tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

or −18

2023-05-31 00:44:11 |  or


子供を自身へ乗せたまま抱き、庭で昼寝をしていた綾音が可笑しくて暫く笑いながら眺めた。

休みになった事で家へ戻って来たレイル・・・綾音を探せば庭だったが子供との時間を楽しむように寝ていた。

子供は少しずつ言葉を覚え始めより楽しくなった・・・目覚めたのか子供が起きた。

綾音へキスを落とし見つめていたが、乗っている事に気付いたのか ゆっくりと下りた事に驚いた。

今度は頭を凭れさせ・・・綾音を見つめ撫でていた・・・気付いた綾音が優しく髪を撫でれば嬉しさに笑う姿があった。

『(笑)と!』
自分に気付いた子の叫びに笑み返した・・・綾音の唇が笑む・・・お帰りと言いたげに手があがった。

子まで同じように手を上げた・・・二人の元へ行き彼女の隣へ寝そべり抱き寄せた。

自分達へ乗り上げようとした子に笑う・・・間へ入りたいのだろうが優しく戻し彼女の背側へ寝かせたのはレイル。

腕枕して綾音を抱き寄せ、反対の手は子の背まで伸ばし抱いていると見せかける。

嬉しそうな笑みに苦笑いだ・・・寝ろと言いたげに彼女の背を撫でる姿は可笑しくて可愛い。

分かるのか自分に笑みながら背にある小さな手を感じているようだった。

見つめれば優しい笑みが近寄り口付けたのは綾音から・・・嬉しくて絡み付く自分がいた。

くしゅん!と子供がした声に二人で飛び起きる・・・慌て苦笑いをしながらも抱き上げ部屋へ戻るのだった。



時間が出来た事で家へ戻ってみれば綾音の姿がなく何処へと探す。

『(笑)お帰りなさいませ』
『レアは?姿が見えないが・・・』
『(笑)工房にいかれましたよ?』
『レアを連れて?(笑)というか』

『(笑)レイル様が探したいのはアヤネ様でしょう?』
違うかと笑うリョウに苦笑いをした。

『(笑)坊っちゃまは、リカ様が一緒に遊んで下さってますから安心されて』
『行ってくる(笑)』

大丈夫だと言いたかったリョウの言葉を最後まで聞かず行ったレイルに笑いながら見送った。


宴にもあった子供用の遊び場は、今は自宅用の庭へ置いてあった・・・そこで遊ぶ我が子に笑む。

綾音は何処だと工房の中へ入った・・・その特殊な作り・・・専用の机で作業中の直己が自分に気付き、綾音は向こうだと指差した。

親子で交互に叩く・・・汗だくの二人にも驚いた・・・炉へ戻し暫くして出せば直ぐに叩いていた。

刀のようだが通常より平たいモノに驚いた・・・均等にしたいのだろう眺めては場所を変えて伸している気がした。

今度は綾音一人で始める・・・自分に気付いた刀堂が笑みを浮かべた。

初めて見た綾音の姿を見惚れるように見ていた・・・暫くして手が空いたのか直己が来て一緒に眺めた。

『(笑)初めて見ますか?』
『アヤネが(笑)してるのは』
『・・・(笑)鍛冶職人になりたかったとか?』

『そうだ(笑)、作り手として生きたかった(笑)・・・
軍に入る前まで(笑)鍛冶屋に通って教えて貰ったりしてたんだ・・・』

『(笑)そこまで似てたんすね』
『・・・ん?』
『(笑)前に、どんな人か聞いた事があって・・・』

『なんて?』
『(笑)目の前の事は手にして試すし、先の事も諦めない人・・・だったかな(笑)』
『・・・』

『(笑)姉さんも試すか考えたら目の前に転がったし(笑)、取りあえず始めてくから・・・』
『受け止める事で・・・』

『(笑)それが辛くても頑張る姉は強いでしょ・・・いつかは(笑)って、先を夢みる楽しさも知ってるから』
『・・・(笑)』

『(笑)姉は一途ですよ?』
『同じだ(笑)』
『待っててくれて、ありがとうございます(笑)レイル兄さん』

『礼をいうのは俺だ・・・(笑)中まで守ってくれたんだから』
『(笑)家族だし』
笑みを浮かべた直己の言葉に照れたレイルだった・・・


今度は何かへ溶かしたモノを流し入れた・・・暫くして取り出したモノが大きな器具で挟まれ押し潰された。

場所を変えながら潰す作業に不思議だと眺めた・・・

暇を持て余しレアと過ごす・・・直己が作り出す品を眺めながら子を遊ばせた。

暫くして身綺麗にしたのか髪を拭きながら戻って来た綾音がレアに笑みキスを落とした・・・

『(笑)頼む』
『・・・(笑)』
不意に目があい呟いてみる・・・微笑んだ綾音を引き寄せれば自分へもキスをした。

『レアちゃん(笑)。二人は仲良しねー』
『んー(笑)ま!』
『『・・・』』

意味は分からないが騒ぐレアを眺めれば・・・唇を突きだし笑みを浮かべていた。

『(笑)キス・・・して?』
