tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

雫 24 -end-

2019-02-09 00:49:46 | 雫 ーしずくー


突然降りだした雨に対処出来ず焦るマリアに苦笑いをしながら、迎えを頼みカフェで落ち着かせた。

久しぶりの気分転換・・・子供を産む怖さを取ってあげたくてリンは彼女に付き合っていた。

買い物へ行きたいのに不安で出れなかったマリアだった。
ならば行こうと誘ったのはリンだ。

月野の部下二人が車を出してくれ・・・帰りの時間に迎えに来ると離れてくれていたのだ。
何度も謝るマリアの声に苦笑いしかない・・・

待てども来ない人達に、長い気分転換が出来ると気持ちを切り替えようと笑う。

そんな時に・・・見知る人が同じテーブルへ座った。
溢れた涙を優しく拭く雫に照れながら微笑んだ・・・久しぶりだとリンの頭を撫でたのはトウヤだった。

初めて逢いに来てくれた事に感激し声も出なかった。
不安だったマリア・・・大丈夫だった事に微笑んだ雫・・・その彼女の笑みにホッとしたのはリンとトウヤだった。

『(笑)リン・・・本当に使わなければ消えるの・・・』
突然言い出した雫の言葉に驚いた。

『信じられない?(笑)消せるのよ?』
『 ・・・』
答えられなかった・・・なぜと思えた自分に戸惑った。

良かったとホッとしたのはマリアだった・・・複雑な思いが残ると知るトウヤはリンの背を優しく撫でて落ち着けと小声で言った。

『彼を守れないという不安なら・・・彼に、本当に必要かを聞いてみればいい』
『言わない事は知ってるくせに・・・』

『リンが居ればいいと何度も声にして言ってた(笑)彼の言葉を信じてるからな』
トウヤの言葉に、確かにと思えた自分もいた・・・それでも自分を受け入れてくれた事の感謝は必要と勝手に思っていた事も事実だ。

危険の多い中で生きている彼を助けたい・・・数多くの人達が悲しむ事も避けたい・・・だから力が残った事に感謝もしていた。

知られずに呟く・・・他へ知られないようにもしてきた・・・なのにと思える自分が存在する・・・。

本当に時々だが見れず怪我をしてくる比嘉の姿に後悔する事もあった・・・なのに、彼は気にも止めず危なかった事や自分の声で思い止まれたと声にしてくれていた。

思っても声にもしていないのにだ・・・いつも心配しているから・・・そんな考えをした事もあった。
それは違うと分かるのに・・・本当にいいのかと迷う自分がいた。

静かになったリンに時間をと、雫とトウヤはマリアと話を続けた。
いまだ考えていたリンに苦笑いをし眺める雫の笑み・・・トウヤが送るとマリアを連れ立ち皆で帰る事になった・・・自宅へつけば笑み帰って行った二人へ礼を言えただけ。

安心した顔に戻っていたマリアを見送り今は考えるなと自分へ言ったトウヤの優しい声・・・そうかと笑み見送ったが・・・頭から離れない事に苦笑いしかなかった。


呼ばれた雨音は優しいのに、いつの間にか悲し気な音が響いていた。
目の前に舞い降る雨粒は本当に悲し気に舞っている気もして目が離せなくなった。

迷いながら手を伸ばしたが、雨に濡れる事はなかった・・・その先へ足が進まなかったから・・・

悲し気な目で静かに降る雨を眺めていたリンの姿に驚いた・・・泣きそうな顔・・・自分が近寄っても気づかないほど何が悲しいのか気になった。

自分でも駄目だと分かるのだろう・・・その手は震えていたのに、そっと雨の中に導くように伸ばしていった事に驚いた。

駄目だと思えた比嘉は迷わずに彼女の手を捕まえ腕の中へ抱いた。
驚きながらも溢れ頬へ伝う涙にキスをした・・・

『その迷いは何だ・・・悲しい雨には浸るな・・・大丈夫と頑張れる俺の声は聞こえなかったのか?』
『 ・・・』
比嘉の目が悲し気だった・・・自分が辛くさせたのだと気づけば答えようもなく彼の胸へ凭れた。

『使わなければ消えるって・・・
だけど良かったと思えなかった自分がいたの・・・
消したかったはずなのに・・・戸惑った自分が悲しかった・・・』
『俺の為・・・そうなのか?』

『 ・・・』
『リンが俺の隣で笑っててくれるなら平気だと信じれないか?』
言われて首をふるリン・・・大丈夫とわかるのに本当に消えてしまう怖さが変に沸き起こる自分に戸惑った。

『分かるの・・・信じてるもの・・・』
『今のリンが怖がる事は何だ・・・』
優しい声なのに悲し気に聞こえる比嘉に戸惑う・・・それでも話せという彼の目を見つめ声にした。

『分からない・・・雫の力が消えたって・・・少し前に悲しい雨が激しく降ったから・・・たぶん、その日だったと思う。
日によって悲しい雨が降る事が増えてた・・・何でか気になる自分もいて。

だけど気になった翌日に降ると無意識に自分が入り込む事が増えて・・・』

『理由を探して?』
『 ・・・違うと思う・・・ずっと思ってた事・・・何で雨なのか・・・
貰える答えもないのに・・・気になって・・・消えるって知って・・・怖くなって・・・』
『 ・・・答えが欲しかったんだな』

そうだと悲し気に笑むリンが頷く・・・誰も知らない事だった・・・知る人もいない・・・答えはないのだと気持ちを切り替えたはずなのに、その答えに囚われる自分が悲しかった。

『優しい雨だったから・・・
皆に優しく出来たリンだから雨が呟く想いを受け取れた・・・
リンだから・・・助けられると思えたから・・・それを見せてくれてた・・・

だけど利用する人が増えたから・・・悪用したから・・・それは雫やリンじゃなくても・・・そうなるならと終わりを告げただけ・・・』

『 ・・・』
『長く続かない事を知るから・・・優しい雨の主は悲しくて泣いてるんじゃないか?』
『頑張って・・・』

『ん・・・頑張って来たのは知ってる・・・だけど人は欲を出す・・・本人じゃなくても、恩恵を寄越せと悪用したいと思う人が増えたから・・・

だから力を渡す事も与える事も・・・本当は知らない雫に教えて終わらせたんじゃないのか?』

『 ・・・』
色んな事を受け止め自分で体験したからと雫は教えてくれていた・・・それは戸惑った事だったと自分が分かるほどの思いは聞いているだけで知れた。

『終わらせる方法・・・リンも知らないだろ・・・』
そうだったと頷くリンにキスを落とした。

『悩まなくてすむように・・・』
『悩むなら・・・』
声の重なりにフッと笑う比嘉は話を続けた。

『(笑)お互いに悩む事なら・・・消してくれないか?』
『ハル ・・・』
『(笑)・・・俺がいない不安をリンに与えるかもしれないが・・・大丈夫と信じて待っててくれたら、俺は必ず帰ると誓う(笑)・・・だから』

そう言う間に彼女が自分へ抱き付いた。
悲し気に震え、それでも頷くリンがいた。

『見れない不安で怖いけど・・・ずっと一緒にいたいから・・・ごめんなさい・・・』
『いい・・・気にすんな(笑)。怖がらせてる俺の方が気になるが・・・無事に帰るだけだ(笑)だから頑張れ・・・』

