tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

my seif -58

2022-02-27 14:52:09 | my self


取り合えずと隣の店舗で交互に入り全ての確認だと眺める・・・忙しくて手が出ない時、静かにボーイへ声にして回した。

やすらぎの空間・・・隙が出来たと自分へ話に来る・・・こんな時はと聞きに来た事で自分ならと静かに声にする。

そうかと聞き入り席へヘルプとついた彼に褒めるように見返した・・・照れた笑みは一瞬だったが客へ向けばプリンスという目に戻っていた事にホッとした。

隣へ入る・・・ウェイターが見回りのように歩きグラスを引き取っていた。

上手く回せていた子達に安堵しカウンター内を眺める・・・緊張し始めた顔に苦笑いだ。

店長に謝り奥の控え室へ入り姿を消した・・・これまでの収支を確認し、店長を呼び次のステップと話せば既に考え計画し始めていると報告を受ける。

助かったと礼を言えば、それは違うと逆に謝られ苦笑いをする・・・その流れで頼むと彼女は店を後にしたのだった。



早めに来たワカ・・・フロアの真ん中でジッと佇み店内に浸るような彼女を久しぶりに見た。

内緒だったと謝りながら教えてくれた秘密・・・苦しく逃げられない彼女の戸惑いは長引いた。

それでも気持ちを切り替えて頑張ってきたが、我慢は限界を越したのだろう彼女の姿に慌て 休ませようと彼らと計画し店からも離した。

時々は店へ顔を出すが、自分が知るハルという女は全面に出る事は減っていた。

乃木達へ連絡し相談する日々・・・本来の彼女へ戻して貰おうと頼み、店は大丈夫だと伝えスタッフと頑張った。

少し前に彼女の様子を聞き、落ち着きだした事は聞いていた・・・そして昨日、練習を始めそうだと教えてくれた。

聞いたばかりだと苦笑いだ・・・今日から考え始めそうな彼女に嬉しくなった。

思わず・・・だ。優しい笑みで見上げていた彼女を背から抱き付けばフッと笑い始めた彼女がいた。

『ごめん(笑)』
『(笑)お帰り』
『ただいま(笑)』
『始めよ。(笑)するんでしょ?』
『いい?』

『(笑)おっけ。久しぶりに皆をチェックしてこ』
『・・・』
『(笑)初心に戻して私も頑張らないとねー』
『ありがと!』

『(笑)おっけ。どこから・・・(笑)というかさ、近場の人達が貸し切りしたいって連絡くれてさ・・・』
『受けてない?』

『・・・迷った(笑)、頻繁に通われて同じ場所って他から思われたらって気持ちが出始めちゃって(笑)放置してたの』
『・・・ごめん(笑)一緒に考える時間を持たなくて・・・』

