた唇が笑う・・・全てが止まる・・・その一瞬だけの場所に雪音がいて・・・雪吹がいる。

そう感じた思いは、深く沈み 奥底はないほどに落ちていったのだった。

少し前なら、もっとと貪るように寄越せと雪音は求めていた・・・ひくつく身は関係ないと新たな疼きを目覚めさせる。

悪戯な笑み・・・苦しくなる身は可笑しいと潤ませた目が訴えるが、それは彼から起こす・・・意識が薄くなりつつある場所へ一気に運び自分だと教えてくれる笑みで抱く雪音を感じた。

ここだからと笑う笑みで向かえるのに、最近は激しく落ちても幸せだと呟き自分を抱き込むと浸るように眠る日々になった。

いいのかと苦笑いする雪吹は、彼に触れ寄り添うように近い場所へ張り付き眠りへ落ちていた。

気にしたかと気付いた雪音の笑みに見返した。
『ふかーく(笑)ソコで待ってるとさ・・・追い付いた雪吹が答えるんだ(笑)知ってたか?』

突然、笑みながら呟く雪音を、何の事かと考えながら見つめた。
これだとグッと沈ませ彼女を抑え込む・・・唸り彼へ凭れた雪吹だった。

『余韻で(笑)導かれてく俺も凄いと思えた・・・何でか知らないけどな(笑)』
深みへ運び出した雪音も急に辛そうな笑みになった・・・熱く吐き出す吐息まで自分を煽る・・・中で蠢く何かと気づくがソレを知る自分もいない・・・

小さな唸りは続く・・・ここだという笑みが自分へ向けられた・・・味わえと・・・染み込ませていく行為は静かに始まった・・・緩やかな坂を滑る・・・そんな気持ちになる。

ゆっくりと・・・下る気がして熱く吐き出す唇は止められなかった。
込み上げる何か・・・隙間は まだあると・・・雪音の想いを押し込むように深みへ運ぶ。

まだだと昂りは待たされ唇が運ばれていく・・・落ちた何かを拾いながら元の場所へ運ぶ・・・待ちきれずに雪音に手を伸ばす・・・熱く弾けそうな身を耐えながら彼を待った。

新たに沈んでいく・・・目映くて・・・弾け身が震えても雪音は止まらなかった。
繰り返す事に朦朧とすれば、微笑む唇で気づかされる・・・その笑みを掴まえ口付けた。

その間に静かに落ちていく・・・より深く愛した思いは溢れるが、注ぐ互いの思いは余計に深く交ざりあったきがした。


身が軋む・・・それは自分もだと照れた雪音が自分を引き寄せた。
互いに激しく落ちたのか、その姿に笑うしかない・・・ごめんも胸元をペロリと舐めた雪音に笑った。

そこに証拠は残る・・・眺めていたが彼を見返せば笑みを浮かべていた。
『愛してる(笑)。雪音だけ・・・心の奥深くまで貴方がいる(笑)』
呟く雪吹の声に照れ・・・同じだと囁く・・・分かってるという笑みは二人に沸きだしたのだった・・・


『俺だけと感じれる今が(笑)一番深い・・・ ・・・』
『 ・・・』
『雪吹の奥は(笑)あったかい場所だった・・・だから恋しくて・・・自分まで幸せが貰えて(笑)嬉しいんだぞ・・・』

『 ・・・』
どんな意味だと苦笑いをする雪吹・・・じゅうぶんに感じた思いごと浸らせたままに雪音は眠りへ入り込んだ。

酔いは回り・・・悪戯な笑みは雪吹へ沸き起こる・・・彼へ運んだ唇は全てを寄越せと吸い込んでいく・・・波が行き来するような思いは、求めた分の重さで引き摺られていくのに戻る波は疼かせた。

それでも一緒に流れ着く気がした・・・荒い吐息も吐き出しながら天を上る勢いがあり・・・そのままに彼女もまた雪音を感じた。

苦笑いの雪吹に照れた雪音が微笑む・・・無理と分かる互いの身は痙攣のように震え・・・抑えろと言いたげに互いを抱き込んだ。

触れる肌の心地よさは優しく自分達を包み込んでいくのだった。


軋む身はシャワーで和らぐ事もなく・・・呆れは激しく鞭打つ勢いで、美都に仕事場へ送り出された。
それは月島達まで・・・
互いに、どれだけと呆れあい・・・笑いあうのだった。


幸せを運ぶ・・・誰かには重いが、受ける者が同じ気持ちなら容易く受け止められ・・・返した想いも同じと気付ける。

全ての人が、重さで図りはしないが・・・それで感じる者なら、受け取る者もまた深く・・・重く受け止め奥底へ沈ませる。

そこで浸る想いが全てなら、分けて詰め込んでいける・・・それもまた幸せの一つと分かるからだ。

雪吹の笑みに見惚れる雪音・・・またかと・・・仕事だと美都に促されるのだった・・・


-end-



拙くも・・・※の終わりで・・・それでも、お付き合い下さり感謝です。

飛び飛びの空想は、その時々で グッと入り込んだtamiでしたが・・・脱け出しも簡単で・・・ENDへ持ち込めず参りました。

それでも空想へ飛べたtamiを誉めあげ、残る次へ 投げ飛ばさないとヤバい・・・自分に頑張れと励ます日々でございます。

ありがとうございました。
2018・6 -tami-


うぇいと 44

2018-08-08 01:26:51 | うぇいと
※少し・・・かすった?



狂ったような・・・これに溺れていくような日々になった。
それでも不思議と自分には辛いという気持ちは沸かなかった事に驚いた・・・時に一日中している事もあったのにだ。

あとの残らない行為・・・それだけで昂り激しく落ちた・・・時に落とされ怠さは夜に剥ぎ取られた・・・。

優しく労る・・・疲れを癒やしてくれるヨシに感謝した・・・少しずつ変化していく姿に驚く・・・赤く痛々しい姿は張り付く長袖の服で隠され、男へ謝りマキが繋いだ。

満足した寝顔の笑みにホッとする二人もいた・・・

足りないと呼ばれ・・・マキが代わりに始める・・・休めと離せばヨシは床へ崩れ落ちた。
焦るがヨシを見ながらも狙いながら始めれば、まだ足りないと激しさがましていった・・・

ようやく眠りにつく彼を、静かに寝かせ倒れているヨシを抱き上げて部屋へ戻った。

謝るヨシの声に苦笑いをした・・・
『お別れだ・・・』
『出るのか?』
ベッドへ寝かせ顔を覗きながら様子を見ていたマキが聞く。
悲し気な笑みで頷くヨシの頬へ触れたマキの手を包んだ。

堪らずに抱き締めたマキ・・・別れの挨拶だろう手が背中へ向かう。
温まる・・・それだけで嬉しくて、マキはヨシを優しく抱いた。

今まで・・・仕事のように互いを抱いていたが、いつの間にか想いが込められていった・・・だから余計に昂り、どんなヨシでも愛しくて抱いていたマキがいた。

駄目だと言われてもマキは無理だと求め始める・・・そこへ不意に帰った男が笑いながら交ざる事もあった。

狙いはマキへ向かう・・・先に早く離れて欲しくて彼を狙い求めた。
吐き出す・・・それでも保たれる事に驚いた・・・今度は男にだけ丁寧に始めれば反応も早く・・・いつもはない吐息と声音は優しく静かに響いた。

