tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

Precious -11

2023-09-12 00:17:56 | Precious



思いのほか話しやすい人だと思う自分に苦笑いだ・・・茶化しては誤魔化す人だと思っていた。

返事はと濁すのも逆に探られている気がしていた・・・そういう素振りと思っていたから。

マウレアの情報が抜かれるかと身構え慎重に話してきた・・・似たような人がマウレアの中が知りたくてプライベートにまで近付いて来た事もあったから。

アサヒという彼も特殊な職業で自分達と似た仕事までする・・・同業者に伝わりそうで関わりは避けてきた。

今回は断り続ける自分に呆れていたアキ、また誘われたなら受けて話してから決めるよう言われていた。

確かに最後の最後で頼む場所だ、なによりマウレアの客は喜ぶ事で自分達は助かる・・・

詳細まで伝えた事はない・・・こんな場所はと呟けば、聞きたい情報まで調べ運んでくれた。

マウレアはドレスだけを売る・・・手を伸ばせば助けてくれる場所は自分達には必要だった。

滅多にないオーダーメイドは数多く出る事もない・・・久しぶりだと思えば海外からで・・・それはオーナーが探したり知人だと依頼が来ていた。

仕上がりはアイリ次第・・・今のところは回せているが先は分からないし自分の腕しだいと思う事に戸惑う。

アサヒとの会話でドレスの話はでるがオーダーし受けた話はすれど細かな部分へ話が向かう事はなかった。

互いの仕事の話は僅かに触れるが殆どはアサヒという彼の話・・・エリンという自分自身の話、そして自分達の仲間の話だけだった。

疲れない会話でホッとする自分にも気づいた・・・何より気を使ってくれるアサヒに苦笑いをした。

社を纏める部分でも似たような愚痴が互いにでるが笑って話を変える・・・互いに他の言葉は必要なかった。

聞き流せば助かると呟くアサヒに苦笑いをする・・・話題もつきない彼に謝った。

『(笑)それは、どんな理由で?』

『・・・(笑)深く話せば疲れるのは同じでしょ?・・・そうならないよう気を使って話してくれるから(笑)嬉しくて・・・アサヒさんも言いたいはずなのに私だけ・・・』

『・・・(笑)自分がそうだし。なら俺も 謝ら』
『いいえ(笑)。必要ないわ』

『だから(笑)、それは俺もだし声もいらない事もある。
んー・・・なら(笑)今の時間みたいに食事をしないか?仕事から完全に解放した自分の時間を作る(笑)それを一緒に・・・』