『いいの・・・(笑)それより、どーする? 本当なら関係なく受けたい気はあったんだけどね・・・』
『(笑)受けよ。ただし、2階だけの分で。他の客も入るから(笑)』

『店をって言ってたけど(笑)』
『それしたら(笑)』
『(笑)分かるよ。だから受けてなかったの、その悩みよ』
『悩ませて(笑)ごめんってば』

『(笑)大丈夫って言ったのに』
『(笑)私がフラついてたから、ワカまで悩ませてたんだもの』
『あー(笑)、伝染したんだ・・・』
『・・・(笑)』

『練習する?』
『(笑)したかったんだけど、予約表みたら暫く途切れないし(笑)』
『(笑)心で謝って練習しながら行くか!』

『そーしよ(笑)。練習だけど(笑)本番を頑張る・・・』
『だね。(笑)着替えたらピアノ弾いてよ』
『(笑)おっけ。全員揃うまでねー』

笑う彼女に笑み返したワカも着替えだと控え室へ一緒に向かうのだった。


柔らかな音色が響く店内に、出勤してくるスタッフの笑みは溢れた・・・ハルのピアノを久しぶりに聞く事の嬉しさからだった。

急いで準備を済ませ空いた席で聴く事は本当に久しぶりだった・・・静かに移動し客を出迎える時間まで聞ける楽しさに浸った。

早川も全てチェックし終え聴けた事に笑みを浮かべる・・・弾きながら振り向いたハルママに、笑み返した。

準備が出来たかと聞いたのだと思え頷いた・・・ワカママまでが自分に笑みハルママを見つめた。

昨日まで・・・時間が出来ると、いつもハルママが立つ場所からフロアを眺めるワカママがいた。

少し寂しげな笑み・・・それは一瞬だが見えた・・・早く戻ってきて欲しくて自分も頑張り、スタッフを鍛えてきた。

気持ちを切り替えるママ達を見習い頑張った・・・いつからか覚えていないが、スタッフを指導して欲しいと 高波とワカママから部下を預けられた。

出来るとハルママが囁く・・・足りない言葉は知れず教えてくれたしフォローもしてくれた。

女の子達を学ばせていく言動をママ達から見習ってもきた・・・上手く出来そうなスタッフへ中間のボーイを預けた。

連携しボーイ達のレベルを上げる事も楽しかった・・・スタッフを考え出来を一定させるバランスも上手く回せた。

腕が上がれば店から出向だ・・・勉強だと出されるのだ・・・自分は拒否したいと思い願い出てみれば、出す気はないと言い切ったママ達に感謝した。

他店へ通用するかは知らないだけに考えてしまうが、大丈夫そうなスタッフの数が増えた頃に高波が連れ出していく事に気付いた。

誰かからの連絡で知ったが高波までが褒めてくれた事も余計に嬉しく今を楽しめる自分になれた事が一番嬉しかった。

頑張ってきた自分も褒める・・・ママ達の目配せた理由が同じだった事も嬉しかった・・・

開店しママ達の連携を見れた嬉しさは、スタッフの笑みの増えかたに現れた。

時間が出来たのかハルママが佇む・・・笑みが溢れた姿に自分達が上手に出来ているのだと思える幸せに笑み返した。

『(笑)ありがとう』
『・・・はい?』
『(笑)レベルが上がってる皆を見れたから』
『(笑)こちらこそです、ハルママから習いましたし』

『出会えて良かったわ(笑)』
『(笑)一緒に働けて楽しめてます。ずーっと楽しめる自分が出来て有難いです』
『私達も助かります(笑)』

『(笑)褒めあいも・・・』
『照れるね(笑)』
『『(笑)頑張ります』』

終わりがないと笑うママに言ってみれば、同じ言葉に笑み返し また同じように店内を眺めた。

笑み目配せたママが離れる・・・はいと笑み返しカウンターへ向かうのだった。

同じように眺めた席へ水を運ぶ・・・グラスを渡せば笑み返され静かに戻った。


休んでいたはずのママは変わらず次々と動いていた・・・楽しげな客達の久しぶり の会話は前より ほんの少しだけ長く居たようだ。

商談と来た客の席で戸惑う子を助け交代と静かに入る・・・ワカママが来いと目配せていた。

呼ばれて行ってみれば対処の方法を教えてくれた事にホッとし落ち着けた・・・別の席へ促されたが、暫くして今度はハルママから理由を聞かされ謝った。

『(笑)次に頑張ればいいだけよ。今回は、戻れば話が止まる可能性が高かったから』
『どこで分かるかは・・・』

『(笑)そうなの。体験してくしかないから・・・(笑)気付いた時に静かに離れればいいわ、今みたいに』
『その後は・・・』

『(笑)他の子達を行かせない方が無難かな・・・嬉しそうな顔に戻った事が増えたら(笑)グラスを変えるか聞いてみる』

『・・・あ、終わったかを』
『そ(笑)確認してみる』
『決裂して・・・』
『その時は(笑)、飲み物を変えるか聞くとか・・・交ざって話していいか聞く・・・とか(笑)』

『楽しい話を(笑)』
『(笑)気分転換よね』
『・・・(笑)頑張ります』
『(笑)頼みました』

はいと返事をした子が笑み、一度静かに深呼吸してフロアへ戻った・・・

いつもより多い言動は嬉しかった・・・迷う言動はママ達へ迷わず聞けた。

覚えていた事に笑み返され照れながらフロアへ戻った子達に可笑しくてワカまでが笑い声にした。

楽しい時間が出来た事に店内も明るくなった気がした皆もいた。



その日・・・
質の悪さに驚いた・・・
前のように仕切りを作ったが、それは失敗だったかと眺めた。

それでも限度は越し、その場のトップだろう客の席へ向かった。

『失礼致します(笑)』
『・・・(笑)ハルママか』
『お客様』
『(笑)なーんだ』

酔った男が肩を抱く・・・グッと手を掴み目の前の椅子へ丁寧に座らせ、話をとトップの客を眺めた。

『客だぞ?』
『その前に、失礼致します』
そう言ってからフロアを眺め指を鳴らした・・・女の子達が振り向き、ホッとしたように素早く立ち上がった。

『席を代えなさい』
いつもはない声音・・・知ってはいるが、聞く事はなかった言葉・・・スッと移動し客へ挨拶をした女の子達はフロアから出て行った。

その行動に驚き客は誰一人 声にも出来ず、出て行った後にハルを眺めていただけだった。

『失礼致しました』
『なぜ出した?』
『当店は酒は売りますが、女を売ってはおりません』

『クラブだろ!』
『酒を楽しむ場に揃えますが、女をだしにされる場を作り売ってはいません。
お代は結構です・・・これで終いと お帰り願えないでしょうか』

『追い出すと?』
『その階段に足を取られず降りて頂けると助かります』
『金はあるぞ?』
『今回限りと、他店でお過ごし下さい』

『ここで』
『女を売るつもりは一切ありません。当店をご利用くださり感謝致します』
『次も』
『どうぞ他店へ・・・』

『・・・』
『女は』
『そういう店へ足を運んで下さい。
言葉を楽しむ為に、当店は酒を売っています・・・』
『・・・』

『説明不足でした・・・皆様には申し訳ありません・・・失礼致しました』
『・・・』

静かに話すママ・・・どう声音を代えても代わらず説明するように ゆっくりと声にするママを眺めた。


『ハルママ(笑)、遊びに来たが時間があるか?
・・・ ・・・ん?、平か?(笑)ずいぶん数を揃えて来てんだな・・・』
『・・・・?!』

不意に声がした・・・そう言いながら、ずかずかと近づく男に誰だと威勢よく見返す男たちは誰かを知ったようだった。

声を失ったようでママを眺め、声にしながら入ってきた男を眺めた。

『御手洗さま(笑)、久しぶりでした』
『(笑)番長に呼ばれてな・・・』
『(笑)平様とお知り合いだったんですね』
『眺めてるしな(笑)』

だよなと笑い 平を見た御手洗は、他の男たちまでを眺めた。

『・・・この店に?』
『(笑)親分から聞いて番長が馴染みと呼ばれたんだ。ちょうど良かった(笑)顔を洗ってけよ』
『・・・』

『(笑)松木に行かせるか?挨拶は必要だったな(笑)・・・』
『・・・』
『(笑)ワカママと話がしたいと聞いてるぞ』
『松木様は少し前に・・・』

平を眺め話をしていたが、返事は待たずハルママへ話しだした客に苦笑いをした。

『(笑)久しぶりに会ったと聞いたから来たんだ。ここは終いか?』
『(笑)はい。これから』
『見送りか(笑)、平・・・偉くなったな(笑)通うなよ。ここは全部が馴染みだぞ・・・』