倒れそうな勢いで、やっと離してくれたと部屋へ戻るマキ・・・疲れを取りたくてヨシと寝たいと来たのに、その姿はなかった事に驚いた。

項垂れたまま身綺麗にすれば、そこに手紙があり・・・いつかと記された文字をなぞった。
願えるが本当に叶うのか不安でもあった・・・衰えの知らない人だ・・・綺麗なヨシを手離した・・・

時々、ヨシが言ったように連れてくる・・・色んな歳の子達・・・若さがある子まで・・・それでも足りないと呼ばれ、時に交ざらせられ一緒に始める。

数年後にようやく下が出来、少しずつ解放される事にホッとした・・・
出たいと申し出る・・・ならば他者へ教え体を作って欲しい者を鍛えてからだと言われた。

了解してみれば、本当に子供という子達が住む場所へ連れて来られた。

チェックした時に考えると言われ、少しの間の外出を許可された。

探しまくる・・・田舎を聞いていた事で、その地域を探した・・・
夕陽が落ちていく・・・諦めかければ・・・長い髪を揺らし買い物をしたのだろう荷物を持った人が立ち止まった。

見返せば・・・それはヨシの面影が残る姿だった・・・照れた笑み・・・優しく笑み返されたマキに目配せた。

あとに着いて行けば、ソコは団地のようで・・・ドアを開け自分へ笑むヨシが入り込む・・・素早くマキも入り込んだ。

『有沢って苗字だったのか(笑)』
『今は美都と言ってる(笑)完全に・・・』
『ミトか(笑)いい名だ・・・俺から逃げんなよ』

『(笑)待ってるから出ておいで・・・』
『(笑)牧尚樹という・・・
二人を仕上げたら出して貰えるはずだ・・・』
『本当に・・・』

『願うしかないだろ(笑)。美都と同じ年数だぞ?
いつか・・・一緒に暮らそうな・・・そしたら楽になれるし、生きて行ける』

『そうだけど・・・』
無理そうだと分かる・・・旦那様の目で気づいた・・・張り付く視線・・・マキへ触れる手で、旦那様の状態が分かる気がした。

自分のだと意思を示す目・・・だから離れ、マキとの連絡もしていなかった。

一緒に居たい想いは同じだ・・・それでも連れ戻される・・・それは2回目にマキが会いに来た時に思った。

誰と会うとも聞いてこないとマキが言った・・・3回目は自分の姿は出さず、次は視線も気を付けるようにマキへ頼んだ。


出た先で始めたが、時々・・・迎えにきて世話をさせられている事をしった。

それでも戻れば、急かす人達もいる・・・旦那様が諦めると聞いた。
遥かに若い・・・だから瞬間の気持ちだけで共にする。

丁寧に教え、それは女性にも通じると担当の女を使い復習と覚えて貰った。
自分が居ない間は激しく・・・逃げ出す者が増えたと聞けば、似た志向の女を探し連れてくる。

嵌まりすぎて面倒だと早々にクビにする・・・メイドのルールを徹底して貰い、実行されていくと激しい移動もなくなったようだった。

ならばと二人へ始めて貰う・・・誰かへしたのだと言いながら感想を聞きながらする行為・・・
なかなか昂らない二人へ狙い、ならばと一人ずつ次のステップへ進んだ。

別の日に試したのだろうそれまで声にする・・・ならばと教え、女ならと教えた。
復習はしているようで、そのメイドの目に苦笑いしかない。

だから痛みより快楽を探せと教えれば、楽し気に試す子達に笑った。
待てずに自分へ向ける・・・焦れったいと急かす人達に笑み、激しく張り付かせ時間をかけて落としていった。


それが出来始めた頃・・・
『マキさん(笑)。仕上げだから手は出さないでよね・・・』
『シンさんは辛くないですか?本当は女性がいいでしょう・・・』
『そうだけどさ・・・同じと知れたし(笑)気持ち良くさせてるよ』

『(笑)傷は余計に駄目ですよ』
『分かってる(笑)リュウに勝ちたいから我慢して頑張ってるさ』
話ながら丁寧に始めた事でマキは黙って目を閉じた・・・その出来に苦笑いだった・・・

優しく・・・自分の状態から落としていく事に・・・
『(笑)リュウは、これでいく』
小さな呟きと笑み・・・確かにと笑むマキの顔を覗いた。

『(笑)それぞれって意味、おっけ?』
『はい(笑)、もしかして探してますか?』
『(笑)愛したから触りたいしね・・・』
『龍様は?』
『自分が好きな場所から始めるから直ぐに分かる(笑)それでも落ちてくよ』

『(笑)真様、よく出来ました。旦那様へ報告出来そうです』
そうかと笑う真之介が離れていった。

翌日は龍之介を試した・・・背から始めるが、それは焦らしに似ていて驚いた。
だから女ならと声にする・・・普通なら終わりそうだが、事を進めながら呟く彼に苦笑いをしながらしていた。

『龍様も女性なんですね(笑)、旦那様へ報告しても?』
『ん、いいよ(笑)。そっちが楽で早く感じれるし。それでも前に言ったよ?』
『あーだから私が・・・』

『かもね(笑)男の体を理解してないとか何か言われたから(笑)』
『気にしてませんね(笑)』
『マキだから出来る(笑)。それでも、されるより(笑)する方を選ぶ』

『合ってますね(笑)、その方がイケてるようですし・・・』
だろうと笑えば照れた笑みを返し、激しく落としにかかる彼に微笑んだ。

旦那様の方へ戻された・・・声にはすれど、先伸ばしにされていく・・・
言い過ぎると、それは寝る事が増え激しく求められていく・・・身がもたず、心の中で美都だけを思い浮かべ付き合った。

今の子達を鍛える・・・焦れったいのか返される手はあるが、笑ってもう一人を呼び自分は拒否した。

長期の休みは美都の元へ戻る・・・何かしら残していくから次の場所は直ぐに分かった。
静かに姿を見せ、こっそりと出向いて家で待つ・・・

日々の限界はきていた・・・逃げようと決意した途端に主は逝った・・・全ての使用人は解放された事にホッとしたのだった。

次の仕事を探す日々・・・同じ仕事はごめんだと探すが・・・自分は改めて何も出来ない事に気付けば・・・項垂れるしかなかった。

自分まで世話を始める事に申し訳なく・・・出入りはすれど、入り浸る事もしたくなかった。
それでも歳が過ぎていく・・・その時間も勿体無いと美都を抱く・・・それは時に激し過ぎ・・・美都が苦笑いをしながら休みを取った。

