tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

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2015-12-02 14:46:16 | fit

虫の音の中で嫌そうな彼女達・・・・・蚊帳をはり一歩も出ない彼女達に呆れ 彼らは輪になって飲み話していた。

嫌だと言いながら、蚊帳に張りつく虫を追い払う彼女達・・・
『これなら冬の方がマシだった・・・』
『ねぇ(笑)』
誰かが叫び、次第に密談になった。

彼らが様子を見ているとアールが代表のように彼らのそばへやって来た。
『子供達を頼んでもいい?』
『い、いいけど・・・どこに?』
ディーンが聞き返した。

『彼女達の憂さ晴らしに、少し出掛けたいんだけど・・・・
夕方には絶対に戻るから(笑)たぶん』
『子供達を置いて?』
『置いて(笑)全員・・・・』

彼らを一人一人眺め様子を探るように見ていたアール・・・・
『い、いいけど・・・』
『サンキュ!』
笑みを浮かべたアールが振り向くと、彼女達が喜び・・・誰かへと連絡をしていた。


大きなバスが到着した・・・彼女達が向かう・・・
一人ずつ手渡されたモノに驚き・・・彼らは立ち上がった・・・・


暫くすると山小屋から着飾った彼女達が出てきた。
子供達は綺麗だと喜び見送ってくれた・・・・驚き過ぎて動けない彼らは何も言えず手をふり出かけていく彼女達を眺めていた。


呼ばれた場所はリゾートホテルだった。
次々に出てくるモデル達に、眺め楽しむ彼女達。

ルナとジュエルからの招きで来た彼女達・・・二人が招待客へ挨拶に行く間にフォールが表れた・・・・

長引く取材まで対応していく二人・・・
そして・・・・

最後だと着替えをさせられるルナ・・・アールとヒューが手伝い、仕度をするのだ。
『なんでよ・・・・』
『だってデザインはジュエルだけど、人前じゃジュエルでも着替えさせられないじゃない』

『これ、私じゃなくても・・・』
『リゾートウエディングのプランの完成だしね(笑)』
『ラストはキチンと閉めないと(笑)』
ウエディングドレスを着せられたルナ・・・髪をセットしてベールをつけ、ブーケを持たされた。

アールのメイクも完成し少し待たせる・・・

『お願いしまーす(笑)』
スタッフが顔を覗かせた・・・・
ジュエルが待つ場へ連れて行かれた・・・

「ルーン、綺麗だ・・・さて(笑)行こうかな・・・・」
物凄いフラッシュの中をジュエルに繋がれ歩く彼女・・・・
ステージを歩く彼女に寄り添って笑みを浮かべた二人がいく・・・・

その遥か先に、彼女と似たタキシードを着ているボムが待っていた。

驚いたままに連れて行かれ、ジュエルはボムへ彼女の手を向けた。

スッと離れたジュエルは彼女のドレスを綺麗に直すと子供達にベールの裾を持たせた。

その後ろを歩く・・・・
ゆっくりとステージの先は下り坂になっていたのだ。
いつの間にか作られた道を下りていく・・・・

真っ白な大きなドアの前に立つと、二人を佇ませ暫く記者へ撮影許可をだした。

それは短く、二人は開かれたドアの中へ促した。

真っ赤な絨毯が敷かれた中を歩かされていく・・・・知る曲が流れ始め何が身に起きたかを悟ったルナだった。


『ごめん・・・俺はさっき聞いた・・・頼むから逃げるな・・・』
組んだ腕の彼女の手を握り、呟く彼を見つめた。
その手に添えて微笑んだ彼女・・・

見つめあう二人へ、こほんと咳をわざとらしくするジュエルとフォールがいた。
「ママにプレゼントよ(笑)」
「可愛いね(笑)」
「ね(笑)」
子供達に言われ微笑んだルナ・・・

目の前の扉が開く・・・・両脇に控えた見知る仲間が笑みを浮かべて待っていたのだ、それは彼の友人までが揃って笑っていた。

その先に待つ神父・・・・幸がまつ たくさんの花が飾られた祭壇へ足を運んだ二人だった。

穏やかな声・・・・優しい眼差し・・・見守る温かな中で幸せを分かち合う仲間達・・・・・
その中へ交ざれる幸せを、二人は ゆっくりと浸りいった。


式も終わり飾られた場で披露され、仲間達に囲われる・・・・記念写真と何枚も撮り重ねる人達・・・
会社の仲間やマネージャーまでが揃いボムを祝っていた。


端で一人、会長と代表会見をするボムがいた。
新婦は見せず式をあげた事だけを記事にして貰う為だった。

プライベートは最初から完全に出さなかったボムを知る記者だけが許された会見だったのだ。
より近い記者へはルナを連れて挨拶をした。

戻るルナの後ろ姿に笑み見ていたボムを からかう記者と話す彼・・・

『大丈夫(笑)逃げたネタは潰しますから・・・次のに期待しときますね』
礼をして離れて行った記者に苦笑いして、彼も皆の中へ入っていった。


無事にすんだと、ベッドに倒れたボム・・・既に寝ていたルナを抱き込んだ。
『終わったの?』
『ん・・・・』
『出さないでくれて、ありがとう』
耳元で囁く彼女に微笑んだ・・・

互いに求め身を重ねる・・・・呼び・・・起こし・・・名を囁く・・・互いの想いの中へ一緒に浸り沈みこんだ・・・・
幸せの中へ・・・より優しく・・・より深みへ・・・・・