分かったと頷くリンに口付ける・・・抱き締めたままに彼女を見つめる・・・微笑んだリンに笑み返したのだった。


驚きながらリンが外へ振り向いた・・・
『よっ呼ばれた?』
慌てたように言った比嘉がいた・・・暫く聞き入るように眺めていたリンは嬉しそうな笑みで自分へ凭れた・・・

『ずっと・・・悲しい音が響いてたのに・・・急に優しい音に変わったの・・ だから驚いた』
『 ・・・』
そうかとも声にならなかった・・・それはまた、続けると気持ちを変えてしまうのかと怖かったからだ。

『(笑)ありがとう・・・』
雨を眺めながら呟いたリン・・・雨の主へ礼を言った気がした。

一人小さく呟いた・・・笑みながら、自分に凭れたままで言った。
無意識に呟いた気もした・・・それでホッと出来た比嘉だった。


笑みながら見つめる・・・そっと頬へ触れ目を合わせれば照れたような笑みのリンに口付けた。
自分の腰を掴み自分を預けるリンが愛しくて彼女を追った。

甘く囁く声音・・・目を潤ませた優しい笑みが自分へ注がれてくる・・・それだけで嬉しくて幸せだと思えた。

愛しさは増している自分も笑えると思えば、触れていた彼女の唇も微笑んだ事に気づいた。
愛してるという囁きに煽られ二人の時間だと入り込んだ比嘉だった。


長く続く霧雨のような優しい雨・・・物置から取り出したテントを庭先へ作った比嘉は二人で中へ入り込んだ。
庭に出してはいたが、全部に雨で濡れる事もない場所にして。

それでも重なる雨粒は小さく・・・少しずつ纏まりながらテントの地を滑り、そっと落ちて行った。

毛布にくるまり流れる様を感じる二人もいた・・・素早く脱がし肌を重ねていた比嘉・・・その温かさを感じながら、視線は溢れ流れていく様子をリンは見ていた。

跳ねた体に苦笑いするリン・・・巡る手の温かさを感じながら、幸せそうな笑みの比嘉を見つめた。

心から愛した人と分かる・・・一緒に過ごせる嬉しさに浸った・・・


- なんで、あめなの? -

幼い自分の声がする・・・

-優しいから・・・-

誰かの声が囁く・・・

-それで生きれるなら、してみるね-

その楽し気な声音は小さくなり消えていった気がした・・・・


全てに熱く吐き出すものさえ熱く感じる始める・・・それは嬉しくて比嘉もだと感じとれた。

浸る自分も心地いい・・・自分へくれる幸せも同じ心地良さで揺れる。

それは比嘉も同じだと知れた・・・優しい眼差しは自分を捉えて離さない・・・奥深く沈む場所まで共に浸れる・・・それは比嘉とだから出来るのだと思えた。

彼が見つけてくれた幸せに浸ろうと彼へ腕を回せば、優しく落とされるキスに笑む・・・

彼女の唇が微笑んだ・・・自分の中で浸るリンの笑みは自分だけに見せる。

その心地好さを味わうように微笑む彼女に口付けた・・・愛しくて全てへキスを落とす・・・足りないと彼女を捉え見つめれば自分から引き寄せ唇を重ねた。

昂りは激しく持っていく・・・煽りの上手いリンだと笑えば、照れた可愛い笑みで見返す・・・絡み付く彼女が余計に可愛いと、共に先へ生きるリンと浸った。

離すなと笑む・・・しないと抱く・・・分かると笑み見返す互いに深く沈んでいく二人だった。



-end-



お付き合い下さり感謝します。
飽きてENDへ持ち込んでしまいました。

2017・6から手直しし・・・捨て置かれたように眠っていたお話でした。
1話目の日付でビックリ!。

あー終わった(笑)!
素直に喜ぶ・・・無理やりENDへ運んだtamiでございました。

ありがとうございました-tami-





雫 23

2019-02-08 00:04:17 | 雫 ーしずくー

本当に時々、急に降られた雨に呼ばれていくリンだった。
受け入れていた比嘉は気にもせずに笑いながら見守っていた・・・

いつものように驚きながら振り向くリンに皆が笑う。
声にしないでくれる皆へ感謝し日々を過ごせていた。

直ぐにも声にしない・・・気になるマリアが聞いてみれば・・・
『見てないの(笑)』
『ぜんぜん?』

『(笑)不思議なんだけどね・・・無意識に雨の中に呼ばれてるから行くんだけど・・・なーんにも見てない。
だからかな(笑)余計に驚いちゃって・・・』

『また出た(笑)って?』
『(笑)そうなの・・・』
『習慣って(笑)怖いね』
『(笑)ね』
確かにと呟くリンにホッとしたように笑むマリアに苦笑いだった。

本当は見えていた・・・それでも見えた人達は知らない人や場所が殆んどで、今の自分には どーする事も出来なかった。

見知る人なら比嘉へ囁く・・・それだけだ・・・どうしてもの違和感は不思議と考えただけで次を見せられた。
本当に嫌な事だけでも、緊急と比嘉だけに連絡をする。

激しく辛いモノは本当に見なくなった事には思わずだが感謝した事はあった。
雨の日に謝り許しを乞うように静かに眺めた。

終われば一人ベッドに潜り込む・・・帰ってきた比嘉に気づかれ優しく抱き締め眠ってくれる。

居れば後ろで待っていてくれる・・・その時間で着替えを手伝ってくれたり一緒にバスルームへ行く事もあった。

抱いていてくれる温かさが恋しくなる・・・自分を抱いて寝てみれば、早々に帰ってきた比嘉に抱き込まれる。
それは嬉しくて幸せだと噛み締め・・・幸せな場所で浸れる事に感謝した。


この日も優しく抱いてくれた・・・久しぶりだと自分を彼の中へ埋め込む・・・
湿布の香りがした・・・

ん?っと微かに香る事に驚き、身を離して観察してみれば・・・大丈夫だと、気にするなと抱き込まれる。

理由が知りたくて雨の中に行きたいが、それだけは比嘉が悲しむ事だと思え我慢はしていた。
優しく撫でるように触れてみる・・・苦笑いをした比嘉にキスをした。

『(笑)ん?』
必ず唸る比嘉に笑いながら、今度は彼の唇へ重ねる。
口付ければ離れない事は知るだけに笑う唇に気づかれれば激しく自分へ返ってきた。

焦るような目に謝りながら優しく口付ける比嘉・・・そっと腕の中で眠れる事が分かれば彼もまた安心して穏やかな寝息が始まる。

その心地良さを堪能出来る幸せを味わえた喜び・・・それはリンに笑みが溢れた。

互いに心配はすれど、その理由は分かるだけに声にはしない二人だった。


優しい響きは一日中 続いた。
前夜から降りだした雨だった・・・なかなか寝付けない自分に苦笑いをして、仕方ないと窓を開け放つ。

今日はいない比嘉の姿を追い掛ける・・・
-だめ!- <やだ!>
思わず声にして叫びそうになった・・・それよりも早い誰かの叫びに驚いて辺りを眺めたが、いるはずもない寝室に苦笑いだ。

