やすらぎの空間・・・隙が出来たと自分へ話に来る・・・こんな時はと聞きに来た事で自分ならと静かに声にする。
そうかと聞き入り席へヘルプとついた彼に褒めるように見返した・・・照れた笑みは一瞬だったが客へ向けばプリンスという目に戻っていた事にホッとした。
隣へ入る・・・ウェイターが見回りのように歩きグラスを引き取っていた。
上手く回せていた子達に安堵しカウンター内を眺める・・・緊張し始めた顔に苦笑いだ。
店長に謝り奥の控え室へ入り姿を消した・・・これまでの収支を確認し、店長を呼び次のステップと話せば既に考え計画し始めていると報告を受ける。
助かったと礼を言えば、それは違うと逆に謝られ苦笑いをする・・・その流れで頼むと彼女は店を後にしたのだった。
早めに来たワカ・・・フロアの真ん中でジッと佇み店内に浸るような彼女を久しぶりに見た。
内緒だったと謝りながら教えてくれた秘密・・・苦しく逃げられない彼女の戸惑いは長引いた。
それでも気持ちを切り替えて頑張ってきたが、我慢は限界を越したのだろう彼女の姿に慌て 休ませようと彼らと計画し店からも離した。
時々は店へ顔を出すが、自分が知るハルという女は全面に出る事は減っていた。
乃木達へ連絡し相談する日々・・・本来の彼女へ戻して貰おうと頼み、店は大丈夫だと伝えスタッフと頑張った。
少し前に彼女の様子を聞き、落ち着きだした事は聞いていた・・・そして昨日、練習を始めそうだと教えてくれた。
聞いたばかりだと苦笑いだ・・・今日から考え始めそうな彼女に嬉しくなった。
思わず・・・だ。優しい笑みで見上げていた彼女を背から抱き付けばフッと笑い始めた彼女がいた。
『ごめん(笑)』
『(笑)お帰り』
『ただいま(笑)』
『始めよ。(笑)するんでしょ?』
『いい?』
『(笑)おっけ。久しぶりに皆をチェックしてこ』
『・・・』
『(笑)初心に戻して私も頑張らないとねー』
『ありがと!』
『(笑)おっけ。どこから・・・(笑)というかさ、近場の人達が貸し切りしたいって連絡くれてさ・・・』
『受けてない?』
『・・・迷った(笑)、頻繁に通われて同じ場所って他から思われたらって気持ちが出始めちゃって(笑)放置してたの』
『・・・ごめん(笑)一緒に考える時間を持たなくて・・・』
『いいの・・・(笑)それより、どーする? 本当なら関係なく受けたい気はあったんだけどね・・・』
『(笑)受けよ。ただし、2階だけの分で。他の客も入るから(笑)』
『店をって言ってたけど(笑)』
『それしたら(笑)』
『(笑)分かるよ。だから受けてなかったの、その悩みよ』
『悩ませて(笑)ごめんってば』
『(笑)大丈夫って言ったのに』
『(笑)私がフラついてたから、ワカまで悩ませてたんだもの』
『あー(笑)、伝染したんだ・・・』
『・・・(笑)』
『練習する?』
『(笑)したかったんだけど、予約表みたら暫く途切れないし(笑)』
『(笑)心で謝って練習しながら行くか!』
『そーしよ(笑)。練習だけど(笑)本番を頑張る・・・』
『だね。(笑)着替えたらピアノ弾いてよ』
『(笑)おっけ。全員揃うまでねー』
笑う彼女に笑み返したワカも着替えだと控え室へ一緒に向かうのだった。
柔らかな音色が響く店内に、出勤してくるスタッフの笑みは溢れた・・・ハルのピアノを久しぶりに聞く事の嬉しさからだった。
急いで準備を済ませ空いた席で聴く事は本当に久しぶりだった・・・静かに移動し客を出迎える時間まで聞ける楽しさに浸った。
早川も全てチェックし終え聴けた事に笑みを浮かべる・・・弾きながら振り向いたハルママに、笑み返した。
準備が出来たかと聞いたのだと思え頷いた・・・ワカママまでが自分に笑みハルママを見つめた。
昨日まで・・・時間が出来ると、いつもハルママが立つ場所からフロアを眺めるワカママがいた。
少し寂しげな笑み・・・それは一瞬だが見えた・・・早く戻ってきて欲しくて自分も頑張り、スタッフを鍛えてきた。
気持ちを切り替えるママ達を見習い頑張った・・・いつからか覚えていないが、スタッフを指導して欲しいと 高波とワカママから部下を預けられた。
出来るとハルママが囁く・・・足りない言葉は知れず教えてくれたしフォローもしてくれた。
女の子達を学ばせていく言動をママ達から見習ってもきた・・・上手く出来そうなスタッフへ中間のボーイを預けた。
連携しボーイ達のレベルを上げる事も楽しかった・・・スタッフを考え出来を一定させるバランスも上手く回せた。
腕が上がれば店から出向だ・・・勉強だと出されるのだ・・・自分は拒否したいと思い願い出てみれば、出す気はないと言い切ったママ達に感謝した。