想いは昔と変わらない自分達・・・それに体がついていかず笑うしかない。

気づかれた事に苦笑いだった・・・美都が世話する者は美都を抱かない・・・母親という立場を求めていた事は知る。

美都の息子のようだと、世話する美都の幸せそうな笑みを見て自分まで幸せだと思えるようになった。

彼女が出来た事に嫉妬はするのか見れば、その子を拾ったのは美都と知り笑った。
照れた笑みで自分へキスをする美都が愛しくなった。

それは昔と変わらない・・・ならば美都を助けながら生きようと思えた・・・


それが旦那様へ繋がるとは、腰が抜けそうなほどに驚いた・・・
何よりソコから出た後に、美都が母親とも知りあっていた事・・・偶然過ぎる人生に笑えた。

美都が知らずに繋げ・・・自分が教えた人達へ繋がっていた。
だから手離せと言いに行きたいのに、美都は捕まると離さなかった。

確かに幸せを願う子に彼女を連れ戻したいが、自分が居た場所ではなかった事で項垂れて戻った。
物凄く心配していた美都を抱いて安心させる日々になった。

子を助ける・・・その間に出てくる事を祈った・・・前よりも近く守る美都・・・その目は本当の女のようで・・・彼の母親のようだった。

美都の過去を知らない・・・いつか先でも教える気はないが、彼女から知る日は来るのだろうかと不安は残った。

それでも話は止めた彼女に感謝した・・・美都と一緒に二人を守ろうと自分に誓うナオだった。


『ナオさんは尚樹って言うんですね(笑)なんで美都さんはナオって呼ぶか、すこーし気になったけど(笑)愛称だったねー』
『言いやすい(笑)それだけだよ』

『(笑)声にしない?』
『 ・・・一生な』
言い出した彼女に苦笑いだ・・・やはり聞いて来たのかと・・・それでも自分の半分の気がした。

『特殊に生きた(笑)、だから君も消せないだろうが気にせずに生きなさい・・・それで笑えるんだから』
『はい(笑)。ありがとう・・・大事にしてくれて・・・』

どこまで知るのかと驚いたが、フッと笑えた自分・・・そして美都が運んだ紅茶を眺めた。

『(笑)みんな・・・激しく思える気持ちは重すぎるって声にするけど・・・』
『ん?』
何だと美都は彼女を見つめた。

『気持ちが同じなら、その重さは気にならないね(笑)
間違いと気付かないほどに深くて・・・ソコから脱け出せた事で笑えてる自分達に会えたし(笑)先へ頑張れるね』

『(笑)だな。ユキを抱いて諭してやれ』
『(笑)了解!美都さん頼んだ』
『お!(笑)』
二人の会話はなんだと眺めたが・・・優しく笑み返されたナオに仕方ないと微笑んだ。

二人で美都へ笑みを向ける・・・じゃー退散と呟いた雪吹は静かに笑みながら離れたのだった。

『もしかして・・・あれは・・・私の・・・』
『俺の方(笑)。それでも一生、声にしないと言った・・・』
『それ・・・』
『(笑)あの子の母親の・・・弟達へ教えたのは私だった・・・
(笑)どこで知ったやら・・・』
フッと笑う尚樹に、優しく笑みを浮かべた美都だった。


遠慮なく抱く・・・会えなかった焦がれた想いを吐き出したくて・・・
その間に待っていた美都も同じと自分へ返してくる・・・普通ならしつこいとはね除けるが、勿体無いと美都を囲う。

昔ほどの激しさはない・・・互いにあった場所で・・・止められ引き離される場所でもない。

帰ればソコにいるのが当たり前の今を深く互いを愛し日々を過ごせる自分達に感謝した。


うぇいと 43

2018-08-07 01:09:05 | うぇいと

※・・・すみません。


買い物をした彼・・・その帰り道で、一人の男に目を止めた・・・

裕福さは見えないが、何故か一緒に居る人と嫌そうな・・・悲しそうな顔で歩いていた・・・容姿は身形とは違う綺麗さがあり、そのギャップが気になった。

ホテルへ先に入る男・・・抵抗があるのか戸惑い足を止めたその男を眺めた。
後退りしていく・・・何だと様子を見に来た男が苦笑いをした。

『必要だから提案したんだろ?何で来ない?』
『してないよ・・・君が噂話を始めたから・・・・ついつい口にした俺も馬鹿だった・・・止めないか?』

『(笑)止めるわけない・・・噂以上か(笑)知りたくて誘った・・・欲しい金額にすると言ったから来たんだろ?金・・・必要なんだろ?』
『・・・それでも売るのは・・・』

『綺麗な体を拝みたいだけさ(笑)無理はしないし・・・楽しませてあげるよ』
『すまない・・・』
『マキさん(笑)抱かせろよ・・・』
謝りながら後退りして言った彼の腰をグッと抱き止めた男が囁いた。

『金はいい・・・』
『ん?(笑)タダなら有り難い』
『そうじゃなくて・・・』
どうにも振りきれない男に苦笑いをした男は、ゆっくりと近付いた。

笑みを浮かべた男が自分達へ歩いてくる事に何だと黙り眺めた。

『久しぶりだ(笑)。そいつと終わったなら、前の続きを話そう(笑)。
携帯が壊れてね・・・連絡出来なかったよ・・・』
自分達よりも背が高く、がっしりした体つきだと二人して見返す事に可笑しくて笑った。

その人の笑みに見惚れる二人・・・若そうなのに自分達よりも大人の落ち着きかたに、離れようと男が彼の身ごと離そうとした。

素早く手を外した彼は、その手を引き抱き止める、驚いた顔の男へ微笑んだ。

『またにしなよ(笑)。断られたんだし引き止める理由は ないだろ?』
『 ・・・』
声も低く強く出された事で緊張した男は静かに離れていった事にホッとした。


『綺麗だな(笑)服以外は・・・』
静かな物言い・・・それは自分にだと思え・・・不味いと身構え男を眺める・・・見つめあう事になり・・・その目に吸い込まれていく気がした・・・

高級そうな服・・・きちんとした身なりの男だと思え、自分との差は大きいのだと思えた。

『(笑)どんな仕事を?』
『今は・・・』
『仕事・・・必要なら紹介する(笑)一緒に来ないか?』
『 ・・・ど・・・んな』
そう言って押し黙る・・・ついつい仕事と言われ聞いてしまった。

職を探していた自分・・・見つからず、思わずぶらついた・・・
そんな日々に疲れた頃に知り合いから声が入り・・・迷う間に来てしまったのだ。

そんな自分が情けなくて・・・流され、それでいいと快楽に溺れていた自分の今から抜け出したかった・・・

ジッと・・・歩きながらも自分の返事を待つ人に驚いた・・・何処へ向かうのかも聞いていなかったが、仕事をするかの返事を待つ姿に驚いた。

『ん?(笑)どんな仕事かは返事次第・・・成果が出たなら給与は上がる仕組みだ(笑)。
それでも(笑)始めたら、早々に辞める事もさせてない事は教えてやる』
『 ・・・嫌な』

『だな(笑)好きなら楽だし、嫌いなら辛いかもしれない』
『 ・・・』
『マキなら(笑)、月に30は出せる』
『 ・・・あ、名前・・・』
『さっき聞いた(笑)。それより駐車場についた、返事を貰おう』

『休み・・・それ、休みはありますよね』
『ある(笑)』
『なら、仕事を下さい・・・』
『分かった(笑)、その車に乗れ』
『今?今すぐに?』
『ん?そうだが?』
『 ・・・分かりました』

そうかと笑う人は、助手席を指さし自分は運転席に乗り込んだ。
暫く走っていたが・・・何処へ行くのかも分からず、明るい陽が少しずつ消えていく・・・以外と遠い事に驚いた・・・

『聞いても?』
『ああ・・・』
『バスか電車の最終の時間とか・・・分かりますか?』
『ん?』
『遠いですよね・・・』

『あーだな。それでも君に必要か?』
『 ・・・もしかして住込なんですか?』
激しく驚いた顔で聞いた彼に、可笑しくて笑いながら運転する・・・

『そうだ(笑)・・・私は八雲という。お前はマキだから、それで通せ』
『 ・・・』
『面倒でな。マキなら俺は呼び捨てるが、他の者はマキさん(笑)そう呼ぶはずだ。それ以上の互いの詮索は禁止にしてる(笑)』