椅子を運び座れば優しい音だけが降り注ぎ出した。
眠れと言われた気がして苦笑いしかない・・・
寝れないのに・・・そんな思いで空から落ちてくる雨を眺めた。

手を伸ばす・・・ポツポツと自分に当たる雨音に微笑んだ・・・


色んな出来事が甦る・・・不思議と止まらずに響いている優しい音・・・それと一緒に甦る思い出は、笑みの多い日々だった事に微笑んだ彼女がいた。

悲しいことも あったはずなのに、比嘉と出逢ってからの楽しい日々が駆け巡る・・・お礼だと玄関に椅子を運び居座った日を思い出した。

本当に怖い事だった・・・悲しむ人達の多さに驚いたが、この人は生きなきゃ駄目だと思った途端に次の場面へ飛び込んだ・・・

見れて良かったとホッとした記憶が甦れば、それは今の自分の居場所にもなり自分へ生きる先をくれた人になった。

『さ、寒くないのか?』
不意に声がすれば、黙ったままに立ち上がり・・・優しく比嘉を抱き締めた。


驚いた・・・急ぎ戻ればリンは外にいた・・・迷うように・・・今にも雨の中に行きそうで声をかけてしまった。

真っ直ぐに自分へ歩いてくる姿で、ホッとする自分がいた・・・そして優しく自分を抱く・・・知っていたのだと思えば苦笑いしかない。

怪我をしていた自分に飛び込まず、触れ痛みが走らないように優しく抱きついたから・・・本当に危なかったのだと思えばリンに助けられた事に感謝した。

また逢えた喜び・・・心配させたとキスをすれば、大丈夫と溢れた涙を拭きながら自分を抱き締めた。

『いつから・・・・(笑)覚えてないか・・・』
無意識ならと苦笑いをして彼はリンに笑み返した。
同じように笑み、そっと自分へ腕を回して見返すリン・・・

『我慢する事が増えて嫌にならないか?』
『 ・・・』
彼の言葉の理由・・・
彼との約束・・・不意に見た事の先・・・知りたくても彼との約束だ・・・覚えているなら出ない自分を知る・・・

怖い場面だけで止まり本当かは彼から聞くまで・・・彼が帰るまでは知る事は出来ない。

『ハルが悲しむ事も辛くなる事も分かるから・・・大丈夫って気もしてる』
『ごめんな・・・』
『いいの(笑)。帰って来てすぐにこーしてくれるから(笑)平気。
全部、吹き飛びそうなくらい(笑)嬉しいから・・・』

『(笑)それは自分の為でもある・・・その日の終わりにリンを抱いて寝れたら(笑)翌日からまた頑張れる・・・どーしたら安全か(笑)確認していける』

そうかと、微笑んだリン・・・良かったと彼へ抱き付いて笑みを浮かべた彼女がいた。


どんなにもがいても・・・彼女が変わる事もない・・・どんなに心配しても、気になっても・・・それは自分も変わる事はない。

ただ受け入れて行くだけだ・・・
ただ受け止めて貰えた事に感謝するだけだ・・・気持ちを軽くする努力をするだけ・・・

そして二人の時間は互いに話し・・・答え合わせのように声にして二人でホッとする。

辛さも半分・・・怖さも半分にしてくれる彼に感謝した。
彼は逆にホッとする・・・自分が辛いと悲しいがと思えても声にしてくれる・・・だから大丈夫と安心してと声にする。

不思議とそれだけでもホッとする自分がいたから・・・いつか本当にリンが消えてしまうのかもしれない怖さは残る。

だから今を大事に声にして密にする・・・後悔もしない日々を送れるように。

雨の降る日は彼女を眺める・・・優しい穏やかな雨だと自分でも気付ければ不思議と安心を覚える。

冷たい雨音じゃなければいいと・・・そんな想いが先にたつ・・・
優しい音・・・それを聞いているリンの姿でホッとし・・・その笑みに焦がれる。

出逢った頃より少し大人に見え始めたリンの笑みが溢れた。
目が合えば照れた笑みになり、恥ずかしそうに自分へ抱き付く・・・
『嬉しくて・・・』
照れながら呟く彼女にキスをした。

いつかは・・・雨の中に浸るリンに驚き声を失うマリアと月野がいた。
何だと眺めればリンが笑みを浮かべ空を眺めていた姿があった。

フッと溢れた比嘉の笑みに、今度は自分に驚き見返された。
『大丈夫だろ(笑)。リンは笑ってるし、自分でも驚いて入ってくるさ・・・』
そう言った比嘉からリンへ視線を向けた。

暫くすれば本当に驚きながら振り向く・・・苦笑いをしたリンは比嘉を見つけると、伸ばされた比嘉の腕の中へ入り込んだ。

『気づくのが遅すぎだろ(笑)冷えてんぞ・・・』
『(笑)ごめん。マリアも・・・ごめんなさい・・・』
小さく呟いたリンを比嘉は手を引いてバスルームへと連れ出したのだった。

笑み照れながらも、されるがままジッと比嘉を見ていた・・・綺麗に現れた自分・・・いつの間にか手で洗い始める比嘉の手を慌て止める・・・終わってるだろうと・・・。

仕方ないと自分を洗い始めるが、リンは仕返しと泡を浸け始めてみれば・・・驚くリンの姿で自分を見返していた。

『(笑)それをするからだろ・・・』
『 ・・・』
『リンが煽ったからだ(笑)』
比嘉の反応に驚き慌て視線を外したリンに笑いながら呟く・・・彼女の手をとり背から運び笑った。

『頼んだ(笑)』
髪を洗いながら言った比嘉は、そっと視線を彼女に向けて眺めた。
迷うような動きは自分を余計に煽り、それでも焦るなと押さえた。

優しくシャワーの下へ二人で入り込む・・・離すなと自分の手に添えた比嘉の温かさに苦笑いだった。
そっと押さえてみれば、フッと笑う比嘉だと気づいた。

身をかえて口付ける比嘉・・・深く絡み付く事で自分だけが熱くなる気もした。

『ごめんなさい(笑)』
『(笑)触ってろよ』
『んー(笑)』
どうしようかと唸る彼女にキスをしたのだった。


どんな事でも静かに声にする・・・ならばと対策を呟けば、こうだったと彼女が声にする。
そうかと考えながら二人は話を続けるのだった。

ベッドで抱き込まれ眠るリンを撫でながら、静かに寝室の扉が開いていた事に苦笑いだった。

いいかと指を指した月野達に小さく頷きリンを眺める比嘉だった。

『マリア(笑)、習慣だから気にすんな・・・これが雫という場所だったろ』
『そうだけど・・・怖さは抜けなくて』
悲し気な目で見つめるマリアに優しく肩を抱く月野もいた。

『(笑)リンもだ・・・自分は特殊だった事は聞いてきても、全部が同じとは知らない。
だれも知らない中で自分探しもしてるし(笑)ここで生きる先があると思って居るだろ・・・』

『 ・・・』
『マリアとも一緒に生きると(笑)決めて来たんだから、全部を受け止めて全部を流して行こうぜ(笑)
リンと笑え・・・自分の為に生きてコウスケが笑えるように過ごせばいいだけだ』
『 ・・・(笑)』

