tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

2023 ハロウィン −3

2023-10-31 12:07:09 | イベント 関係の お話



町中へ連れ出されたアン・・・ジェイドとリンジェ、そしてサリが自分を挟んで歩く。

それをしても無駄のような気もするが、多少は防げるとリンジェが手を引く。

小さな子供のような扱いに苦笑いしかない・・・それでも兄達は自分達に必要なモノを求めに来たのだ。

賑やかな通りから外れ路地裏のような細い道へ入った・・・怪しげな木製のアーチ・・・そこから先の町並みの雰囲気が変わった事に驚いた。

ひしめき合う店は表の通りで見たような客を呼び寄せる声もない・・・ただ軒先に垂れ下がる看板で何を売っているかは知れた。

路地裏へ入る前に顔まで隠されマントまで着せられた・・・一門のように揃いのマントを誰もが羽織っていた。

深く被るフードで顔も二重に隠せた・・・今度はサリが自分の手を隠すように繋ぎ引いていた。

そういう場所柄か不穏な・・・邪気のような気配もない事には驚いた・・・邪心を持つ何かさえ見えずホッとした。


順番のように選んだ店へ入る・・・ジェイドは護符の札を選び買い求めたようだった。

その隣にある店が気になりサリへ頼み一緒に入った・・・

大小様々な鉱石や玉が並ぶ店へアンジェが行きたいと繋いだ手を引く・・・何かが気になったようで視線は店内だった。

手に取り見たいのか離そうとした手を慌て掴めば驚いた顔で振り向くアンジェに苦笑いだ。

数珠のようにも作れるようでバラでも売っていた・・・いいかと見返すアンジェに笑み・・・一緒に眺めた。

小さな玉・・・加工された石を二つ・・・それより少し大きめの玉を一つ・・・玉を選ぶ為に手に乗せては眺め、違うと別の石を手にする。

店主も気になったのか笑みながら眺めていた・・・これを通す紐まで厳選する・・・選んだ石を通すアンジェの手を眺めていた。

『嬢ちゃん(笑)選んだ理由はあるのかい?』
『ないです(笑)』

『同じ種類の宝玉なのに選んでいたろ?真ん中のは(笑)魔除けでも使えるモノだしな』

『(笑)微妙に形が違ってるから、纏めた状態を想像して見てました』
『それで完成かい?』
『はい』

買ってと微笑んだアンジェに店主とサリが笑った・・・


二つの首飾り・・・色も形も微妙に違う・・・同じなのは石が三つだけ紐に通されているだけ。

大事にと両手に包むアンジェに笑み、サリは代金を払うと店を後にしたのだった。


そのサリが買ったモノはベルトだった・・・それは特殊な作り・・・小さな小刀が飾りのように取り付けられていた。

ベルトへ装着する小刀、その予備の材料まで調達していて驚いた・・・リンジェは薄刃の剣・・・新たなモノを手にしたと教えてくれた。

これはジェイドも身へ着けている・・・そして懐にも護符を出せるよう しまいこんでいた。

それぞれに調達している兄達・・・腕もある事は凄いと思えたが、それは必要に迫られている今の状態なのだと分かる。

自分を守るすべの腕もない事は早々に知った・・・出来るのは皆が見えないソレを祓い滅すだけ。

今も それさえ本格的にもさせて貰えない状態だ・・・確かに無闇に知られては不味い。

なぜなら腕があるだけで利用されていくから・・・町中でも声をかけていた様子は見た。

グッと腕を捕まれ連れられていく姿もあった・・・試される人もいて、それは逃げている人の姿で気づいた。

より腕の良い人を手にする・・・そんな雰囲気はあり戸惑った事もあると思い出した。

その瞬間瞬間で記憶は甦る・・・そうだった・・・それは違ったと自分の記憶と比べる自分がいた。

今は、兄弟達が手にしたモノの使い道が気になった・・・モノによっては力より腕が必要だ。

