ダリへ言付けた綾音と里瑠・・・次はトール軍だと密かに後を追った・・・怪我をしている兵士達の扱いも酷く驚いた。
ラデルを出てトールへ入った途端に様子が変わった・・・急かしていた者は突然、休憩だと河辺で休ませ始めた。
下の者達の戸惑いは多かったが諦めたように黙り怪我人の世話をする者達は焦りを隠しながら頑張れと励ましていた。
隊長だろう一人が謝りながらも上官へ声にする・・・先に行きたくて、早く医者に見せたくて頼んでいた。
仲間が痛みで朦朧とし始めたからだが慌てる自分達に ラデルの兵士が自分の将軍に頼み準備してくれたモノは荷馬車だった。
荷台には布団まで敷かれてあり静かに怪我をしていた仲間達を乗せてくれた。
だから戻れるのだが揺れるたびに痛みは走る・・・何も敷かれていない荷馬車に乗せてきた者は激しく唸っていた。
その行動に驚いた者は多かった・・・ラデル兵に感謝し仲間を励まし戻っていた。
この扱いの違いは何だと・・・自分達の大隊長達を眺め比べた事には苦笑いしかない。
今も、のんびり水を飲み岩へ座り身を休ませていた・・・自分の部下が怪我をして苦しんでいるのにだ。
ここは領地の真ん中・・・ここから戻る土地柄は道も荒くなり一番苦労する。
誰もが一度は休む・・・が、今は緊急事態でもあり気持ちが焦る・・・なのに今の部隊を纏めている将軍が動かず声一つない。
別の隊長は部下から守られた事は知っているが感謝はなく、励ます事もなかった。
一人の隊長が頭を下げる・・・その部下達までが許しをこう・・・自分達もだと走り後ろへ控え訴えた。
激しく怒り声を荒げる・・・補充すればいいだけだと叫んだ将軍の声に驚いた。
それでも怪我をして苦しむ部下を早くトールへ戻したいのだと、謝りながらも頼み込んだ隊長の姿に恐る恐るという動きで集まりだした。
先に戻ると言ったのは、もう一人の将軍だった・・・その将軍に言われ指示を出す。
ホッとした顔は静かに増える・・・丁寧に頭を下げたが直ぐに戻る準備を始めた。
ムッとしながらも戻る準備をさせた人へ何度も礼をした者・・・先に行けとエン将軍が叫んだ事で、新たに一斉に頭を下げ、素早く数台の荷馬車を動かした。
宥める者も多く集まった兵士達の後ろをトールの中心部へと向かう・・・今は遥か先へのびる草原の中を慎重に走らせる隊長達だった。
苦しむ兵士をよそに休憩を取るトール軍に驚いた・・・
『(笑)似たようなもんだけど、何処でもいるんだね』
『ね』
『にしても罰はないのかな』
『・・・ん?』
『代表で訓練に来てる人達の半分以上が怪我をしたんだよ?(笑)突然』
『あんなだから中途半端にトールは伸びたんでしょ(笑)、不出来な軍だったし。あの人は別っぽいけど』
『だからラデルの方に手を貸してたの?前の時もトールの軍じゃなく、役人と交渉してたし』
『ラデルの臨機応変に助かったから考えただけ・・・たまたま軍側じゃなく、ラデルの大将軍がトールの役人と知り合いだったから頼んだだけだし』
『あー・・・だから余計に、スムーズに事が運べたんだ・・・』
『そういう事。話も(笑)上手かったから助かったし、殆んど出ずにすんだんだよね』
『へぇ・・・あ、やっと動いた』
『行こう』
『(笑)おっけ』
さっきよりも遠目にした二人は後を追うのだった。
中央へ入れば多国籍の人達は多く、それぞれの衣服で着飾っていて驚きしかない。
軍施設へ入った事を確認した二人は港へ向かう・・・多種の店は数多く前に見た場所より遥かに広くなっていた。
貿易関係は港に近い場所に施設を作ったと聞いていたが、出入りは他国の人達が多く驚いた。
ふと・・・思い出したように里瑠が呟いた。
『国境の真ん中にって話、覚えてた?なかったよね・・・高い塀』
『あー・・・』
『ラデルとの国境じゃないのかな。ま、山は多くて見えなかっただけかも』
それはと考える里瑠・・・確かにと綾音は その方角を眺めた。
『・・・行く?』
『近場か・・・場所が』
『分からないよね・・・』
歩きながら考える二人・・・いつの間にか灯台がある岩場まで来ていて笑ってしまった。
近場には専用路のような道路があった事には驚いた・・・これは何処へ延びているのだと考えながら歩いた。