言われて、確かにと思うのか照れた笑みに変わっていくマリアだった。

優しい笑みになり恥ずかしそうに月野の手を握り締める・・・そして優しくリンの髪を撫でたマリアは寝室から出ようと月野を促したのだった。

『コウスケ(笑)』
『ん?』
『(笑)激しさは押さえろ・・・』
『っ!・・・』

真っ赤な顔になったマリアを自分へ埋め込んで抱く・・・驚きながら比嘉を見返せば視線はマリアにあり・・・そっと触れ抱いた手の場所に頷く比嘉の顔に苦笑いだ。

視線をリンへ向け、比嘉を見返す・・・小さな頷きに口を引くと優しくマリアを抱き締め直した。

『(笑)リンが嬉しくて楽しくてって教えてくれたんだ』
『か、確認する』
そうしとけと頷く比嘉に照れながら静かにドアを閉めたのだった。

そっと自分を抱きながら呟くリンの言葉に本当かと顔を眺めた。
良かったと呟けば嬉しそうに頷き自分の事のように微笑んだリンだった。

それから自分じゃない事だったと謝り抱き締めたリンを優しく包んだ。

いつかと待つとだけ声にして気にも止めなかった比嘉にキスをした・・・本当は自分にも子供は欲しいのだろうと思えたのに、見えたのはマリアだった。

小さな子を抱く姿・・・照れた笑みで赤子を覗く月野の姿・・・何より羨ましそうに笑む比嘉の姿もあり・・・それでも産まれ出る先の事に微笑んだ。

悩んでいたマリア・・・欲しくても月野に謝り声にも出来なかった。
待ち望む人達の中で悲しむ姿は見せなかったマリアの姿は辛かった。

ようやく叶うマリアにホッとしたリンだった。



雫 22

2019-02-06 00:48:34 | 雫 ーしずくー

※ちょっとのちょ・・・


約束した場所・・・ようやく来れたと楽し気に眺めるリンの手を引く。
平日なのに人手は多く、マリアが吟味した服装で一斉に散らばる皆に苦笑いだった。

近場でも違和感もない・・・それでも交代で離れ 水槽を眺め見知る人に笑みが溢れた。

皆で来れた楽しさを味わうように、その空間を楽しむリンもいた。
マリアにも初めてだった事で、月野は静かに離れ二人で回った。

気付けば居ないマリアを心配したが、理由を聞けばホッとして辺りを眺め マリアにも誰かが そばにいる安心感がわけば比嘉の手を繋ぎ次へと促すリンだった。

ショーの途中で降りだした雨にマリアが驚く・・・気にも止めずに見ているリンの楽し気な顔にホッとした。

そっと比嘉の腕をくむリンに何だと笑むが指先まで絡めた事で見えたのだと悟った。

『緊急なら出るぞ・・・』
笑みキスをしながら耳元で囁いた比嘉の声にギュッと繋いだリンをみて自分へ寄せ抱き込んだ。
『言ってみろ・・・』
小さな声で彼女へ囁いた。

『青のニット帽の人が乗る車が1番目・・・次々と始まるから車は危険なの・・・置いて行けない?』
『新しく車は準備出来るぞ?』
『そこまで用意してた・・・』

『見るなと言ったろ・・・』
『優しい人だもの・・・女の人が泣いてた・・・防げないかな・・・』
『散らばれば危険は増すんだぞ?』
『少人数なら平気? 私は足手まといにならない?』

『なんねーよ(笑)。コウスケはマリアと帰す・・・時間はかかるが二人で帰るぞ?』
いいと頷くリンにキスを落とした比嘉は携帯を月野へ見せ電話をかけた。
詳細を話し仲間を散らす・・・


テツが仲間と駐車場へ行く・・・開けるふりはするが、すんでで止め笑いながら皆で引き返した・・・。
集まったのはビアガーデン・・・4~5人で飲み楽しんだ。

それぞれで帰っていく・・・全員が自由時間となり車は放置されたのだった。


街中のホテルへ泊まろうということになり別の楽しい時間が取れた事に嬉しくてリンは街明かりを眺めた。

背から抱き込む人に苦笑いをする。
『ごめんなさい・・・』
『いーや・・・助かった・・・ありがとな・・・』
『爆発してないよね?』

『大丈夫だ(笑)。車の下に変なコードが出てたらしくてな・・・隣に駐車してた人が気づいて通報したそうだ・・・』
『偶然かな・・・櫛川先生の姿が見えたの・・・一緒に巻き込まれてくのが見えて怖かった・・・』

『女は?』
『たぶん待ち合わせしてたんだと思うの・・・泣きながら車へ近寄ろうとしてた・・・本当にやだった・・・』

そう言ったリンは体の向きをかえて比嘉へ抱き付いた・・・起きてもいないが、そのままなら現実に起こる。

自分が見て体験する酷いさま・・・現実は起きてないがリンの中では激しく見せられる・・・その辛さは取ってやりたいのにと優しく彼女を包む比嘉のだった。

『ありがとな・・・
それと、ごめんな・・・辛いモノを見させて・・・怖かったな・・・』
『現実にならなくて良かった・・・泣かない人がいなくて良かった・・・』
『そうだな(笑)。だからリンも笑え・・・』

分かったと頷くリンの手・・・自分の背がギュッと押さえられる。
笑みながら彼女の手と同じように腰を抱き込むとベッドの端へ座り込んだ。

比嘉の膝へ乗った事で目線は同じになった・・・照れながら彼のクビへ巻き付けて抱き締め自分を安心させようと凭れていた。

フーと息を吐く・・・安心したのだろうリンに口を引いた。

バランスよく自分の膝に乗るリン・・・可笑しくて膝を広ければ慌て落ちると余計に捕まる・・・それでも楽し気で笑う彼女の息は首もとに注がれる。

閉じては開きと笑う比嘉に呟いた。
『ホッとしてた所なんだから遊ばないで(笑)』
『運動神経はいいな(笑)』

『落ちないように必死に頑張ってるの(笑)やめて・・・』
グッと開いた途端にバランスは崩れたが笑いながら抱き込み自分を支えた比嘉は楽し気だった。

暫く考えていたリンが笑み、自分から降りた事に驚いた・・・それから直ぐにベッドへ飛び乗り自分の背へ回ると抱くように腕を巻き付けた事に笑った。

『(笑)膝に乗せてくれんのか?』
『それは無理(笑)。
私もね・・・守れるよ(笑)、今回の事で思った・・・絶対に無理して見ないから・・・大丈夫って信じてくれる?』
『 ・・・』

『私には優しい雨だった・・・だから教えて貰える・・・助けなさいって・・・
言われてもいないけど(笑)偶然なら私には必要な人達を守りなさいって言われてる気もするの』
『だけどな・・・』

『ん・・・今回のはね・・・本当に焦ったの・・・怖くて咄嗟に誰が危ないって・・・思っちゃった・・・』
『それだけで見える?』

『見えたの・・・
前なら、どう回避すればって考えて・・・なら誰が危険だろって思ってから見えてたの』

フーと思い切り深く息を吐いた比嘉に驚いたリンが顔を覗き込んだ。
腕をあげて小脇に抱えるように彼女の顔を挟み込んだ。

笑っていた比嘉の顔にホッとしてジッと見つめたリンもいた。
『次はと自分からは見るな(笑)。今回みたいな偶然でいい・・・
それからな(笑)、またあるかもって外に出ないと決め付けんな』

『な、なんで・・・』
『自分がねだったから皆を巻き込んだとか(笑)思ったろ』
思ったと頷くリンに笑み返した。

『皆も楽しみにしてたんだ(笑)。
大人・・・男には行きにくい(笑)、行く理由が出来たから行けたんだ。
リンのお陰で行けたんだぞ?』
『なんで?』

『大の男が水族館に(笑)って・・・そうそう無いぞ?』
『本当?』
そうだと頷く比嘉をジッと見つめたリンに苦笑いだった。

苦しいと頭を腕から抜けとり背中へ張り付くように凭れた。
笑みながら比嘉は彼女が重ねた手を包むと彼女の温かさを感じた。


『(笑)そろそろ前に来ねーか?』
『 ・・・』
返事のないリンに苦笑いだ・・・彼女の手を眺め静かに離してみれば力なく自分の手から離れていく。

そっと眠る彼女を捕まえながらベッドへ寝そべってみた・・・気付いたのだろうリンが笑い始めた。

『あったかくて眠っちゃってた(笑)・・・ ・・・』
呟くリンの声に、だろうなと口を引いたが・・・まだ眠いのだろ寝息は直ぐに始まった。

そっと彼女の足を伸ばさせ・・・隣に寝そべった。




バスルームへ入ったリンが身を固めた。
服を脱ぎ・・・入ろうとした時、スッと視線が鏡へ飛んだ・・・背にあるソレ・・・赤い水玉模様のように数多くあり、それは前にもあった事に驚いた。