それはとレアに言ったリカに、そうかと綾音は笑みチュッとキスをした・・・してくれた嬉しさか 笑い始めたレアの姿を眺める綾音だった。


帰り道でレアを抱いていた綾音の頬に触れた我が子・・・笑みながら両手を引けば彼女にキスをした。

キス魔だったと苦笑いしかない綾音が子へ優しく笑み返した・・・嬉しくて楽しいのかレアのキスは止まらない様子に可笑しくなった。

レイルがレアを抱き上げる・・・高くなった事に驚いたが楽しくなったのか手足をバタつかせ嬉しそうだった。

腕に抱きレイルが歩き始める・・・急かすように隣を歩かせたが不意に抱き寄せられ腰へ腕を回し屋敷へ戻った。

子が眠りにつけば静かになり、ベッドへ入ればレイルが自分を抱き寄せた・・・

『(笑)羨ましかった・・・』
『・・・』

想像もついたが黙って目を閉じれば、笑いながら顎を引かれ何だと見返した。

『(笑)どうどうと出来る子供が羨ましいと思った・・・』
『・・・』
『(笑)そう思った途端に』

『道でしたら』
『な(笑)・・・噂話が始まるって思い直した(笑)事が可笑しくてな・・・』

『あー・・・(笑)気付いて良かった』
『(笑)・・・』
『まだ(笑)将軍だしね』
『そろそろ終わる(笑)』

『(笑)次は何するの?』
『それが・・・』
『(笑)管理とかなら助かる?んー例えば・・・あー何て言う?観察?監視?見回る・・・纏めた職業は』

『・・・オールなら?』
『(笑)職種によって呼び名は変わると思う。職人なら師匠(笑)とか、管理職って言う事もあるし・・・』

『(笑)補佐として残り、軍内は時々でいいから鍛えしあげてくれ・・・あとは東側を管理せよ・・・と言われたんだが・・・』

『(笑)拒否したかったわけだ・・・』
『駄目だった・・・』
『(笑)取りあえず東側の店の管理か・・・マネージャーだね(笑)』

『マ・・・』
『(笑)マネージャー。各店の状態を見回ったり、決まりは守ってるか観察したり(笑)人を守ったり捕まえたり?』

『そうだ・・・』
『(笑)休みは鍛冶屋で働いてみたら?』
『・・・そんな時間は』

『(笑)作るのよ。管理出来そうな人を見つけたら自分の代わりを勤めて貰えるでしょ?』
『そう簡単には』

『ね(笑)。だから気分転換したい時だけ(笑)してみたらって話・・・』
『一緒にしてくれるか?』
『(笑)おっけ』

微笑んだ綾音に口付ける・・・絡ませれば彼女の唇が笑みを浮かべた・・・


グラン周辺や海側の国々が落ち着きだしたが、山々に広がる国はいまだ陣取りしたいのか挑まれ始めた。

グランと手を結べば時に出向き加勢する・・・トールやラデルが加勢する事もある。

グランは他国より寛大で和平案を出して間へ入る・・・荒れた国は深く調べてから叩く。

豊かな国になれば暮らす人達も穏やかになり荒れていた場所も静かになっていった。



ある日・・・
慌て走りながら来たリョウに驚いた・・・大きな荷物を手に息を切らしていて何だと眺めた。

前から作っていたモノの仕上げと工房にいた綾音・・・リョウと、荷を背負ってきたトナの二人だった。

慌てているからか、上手く話せない二人・・・取りあえずと落ち着かせソファーへ座らせた。

それでも、リョウが荷を開く・・・グランの服から装身具まであり驚きながら眺め考えた。

『こっ、これを着て・・・きっ』
『支度を手伝いますから屋敷へ戻って下さいませ・・・』

『・・・急用?絶対?』
『恐らく・・・リョウさんが、もしもと じゅっ準備して来たのです』

そうだと頷くリョウの姿を眺め考える・・・身形を整え屋敷へと言った事で誰かを出迎えるのかと思えた。

『レイル様は留守ですが、戻るまで時間が必要かと・・・』
『屋敷には誰が?』

『ダイル様がレイル様と。屋敷はライル様が・・・ダイル様から聞いたライル様から言われ参ったのです』
『・・・誰かが来るの?』

『恐らく・・・』
『私が必要?』
『なのかも知れません・・・』
『・・・(笑)グランの作法、知らないわよ?』

『それは前にレイル様がオールから来ていると話されたと聞いてます。
今の総統になられた方へですが、取りあえず着替え向かいましょう』

『分かった(笑)。リョウさん着せてくれる?』
『(笑)早くにお教えすれば良かったですかね・・・気にもなりませんでした』

『(笑)準備させてごめんなさい』
『いいんですよ(笑)、そのままのアヤネ様で・・・』

服を手に奥の部屋へ向かい、出向く準備をしていく・・・その間に出迎える時の事や、招いた時の作法等を簡単に話ながら着替えた。

敷地を出てみれば馬に乗って来ていたことに驚いた・・・乗れるかと不安そうな使用人のトナに頷く綾音だった。