穏やかな波を太陽の光りが照らし眩しくて・・・久しぶりに見た海を静かに眺めるのだった。
「(笑)貴女がたは、この国の方達でしたか?言葉は分かりますか?」
不意に背から声をかけられた事で二人は振り向き見返した・・・
『・・・すみません。ゆっくり』
言語が違う事に驚いた里瑠が苦笑いしながら女性に返事をした。
「・・・(笑)」
互いに知らないのだと口を引く綾音は視線を戻す・・・里瑠は知らないがと声にすると、女性もまた笑いながらも自分の国だろう言葉で話しかけていた。
恐らくの想像で返事を返す里瑠の声を聞いていた・・・
『あーぁ(笑)名前はニコルって言うんだ・・・可愛い名前だね(笑)、私はねリルって言うの』
身振り手振りで会話を続ける里瑠だった・・・
『ん?(笑)この子? この子はねアヤって言うの』
「(笑)ア・・・リル、アヤ・・・」
『そーでーす(笑)』
指さし名を呟いた女性に笑み返す里瑠は楽し気だった・・・
「この国は住みやすいですか?」
『・・・ごめんね、分からないんだよね(笑)・・・どーしよ。何か聞かれてる気はするけど・・・』
「・・・言葉が・・・」
『・・・どーしよ』
互いの困った顔に苦笑いまで二人でする・・・迷うように自分を見返した里瑠に苦笑いだ。
『さっきの(笑)貿易センターに連れてったら?』
『そっか(笑)その手があったね』
行くぞと自分の手を掴む里瑠は女性へ笑み返し行こうと促した・・・戸惑いは顔にあるがセンターがある方を指さし見返した。
何となく気付いたのか会釈した女性もまた歩きだしたのだった。
サービスカウンターのような場所はあった事で女性の代わりに説明し戻ってきた里瑠だった。
取りあえず国境がある方角を目指す事にし、トール内を観察しながら歩く二人・・・途中で水と食べ物を調達した。
『ねぇ・・・この辺って草原じゃなかったっけ?』
『(笑)だったね・・・凄い変化しててヤバい(笑)』
暫く歩けば直ぐに景色が代わり苦笑いだ・・・これから変化すると言いたげの状態は可笑しかった。
『この短い期間で・・・これだけ』
『ね・・・(笑)やっぱり・・・随分と・・・』
『変わり過ぎ・・・』
変わっていた事に驚き辺りを眺める里瑠だった・・・
『アヤはさ・・・』
『・・・なに』
『・・・オールにいた店は他国からも来てたんじゃなかった?』
『・・・(笑)そうだけど、どした?』
『何で教えてあげなかったの?知ってたでしょ、さっきの話・・・言語だよ、なーんか(笑)ちょっとね』
『時間を割かれる事はしたくなかっただけよ。知らないふり(笑)サンキュ』
『(笑)いいけど・・・なんて言ってたの?』
『この国は住みやすいかって』
『(笑)あー・・・移住するって事だったら、確かに時間が取られそうだったね(笑)』
へぇと頷く里瑠だったが特に気にもならなかったのか辺りを眺め塀を探していくのだった。
本当に高い何かがあった事に驚いた里瑠が眺める・・・近くなれば尚更だ、それでもオールのような聳えるという高さでもない。
この辺が国境付近なのか、本当に国をまたいで出来ているのかも分からなかった。
『あれ、何だろう・・・』
『・・・』
『煙ない?あそこ・・・多少の警備はあるね・・・』
『この臭さは何でかな・・・何を作るんだろ・・・この大きさなら周辺までヤバいよね』
『・・・炉?』
工業施設のような広さ・・・それでも丸い塔はあり・・・何だと考えながら眺めた。
『飛ばして見てみる?』
『この距離、いける?』
『ん・・・充電したら』
『本当に持って来てた?その鞄に入ってる?』
『ん・・・小型なら持ち運び出来るし(笑)便利だと思った・・・だけど組み立てなきゃなんだよね』
苦笑いしながら辺りを眺める里瑠・・・木々が多い場所があり綾音へ目配せた。
身を隠したくて行こうと二人は少し向こうに見える森へと向かうと辺りを確認しては選ぶように場所を決めた。
どこで組み立てるかと探しながらも大きな施設がある場所を眺め飛ばすのに最適な場所はと考えた。
その間にパネルを出した綾音・・・自分のも頼むと目配せ出して組み立てて貰った。
どこからかエンジン音がし始め、驚いた里瑠は身を隠す・・・今ならと作り始めていたが、素早く かき集めてしまった。