『いったい・・・』
『(笑)行ってから教える』
そう言って車を走らせる八雲という男に驚く・・・

他の者と言った・・・という事は使用人のような仕事・・・名前だけで呼べる場所なら会社勤めという訳もない。

だんだんと怖さが沸き不安という思いが自分を狙うように襲い始めた気がした。

『大丈夫だ(笑)、そんなに悪い仕事でもない。
同じ仕事をしてる者がいる(笑)、ヨシというが少し変わってるから面白いぞ・・・(笑)楽しみにしとけ』
『 ・・・』
小さな頷き一つ・・・それだけしか出来なかった・・・


小さなリモコンを押す・・・何だと前を向けば大きな門が開き出した・・・ゆっくりと通り抜けると森のような緑が見えた事に驚いた。

着いたと眺めれば洋館のような家屋があり、数人が玄関のような場所で この人を待っていたようだった。

あとにつき歩く・・・誰もが会釈して通り過ぎるのを待っていた。
『マキ(笑)、来ないと皆が中へ入れない・・・付いて来い・・・』
『 ・・・はい』

『お帰りなさいませ・・・』
『ん(笑)
彼はマキと言う。ヨシと同じ場所にしたから頼んだ』
『はい。ヨシさんは既に待機しておりますが・・・』

『分かった。マキはヨシに任せるから、他を教えてやれ』
『はい。お食事は・・・』
『んー終わったら、カズに言う』
『かしこまりました』

『ん?』
着いて来ない事に気付き振り向けば、室内を驚きながら眺め動けない姿があった。
可笑しくて笑えば、気づいた人が行けと促し、マキは驚きながら・・・慌て駆け寄る姿に笑み返した。


部屋へ入れば服を脱ぎ捨てていく男に驚きながら、何処まで着いて行くのだろうと考えてしまった。
『ヨシ!』
『はい。準備は・・・』
姿を見せた人が自分に気付くと驚いた顔になった。

『お前が仕事を教えろ』
『はい』
『ヨシと同じにした・・・』
『 ・・・はい』
自分を見て動きを止めたマキを眺め・・・未だ視線を外さない事に苦笑いだった。

『えっと・・・』
何をどうするのかも知らない自分・・・この人と同じ仕事かと、新たに見ていれば綺麗な容姿だと眺めた。

そんな自分が可笑しいのだろう、男の笑みに照れながらうつ向いた。
入り込む男のあとを追うが、急ぎながらもマキの腕を掴み引き連れた。

『同じ仕事の意味を理解して、会話は禁止。見て覚えてくれたらいい・・・旦那様に傷はつけずに従う事』
分かったと取り合えず頷けば、ヨシという人は服を脱ぎ下着一枚で入り込んだ。

ドキドキし始め・・・身を強張らせるほどに緊張してくる・・・下着一枚で・・・簡単に想像はついた。
そこはバスルームだ・・・それより驚いたのはヨシという人の声音だった。

下着一枚で分かるのに、顔や声音は女性のようで・・・驚くしかない。


また名を呼ばれたが、2回目に給料の天引きはされていくと声にもされ慌て脱ぎ捨て入り込んだ。
既に男は裸で立っていた・・・髪をヨシが洗っている・・・素早くスポンジをヨシから持たされた事で体を洗うのだと思ってしまった。

『ヨシ(笑)怠そうだな。病院か?』
『すみません・・・』
『それは構わないよ(笑)だから見つけたマキを連れてきたんだし・・・』
『俺ですか?』

『(笑)そ、ヨシが居なくても出来るように頼む』
『そ、それが仕事・・・』
『(笑)そうだ。だからヨシから教えて貰え』
『 ・・・』

驚いた顔・・・身が固まる・・・男の体を洗う事が自分の仕事なのだと・・・
いつの間にか手にしていたスポンジはヨシという人の手にあった。
丁寧に、ゆっくりと滑らせ洗っていた。

謝る声に笑い出したのは彼だった。
天上に添えられたシャワーヘッド、その下へ入る彼・・・その間にヨシは自分へ囁く。

『流す間に・・・前を・・・手は止めず・・・今からするから見てて』
『 ・・・』
何をだと驚いたが、頷き見返せば笑みを浮かべたヨシは彼へ謝り目の前に立ち彼の泡を流した。

払い・・・優しく触れ流していく・・・それは背も同じように始めた。
上から下へ・・・そして彼へ・・・その始まりのようなのに仕事のようでもあり・・・微動だにない彼の姿・・・その間に自分の髪から泡を流す姿に何だと眺めるしかなかった。

終われば湯船へ浸かる・・・笑っていた彼がヨシへ呟いた。

『出たらマキには俺が教える(笑)、ヨシは今日は休んでいい』
『はい、少し教えたら出ます』
『(笑)分かった』
素早く出れば、柔らかなバスタオルで優しく拭かれ・・・バスルームから出て行った。

『ヨシさん・・・』
『(笑)金はいい、貯めるには一番・・・だから貴方は、彼に傷をつけず望まれた事だけしとく。
傷・・・痛み・・・それは給料から引かれてく』

『はい?』
『(笑)取り合えず、これからの事。
バスルームから出たら、このタオルで水滴を取る・・・待たせないように出て、旦那様の居る場所へ行って声を待つ』

『な・・・何・・・何を・・・』
『(笑)明日から、ちゃんと教えますから。早く行った方がいい』
素早く水滴を拭かれた自分に驚いた・・・

『あ、服・・・』
『今は遅すぎる・・・謝りながら取り合えず行って・・・』
早くと急かす人に驚くが、何をするのかという方が気になり進める足も出なかった。

『マキ!早く来い!』
ほらなと囁かれる彼は、何処だと探しながら歩いた。
部屋の扉が開いていた・・・笑う彼が手招く・・・入れば扉は閉じられた。

『今日はしなかったが(笑)』
『なっ何を・・・』
驚き思わず声にした彼に笑う男が、優しく唇へ触れた・・・話を止める事は駄目だったようだ・・・謝りながら男を眺めた。

『俺が湯へ入ってる間に、お前はシャワーで洗い流せ・・・時間短縮だ』
『 ・・・はい』
『(笑)・・・抱いていいか』
笑みながら呟く彼に声を失った。

『特別に(笑)聴いてみたが、いつもなら(笑)ヨシは、俺がベッドに入り寝るまで待機はしてる』
『 ・・・そうします・・・』
次からはという声は話せなくなった・・・塞がれた唇・・・全身は腕の中へ運ばれていて動けなかったが、何より驚いた事で戸惑った。

絡み付く・・・体験さえした事もない熱さは全身へ駆け巡り、力は抜けていくような気がした。
キスもSexもした事はある・・・その快楽に溺れ・・・不味いと仕事を探し、自分から離れた。

それでも疼けば夜へ入り一夜という時間を誰かと過ごす事もあった。
感じた事もない行為・・・いつの間にかベッドにいた自分・・・そうかと気づくだけで先へ自分はどうなるのかも考える事は出来なくなった。

『動くな(笑)』
大の字にさせられた自分へ股がり、両手を押さえた八雲が声にする。
『わ、分かりました・・・』
『(笑)はい、でいい』
『はい』

ナオの返事に笑いながら・・・押さえていた手は撫でながら巡りだした・・・唸りそうで・・・声が出そうで堪らなかった。

全身へ触れ始めた事で体は熱く・・・震え・・・ビクつく自分の体に驚いた・・・笑みが溢れた男の顔に恥ずかしくて自分の顔を隠した・・・動かしてしまったが、いいという呟きは自分の顔の下から聞こえた。