他店へ通用するかは知らないだけに考えてしまうが、大丈夫そうなスタッフの数が増えた頃に高波が連れ出していく事に気付いた。
誰かからの連絡で知ったが高波までが褒めてくれた事も余計に嬉しく今を楽しめる自分になれた事が一番嬉しかった。
頑張ってきた自分も褒める・・・ママ達の目配せた理由が同じだった事も嬉しかった・・・
開店しママ達の連携を見れた嬉しさは、スタッフの笑みの増えかたに現れた。
時間が出来たのかハルママが佇む・・・笑みが溢れた姿に自分達が上手に出来ているのだと思える幸せに笑み返した。
『(笑)ありがとう』
『・・・はい?』
『(笑)レベルが上がってる皆を見れたから』
『(笑)こちらこそです、ハルママから習いましたし』
『出会えて良かったわ(笑)』
『(笑)一緒に働けて楽しめてます。ずーっと楽しめる自分が出来て有難いです』
『私達も助かります(笑)』
『(笑)褒めあいも・・・』
『照れるね(笑)』
『『(笑)頑張ります』』
終わりがないと笑うママに言ってみれば、同じ言葉に笑み返し また同じように店内を眺めた。
笑み目配せたママが離れる・・・はいと笑み返しカウンターへ向かうのだった。
同じように眺めた席へ水を運ぶ・・・グラスを渡せば笑み返され静かに戻った。
休んでいたはずのママは変わらず次々と動いていた・・・楽しげな客達の久しぶり の会話は前より ほんの少しだけ長く居たようだ。
商談と来た客の席で戸惑う子を助け交代と静かに入る・・・ワカママが来いと目配せていた。
呼ばれて行ってみれば対処の方法を教えてくれた事にホッとし落ち着けた・・・別の席へ促されたが、暫くして今度はハルママから理由を聞かされ謝った。
『(笑)次に頑張ればいいだけよ。今回は、戻れば話が止まる可能性が高かったから』
『どこで分かるかは・・・』
『(笑)そうなの。体験してくしかないから・・・(笑)気付いた時に静かに離れればいいわ、今みたいに』
『その後は・・・』
『(笑)他の子達を行かせない方が無難かな・・・嬉しそうな顔に戻った事が増えたら(笑)グラスを変えるか聞いてみる』
『・・・あ、終わったかを』
『そ(笑)確認してみる』
『決裂して・・・』
『その時は(笑)、飲み物を変えるか聞くとか・・・交ざって話していいか聞く・・・とか(笑)』
『楽しい話を(笑)』
『(笑)気分転換よね』
『・・・(笑)頑張ります』
『(笑)頼みました』
はいと返事をした子が笑み、一度静かに深呼吸してフロアへ戻った・・・
いつもより多い言動は嬉しかった・・・迷う言動はママ達へ迷わず聞けた。
覚えていた事に笑み返され照れながらフロアへ戻った子達に可笑しくてワカまでが笑い声にした。
楽しい時間が出来た事に店内も明るくなった気がした皆もいた。
その日・・・
質の悪さに驚いた・・・
前のように仕切りを作ったが、それは失敗だったかと眺めた。
それでも限度は越し、その場のトップだろう客の席へ向かった。
『失礼致します(笑)』
『・・・(笑)ハルママか』
『お客様』
『(笑)なーんだ』
酔った男が肩を抱く・・・グッと手を掴み目の前の椅子へ丁寧に座らせ、話をとトップの客を眺めた。
『客だぞ?』
『その前に、失礼致します』
そう言ってからフロアを眺め指を鳴らした・・・女の子達が振り向き、ホッとしたように素早く立ち上がった。
『席を代えなさい』
いつもはない声音・・・知ってはいるが、聞く事はなかった言葉・・・スッと移動し客へ挨拶をした女の子達はフロアから出て行った。
その行動に驚き客は誰一人 声にも出来ず、出て行った後にハルを眺めていただけだった。
『失礼致しました』
『なぜ出した?』
『当店は酒は売りますが、女を売ってはおりません』
『クラブだろ!』
『酒を楽しむ場に揃えますが、女をだしにされる場を作り売ってはいません。
お代は結構です・・・これで終いと お帰り願えないでしょうか』
『追い出すと?』
『その階段に足を取られず降りて頂けると助かります』
『金はあるぞ?』
『今回限りと、他店でお過ごし下さい』
『ここで』
『女を売るつもりは一切ありません。当店をご利用くださり感謝致します』
『次も』
『どうぞ他店へ・・・』
『・・・』
『女は』
『そういう店へ足を運んで下さい。
言葉を楽しむ為に、当店は酒を売っています・・・』
『・・・』
『説明不足でした・・・皆様には申し訳ありません・・・失礼致しました』
『・・・』
静かに話すママ・・・どう声音を代えても代わらず説明するように ゆっくりと声にするママを眺めた。
『ハルママ(笑)、遊びに来たが時間があるか?