つついても痛くはない・・・これは不思議で・・・胸にあった場所を触ってみた。

『痛いとか?』
『痛くはないの・・・わっ!』
驚いたリンがヨロけ・・・慌て比嘉が体を支えた・・・転ばずにすんだとホッとした二人だった。

理由が聞きたくて指をさすが・・・気付いた自分の姿に両手で隠すような仕草をした。
笑いながら全部知ってると呟きながら彼女へキスをした。

『ギュッ(笑)って抱いてないのにな・・・』
惚けた声音で呟く比嘉の笑みに、そうだと頷くリンの照れた笑み・・・そっと近寄り指差した場所へ唇で触れた・・・そのまま優しく移動してチュッと軽くキスをする・・・彼女が見える場所に新たな花は咲いた。

気付かないリン・・・見返せば自分を見ていた事に笑み・・・
『舐めるのやめて(笑)』
チュッ・・・・

新たな音に苦笑いだ・・・そして花の意味を理解した・・・真っ赤な顔のリンになれば、優しく頬へ触れていたが彼の唇は離れずに撫でるように触れていった。

彼の手は腰にあり抱き込まれた状態で、疼き始めた自分の身に戸惑った。

鏡に写る自分の姿に煽られていく・・・その身が恋しいと酔いしれていく比嘉・・・身が焦がれる意味を知った。

既に忍ばせ浸る音・・・自分を支えるだけで精一杯だった・・・壁へ押され身を支える・・・担がれた足が震える・・・

初めて味わうような自分の身に怖くなった・・・彼の声が優しく聞こえる。
大丈夫だと言う囁きは温かく染み込んだ。

力が抜けていく・・・全てが離されないままに床へ辿り着く頃には朦朧とし始めた。
自分が愛しい人が求める行為・・・そんな意味で教えてくれた雫の声がした。

- 貴女が愛した人なら自分を預けられる・・・恋しいと思う気持ちは幸せって事よ・・・ -

だから大丈夫だと言っていた・・・足に触れ巡らせている彼の手・・・全身へ運ぶ熱さは彼にだけだと思えた。

自分の名を囁く・・・彼女の声音は優しく響いた・・・深みへ・・・より深く追い込む自分に苦笑いだ・・・その漏れる声を聞きたくて離せずに求めた。

より深く口付ければ反応は早く自分をも追い込む・・・煽られていく自分もいた。

運んだ場所から唇だけは彼女へ巡る・・・・辿り着いた彼女の唇が微笑んだ・・・重ね絡ませてみれば、より熱く自分の方が昂った。

グッと耐える・・・より身近で浸りたくて沈み込む・・・優しくゆっくりと・・・
仰け反り始めたリンに笑み、深みへ引き摺る・・・漏れ出る声音は柔らかで・・・焦れったい疼きは高みへ運ぶ。

吐息と共に囁かれる自分の名・・・より愛しくて彼女を見つめた・・・視線は重なり互いの唇は微笑んだ。
駆け巡り始めた熱さは二人を包み込んでいった。


目覚めてみれば自分の身は軋む事に驚いた・・・それでも隣で眠る比嘉の姿があり嬉しくて寝返りしたリンがいた。

寄り添うように身をゆっくりと比嘉へ寄せる・・・触れた温かさに笑み彼へ腕を回して新たな眠りへついたのだった。

自分へ添うように寝始めるリンに苦笑いだった・・・激しすぎたと焦ったが、そこは気にもならなかったようで自分から身を寄せ眠り始めた。

張り付くように触れたリンの肌の温かさを感じた。
自分の名を囁く声は何度聞いても心地好く・・・呟くのは無意識だろうと思えたが、自分だけに預けてきた彼女がより愛しかった。

舐め尽くす勢いは自分でも止められず、可笑しくても続けていく自分だった。
ちゃんと自分へ返すほどに煽られヤバいと・・・落ち着けと言い聞かせながら続けてもいた。

心地好すぎて焦る・・・一瞬で弾けても貪るように止められもしなかった自分には苦笑いだ。

初めて触れるかのように大事で愛しい存在になっていた彼女・・・髪をすいて眺めれば微かな笑みを浮かべ安心したように眠るリンがいた。

暫くして静かに笑いを堪えた月野が入ってきた。
自分の居場所に呆れ腕をくんで見下ろしていた。

丁寧に彼女の口許まで布団を被せ直した比嘉に呆れた・・・どれだけ求め、どれだけ無茶をしたのかと比嘉を観察する。

苦笑いをした比嘉と分かれば出ろと促す月野は静かに戻って行った。

時間なのだろう・・・仕方ないと彼女にキスを落とす・・・何だと寝惚けた顔で返すリンに微笑んだ。

『俺の仕事が出来たらしい(笑)。大丈夫だから寝てろ』
『(笑)いってらっしゃい・・・』
小さな響きの声に口付ける・・・笑みを浮かべた唇が呟いた。

『後でいっぱいして(笑)』
『 ・・・』
笑いながら言った彼女を抱いて、出掛ける準備だと比嘉へ微笑んだのだった。



雫 21

2019-02-05 00:29:29 | 雫 ーしずくー




タクシーから降りた人はリンだった事に驚く人達・・・パッと嬉しそうな笑みに変わり、家の扉は開かれた。

笑いながら近付けば、勢いよく門の扉は開かれ中へと促される・・・数多くの笑みの真ん中を謝りながらリンは入っていった。

月野とマリアがホッとした顔になる・・・

『リンが探してる人は寝室で(笑)ふて寝してるの。だから元気をあげて来てくれる?』
『ありがとう(笑)、それと・・・これからも頑張るから一緒に生きてくれる?』

『了解(笑)』
『ここに(笑)フォーザは居ないわ』
『(笑)おっけ!』
ありがとうと抱きついたリンに可笑しくてマリアは抱き込んだが、早くと引き剥がす月野は寝室へ行けと声のない笑みで促した。

わかったと頷くリンは歩き出す・・・最後の扉・・・寝室へ入れば、静かに扉は閉じられていく。
その音は幾重も重なる・・・全てのドアが閉じられたのだと分かり苦笑いだった。

穏やかな寝息に笑み、静かに隣へ寝そべり比嘉を見つめた。
そっと頬へ触れ・・・彼の唇にキスをした。

『足りねーよ(笑)』
唇から離れた途端に呟く彼の声に笑み返す・・・

『(笑)ただいま』
『遅せーよ(笑)』
『向こうからも(笑)追い出されちゃった・・・』
呟くリンを抱き込む比嘉は素早く服を脱がしていった。

驚きしかない・・・彼もまた何も着ていない状態だったから・・・余りにも驚き、されるがままのリンに笑う比嘉は優しく包むと布団の中へ引き込み抱き寄せた。

『(笑)あったかい・・・』
『(笑)雨よりも?』
『みたい(笑)、熱くなる事が恥ずかしくて・・・んっ!』

自分から聞いたくせに返事を聞く事もなく撫で巡らせていく比嘉の手に驚いた・・・それは唇までが触れ始めれば、途端に自分の中が熱くなりだした。

可愛い唸りは熱い吐息へ代わり、それだけで昂りは一気に走り出す・・・
待ち望んだリンが恋しくて苦笑いだ・・・こんな自分にも焦がれる想いは持っていたのだと。

事の終わりに照れながら彼を見つめていたリンに苦笑いだ・・・
『何を思ってそれだ?』
『 ・・・(笑)』
『思い出したから(笑)同じ服を着て帰った・・・(笑)とか?』