『この光景、見た事ある・・・・』
『ありますね・・・・でも今回は連れ出さなきゃ私がヤバいです』
『起きる?』
『起こします・・・・』

マネージャーが準備を始めた・・・付き人はボムの着替えを準備し、その間にマネージャーはルナから引き離した。

『仕事が入ってます、穴をあけたら掘られます・・・マジで起きて下さいね』
揺さぶり、ローブを着せてベッドから連れ出したマネージャーに笑う・・・

危うく全身が布団から出そうだったルナをアールが慌て、かけ直した。

『眠い・・・・』
呟くルナを眺め
『爆睡して(笑)いいよぉ。ボムはお仕事だって。ルナは明後日からだからね・・・・』
『サンキュ!』

布団へ くるまるルナへ抱き付こうとしたボムを捕まえたマネージャーは、慌て彼を連れ出したのだった。


真夜中に戻った彼・・・・既に彼女も仕事で出たのだろう居ないベッドに静かに入った。
ため息をした彼は眠りについた・・・・

ふと気づくシャワーの音に笑みを浮かべた・・・・・

髪をふき・・・出して置いた着替えがない事に気づく彼女・・・代わらない彼に笑み髪を乾かした。

ベッドに座り彼女を待っていた彼が両手を広げる・・・・笑みをこぼした彼女が中へと入り込むと抱き締めた。

触れてくる手・・・忍び始めた彼に笑み、優しく抱き締め返した彼女がいた。

彼へ運んだ手・・・・焦る目に微笑んだルナ・・・・・身動きもせずに堪えていたが我慢も出来ず彼女へ沈ませた。

引き寄せ口づけをする・・・昂り・・・彼女へ刻む印は増えていく・・・
重なる手が触れるとバングルが触れ小さな音が響いた・・・・・・

押し寄せる波のような感覚に二人は浸るのだった。


怠さの中で彼はルナを優しく抱いた。

愛してる・・・・耳元で囁く声音に笑みがこぼれた。

眠り始めた彼を見つめ唇へキスをした彼女もまた、愛してる・・・そう囁くと彼の腕の中で目を閉じたのだった。


部屋の中の足音・・・・恒例のようにドアが開く事に、ボムは肩をおとす。

『たまにはノックしろよ・・・・』
ドアの隙間から覗くマネージャーと目を合わせたボムが呟く・・・・

『一応覚悟して、そっと呼びに来てますけど?』
『布団がなかったら、どーする?』
『それはないと(笑)、ルナさんはクーラー入れますし・・・ボムさんは必ず布団から出てる事もない、大丈夫!』

へんに言い切るマネージャーに呆れたボム・・・・よりルナを抱き寄せて眠ろうとした。

『ルナさんを見せたくないなら、起きて待ってて下さい(笑)出来るなら』
『それは無理でしょ(笑)ボムさんなら、寝られるギリギリまで抱き付いてたいと思ってますし・・・・』
服を持ってきた付き人は呟いた。

『早く頼みます(笑)衣装は運びましたので車で待ってますね!』
服を置いて出ていった付き人へ苦笑いしたマネージャーがいた。

頬にキスをした彼女
『行って(笑)遅刻するわ・・・・・』
聞いたボムは彼女を見つめ、布団の中で口づけた。

動く彼を布団の上から叩くと、寝室を出ていくマネージャー・・・出る直前に呟く・・・
『それは後回しに頼みます(笑)』
バタンと閉まる優しい音に微笑んだ二人だった。

自分に触れた手を掴むと、そっと布団から出して笑むルナへキスをした

彼は仕事だと 彼女からやっと離れたのだった。

彼を待つ時間も楽しいと、笑みをこぼす彼女。
互いに見つめ、笑みを交わす二人だった。



-end-


読んで頂き ありがとうございました。
2015・10

次へ飛び込もーっと! -tami-

出来上がった日付・・・更新出来る日はいつやら・・・・頑張ろ(笑)!

※2
終了は12月・・・・貯まるお話・・・なかなか -end- がつかない話は多数・・・

頭が追い付かず・・・データは埋まる・・・嫌な状況の携帯を片手に・・・ため息の止まらない-tami-でした。

なんとか終えて嬉しい!
読んで頂き ありがとうございました。
-tami-

fit 17

2015-12-02 14:19:30 | fit

夜の街並みが綺麗だった・・・
ホテルのベッドに寝そべり、耐えるように眺める彼女がいた。

静かな空間に悲しげな笑みで見つめた彼女がいた。
小さくなり布団にくるまる彼女・・・

「ルーン(笑)大丈夫なんだぞ? 全て終わったと聞いてる・・・・」
ジュエルが彼女を優しく撫でながら言った。

「秘書から聞いてるだろ?
・・・・それにな、ルーンの事は話した」
「なんで・・・」
「ボムにも必要だからだ! 同じ苦しみを味わった・・・・辛さは共有して追い払えばいい。

ルーンがいたから子供達を養子に出来た(笑)・・・双子だったから引き離す事に抵抗した向こうが了承してくれた。
俺たちに授けてくれたルーンが不幸じゃ・・・俺たちは幸せな気分に浸れないだろ・・・・感謝してるんだ。

俺たちだけ授かって・・・・ルーンだけ失った辛さから抜け出せないのは嫌だ。
俺たちとルーンだけの秘密じゃない・・・子供の父親だった彼も知っておかなきゃ、逝った子は悲しいだろ?
次に産まれて来れないだろ?」

「・・・・・だから話した?」
「さっき・・・伝えた・・・ルーンに相談しなかったけど・・・ごめんな、それは謝るよ・・・」
「言っちゃってるじゃん・・・」
「拒否るだろ・・・それに双子は俺の子供でボムの子供じゃない(笑)
間違っても奪われる気はない!」

「ジュエルがそう思わせたシナリオにしたんじゃない・・・・」
「早く迎えに来ると思ったからだよ(笑)、来なかったけど・・・・」
「そうだよな、ルナ(笑)・・・彼は俺との子供と思いこんでたぞ?
もしかしてって・・・半分は自分のと勘違いもしてたし・・・・」
フォールまでが そばに来ていた。

「ルナ(笑)君が育てたから、君に そっくりな双子に育ったが・・・」
「ちゃんと・・・ルーンは母親じゃないと小さいが理解はしてる(笑)、育て方は上手いな」
「今度の付き人は育児も上手い(笑)」
「探してくれてサンキュ(笑)」