『・・・』
『楽しい食事をエリンさんとなら(笑)出来ると思えたからだ。楽で(笑)疲れる事もないから・・・(笑)おっけ?』
『・・・おっ』
『(笑)良かった』

『(笑)ちゃんと』
『分かったさ(笑)・・・オーケーしてくれたから嬉しかっただけだ(笑)
・・・違ったか?早とちり?』

『(笑)いいえ。私も仕事のように頭を使って話をしたくなかった(笑)。楽に話せた事で私も楽しかったし』
『・・・(笑)良かった』

優しい笑みを浮かべるアサヒ・・・マウレア社長という自分と食事をしていなかった彼にホッとした。


想像した彼女だった事にホッとした自分に苦笑いだ・・・この食事で自分との間に壁を作られそうで怖かった。

マウレア狙いだと思われそうで不安はあったが彼女と話をしてみたかった。

仕事付き合い・・・そうではなく一人の自分・・・アサヒという自身だけを知って欲しかった。

初めて会った時・・・頭がきれる人だと直ぐに感じた・・・それでも不意に見せる笑みや視線は優しかった。

声一つで感じとり話を繋げる・・・先回りした会話や仕草での笑みは柔らかく近場で見たくなった。

仕事もプライベートも別の時間で区切れる人だと思った・・・容姿も言動も自分が好む人だと感じた自分。

だからと話せば確信に自分で変える・・・それが分かる自分に可笑しくて笑えた。

彼女と話ながらも頭の中では、ほらなと喜ぶ自分に気づいた・・・嬉しくて・・・より弾む自分の中を落ち着かせた。

楽しい時間は過ぎていくのが早いのだと久しぶりに思い出す自分に苦笑いだ。

彼女を送りたくて酔い覚ましに車を置いた場所まで歩いた・・・後ろ髪を引かれる。

そこまで思う自分に笑いながら歩いたが、すれ違う人が僅かに自分から離れ・・・可笑しくなった・・・変人に見られたようだと・・・

家へ戻ればカズサが笑う・・・恥ずかしいが早く寝ろと促され、照れは捨て置く事にした。




久しぶりに飲もうと友人に誘われたハルトとイツキ・・・キャンプ仲間にもなった彼らの内の一人・・・佐川タクミが営む居酒屋に向かう。

行ってみれば及川達の飲みは始まっていて笑えた・・・互いに笑い直ぐに楽しい飲み会になった。


佐川タクミと及川サクヤは幼馴染みだった・・・そのサクヤは警備会社に勤務していたが、そこで知り合ったのがハルトだ。

もう一人は須藤マサキ、その須藤とハルトは学生からの付き合いだった・・・似た趣味を持つ事で親友になった。

ハルトもまた警備会社にいた・・・偶然にもマサキが居て・・・そのマサキの友人で及川サクヤと知り合った。

サクヤに誘われ飲みに行き佐川が営む居酒屋で知り合ってからの付き合いだ・・・その偶然はイツキにまで伸びたのだった。


サク達とはまた別の親友という仲間は兄弟のようで騒ぎ楽しむ仲間になった。

多種に広がる情報も時に貰う・・・そして逆もあった・・・マサキの好きなキャンプはハルトも好んだ。

そこで次々と広がる知り合いは増える・・・仕事へ繋げるイツキは謝りながら始める事もあった。

ならばと友人からの声で請け負う事もある・・・密かに助け合っても来たのだ。

ピッチの早いサクヤに皆が笑う・・・苦笑いをしたサクヤは声もなく見守るだけにした彼らもいた。

それでも飲み過ぎる・・・どうしたとタクミへ指さし眺めたが、苦笑いだけの彼に何だとサクヤを見た・・・酔いは早めたのかサクヤが静かに眠り始める。

グラスに水を入れ運んできたタクミが皆へ苦笑いをして座った。

『どうした?』
『なんで、こーなってる?』
『タクミも知ってるのか?』
『ん・・・』

早く言えと促すハルトに苦笑いをしたがタクミもまた黙ってサクヤを眺めるだけだった。

仕方ないと苦笑いしているタクミが話を始める。

『(笑)この数ヶ月さ、サクヤ達の警備対象が犬なんだとさ』
『・・・』『はぁ?』

『社屋とかの警備から別に(笑)上から命令されて、そこで今は仕事をしてるらしい』
『マサキも?・・・』

『・・・珍しい犬種を数頭飼ってるらしくてさ、数ヶ月前に狙われたからだとさ・・・
ほんと・・・楽な場所に配置換えを頼んでもダメだった』

『班長は?』
『上から言われて渋々(笑)、何言っても暫く我慢だと取り合わないらしい』
『それ・・・は、なんでだ?』

『なんで犬が盗まれないように見張る?』
『(笑)ブーム』
『・・・ん?』

『珍しさは高値で売れてる、盗まれた犬は転売されてるらしいが』
『捕まってない?』
『ない・・・警察が時々(笑)一緒に付くから面倒なんだよな・・・』

『『・・・』』
『仕事の幅が広いな(笑)お前らのとこ』
『・・・』
タクミに言われマサキが苦笑いをしたが声もなく黙った・・・

『犬の種類は?』
『・・・』
『いや・・・珍しいって言うから何犬かと思った・・・から・・・』