驚いた・・・クローゼットで見つけた服・・・初めて比嘉が買ってくれた服だった事を思い出していたから。

それを着てトウヤと雫に会った・・・着替えて帰るか考えていたのに会いたい気持ちが先にたち、そのままで帰ってきた。
帰りのタクシーの中で思い出していたばかりだったのだ。

『ん?違った?』
『(笑)それは考えてた・・・』
『今は?』
『(笑)ふと自分が考えてた事なのに、何で気付けるのかなーって。そんなに顔にでてるのかな(笑)』

『(笑)愛した顔だから?』
『帰りのタクシーで思ってた(笑)。
帰るとき(笑)フッてハルが現れたら、会いたくなって・・・着替えて帰れって言われたけど(笑)これでいいって・・・』

『思ったわけだ(笑)』
そうだと頷くリンにキスをした。
『で?』
『んー買って貰った服だと気付いたら(笑)・・・その頃を思い出してたの。
だからかな(笑)早く着いた気がしたかな』
微笑むリンを笑みながら眺めた。

『買うなって言ってたな(笑)』
『持ち運びは大変だから(笑)』
『あー(笑)そんな話もしたっけな』
『(笑)そういえば、あのお家はどーしたの?』

『(笑)より頑丈にして作り直したぞ? 来年から住む予定にしてたが・・・(笑)行くよな当然』
行くと笑み頷くリン・・・
『これから(笑)・・・リンは何をしたい?』

『んー・・・・・』
比嘉に聞かれ考え始めるリンに可笑しくて笑みを浮かべながら見つめた。

『遊園地とか・・・水族館?(笑)そこに行ってみたい・・・行ってきてもい?』
『 ・・・』
『一緒に・・・行ける?』
大人は行くのかも知らないリンだからか、大丈夫かを聞く姿に笑む比嘉だった。

『行ける(笑)、それでも直ぐは無理だ・・・待ってろ(笑)
マリアとフウカを誘って行くな(笑)』
一緒だという比嘉に笑み頷くリン、彼女にキスをした比嘉は自分へ乗っていた彼女の腕を撫でながら微笑むのだった。

身を返してリンを見下ろす・・・撫でられた髪に笑む・・・優しい手と分かる・・彼の手・・・

大きな横断歩道・・・驚いたリンが眺めていた時、ふいに自分と手を繋いだ比嘉の手は優しく・・・自分の手を繋ぎ止め絡ませた温かな彼の手を思い出していた。

『(笑)どこに飛んだ?』
『横断歩道(笑)。大きくて驚いた私の手を繋いで渡った時の事(笑)』
『何でそこ?』

『(笑)髪を撫でた手を見たから』
『あー(笑)』
なるほどと思いながらも、その時の事を記憶から探していた。

『(笑)皆が楽しそうで・・・嬉しそうで笑ってたね・・・』
『それは俺に笑ってたんだ(笑)』
『なんで?』
『 ・・・(笑)子供のお前と手を繋いだからだ・・・』

『(笑)そっか・・・普通はしないもんね。小さな子じゃないし(笑)。
でも温かくて嬉しかったの・・・最初は驚いたけど(笑)』
くすくすと笑うリンにキスを落とした・・・何だと眺める彼女に笑み口付けた比嘉もいた。

『可愛くてだ(笑)』
言われ照れながら、そうなのかと見返すリンもいた。

見ていないで寝ろと促すリンが可笑しくて笑う比嘉・・・ギュッと抱き付けば彼は押し潰さない程度に身を重ねた。

巻き付く首もとに笑み、眠たそうな顔だと笑う・・・愛しさは静かに自分へ染み込むように浸った。


目覚めれば笑っている比嘉がバスルームへ連れ出す・・・中にあった鏡に写る自分の体に驚いた・・・

体を揺らすほどに笑いながら洗っていた比嘉・・・何でと指をさした場所には花のように赤く咲いていた。

『んー(笑)不思議だよな・・・』
そうだと頷くリンだった事で余計に笑う比嘉もいた。

そっと背から触れた比嘉はリンを洗い出すと 恥ずかしそうに自分へ背を向けていく姿が可愛くて、ゆっくりと丁寧にと泡を出しては撫でていった。

『(笑)すけべ親父みたいよ?』
『何か知るのか?その意味(笑)』
『んー・・・ほんとは入院した時に看護師さんが(笑)先生に言ってた言葉だった・・・(笑)でも使い方はあってるでしょ?』

『 ・・・・・(笑)おばさんクラスの?』
そうだと頷くリンだったが、本当に使い方は合ってるのかと確認したくて比嘉を眺めていた・・・可笑しくて可愛くて笑みの耐えない比嘉だった。