布団から少し覗かせる彼女の頭を撫で回した・・・・


「だからだな・・・ルーン(笑)」
「君にプレゼントを持ってきた」
「どーするかは・・・考えろ(笑)」
それだけ言って二人は部屋を出ていった。


足下に誰かが座りこんだ事に気づいた・・・
ゆっくりと移動している様子にも思えた動きだった・・・・それは迷うように・・・彼女の背へと近づいた。

枕とクビ元の隙間に入り込む気配・・・それがボムと直ぐに気づく彼女・・・自分を包み始める手に唇を強く結んだ。

後頭部へ添う彼・・・項へキスを落とした彼は より強く抱き締めた。
回された手に顔をあてる彼女・・・優しい手が彼女のお腹へ触れた。

『手が冷たい・・・』
小さく呟く彼女へ寄り添うボム・・・そっと彼の手へ重ねたのだった。
『あったかい・・・・』
彼女の手の温かさに呟くボム・・・・・溢れていく彼女へキスを落とした。

より腕の中へ入り込んだ彼女・・・安堵した二人は優しい中で眠り始めるのだった。




爆睡している様子に呆れ、腕をくむジュエル・・・・睨みをきかせ見つめていた。
彼を抱き込んだフォールが苦笑いをして、ジュエルを見つめ

「苛立って(笑)どーするんだ、お前が仕組んだから こーなった。
とーぜんの結果だろ?」
「だけど、なんかムカつく(怒) 取られた気分だ!」
「お前・・・・俺がいるだろ・・・・」

「そーだけど、なんかムカつく(怒)。
おい!起きろ!ルーンを離せ!」
「・・・・・・」
フォールは呆れ よりジュエルを抑えた・・・・笑い顔のフォールをみたジュエルへキスをした。

「邪魔はなしだろ(笑)、ジュエル・・・デートしてやる、行こう」
フォールに微笑んだジュエルが見つめたが・・・・またルナを抱き込んでいるボムを眺めた。

起こされたボムはジュエルと目があった。
『じゃ・・・邪魔はなし・・・勝手に行ってくれ』
呟くボムに驚いたジュエル・・・・フォールが笑い頷くと、ジュエルの手を繋ぎ部屋から出そうとした。

「ルーン! ちょっとなら考え直せ!」
そう叫んで出ていった・・・

『考え直せって・・・・言ったよな・・・今、確か・・・・一昨日見た本に書いてあった言葉と同じだ・・・・』
一人呟くボム・・・・笑むルナの体が揺れたのだった。

笑うルナの顔を掴み目を合わせた・・・笑みは何だと言う顔つきになった。

見合ったまま・・・彼は優しく彼女へ触れていった。

大事なモノを愛でるように・・・壊れないように・・・離さないように・・・・優しい手が彼女を巡った。





冷たいタオルを額にのせて 彼女がため息をした。
『ごめん・・・・』
掠れた声に笑む・・・・
『戻りたくて?』
彼女の言葉に彼の口が笑う・・・・熱に魘されたままに小さく笑みをうかべた。

ふと自分の体を確認する彼・・・そして何でと言いたげに彼女を見つめた。
『着替えないじゃん・・・汗だくで寝てたから脱がしたまでよ(笑)』
何も着ていない自分だった・・・

暫くして彼のマネージャーが、すまなそうに彼のトランクを持ってきて床へ広げた。

『すみません(笑)あとは頼みます。薬は同じ袋に入れてあります。
あの・・・・観光に(笑)・・・行っても・・・』
笑みながらマネージャーの彼が、付き人と二人で彼女を見ていた。

許可の欲しい二人に笑うと
『ありがとうございます(笑)じゃボムさん、ゆっくり治して下さいね』

長く観光したい二人は呟き部屋を出ていった。
笑うルナは、彼へシャツを着せ・・・下着を出した。
『自分で履けるよね(笑)』
笑うルナの呟きに彼はゆっくりと体を痛そうに返した。

呆れ仕方なく履かせると、そのまま彼の背へもたれた。
『逆・・・』
小さく呟く彼が身を返して抱き寄せた・・・・変わらず冷たい彼の手を優しく包むと自分の身へよせ温めた。



眠っていた自分を求める彼に気づいた・・・・・口づけた彼の目を見つめると、笑みをうかべる。

『熱・・・・』
ようやく離れた隙に彼に聞く・・・
『ない(笑)サンキュ!』
呟く彼が唇へ触れていった・・・・離さずに絡めたままで、忍ばせる手に翻弄され漏れいく声も塞がれた。

捕まれた手が彼へ運ばれ互いを求める・・・・そのままに彼が優しく沈んだ・・・より深みへ運ぶ彼へ腕を回すと、彼も引き寄せたのだった。

彼の名を囁く・・・その声に笑み唇を塞ぎ自分だけに染み込ませるように絡めた。
刻み震える彼女のあとを追う・・・・・力尽きた身は離れないように腕を絡めた彼に寄り添う彼女だった。


彼の手を眺める・・・・自分と同じ指輪とバングルだった。

『この指に・・・もう一つ加えたい・・・いいか?』
彼の優しい声音が彼女を包むと、笑みを浮かべた彼女にキスをした。

『小さな仕事でも、貰えるならする・・・・それでも好きな業界にいれるなら。
だけど、それはルナがそばに居るから出来る・・・・居なきゃ俺には意味はないんだ。
ルナの居場所が俺の住処だから・・・』

こぼれた涙へキスをする彼・・・
『俺の愛したルナの居場所にいれるならいい・・・・お前は何処にいたい?』
ジッと見つめる彼に囁く・・・
『ボムの腕の中・・・・』
笑みを浮かべて言った彼女に、安堵した彼が口づけをした。

『(笑)貴方が行くなら私もソコへ行く、それでいいなら・・・。
貴方がソコで手を広げて待っててくれるなら・・・いつでも飛び込んでいいなら・・・貴方の中が私の居場所・・・』
『約束だ(笑)必ず戻れ・・・』
優しい眼差しで笑む彼に微笑んだルナだった。




