tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

Precious -20

2023-09-28 00:58:16 | Precious


着いて直ぐに宴会に交ざった自分に苦笑いだ・・・既に酔っていた皆は一人ずつ静かになっていく。

暫くして交代のように寝始めれば誰かが起き出す様子は笑えた・・・酔いを覚ました誰かはシャワーをしに向かう。

これもまた交代のようで可笑しくなる・・・それに気づいたトウマも笑いながら向かい 身綺麗にすると、まだ飲めると威張りながら戻った。


暫くしてコナツがウィンと来た事に驚いた・・・
『そういえば(笑)』

自分が来た時には居なかった事を思い出し・・・思わず呟いた自分に何だと見返すコナツに苦笑いだ。

『連絡を貰った時に(笑)居た事は知ってたんだ』
『・・・(笑)あー』
なるほどと笑みを浮かべるコナツだった。

『あれ?』
『(笑)トウマならシャワーしに行った』
『・・・どっかで(笑)寝てますかね』

シャワー室がある方角を眺めながら呟き待つかとベンチへ座るコナツ。

笑みを浮かべ静かに飲んでいるハルトやタクミとサクヤ・・・他の友人は手足を投げ出し眠っていた。

『(笑)テントで寝れなかったとか?』
『違ーう(笑)、起きたら飲めるように移動しないんだよ』
『えっ・・・皆?』

それは本当かと驚いたコナツは一人一人眺める・・・自分達を見返す仕草に可笑しくて笑う・・・タクミは笑みを浮かべていた。

やっと戻ったトウマがコナツを見つけ歩いてくる・・・ウィンが一鳴きし眺めれば笑うトウマが手を上げた。

今度はコナツへ視線を向け・・・ジッとみていたウィンだったが踵をかえし走り去った。

『えー・・・』
戻ってしまったウィンに残念そうに唸るコナツ・・・その隣へ座りコナツを抱き込んで火灯りを眺めるトウマもいた。

『(笑)ウィンが送ってくれた?』
『散歩途中で行く気がして(笑)着いてきただけなの・・・
戻りはどーしよー』

『(笑)泊まる?』
『皆が寝る場所は(笑)取れません』
『・・・(笑)酔ってるからまともに歩けないけど?』

『(笑)アイリが迎えに来てくれるかも』
『あー・・・』
そう思うのだろうトウマの呟きに本当に来そうだと笑むコナツだった。

彼女の名前が出た事でドキッとした自分を知った・・・それは同時にサクヤも自分に気付き笑っていた。

気付かれた恥ずかしさに照れるハルトだった・・・見返せば急に呆れたタクミもいた。

『・・・どれだけ』
好きなんだと思わずだろうサクヤの呟きに口を引くハルト・・・その二人の様子を眺めるトウマとコナツに気付けば苦笑いしかない。

ふと・・・トウマにすまなそうに見返したハルトの様子に直ぐに気付き驚いた顔をした。

『・・・言った?』
『悪い・・・(笑)』
『それ・・・(マジ?)』

気付かないコナツ・・・彼女の視線はウィンが帰った方角・・・だからハルトへ聞き返し声に出さずにトウマは聞いたのだ。

苦笑いをしながらも頷いたハルトに、彼の思いの深さを知った・・・そのアイリはどの位だと考えてしまう。

ハルトに対して気持ちはあるのか様子を見なければと笑み返したトウマもいた。

『トウマ・・・』『ん?』
『携帯・・・持ってきた?』
『(笑)ごめん』
『・・・どーやって連絡しよー』
コナツが呟く・・・

『な(笑)』
可笑しくて笑うトウマだった。


暫くして何処からか犬が吠えている鳴き声が聞こえ嬉しそうに立ち上がるコナツを笑いながら引き止めたトウマ。