『・・・あ・・・』
不意に言い出したハルトを見返したイツキだったが思い出した事で声が漏れた。

『何だ?』
『イツキ?』
『・・・』ハルトが押し黙る・・・
『ハルト・・・』

彼を呼ぶイツキに理由が知りたくて見返す彼らに苦笑いをする・・・照れた笑みが うつ向けば微かに笑うイツキだった。

『(笑)・・・知り合った子の犬も珍しい犬種たから、知りたくなったんだよな(笑)ハルは・・・(笑)』
『何ていう?』

『・・・ウルフ・・・ハウ・・・』
『アイリッシュ ウルフ ハウンド』

うつむきながらも即座に答えたハルトを眺めイツキを見れば、驚いた顔でハルトを見ていた姿に笑うタクミだった。

『・・・(笑)これは一目惚れしたハルトの呟きなのか?』
『おい!』
『『(笑)あー・・・』』

ハルトを知るだけに直ぐに気づいた彼らも可笑しくて、慌て見返したイツキだった。

『・・・・あ、そんな名前の犬もいた・・・
確か、大型犬だろ?白で毛がフサフサした・・・』

『そんなに長くもないぞ?』
『(笑)分かるさ。くせ毛みたいにカールしたのもいたし』

『それが盗まれそうになった?』
『(笑)重さでだろ。他の犬が吠えて気づいたらしいから』
『・・・』

『何で、その犬は吠えなかった?』
『眠らされたようだ・・・』
『あー、なら大丈夫だな(笑)』

思わずだろうハルトが呟き安心したように飲む姿に、イツキが笑いながら眺めた。

『(笑)確かに警戒心は強いと知ってるけどな・・・』
『(笑)熊にも挑むなら大丈夫さ』
『『・・・』』
『(笑)分かるがな』

タクミ達が驚いていたが、意味を知るイツキの呟きは余計に驚いた。

『(笑)キャンプ、あのLIFEの山奥で知り合ったんだ(笑)俺らは』
『LIFEキャンプ場か?』
『キャンプ場・・・』

『そこだ(笑)、そこでブリーダーの祖父を手伝って5頭の犬と暮らしてる』
『そこで知り合った・・・』

『(笑)そうだ。彼女はドレス・・・・あ・・・・』
イツキが声にした途端に勢いよく自分を見返すハルトに驚いた・・・言ってしまった自分にも驚くしかない。

『い、言わな・・・お前に教えなくて悪かった・・・』
『ドレスって?』
『・・・それは後で・・・』
『(笑)言え』

自分達にも教えろとタクミ達まで見返す姿を眺めイツキは諦め言おうと軽く息を吐いた。

『(笑)イツキのそれ・・・分かるが(笑)ちゃんと教えてやれよ』
ハルトを知るタクミの呟きに苦笑いをしたイツキが静かに頷いた。


『・・・(笑)小川の付き添いでマウレアに行ったのは知ってるよな』
『そ・・・そこで?』
『マウレア?』

『(笑)タクミ、黙って聞けよ』
『・・・(笑)』
『そのマウレアドレスを作ってるのが彼女だった・・・』
『・・・』

『何で教えなかった?』
『(笑)ハルトが走りそうだからイツキは迷ってたんだろ』
『・・・何でだ?別に・・・』

『(笑)気になってるだろ、ハルは思い出したように話題に出してるって教えてくれたろ(笑)』

違うかと念を押すように呟くイツキに驚きながらも、そうかとイツキを見始めたハルトもいた。

『珍しい犬種って(笑)それだけで思い出したろ』
『お前もだろ?』

『(笑)・・・俺は本人に会うまで思い出さなかった。名前を聞いても(笑)マウレアの社長に会ってもな』
『・・・さっき・・・』

『(笑)ハルが言ったから思い出しただけだぞ?』
『・・・そー・・・なのか?』
『(笑)ヤバイな』

『『あ!』』
『・・・あー・・・・』
唸りながら考え始めたハルトの姿に苦笑いのイツキだったが・・・不意に笑みを浮かべ呟いた。

『ヤバい(笑)』
『ん?』
『お前ら・・・』

ハルトの様子で気づいたがタクミ達の呟きに呆れ、その理由に気づいたマサキとイツキは苦笑いしかない。

『(笑)何だよ』
『・・・ハルは今(笑)確信したぞ』
『『・・・・・あー』』

気にも止めていなかったハルト・・・それが今、自分の気持ちに気づいたようだった。

イツキに言われ気づいたマサキ達・・・今回は大丈夫なのかと驚きながらハルトとイツキを眺める。

今のハルトの思いは深くない事を祈るだけだ・・・話の様子で 近くに居ない気がしたから。

『・・・ハル』
『ん?』
『顔見知りだからな・・・(笑)』
『分かってる。(笑)大丈夫か気になっただけだ・・・』

それはたぶんと呟くが本当かと様子を眺める友人に苦笑いをしたのだった。

帰り道でも考えているハルト・・・変な緊張は自分だけに沸き起こった気がした。


翌日に・・・アサヒ達へハルトに知れず声にすれば、驚きはしたが諦めようと呟くサクに苦笑いだけが静かに広がった。

知らせようかと気になり出したハルトの呟きは直ぐに止め、今は仕事だとイツキは外へ連れ出す日々になった。