『ぜっ・・』
『あー全部だ(笑)。一つで運ぶ事も出来る(笑)なんせトップまで知ってる店だし』

自分達の上が驚き、手足も出せない相手と気付けば声も出なかった事に気付いた。

相手の男は知らないが、付箋を張った言葉は理解した・・・少しでも暴れれば引っ張ると、店と女を守った言葉と気付く。

だから手を出すなと言いたくて、ここまで顔を出したのだと気付けば驚くしかない。

いつもなら、我慢もし相手もする女たち・・・この店は違った・・・早々にママが女を守り自分達から離した。

一人残り店の説明をする・・・警備の男たちは睨んではいるが交ざらず、それでも後ろで控えていた。

店内だからか二人だけだ・・・何より御手洗と一緒に来た男の姿は警備の男たちと同じだった。

何者だと眺める・・・初めて見た時に調べていた男でもあった・・・不味い場所にもいた男。

おお事になりそうで、取り敢えずと手下を少しずつ出した・・・財布を出させたが、出る瞬間に抑えられ外へと促された。

離れれば静かに会釈する・・・丁寧に挨拶をするように・・・そして失礼したと謝っていた。

苦笑いだ・・・近場のクラブと同じように行ったが、暴れるなとだけ聞いて来た。

自分達なりに暴れている気もなかったが、触ると嫌がりもしたが気にせず飲んでもいた。

丁寧に謝り離れては酒を注いでいたが気にも止めなかった・・・楽しむなら そーすべきだと思ってきたから。

自分達にもヤバい人達を集めるとは聞いていたが、自分達をよく知る警察までが集まるとは聞いて来なかった。

どう報告すべきかと、酔った事さえ忘れた身に苦笑いだった・・・


ホッとした・・・助け船を運んでくれた乃木に感謝だ・・・偶然にもほどがある。

警察関係者が飲みに来ていた・・・そして乃木の友人も・・・その友人の上司に感謝する。


静かにノックし入れば丁寧に会釈し礼をした・・・隣へと向かえば今度は乃木までが一緒に飲み始めていた姿に苦笑いだ・・・この人達へも礼をした・・・

好む酒とツマミを運ばせる・・・感謝したのに感謝されたと笑う女の子達に笑み返した。


店が終わり・・・
早めの時間で切り上げた・・・警備を頼み店の子達を送って貰う・・・それはもしもを考えたから。

我慢する事が出来ず対応してしまった・・・反省顔だと気付いたワカに笑み返した。

初めてみた言動に苦笑いだ・・・どれだけ我慢するハルかは知らずに来ていた自分・・・これはキレたのかと思えば違った。

変に冷静過ぎ過ぎたハル・・・相手も戸惑ったのだろう声はなかった事はホッとしたが ハルの我慢の限度が知れた事は苦笑いだった。

それでも、代わりに行こうと思っていた自分より早かった事の方が嬉しかった・・・自分なら冷静に対処は出来なかったかもしれない。

やり返される不安はあるが、自分の店の子達が我慢するのは防ぎたかった二人。

見た目でも同じような店でも・・・似たクラブでも触らせ、代金を貰うような雰囲気はなかった。

そういうクラブもバーも近場にはないと聞いていた・・・それは囲われているクラブも。


数組の組織が混在する街・・・激しく争う地域でもなかった・・・これまでも何度かの誘いはあったが、全てオーナーという立場で丁寧に断ってきた。

二度目まではハルだけで向かい、次も行こうと思えば 今度は乃木と一緒に出向き拒否してきた。

丁寧に詳細を述べ聞き入るまで、ゆっくりと声にし納得してもらってきた。

それは一番上の人達へまで連絡し日を改め 調整もし相手に合わせて出向いた・・・初めは真ん中にいるだろう人達へ声にし上にと出向いていたのだ。

比較的に若い子が彷徨く場所・・・そこは穏やかで争う事も防いでいる組織だった。

一番荒い人達が今回の場所だったが 挨拶にと、こちらから奥へ出向かなければ会わない人達だった。

ならばと早々に連絡を入れ 挨拶をと乃木と二人で出向いた・・・

そして今回・・・
客に対しての言動で謝りに来てみれば乃木も知る人が入り口にいて驚いた。

近寄るなという合図に自分を引き止めた乃木・・・何だと眺め様子をみた。

数台のバン・・・警察車両だと知らせる小型のランプがみえる・・・不意に中から出てきた人・・・店に来た平が自分達に気付き慌てるように近付いてきた。

小さな声だったが謝り、そっと携帯を手にし誰かと話ていた・・・それを 手を添え丁寧に自分へ渡して来た事に驚いた。

彼女へ渡そうとしたが乃木が目配せ携帯を手に誰かと話を始めた。
その間に・・・

『平さま・・・
来店の際は、本当に失礼致しました・・・無礼をお許し下さい』
『・・・』
『オリーブの代表として謝罪致します』

『それは、自分達の方でした。自分の方こそ勉強不足と反省してます。謝ります・・・』

『よければ また足を運び下さい・・・席があれば貸し切りにも出来ます・・・』

『迷惑をかけたのにか?』
『・・・貸し切りにしなくても、数人なら案内は出来ますから』

どーぞという女・・・柔らかな笑みに見惚れるように眺めた平が苦笑いをする・・・

『ママと?』
静かな声音になり、ふと呟く平に笑み返す・・・その視線の先に乃木がいた事で言葉の意味に気付き・・・そっと頷き夫だと微笑んだハルだった。

『言っといたら巻き込まれないと思うぞ?自分は』
『(笑)どなたにも伝わっていたかと思い込んでおりました。(笑)平様にも』

『・・・(笑)分かった。詫びに止めといてやる』
『(笑)ありがとうございます。感謝します』

素早く言ったハルが話終えた乃木に気付き見返せば苦笑いをした平は携帯を受け取り戻っていった。


『ハルノ(笑)』
『(笑)はい』
『聞こえたぞ(笑)』
『(笑)すみません』
『俺から言ったさ(笑)』

『・・・ ・・・んんっ?』
『(笑)ついでにと言伝てられたから丁寧に謝って(笑)ばっさり切った』
『ありがと(笑)』
『(笑)準備はしてたんだ』
『・・・』

それは何だと考える間に、乃木はハルノの肩を抱き もと来た道を戻り始めた。

『帰るの?挨拶は?』
『(笑)前の一件で小さな仕置きをしてた。だから電話で謝罪したら逆に謝られたさ・・・』

『・・・言伝てって』
『(笑)さっきの人の上が』
『やだ!』
『(笑)俺の連れだと言ったさ。
・・・(笑)もしもを考えてたからバチが当たったな・・・』