その二人の様子に笑いながら飲む彼ら・・・トウマは缶を手にし飲み始めたのだった。

『(笑)アイリもいるのぉ?』
叫んだコナツに飲めと缶を口へ運んだトウマに笑いながら飲むコナツもいた・・・戻って来たのはウィン。

『ウィン(笑)、アイリは?来てくれた?』
迎えにと声をかければウィンが振り向き眺め始めた。

現れたのはフラワ・・・そこへフィンが走りより自分達を見始めれば苦笑いだ・・・自分達が観察され始めたから。

『ウィン(笑)サン達も?皆居た?』
ちゃんと返事をするウィンに嬉しくて撫でようとしたが、するりと避けた姿に皆が笑う。

サンが現れた・・・嬉しいのか3頭が走り回る・・・じゃれあう様子に笑いながら眺めるトウマもいた。

じゃれあい過ぎたのか喧嘩のような気もした自分に苦笑いだ・・・喧嘩だと呟くハルトに苦笑いをしたトウマもいた。

サンが吠える・・・その一声で静まる様子に驚き皆で眺める・・・偉いと褒めるトウマの手も拒否したサン。

お前もかと笑うトウマに笑いながらコナツが転げそうで慌て捕まえた。

暫くしてまたサンが吠える・・・少しして吠えていサンを眺め考えていたコナツが立ち上がる。

戻り始めるサン達に気付きコナツが笑みを浮かべ呟いた。

『トウマ(笑)』
『ん?』
『帰るね。(笑)飲み過ぎないでね?』
『・・・マジ?』

『ん(笑)、サンが一緒に帰ってくれるみたい』
『・・・なんで分かる?』
『(笑)ほら、輪っかがある』

サンへ指差したコナツを皆が視線を辿れば、輪になった紐を口に咥えていたサンがいた・・・コナツが近寄れば差し出すような仕草に驚いた。

『あー(笑)、爺に使ってたヤツを持たしたのか・・・(笑)気を付けろよ』
『(笑)おっけ』

笑み返したコナツは皆へ帰ると笑み返しサンが咥えた輪を手にする・・・すると来いと言いたげにサンは ゆっくりと歩き出した。

誘導するように歩く・・・コナツが掴んだが、それはリードのように使えるのだと驚いて眺めた。

暗い夜道だが明るい場所を選んでいく・・・暫くすれば暗さで彼女の姿は見えなくなった。

『(笑)凄いな・・・』
『(笑)な』
『・・・あれはトウマでも連れ帰ってくれるのか?』

『(笑)そうだと有り難い』
『駄目なのか・・・(笑)』
『(笑)滅多にない。爺の散歩に付き合う時にアイリが言ってサン達の訓練はしてたんだ』

『にしてもコナツに慣れたんだな(笑)』
『な(笑)・・・いつか(笑)ハルトも迎えに来てくれたらいいよな』

それは嬉しいだろうと呟くトウマに苦笑いのハルトだった・・・



山登り・・・ライフの中で一番高い山だった・・・そこは一般客の入山は許可されていなかった。

前に違う山へ登ったが、そこから見えた山に登ってみたかった・・・荒さが見え危険度もありそうだった。

それでも岩山の部分もあり大変そうだが行けそうな気もして、トウマへ許可を貰いイツキと登る計画を立てた事はあった。

キャンプ場に来た翌日にアイリへ電話をした・・・その日は解放されたようにサン達が飛び出して行った事で回りの手入れをしていると聞いた。

その夜・・・今度はアイリから電話をくれた・・・また話せると嬉しくてライフという場所を詳しく聞いた。

その時に聞いて登ってみたくなったが、作業の手伝いで近場に行くと知り足手まといにならないか聞いてから頼んでみた。

服装を確認するアイリ・・・それから出かける時間を教えてくれた・・・本当に行くかと何度も確認する彼女に苦笑いだ。

最近は許可なく入り込み勝手し森を荒らす者が増えてきた事で、どうするか考えているのだと聞いた。

