tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

つきあかり 30 -end-

2015-07-04 17:01:06 | つきあかり

いつもの毎朝の光景に笑む……

サキも楓もバタバタと急いで店に行く。
シオンは寝ていろと、部屋に押し込まれていた。

不思議と…視えるが、視ないと意思を固めると……ソレはスウーっと消えて行く事に驚いた。

前よりも出来ると実感する。

『ありがとう……』
誰かにそう呟くシオンだった。



我慢して…頑張って昼寝をしてみたり、本を読んでみたり……
時間を潰してみるが…暇すぎて…思い出したように電話をするシオン。

『お母さん?元気?』
笑みながら話を始めた。
『シオンは?』
『…うん、元気よ。(笑)熱は出しちゃったけど…』
『大丈夫なの?』
『もう大丈夫(笑)…看病して貰えたし…』
『サキちゃん達に、お礼はちゃんと言うのよ(笑)。チェイス君にもね(笑)聞いてる?』
『(笑)チェイス君って…聞いてる…わかってる。する』
シオンは涙を拭う…
『ほんとに?』
優しい声に安心した彼女だ。

『大丈夫!。お母さんも気を付けてね……』
『大丈夫よ(笑)お父さんも皆も元気よ。貴女も…風邪に気をつけてね…また引かないで…』
『うん…気を付けるよ。
あっ!お祖母ちゃん達のお墓参り…代わりにしてくれる? 』
『お墓参り?…分かったわ(笑)行ってくるね…ありがとうって…』
『お願い(笑)』
『了解(笑)。今、シュウが居るけど…話す?』
『ん…話す』

『シュウ?(笑)』
『…シオン…元気か?…大丈夫なんだろうな(笑)』
『…元気だよ(笑)』
『爺さん行ったろ?(笑)』
『 助けてくれたよ…。蒼の石がなくなったの…切れてないのに……ごめんね』
『ブレスレットに感謝だな(笑)、チェイスにも感謝しないと…』
『シュウも…(涙) ……ありがとう(笑)』
言葉がつまる………

『(笑)新しい仕事、聞いたぞ。そっちに居着くのか?(笑)』
『ん…頑張るよ…』
突然チェイスがきて、後ろから抱きしめると…彼が携帯に耳を近づける…

『体に気をつけろ(笑)。チェイスがいるんだ』
『ん…頑張る…』
『(笑)本当に言えよ…』
『ふっ(笑)』
『じゃぁな(笑)チェイスによろしくな』
『ん…(笑)皆に、またねって伝えといて。シュウ…ありがと(笑)』
電話を切ったシオンは涙を拭いた。

『誰がいるって?(笑)』
『あれ…日本語だったよ?』
『少し…(笑)』
彼が口で笑った……


いい匂いが漂う
『珈琲?…やった(笑)』
立とうとしたシオンを抱きとめ、黙ったまま何も言わないチェイスを見つめた。

何だろうと考えるシオンは
『わかった(笑)私も大好きよ、イス(笑)』
『珈琲がか?(笑)』
『それも好き(笑)』
『俺は?』
聞かれて照れるが……微笑むシオンがいた。

『愛してるは言葉にしないと(笑)伝わらないんだがな……』

チェイスが真剣に言う。

シオンは体を向きなおして

『イス 愛してるわ貴方を(笑)。
…ずっと…愛するわ』

そう言って微笑んだ。

チェイスは優しく彼女を引き寄せ…抱き締めたのだった。


=end=




※ 長々と(笑)ありがとうございました。慈恩とチェ・イスが ますます 好きになりました。

〔自分で言うのも…ですが(笑)〕

※2
ちょうど…1年前、2013年の11月に、ブログへ入れました。

ビッシリと詰め込み…削り…少しの隙間しか開けれず…まいりました。
必要以上に消したら Sion との話が合わず、焦った焦った(笑)と記憶しています。

やり直しも出来ずでした。

今回……思い出せない中身も、まだありますが……仕方ないですもんね!

「なんか書いた…なんだった?」
直しながら甦る……消えたのは話の中身だけ(笑)。
書いた記憶だけ残っているのでしたっ(笑)

余白は残し出しました…いつか…次はブログ内で……

お付き合い下さり、ありがとうございました。
-tami-


※3 2015・7
機種変に手間取り……移動ついでに、機能のお勉強中(笑)。

なかなか次のステップへ行けずです。
【 Sion 】から【 つきあかり】へ…
そしてラストは 【 ふたり+ 】 へ進みます。
よければ(笑) -tami- でした。




つきあかり 29

2015-07-04 16:59:08 | つきあかり


聞き終えた頃に、オジは皆を見る…唖然とする皆の姿に涙した

『シオンのいう、巻かれたって事か?』
ユンが皆に聞くが
『まだだろう…月を探してる』
とチェイスが言った。

『…サキ夜食作ろう、探さなきゃ…』
そういう楓に怒るオジ
『まだ大丈夫なら!…大丈夫なら…力を出して助けなきゃ(涙)…シオンは待ってるから…大丈夫!(涙)絶対に……』

キッチンで二人泣きながら準備する。


窓辺にあるブレスレットをチェイスは眺める。
『黒ってなんだ…』
『シオンにしか視えない奴…シオンの本当の敵?』
ユンが答えた。

不安で動けずに…サキと楓は寄り添った…


ヨンウンが入ってきた。
楓達の様子に驚く…
『何があった?』
誰も答えない皆を暫く見つめていた。
『……そういえば、楓が店だと思って行ったら、誰だったか…楓の店の…彼の名前…なんだったかな…、アイツ慌てて飛び出して帰ったぞ?
誰だか、わかんねぇけど、居なくなったみたいだ』

驚く皆が 誰が!と振り向きヨンウンを見た。

驚き、飲みかけた水をこぼした。
『誰かは わからない…探せって電話で言ってたし…身内か誰かじゃね?』
というと今度は、それぞれに見やる…ブレスレットを掴み、チェイスが駆けだし出て行った。

サキが電話をかけようとするのをユンは止め
『あの公園に行ってくる…』
と言いヨンウンの腕を掴む。
『いなかったら…』
そう言ったサキに
『(笑)チェイスが知ってる…信じて待とう…』
と優しく笑った。