久し振りに出た映画だった・・・それがヒットし業界に賑わいを見せた。
ディーンやイルとの共演も話題を呼んだ・・・独り身のボムに話題は振られたが・・・
『ご心配を(笑)』
含み笑いをするボムに、記者らは何とか聞きたい様子だった。

『大丈夫ですよ(笑)彼も独り身ではないので・・・』
呟くディーンに笑うボムとイル・・・結婚してたのか、秘密だったのか根掘り葉掘りな記者達に
『二人と同じです(笑)一般の方なので構わず、見守って頂けたらと思います・・・皆さんの思い遣りで(笑)』

『あの!』
一番後ろにいた記者が手を上げて叫んだ。
『看板番組の・・・・ですか?(笑)』
『(笑)見守って頂けたら・・・』
『皆さんが見守って下さらないと、私が一緒にいれなくなります(笑)
私からも放って頂くことを、お願いしますね(笑)』

『しっ知ってるんですか?』
『はい(笑)大好きなお姉さんですから・・・そのかわり映画の宣伝は沢山してくださいね(笑)』
『したら(笑)・・・・』
『考えまーす(笑)拒否されたらダメですよ?』
可愛く笑う彼女もキャスティングされ出演した一人だった。

におわし話をそらし、会見は時間となり・・・・聞きたい記者達の話はうやむやになった。




休憩が入ると、鞄を持ちだして彼女は出ていった。

縁台で寝ていたルナの口へ放り込む彼女が笑いながら
『新しくオープンした店のよ(笑)』
『寝てた(笑)』
『ごめんなさい(笑)、だけどこれ・・・カレドに負けてるよね・・・』
『甘いのは?』
『んー(笑)勝ってる気がする』
『好みだった?』
笑み頷く彼女に微笑んだ・・・・

ジッと笑み見つめている彼女を見返した。
『話せて嬉しいだけだよ(笑)、私 もっと頑張る!
美味しいの一緒に食べよ!探してくるから・・・・』

『仲間と食べれば?』
『チョコはお姉さんと一緒に食べたいの(笑)、ミナが二人で食べなって買って来てくれるんだ。
お姉さんと知り合ってから、より同じ仲間と認めて貰えるようになったんだ(笑)凄く嬉しい・・・・
お姉さん・・・・かえてくれて、ありがとう!』
『良かったね(笑)で、離れなさい』
『やだ(笑)休憩が終わるまで!』
抱き付いて離れない彼女に苦笑いしか出なかった。

彼女達のマネージャーは呆れ、時間だと引き離しルナへ謝りながらも連れていった。

笑うヒナがきて珈琲を渡すと、二人で静かに眺め飲むのだった。

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2015-12-02 14:01:43 | fit

特集として数回に分けて雑誌に登場する女性がいると話題になった・・・

ジュエルのブランド特集でしか見れない女性だった。
アップでは 正面の顔は写らず、全ては服が分かるようなカットだった。

前にプライベートの写真でみた服を着ていた彼女・・・。
それはマタニティー用だったが普段着として紹介されていた。

可愛い子供達もアップは正面のモノは無かった・・・・
普段でも着れる服と題して中のモデル達・・・・色んな瞬間の 一コマだった。

ジッと眺めるヒュー・・・・深いため息が何度もあたりを濁した・・・今の彼女達だったのだ。

アールも眺める・・・・
『こっちのモデルもだから、ルナだって本当の妊娠じゃないだろうし』
『だけど、リアルなのよ・・・』
『左のモデルは本当よ・・・』
自分の思いごと嫌な事は消したい・・・それでも消せない自分に苛立つアールだった。


アールの携帯がなる・・・・そっと皆から離れた彼女は耳を傾けた。
『この雑誌・・・最近の雑誌のモデルは止めて・・・・辛すぎる・・・・。
幸せになるって彼は思えないよ?』
『・・・・・』
『だって出れないんだもの・・・恋愛モノ、最近はファミリー系もだって・・・』

『アール・・・・ジュエルの仕事・・・止めて・・・』
『ジュエルが依頼したのよ?』
『私の居場所・・・なくなる・・・』
『親爺の住処も増やしたでしょ? ジュエルも戻そうとしてるんじゃないの?』
『ボムにまた・・・・』
『大丈夫って聞いたわよ? 会社側はプライベートにルナが居ても大丈夫って・・・・』
『・・・・・・ごめん』
謝るルナの声音が震えていた・・・・そのまま、切れた電話を眺めていたがアールは深いため息をしたのだった。




直営店がオープンした。
モールのど真ん中に店があったのだ・・・丸く囲われたモール・・・・・各店で囲うソノ場は憩いの場で、中央には噴水があり辺りは時間毎にイルミネーションで客を招いた。

紳士服、女性服、マタニティーやファミリー系・・・横一列に並ぶように系列の店はあった。
そしてコラボした子供服やベビー服を売る店が出来ていたのだ。

午前中は、招待客に向けファッションショーがあり足を止めて眺める人が多かった。

客は参考にして、店内へと入るのだった。

各店にキッズコーナーがあった・・・待つ子供達の為に作られていたのだ。

各店チェックをするフォール・・・待つ間にルナは子供達と遊んでいた。

ハンガーにかかる服の下を潜り抜けるように入る男の子・・・それを追う女の子・・・

「お願いだから出てきて(笑)お客さまに迷惑だわ・・・・」
「やー(笑)」
少し離れた場所から聞こえる声に、肩を落とした彼女・・・・
そっと腰をおろし、端から端まで潜り抜けようとしている子供達に微笑んだ。

「店から出て遊ばない?」
「あとねー(笑)」
全てに拒否した声は楽しげだった。

時間の度に噴水のショーを眺め、戻ると遊ぶ二人にルナは一緒に遊ぶのだった。


ジッと笑み眺める子供達・・・・彼女と手を繋ぎ見ていた。
ショーの隙間から見える人に驚いた・・・水の色が代わり流れも楽しげな揺れだった。
その度に笑い子供達は拍手した・・・・・・
ショーが終わると、噴水の流れも代わって穏やかな動きになる。