勝手に入り無茶をし怪我で動けず捜索されてようやく下山するのだと苦笑いをしたアイリの声に口を引いた。

取りあえず山道を整備する為の目印をつけに行く仕事だと楽し気に話していた。


そしてその日・・・トウマに準備された靴を履きアイリを待った。
『毎年?』

『そーでもない(笑)、爺とアイリが山道を作ってきたが 獣道に入って怪我してくヤツが増えてな(笑)・・・そっちが面倒だからって』

『勝手にゲートを開けて入る人はいたのか・・・無断進入してく・・・
わざわざ作るのか(笑)』

『だ・・・・(笑)ま、俺的には助かるから声も出さないけどな』
苦笑いをしながら呟くトウマもいた。

『コナツさんは?』
『(笑)行くってさ。だからアイリが仕度させてる(笑)』
『熊とか・・・大丈夫か?』

『(笑)そこはほら、アイリが知るから何とか・・・俺らが歩ける場所を整備するんだとさ』
『へぇ・・・』

『(笑)大丈夫だ。クロウ達の気付きは早い。だけど大丈夫か?本当に野宿もしてくるぞ?』
『たのしそー(笑)』

不意に交ざり歩きながら呟くコナツの笑みに苦笑いだが、ハルトもまた楽し気な顔でホッとしたトウマもいた。

『トウマ(笑)、アイリだから楽な道を・・・選ぶよね?』
『コナツ(笑)、確率の低い方を俺は行くんだぞ?』

『(笑)ごめん。もしもって・・・あ、ウィン(笑)一緒に来ないかな・・・』
『来ない(笑)、やつらは遊び場を知るから直ぐに姿を消すぞ?』

『えっ・・・見張らない?』
『もともと(笑)アイリも見張らせてない』
『『そうなんだ・・・』』

聞いていたコナツとハルトの呟きに苦笑いのトウマだった・・・暫くして大きめのリュックを背負ってきたアイリに驚いた。

『アイリ(笑)』
『何?』
『コナツに何を持たせた?』
『(笑)1日分と着替え』

『何でだ?』
『ん?見に行かない?』
『『どこに?』』『・・・』
『・・・こっちは登るけど、沢のログ・・・』

『星?』
『(笑)見れるの?』
『沢?上流?』
コナツとハルトの呟きに苦笑いのトウマはアイリを見返した。

『沢に戻るだろ?』
『上沢にね(笑)』
『使うって言ったか?』

『(笑)・・・大丈夫よね?』
『当たり前だ(笑)下を使う・・・』
『なに・・・』

何かを言いたいが声にしないトウマを眺めるアイリ・・・逆に何の話だと気になったハルトとコナツがアイリ達を眺めていた。

クロウ達と行く・・・が、ハルトも一緒に行くと聞き戸惑った・・・安全ではあるがクロウ達とは大丈夫なのかと。

何よりハルトと二人だ・・・誰かと滅多に行かないアイリを知る・・・それでもアイリ自身が気付き考えるしかない。

その状況が早々に来ただけだと考えることは止めたトウマ・・・ハルトへもリュックを手渡す・・・中の確認をと見せながらしまう。

背負ったハルト・・・それより大きなリュックを背負う自分とアイリ・・・なぜなら道具も入っているから・・・

コナツが行く事で半分の作業にし近場で止めるつもりだった・・・確かに今はそれほど獣は寄り付かない。

沢には水を飲みに獣が来る事もある・・・その一角に避難場所として鉄柵で囲いログを建てた。

管理する人達にも安全にと鍵は持たせ入っていた・・・数ヶ所で頑丈に作り使えるようにもした。

数日は過ごせる備品もチェックはしている・・・そこは綺麗な水が流れてくる場所。

見上げれば夜空も観察できるほどに拓けている・・・上流にある沢の近くにも下まで戻れない時の為にと作ってあった。

今回、そこをアイリは使うつもりなのだと知った・・・休憩も出来る場所・・・そしてライフに来れば常に鍵は持ち歩いていた。

ならばと考えるトウマだった・・・