綾音はと探せば、大木に飛び上がり何かを探っていたが・・・自分へ視線が来た事で登るのかと驚いた。
遥か上からロープで繋いだ綾音は、勢い良く飛んだ・・・なんだと眺めていれば螺旋のように太い幹や枝を避けながら大木を回る。
何かが巻き付き 動きが止まったかと思えば、それを掴みながら今度は登る様子に驚いた。
良くみれば螺旋階段のように枝が突き刺さっていた事に気付く・・・その場所を足がかりにし、より上へと登る里瑠だった。
切れ味がいい綾音の剣・・・こんな使い方も出来るのかと可笑しくて、綾音が作った場所を眺めていた。
『見てないで作ってよ』
『これは細いから簡単に切れたの?』
『・・・』
『隠れ家みたいで(笑)楽しくなるねっ』
落ちないように・・・見えないように細工までしてある事に笑いながら眺めていた里瑠・・・その呟きに口を引いた綾音だった。
『そのロープって伸びるんだね(笑)楽しそう』
『(笑)滅多に出しません』
『分かってるけど(笑)。それより、この音はバイク?車かな・・・』
『持ち込んだのかも・・・っていうか、そういうのを作る為の工場って事もありえる』
『あー車・・・とか(笑)確かに。進化の始まりだろうけど・・・あ(笑)ヤバい、パネル忘れてた・・・』
『少し上に出して貯めてる(笑)』
『(笑)ありがと』
幹から辺りへ伸びている枝は数多く、この太さならと下にいた里瑠に落ちないよう切りまくった。
取りあえず落ち着けるよう削ったり枝を突き刺し平らにした・・・その上に乗り眺める。
確認してから残る枝を切り素早く突き刺し捻った・・・その穴へ新たに枝を突き刺し押し込む・・・
焦りながら片付け始めた里瑠に登ってこいと目配せてみた・・・笑いながら上がってくる・・・大事にしまってから登る里瑠を眺める綾音もいた。
少し向こうの広い場所で数台で走り回る音がする・・・近場まで来ないが、平地を走り飛ばしていたのはバイクだった。
形は昔のタイプと似ていたが、この地だからかと眺める・・・マウンテンバイクだったかと、その名前を思い出していた。
『あれ・・・何で動かしてるかな』
不思議そうに眺めていた里瑠に早く作れと促せば手を動かし始めた。
陽が真上になり陽射しが強くなったが遥か先や上に伸びた枝先に繁った葉は多く自分達がいる場所は多少だが暑さは防げていて助かった。
それでも暑い・・・綾音はマントを羽織り身を休めた・・・
『あの声・・・止められないかな』
『・・・』
返事がないと綾音を眺めれば、眠っていた姿に苦笑いだ・・・何が楽しいのか狂ったような叫びはあり、エンジンの音が煩いからか話し声は大きくなっていた。
近場の下を通り抜ける・・・次のバイクは反転し直ぐに戻って行く・・・強弱した音は綾音の眠りを止めたようだ。
深く溜め息をした綾音に口を引いた里瑠だった・・・暫くの時間を使い組み立てる。
出来れば試運転だと嵌め込み、使っていたパネルはしまった・・・綾音が充電していたのはイヤホン、それは自分のもだったと感謝した。
プロペラが回る・・・羽音はするが音は小さい事で里瑠を見返せば褒めろと言わんばかりの満面な笑みに苦笑いだ。
ナイスと指を立てれば胸を張る里瑠に頷く・・・水平に飛んだドローンは自分達から離れると素早く空へと舞い上がった。
モニターを二人で眺める・・・飛行速度も良くスムーズに目的の場所へ飛んでいく。
見下ろす・・・
『・・・動かしてる?』
『ヤバい・・・』
『地が荒れるよね・・・』
『どう説明しよ・・・』
『・・・何かで見た溶鉱炉より小さいけど・・・採掘してる・・・場所』
『そっから探す?』
『・・・もしかしてラデルじゃない?使えそうなの・・・多かったじゃん確か・・・』
『・・・あー、トールが目を向けた理由か・・・』
『トールに山は少ないもんね』
森はあるが近くを流れる川の上流はラデルだった・・・トールの中を通り海へ辿り着く。
この場所は恐らくラデルに近く、トールが取れるほどはないのかも知れないと思えた。
それまでは密かに作っているのだと思えた・・・姿を見せれば反撃されるかと囲ったのかもしれないと綾音は眺めた。
『リル・・・』
『ん?』
『川に向かう方角を写して』
『ん・・・』
分かったとドローンを移動させていく・・・カメラを調整した映を眺める二人。