ユンとヨンウンで公園に向かう。

そこに、シオンは居なかったが…キムジャンが立ち尽くしていた。

『他に心当たりは?』
聞いたキムジャンに、二人は首を横にふった…

『…バイクに発信器をつけておいたんだ…反応がない。
恐らく落ちたんだろうな…』
と月を見上げた。

『月明かりが恋しいのか…』
そう彼は呟いた。


『シオンが恋しいのは月明かりじゃない』
ユンが言った。
月を見ながらキムジャンが話し出す。
『…いつもバイクで行くんだ。バイクのせいで、記憶を失ったのに…行ってしまう。
だから、危ないとバイクを隠すと…泣きながら探し始める。
見つかるまでずっとだ…。

仕方なく出かけさせ、暫くして迎えに行っていた。

行ってみると…彼女は眠るように倒れているんだ、いつも……泣きながらだった…。

ずっと…月夜は少しだが話しだす(笑)
どこに?と聞けば、公園、 海…そう言って出ていく。
月明かりに笑みながら楽しげに見ている。
珈琲と、聞いた後に…違う(笑) …これだけしか言わない(笑)。
だが…楽しい気がした。二人で探している錯覚さえ……した。

いつか珈琲を出したが、違うと飲まなかった。

この公園か?と聞けば…違うと泣いて眠る……。
…普段は表情がないし話さない。
だから月が綺麗に見える日が待ち遠しかった。
でも…月が出た日に 行かない日もあった、話さない日も…なぜだろうな』
と彼は悲しげに微笑んだ…

『…頼む…彼女を探して、連れてきてくれないか……』
キムジャンが言ったが、ユンが言い返す。
『出来ません…、彼女はチェイスを愛してる。
探しているのはチェイスとの思い出の場所でしょう……

一緒に居ないから…不安で泣きながら探すんだ……。

彼のもとに……どうか返して下さいませんか?。
見つけても…引き離す事は出来ないんですよ… それは貴方もわかっていた事でしょう…。

諦めて下さいませんか?彼女の為に…私達の為に…』

黙ったまま…悲しげに笑み、キムジャンは帰っていった。



ヨンウンは夜空を見上げている

『今日は一段と凄いな』
二人で見上げる。
ふと呟くヨンウン
『なぁ(笑)ユン、さっきのあれ…』
『海と月明かり…珈琲か?(笑)』
ユンが呟く
『それ(笑)…全部チェイスなんだよな(笑)』
たぶんと言うユンに
『なんだろうな…珈琲って(笑)
シオンが好きだったのは知ってるが…珈琲で何の思いが?』
『さあな…(笑)たまにチェイスが旨い珈琲を作ってたな…』

言われて何か考えるが…フッっと鼻で笑う……
『…らしいな(笑)』
と二人で呟いた。


帰りを待つ楓たち…戻ってきたユンから聞いた話を思い浮かべる。

楓はシオンの部屋を眺めていた。
それぞれに思い、帰りを待った。



チェイスは 前を走るバイクの後ろを走っていた。

『この海に来たかったのか…』
そう呟き、窓をあける。

潮の匂いがすると微笑んだ…暫く行くと前のバイクが停まった。
チェイスはスピードをさげて車を隣にとめた。

街灯が少ないが、月明かりでシオンがみえる。

砂浜に近づくと、シオンは靴を脱いで歩き出す。
靴を両手に砂浜を踏みしめながら、楽しそうに歩いていた。

時折やってくる波を足でけり、波打ち際をあるく。

しばらく歩くとまた…砂浜を歩き出す。

ふと月を眺め 立ち止まった。
何を思ったのか、靴をおき寝そべる彼女がいた。


月を見るシオンが笑っていた。
チェイスはそばにより、シオンの隣に腰をおろした。

『嬉しいか?』
海を眺めながらチェイスが聞いた…。
『笑ってる(笑)…やっと会えた』
声を出して笑う。
『何か言われたのか?』
『あたりって…(笑)』
『誰が? 』
『カオン(笑)』
嬉しそうに笑う顔を見て
『…良かったな』
と呟くチェイスも笑う。