湯槽へ浸かり出せば自分を離さない比嘉・・・逆上せそうなほどに熱くなる自分に焦り背中側にいる比嘉の首を捉えて身へ凭れた・・・

湯の中で捉えられた自分の状態は可笑しいのかと恥ずかしくなった。
『ハル・・・』
『ん(笑)、イッていい・・・大丈夫だから・・・』

『ハルっ・・・』
『(笑)俺がいるだろ・・・大丈夫と信じとけ』
分かったと、やっと頷けたリンの吐息が溢れていった。



ベッドから外を眺めるリンに気づく・・・怠く動けないと苦笑いをしながら寝そべった。
耳を澄ませジッと雨音を聞き入る彼女だと優しく抱き締めた。

背にいる比嘉に笑み、抱き締めてくれた優しい手を感じながらも外から聞こえる音に耳を傾けた。

少し前から聞いていた事を知る比嘉が窓を開け放してくれていた・・・だから近く感じる音が聴こえるのだ。

屋根はせり出しているので中まで濡れる事はない様子にホッとして眺めた。

優しい響きは変わりないと眺める・・・そして温かい雨なのだろう優しく降る雨だった。

身動き一つなくジッと雨を見つめていた事で本当は呼ばれているのかと焦った。

それでも行かないのは自分のせいかと思え・・・もしかしたらとリン自身で試されても余計に自分は怖くなる。

無意識にか彼女を抱き止めた自分に苦笑いだった・・・雨の音を感じるように聞きいる・・・響きは優しいのだろうリンに笑みが溢れた事に気づいた。

笑みを浮かべたまま眠りへ入り込んだ彼女をより近付き抱き込む・・・

『生きると決めたの(笑)だからね・・・私は消えないと思うの・・・頑張るから信じてくれる?』

小さな呟き・・・それは自分を心配しながら言っているのだと分かる・・・言いながら振り向き身を自分へ向けて見つめながら言っていたから。

『分かった(笑)リンは気配も感じ取れたのか・・・(笑)』
見返し笑みを浮かべた比嘉が呟いた。

『いっぱい愛してくれるのは私が消えそうだから?』
『(笑)お前を抱きたいからだ。抱きすぎたら(笑)消えるとか?』
『(笑)聞いてみるかな』

『 ・・・』
『(笑)あはっ・・・』
驚いた顔になった比嘉が可笑しくて笑うリンに苦笑いしかない。

『(笑)あの雨は優しいの・・・心地好くて眠れって言われてる気がする・・・
だけどハルは熱いから(笑)寝にくい』
『 ・・・』

『(笑)本当は温かいから嬉しいんだけど・・・』
『(笑)なれろ』
『分かった(笑)頑張ってみるね・・・』
そう言ったリンは静かに眠り始めた・・・




ふと気づけば窓際に佇むリンに驚いた・・・遠くを見つめる姿だった・・・
特別な力・・・リン自身がそうなのだろうと思えたが・・・そうかと思えた自身に苦笑いだった。

もともと特別な力はあった・・・その力があってもなくても構わない自分だったと思えたのだ。

いつか消える・・・その事だけで自分に恐れを抱いた・・・本来のリン自身を否定してしまうと思え口を引く。

ならば隣へ戻ったリンを愛せばいいと不思議と自分自身を切り替えて思い始めた事に可笑しくて苦笑いだった。

彼女の片足が前に出た姿に口を引いた・・・ストンと気持ちが落ち着けたのか前に起きた変な緊張はなかった。

静かに舞い降りる中へ入り込む・・・
暫くして自分の居た場所に驚いたのだろうリンの姿があった。

勢いよく振り向く・・・驚いた顔のリンの姿が出来上がれば、比嘉には可笑しくて笑えた。

振り向けば笑っている比嘉の姿があった。直ぐに笑い出す彼に苦笑いしかない・・・それでも、それが自分だった事に改めて気付けば比嘉は自分を本当に受け入れてくれていた事に嬉しくて見つめた。


窓際に来れば笑みながら両手を広げ待っていてくれた比嘉に、嬉しくてリンは その間へ入り込んだ。

ギュッと抱き締め自分を見つめる眼差しは本当に優しい目だと感じ彼を愛した心は温かくなった。

『冷えてないが(笑)風邪は引く。着替えないとな・・・』
『じっ自分で出来る!』
『んー待った褒美に俺が着せてやる(笑)』

リンの反応が楽しくて笑いながらクローゼットの前にたつ。
自分でするのにと照れたリンは彼の顔を見つめる・・・どれにするかと楽し気に眺める比嘉の姿に微笑んだ。

『これでいい(笑)』
指をさして呟くリンに、こっちだと選ぶ比嘉・・・そうかと納得した彼女は着替え出したが・・・

『(笑)それも俺がする』
『ん?着替えって・・・』
言う間に脱がされ結局は 着せて貰うはめになった。

『(笑)慣れてるね』
『(笑)お前にだけだ』
互いに可笑しくて笑いながら楽しむ二人の時間になった。




雫 20

2019-02-05 00:13:21 | 雫 ーしずくー

比嘉が防げた事はマリアからの電話で知った・・・良かったとホッとするリンだった。


ココで暮らし始めてから、働いていた家政婦・・・必要ないと声にすれば翌日から来なくなり、代わりに警備という人が3人 自宅へやってきた。

交代で中と外を出入りし自分だけではなく家ごと見ているようだった。
リンが掃除を始めれば庭から眺め、視線で警護をする・・・常に視線は自分にあったが、慣れたリンには気にもならない事は警備する彼らがホッとした。

何より庭で訓練を始める人達だった事で逆に見学と不思議そうに眺めるリンもいた。
訓練後のシャワー・・・それは交代でも入るが終わりの掃除までしてくれる事に感謝した。

暇潰しは午前中で終わる・・・あとは、のんびりした時間になる。
殆んどは本を読む・・・昼寝をしたりと自分の時間を楽しんだ。


珍しく・・・朝から降りだした雨は、時に強く・・・時に風に舞うほどの柔らかな雨に変化した。

優しく響くような音が鳴る・・・
いつも聞いていた音・・・今は悲しく聞こえ焦るように飛び起きた。

何故だと眺めるリン・・・暫く考えていたが、彼女は迷わず部屋から庭へ・・・雨の中へ入り込んだ。

駆け出して来た人達へ向き直し来るなと止めた。
驚いた顔に笑みながら呟く・・・

『大丈夫です(笑)。少し雨に浸りたいので・・・離れて見てて貰えますか?』
『 ・・・』
リンに言われて驚くが、様子を眺めながら後退し彼女を見守った。


-近いの?-
-そう思うの?-
-音が悲しく聞こえたから-
-そっか(笑)-
-会いたい・・・-

-ん・・・迎えを出したわ・・・-
-今、後ろで・・・-
-私がしてみる・・・眠ったら出てくれる?-
-(笑)分かった・・・-
フーと息を吐いたリンは笑みながら彼らへ謝り部屋へと入り込むのだった。



繋がらないリンの携帯・・・比嘉は月野へ言いマリアへ様子見にと頼んだ。
中へ入れば眠らされた彼らがソファーへ凭れ座った状態だった・・・リンが寝ていた場所には置き手紙があり、自ら出たのだと知った。

=会ってくるだけだから、心配しないで・・・ごめんねマリア・・・携帯が途切れると思うけど・・・我慢してね。

たぶん誰も入れないと思うから・・・動かないでね・・・万が一そこに手が伸びても困るから・・・=

その手紙を写真に撮ったマリアは比嘉へ送り、迎えに行かないように頼み込んだのだった。


驚き動けなくなった比嘉・・・本当に自分から行ったのだと力が抜けて行きそうだった。

行こうと思ったが、その後の事で身動きも出来なかった・・・自分が行けば雫の存在は未だあると知らしめてしまう。

何より継ぐはずのリンは記憶と力を失った事になったのに見張りは消えてもいなかった。

その中でリンが向かった・・・雫の力を使って行ったのだろうと思えた。

狙い拐ったなら警護していた者達が寝かされている事はない・・・家の中も争った様子はない・・・本当に呼ばれ自分から家を出たのだと思えた。


交替のように手が空いた部下まで、比嘉の家へ集まってきた・・・何度も謝りながらだった事に苦笑いだ。

何より駆け付けたのは、前にリンから助けて貰った時の部下達だけだった事に気づく月野・・・大丈夫と諭しても、気になると二人へ謝りリビングの端へ座り込んだ。

何も出来ない事は知る・・・それでも比嘉のそばにいたいのだと思え月野は了承し中へ皆を入れた。
比嘉は気になり過ぎ落ち着かなかった事で月野が寝室へ連れていき寝かせた。


『寝れねーよ』
『だろうな・・・それでも、体が動けなくなっても困るからだ』
多少は違うと諭して休ませた。
開け放ったドア・・・その様子は想像も出来、昔に戻った気がした。

話す事はないが、比嘉の近場で待機する・・・何か計画していなくても、 もしもを考え比嘉の自宅で過ごしていた。

リンが来てからは遠慮していたのか、手前の場所までしか入らない・・・奥の本当のプライベート空間へ足も入れずに回りを守る。

それでも時々は間にある扉を開け放ち、比嘉に言われた月野が空間を一つにしていた。
そして今・・・その状態にした月野がいた・・・それは比嘉の寝室の扉まで・・・

滅多に開かない扉・・・それは本当の緊急事態のような気もしていたが、皆はいつものように過ごした。


誰かがいる空間・・・
その音が懐かしく心地良い事に苦笑いだった・・・自分一人ではないという音・・・共にする・・・共に過ごしている・・・そう言いたい音のようで嬉しくもなった。