嬉しそうな笑みのハルト・・・楽しそうなクロウ達も走り回る・・・暫くして・・・登る事に、彼女に着いて行く事に必死で回りの景色に目は向けられなかった。

ようやく頂上に来たのだと振り向いた彼女の笑みに見惚れる自分・・・岩肌が剥き出しで山の天辺だと誇示したように突き出ている場所を登る。

立ち上がれたが、着いた事にホッとしてふらつく自分に苦笑いをした。

直ぐ下で待つクロウ達が辺りを眺めては休むと地面へ伏せる姿が見えた。

『(笑)気は抜かずに・・・』
『・・・(笑)ごめん。』

自分の腕を掴んだ彼女に苦笑いをして、遠くへ視線を飛ばした・・・木々の隙間から、緩やかに流れる川も見えた。

澄んだ空気に笑む・・・心地良い風が自分を撫でていく。

自分の腕を掴む彼女の手が温かく感じれば自分の手を重ねた・・・緊張してくる自分に苦笑いだ。

それでも手は離されず広がる景色ごと記憶に焼き付けた・・・

『アイリが羨ましい・・・(笑)』
『なん・・・で・・・』
『(笑)いつでも見れるから・・・』

『見たい時に教えてくれたら』
『(笑)一緒に登ってくれるのか?』
『(笑)私で良ければ』

『また・・・アイリと一緒に見たいんだ』
『・・・・(笑)了解です』
『・・・(笑)』

自分に笑み返事をしてくれた彼女に、嬉しくて・・・照れるが見つめた自分の中が自然に弾んでくるようだった。


けっこうな時間をかけて登って来たが、戻りもだと下山している間も気が遠くなりそうで苦笑いだ。

楽しんだ自分・・・嬉しかった自分・・・何より彼女と一緒にいる対価のようで苦笑いだ。

急に薄暗くなりアイリに追い着けと頑張ったが、来る時より休憩は多い気がした。

謝れば大丈夫だと、より慎重にと声にする・・・時に話をしながら来た道を戻った。

彼女につくクロウ・・・自分の後ろにはサンが着いていてくれた・・・他の3頭は気分で前後を歩く。

自分を観察し目が合えばサンに笑み返した・・・慎重に歩けば、よしと確認できたからか歩き出す。

列をなすよう歩く姿も楽しくて気も紛らせられた・・・ひたすら歩く事も彼女となら疲れは忘れられた。

アイリの命令でだろうが時々だが自分を気にしてくれるサン・・・あの観察は自分の為だったと知った。

重なる視線も嬉しくて・・・その度に笑み返す自分もいた・・・嬉しさが沸き、それで頑張れる自分に苦笑いをした。

視線の重なり・・・頑張ったという笑みの気がすれば、少し先にログが見えた

彼女の家と同じように頑丈に作られた鉄柵で囲っていた・・・錠を開け二人で入れば直ぐに閉じ丈夫そうな閂で扉を止め鍵までした。

自由時間だと走り回るクロウ達に笑みアイリはログに向かう・・・入れば荷を出さず直ぐに火を灯してくれた。

少し高めのスペース・・・そこへマットを敷けば自分へ振り向き、ここへと促された。

そのスペースの高さに足が着いていかず驚いた・・・恥ずかしくて笑うしかない。

『(笑)食べられそうですか?』
『ごめん(笑)』
『先に(笑)』

『そーしてくれ(笑)、クロウ達の世話を先に・・・』
『・・・』
『(笑)違ったか?』

『そう・・・言おうとしてました(笑)』
『構わない(笑)』
『休んでて下さい(笑)』
『ありがとう(笑)』

礼を言えば優しく笑み返した彼女は、まだ外で遊んでいるクロウ達を眺めては準備を始めた。

少しずつ薪をくべる・・・それからクロウ達用だろう場所へマットを敷き詰め水を汲み餌を準備していった。


いつの間にか寝ていた自分・・・程よい温かさにホッとして室内を眺めた。