息も止まるかと思うほど緊張だった・・・・ルナを見つめる瞳から 目が離せない彼女もいた。

走り出したいと思う衝動は、子供達の声で引き留められた事に少し安堵した。

ルナの手を引くと隣の店へと入っていった。
また始まるトンネル遊びに呆れ腰をおろした・・・


彼の靴が見えた・・・・鼓動が止まる・・・余りの驚きにそう思えたのだ。
その靴の足跡をも眺めるように目は後を追った。

店奥の一角・・・・下では子供達が嬉しそうに戻っていたのだ。

より近づいてくる彼の靴・・・頬に伝う涙がぽたりと床へ落ちた。

不安と恐怖・・・そこへ色んな想いが重なる・・・・立ち止まり眺めている視線・・・彼女は身動き出来ず見上げる事も出来なかった。

微笑んだ人が、ルナの隣へ来ると腰をおろし目が離せない彼女に笑み返した。

ゆっくりと彼女の頬に触れ涙をはらう・・・
『ごめんな・・・』
小さく囁く彼の声・・・優しい声音が身へ染み込むようで、彼女は怖くてうつ向いた。

彼女のそばへ来た子供達・・・泣いていた彼女に抱きついて、小さな手で撫でていた。
男の子が何度もルナの手をつつく・・・・真似たい女の子はボムの手を取り確認すると、彼の手に見つけた指輪に笑み つつき始めた。

「いっちょ(笑)」
「いっ(笑)ねっ・・・」
同じだと言いたい子供達をながめた。
『ルナ・・・・戻ってこい・・・』
彼の声が彼女へ染み込むように響いた・・・
顔を覆い うつ向く彼女へ、そっと触れていく・・・・その手もまた震えていた。

腕を回し優しく包む彼に子供達が驚き・・・・隣へ寄り添うとルナを心配そうに眺めていた。

「パパ!」
ボムの後ろへ立ち、見ていたフォールは子供達を手招いた。
「いっちょ・・・」
ルナの服を掴み離さない子供に笑み
「ルナ・・・話をしてこい(笑)」
「パパ?」
二人を抱き上げた彼は場を離れていった。



オープンカフェがある場へ連れ行くと、ボムは彼女を座らせた。

『社長が手を回して した事だった。
ごめんな・・・・気づかなくて・・・守れなくて・・・・本当にごめん』
うつ向きジッと耐えるように座る彼女・・・カップを手にテーブルに乗せたまま動かなかった・・・

『俺も・・・怖くてルナに近寄れなかった、行けば・・・またルナが狙われそうで・・・行けなかった。
国内に居るのに・・・親爺さんの家に居るのに・・・目の前に・・・
大丈夫になってた・・・だけどルナを傷つけそうで怖くて・・・』

『仕事・・・・頑張ってよ・・・』
『お前に会いたくて・・・引き受けた。
ジュエルさんが会えと手を回してくれたから・・・

・・・・狙われる怖さより・・・ルナが居なくなる怖さが辛い。
お前の息遣いが聞こえない事が辛い・・・暖めてるのに・・・冷えてくるんだ』

何も言わない彼女へ手を伸ばす・・・震える手を彼は優しく包んだ・・・
震える彼の手をジッと見つめた彼女だった。

冷えた手だと重ねた彼女の手に笑む・・・・
カチッと音がした・・・・彼女の腕へつけられたバングルを目に止めた。
袖口を少し覗かせ お揃いだと微笑んだ彼がいた。

彼へ贈ったルナからの誕生日のプレゼントだったのだ。
彼女につけられたモノは・・・ソレに似せたバングルだった・・・

『ルナ・・・・』
戻れと・・・・掴まえたと言いたい彼だったが、ようやく面と向かい会えた事で言葉に出来ず 名しか声にならなかった。

『せっかく・・・やっと前に戻れたでしょ? 落ち着いて・・・仕事も・・・・』
『お前が居ないのに、なんで仕事が楽しめる? なんで笑える?
・・・・俺には出来ない・・・デビュー当時の仕事が増えただけだ・・・・
それでも・・・俺は・・・それでも食ってはいけるから』