祓う力より、防ぎ守る為に必要なのだと知る・・・連れ去られる事を防ぐ・・・皆を、自分を守る為に。

自分が出来ず申し訳なく思えば皆から優しい笑みで見つめられる・・・大丈夫だと言いたげな顔・・・任せろという強い笑み・・・そんな気がした。

ジェイドが肩を組み自分に笑う・・・顔を覗いては笑う姿に苦笑いだ・・・肩にあった手が頭へ流れ優しく撫でた。

ふと甦った記憶に照れた・・・今の状態で両手を広げればジェイドの背を通り過ぎた自分の手はリンジェと繋いだ。

反対の手はサリが笑いながら繋いでいたのだ・・・だから両手を広げてみれば・・・直ぐに両手は温まる。

仲良しなのだと照れるが、溢れる笑みは余計に自分を安心させていくのだった。



買った首飾りの一つをクレアにかけて眺めたアンジェだった・・・

アンジェから貰った首飾りを眺める・・・真ん中にある石・・・透明な部分が僅かに光る・・・それに驚けばアンジェが微笑んだ。

その光りは自分だけが分かるようで驚いた・・・シュッと濁る空気が澄んだような気までする。

目の前だけの気もしたが自分の中は落ち着く・・・これは不思議だとアンジェに見返せば笑っていた。

礼をして笑み返す・・・そっと自分の手を掴み玉へ触れさせる事で何だと眺めた。

綺麗な何かが自分の中へ染み込むようで驚いた・・・そんな気がするだけだが、自分の中から出た後の気持ち悪さ・・・その残る違和感さえ簡単に消えていった。

それは今までのモノを・・・自分の中で燻る何かを全て浄化してくれたような心地よさを覚えた。

大丈夫かと自分の顔を覗き確認するような彼女に苦笑いをした・・・それでも気分も良くなれば笑み返し頷く。

良かったと、ホッとしたような笑みにアンジェを抱き締めた・・・驚くが照れた笑みになった彼女と微笑んだ。



日々・・・練習だとアンジェが外へ出る・・・それぞれに出ては身を鍛えた。

その間も互いに話し合う・・・戻る戻らないの話し合いは次の話し合いでと、今日じゃないと終わらせてしまう。

いつしか、物事が起きた場合の対策方法まで声にし始める・・・書物を探し読み漁る・・・時に借りて読ませて貰った。

より知識は増えていく・・・実践と試してもみる・・・似た話を聞けば出向き教えて貰った。

より知る事で不思議と腕が上がり始めた・・・隣町へ出向き仕事と対峙し腕を磨いた。

容姿は出さない事で探されても見つからず密かに戻る兄達に苦笑いだ・・・

そして・・・兄のジェイドが少しずつだが気持ちを固め始めた・・・リンジェとサリの三人で話し合う機会は増えていて気づいた。

他の兄弟達まで迷い始める・・・クレアだけが不安そうに眺め聞こえないふりまでしていた。


その日・・・フッと気持ちを固めたジェイドが皆へ話をした・・・それは戻り終わらせたいのだと。

ガンとバズは迷っていた・・・バズはクレアの様子を見ながら話をしていた・・・視線さえ外さない。

三人で鍛えてきた・・・バズとビズはクレアとは違い祓える・・・タナーとエリンは身を守れる。

皆より力はないが身へ入り込まれるのはクレアが一番多くビズ達が守っていたのだ。

霊媒という面でいえばクレアが一番といえる・・・そこに目が向かないよう隠してきたのだ。

バズと知り合ったガンの誘いで村を出たようだった・・・それぞれに出会い話を聞けば似た地域で驚く。

より細かく聞けば互いに近くて余計に戸惑った。


捧げるのではない・・・説得される事もなく、知れず連れ出される事まで同じだった。

互いに暫くは追っ手が多く焦った事まで・・・なんとか逃げては回避する方法を探してもいた。

掟のような鎖は取れない・・・繋がれ生きていくよりはと密かに出たのだ。

祓う事は増えているのに何故か集まる零体・・・消える事もない・・・吸い込まれてくるモノに怯えはないが逃げる手立てしかなかった。