・・・ ・・・ん?、平か?(笑)ずいぶん数を揃えて来てんだな・・・』
『・・・・?!』
不意に声がした・・・そう言いながら、ずかずかと近づく男に誰だと威勢よく見返す男たちは誰かを知ったようだった。
声を失ったようでママを眺め、声にしながら入ってきた男を眺めた。
『御手洗さま(笑)、久しぶりでした』
『(笑)番長に呼ばれてな・・・』
『(笑)平様とお知り合いだったんですね』
『眺めてるしな(笑)』
だよなと笑い 平を見た御手洗は、他の男たちまでを眺めた。
『・・・この店に?』
『(笑)親分から聞いて番長が馴染みと呼ばれたんだ。ちょうど良かった(笑)顔を洗ってけよ』
『・・・』
『(笑)松木に行かせるか?挨拶は必要だったな(笑)・・・』
『・・・』
『(笑)ワカママと話がしたいと聞いてるぞ』
『松木様は少し前に・・・』
平を眺め話をしていたが、返事は待たずハルママへ話しだした客に苦笑いをした。
『(笑)久しぶりに会ったと聞いたから来たんだ。ここは終いか?』
『(笑)はい。これから』
『見送りか(笑)、平・・・偉くなったな(笑)通うなよ。ここは全部が馴染みだぞ・・・』
『ぜっ・・』
『あー全部だ(笑)。一つで運ぶ事も出来る(笑)なんせトップまで知ってる店だし』
自分達の上が驚き、手足も出せない相手と気付けば声も出なかった事に気付いた。
相手の男は知らないが、付箋を張った言葉は理解した・・・少しでも暴れれば引っ張ると、店と女を守った言葉と気付く。
だから手を出すなと言いたくて、ここまで顔を出したのだと気付けば驚くしかない。
いつもなら、我慢もし相手もする女たち・・・この店は違った・・・早々にママが女を守り自分達から離した。
一人残り店の説明をする・・・警備の男たちは睨んではいるが交ざらず、それでも後ろで控えていた。
店内だからか二人だけだ・・・何より御手洗と一緒に来た男の姿は警備の男たちと同じだった。
何者だと眺める・・・初めて見た時に調べていた男でもあった・・・不味い場所にもいた男。
おお事になりそうで、取り敢えずと手下を少しずつ出した・・・財布を出させたが、出る瞬間に抑えられ外へと促された。
離れれば静かに会釈する・・・丁寧に挨拶をするように・・・そして失礼したと謝っていた。
苦笑いだ・・・近場のクラブと同じように行ったが、暴れるなとだけ聞いて来た。
自分達なりに暴れている気もなかったが、触ると嫌がりもしたが気にせず飲んでもいた。
丁寧に謝り離れては酒を注いでいたが気にも止めなかった・・・楽しむなら そーすべきだと思ってきたから。
自分達にもヤバい人達を集めるとは聞いていたが、自分達をよく知る警察までが集まるとは聞いて来なかった。
どう報告すべきかと、酔った事さえ忘れた身に苦笑いだった・・・
ホッとした・・・助け船を運んでくれた乃木に感謝だ・・・偶然にもほどがある。
警察関係者が飲みに来ていた・・・そして乃木の友人も・・・その友人の上司に感謝する。
静かにノックし入れば丁寧に会釈し礼をした・・・隣へと向かえば今度は乃木までが一緒に飲み始めていた姿に苦笑いだ・・・この人達へも礼をした・・・
好む酒とツマミを運ばせる・・・感謝したのに感謝されたと笑う女の子達に笑み返した。
店が終わり・・・
早めの時間で切り上げた・・・警備を頼み店の子達を送って貰う・・・それはもしもを考えたから。
我慢する事が出来ず対応してしまった・・・反省顔だと気付いたワカに笑み返した。
初めてみた言動に苦笑いだ・・・どれだけ我慢するハルかは知らずに来ていた自分・・・これはキレたのかと思えば違った。
変に冷静過ぎ過ぎたハル・・・相手も戸惑ったのだろう声はなかった事はホッとしたが ハルの我慢の限度が知れた事は苦笑いだった。
それでも、代わりに行こうと思っていた自分より早かった事の方が嬉しかった・・・自分なら冷静に対処は出来なかったかもしれない。