触れた唇に酔いしれる・・・目と口を塞ぎ堪え忍ぶしかなかった。
触れの優しさは、次第に焦れったくなる・・・果てそうな声を知るのか、駄目だと囁かれ荒い吐息は吐き出される・・・自分へ注がれる男の熱さまで手助けしているようで辛くなった。

昂りがまし・・・天に上り詰めていく自分・・・押さえる唇で震える自分の身がベッドへ戻された。
しつように張り付き絡まる手が、深みへ運ばれていく・・・唇が加わり余計に蠢く自分の中で戦った。

忍び始めていた事に、少しずつ感じていくが既に止めようもなく溢れる全てが自分へ襲うようだった。
男が笑う・・・それも恥ずかしくて・・・自分が変えられていく事も拒否さえ億劫で・・・吐き出せない事を知る。

全てに男がいるような錯覚・・・唇が舞い・・・自分のスイッチを探す・・・その笑みは楽し気で・・・色んな思いが沸くのに考えも出来なくなった。

息をする行為までが辛く・・・気づいたのか沈ませた深みで自分を待つような仕草に驚いた・・・大丈夫と言いたげで、男の優しい手が自分を撫でる・・・

持たないと自分へ運ぶ手は、優しく止められ戻された・・・送り出される自分・・・繋いだ手が優しく引かれるような・・・そんな気がした。

何がなんだか分からない・・・朦朧として目の前の男さえ目で見れなくなったマキだった。


目覚めればベッドで寝かされていた事を知った。
熱が出たらしく額にタオルが乗せられていた・・・落ちそうで手で押さえてみれば、スッと伸びた手があり驚いた。

タオルが交換されたのか少しヒンヤリした・・・
『ヨシさん・・・』
『激しかったんだね(笑)。旦那様が連れてきてくれたから寝れてる』
『 ・・・俺・・・』

『あれも君には仕事の一つ・・・
旦那様が帰ってきたら洗って綺麗にする(笑)それから寝室に・・・寝る日もあるけど寝ない日もある・・・寝付きが悪い時はマッサージをする』
『仕方も・・・』

『(笑)本格的にしなくていい・・・全身の血行が良くなるように触れてく(笑)優しく擦ってくだけ・・・寝たら(笑)その日は終了だから自分の部屋に戻ればいい』
『風呂の掃除とかは翌日に?』

『掃除には掃除担当の子達がいるから、しないで。仕事が無くなったら辞めるしかないから・・・』
『 ・・・』
『高い給料が貰える場所だからね(笑)。マキさんは旦那様の世話を・・・それだけよ』

『 ・・・それ以外の時間は?』
『自由時間(笑)。手が空いて暇と言うならマサさんに聞いて時間を潰すといい』
『ヨシさんは?』
『お金が貯まったから出れる(笑)。直ぐじゃないから安心して・・・』

『娼婦みたいだ・・・』
『 ・・・(笑)風呂係り・・・その間の話し相手だったり・・・
(笑)本当に時々だけど、違う人を洗えと言われる事もあるし・・・それも丁寧に(笑)迷わず出来たら給料も上がるから・・・』

『辞めるには?』
『(笑)下が出来たら・・・
それでも少しずつお願いはする事・・・でも来月とかじゃ無理(笑)頑張れ』
『ヨシさん・・・ヨシさんは辛くない?こんな仕事・・・』

『(笑)嫌いじゃないし。
昔は誰でも抱いて遊んでたし(笑)、こんな容姿だからヤバいって事もあったけどココに来て楽になった』
『もしかして本当は・・・』

『ん・・・女性になりたかった・・・
(笑)子供の頃から女の子の格好で暮らしてもいたから・・・回りは気味悪いって・・・本当に好きな事も出来ず、気持ちも理解してくれなくて。
自分が可笑しくなりそうで・・・家を出たら楽になった。マキさんは?』

『仕事探しで人生が終りそうな気分だ・・・世へ出たら職場に馴染めず、寂しくて・・・』
『ずっと男だけ?どっち?』
『両方(笑)・・・俺は気にならなかった・・・熱い体を冷やしたくて(笑)それだけで誘われたら・・・誰・・・』

『(笑)そっか。同じだね・・・だから誘われたのかも』
『最初から資金を貯めたくて?』
『そう話したからね(笑)』
『口調が(笑)性別を越えてる・・・』
呟きながら笑むマキにキスをしたヨシに驚いた・・・

『(笑)本格的に体に教えるから・・・誰かへ回されないように身につけな』
『 ・・・まわ』
『(笑)そんな家系みたいだ。前の人は旦那様の従兄弟の所に行ったよ(笑)上手と誉められたとか聞いてる・・・』

『俺、俺は・・・』
『次が来ない事を祈って(笑)、旦那様を大事にして・・・鍛える(笑)・・・体力をつけて・・・かな』

笑いながら話すヨシに苦笑いをする・・・行為は嫌いでもない・・・何処まで自分からと思った瞬間・・・それは本当に娼婦のようだと思えた自分に苦笑いをした。

それでも金は貯まり、いつか彼のように出れると夢見た。
求められる以上の事が出来るかは分からないが、努力はしてみようと思えたマキだった。


うぇいと 42

2018-08-06 01:06:22 | うぇいと
※ちょびっと・・・


黒川結陽の息子、尚の迎えで、もしもの為に美羽の登録をと雪吹から言われシャインヘ一緒に向かった。

緊張した顔の柚原美羽・・・笑いながら結陽が入ろうと促した・・・出迎えたのは雪吹だった事で彼女の緊張は少しほぐれた気がした。

笑みを浮かべた雪吹は美羽の子、晴翔を眺め抱っこする・・・いつもなら泣き出す子が泣かなかった事に美羽は驚き・・・結陽へ振り向けば笑っていた姿に苦笑いだ。


ようやく、しっかりしてきた晴翔・・・少しずつ仕事を始める準備をすると雪吹に報告するように美羽が連絡を取った。
ならばと折り返し連絡した雪吹・・・

『問題は定員(笑)、言ってみるけど大丈夫っていえないのよね』
雪吹に言われ確かにとも思えた結陽は礼を言って電話をきった。

想像通りだ・・・10組もない家族・・・そこへ兄弟がいれば、その子を預ける家もある。
広さはあるが・・・それでも子供たちを見ている先生より、他のスタッフの忙しさは目で分かる。

子供に気づかれないが、色んなやり取りは 誰かの保護者とある。
そうそう幼稚園のように、親の時間を押さえたりもしない・・・保育園という位置にあるシャインだから。

子が増えたなら先生も増やすしかないだろうが・・・お願いも出来ない。


子供をあやす美羽を眺める・・・一緒に笑う尚の笑みに顔は綻ぶ。
店の許可は貰った・・・それでも子供が小さいだけに、暫くは時間も早めに帰され日数も試しだからか週に何日かと言われた。

甘えるわけにも行かない・・・それは美羽には助かると思えたが、本人は生活を楽になるように・・・それだけだ。

子が小さい今だけ助けて貰えるのに・・・それが嫌だと始めるのだ・・・続けられるのか分からない・・・今日までの日々の生活は結陽が ついでと賄っていたから。

自分だけで始めてもいない・・・出来るのかという不安はあれど、本人の意思も強い・・・頑張れと祈るしかないと結陽は思えた。

新たなルールをと美羽が照れながら呟く・・・知らぬ間に自分で探していた。
雪吹は美羽から連絡を貰ったのに、返事は自分へだった事に苦笑いだった・・・そうだったと笑い、暫くは無理だと謝りの連絡をくれた。