…シオンをみるチェイス
『寒くないのか?』
答えず、彼女はまだ笑っていた。
笑いながらシオンは靴をはきだすが……ふと一天を見上げ、真顔で見つめ始めた。

驚きつつもシオンを見ているチェイス。
ゆっくり立ち上がる姿を見てチェイスも立つ。

その時…シオンが後退りした。
前に出しているシオンの手に、何かが巻き付いているように見えたのだ…

「ブレスレットを…」
女性の声を聞いたチェイスが、ポケットをさぐり それを祈るように握りしめ、シオンの腕にはめた。

巻きついたソレは、白い煙の中に吸い込まれ消え失せた…。


ふと暖かい風が二人を通りすぎていくと、シオンは眠りついた。

倒れるシオンを受け止め、優しく抱きしめたチェイス。

シオンを見つめるチェイスの頬に涙が伝う…
ブレスレットに そっと触れてみると、二人の女性がシオンに微笑んでいた姿に驚いた。

年配の女性は優しく髪を撫でていた……若い女性はチェイスに微笑み…暫くして淡く光りで包まれていった。

「(笑)大丈夫よ…」
蒼い光と共に 消え入った。

チェイスが見返した場所には、誰もいなかった。

シオンを連れて行きながら考える…。

大丈夫…そう聞こえた。誰だ…カオンと言ったか。
助けてくれたのか?…思いを巡らしながら車のシートを倒しシオンを寝かせた。

手を繋ぎ指を絡めると…安心出来たのか、彼はシートにもたれた…


外は少しずつ明るくなってきた。
車のフロントガラスから射し込む朝日が眩しくて チェイスは目を細める。

繋いだシオンの手が動いた…
安堵し…微笑むチェイスを見つめた彼女がいた。

『珈琲飲みたい…(笑)』
と呟き両手をだした。

笑ったチェイスは手をひき、シオンをおこすと抱き締めた…。

『終わったのか?』
ゆっくり頷くシオンを強く抱き締めたチェイス。
『痛い…』とシオンは見上げる。
チェイスは笑って優しい口づけを落とした。

『待ってたんだ……』
というチェイスに
『待たないって言ってた…』
チェイスの胸に顔をうずめて呟くようにシオンが答えた。

『ずっと……俺は大丈夫と言ってたぞ(笑)?…信じ』
『信じてた…分かってた…』
彼女はチェイスの言葉を遮り呟くように言った。

『なんか悔しい…』
そう呟くシオンに、体を震わせチェイスが笑う。

『珈琲…飲みに行くか?』
シオンは笑って頷くと
『イス…ありがとう』と答えた。


車を走らせる…
『寒い…』
『薄着で海に入るからだ(笑)』
とチェイスが言った。


それから二日以上… シオンは高熱を出し寝込んだ。
チェイスが付き添い介抱する。
『二人がいれば大丈夫だろう(怒)なんでだ…』
とチェイスは愚痴る…

『私達はデートと仕事に忙しいから(笑)』
と…本当に手伝ってくれなかった二人だった。


やっと熱が下がり始めた頃に、目覚めたシオン
『体が痛い…』と呟いた。
『高熱だったからな(笑)』
と言う…嬉しい匂いに気づく
『また珈琲…ずるい(怒)』
テーブルの珈琲を見たシオンが言う…。

『病人だしな(笑)残念だ…』
チェイスが言いながら笑った。
『喉が渇いた……』

声が聞こえサキが覗いた。
『シオン?良かった…熱が下がり始めたのね』
サキが安堵する。

『なんか食べれる?』
と覗いた楓が聞いた。
『…あの珈琲(笑)飲みたい』
『水!(笑)持ってくるから』
つかさず言う楓は、キッチンに行くとシオンはケチと ぼやいた。

ユナが覗き、手話で話す…
『大丈夫(笑)うつるから入らないで…』
シオンの言葉に頷くユナが微笑んだ。


シオンは水を飲み また寝むりついたのだった。


夕方…皆で夕食をとる為にサキ達は準備をし始めた。
ユンがきてシオンの様子をみると、サキを呼んだ。

チェイスとシオンが手を繋いで寝ていたのだ。

カシャ!
楓が一枚…写真を撮った。
『…覚えてろ(怒)』
目を閉じたままチェイスが呟いたのだ。
キッチンに戻る楓は
『また完っ全に、シオンのSPだっ(怒)ケチね…一枚だけじゃん』
と呟く。
笑いながらサキは楓を手伝い始めた。


夕食後…部屋からチェイスが肩を回しながら出てきた。
『テーブルに、おいといたけど…待ってて(笑)』
『サンキュ(笑)自分でやるから』
とキッチンに行った。

サキが来てスープを温める…それを出しながら
『チェイス(笑)…ありがとう』
と微笑んだ。

いや…と答えてまた食べ始めるチェイスが思いだし手をとめた
『サキ…カオンって誰だ?』
何で?と驚くサキ
『シオンと話をしてた…』
とチェイス言う。

ユンがきていて
『カオンは俺の妹だ』と笑みながら言った。
『彼女も助けてくれてた…』

…チェイスの言葉で笑顔になったユンだが…
『似てないな(笑)』
とつかさずチェイスが言った。

『そうか?(笑)』
と…笑みを浮かべてキッチンを出ていった彼に笑った。



次の日…
熱の下がったシオンが サキとお粥を食べていた。
楓が起きてきて
『チェイスは?』と聞いた。
仕事で帰ったと聞いて
『貴方たちは…』
とため息をつく。


みんな仕事に行ったので、静かになった部屋を見つめるシオン。

『この時間も…なんか嬉しい』
シオンが呟く。
『元気になったら、仕事が山盛り(笑)サキも明日からよ(笑)』
と楓が言う……
『明日からかぁ…楽しみね(笑)』楽しげに話す二人……

『仕事って…なんの?』

ふふぅ~んとニヤリ顔の楓!
『ヨンウの店よ!新規オープン!。今までの実績を潰せないわよ(笑)勿体ない』
『凄いわよ(笑)。ナギの店とは雰囲気が違う(笑)』
二人が含み笑いをする。

『シオン…楽しかったでしょ?バーテンダー(笑) どう?』
やろうと言われてるようで嬉しそうに笑うシオンだ。

笑いを隠せないシオンが
『嬉しい~』と叫ぶ二人も笑顔のシオンと笑い出す。

互いに見合い…微笑んだのだった。


つきあかり 28

2015-07-04 16:57:32 | つきあかり


彼女が居なくなり…3ヶ月が過ぎた…

寒い季節に入ってるので、厚手の上着を探しにサキ達は買い物に。

ユナは何を選んでも気に入らない。
オジがわがままだ…と怒る。
『オジ…ユナはただシオンが居ない事を認めたくないだけ、寒くなったら着るわよ』
ユナを抱きしめた。
怒られて…静かに泣くユナを優しく包んだ。



帰ってくると二人はJACCSへ向かった。
キムジャンが大きな箱を持って来る姿が見えた。
『ケイ…これをユナに(笑) オジが呟いてたから…』
中をあけるとドレスが入っていた…戸惑う二人に
『あー…少し前に、子供服の店も出したんだ。
それは試作品で(笑)感想も貰えると有難い…最近やっと回り始めた(笑)』
彼は言い、帰っていった。


家に持ち帰ると目が輝いているユナ。
ドレスの下に冬物のコートがあった…見るからにユナが着たがっていた形の物だった。
サキ達が…微妙な違和感を覚えたのだった

翌日、聞くが彼は答えなかった。
何か気にかかる二人。
店を早く閉めヨンウン達に会いに行く二人だった。

ライブが終わって二階で話をする…サキが聞いた

『チェイスの様子はどう?かわった事ない?』
なぜと聞かれ話してみた。

『子供服ねぇ‥』
『前にチェイスが言ってたな、小児病棟の子供達に無名で服が届くって。
甥の誕生日も高そうなやつが届いたって…』
『シオンかな…』
『なんで連絡がない?』
『…家族にまで秘密だろ?』
『アレは焦った…向こうに帰ってなかったから…シオンに何かあったのかな』