飲み物とおにぎりが近場にあり彼女が書いたろうメモに嬉しくてジッと眺めた。

ふと彼女は何処で寝ているのかと探せば、驚いた顔の彼女と目があった・・・これは起こしたのだと思い申し訳なくなった。

『(笑)起こしたよな・・・悪かった』
『・・・(笑)いえ。お腹、すきましたよね・・・食べて下さい(笑)』

『悪かった・・・(笑)一人先に寝たからアイリの居場所が気になって・・・から・・・』

『(笑)すみません、隣に寝かせて貰います』
『当たり前だろ(笑)。俺のせいで余計に疲れたろ・・・』

『(笑)そこは気にせず。付き合わせたから・・・(笑)待つのも疲れるって知ってます』

『長時間歩くって事が久しぶり過ぎて(笑)迷惑を』
『(笑)それはないですよ?』

『ほんとに?』
『(笑)大丈夫です。私の代わりにクロウ達の世話をして貰えてたので予定より多くチェックは出来ましたし』

『・・・(笑)それは良かった・・・』
ホッとした・・・本当にそう思ってくれていた気がしたから。

食べながらも静かに話をしてくれる彼女に感謝だ・・・汗も流せるログだった事には驚いた・・・

なぜなら川で身綺麗にするのかと思っていたから・・・促され、教えてくれた彼女に礼を言った。


暖炉で沸かした湯は直ぐに奥の部屋へ運ばれる・・・それは大きな釜があり、水で温度を調節し掬って流すだけ。

その体験も面白かった・・・逆に謝る彼女に笑いながら押し出し汗を流した。


隣へ寝転ぶ彼女・・・既にクロウ達は寄り添って眠っていた・・・少しずつ自分が緊張してくる。

そう思えば彼女もまた同じなのか眠れずにいたようだ・・・ならばと謝り少しだけ話そうと言ってみれば頷いた。

高めの窓から星が見え・・・それを眺めながら会話を楽しんだ・・・嬉しくて会話は弾む・・・

暫くして夜空を眺め笑みを浮かべた彼女・・・見惚れる自分にも笑みは溢れてくる事に気付き口を引く・・・

『(笑)キャンプ場から見るより近く見えるな・・・』
『(笑)・・・ですね』
『(笑)一緒に見れて嬉しいよ』

『・・・(笑)誰かと見るって、久しぶりの気がします・・・』
『・・・前は誰と?』
『(笑)爺とか・・・トウマ君です』

『・・・だ、だよな・・・(笑)』
『・・・』
『(笑)向こうじゃ、こんな輝きはないしな・・・来れて良かった(笑)』

『天気が良くて助かりましたね(笑)』
『(笑)だな・・・』

長い時間、話せた事が嬉しかった・・・そしてまた星の観察をしながら二人で会話する・・・この時間も心地好かった。

柔らかな彼女の話し声が優しく響く事で何故か眠気が自分を捉え始める気がした。

それも嬉しかった・・・疲れが互いに忍び寄る・・・途切れ途切れの会話に気付けば苦笑いしかない。

自分は寝るのも惜しいと頑張ってみた・・・それでも疲れが自分を抑えてくる・・・眠そうな顔の彼女と分かった。

その姿は可愛くて・・・ずっと見つめていたいと願っている自分・・・そう思えば不意に彼女と目があった。

ドキンと高鳴る自分の心臓・・・静まれと落ち着かせる間も彼女を捉える目は離れなかった。

眠りへ入る儀式のように優しい目が揺らぐ・・・眠くて話せないと言いたい彼女の唇が微笑んだ。

囁くように謝る彼女の小さな声音に笑み返せば照れた目は余計に潤んだ・・・声は出さず自分の口は勝手に「おやすみ」と唱えた。

柔らかな笑みが少し頷いたが、優しい彼女の目は自分を見ている気がして嬉しくてなった。

疲れが自分に睡魔を運ぶ・・・ふと彼女の手が見え思わず繋いでしまった自分に照れた。

目が閉じそうな彼女は優しく微笑み眠りへ入り込んでいく・・・笑みを浮かべたまま眠ったようだ。