それが一昨日で・・・保育園の空きを探して来たと言った。

『やっぱりね、近場が他より少し高いけど園長は優しそうだったし(笑)空きも余裕だって言ってた。
で、取り合えず申し込んで来たの』
『もう?』

『そ(笑)、勝手にごめんね。だけどねユウちゃんが言ってた場所(笑)だったから大丈夫だよ』
『ほんとに?』

『えっとね(笑)、まずは試しでってお願いしたらOK貰えたの(笑)。慣れなかったら困るし泣かせるのも怖いって(笑)、だからクラブのママが言った時間で始めるよ・・・』

『(笑)気付いたの?』
『ん(笑)、子供も私も・・・慣れる時間が必要で・・・晴翔を置いて働く自分を作ってから店に入れ(笑)そういう事でしょ?』

『けっこう辛いからよ(笑)、寝たい時間に居ないんだものね・・・寂しくて泣くし・・・置いてく自分は辛いし(笑)気になるし・・・』

『働かないとだからだね(笑)、それでも尚君は頑張ったから・・・小さな子供は親よりも頑張れる(笑)そう思ったから晴翔も尚君みたいに強くなって貰わなきゃだ・・・』
『だね(笑)』

『だからね、慣れるまで時間かかるかもしれなくて・・・尚君もユウの時間に戻したら・・・大変かな』

『ちゃんと言うよ(笑)生活する為に働くから一緒に頑張れるって・・・
美羽が頑張る時間に私は交ざらない(笑)たぶん』

『たぶんじゃ駄目なの・・・晴翔と私の生活時間を作らなきゃだから・・・ユウの場所に完全に浸っちゃ駄目だけど、疲れたら癒してくれる?時々でいいから』

『了解(笑)。仕事上がりの互いの時間から家族の時間にしよ』
『(笑)そう頼もうと思ってた・・・私は暫く早いけど、晴翔を迎えに行ってから(笑)ユウ達が帰ってくる間は親子の時間・・・』

『(笑)部屋に入ったら家族の時間にするって事ね。了解(笑)』
頑張ると、色んな話をしながら考えた・・・思いの外、子供中心だった事で昔の自分を思い出した。

それでも彼女が気付かなきゃと思え、黙り途中で自分がされたように助ければいいと静かに聞いていた結陽だった。

お昼寝と尚が静かに晴翔の隣へ寝そべった・・・その寝息につられたのか晴翔も眠りへ入り込んだのだった。


家事は全部すませていた結陽・・・大人の時間だと静かな空間に浸っていたが・・・ベッドに頭を凭れ眠る美羽の姿に苦笑いだった。

疲れそうな体型で寝ていて、滑り落ちそうだった・・・自分でも分かるのだろう眠そうに元に戻す・・・楽な場所を探し、諦めたのか床へ自分を寝かせた事に静かに笑った。

可笑しくて笑った結陽に気づき・・・美羽は笑みながら手を伸ばした・・・結陽の足へ触れる・・・

睡魔へ入る儀式のように結陽の足を撫で巡らせ・・・静かに忍ばせて浸り出した・・・笑みを浮かべた美羽の顔に苦笑いをした・・・
そっと顔を近付き甘い声で囁く。

『(笑)煽らないで声にしてくれたら・・・イカせてあげるよ』
美羽の首もとから流れ 忍ばせた手が捉える・・・ビクン!と揺れた美羽は照れ、結陽は微笑んだ。

潤む目は結陽を待つ・・・それでも忍ばせた互いの手は、何かを求めるように蠢いていた。
美羽の足が震え指まで何かに耐えていた事に笑み、静かに美羽へ添うように寝そべった。

美羽へ触れていく・・・裾から忍ばせ身へ運ぶ・・・その手へ神経は集まり始めた彼女がいた。
視線が触れる・・・赤らめた顔・・・気持ちいいのか目を潤ませた笑みだった・・・

『キス・・・したいのに・・・』
小さな声で呟く美羽に微笑んだ・・・
『同じ事をしてあげる(笑)』
聞いた美羽が跳ね・・・それは結陽へ触れた手が答えた・・・

足から運んだ場所へ辿り着けば、待っていたのだと答えたような状態に結陽が微笑む。

照れながらする美羽を感じ、それは彼女へと返した・・・自分はこうされたいのだと・・・だから頼むという彼女に笑った。

足りなさは我慢する・・・優しく触れれば彼女も足りないのか集中するような行為に変わっていった・・・。

あの二人を思い出してしまった・・・暫く夢にも出なかった彼女・・・ミホの姿を思い浮かべる・・・美羽とマイが重なる・・・よりハッキリと綺麗に重なる事に苦笑いだった。

それでも自分の今を感じていく・・・気持ち良くなりたくて・・・ただ、それだけで自分へ触れる・・・

ふと過る・・・ミホと似た雪吹の触れ方だった気がした・・・想像していた触れ・・・自分に触れた彼女と思いたくて・・・頼みたくて・・・同じようにと願った自分もいた事に気づいた。

そう感じた瞬間・・・自分は雪吹へミホを重ねていた事に気付いた。

だから印をつけた・・・彼女の人肌が恋しくて・・・それでも・・・本当にした記憶は本当になかった。
あの手が恋しい自分なのだと、それはミホの手だったと・・・今更ながら気付いた。

静かに悶え自分を待つ美羽・・・ミホは、こんな思いでマイへ向けていたのだと知った。


ワンピースの裾を戻して彼女を見つめた・・・寄り添える気持ちはなかった自分・・・それに気づき、いつか出ていく子なのだろうと思えた結陽だった。



次のステップと新たな生活は始まった。
美羽の生活リズムは安定した事にホッとした自分に笑えた・・・ならばと自分を鍛えるべく日々を尚と過ごした。

寂しかったのだろう尚の笑みに、自分は美羽と晴翔を真ん中に置いた生活をしてきたのかと驚いた。

尚を見ていなかった訳でもない・・・なのに尚は我慢していたのかと思うほどに見え、ゴメンと謝りながらギュッと抱き締めた。

謝る為に抱いたのに嬉しそうな笑みで自分を見ていた尚・・・これからは二人が幸せになる為に頑張ると尚に誓ってキスをした。

嬉しそうな照れた笑みで頬へ触れた尚が自分を見つめる・・・何だと笑いながら見返せば、ニタッと笑った尚が頬へキスをした。

『(笑)嬉しい・・・尚が大好きだよ』
『僕も(笑)、可愛いから好き!』
首へ小さな手を回して自分を抱き締める子に微笑んだ結陽だった。



久しぶりの休みだと二人で出かけ、疲れた顔の尚とベンチへ座った。
水分補給と飲ませている間に、おやつと鞄から取り尚に食べさせた。

本当に久しぶりだったからか、嬉しそうな顔は止まらず会話も いつも以上に多かった。


『(笑)名前は?』
不意に自分達の目の前に立ち、驚く間に腰をおろして子供を眺める人に驚いた。

微笑んでいたからか怯えはなく不思議そうに、その人を見ていた尚。
膝に手をのせ笑う人・・・見覚えのある顔に結陽が驚いた。

『ママのお友達?』
『(笑)むかーしね』
『ナオです(笑)。おじさんは?』
『(笑)おじさんかよ。俺はトオル(笑)、ナオはママと』

『(笑)デートしてる。トオル君もお魚見にきたの?』
『まーね(笑)。おっきくなったな』
『(笑)もっとなるよ。トオル君みたいに』
『そっか(笑)』
二人の会話を驚きながら見るしかない結陽だった。