気にしつつ電話をするユン

『サキ…ごめん、チェイスと会ってくるな(笑)』
店を出て向かった先は、チェイスが飲んでいた場所だった

『一人か?(笑)』
『さっき帰った(笑) 何か用か?上手く聞き取れなかったぞ(笑)…お前…最近、忙しいんだろ…』
『酔いすぎだ(笑)』
『ほっとけ(笑)…それより…なんだ…何のようだ?』

チェイスが聞き返す…みた事もないくらいに酔うチェイスの姿に呆れ…見ていた。

『子供服の事だ。ユナにも届いた、そっちも冬物か?』
『そうだ…』
一瞬…辛そうな顔になった。
『心あたり…あるんだな…シオンか?…<頷く> なぜ行かない』

深いため息をするチェイスに驚いた……やっと、絞り出すように話を始めた。

『男がいた…。都合よく…シオンの記憶もなかった…。だから声もかけれず……連れ出せなかった』
『居場所は? 住んでる場所も知ってるのか?』
どれも頷くチェイス…

『……すまん酔った…話す気もない……悪いが帰るぞ……』
力なく席をたった。

『チェイス……』
あまりの後ろ姿に…引き留める手は出せなかった。


サキ達の家に寄った。
『まず…シオンは韓国にいて、記憶もなくて、子供服の店にいる…?で男と?…見間違いじゃ?』

『オジお願い。子供服の店を探したいの、1歳から15歳まで揃えてて、高級品店…店名が解ればな…』
楓がはぁーと息を整え
『キムジャンか…』
『繋がりが解らない…』
戻ってきたオジがプリントしてきた
『たぶん…これだ』
皆で覗き見た。
『ムーン…高級子供服店…オーナー‥キムジャン。開店して5ヶ月目、最近人気が出始めている注目店…だって』
『明日行ってくる、確認したい…』とサキは言った。


翌日、オジとサキは 店があるブランド街へ行く。
近くの喫茶店に入りオジが調べる…防犯カメラに繋ぎ見た。

中にいたシオンに涙するサキ…
『様子が変だ。何か違う…』

画面の中のシオンは人形のように見えた…ただ、奥の椅子に座っているだけだった。

外に出るようで…誰かに支えられ車に乗せられていった。
二人は迷うが…タクシーに乗り込み、追いかけると一件の屋敷についた

『おかえりぃ(笑)シー遊ぼー』
子供の声がする…見ると小さな女の子がいた。

その子と遊ぶシオンは少し笑顔だった…
呆然と立ち尽くすオジ…力が抜け落ち座り込むサキがいた…

二人の頬には涙があふれていた
『シオン?』
言ったサキを、振り返り見つめた…
子供を連れた彼女は、体を返し家に入って行ってしまった。

サキ達を見知らぬ他人のように見たシオンの姿にショックをうけた…

震える手で楓に連絡する

聞いている楓だったが
『サキ?もうアイツに聞く。そっちが早い』
楓は、覚悟を決めた。

話してしまって、シオンを連れ去られたら?と不安がよぎるが意を決して、外からキムジャンを見て手招きした。


『聞きたい事がある……。
あなた…シオンと一緒よね(悲)、なんで隠してた?なんで……お願い、返して私達に。
どんなシオンでも受け止められるわ。だから…』
何か言いたげな彼が、楓の涙に目線を外した。

楓をJACCSの店内へ連れて行き椅子に座らせる。

なぜか迷うように楓をみた。

『シオンとは1ヶ月ほど前に病院で会った。
夜になると月をずっと見ている女性がいると…友人の看護師は言った。
ずっと気になってはいた…だから時々、聞いていたんだ。

気になって会いに行くと彼女だった…シーだったんだ。

記憶のない彼女は…ずっと自分を知らず、話さず…病院も困っていた。

抜け出したりする事もあったらしいから余計に…

彼女と居たかった…だから引き受けて連れてきたんだ。

今日も見てるだろうな…(笑)月が綺麗だから。

家に来てからも、彼女は一人で外出する時がある。

あちこち…公園を探しに行くんだ海も…。
どこかから…逃げ出すように…出ていく…なぜかは知らないが。
だから病院でも困っていたんだろうな。

君には見れるのか?自分も知らない彼女だ。
私は大丈夫だ(笑)時々ふと服をデザインする…助けてくれてるんだ。
思い出したように、住所を書き服を贈る…相手は知らんが。

姪となら多少の笑みは見せるようになったしな(笑)
少しずつ…表情が出てきた。
私と居れば幸せだろう?(笑)大丈夫だから任せてくれ』

『いいえ(怒)、幸せではないわ。貴方の元では無理よ…彼が居ないもの』
楓は言い切った…

驚いた彼は、逃げるかのように、もう遅いから帰ると、帰って行った。


力なく…ただただ涙がこぼれ……うつ向いた…。

ふと優しく包みこんだ彼を見上げると、悲しげに彼女を見つめた…
そして優しいキスを落として抱き締めるのだった…

『シオンだったのか?』
腕の中で頷く楓の背を…優しく撫でたのだった。




チェイスはベンチに寝そべり、夜空を眺める。

今日の月は綺麗だと一人微笑むチェイス…
暫く月を眺めていると、公園の入り口に一台のバイクが停まった。

この寒さの中、シャツ一枚にジーンズ姿だった。
ヘルメットをとり、夜空を見上げながら ゆっくりと歩き出した。

……シオンだった。

笑み見上げた彼女から…目が離れず…ようやく会えたと微笑んだ彼がいた。

隣のベンチに腰をおろし月を見る彼女……優しい時間が流れる。


寝そべったままでチェイスが聞いた…
『夜空が好きか?』
話さず…微笑むシオンに言った
『(笑)月が綺麗だな…』
チェイスの言葉に笑みを浮かべ
『会いたいわ(笑)…』