エリンとの食事で思い出したアサヒ・・・迷ったが、もしもはある・・・話そうと彼女を見たが、彼女の様子でバレたのだと口を引く。

『(笑)こっちに関係した話があるなら聞くけど?』
『・・・』
『(笑)マウレア?私?』

『・・・あー・・・彼女・・・アイリさんに・・・』
『えっ・・・アイリ?』
『・・・(笑)』

あれから時間が出来れば食事に誘っていたアサヒ・・・回数が増えればエリンからの誘いが来るようになっていた。

そこで自分の仲間という近さに話題は上がる・・・それでも仕事へ結ばない。

面白かったのだという他愛ない会話だけだったが聞く回数が増えれば知人のような気までしていた。

だから前の話でと似た話をした事もあったが、今はアイリの話かと驚きアサヒを見つめた。

『(笑)話してみてよ』
『言うが・・・(笑)』
『どんな状態なの?』
『そうじゃなくて(笑)、また聞きだからな』

『おっけ(笑)』
『(笑)・・・アイリさんの犬達は大丈夫か?』
『ん?クロウ達?なんで?』

『ハルトとイツキの友人が警備会社に居てな(笑)、そこからの情報だが』
『・・・』

『企業の警備から外されて個人の家で犬を見張ってるらしい・・・時々だが警察官も確認のように来てるとか』

『理由は?』
『犬の誘拐(笑)・・・』
『あー・・・珍しくて?』
エリンの呟きに頷くアサヒだった。

『あ、、もしかしてハルトさんがクロウ達を心配してる?』

『・・・(笑)そうだ。気になって俺らに呟く・・・
(笑)でもな、アイリさんとハルトは連絡も取り合ってないだろ?』

『・・・・(笑)気を付けろと小声が増えてるわけだ』
そうだと何度も頷いては苦笑いをするアサヒに微笑んだ。

『んー・・・・なら、これから行く?』
『ど・・・何処に?』

『(笑)食事会してる。今日はクロウだけ連れてるから』
『店で?ペットもオーケーな?』

『そう(笑)。明日は休みだから飲むってコナツが連れ出したし(笑)便乗してソウ達も行ってるわ』
『・・・(笑)俺一人だぞ?』

『(笑)呼べばいいだけよ。偶然にって。皆は?今も仕事中?』
『あー』

唸りながら時計を眺めるアサヒに笑みを浮かべるエリン・・・集まれと連絡しアサヒも外へ出た。

携帯の音に何だとアサヒが確認すれば笑い出す・・・なんだと見返したエリンに携帯を見せた。

覗いてみればエリンにも写真が届いていた・・・数席が離れた互い、それぞれにマウレアとALLのメンバーが楽しんでいた。

席の囲いは低い・・・互いの写真は隠し撮りで笑えた・・・偶然にも同じ店だったようで驚くしかない。

『(笑)この店は、イツキとハルトの親友の店なんだ・・・』
『居酒屋?外側なら連れてっても大丈夫だと聞いて(笑)利用してたわ』

『・・・(笑)会ってないのが逆に凄い』
『(笑)・・・アイリなら、滅多に行かないわ』
『ん?』

『大型犬を(笑)拒否する店は多いのよ。静かにしてるのに怖さを呼ぶらしいわ』
『(笑)なるほど』

『吠えないし(笑)誰も見ないのに不思議よね』
『・・・(笑)』

確かにと笑むアサヒに苦笑いをしたエリン・・・一度、マウレアへ戻りアサヒの車を置くと店へ向かった。



エリンとアサヒが一緒に来た姿に驚き、互いの友人達の目が張り付いた・・・笑う二人は自分の仲間達の席へ向かう。

直ぐにエリンが店員を呼び、彼らの席を近場へ頼んだ事にソウ達が驚き彼らを見始めた。

店員が促したのだろう驚いた顔が揃い始めればアサヒが笑い仲間を眺めた。

素早く準備を始める店員達・・・自分のグラスだけを持ち近場のテーブルへ座り直す。

説明は必要だと仲間に言われ・・・照れながらも話すアサヒもいたが、隣ではエリンが笑みながら似た話をしていた。

そこから共に来た理由・・・聞いた話だとエリンはアイリへ話し出した。

ジッと見つめるハルトの姿が可笑しくて笑う仲間に、アサヒは黙れと見返す・・・密かに小突くイツキに苦笑いのハルトもいた。

暫くして礼を言ったアイリはクロウの近くへ座り直した・・・不思議そうに見上げたクロウに笑み、謝りながら・・・説明しながらリードをつけた。

諦めたのか静かに寝始めたクロウに笑み眺めるアイリが優しく撫でる・・・

『寝てる時なら(笑)撫でられる?』
『・・・(笑)噛まれていいなら』
『(笑)諦める・・・』

ハルトの呟きが可笑しくて激しく笑う彼らがいた・・・照れた笑みはハルトだったが静かに飲み始めた。

触りたいのだと呟くハルトに諦める事も必要だと呟くアキ・・・和む空間は出来上がりエリンが苦笑いをした。

もしもの情報の為に、連絡は取り合えるようにと皆で番号を交換しあう事になった。

緊張は互いに激しかったが、不思議と気もあうのか少しずつ楽し気な飲み会になっていった。

逆にホッとしたアサヒ・・・エリンにバレたのか視線が合えば互いに笑うのだった。