これはと呟きながらも、内ポケットから何かを乃木が取り出した・・・抱いていた手へ持ち反対の手で自分の手を掴んだ事に何だと彼を見上げた。

照れた笑みの乃木・・・左の薬指へスッと嵌め自分へキスをした・・・苦笑いをした乃木が指先で肩をつつく。

何だと眺めれば肩にある彼の指先に、もう一つの指輪があり・・・目の前に彼の反対の手が現れた。

ペアリングかと彼の左の薬指へ嵌める・・・その彼の手が自分の手を包み抱き寄せられたのだった。









my seif -57

2022-02-21 09:34:42 | my self


ハルノを迎えに来た男の姿に驚いたが、その間に別の男達までが声をかけながら入ってきた事に慌てた。

男達を見やれば、その顔で前に見た者達だった事に気付き焦る自分の心臓は飛び跳ねた。

後から来た男達・・・身なりは普通だが、雰囲気は違っていた事に驚いた・・・それは話し方もだ・・・丁寧に話してはいるが有無はないと聞こえた。

声にする事も出来なかった・・・会社員のようだが、雰囲気は全く違っていたからか余計に動けずにいた。


驚き過ぎて声にもならなかった・・・

少し前に、実家の家政婦から知らせが入り驚きながらも実家から近い場所にいた柚月に先にと行けと連絡をした。

誰か一人でも早く行けば母親からハルノへの激しい物言いは少なくなると思えたからだ。

やっと実家へ来てみればサクラが車で乗り付け・・・ならば二人で入ろうと待っていれば今度は父親の車が乗り付けた。

素早い連絡に可笑しくなったが、今は母親の声を止めなくてはと慌て入った。

見れば殆どが同じような時間だった事に焦る・・・予想より声は小さかったのか静かだった室内に驚きしかない。

いつもなら罵るような激しい声は終わらず、思い出したように冷静な声音に変化する事もある。

余計な物言いは延々と続くが、今は驚いた顔で父親を見ていた姿があった。

何かを言いかけた母親までが驚いたのか黙ったままだった・・・その場の雰囲気さえ気にしないサクラさえ黙っていた。

柚月は男達に驚きハルノの様子を気にしながらも眺め自分へ どうするのかと見ていた。

ハルノへ味方すれば母親が黙らないだろうと思え様子を伺っていたが帰るというハルノの声に驚き父親を眺めた。

誰もが声にならず、それぞれに身構えた姿に苦笑いしかない・・・組織にいたろう男達が目の前に迫り来たのだ。

ハルノに近い男だ・・・母親との事も聞いていたのだと気づいた・・・だから迎えに来たのだと。

ハルノと生死を共にしてきた・・・大怪我をさせられても共にし、捕まった男の元へ自分から出向いた。

年配の夫婦の言葉を思い出した事に苦笑いしかない・・・そして今日、母親と話をしに来たのだ。

激しい物言いもなくハルノは話しきり出て行ったのだと思えた・・・これは本当に諦めるしかないのだと改めて思った。

父親はと様子をみれば動けなかったのだろうハルノが出て行った姿を呆然と眺めているだけだった。

それは母親もだった・・・ちらりと父親や自分達の様子を眺めていたが一人静かにソファーへ座り直した。

『とうの昔に縁を切りました』
『・・・それは仕方なくだ』

『初音と同じだった・・・自分で決め出て行った・・・
ならば、あなたも皆も諦めたらどうです?』

『娘を』『妹と』『『妹・・・』』
『・・・それを拒否したから籍まで代えたのでしょ』
『君が、』
『母さんだっ・・・・』

『確かに否定しました。私の子でもない・・・何の相談もなく進められ目の前に連れてきた。
あなた達も拒否したでしょう』

『・・・』
『お母さんの小言を聞かなくてすんだからで・・・』

『サクラさん・・・いつか貴女が家庭を持った時に思い出してみなさい。自分だったらと・・・

それから・・・これからは他人として話を。仕事で行くなら私は構いませんが、家族だと思いながら行くのなら私とも縁を切って下さい』

『『『・・・』』』
『私も今日で最後と肝に銘じますから 皆さんも、そのつもりで』

淡々と話し始めた母親の姿に驚き眺めた・・・昔見た自分の母親という姿はなかった。

会えば罵り祖母へ訴えた・・・家族ではないと抗議し、自分が見ない方法を考えて欲しいと訴えていた。

事あれば小さなハルノを呼び出し、延々と説教や藤堂家はと諭していた。

あるていど大きくなっても、呼び出されたハルノは静かに聞いていただけだった。

自分達が説教される時間も同じように呼び近場へ座らせ聞かせていた事もあった。

自分達を出した後も一人残し声はハルノへ向かっていた・・・母親とは違い祖母は静かに話す。

説き伏せるように・・・自分達が放つ一言で倍以上の言葉が関係ないハルノへ放たれていた。

自分達は解放されたと、巻き込まれないよう自分の部屋へ逃げた・・・ハルノが来てからの小言の数は多かったから。

祖母の小言・・・それが止まったのはハルノの出来がいいと知ってからだった気がした。

本当に時々・・・誰かの失態で連帯責任のように呼ばれ小言を聞かされた。

全てが面倒になり関わらないよう自分達が気を付けた・・・それは いつからか気にもならなくなった。

自宅で会う回数さえ減った頃にはハルノという妹さえ気にもならなくなっていた。

改めて思い出す数少ない記憶・・・妹が居た・・・ではなく、居た気がするとしか言葉にも出来なかった。


妹、ハルノを思い出す・・・その姿は大人で・・・ハルという倶楽部の女の姿だった。

幼い頃でなく・・・中学生だった頃でもなかった事で、自分自身が可笑しくて苦笑いしかない。

思い出せと昔を思い、やっと幼い頃の姿を思い出せた・・・あとはと考えれば小学生でもなかった。

自分を生かし・・・そんなハルノの言葉を思い出した・・・それは誰かに聞いた言葉だ。

実家から出ていく妹に声さえ掛けられず、行かせてしまったと気づけば まただと呆れ・・・後悔は激しく自分を震わせた。

揺れる自分の中の勝手な思いは数多くあるのに、共に過ごした日々の中での思い出はなかった・・・あるとするなら、自分のマンションで食事をした事・・・それだけだ。

確か昔は・・・そう考えれば、やっと思い出せた自分を笑うしかない・・・