そう呟く彼女…息をのみ起き上がるとシオンを見つめた。

シオンは涙を流しながら月を見ていたのだ。
悲しげで…辛くなる…ようやくのみ込み…聞いてみた
『誰に?(笑)』
『月…』
『月か…』肩を落とした…

『(笑)綺麗な月明かりを一緒にみたの…優しくて…穏やかで…』
シオンは懐かしそうに微笑む。

『…(笑)凄く綺麗だったな…』
と言って月を見上げた。

『今日は呼んでないのか?』
『呼んで……聞こえない…』
また目が潤む…彼は辛くなり拳を握りしめた……

『なぜ…』
『待たないって…帰っていったわ(涙)。話は…してない…出来なかった……』
シオンの涙がこぼれ落ちた。

『ごめんな……』
思いだし…優しく呟くチェイスがいた……


少しの時間…月明かりに照らされた二人…ふと
『貴方は…誰?』
と彼を見るシオンに
『チェイス(笑)』と答える。

『イス……』
言いかけながら視線をあげた…

『貴方は誰?……』
また聞く彼女を、よく見ると目線が違う。
『誰と話してる?』
聞こえていないのか…目線は違う場にあった。

『なぜ…そこに? 行く気はないわ。誰?…イス? いない…
…なぜ変わりに私が?』
涙をこぼすシオン…

『‥イス… 助けて…』
泣きながら呟くシオンが、静かに眠りについたように倒れていく……

シオンを受け止め優しく抱き締めた……眠り込んだシオンにキスをする。


そっと抱き上げた彼……
後ろで、車の音がした……

高台から降りると、キムジャンが来ていたのだ。
『家の者だ…ありがとう。
そこの車に連れていってくれないか…』
そういう彼は、後部のドアをあけて待った。
バイクは違う男が運んでいった。
『ありがとう、助かったよ』
彼はシオンを乗せて、去って行った。


『(怒)なんで帰した?連れ帰れば良かったじゃないか!』
車の方を見ていたチェイスに、ため息をした…
『お前に話があって、探してたんだ…』
ユンが怒っている。

『サキの家に行くから来い』と無理矢理連れ帰った。

チェイスはソファーに座り月を見ていた。
その姿にサキが泣く…
『シオンがいつも、月を見る時に使うの…彼は知ってたかしら』
肩を抱くユンに頭をよせ悲しくチェイスを見ていた。

『記憶は残ってる、だから会えた…
シオンは時々、月夜に家を出るって…公園や海を探しに』

楓が言うと、チェイスが呟く…
『誰かと話をしてた…』
『お祖母ちゃんじゃない?楽しそうだった?』
サキが聞くと
『いや…嫌がってた感じだ、一緒には行かないと。…助けてと〔口を噛み締め〕そう言って眠った…』
話を聞いた皆は それぞれにシオンを思う…。

突然…部屋に走り出すオジ…机の中を探し出す。
音をたて引き出しを 引っ掻き回していた。
驚く楓達はオジを見やるとデータカードを持って見つめている。

『あの日…あの場所に向かってた時に、インカムで話をしたんだ。
…奴から、シオンは……ユナ位の頃から狙らわれてたって…だから一緒に来いって誘うって…
シオンは黒の中に行きたくない…巻かれるのは嫌だって言ってた。

黒い煙に巻かれたら最後、逃げられない…だから、倒さなきゃって。
ブレスレットも効かないから…そう言ってた。
自分じゃなくなる前にって…』

『貰ったやつ…駄目になった?だから外してた(涙)。だから一人で戦ってたの?』
『お気に入りの?』楓が聞く
『あれ…お守りなの。黒からシオンの身を守る為の護符のかわり…いつも見張られてたから。
油断すると巻き付いて、祓うと回りで様子をみてるんだって(涙)

だから時々、朝日と月の光があたる場所に置くの。
あそこに(涙)あの場所に…〔ブレスレットをみる〕つけてない時があって聞いたら、チェイスといると大丈夫だからって。

不思議だよねって…いつも一緒だから、つけなくても大丈夫だと思ってたわ…間違いだった』
後悔するサキだった。

『これ…あの時の…会話が入ってる…』
オジが言うと、躊躇いがちに再生し皆に聞かせた。

奴の姿が映る…皆は流れてくる音だけに耳を傾けた…

それは辛く……皆は悲しみ…助けたいと願う……

チェイスは…思い出していた。
彼女の言動…ノートの事…そして公園での事を……

ゆっくりと窓から見える月を眺め……ブレスレットを見つめる。


つきあかり 27

2015-07-04 16:56:07 | つきあかり


その日からずっと検査の連続で疲れていたシオン…。

『普通 寝起きで走らせないよねぇ、あれと一緒(笑) リョウ…私の携帯は?』
『(笑)お前が壊した…』
『あぁ~(笑)そうだった。サキに部屋の携帯を持ってきて貰お(笑)』
『何台あるんだ(怒)』

ノックする音が聞こえ ゆっくりとドアが開く。
ユナが顔を出した。手話で
「入っていい?」と聞く
『いいわよ来て』
シオンが両手を出すと、走りより抱きつくユナ
『(笑)元気だった?』
笑みながらユナは何度も頷く。

『あっ(笑)紹介するね、韓国の私の妹ユナ。
こっちからシュウ、リョウ、リカ、シュンで、私の両親(笑)』
緊張気味に頭を下げる
『ご挨拶できて偉いわね(笑)』
笑って母が話す
『ねぇユナ…誰と来たの?』
そっとシオンから離れ
「一人でタクシーで…」
『えっ! 危ないじゃない…どうやって来たの?』
「貯めてたお小遣いで…これ見せた(笑)」
手帳を見せた、そこには病院名と住所が書いてあった
『調べたの?』何度も頷いた。
来て…と呼び
『心配かけたね、もう大丈夫よ』
と抱きしめた。

『シオンはお母さんみたいね(笑)』
やーだーとか笑っていたら、シュンが呟く
『心配してるよ…この子の親…』
『シオン…連絡しなさい』
父は慌て言った…。
『あーいない兄一人…だから一緒に暮らしてるの(笑)』
『シュウ電話かして、サキと話す』
かりた電話でサキに連絡をする

『私…うん元気だよ。ユナがいる(笑)。頼みがあるの、私の部屋にある携帯…オジに渡して病院って伝えてくれる?ありがとう。
うん…待ってる[電話をきると]ん?ユナ?』