それでもソコに彼女はいない・・・大丈夫と祈る時間の始まりのようだった。

こんなに・・・彼女へ向けた思いが自分に多くあったのだと気付かされた気がした。

女性というよりは女の子と言った方が彼女に当てはまる・・・声にして余計に意識した自分に苦笑いだった。

子供という言葉を意識して言った・・・それは自分へ言い聞かせるように・・・考えろと迷うなと、女というより子供だと思えと言い聞かせる。

不思議と・・・それは出来ずにいた自分に可笑しくて、余計な考えさえ沸き起こった事に苦笑いだった。

一人の・・・女という彼女を愛したのだと自分で気づいてからは、手にしたい衝動が始まった。

力があるからという執着・・・物珍しさと自分への言動・・・それで彼女から受ける全ては自分だけにという思いからなのかと考えた。

力がなければいいのに・・・そんな思いが過った時・・・彼女を求める自分の気持ちが先にたち、リンという女を愛し始めた。

目の前に・・・そばに居てくれるだけでいいとさえ思えた・・・力をもつ彼女を欲しがる人達から離す・・・それは、どうしたらいいかと考える日々もあった。

自分で決めたのに戸惑う・・・それでいいと思えた自分が居た全ての・・・自分の言動に違和感さえ覚えた・・・

それでも、最後に自分の元へ来た彼女が愛しい存在だったと改めて実感する自分には苦笑いだった。

今度は自分の知らない間に消える不安・・・こんな自分がと笑うしかない。
ナイフや銃よりも怖くなっていた自分が居たからだ。

大丈夫と安心をくれる彼女・・・心の奥底から願う事でもあったというリンの笑み・・・

そういう女を愛したのだと自分へ言い聞かせる事しか今は出来ない・・・
納得もするのに違和感は残る・・・自分で決めたのに自分で揺らす・・・

駄目だと否定する何か・・・それは自分の居場所からも揺れていく・・・

どこかで力は残されていると信じたい人達は減らなかったが、彼女自身で何かをしそうな・・・それがリンの本当の姿のようで・・・怖いと感じる自分の思いを知るリンだから、深く踏み込まないのだとホッとした。

自分の為に・・・その辛さを強いているのかと戸惑う自分がいる。
だからなんだと撥ね飛ばせる声は出来るのに、それは自分へ言い聞かせる言葉だったりもする。

戻れと願う・・・それしか出来ない自分と分かるから・・・そう思った時、少し前の出来事を思い出した。

-愛してるみたい・・・-
-ハルの声がしたから・・・-
-大丈夫って言って・・・-

リンの声音の優しい響きは自分の中で柔らかく聞こえた。

そうだったと苦笑いだ・・・自分から言った・・・愛してると・・・リンが持つ強さで自分は助けられていた事にも気付いた。

「(笑)待ってるから早く帰ってこい・・・・。遅いと迎えに行くぞ!」
比嘉の心の中でリンへ呟く・・・こんな自分もいたのかと笑うしかない。

それでも、今の自分の本音だと口を引いた比嘉は暇だと眠りへついたのだった。



・・・・・・・

その声音の響きに雫とリンが微笑んだ。
何だとトウヤが眺めれば、雫は丁寧に教え3人で笑った。

『(笑)子供のように真っ直ぐな男だったな』
トウヤが嬉しそうに呟いた。
『リンを(笑)心から愛したから・・・』
『だな(笑)』
二人の会話に照れで交ざれずに見返すだけのリンだった・・・

『自分が決めたなら(笑)、それはリンの生き方で それが合ってる(笑)だから力も消えなかった』
『本当に消えるのか不安って生き方になっちゃう・・・その辛さは取ってあげられないのよ?』

『だな・・・でもそれでいいと彼はリンの隣を選んだ(笑)、一緒に生きていくと自分でも誓ってるだろ・・・』
『そうよ(笑)』
『(笑)自分から見なくなったからか弱くなっていた雫さえ大丈夫と思えるくらいにはなってるぞ?』

トウヤの呟きに本当かと雫を眺めれば、笑みは深く見返され嬉しくなった。

『なら、何が消えたの?』
『 ・・・』
『(笑)力が消えたんだね・・・だから連絡が出来なくなった・・・』
想像だと呟くリンに笑うトウヤが声にする。

『(笑)リンを呼んだし眠らせてるぞ?』
『あ・・・・』
そうだったと笑うリンに優しく微笑む二人もいた。

『本当に消えそうな悲しそうな音だったの・・・だから・・・日が近いのかと思った。
飛び起きたくらい怖かったの・・・』

『きっと・・・何かが終わった音なのかも(笑)。
リン(笑)・・・私ね、外へ出れたわ・・・晴れた日に出てみたの・・・』
『なんか怖い・・・』

『そうね・・・だけど大丈夫だった・・・使わない力は消える・・・これは真実だった・・・だから本当に消そうと決めたわ(笑)大丈夫よ心配しないでね』

『もう(笑)大丈夫だから・・・
気にするなと言いたいが(笑)それは出来ないんだろ・・・』
『ん・・・
見れてホッとした自分がいたの・・・』

『彼の身に?』
『そうなの・・・だけど雨の中には入れなかった・・・駄目って彼の声がしたから・・・だから余計に怖かったけど・・・大丈夫って前に聞いた彼の声も聞こえてきて・・・』
『 ・・・』

『その時の事は覚えてないけど(笑)もしかしたら自分に都合よく覚えてたからかも。

だけど不安だった・・・手に雨が触れた時・・・温かで(笑)それが心地好くて・・・見始めた自分にも不思議と怖い気持ちは残ってたけど・・・危険な場所から離せる事の方が嬉しかった私だったの』

『彼に言ったのか?』
『言っちゃった・・・私が消える事だけ心配してた・・・』
『無意識に雨の中には?』
『最近は彼の声がするから(笑)、自分で止められてる気もしてる・・・』

『リンも彼を愛したからね(笑)。良かったわ・・・(笑)幸せな場所が出来たね』
『不安と・・・辛さと・・・』
『(笑)リンが迷わずにいたら大丈夫よ・・・』

きっとと笑う雫の笑み・・・確かにと笑み頷くトウヤをみて、本当だろうかと悩むリンもいた。

『リン(笑)』
『はい?』
『(笑)迎えに来られたら、俺達が大変なんだけどな・・・』
『(笑)ふっ・・・』

『会えたから十分(笑)、トウヤと二人だけの時間が減ってきたかな』
それは楽し気に呟く二人に驚きながらも照れたリンだった。

『(笑)帰れと』
『確認はすんだろ(笑)。俺達はリンの顔を直接(笑)近くで見たかっただけだ・・・』
『また呼んでくれる?』
『会いに行く』『会いに行くわ』

二人の声が重なり同時に笑みが溢れた事に嬉しくてリンの頬に涙が伝い始めれば、焦るように頬を拭き苦笑いをしながら自分を抱き締めてくれた。

『(笑)あったかい・・・』
『だな(笑)』『そうね(笑)』
『雨も同じ(笑)あったかい時があるじゃない?(笑)・・・一緒だね。

嬉しい恵みの雨だから恩恵に預かれた・・・受け取れたから私は生きて来れたんだね、きっと。
人の心と同じく出来るのが雨(笑)』

『確かに(笑)優しい雨と同じ位、激しくても温かい雨もある事は知れたわ・・・』
『(笑)答えは自分の中にあった・・・
これからは彼と二人で答えを探せばいい・・・』
出来るだろうと呟いたトウヤの笑みに頷くリンだった。