たった それだけの記憶で妹を求めた自分がいた・・・妹だったという思いだけで、自分達の妹に戻れと追い掛けた。

今さら・・・そう言ったハルノの声が響く・・・そうだった・・・と思い出した自分を嘲笑った。

階段が見え・・・自分達へ礼をしたハルノの姿を思い出した・・・あの時、妹だった事を意識した気がした。

それでも出て行く姿を見送る自分は居なかった・・・

風船が割れたように一瞬で妹は消えた・・・ 魔法のようにパッと消えたのだ・・・

自分で消したような気さえし始めたが、今は それが正解だったと思い始めた自分だった。

ふと、母親をみれば何事もなかったかのように手にした本を読んでいた姿があった。

父親はと眺めれば、ソファーの端へ身を預け視線を遠くへ飛ばしていた気がした。

この状態でも二人は昔と変わらず同じだった事で自分はと考えた。

『・・・帰ります』
いても仕方ないと帰ろうと思えば直ぐに言えた自分に苦笑いだ。

『食べて行き』
『いえ、帰ります。改めて時間が出来た時に』
父の言葉を止める・・・

『食べて言ったらどう?』
『すみません母さん・・・帰ります』
そう押しきった葉月は場を後にしたのだった。












2022 バレンタイン

2022-02-14 09:28:35 | イベント 関係の お話


ほんの10日間だけの飾り・・・
一階のフロアに大きなツリーを飾る事にしたワカとハルがいた。

季節を感じたくて・・・と悩んだハルが思いきったのだ・・・店を閉めてから飾り付けだと数多くの箱をツリーの近場へ運ぶ。

皆が嬉しそうに囲む・・・いつもなら終わったと早々に帰る子達までが楽し気な笑みで準備を始める。

その姿はワカもハルも予想はしなかったが、早川の呟きに自分たちもしたいと居残った事を知った。

皆で飾る・・・子供に戻ったようで楽しめた・・・ 滅多に置かないツリーだったから。

席を二つ移動しツリーの居場所を作った頃から皆の期待が高まっていたのだと呟いたのは早川だった。

少し前に・・・三人でしようと決めた数日後・・・ワカが手配した大きさに驚いた二人・・・慌て早川は飾りを増やすと買いにでかけた。

そして、この日・・・一気に仕上げたツリーは灯りを点し店内を彩った。


クリスマスが終わりを告げ・・・寂しそうな笑みで眺める子達の呟きにワカもハルも苦笑いをした。

ツリーが勿体ないと・・・バレンタインまで置こうと言われ、クリスマス色からバレンタインを匂わす飾りへ変える事になり苦笑いだ。

まだ続くイベント・・・それでもという希望が増え、ならばと控え室へ置く事にした。

カウントダウン・・・今年は皆へ休みを増やそうとイベントは取り止めるとワカと決めればスタッフが喜んだ。

新年を迎え・・・正月飾りへ店内も変化する・・・女の子達に期間限定で着物を着せた。

そして・・・フロアへツリーを戻したスタッフに笑み飾り付けていいと許可した。

可愛い色合いに変化したツリーになり可笑しくて笑ったのはワカだった・・・。

聞き付けたプリンスセスの子達・・・店内をバレンタイン仕様へ変えた残りの飾りを持ってきた。

店の子達が嬉しそうに飾る・・・イルミネーションはない・・・それはプリンスセスの店長ケンヤが駄目だと他の飾りは飾らせなかった。

可愛いリボンは数多く、こーするのかと眺めるハルとワカ・・・嬉しそうに眺める子達まで感心していた。

翌日から店内での話題はツリーからで・・・楽し気な会話は弾んでいった。


当日・・・

店の入り口へコーナーを作ったハルに何だと興味津々で眺める子達・・・残りはと考えたハル・・・それはツリーの近場に出来た事に皆が驚いた。

『(笑)どれだけ渡すのよ』
思わずだろうワカの呟きにハルが笑み返したが皆は驚くだけだった。

来店した客へ帰る間際に渡せと皆へ言った・・・店と同じ名前の色・・・綺麗なリボンで飾られた小さな包みだった。

『これさ(笑)向こうも?』
『(笑)もちろん。余れば持ち帰って貰うからね』
楽し気な笑みで言ったハルもいた。



店から出れば乃木が待っていてくれた事に笑み二人はタウンへ向かった。

皆へ配る・・・レアと奏には別に準備していた・・・ネックレスをしたレアが嬉しそうに鏡越しに眺めていた。

奏には革製のバングルにした・・・本来のチョコは小さなハートの形だった事に笑っていた。

楽しい時間だったと先に寝支度を始めるハル・・・疲れていたのか眠っていた自分に苦笑いだ。

自分を抱き込んでいた彼に笑み、プレゼントだと彼の手に持たせた。

腕の中にいた自分・・・彼の手にある小さなケースで何かを想像も出来た事に苦笑いだ。

彼に準備したのは指輪・・・そして彼もまた指輪にしたのだと微笑んだハルだった。

仕事と店へ入る時は指輪をするが、自分自身、シンプルなデザインの指輪が好きで嵌めていた。

普段は親指だったり中指か人差し指だけにして着けていた・・・ダイヤや石もないシンプルな指輪を。

人差し指に嵌められ微笑んだハルだった・・・同じだったとケースから抜き彼の人差し指へ嵌めた。

抱き起こされた事に驚き見返せば、手に持たされた缶に苦笑いだ・・・確かに一緒に飲むつもりはあったから。

『(笑)寝てたのに』
『俺は寝れなかった(笑)』
彼の呟きに笑む・・・ベッドへ凭れ二人は缶ビールを片手に会話を楽しんだ。

優しい笑みが近付く・・・甘い香りが微かに漂う事に苦笑いだ・・・小さなチョコが彼の手から自分の口へ放り込まれれば悪戯な笑みの彼を見つめた。

口溶けの良いチョコ・・・これは小さくて良かったと見返せば彼もまた一粒のチョコを口に放り込んだ。

飲めと缶を彼女の口へ運ぶが、逆に飲めと見返す笑みに照れてしまう。

既に数本は空いた・・・酔ったのか眠そうな彼女に笑み見つめる自分がいた。

照れた彼女の笑みも可愛いのだと思う自分を笑う・・・見惚れる誰かが増えず助かったのだと、一瞬だが思えた自分に苦笑いだった。

笑みはより深くなる・・・話し方は柔らかく、見つめれば笑み返し声が止まる。

『・・・(笑)もう飲めません』
『(笑)・・・眠くなるんだな』
『・・・まだ(笑)飲める?』

『(笑)飲める。ハルノは寝ないで付き合え』
『・・・(笑)無理でした』