探すシオンと目が合うと、病室の隅にまで下がるユナがいた。
『まだ来ないし平気よ(笑)。オジが来たら二人にしてくれる?話をしたいから……』
笑みながら皆に言った。

リカがユナに近づき
『誰も妹の事は知らないんだよね…(笑)お兄ちゃんは怒ると、もの凄く怖くみえるって…ね(笑)
でも…お姉ちゃんも怖いのよ(笑)』
笑うリカにつられて笑うユナ
『あー』
驚くユナ飛びつき
「声で笑えた!」
踊るように、バタ足を踏み、口に手をあて全身で喜んでいる姿に皆が微笑んだ。
『嬉しい……ユナ(笑)オジが喜ぶね…』
聞こえないのか、喜びながらリカと笑っていた。


暫くして………オジが来て家族に謝り…礼を言った。

そして病室で二人きりになった。

オジは黙ったまま…うつ向き、辛そうに思い出していた。
助けてあげられなかった…武術ができれば一緒に戦えた。
喧嘩が強ければ守れた。何も出来なかった自分に腹がたつ。

サキに携帯を渡され、会いに行けと言われ正直焦った。
ユナを迎えに行く事さえ…出来れば代わって欲しかった…

オジは、すまなそうに小さく座った。


『オジ…オジの言葉…聞かなくて ごめんなさい。
それと…、助けてくれて ありがとう』
『…助けに行ってない』
小さく呟き下を向く。
『危険な事に巻き込んだのに…逃げずに助けてくれたよね、嬉しかったんだ…支えてくれたわ。
一緒に向き合ってくれたから 頑張れたの(笑)』

また助けてないと言うオジ…

『私の居場所…、(笑)私の言葉に反応して…私が望む全部、 探してくれたでしょ?。
助かってたのよ(笑)感謝してるの…。
貴方は凄い人よ、ヨンウ達を助けた時…ビデオで撮りたいからってだけ(笑)言ったのよ?、覚えてない?』
笑みながら、オジを覗きこみ微笑んだ。

『…(笑)たんに証拠がとれるって思ったの……ただそれだけ言ったわ……だけどオジは、それ以上にバイクを隠して、誘拐場面も撮って…おじさんの居場所まで突き止めて…。
(笑)次にしたい情報を私が言わなくても、オジがしてた(笑)

オジは、私を助けてくれてたのよ…、一緒に戦ってたの。
今回だってそう……オジが見つけてくれなかったら危なかった…(笑) 言う事を聞いてればって…後悔してたの。
だから……助けてくれて ありがとう。オジ…大好きよ(笑)』

彼の手を引き、オジを抱きしめたシオンだった。
うつ向きながら、泣いていたオジを優しく見つめていた。

互いに…笑みを浮かべ笑いに変わった……
『これからは、ちゃんと言う(笑)相談もするわ。だから…悔やまないで…一緒に互いに幸せに頑張ろ(笑)。ね……』
頷く彼に笑みあった。

それからユナを連れ、皆は明日、来ると帰っていった。



夜中に…

シンと静まる中で…辛そうに耳を塞ぐシオンがいた。
暫くして…ソレが消えて行く…

誰かが静かに入ってきた…珈琲のいい匂いがする。
『私、まだ病人(笑)』
『知ってる(笑)』
『珈琲…飲めない(怒)』
『(笑)俺用』
チェイスがベッドの端に座る。

チェイスが飲み始め、羨ましそうに眺めみる。

『(笑)今日も無事終了ですか?』
頷くチェイスを見つめるシオン。

言葉が上手く出なかった二人がいた。

『ありがとうイス(笑) そばにいてくれて……』
チェイスは笑み……窓の外を見ていた。

『家族と帰りたいのか?』
『…』
ハッとして、驚きながら彼を見つめたままだった……チェイスは続けた…。
『とめても?』
『……わからない…どーしたら いいのかさえ、思い付かないの…どーなるのか……』

『俺を好きじゃない?』
『イス…』
悲しげに…上手く説明出来ない自分が悲しくなった。
『俺はシオンが大好きなんだぞ…』
優しい声音に…悲しげに笑みを見せたシオン
『……知ってる(笑)私はイスを愛してるもの』
チェイスの背中に額をあてる。

月明かりの中で、思い付かない言葉を互いに探した。

『疲れてたんだろ…もう寝ろ。俺も明日は早いし、顔も見たし…帰るから(笑)』

スッと立ち上がり、帰って行くチェイスだった。

涙が頬を伝う……
外から降り注ぐ光りは、いつまでも揺らめいていた……



皆が、代わる代わる見舞いにやってきた。
一週間ほどで退院できた。
安心したシオンの家族は、サキに任せたと帰っていった。


家にいるシオンは昼夜逆転の生活で部屋に籠るようになってしまった…
見かねたサキが
『シオン…今のままじゃシオンじゃなくなる…。
一度…日本に帰って…元に戻ってよ。待ってるから(涙)』
『私は何を……』
目線が合わないシオン……サキは優しく包むように抱き締めた。

チェイスは時々、様子を見に来る。
隣に眠り…包み…抱き締めて、過ごした。


ふと…真夜中に、何かを呟くシオンに気づいた。
「…助けて……分かってる…でも今じゃないって…嫌だ…来るじゃない…無理よ……」

ジッと見つめたまま…チェイスは優しく抱き締めた。

息をはく……シオンを見つめ頬にキスをした。
『シオン……一緒にいるんだぞ…頼むから話せ……』
祈るように呟く彼がいた。

それは毎晩のように始まる。
次第に陽が明るい時にも…聞き取れないほどに小さく呟いていた。


仕事に出る前に…皆が声をかけていく。
寝ているからと…小さな声で…悲しげに言い、笑みを見せて外出していった。



ある日……

皆が帰ってきた……サキは真っ直ぐにシオンの部屋へ向かう。

固まるサキは…泣きながらシオンのベッドへ座り込んだ……
いない彼女に涙する……

見つけた物を眺めた…



……サキ…視えすぎて…怖い。
また巻き込みそうで怖いの。
ヤツがくる………
取り込まれて行くようで……振り払えない自分がいるわ…。
無意識に……飛んでる自分に気づいた。
ごめんね……言えなかった…また心配するって知ってるから。

限界がくるのかな……

家を出るよ……行くね。
本当の自分に会う為に…向き合わなきゃね…。

この家は私のなの。だから使ってて。
ありがとね…本当にありがとう。
みんなに…ごめんって… 頑張れって…伝えてくれない?