後ろで数人がまだかと彼を待っていた・・・彼の相手だろう彼女が怒りを抑え自分達を睨み彼を眺めていた。

『(笑)久しぶりだ』
結陽を見つめ呟くトオルに笑み返し視線を後ろへ向け彼を見た。
『分かってる(笑)、凄く久しぶりに見て驚いた・・・元気そうで助かった』

『行って(笑)』
『俺さ・・・』
『(笑)彼女から攻撃されそうで怖いから行って・・・』
『ママ・・・大丈夫だよ・・・』
自分の手を掴み呟く尚に微笑んだ。

『(笑)行こっか』
『うん!(笑)じゃね、トオル君』
『おっおう・・・』
『さよなら(笑)。会えて良かったかも』
『 ・・・』
そう言うと笑みながら結陽は尚と手を繋ぎ場を離れたのだった。


驚いた・・・先に気づかれた理由、それは彼が覚えていたからだ。
自分の子を勝手に産んだ女なのに、少しでも覚えてくれていた事に不思議とホッとした自分がいた。

何より一度は会えた・・・尚は大人になって、微かな記憶があればいいと思えた・・・何より写真を残しておいた・・・水族館・・・そこで会ったと言える。

いつかまでの緊張は残る・・・それでも尚と家族になりたくて産んだ・・・どうどうと言える自分を誉めた。

『むかーしの(笑)お友達に会えて良かったね。(笑)嬉しいね』
『そうだね(笑)良かった、覚えていてくれて』

『格好いいもんね(笑)。また会えたら僕から、(笑)久しぶり!って言ってみよっかな』
それは楽し気に言った尚に驚いた・・・

『ん?』
何だと首を傾げ自分を見た尚に苦笑いだ。
『(笑)トオル君が驚くね。楽しみに待ってるかもね』
『でしょ?(笑)驚かそーっと!』

小さなスキップを始める楽し気な尚に微笑んで見つめる結陽だった。

それでも、フッと笑えた・・・彼は誰だと思い出す間に・・・当時、住んでいたアパートや彼女の事を思い出し、彼が歩いてきた姿を思い出した。

その、記憶でもなく・・・尚がお腹にいて・・・産む報告をした日の時を思い出した・・・・・今、思えば彼にも感謝だ。

産む事に反対もなく・・・自分ならという声だけだった・・・もちろん聞き入れなかったろう彼の言葉も、自分は聞かずに終わらせた。

そして初めて、久しぶりに会って迷わずに声をかけてきた・・・
本当の彼の名前は知らない・・・店で使う源氏名かもしれない・・・隣の住人・・・時々会う知る人・・・そんな関係だった。

それでも黙って会話を聞いてくれた事に感謝だった・・・本当はいい人だった事が知れて良かったと思えた。



==

驚いた・・・見覚えのある可愛い笑みだと思えた。
優しい笑みだった、今は余計に見惚れる笑みと思え視線を向けていた・・・その笑顔の先に小さな子がいた事に気づいた・・・

誰だと思い起こさなくても、瞬時に誰かと気付いた・・・
まだアパートで暮らしていた頃に見た子だ・・・同じ住人には笑みで挨拶をし、年配の人の手助けもしていた・・・今時・・・そんな優しい子もいたかと思っていた・・・


あの時、酒と薬で記憶は飛んでいたと思った・・・久しぶりだったからか余計に自分の何かが弾け、いいかと彼女を利用してしまった。

自分との相性も良く反応が激しく、自分でも気づかなかった。
事の終わりで避妊していなかったと笑うしかなかった。
それだけだった・・・

他人として・・・それだけの言葉は今も突き刺さった骨のように今日まで、何かにつけ思い出していた。

その言葉は自分を、何かから気付けと思い起こされ、自分を引き止めていた・・・
いつからか気になる日々はあった・・・無事なのか・・・本当に産んで育てているのか・・・

今の生活は大丈夫なのか・・・他人の自分が気にしても・・・そんな思いで自分を嘲け笑った事もあった。

それでも・・・考えても仕方ないと日々を過ごしていた・・・それから数年だが、本当にふとした切欠で思い出す日々だった。

その彼女が目の前にいた・・・代わらずに笑みは優しいと口を引き・・・友達が声をかけても気付かないほどに見ていた自分だった。

見失い・・・がっかりした自分と、今更という思いが交差していく・・・
水族館を出て、何処に行こうと話し合っている間に彼女を見つけ・・・無意識に歩く自分がいた。

友人から呼ばれた事は知るが、子供と話したい思いが先にあり近付いてしまった。
まだ呼ぶ人へ、歩みは止めず手で合図するように見せながら離れた。

彼女の笑みは柔らかで、大事に育っていた事に・・・何より本当に産み育てていた事に驚いた・・・

可愛い笑みで自分を見ていた子に嬉しくて、その自分まで笑みが溢れた事に苦笑いだ・・・そんな自分もいたのかと。

会えて良かったかも・・・その彼女の声にホッとした・・・確かにと思える・・・自分の子だが・・・話をした子は彼女の子供だ。

元気に育っていた事で満足出来た気がした・・・何より、他人と言われた言葉は上書きされていた事に気付く。

互いに見つめ笑みあう親子の笑顔にホッとした・・・繋ぐ手が揺れる・・・その二人の後ろ姿を笑みながら見つめるトオル・・・

会えて良かったかも・・・彼女の優しい声が響く・・・・・それは自分にもだと思えた・・・ちゃんと生きなきゃと思えた瞬間のような気もするトオルだった。

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うぇいと 41

2018-08-05 01:25:13 | うぇいと

ある日・・・・
会話を楽しむ雪吹、警備のおじさんと話していた・・・

『ん? (笑)今日は休みじゃなかったのか?』
視線に入ったのだろう、おじさんが道向こうを歩く彼に声をかけていた。

『(笑)そうですけど、その彼女とプライベートな話をしたくて・・・来てしまいました』
『 ・・・』
この子とかと驚きながら彼女を見れば、同じように驚いた顔だった。

『成見君(笑)、君がプライベートでも、ここに居る彼女は仕事中と分かるだろ。あと数分しかないぞ?』
信号で立ち止まる彼に言った。

『(笑)その間でいいです。時間下さい・・・』
青信号にホッとして走ってきた彼が、おじさんへ謝った。

『すみません・・・お断りします、彼氏も居て話をする事はないと思いますけど?』
『(笑) 自分を見て貰って・・・貴女の休みに自分へ時間を』
『お断りします。貴方への興味はありません』

『 ・・・本当に居ると・・・嘘じゃなく』
『います。子供たちが話したので、知ってほしくて彼が買ってきましたけど・・・』
そう言いながら指にあるモノを見せれば、ムッとしながら眺め素早く指輪を引き抜いた彼の行動に驚いた。

『彼の想いなら必要ないです。俺との事・・・考えてくれませんか?』
『それを取られても私は変わりません』
取った指輪を見せながら彼は呟き、雪吹は眺めながら彼へ言った。