ふと人の気配がした・・・・
『ボム・・・すまない(笑)戻る時間なんだ・・・』
ジュエルは彼女を立ち上がらせると、ボムの言葉を待たずに連れ出した。

フォールは子供達を連れて車に乗せる・・・ジュエルは彼女を乗せてしまった。

呆然と立ち去る車を眺めていたボムを、迎えに来たマネージャーは行こうと促した・・・。

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2015-12-02 09:24:26 | fit

それは一瞬といっても不思議ではない程に・・・・計画されたモノを実行したように手際が良かった・・・

防犯カメラをチェックする刑事達・・・-聴取されながらマネージャーと話すボム・・・・

ようやく解放されたボムを仲間達は、連れ出しディーンの家へ避難した。


事の始まりはボムの誕生日からだった。
リークされた事で、世間へ流れるボムのスキャンダルだったが・・・それは あっという間に消され会社が処理していた事を知った。

ボムが記者会見するでもなく、気持ちや考えさえ受け入れて貰えず・・・彼の意思とは関係なく先へと運ばれていった。

出来上がっているシナリオ通りに・・・事は進みボムがホテルへ隔離されている間にルナは姿を消していた。
探す事も、事情を知る事も出来なかったのだった。

その日・・・・・・
押し掛けるファンや記者達の中を、彼らはディーンやイルの計画でホテルから脱出出来た・・・

何とか戻れた彼女達・・・安堵してルナから離れた隙に家が狙われた。


身が縮むほどの冷気・・・外と代わりない室内にアールは焦り駆け出した。

一人爆睡するルナ・・・暖房のない家で数時間、寝ていたのだ。

様子を見にきたアールが気づき、急いで修理をしたが・・・

病院へ行く事にした日・・・車を取りに出た隙にソレは起きたのだ・・・

知らせを聞いた彼女達は心配でルナの様子を見にきた・・・
この寒空の中・・・・窓は開放されていった事に驚いた。

なんでと驚き彼女達は動けなかったのだ・・・人の気配に慌て家へと走り出したアール達がいた。

数人の男たちが顔を隠し、家の中を荒らしていた・・・・

ベッドから出され抱えられていたルナ・・・熱で意識も飛んでいるようで手がだらけていた。
薄着にされリビングへ運ばれ・・・ちょうど寝かされていた所だった。

悲鳴があがる・・・・暫くすると警察車両の音が近づいてきた、彼女達が呼んだのだ。

飛び出していく男たち・・・・恐怖で動けない中、アールはルナを毛布でくるみ救急を待った。

泣きながら・・・抱き寄せてルナを守るように彼女達は寄り添った。


熱は下がったものの、目覚めないルナだった。
変わらずボムの姿もなかった・・・交代しながら看病する彼女達・・・
彼らはディーン達に頼みボムの居場所を探していた。


なかなか目覚めないと病院側が迷う中・・・引き受ける人が秘かに表れ、安堵した病院側はルナの友人らには内緒で事を進め、ルナは姿を消したのだった。

警察へ行くと、知らせはあったようでアール達は ある程度の聴取だけを受けていたのだった。

最後と聴取を受けた日に・・・
『意識は戻ったと連絡を受けました。
それから・・・彼女は熱からか・・・残念ですが記憶も曖昧で・・・・聴取は不可能でした』

『会えたんですか?彼女は今?』
『既に海外へ・・・引き取った方が連れて行かれました。
皆さんの記憶が戻れば連絡すると言伝てを頼まれました』

『どこへ・・・・』
『誰です?』
『教える事は・・・・身の危険と、記憶消失・・・加えまだ狙われても・・・
必ず犯人は探しだします・・・貴女方も思い出せたらお知らせ下さい』
礼をして署から出された・・・・


『誰かな・・・・』
『アール・・・・』
『落ち着いたら探し出すわ。必ず皆に言うから・・・・何かに巻き込まれた・・・・なら、ルナを探しに行ったら危ないかもしれない。
それに・・・・私達には子供もいる、危険な中へ行けない・・・』
涙をこぼし呟くアール・・・そっと寄り添うヒューも項垂れたのだった。



身動きの出来ないボム・・・・取材は決められ話す言葉さえ指示されていく。
携帯も取り上げられて、回りのスタッフは新規になった。
携帯さえも貸してはくれず、日々入る仕事に専念しろと強要された。

ルナの事が気がかりで、不安は増していった。
スタッフに紛れ、前からいたマネージャーが人知れず会いに来て詳細を知った。

不安さを宥め、彼は話をしていた。
手紙のやりとりはロケ先でファンに紛れ彼女達が運んだ。
人混みの移動中で手渡す手紙・・・数々の情報を元にボムは静かに動く事にしたのだ。



日が流れていく苛立ち・・・抑えられない衝動は身内だけに半端なく暴れた。
見かねたマネージャーは上司と連絡をとり会長へと耳に入っていった。

そっと見学にきた会長・・・ボムを呼び出して話をしていたのだ・・・あまりの出来事に報告は無かったと密かに調べるのだった。

回りへは落ち着き、元へ戻るボム・・・わざとに孤立し策を練った。
それは会長からの指示だった・・・時々送られてくる会長秘書からのメールで、より安堵していくボム・・・

携帯を眺め・・・安堵して胸に抱く・・・仕事で一緒になったイルやディーンへ写真を回した。

笑みの中のルナがいた・・・仕事なのか生地を運ぶ姿もあった。


また来たと、携帯を覗くディーン達・・・それは一瞬で固まった・・・
小さな子供を抱き、まるで母のような優しい顔で笑む姿と隣にいる男性と一緒に覗き笑っている写真だった。

隠れて撮っているような写真だった・・・・接触はしていなかったのだと知った彼は項垂れた。


それから だいぶ経った ある日に・・・雑誌に掲載された。
その中の二人に気づくボムがいた・・・・

ジュエルは前にパーティの話に出た男だった・・・・フォールと言う男・・・その男の存在はどちらか気になった。

少し前にジュエルは一世を風靡し有名なデザイナーとして紹介されていた。
完成されたショーは絶賛され注目を浴びた・・・
こぞって選ぶ彼の服が、モデルの中で広がりを魅せていった。


それから暫く後の、この雑誌だった。
少し前から元のスタッフに戻されて仕事をしていたボム・・・ルナを知るので雑誌を見ていたボムに焦ったのだ。

何も知らない彼に笑みを浮かべるが、マネージャーは悲しげな顔つきだった。
『これ・・・この人達の私生活ですよね・・・・結婚を?』
そう言われてもボムも推測しかないだけに、小さな笑みしか出来なかった。

『ガイルさんに・・・』
『接触出来なかったようだ・・・元気ならいい・・・』
『ボムさん・・・』
『犯人を捕まえたら・・・俺が聞きに行く・・・大丈夫だから上手く回してくれ』

『田舎暮らしの・・・依頼が入ったみたいです。室長が調整してますが・・・今度の会議でスケジュールが来ます』
『分かった(笑)決定したらアール達へ知らせてくれないか?』
小声で話すボムに頷いたのだった。



程無くして・・・・・会社が揺れた・・・
乗り込んできた警察・・・身内なだけに報道局さえ躊躇した。
会長からの指示でカメラを回していくのだった。

上手く調整し編集されていく・・・名はあげずに報道されていった。

記者会見は連日のように行われた・・・誤報は許さず、曲げたテレビ局は名指しして批難し訂正していった。

それは会長自ら行い、関係者は処分され逮捕への協力も惜しまなかった。

ボムや弁護士まで揃え会長とともに会見を開く・・・
出来事は一般人の友人と、詳細は濁し取材さえ牽制しボムの友人らを守った。
ルナの事もふせ被害者と言う言葉に変えて話を通す会長に感謝した。