暫くして限界だと里瑠はドローンを戻す・・・
『(笑)あ・・・』
『あーぁ(笑)』
高めに飛ばしていたが見上げられていた様子が写り二人で唸る・・・取りあえずと離れた場所へ飛ばし遠回りしてから手元へ戻した。
素早く解体していく里瑠に可笑しくて笑えば苦笑いをしながらも袋へしまいこみ鞄へ戻すのだった。
楽し気な声は既にない・・・静かになったが暫くしてエンジンの音が森の中を響かせた。
川の方へ飛ばした事は正解だったと笑う里瑠・・・それはバイクに乗った人達が向かったからだ。
離れていく音に互いに見合い笑うのだった。
川縁を歩く・・・良くみれば河川工事をしていて驚いた・・・本流から引いたのだと気付く。
『これ・・・何の為?』
『ラデルから来てるじゃない』
『・・・船で海外あたりに運ぶ?そういうこと?だよね・・・道路ないし小型の輸送船とかあったし』
『恐らく・・・コンテナあったし』
考えながらも穏やかに流れている様を綾音は眺めながら呟いた・・・
『始まったら流す?』
『ちゃんと考えての場所なら荒れる可能性は高いかも』
『進化の代償は、どんな時でも同じかもしれないね・・・』
『残念だけどね・・・』
『鉄・・・だけじゃないよね、何を作るんだろ』
『大型じゃないしね・・・』
『ま、環境で先は知れてるから無理はしないと思うけど・・・』
『ラデルに戻って相談してから詳しく調べる?』
『・・・まずはトールの真ん中を見てから考える・・・探れなかったしね』
『確かに・・・』
そうかと里瑠は綾音を眺め、そっと辺りを確認してから地面へ下りたのだった。
取りあえずと、行った事のない方角へ向かう事にした・・・その中間で馬を借りて走らせる。
里瑠は馬のレンタルだと楽し気で笑えた・・・遠回りに海沿いから入る事にし少し戻って探りながら・・・
新たな町並みは進化の途中だと言いたげな状態で驚いたが、変えようと立ち止まれば戻す事になり苦笑いしかない。
この先からは歩けと言われ彼女が呆れ店主を睨む・・・勝手に離せば戻る事も知り、新たな溜め息までする彼女と吐き出した。
ついでと見学のように歩く・・・今と昔と建物の造りは はっきりしている・・・
それは気になるが、そこで暮らしているのだろう人達の衣服は様々だった。
進化の波は来ているが全てに落ち着いていない状態・・・その建物や店の状態で人もまた様々だった。
驚いた事に乗り物をレンタルする店があり暫く眺めた・・・滅多に借りていく人もいないのだろう店員は暇そうにスタッフ達と寛いでいた。
目が合い・・・もしかしてと思ったのだろう満面の笑みで自分達の方へ駆け出してきた事に里瑠が笑い始めた。
『もしかして(笑)観光でいらしてます?』
『(笑)でもないか、その服装なら』
『・・・(笑)』
『ここ・・・』
『(笑)戻さなくても大丈夫なシステムですから疲れず遠出も楽しめて便利ですよ?』
『・・・へぇ』
『(笑)どちらまで?』
『『(笑)トール』』
『時間はかかりますが(笑)行けますよ?(笑)当店なら・・・充電型でして各地に店があるので乗り換えながらですがトールまで行けます(笑)』
『凄いね(笑)』
『ありがとうございます(笑)、もちろん地図もあるし店へ誘導するので安心です・・・バイク・・・自転車にしますか?』
『道・・・』
『(笑)バイクもオーケーです、安全に走れるように専用レーンを造りました・・・
あ、道から少しだけ離れた場所に店はあるんですけどね・・・でも大丈夫です(笑)見えるほどの距離なので』
だから安心しとけと説明しながら笑む人に二人で苦笑いをした・・・詳しく聞きながら店内へ入る。
『・・・』
『2人乗りしてこ。何かと便利かもしれないし・・・どう?』
悩む自分に気付いたのか里瑠が呟く姿に苦笑いをした・・・確かにそれで考えていたから。
確かに2台でも行ける・・・が、何かが起きた場合、逃げながら追っ手は倒せるとも思えたから。
互いに見返す・・・
『あれなら余裕じゃん?アヤは出来そ?』
『一通り・・・(笑)後ろに乗った人がって事にする?』
分かったと笑みながら頷く里瑠に店員は驚いたようだった・・・
『2人乗りは経験してますか?本当に大丈夫でしたか?』
『たぶん(笑)』
綾音の変わりに里瑠が呟く。