『なくしたとバレたら』
『貴方の良心に気付いて欲しくて買ったんだと思います。
それが無くても大丈夫です。欲しいなら差し上げますけど・・・』

『成見君・・・彼女が好きだったのか・・・それでも諦めなさい。ちゃんと断ってるし彼が居ると言った。

指輪をしているなら大事な彼女を守れる男だろ・・・その彼が聞いても出てこない・・・彼女を信じてるし、君を信じたからだろ?』

『 ・・・』
『普通、相手がいるなら指輪から確認する。してなくても・・・好きな人もいる・・・君が聞いて彼女は居ると言った。
君の思いはそこで終わりだろ?』

『自分が思い続けても・・・』
『確かに・・・それでも彼女へ向けたらダメだ。彼女には相手がいる・・・悲しませる思いなら・・・諦めた方がいい』
『 ・・・俺は!』

グッと捕まれた事で、自分に気づく・・・駄目な言動なのだと・・・おじさんの悲し気な顔も辛くなった。

『相手を辛くさせる想いは凶器みたいに痛い・・・君も・・・彼女も・・・』
『やっと・・・やっと見つけたのに』
グッと耐え悔しそうに呟く・・・

『そうだったか・・・それでも駄目だ・・・脅し、悲しませ、辛くさせても君と同じ思いは彼女が拒否してる。
だから話さないし聞かない・・・彼女には大事な人が居て、彼を守る為に自分を君から離しているから・・・』

無駄だと諭すように声にした おじさんは彼を警備室へ連れていった。
ホッとした雪吹・・・車に凭れれば、開いた窓から彼女の頭を撫でる手が伸びた。
口を引く・・・苦笑いをした彼女は子供たちを待った。


頭を撫でられている彼女の姿に、申し訳ないとおじさんは思い・・・彼を見た。
泣きそうな顔で、同じ方を眺め項垂れる・・・ホッとした笑み・・・彼女の笑みは自分へ向けられなかった事を知った。


『わーお(笑)。一緒に行くの?』
車へ入り込もうとした子が驚き叫びながら入り込んだ。

『デートして帰ろー(笑)』
次に乗り込んだ子も楽し気に乗る・・・雪吹はおじさんへ会釈する・・・
『ごめんよ・・・』
大丈夫とクビを振り笑み返すと、ドアは閉めず運転席へ行ってしまった。

車から下りた男が、警備員へ会釈する・・・そのままドアを閉め助手席へ乗り込んだ。

走り出して行く車を眺め・・・ため息をしながら眺めた。
『たいしたもんだ(笑)。車から出て彼女を守りたかったろうに・・・』
『俺・・・』

『若いんだ(笑)成見君を大事と思う人は必ず現れるさ・・・自分を磨く(笑)その間にな・・・』
『はい・・・
あの・・・何で俺は・・・』

『あとでな(笑)、
ほれ!点滅してるよ!(笑)待たないとね・・・』
走り出そうとした子を捕まえて信号をみせる・・・苦笑いして謝り、礼をした子に微笑んだ。


『(笑)互いの心が同じなら、激しく思う自分を受け入れてくれる。
片方だけが強いと(笑)相手は重くて逃げる・・・捕まった気がして怖くなる(笑)。

自分が好きだからと、急に近寄れば相手は何だと身構えて怖くなるだろ・・・誰かも知らないのに(笑)。
少しずつ知り合う・・・(笑)君はそこから始めないとね・・・』

『 ・・・』
『知らない子が目の前に立って(笑)好きだから隣で待つという姿を想像してみな・・・
ここで仕事をしてる間も(笑)隣で手を繋げと叫ばれたら?』

『それ・・・』
『家に帰ると、自分を待ってたと笑って待たれてたら?話がしたいと待ってたら?』
『 ・・・』
『(笑)これが好きで、何処へ行く・・・自分を見てくれ・・・そんな言葉で話されたら?』

『知らない・・・』
『(笑)相手は君を見てた・・・相手は君を知るぞ?』
『 ・・・』
『(笑)困るよな・・・』
『俺・・・挨拶しか・・・』

『してなかったよな(笑)彼女とは。話してたのは私だし(笑)、君が挨拶すれば返してたが・・・君は話に交ざらないし、彼女もそれ以上(笑)声もかけなかったろ・・・』
『はい・・・そうでした・・・なら、話せば・・・もしかして』

『違う(笑)。君は彼女の恋愛対象じゃなかった。仕事中だし、彼氏がいたから誤解されたくなくてだろうな・・・彼女は君へ答えを言ったんだろ?』
『 ・・・そうでした・・・相手は居ると』

『ちゃんと理解出来なかったんだな・・・(笑)いつか、誰か本当に好きになった人が出来たなら・・・自分を知って欲しいなら、会えた日から少しずつ・・・ゆっくり挨拶から始めたらいい。

自分だけを知って貰うんじゃなく(笑)相手ごと回りの話から・・・』

『少し・・・』
『そうだ(笑)ゆっくりとな。君に合った方法も見つかるし、君に好意を持つなら相手からも話始めるさ(笑)きっとね』
『すみません・・・』

『いーや(笑)、仕事中だったが・・・子供たちが一気に早く帰ってくれたから話せたな(笑)』
良かったと笑う人に感謝した・・・友達に強引過ぎると言われても分からなかった。

知って欲しくて気持ちが急かす・・・誰かを好きになる前に自分を見て欲しくてだった。
確かに怯えた目で自分を否定する・・・無理やり触って居ないのに自分を拒否した子に驚いた事もある。

自分を知らないのに強引に・・・確かに怖いと感じた・・・女性からいい寄る事は怖かった自分もいた。
好きでもないのに・・・そう思えた瞬間、おじさんの声がした。

自分は知らないのに相手は知る・・・余計に怖さをあたえた自分を知った。

理解したのだと思えホッとした・・・良かったと背を撫でる・・・帰ると言う成見を優しく見守った おじさんがいた。



『力は抜いといてね(笑)』
シートベルトをしながら雪吹は自分へ声にする・・・同じ場所を眺めれば、ギュッと握り締めていた自分の手は真っ赤だった。

苦笑いだ・・・自分がした事で、これからもココへ通う彼女が狙われたらと思った。
その男が来た事に気づき様子を見て出ようと思った。

それでも、警備係の人が間へ入り声にしてくれていた。
出たい衝動を抑え我慢した・・・雪吹が自分へ助けを求めたら出ようと身構えもした。

指輪を取った事で、余計に手を握り締め・・・彼女の言葉で我慢した。
取り合えずの指輪だ・・・本気の指輪なら一緒に選んでつけたかった。

だから、どうでもいいと適当に買って彼女に身に付けさせた・・・無くしても気にしない・・・彼女が大事だから・・・彼女がいればいいから。

自分だけの女だと叫んで、近寄る人達を退けたい・・・それは本音だ。
それを わざわざしなくても、自分のだと言った雪吹が恋しくなった。

目の前にいる・・・身を引いてくれた男にホッとし・・・自分のだからと離れた彼女が恋しかった。

幸せ・・・そう思えた瞬間、余裕が出来たのか子供達の姿が目にはいった。
フーと息をはく・・・仕事モードにと気持ちを切り替えた雪音だった。


手を擦り大丈夫と笑う自分を確認して車を走らせる雪吹を眺め・・・気づかれ口を引いた彼女に照れた。
誤魔化すように子供達を眺めれば、楽し気に話をしている姿があった。

気分は軽くなり、そっと彼女の頬へ触れた雪音だった。

『(笑)運転中』
雪吹の呟き・・・
『運転の邪魔でーす(笑)』
『触っちゃダメでーす(笑)』

目敏く見つけた子供達の呟きに謝りながら前へ視線を戻した雪音に笑い、良く出来たと笑いながら楽し気で偉そうに呟く子供達に笑ったのだった。