サキ……ごめん。

チェイス……ごめんなさい。

シオン。



呟くように読むサキ……
『なんで…シオン…』

手紙を残したシオンの部屋を眺め呟いた。
全部がそのままだった。




あてもなく……バイクを飛ばす。
いつの間にか…あの海辺へ着いて彼女は苦笑いした…

病院での事を思い出す……
時間を問わず、人は動き……目が合えば声をかけてくる。
その隙間からヤツが、何も言わず不適な笑みで彷徨いていた。

さまよう人から目をそむけば、裏を視ていた自分がいた……

心から心配し、目覚め良かったと口にするソレは…数人が寄り添っていたが、みな…悲しげに…ゆらぎ…彷徨う姿が視えていた。

気がふれそうになる……

また……あの人の声が聞こえた……
低く……忍び笑うような声……、楽しげに…シオンを…いつの間にか誘うように囁く……

鈴の音に…ようやく導かれ…現実に戻るシオン……


ため息をする……
暖かな月明かりに…笑みを浮かべ、バイクをまた…走らせた。

海沿いは…ただ潮風が優しくシオンを包んでくれた……
嬉しくて…自然と笑みがこぼれた…。
目の前に…優しく輝くような丸い月に笑む…

まるで月に向かって走っているような錯覚さえ覚えた…

《 ……おかえり(笑)仲間だ… 》

誰かの声に笑む……

優しく迎え入れてくれたようで、穏やかな気持ちに浸る……


チェイスが視えた……
彼女は笑みながら見つめる…、両手を伸ばしていた姿に微笑んだ。

シオンも笑み……チェイスに手を伸ばしたのだった…



真っ白な空間に飛ばされた……辺りの静けさに微笑んだ彼女が深い眠りについた……


つきあかり 26

2015-07-04 16:54:29 | つきあかり


《 『…お祖母ちゃん(笑)勝ったわよ、たぶんだけどね』
「自分自身にも…」
『月…綺麗だったね…』
「どこで見る月も綺麗なのよ(笑)」
『私はどこで生きてる? まっいいや…月が綺麗に見えたから(笑)優しい…月だったね……』
…また深い眠りについた 》




部屋で、あの日のビデオを見るオジがいた。


端の東屋に威張るように座る人がいた。
命令されているのだろう、少し離れた場所に数多くの男達が見つめ睨んでいた。

『…伯父さん、前に会ってたのよね。
貴方は黒い煙みたいだった。なぜ私を狙うの?』
『お前の力は強い…。いずれ邪魔になるなら早い方がいい……あの時は、そう思ったのさ(笑)
あの日…お前の力が目覚める日だったからな……』
『お祖父ちゃんを利用した?』
『あいつがお前を手助けした…邪魔をしなければ一緒に逝けたのに残念だったな(笑)』
『皆に憑いたのも貴方?…』
『お前の身内が邪魔をした。お前が13で死ねば私は安泰だった…
今は執拗に狙っても、お前が向かってくる…邪魔だ……消え去れ』

『なぜ…その力を人の為に使わないの?』
『なぜ使う?…なぜ自分の為に使わない。
勝手に視て何が悪い…。お前も解るだろう。
勝手に視える…知りたくないのに知る事になる。

体がきかず、意識が飛ぶ。
戻すに戻れず、疲れはてる…人の裏まで知るんだ。
他人まで…死んだやつの裏まで視えてくる。
頭が変になりそうだろ?気が狂えば楽だったな…

やっとうまく出来たのに、お前が目覚める事を知った…あいつが助けを求めた、女もお前を守った…信じられなかったよ… だから消そうと思った。

銀行の奴は昔から野心家でな、俺の力を利用しようときた。
あの会社を貰う資格があるのは俺だと…力があると。
終わったら奪うらしいが、初めは いい奴だったな。

お前も殺せと、二つの力は要らないと言った…ジホンは大して力もないくせに(笑)、無理やり跡をついだ。

経営はジフンだがな(笑) 誰よりジホの力が大きかったが、恐れで逃げおった…ありがたかったよ。

誰よりも強い俺は弱い奴を抱き込んだのさ、だから全て貰うまで。
バレたら消す(笑)用もない奴は消える、それが一番だ(笑)

さっ演説は終わりだ。お前は?(笑)今さら誰を信じる…一緒に来るか?
…今なら…利用かちがある奴らに仕返し出来るんでな…』

何十人もの手下が囲む。
隙を狙い、場から離れようと外へと走り出した。

逃げて散らして…相手して…彼女は戦った…。
彼女は苦しげに戦っていたのだ。


これ以上は見れなかった。
必要な部分だけを切り取り警察に渡した。
他はデータカードに取り込んで 消した。

これは…机の奥にしまう…オジは、ため息がでる。

『オジ…今から会いに行くけど一緒に行く?』
『起きた?』
『いいえ…』
首をふり行かないと言った。

シオンと話がしたい…あれから二週間がたつが、まだ目覚めない。

病院にシオンの家族がきていた。
病室の前でサキ達はシオンの家族と会った。
『サキちゃん、いつも ありがとう(笑)。シオンに付き合ってくれて…。
サキちゃんごめんね…連れて帰るわね。
ずっと一人には出来ないし……シオンに付き合ってくれて、ありがとね(笑)』

涙が止まらないサキと楓…ユナがサキに手話で聞く
「シオンどうしたの?」
「日本に帰るって…」
「いつ帰ってくる?」
返事がないサキに手を触り、早く知りたいと急かす
「わからないわ…」
そう聞くユナは走りだし、ドアをあけ泣き出した。

うまく言葉を 発っせないユナの声を廊下で初めて聞いた。
シュウが
「ありがとう」と頭を撫でた。


夜に、チェイスがやってきた。挨拶し
『あの…英…韓国語…』
シュウが韓国語で話す
『きみがチェ・イス?チェイスで呼んでも(笑) 兄のシュウだ。
助けてくれて、ありがとう。ところで…妹と?』
『はい…あの、』
『シオンが だんだん電話を寄越さなくなった(笑)不安な時は必ず電話が来てたんだ。