話しては止まり、飲んでは眠いのか目を閉じる・・・ふと思い出すのか口へ運ぶのに話しては自分へ視線を向けた。

ふいにごめんと呟いた彼女は缶を床へ置き、ベッドの上へ上がろうとした。

上がろうとしているが、動くのは手だけ・・・何とか体勢をかえ手をついて立とうとしていた。

酔った姿は初めて見る・・・フーと息を吐き力を込めて自分の体を起こす・・・自分でも可笑しくて笑う。

楽しい時間だったと笑み彼女を支えてやれば、ベッドで寝れると笑み俯せたまま眠りへ入り込んだようだった。

自分の肩へキスを落とした彼に笑む・・・身へ落としたまま唇で触れ流れていく。

着ていたモノがない事に気づけば苦笑いしかない・・・それほど自分が寝ていたのだと可笑しくて笑ってしまう。

自分を眺めれば全部で驚いた・・・確認した事に気づかれたのか、溢れた息が背へあたる。

背中へ巡り始めた彼の手が蠢くと笑みを浮かべる暇も消える・・・優しい手が全部へ撫でていくから。

温まり始めれば身が心地好くなっていく自分に気づく・・・笑みは深く染み込んでいくようだった。

身が返された・・・潤んだ彼の目は深く優しく自分を包んでいく・・・重ねた身が少しずつ温まり始めれば互いに疼きだした。

口付ければ絡み付く・・・口の中に残る甘さと香りが広がる気がした・・・酔いが自分を解放する。

自分を見つめる彼の目が優しく微笑んだ・・・肌が触れた場所から身を焦がしていく。

優しい笑みを浮かべた彼女の目が自分を捉える・・・見つめていれば、より深く笑みが溢れた。

彼女の手が自分へ触れる・・・柔らかな触れが身を滑る・・・撫で上げてくる彼女の手に集中していく。

腰から脇へ・・・上がってくる手は分かるのに焦れったく自分の中でより疼き始める事に苦笑いだ。

酔いが彼女を助ける・・・名を呼ばれ見返せば照れた笑みでまた自分を呼んだ。

甘く囁く彼女の声音が優しく自分を包み込む・・・照れた自分が焦がれ疼きは増していく。

彼女の指先で身へラインが引かれたように残されていく・・・優しく口付け絡ませた。

唇が彼女に触れる・・・触れ撫でていく手さえ喜んだ・・・溢れ始める吐息は自分を煽った。

彼女へ忍ばせれば足まで絡み付く・・・より浸りたくて彼女を起こせば照れながらも自分を抱き締めた。

触れた熱さが心地好く・・・それは同じだと自分へ口付ける・・・満たされた中で耐え互いを疼かせた。

彼女を見たくて、ゆっくりと近付いた・・・焦れったさに疼くのか指先にまで力が入る。

深みへ沈む間に彼女の笑みが先に深くなった・・・揺れる熱さに耐えながらキスをすれば彼女が照れた気がした。

『(笑)ユキ・・・』
『(笑)たえろ』
『・・・(笑)』

熱さが込み上げていく・・・深い奥底で浸れば自分の中で駆け巡り始めた・・・熱く焦がれ始めれば全てが激しく弾け震えていく。

息をするのも億劫で吐き出す熱さは荒く吹き出す・・・溢れ落ちても互いに満たしいった。

昂りは激しく突き抜ける・・・蠢いていた中で絡み付き揺さぶった互いが弾け飛んだ。


彼女を抱いたまま見つめていれば優しく頬へ触れ・・・自分を引き寄せながら笑む彼女へキスをした。

より見惚れた自分に苦笑いだ・・・互いの額が触れ、近いと笑み返した彼女に口を引き見つめた。

愛してると囁く彼女の声が自分の中へ染み込んでいく・・・自分の方がより深く彼女を思う。

自分ごと助けていく・・・出会った人達から助けられ今日まで来れた事に感謝する。

自分の思いを前へ押し出す・・・その時々で悩むが決めた瞬間、彼女の足は前へと進む。

見習うように彼女を見つめる・・・ならば自分はと、彼女と同じように悩み十分に考えてから先へ向かう。

どの瞬間でも自分を生かし先へ歩く彼女・・・自分は置いて行かれないよう頑張ってきた。

離れていても隣で寄り添って歩いている互いに気づけば嬉しくて・・・今は自分を生かすだけだと来た。

改めて誓う二人・・・色も褪せないほどだと思える・・・互いに寄り添い共に生きる。

隣に居るだけで穏やかで、寄り添えば全てが温まる・・・知れず自分に笑みが溢れる。

そう思えば自分を見つめ微笑んでいた彼女に苦笑いだ・・・自分が過った思いを理解したのだと。

嬉しくてより抱き締める乃木だった。



『(笑)また来てねぇ』
『『・・・・・』』

レアの叫びに声も出なかった・・・笑うナギは乃木の視線に慌て押し黙る・・・静かに笑みが溢れた奏はレアの隣へ立ち 気にするなと囁く。

そう思えた陽乃と乃木・・・分かったと頷けば自分を抱き寄せ歩き始めた。

『(笑)ハルノがショックを受けた事は分かるがな・・・』
『・・・また来てねよ?』
『(笑)だよな。あそこはハルノの家でもあるんだよな・・・』

携帯の音がなり乃木が見れば笑みながら彼女へ見せた。

=言い方、間違えた・・・ハルちゃん悲しんだ?
会いに来てって言いたかったのに=

ホッとした彼女の笑み・・・直ぐに返事を返した乃木に微笑んだ。

=大丈夫だ。連絡はハルノにすれば良かったろ=

見ていた文字に笑む・・・今度は彼女へ来た事で優しい目が余計に柔いだ。

大好きだと返事をしたハルに、帰ろうと促す乃木だった。



-end-



お付き合い下さり、ありがとうございます。

久しぶりのイベント話・・・慌て作ってしまった感、満載な気がするtamiでございました。

《 my seif 》 からの話でした。
失礼いたしました。
-tami-








my seif -56

2022-02-03 10:17:06 | my self


久しぶりに聞いた声・・・それは昔ほど面倒でもなかった自分に苦笑いをした。

暫く悩み考えていたが気付きも早かった彼の笑みに苦笑いだ・・・そして彼だけが自分が悩んでいる理由を知っている気がした。

『・・・(笑) ・・・いつもの悩んだ顔より、深いぞ・・・何が起きてる?』
『・・・』

『むかーし(笑)・・・その顔を見た気がする自分を思い出した・・・』
『本当に気づいたの?そんなに顔に出てる?』

『ん・・・見た事が(笑)あるなって考えてたら・・・(笑)さっき思い出した』
『・・・』
『(笑)初めて自己紹介ってしたよな、車の中で・・・』

彼の言葉に苦笑いしかない・・・車の中で話したと聞いた途端に甦った記憶。