繋いだ手に目が向いた・・・外されずホッとする・・・嬉しくて眺めていたいのに眠気は急に自分を襲った。

幸せだと十分に浸りたいのに、見つめていたいのに叶わない・・・こんな自分に呆れながらも睡魔に連れられていった。



目覚めれば身が堪え何故か痛みが走った・・・苦笑いだ・・・最近はトレーニングもサボっていたことを思い出す。

筋肉痛だろう痛みに可笑しくて笑ってしまう・・・隣にいたはずの彼女を探せば、微かに笑みを浮かべたまま眠っていた。

近くで彼女が見れる事が嬉しくてジッと見つめるハルト・・・繋いでいたはずの手は既に離れていた。

クロウ達の気配がない気がした・・・遊びに出たのかと見やれば外で飛び回るフラワが見えた。

スッと彼女の背から覗いたのはクロウだった・・・互いに見合う・・・犬の姿ではあるが不思議と彼女を守る人のような気配。

そう思えた自分に苦笑いだ・・・笑み返せばまたスッと姿は見えなくなった。

寝返りした彼女の手が優しく動く・・・近場に居る事を知った彼女がクロウを撫でているようだった。

起きろというのか鼻で彼女を促す仕草に自分まで笑みが溢れてしまう事に気づいた。

『(笑)おはよ・・・』
クロウへだろう呟きに起きた事を知った・・・それから自分へ振り向けば驚いた顔をしていた。

『(笑)おはよう』
『おはようございます(笑)、体は大丈夫ですか?動けますか?』
『・・・(笑)何とか』

寝たままに体を動かすハルト・・・多少の痛みは走るが大丈夫そうだと笑みを浮かべた。


持参していた朝食を食べ、背負ってきたリュックに道具を確認しながら詰め直す彼女を待った。

そして帰りの行程を言いながらログを出たのだった。


ここからの帰り道は目印のように印をつけ布を軽く巻き付けていく・・・その間にクロウ達は辺りを走り遊んでいた。

自然の中で静かに浸る自分も落ち着き自分の中まで穏やかな気持ちになっていく。

話ながら歩ける事は嬉しかった・・・本当に色んな話をして楽しかった。

時々だが彼女と話していると確認のようにサン達が自分まで見る・・・会話に交ざっているような不思議な感覚を覚える。

だから笑み返す・・・彼女が作業していれば自分の目はクロウやサン達を探す事に可笑しくて苦笑いだ。

緊張はほどけていた気がする・・・だからか話していない間も楽に居られたハルトだった。


二人で泊まる緊張は、ハルトと話していく内に静まった事にホッとした・・・

その自分の緊張に気付いたからか数多く声をかけてくれた彼に感謝だ。

アイリといういつもの自分に戻れた・・・クロウ達が警戒する様子も無かった事もホッとした。


いつものように遊んでいる姿にホッとする・・・そして危険もなくログへ着けた事も。

さすがに彼へ言ったが隣で寝る緊張は激しかった・・・初めての事で、これは警戒するクロウでさえ今回はサン達と同じ場所で眠った事は驚いた。

優しく話してくれる彼・・・ここまで色んな話をしながら来た事で、近い人の一人になった気がした。

不思議と安心できる人だった・・・話題も多く楽しめた・・・眠気は直ぐに起きたが彼の声が心地好く聞いていたかった自分を知れば驚いた。

目覚めればいつものように隣で寝ていたクロウに微笑んだ自分がいたが逆にジッと見返す仕草に苦笑いだ。

眠れたからか多少の疲れは取れているようでホッとする・・・帰り道も大丈夫そうだと思えたから。

作業に集中できるよう静かに待ってくれた・・・次の場所へ行く間は色んな話をしてくれた。

自分の知らない事は本当に多かったのだと知った・・・逆に知らなかったと驚き、ならと聞いてくるハルトに苦笑いもした。