『全部・・・舗装されてます?』
『すみません(笑)。確認は月一なんです』
『前回は?』
『・・・そろそろ』
『『・・・』』
『本当に、たまーに・・・不要に乗り回す人達に乗り込まれ荒らされます。今はトール側から専用道路を新たに造ってまして・・・』
『別の場所に?』
『(笑)真上に・・・作業中の区域は離してレーンは分かるよう繋げてますし』
『計画されたモノから相談し了承されて始めましたから(笑)』
『(笑)景色も抜群です』
『・・・その荒らしてる人達ってトールとラデルの間の』
『そうです、そうです・・・近くに森があって・・・何かの建物を繋ぐ道路を使って遊んでるらしくて・・・
あの・・・巻き込まれないよう気を付けて下されば・・・』
『・・・』
『女性二人でも危険かもしれませんが・・・』
『その人達って、トール側の人達でしたか?』
『らしいです。なんでもトップに近い人達の親族もいるんだとか』
『・・・』
他のスタッフが交ざり話を聞き入る綾音だった・・・考える・・・里瑠は情報をくれと声にした。
暫くして綾音が呟く。
『モトクロとかで』
『乗れますか?』
『(笑)あります!』
聞けば驚いた二人が声にする・・・マジかと里瑠までが驚き綾音が苦笑いをした。
『(笑)挑まれたら逃げる・・・だけど見たのは普通のバイクじゃなかったじゃん・・・』
『ん、平らな場所だけでもなかったしね・・・(笑)砂漠も走れるようなのが丈夫?平らな道もガタつく道も大丈夫なバイクってあった?』
『『・・・あります』』
『『(笑)あるんだ』』
『・・・当店のオリジナルが、あるんですけど貸し出しは』
『(笑)してないんだ。買える?』
『・・・』
『買ったら(笑)充電もさせて貰える?オイルは・・・ないでしょ?』
『・・・あるんですけど』
『(笑)あるんだ』
『・・・』
『燃料費高いわよね(笑)特殊だし』
『持ってくるので(笑)』
『経費も混ぜないと(笑)仕方ないけどね・・・改良出来そ?』
『・・・・』『(笑)分かんない』
里瑠の呟きに店員は驚き笑うのは綾音だった。
『今は、これしかありません・・・本当に乗れます?大型ですが大丈夫ですか?』
『全部(笑)平気』
『充電型は、危険走行を防ぐ為に造られていて・・・あ(笑)理由、知ってました?』
『(笑)オールは知ってますか?』
『・・・』
『(笑)オール製じゃないのは気付いたわ』
『え!・・・充電型って全部一緒じゃないの?』
『違います』『(笑)違う』
『・・・へぇ』
『(笑)ならリルが乗れるのに』
『・・・馬力あるのにして行こう(笑)頑張ってみる』
『(笑)一人一台』
『えっ・・・』
『・・・(笑)銃があって脅されたら?』
『確かに』『はぁ?』
『じゅっ・・・』
スタッフ達はそれぞれに唸り自分達を見返し驚いていた事で容易く想像していたモノは正解だと知った。
『『あー・・・面倒だ』』
思わずだろう重なる二人の言葉に余計に驚き声も出なかった。
『ですよね・・・』
『・・・(笑)こっちで見ない乗り物が増えて、レンタルまで(笑)。まして無法のように乗り回す人達がいた事で想像(笑)できます』
『・・・暫くハザードは点滅さえしなかったのに・・・観光地と客も他国から来て潤ってた頃が懐かしくなりますよ・・・ほんの最近の事なのに・・・』
残念そうな声で呟く人を眺め里瑠は綾音を見返した。
『・・・でも、予算があって専用道路の工事をしてるんですよね?』
『そうです・・・周辺もですが、観光地にすると決まっているので』
『最新のより抑えたバイクにもしてありますから』
『競われても困るのはウチなんで』
『進化していく事に不満はないけど不思議と今の状態を継続してくれたら上手く行きそうだが・・・』
辺りを眺めながら呟く人達に苦笑いだ・・・本音を客へ声にする事に笑う里瑠だった。
『(笑)リル・・・笑ってる場合じゃない(笑)リルが運転出来ないなら置いて』
『嫌だ(笑)』
『だけどスピードが違うから』
『頑張るけど』
『・・・(笑)確実に舗装している場所って事なら悩まず選べたけど』
『(笑)悩んで貰えますか?安全が一番ですし』
借りて欲しい人達・・・店内へ戻り調べると書類等を探しだした・・・二人は行く準備と装具をチェックするのだった。