あの時に話したと、自分もまた思い出したのだった。

『・・・(笑)戸籍の話もしたよな』
『したわ・・・』
『今回は・・・何があった?』
『・・・義母だった人から会いたいと連絡が来た・・・』

『嫌なら会わなきゃいいだろ(笑)』
『・・・利用したい気もして悩んでた・・・(笑)・・・』
『本当に出来そうか?』
『・・・頑張ってみるけど』

『成功するとは限らない(笑)』
『分かるけど、試したい自分が居たから』
『(笑)悩んでたわけだ』

自分が言おうとした言葉を呟く彼に苦笑いしかない・・・そうだと頷けば優しく抱き締めてくれた。

『ハルノに向けられた言葉は聞き流せるのか?』
『半分は言い返せると思えたから』
『(笑)・・・なら行って相談と声にして来い。最後は礼もな(笑)』
『・・・』

『(笑)これで最後だとハルノ自身の言葉で終わらせて来れる。そしたら自分の中で区切りもつけられると思ったんだ・・・がな・・・』
『(笑)ありがとう』

『・・・(笑)・・・また自分で解決したよな、それ(笑)・・・』
彼女の笑みが違って見えた事で、また昔に見た笑みと同じかと笑み返した。

『(笑)背中を押してくれて、ありがとう・・・』
『・・・頑張れ(笑)』
『(笑)はい』

互いに自分を動かす為に考えていく事は同じだった・・・迷いが動きを止めているだけ。

次の一歩が出せず自分を戸惑わせている事も知る・・・悩んではいるが既に自分で決めている。

決めたのに自分が動けなくて悩んでしまうのだ・・・それは お互いにと知ってはいる。

知っているのにと彼を見つめ大丈夫だと寄り添い彼を待つ・・・

知るだろうと彼女を見つめ・・・大丈夫だろうと思えるのに動かない彼女に気付けと笑む。

話していれば自身で解決出来る事だったと自分に笑う・・・変な感情で揺らされ、いつの間にかハルノという自分を見失っていた。

彼の言葉で確かにと思ったが、それは自分でも思っていた事だ・・・全てを止め終わらせたいと。

今になって揺らいでいた自分に苦笑いをする・・・義母だった人の言動で止めてくれそうな気もしていたから悩んだ。

ならばと行く前に考えていく事にしようと思った彼女がいた。




連絡をすれば今から家でと言われ驚いたが一度 断り別の日にと返事をした・・・なのに新たな言葉は自宅だった事に驚いた。

―ここで始めたのだから、終わらせるのもココで良いはず。だから来なさい―
迷いながらも電話をしたが、義母から そう言われた。

さらりと言い返した言葉に驚いたが早く終わらせたくて分かったと彼女は返事をしたのだった。



兄弟だった人達が来始めた頃、面倒で義母だった人に止めて貰おうと自分から連絡した事もあったと思い出した。

足がすくむ・・・父親の声はないが義母という人の言動は激しく疲れたから。

家屋が見えれば余計に足は重く行くのも構わないかと思い直す自分に苦笑いしかない。

ジッと眺めながら、今の思いを天秤にかける・・・先の面倒さはと・・・
―自分の中で区切りもつけられると思ったんだがな・・・―

彼の声が響いた・・・目の前に現れた門・・・二度と来る事もないと思っていた。

目を閉じれば一人生きた自分が現れた・・・そうだったと苦笑いだ・・・ハルという自分で来たのだと改めて思えた。

そして、それは これからもだと思えば不思議と胸の支えも取れた気がした。

車のドアが開いた音・・・微かな足音までが近付く・・・フッと笑えば優しく抱き込まれた。

『(笑)悪かった』
『ありがとう(笑)』
謝っている声音は心配した彼の声だった・・・それでもホッとした自分がいた。

そっと離れた彼に笑み返せば、自分を振り向かせ優しく押し出した・・・



通された部屋は説教されていた部屋だった・・・それでも日は流れていたのだと口を引く。

座らされていた畳はフローリングになっていたから・・・主が変わればという言葉を思い出す。

ソコへと促した人を眺め軽く会釈してから座った・・・今、お手伝いしているのだろう家政婦らしき人が飲み物を運んできた。

部屋から家政婦が出て行くと直ぐに義母だった人がカップを手にし飲みだした事で待った。

自分を見れば粗捜した部分で声にした・・・全てが自分を待つ事もなく声にした。

改めて自分は大人になっていたのだと勝手に思った自分に苦笑いをしたのだった。

『呼び出して悪かったわ』
『・・・いいえ』
驚いた・・・その言葉から始めるのかと。

『外で時間を使えば、その間に手を打たれ話せなくなると思ったからよ・・・人目もあるし』
『・・・こちらへ来た事の方が近所の目が増えると思いませんでしたか?』

『・・・』
『外なら他人と理由は作れました』
『・・・そうね』
『私から話しても?』
『・・・』

『時間も惜しいので・・・』
『構わないわ。どうせ同じ事じゃないかしら?』

『・・・今日で最後と先に話をさせて頂きます。
皆さんの言動を止めて頂きたく参りました・・・ずっと伝えて来ましたが聞き入れて貰えず困っています。
手助けを・・・助けて戴けませんでしょうか・・・』

『迷惑?』
『来店される事は構いませんが、昔話と懐かしまれる事まで付き合う気力はありません』
『・・・』

『仕事の流れで当店を利用して頂いて構いませんが、私のプライベートへ混ぜる事もありません。
切った縁です・・・拾わないよう お伝え願えませんか?』

『個人でも?』
『利用する機会は増えている気もします』
『聞き入れてないと?』
『・・・全て拒否します』

『そこでずっと?』
『・・・今日は、一個人として参りました・・・今も娘ではなく、妹では ありません。

理解したいとも思いません・・・なので全て終わりと説得して下さい
生きてきた自分の居場所を荒らされ面倒なんです・・・』

『・・・見張る面倒』
『どんな理由を作り私を監視していますか?』
『・・・財産は』

『他人に分けて下さると?』
『・・・会社も』
『働いても居ないのに?』
『・・・』

『藤堂家で話し合い引き止めて戴けませんか?
妹という言葉を強要するなとも』

『そんな話はいつも?』
『閉店まで待つ事も、帰り道でも お会いします・・・接客業ですから来るなとも言えません・・・
当店は色んな業種の方が お見えになります・・・』