その間に祓える者が誘き寄せる事は知ったが仲間を助ける事までしてくれない。

両親は同じ日に連れ出された・・・それは予測したのか母が密かに連れ出し自分達へ理由はと教えてくれた。

その儀式さえ幼いアンジェまで連れ出し見せられた・・・声も出ない怖さ・・・有無のない儀式は行われていた。

輪になり呪文を唱えている人達の真上に濁った何かが集まり蠢くのように揺らいでいた。

ようやく纏まったのだろう輪になっている人達の手が下がる・・・すると輪に交ざっている一人へ吸い込まれていった。

『人が人の中に入ってくよ?何人も・・・なんで?』

小さなアンジェが囁く言葉で、不味いと母はジェイドへアンジェを抱かせ静かに戻れと促された。

驚いたアンジェが叫びそうで見つからないように、泣かせないよう頑張って走った。

途中でサリへ戻れと促しジェイドは戻る・・・その後の出来事はジェイドから聞いて知った。

父親が母親を生け贄として捧げたのだと・・・その日から次はリンジェだと教え始めた父親・・・ならばとアンジェまで連れ出し見せていた事を知った。

アンジェの為に考えるサリ・・・ジェイドはリンジェと話し合い、密かに村を出たのだ。

そこへ戻る怖さは、今はもうない・・・不思議と気持ちは固まった自分達を褒めた・・・

これは間違っている事だと思っていた二人にジェイドは気持ちを固めたのだ。

なによりアンジェの強さにホッとした・・・だから戻る為に鍛えてきたのだ。

同じようにバズもガンも頑張ったが自分の兄弟に強いる怖さは取れていなかった。

気にするなと笑むジェイド・・・先に向かいカタを着けるとまで呟く事に戸惑う二人もいた。


いつものように練習だと山の麓に向かう・・・何故か怨霊が現れる場所だと聞いてきたのだ。

遥かに質の悪いモノが多い・・・なのに今回、ジェイドがアンジェまで連れてきて驚いた。

サリが手にした小刀・・・シュッと降り投げれば、空を流れながらも木の葉のように流れ黒く集まり始め固まる中へ飛び込んだ。

その一瞬で散った事には驚いた・・・黒く揺らぎ集まれば人の姿になった。

それはアンジェへ向かうがリンジェが出したモノで切り捨てた・・・散ったが静かに消えていった。

その繰り返しが始まったが、サリが何かを空へ放った途端に集まり始める・・・そこへアンジェが呪文を唱え指先を流した。

チリチリと集まる場所へ線を引くように炎は素早く流れていく・・・包むように渦巻き囲い始めた。

近場で人の形になった邪気へ螺旋のように足元から絡み始める・・・動きは止められた。

その瞬間・・・新たに指先から流れた炎に包まれ消え入った・・・伸びたゴムが引き戻されるように炎がアンジェへ向かう。

慌てるジェイド達が駆け寄るが、それは方向を変えアンジェの目の前に現れたモノへ燃え移り消えていった。

驚いたのだろうアンジェが地面へ座り込む・・・ホッとしたように頭を凭れ息を吐く。
『気を抜くな・・・』

アンジェを囲うように集まった三人はホッとして抱き込んだが・・・この行為は可笑しかったのか少しずつ笑い始めた。

彼らの仲良さに笑うガンとバズもいた・・・それぞれに安堵した笑みに変わったのだった。

『そういえば、アンを狙うモノが少なくて驚いた・・・』

『確かに・・・
霊気は凄いのに憑依するモノは少なかった気がするな』
『ここは変な場所だよな・・・』

『離れた場所から観察され始めたみたいだ・・・(笑)』
『この辺に入ったら出れないみたいだけど・・・』

『そういう結界があったか?』
『バズ・・・分かるか?』

『いや・・・そんな感じはしてないが、ソコの大木の辺りに何かがあるとは思った』

『やっぱりか・・・』
『気づいた?』
『そこから出て来る理由を考えてたんだ・・・だから一応(笑)護符を貼ってみた』