国内でも広がるジュエルのブランド・・・それはファミリーから子供服まで、コラボしていくので名は更に上がりをみせる。


仲間に囲まれて、キャンプへ来ていた彼ら・・・・

飲んでいる彼らへ・・・迷い戸惑いつつ彼女達もまざった。

彼女達は固まりジッと雑誌を眺めていた・・・・
子供服関係がメインのファッション雑誌だったのだが・・・・

可愛い女の子がフリフリレースがついたドレスを着ていた・・・・満面の笑みでショートヘアーの女性に抱きついている姿に目が止まった。

『絶対同じでしょ?・・・髪色も長さも違うけど・・・』
『妊娠・・・』
『違ったら?』
『この写真用じゃない?』
『休憩の合間に撮ったってあるもの・・・・・』
小さく囁くように話している彼女達だったが、彼に声をかけられて黙ったままで彼女達は振り向きもしなかった。

そっと雑誌を手にして彼らは眺めた。
レースのドレスにくるまれた小さな子供を抱き寄せ笑み 頬を触るルナの姿だった。
間にジュエルも覗き笑っていたのだ。
それは男が隣で休憩している様子の隣での一枚だった。

様々なカットで写る彼女の姿・・・より近くで見えた一枚の写真だった。

押し黙る彼ら・・・一人、雑誌の写真を指さしてボムを彼女は眺めた・・・

『同じよね? これ・・・貴方がルナにあげた指輪でしょ?
この人さし指のも・・・違うかな・・・』
『ジュエルパパってあるけど、ルナの事は書いてないの・・・』
『ジュエルさん達と写真には載るけど、名も出さないんだって・・・・』

『雑誌の・・・この会社に幼馴染みの子が居て・・・・この記事の担当をしたの。
トップ扱いで教えて貰えなかったけど・・・彼女に関しては一切出さない契約で受けて貰えてるんだって。
で・・・・ルナを知ってた・・・だけどジュエルさん達以外とは話はしないんだって・・・

だからね・・・・次の取材で・・・手紙を託してみた・・・
勝手にごめんね・・・ルナにじゃなくて、ジュエルさんに書いたの・・・中身はルナへも書いたけど・・・』
泣きながら言った彼女を、優しく抱き締めた彼・・・

『さ、先に進みたいから・・・本当にごめんなさい。今更だけど怖くなった・・・・』
『待つしかない・・・ボムが待つなら・・・一緒に・・・』
優しく囁くように話す声は、皆へと染み込んでいった。

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2015-12-02 09:10:34 | fit

天井からスクリーンが出てきた。

何だと期待をしていたが・・・・・ココへ来るまでの、いわゆるメイキングだった。
計画し・・・準備し・・・買い物も撮影されていた・・・・そして実行・・・・・・

笑みを浮かべる彼女達・・・こー連れて来られたのかと苦笑いや恥ずかしさも消えていった。

『誕生日にかこつけて(笑)遊ばれたんだ・・・・私達は』
『ねぇ(笑)最初に選んだの誰よ・・・』
『普段は着るなよ(笑)』

誰かの呟きに笑い・・・・この中に浸る幸せに微笑んだルナだった。



日付はとうに過ぎている・・・・・
足取りは止まり、ふらつく彼らを各部屋へ彼女達が運んだ。

毎回恒例と聞いたルナ達・・・・それでも楽しく運び出せた。

それから数時間は彼女達の時間を共有し、飲み会になった。

『さてと(笑)戻りますか・・・ボムさんに誕生日の時間をあげなきゃね』
『過ぎてるけどね(笑)』
笑い、楽しい時間は お開きとなった。

改めて まじまじと眺めた・・・・フゥと息をはいた彼女に笑う誰か・・・
『楽しそうだったよな(笑)それを選んでる奴ら・・・』
眠そうに呟いた彼に笑み隣へ寝そべった。

いつものように彼女の首もと・・・その隙間へ手を差し込んだ彼に笑む。
体を返される前に横を向いた・・・朝へ向かう空を眺める・・・・背中の暖かさに笑むルナへ睡魔が襲い出した。

抱き込まれていく自分・・・・それが心地好くて笑みがこぼれた。

隙間からの手は胸へ・・・・脱がされていくが睡魔に勝てずボムに謝り呟いた・・・
ボムの声が遥か先から聞こえるように思えた。


『っ!』
『(笑)睡魔は飛んだか?』
眠気なのか・・・酔いでなのか・・・自分の体なのに わけも分からず朦朧としてくる。
口づけして絡め離れない彼を、やっと視界に捉えると 少し離し微笑んだ彼と目が合った。

両手で彼の頬へ触れる・・・
『(笑)ボム・・・』
『酔いも回ってる?(笑)』
小さく頷くルナに微笑んだ・・・それでもソコへ触れたままに話しかけていたのだ。

にや笑いの彼・・・ルナは両手を放り投げた・・・まるで好きにしてと・・・・
プレゼントと囁くように言った彼の声音が聞こえた・・・

優しく触れてくる彼の手に微笑んだルナ・・・・絡めくるボムに笑みがこぼれた。



彼女達の輪の中で支えられた自分に気づいた。
怠くて動けないルナに笑う彼女達・・・容赦ない二日酔いに襲われていた。

物凄い時間に流されて、ようやく自宅へと着いたようだった。
水を飲まされて寝かされると
『記憶が飛んだ・・・・なんで?』
『(笑)ボムに襲われた』
アールが笑いながら小さく言った。

激しい頭痛はやまず、笑い声も止まらなかった。
『だから何なのよ・・・・』
『ルナが寝てる間に(笑)ホテルにボムが誰かを連れ込んだって噂が流出したみたい。
それは誰だ(笑)が始まって大変だったのよ・・・』