前に…強くなったのはチェイスのお陰だと言ってた、急がずに待ってくれると。
さてと…今夜は預けるが(笑)いいか?』

チェイスが礼をしてシュウを見送った。

チェイスはシオンを見つめる…ふと外を見るとカーテンの隙間から明かりが漏れていた。

部屋の電気を消しカーテンを開く…部屋に入る月明かりは見事で月も綺麗だった。

『まだ 寝たりないか? 月が凄く綺麗だ…残念だな(笑)一緒に見るチャンスが無くなりそうだ』
ベッドに腰かけシオンの手を握りしめた。
『明日も見れるといいな』
月を眺めるチェイスだった。

それからは時々、やってくる。日中は家族に遠慮し、楓達も夜にした。
何日かしてサキに連絡が入る。シュウからだった。

『月末に…帰るって…』
毎夜 訪れる友人の多さに驚くシュウ達。
『シオン…いっぱい愛されてるな(笑)』
『置いてくか?』
『母さんが…駄目だろう…』
シュウが言った。
『向こうの家は説得出来る? 爺さん、いるんだろ?』
リョウが言うと出てきた韓爺に聞く
『向こうの家に費用から(笑)全部任せていいか聞いて下さいよ』
『任すならチェイスにせい…費用は頼んでやるが…』
リョウがシュウを見て
『嫁に出す気分か?…俺もだ(笑)』
『悪い奴じゃないが…大事な物を無くした気分だな(笑)』
三人が笑い合う

『シオン…ここにいたいか?なら、目を覚ませ(笑)また明日くる』
二人は帰っていった。



月の綺麗なある日
『やっぱり(笑)今日は来たな』
『何か?』
わけがわからず困るチェイス

『シオンは月が好きだ(笑)』
『(笑)呼ばれてると…』
笑み頷くシュウ…シオンを見て、チェイスを見つめた。

一冊のノートを出し、チェイスに渡す。
『シオンが昔…書いた物だ。コレが今かは分からない。
(笑)今晩は読ませてやる。明日には返して貰うがな…
(笑)万が一と…訳してあるが。読めたらラッキーだな。

思いあたるなら…今だ。だが…違えば、中の通りだ…残念ながら。
君が読んで…考えてくれたらいい。
じゃあな…頼んだ』

シュウが帰ると…電気を消しカーテンをあけ、ベッドを窓の近くに寄せて二人で月を見る。
横に椅子を置き足を窓辺にかける
『ゴメン飯抜きだったから食うな(笑)。今日の忙しさ…シオンがいた時を思い出した…。
珈琲旨いぞ、今度買ってやる(笑)
シオン…目を覚ませ、月が綺麗なんだ』
『………何が綺麗だって?』

ドキっとした…思わず錯覚するほどリアルな声だった。

いつだったか…会話した事を思い出した。
『私?(笑)……』
あの時は、そうも言っていた…最後に冗談よ…とつけ加えて…。

シオンは変わらず眠っている。夢か…と一人呟やいた。

苦笑いして珈琲を飲む彼…深いため息がでた。

ベッドにあるノートを見つめた。
…読めたら…今…中の通り…
シュウの言葉を思いだす…。


手にして、息をはく…
そして…ノートの中を読み始めたのだった。

白髪の理由…閉じ込めた記憶、韓国に来た理由………
シオンの願い……諦めたい願い…

シオンと繋いだ手を…優しく包みながら彼女を見つめた。

指を絡め…祈るようにキスをしたチェイス。
優しくゆっくりとノートを閉じると、ベッドの端に頭をもたれ…月明かりに身を預けた。

『シオン…頼むから戻ってこい。諦めないで戻ってこい…』
シオンの頬に手をのばす…
『シオン……今は、俺を助けてくれ…笑顔が見たいから…』

明かりの強弱で…部屋の色が代わるさまを見つめていた。

優しい…暖かな色合いに、前に言っていたシオンの言葉を思いだす。
ゆっくりとまた……月明かりに身を預けた二人だった…



朝日が射し込む部屋にシュウと母がやってきた。
静かにドアを開けて見た光景は微笑ましく、母はそっと閉めた。

通りかかる看護師が笑みながら
『仲良く寝てますよね(笑)夕べは綺麗でしたし…』
と言って歩いて行った。

母が何?と不思議そうに聞くので、彼は教えたのだった。

『月夜が綺麗な晩は必ず来て、二人で窓の近くに寄って月明かりで過ごすって…。
そうすると次の日は、シオンが元気に見えるんだってさ(笑)
さっきも見たろ?移動したベッド(笑)』
『毎日?』
『確かに毎日、月はでるさ(笑)綺麗!ってのが違うらしい』
『詳しいね(笑)』
『看護師さんに聞いた(笑)[時計を見る]おっと、彼の出勤時間だ。あれで疲れは大丈夫なんだか…』
『いつも朝?』
『だいたいね、(笑)シオンが喜ぶって思ったから…』

ドアを開けながら話すシュウが固まる…母は涙をこぼしながら微笑んだ。
シーと口に手をあて微笑むシオンに母が近づき抱きしめた
『大丈夫か(笑)』
とシュウが聞くと頷いた。
またあとで来ると言って病室を出たのだった。

『手(笑)繋いで離さなかったね。母さん羨ましいわ(笑)』
吹き出すシュウは
『父さんと繋げよ』
と返したら そうすると答えた。


シオンは窓をみる、暖かい陽射しが気持ちがいい。
チェイスに目をやる。ずっと手を繋いでた…と微笑む彼女。
仕事で疲れたのだろう、熟睡している彼を見つめた。
仕事…あるよね…とか、起こすべき?…寝かしとく? いろんな考えが働いた。

『俺を観察して楽しいか?(笑)』
『(笑)嬉しいだけよ』
彼が時計を見る…
『仕事だ(笑)』
『残念(笑)』と両手を出す。

チェイスが抱きしめた
『ねぇ、寝起きですが(笑)一緒に写真撮ろう。それをサキに送ってくれない?(笑)…』
背中をつつくシオンが言う…

『……(笑)聞いてる?』
『話せて 嬉しかったんだ…』
『ごめん……お待たせ(笑)』
『次は待たない(笑)』

『……待っててくれて、ありがとう…チェイス…』
二人は写真を撮りメールした。