やり返される不安はあるが、自分の店の子達が我慢するのは防ぎたかった二人。
見た目でも同じような店でも・・・似たクラブでも触らせ、代金を貰うような雰囲気はなかった。
そういうクラブもバーも近場にはないと聞いていた・・・それは囲われているクラブも。
数組の組織が混在する街・・・激しく争う地域でもなかった・・・これまでも何度かの誘いはあったが、全てオーナーという立場で丁寧に断ってきた。
二度目まではハルだけで向かい、次も行こうと思えば 今度は乃木と一緒に出向き拒否してきた。
丁寧に詳細を述べ聞き入るまで、ゆっくりと声にし納得してもらってきた。
それは一番上の人達へまで連絡し日を改め 調整もし相手に合わせて出向いた・・・初めは真ん中にいるだろう人達へ声にし上にと出向いていたのだ。
比較的に若い子が彷徨く場所・・・そこは穏やかで争う事も防いでいる組織だった。
一番荒い人達が今回の場所だったが 挨拶にと、こちらから奥へ出向かなければ会わない人達だった。
ならばと早々に連絡を入れ 挨拶をと乃木と二人で出向いた・・・
そして今回・・・
客に対しての言動で謝りに来てみれば乃木も知る人が入り口にいて驚いた。
近寄るなという合図に自分を引き止めた乃木・・・何だと眺め様子をみた。
数台のバン・・・警察車両だと知らせる小型のランプがみえる・・・不意に中から出てきた人・・・店に来た平が自分達に気付き慌てるように近付いてきた。
小さな声だったが謝り、そっと携帯を手にし誰かと話ていた・・・それを 手を添え丁寧に自分へ渡して来た事に驚いた。
彼女へ渡そうとしたが乃木が目配せ携帯を手に誰かと話を始めた。
その間に・・・
『平さま・・・
来店の際は、本当に失礼致しました・・・無礼をお許し下さい』
『・・・』
『オリーブの代表として謝罪致します』
『それは、自分達の方でした。自分の方こそ勉強不足と反省してます。謝ります・・・』
『よければ また足を運び下さい・・・席があれば貸し切りにも出来ます・・・』
『迷惑をかけたのにか?』
『・・・貸し切りにしなくても、数人なら案内は出来ますから』
どーぞという女・・・柔らかな笑みに見惚れるように眺めた平が苦笑いをする・・・
『ママと?』
静かな声音になり、ふと呟く平に笑み返す・・・その視線の先に乃木がいた事で言葉の意味に気付き・・・そっと頷き夫だと微笑んだハルだった。
『言っといたら巻き込まれないと思うぞ?自分は』
『(笑)どなたにも伝わっていたかと思い込んでおりました。(笑)平様にも』
『・・・(笑)分かった。詫びに止めといてやる』
『(笑)ありがとうございます。感謝します』
素早く言ったハルが話終えた乃木に気付き見返せば苦笑いをした平は携帯を受け取り戻っていった。
『ハルノ(笑)』
『(笑)はい』
『聞こえたぞ(笑)』
『(笑)すみません』
『俺から言ったさ(笑)』
『・・・ ・・・んんっ?』
『(笑)ついでにと言伝てられたから丁寧に謝って(笑)ばっさり切った』
『ありがと(笑)』
『(笑)準備はしてたんだ』
『・・・』
それは何だと考える間に、乃木はハルノの肩を抱き もと来た道を戻り始めた。
『帰るの?挨拶は?』
『(笑)前の一件で小さな仕置きをしてた。だから電話で謝罪したら逆に謝られたさ・・・』
『・・・言伝てって』
『(笑)さっきの人の上が』
『やだ!』
『(笑)俺の連れだと言ったさ。
・・・(笑)もしもを考えてたからバチが当たったな・・・』
これはと呟きながらも、内ポケットから何かを乃木が取り出した・・・抱いていた手へ持ち反対の手で自分の手を掴んだ事に何だと彼を見上げた。
照れた笑みの乃木・・・左の薬指へスッと嵌め自分へキスをした・・・苦笑いをした乃木が指先で肩をつつく。
何だと眺めれば肩にある彼の指先に、もう一つの指輪があり・・・目の前に彼の反対の手が現れた。
ペアリングかと彼の左の薬指へ嵌める・・・その彼の手が自分の手を包み抱き寄せられたのだった。