『その道の客も?』
『そこで巻き込まれても私が出る事もありません。当然ながらマスコミ関係の方々も来店されます・・・

当店のスタッフは声にしませんが姿を見れば分かるでしょう。

声にされても手は出せません、スタッフを含め店を守りたいので』

『血は』
『確かに繋がっているのでしょうが私には関係ありません。
他人の為に自分を犠牲にするつもりはありませんから』

『確かに』
『・・・遥か昔にですか、お世話になりありがとうございました。
私の話は終いです・・・藤堂さまからの話は・・・』

『店に行く理由が知りたかったわ』
『知りません』
『・・・面影を残した姿を懐かしむ為かと思ったわ』
『・・・』

『私の子達は』
『知りませんし巻き込まないで戴きたく』
『妹を懐かしくと?それは』
『ならば死んだとお伝え下さい。懐かしむ記憶もありませんので』

『(笑)確かにね。歳を重ねたからかしらね・・・不思議と初音を思い出せるほどよ』

『こちらでの家族という意味でなら、私に両親は居ません・・・まして兄弟も。
勝手な想像で私を利用しないで下さい』

『ハルノさん』
『・・・振り回される自分が嫌なんです。そう考える事も面倒で、藤堂様がたと話す事も拒否したく』
『そうよね・・・』

『理解して戴き感謝します。連絡する事も こーして話す事も今回限りとお願いいたします』
『・・・』

『そちらの会社や こちらへも噂と拡がらない事を祈ります』
『・・・』

『こちらで話していて、どこからも噂と揺らされないよう祈ります。
私を理由に脅されても、私自身の噂と表に出ても・・・一切、私は知らぬと通します』

『身内と!?』
『勝手に表に出そうとしているのは、そちらです。一番近い組織の方がたにバレた気もします』

自分の話に驚いたのだろう息を飲むのように黙り感情を抑えた人を見返した。

『面倒ですが私は構いません・・・ですが利用したい組織は数多くあります。
こちらを理由に声にされても私は私の居場所だけしか守れません』

『あなたね!』
『藤堂様がたが巻いた火種は、藤堂家で払って下さい。
どう説明しても聞き入れて頂いた事もなく、はっきりと お断りもしています』

『・・・』
『最後にと今回は参りました・・・これで終いと。
・・・こちらで世話になり、ありがとうございました。

他の話はないようなので私は失礼させて』

『待ちなさい』
『・・・』
まだ話があったのかと見返したハルノがいたが様子を伺い次は何だと身構えた。


ドアが開いた音・・・激しい音が聞こえ、今日の事を知った誰かだと思え目の前の人を眺めた。

焦るような顔だった・・・予定までを確認して連絡したのだろうと思っていたが、誰かが予測し自宅へ戻ったのだろうと思えた。

勢いよく開いたドアの音・・・その間も数人の足音や名を呼ぶ声が聞こえれば苦笑いしかない。

頼みの綱は切れた事に苦笑いしかない・・・集まる多さで疲れも倍増しそうだった。

夫婦で・・・親子で・・・互いに見合い黙った姿で、それぞれに腹の中を探っているようで可笑しかった。

何かを言いたいが声にならない人達と、義母の反撃を知る子達・・・そんな構図も不思議と静観して眺められた自分がいた。

また・・・誰かの声がし、それは客のように挨拶をしながらも丁寧に叫び入ってきた。

その声に笑む自分・・・知る人達までが乗り込んできたのだと思えば余計に帰れるかと微笑んだ。

『失礼致します。ここまで(笑)全て開いていたので入りました。
戻ると言った時間になっても来ないので(笑)ハルノを迎えに来たのですが・・・』

『『『・・・・』』』
『(笑)話は?』
『終わりました(笑)帰ります』
『ま、待ちなさい』

乃木の言葉に笑みホッとしながらも返事をしたが引き止めた声は義母だった事に思わず口を引いた。

『私の話は終わりました。あとは皆さまで終わらせて戴きます。他人の集まりに参加するつもりはありません』
『『『!?』』』
『失礼致します。』

直ぐに言った自分の手を素早く掴んだ事で引き寄せられ、慌て伸ばした葉月の手に捕まらずにすんだ。

その間にレンと大木が素早く 間へ入れば、慌てるように手を引き驚いた顔をした。

その人達へ丁寧に会釈した二人は暫く動かなかった・・・

敷地から連れ出された自分を抱き込み車へ乗せられたが、直ぐに走り込んできた二人が乗り込めば車は走り出したのだった。


ホッとしたのだろうハルノの力が抜けていく事に口を引いた・・・身構えた姿に来て良かったのだと改めて思えた自分を誉めた。

自分の手へ触れ小さな声で礼を言った彼女・・・大丈夫だと笑み触れた指先を撫でた。


自宅へ戻ったが彼女は着替える事なくベッドに座り景色を見るように窓の外へと視線を向けていた。

暫く見ていれば笑みながらベッドへ力なく寝そべり天井を眺めながら微笑んでいた姿に苦笑いだ。

それでも終わったと思えたのだろう彼女の様子に笑み、ならばと隣へ寄り添うように寝そべった。

見ていれば片手を胸に乗せ目を閉じていた・・・

『・・・その理由・・って・・・』
『・・・(笑)誓いです』
『(笑)次のか?』
『なっ!・・・』

なんでと驚くしかない・・・どんな理由かと聞かれ一言、自分への誓いと言っただけで彼が気づいたから。

笑みの穏やかさに、いつもの彼女に戻れたのだと知れた・・・自分を取り戻した彼女が先へ歩くのだと思えば嬉しくもなった。

次への計画を考えているのかと思い聞いてみれば、既に誓っていたのだと笑み返した。

なのに彼女が驚き、その彼女の反応に笑み可愛くて抱き込んだ・・・それは恥ずかしかったらしく照れた彼女が自分へ身を押し込めた。

似たような考えもする彼だったのに驚いた自分へ笑み返す姿に照れてしまった。

見惚れた自分だった事に恥ずかしく彼に見られる事も恥ずかしくて自分を隠したかった。

『・・・(笑)何をする?』
『(笑)・・・・自分を初心に戻したいから皆に協力して貰おうかと思って・・・』

『(笑)自分の?』
『んー(笑)・・・点検?』
『頑張れ(笑)。そーいえば』
『(笑)了解』

直ぐに返事をした彼女に苦笑いをした・・・初心と聞き店を始めた頃かと思った。

そして昔に話した記憶を思い出し彼女に笑み返せば、その了解した意味は同じかと彼女を見つめた。

店を貸し切り飲む約束をしていた事で彼女に頼もうと思った・・・交代でなら出来そうだから。

だから言ったのだが本当に同じ意味か考え・・・同じだったのだろうと思えば楽しくなり彼女もかと期待も膨らんだ。

『(笑)一番最後になって・・・ごめんなさい・・・(笑)お待たせしました』
『・・・(笑)』
『でも・・・』

不意に呟いた彼女の言葉・・・同じだと驚き、直ぐに嬉しくなったのに次の声もあった事に驚いた。

『・・・私が練習したいから、もう少し・・・』
『(笑)その練習でいい、皆に飲ませてくれるなら。
それとハルノが飲むなら(笑)気にしないぞ?』

『・・・それじゃ』
『(笑)いい。お前を巻き込んで遅くなったしな・・・(笑)それでチャラだ』

『ならないのに・・・
それに巻き込まれたんじゃなくて、私から入り込んだのに』

『(笑)チャラにして飲もう』
『なら・・・缶で・・・』
『(笑)酔わすなよ』
『気を付けます(笑)』

自宅でなら飲むのかと言ってみれば直ぐに思い出した彼女・・・その返事に笑み返した。

互いの思い出は数多くあり・・・その日その日での小さな記憶は倍へと増えていた事に笑み返した。

楽しかった記憶までが甦ってくる気がして嬉しくなった・・・どれもが少しの時間を共有していた。

積み重なり数多くの思い出になっていた事も嬉しかった・・・その時々で楽しかった日々は増えていた。

自分の家族が増え、自分の味方が増えた・・・同僚から仲間へ・・・親友から家族という近さまで。

沢山の人達と出会い自分は生かされた・・・そして自分の心まで寄り添ってくれる人と出会えた喜びに、自分は本当にラッキーだったのだと思えた。

幸せという場所まで運んでくれた人達に感謝だ・・・今なら、その気持ちを返せる自分がいる。
だから頑張ろうと改めて誓う・・・


一人笑みながら何かを考え始めた彼女に苦笑いだ・・・一瞬だが何かを思い出したのか、何が嬉しかったのか笑顔が見れた。

考えこむ彼女の笑み・・・それは何かと聞くのを止めた彼がいた・・・後の楽しみにと待つ事にした。


いつの間にか彼が自分を抱き込んだまま眠っていた姿に苦笑いだ・・・穏やかな笑みを浮かべているようでホッとした。

寝息の柔らかさに笑む・・・この温かさに浸れる事も嬉しくて・・・彼と出会えた事に感謝した。

自分まで穏やかな気分で浸れ眠気も優しく自分を包むようでホッとした。

今は全部を手放しココで浸ろうと彼女は目を閉じたのだった。