『逃げたいのに(笑)ルナは起きないし・・・・ボムのマネージャー達が迎えに来て、彼らと計画して帰ってきたのよ』
『なんで皆は二日酔いしてないの?』
『(笑)楽しくて飲んでない!』

『というか、(笑)ボムさんに誕生日プレゼントだったからルナを酔い潰したのよぉ(笑)』
一斉に笑う彼女達の声に頭を抱えたルナ・・・・

『ま、いいや・・・寝かせて・・・』
布団へ入りこんだ彼女は、深い眠りに落ちていった。



『熱い・・・・』
『水?』
痛みを堪え頷くルナの口へ、少しずつ入り込む水を ゆっくり飲み込んだ。

冷やされたタオルに触れて、自分の状態を確認していた。
薬を飲まされ・・・・着替え・・・また寝かされた。
朦朧とする中で されるがままの自分の体に痛みが走る・・・・

『平気?水は?』
アールの声だった・・・・
「熱・・・・」
やっと言えたルナを撫でるアール・・・

「大丈夫?(笑)・・・」
「し・・・・」
「大丈夫よ、仕事なら・・・しっかり寝なさい」
「ごめ・・・・」
「はいはい(笑)、ボムはうつるとヤバイから帰るなって言ってある・・・仕事に支障あるし・・・・だけどね・・・私達を心配して嘘を使れてた・・・・・ルナ・・・何かが・・」
何かが起きてるかもと言おうとしたが・・・アールが覗きこむと・・・・既に眠っていたのだった。





気づけば病院だった・・・・

「仕事は?」
「時間出来たから(笑)、どーなってる?なんなんだ?事実か?」
「頼みがある・・・・」
彼女は呟くと悲しげな目で見返した彼・・・・そっと優しく引寄せると彼女を抱き締めた。






「(笑)おめでと!」
彼女が笑い彼を抱き締めた。
スタッフ達が慌ただしく働いている姿を眺めながら二人は話をしていた。

端では取材を受けているジュエル・・・
「これで、より安泰だ(笑)フォールも頑張ったじゃん」
「そうだな(笑)仕事の依頼が半端ない・・・・助かったよ」
「ジュエルも幸せならいいの(笑)、今度は逃げないでよ?」

「・・・・否定的な・・」
「行かなきゃいいだけよ(笑)、行くなら胸を張れば大丈夫な気もする」
「帰らないか?」
「・・・・・・」
そっと彼女の頭を撫でるフォールが微笑んだ・・・・ふと気づくジュエルと目が合った。


「怒ってるね(笑)」
互いにジュエルを眺め笑い出した。
記者らを連れて彼がやって来た。
「こちらが・・・・」
「はい(笑)この二人のお陰でアレが完成しました。
物凄い労力で(笑)探して・・・出来上がったんです」
「チームですかね・・・・」
「3人での写真を(笑)」
カシャカシャと・・・・激しい音と物凄いフラッシュの中で3人は微笑んだ。

度重なる取材はフォールがする・・・・だからジュエルは仕事に集中する・・・・ルナは必要な物を各国へ飛び探しだしていく。
なければ生み出せる場へ依頼し造り出していった。



1冊のファッション雑誌がトップを飾った・・・・
特集を組まれ何ページにも渡り、3人の姿が見れた。

その中の1ページだけ・・・プライベートだという写真が載った。

綺麗な木立の中で過ごしている写真だった。
3人の穏やかな笑みは、2人の可愛い子供達へ向けられていた写真だったのだ。

優しい木漏れ日の中で、お腹の膨らんだ女性が子供と手を繋ぎ 散歩している楽しげな様子もあった。

手前に居る彼らは、その姿に笑み優しく微笑んでいたのだ。

幸せの中から生まれるモノが今の自分を作っていると、ジュエルの言葉として書いてあった。
その幸せが、この写真だとの説明もあったのだった・・・・・


マネージャーが慌て雑誌を取り上げると、ゴミ箱へ放り投げた。
ボムと苦笑いして椅子にもたれた。
別のマネージャーが、入ってきた人へ会釈するとボムの隣へ座った。

『次の仕事で(笑)来て貰った』
と言うと真ん中のソファーへ威張るように座る。

『室長(笑)どーだった?』
『・・・・さきほど断りの連絡がありました・・・』
『会えなかったのか?』
『申し訳ありません・・・断ると』
『なんでだ?』
『社長・・・・』

ドアがあく・・・・新たに入ってきた人に慌て立ち上がる・・・・社長まで頭をさげたのだ。
『新規の企画、聞いたぞ(笑)』
『父さん・・・会長・・・・今、依頼を』
と、言葉を選び話そうとした社長を手で話すなと止めた。

『中味を練り直せ、デザイナーは変えなさい・・・』
『有名どころですよ?』
社長に苦笑いする会長だった。

『ボム(笑)久しぶりだな・・・全て調べ直した。すまないな・・・遅くなって』
『会長?』
何だと会長を眺める人達へ笑みをこぼした。

『次の総会で分かるさ(笑)、お前は勉強が足りないな・・・』
『・・・・私が選んだデザイナーに問題が? まさか、私情は挟まないでしょう?彼らは受けますよ(笑)』

『(笑)脅して依頼したのか?
ソコまで向こうも馬鹿じゃないぞ?
こっちまで時間は取れないと、向こうは言ったそうだ』

『引き下がらせたのですか?
どこも受けていず、一番乗りで交渉させました』
『お前の過ちが、拒否らせてもいるんだぞ?』
会長の言葉に、ソコにいた部下やマネージャー達が社長を眺めた。

ボムは驚き会長を見返した・・・・
『悪かった・・・・仕組んだのは社長だった。本当にすまない・・・・
ようやく安定し、足も揺るがなくなった・・・先へ進んだらどうだ?』

会長の声音は優しく・・・親のようにボムを笑み見つめていた事に、マネージャーや他の室長らが驚いたのだった。