戻るまでの時間は楽しかった・・・いつもなら会話はしない・・・それはクロウ達だけだったから。

今回は話をしながらだったからか疲れる身は忘れている気がした・・・次々と始め移動しては取り付けられた・・・予想より早めに終われた事も嬉しかった。

危険もなく終われた事は本当にホッとした・・・熊に遭遇する事もなく無事に来れたから。

だからかホッとした瞬間は敷地へ入ってからだった・・・互いにもどれたと見合う。

笑みを浮かべた互いに力が抜けていく気がして驚いた・・・取りあえずとベンチに座る。

クロウ達用に水をくむ・・・おやつを出せば匂いで知ったのか家の中へ飛び込んできた。

それが可笑しくて眺めるアイリだった・・・

『(笑)前と同じ部屋でいいですか?』
『・・・』
『(笑)戻れます?キャンプ場・・・』
『・・・(笑)』

『気にせず使って下さい(笑)』
『サンキュ(笑)』
『(笑)私も勝手しますが・・・』

『大丈夫だ(笑)、クロウ達の世話が終わったら休んでくれ。
俺が居て余計に気を遣ったろうから(笑)』

『(笑)大丈夫でしたよ?話ながら出来たので楽しかったです。(笑)ありがとうございました』
『いーや(笑)、こちらこそだ』

『次は(笑)仕事なしで』
『(笑)分かった。今度は小川が歩く場所に・・・頼める?(笑)』

行きたいがと言ってみれば可愛い笑みが頷いた・・・部屋を使わせて貰うと指さしすればどーぞと手招く彼女に笑み返した。


隣に彼女は居ないが同じ空間に居るような不思議な感覚が起きた・・・互いの気配が感じる自分に笑えた。

一緒にいないのに居るような不思議さがあった・・・世話をしている気配・・・クロウ達へ声をかけている微かな声音があった。

落ち着く自分・・・穏やかに過ごせる空間・・・全てに自身が癒されていく・・・ここもまた自分の居場所でもいいのだという錯覚までする。

自分の時間を過ごしていく・・・そんな自分に笑えたが、彼女と過ごせた時間は幸せだと嬉しくなった。


2階にいるハルト・・・誰かと居る不思議さは自分に違和感も沸かなかった事に驚いた。

キャンプ場へ送るか迷った自分は確かに居た・・・なのに戻る体力は残っているのかと気になり休んで欲しくて声にした。

クロウ達まで気にもせず自分達の時間だと自由に過ごしていた。

いつも通りの準備をしたが、それぞれに過ごし始めた子達に感謝した・・・ならば自分の時間にしようと2階にあがった。


着いてきたのはクロウだけ・・・他の子達も騒がず静かで、いつもの時間を過ごし始めたようだった。

身綺麗にしベツドへ寝そべればクロウが隣で寝始めた・・・ハルトがいる変な緊張は ここでも無かった事は不思議だった。

彼が居る・・・いつもなら一人で勝手気ままに過ごす・・・彼が居る事の不思議さに苦笑いだ。

それでも嫌ではない・・・大丈夫な人で・・・一緒に居て気にもならないし、へんな緊張がない事も不思議だった。

自分が知る人・・・祖父の知り合いで、もっと近い人でも気になり眠れなかった事はある。

トウマの友人は不思議と クロウ達は警戒し見張りのように彷徨き大変だった・・・トウマも居て部屋からも出なかったのに。

今のクロウ達の様子は違った・・・いつも通りに自分の時間を過ごしていた。

彼は、ちゃんと休めているかは気になるが疲れは取って欲しいと思えた・・・軽く食べられる品を準備しておきメモをつけた。

起きて来たときに話せるかは気になるが、彼ならと思いメモにした自分・・・いつもと違うのは自分の方だった事に苦笑いのアイリだった。