『それで出てくるって・・・』
『(笑)そーじゃなく、同じ場所から順番に(笑)出れるようにしたんだ』

『・・・挟んだ?』
『(笑)ん。確認は出来なかったがな』
『・・・(笑)』
『気にする余裕が出なかった(笑)』

アハハと笑うバズとガンに苦笑いしか出ないジェイドもいた。


日は過ぎ・・・ある程度の出来は上がっていた・・・少しずつ自身を鍛えながら帰る事にしたジェイド。

これまで助け合ってきた事で別れを惜しむ・・・クレアがアンジェの近くへ向かった。


『寂しい・・・』
『クレアは大丈夫よ。
あのね・・・本で確認したんだけどさ・・・』

『何で・・・言うのも迷うほどの事なの?』
『・・・この石には別の使い方があったの』
『この真ん中の?』

自分の首飾り・・・その真ん中の石に触れながらクレアを見つめアンジェが呟いた。

『そう・・・』
『どんな風に?』
『より強いヤツに憑依されたらさ』

『怖い・・・』
『ん・・・この真ん中の石を目掛けて放って貰うの』
『矢?・・・祓えるナイフって事?』

『ん・・・クレアは出ろと命令してればいい・・・その間に狙って』
『それは憑依された状態の話だよね?』

『そう・・・本当に出せなかったらの話・・・この石って身代りで使えるって書いてあった・・・』
『でも・・・』

『そう。クレアが気付いたら逃げられる・・・だからクレアより皆が意識してくれないと出来ない』

『でも、それをして貰ったら余計に二人が狙われてくじゃない』
『ん・・・だからね、クレアが頑張らないと不味いの』

『アンジェ・・・』
『首飾りが外れないように、こっちの玉を握って待つ。出たら首飾りの玉は離さず握ったまま逃げる事』

『アンジェのも?』
『・・・(笑)同じ』
『でも色が・・・』
『クレアに合う玉(笑)』

『頑張ってみる』
『試しじゃない・・・』
『分かるけど・・・』

『信じて・・・玉がクレアに触れてる事で邪気を持つモノの逃げも不可能なの・・・そこへ刺されば散る・・・』
『・・・』

『皆はクレアに刺さったようにみえるけど、クレアの中にいるモノに向かうから大丈夫なの。
いい?クレアは命令する。皆は出ろと念じる(笑)』

『それだけ?』
『(笑)それだけ。この部分から放つモノで消せる・・・』

『白いの?』
『そう。(笑)だと思う』
『・・・』

『どっちかはね(笑)・・・でも、この玉がクレアを守るの。一瞬、その場で止まるからクレアは逃げる(笑)。
離れた事で飛び散った玉が消してくれる(笑)』

『これを持ったまま』
『ん(笑)』
『アンジェ』
『はい?』

『放つ方が怖いぞ・・・』
『命中率は絶対で(笑)』
『分かるがな・・・手にしてる隣の玉を狙うんだぞ?』

『近寄ってもクレアが玉に触れてるなら真ん中の玉から離れられないから狙いやすいと思う(笑)』

『出れないって事か?』
『・・・はい』
『逆に』

『(笑)んー、例えるなら玉がクレアの中に潜んだヤツを吸い込んで離さないのかも』
『なら、同じ玉を』

『使ったなら(笑)。これはクレアを浄化してるんだと思う。憑依出来ない状態なんだと・・・手にした時に思ったんだけどね』

『あー(笑)、だから手にして選んでたのか・・・(笑)』

『持つとスって空気が変わった気がしたから・・・手にした時に辺に冷たいとグッと重たい感じなの・・・やな気だったから、反対に直ぐに温まる感じのを選んだの』

『あったまる?』
『(笑)やな感じにならないやつ』
『・・・』

『(笑)俺が探せるかな・・・そんなの』
『出来るよ(笑)。でも一番はクレア自身で選んだ方がいいかも』

『外に『出れないのに?』』
『頑張るもん!』
『『・・・』』

叫んだクレアに驚いたバズ達・・・その様子は可笑しくて、笑うガンとジェイドもいた。