朝から呼び出されレイルは総統へ会いに行った・・・笑いながら自分の方へ来いと手招く姿に身構え会釈してから部屋へ入った。

ズラリと並ぶ人達・・・客なのだと笑いながら自分へ紹介していく総統に従い挨拶をした。

変な汗が出てくる・・・ここへ来るまでの庭で寛ぐ人達は多かったが、通り過ぎる間も観察されているような視線は気になっていた。

自分と同じように呼び出されていた者が次々と来る・・・久しぶりだと挨拶もし皆で向かった。

菓子やお茶を出され待つ・・・品定めされているような気までしてくる事に苦笑いだ。

何事だろうと密かに話ながら客だという人達の観察もした。

『(笑)時間を作って貰ったが、すまないな・・・』
『・・・』

『(笑)グランに慶事を持ってきたようでね・・・一つ一つがな(笑)』
『濁さずどうぞ(笑)』

自分と似た歳で政務官になった友人のランカが待ちきれず面倒だと声にした。

その隣に、これまた友人でもあるサイナも頷く・・・後の数人は挨拶程度の付き合いだった。

慶事と聞いて互いに見あう・・・友人が苦笑いをした・・・同じく何かを知ったレイルもいた。

『皆様に申し訳なく(笑)、忙しい身だから同時にと来て頂いたのだよ』
『『『・・・はい』』』

またハッキリ言わない・・・楽し気に、からかう余裕も持つ総統・・・この話し方は昔からで自分達にも面倒な人だった。

それを知る事も自分達は知っていたから、今回もまた楽し気に自分達を見て話していた。

一人が待ちきれず直接話し出した客に総統が静かに笑い始めた。

『・・・(笑)レイル様』
『はい』
『(笑)貴方へ縁談を運んだが、受けて貰えないか?』

『総統から聞いておりませんか?私には』
『会った事はないそうだが(笑)、それは断る口実で』

『(笑)妻はおります』
『断ると・・・』
『(笑)口実と総統へ嘘は申しません』

『ランカ様達の歳なら』
『我等も『妻はおります』』
『・・・』

『国内が落ち着かず悩んでおりましたが、両親を安心させたく妻を迎え今に至ります』

『(笑)同じく。身を安定させたく身内だけで婚礼をあげました・・・
その後は報告より国内の安定にと努めて参りましたので・・・』
『・・・』

『知らせず失礼致しました』
『遅くなりました(笑)』
『(笑)報告はするべきだったろう』

『申し訳ありません(笑)、レイルが秘密にする理由を知り・・・
(笑)自分もまた共に生きる為に必要だと思い・・・娶りました』

『(笑)・・・他の者は?いたか?』
『『・・・』』

押し黙る・・・それは当然だろうとさえ思っている総統の顔に気付いた事で視線も外し黙ったのだと気付いた。

『・・・なぜ秘密に?』
『将軍という立場上、狙われていたからだよ』

『挑まれていたからです。屋敷へまで奇襲をかけられているので』
『・・・なら余計に』

『(笑)レイルのところは強いと聞いてましたな・・・』
そういえばと楽し気に呟く総統だった。
『・・・』

『(笑)使用人さえ守れる腕はあります。外へ出た途端に将軍の妻だと狙われるのは面倒なので・・・黙ったまでです』

友人が擁護してくれる・・・笑みながら聞いた話だと呟く総統には苦笑いしかない。

『私が皆さんの変わりに(笑)確認してきましょうかね・・・
本当に居たなら(笑)顔合わせも必要はないので・・・事実なら、諦めて頂けますかな?』
『『『・・・』』』

それぞれに驚いた顔は連なり後ろで聞いていた客はムッとしているような顔だった。

『トール将軍の妹様に、どうかと聞かれ参ったのですよ?』
『(笑)その将軍は知っているはずですが・・・』

『ラデルのダリ様が事実かは知らないと聞き私は参ったのです・・・』
『・・・(笑)そのダリ様は妻を知っているはずですが・・・』

『はい?』
『(笑)ダリ様を助けたと妻から聞いておりました・・・昔の話ですが(笑)』

終われと願いながら、総統にも悪いとは思ったが話してしまえとレイルは声にした。

次はないと目配せる・・・楽し気に面倒を強いる様子で見返し声にもした。

自分の友人さえ強気で出てくるが多く話さない事には苦笑いだ・・・他の者達も政の繋がりになれば面倒だと呟いてもいた。

『・・・総統・・・』
『(笑)皆様を見送ったら招いてくれ』
『・・・』
『(笑)その生きた妻と会わせなさい』
『屋敷へ?これから ですか?』

『私が知らねば(笑)この先、皆様に説明も出来ないだろう』
『事実と濁しているから安全なのですよ?』

『まだ・・・刺客は来ているのか?』
『今は何処からかは面倒で調べておません・・・討ち捨てるのみ』
『・・・』

『次の者への準備は整い、既にサリ将軍へ任せておりますが、日は浅いので残念ながら知らしめられず今に至ります』

『そうだったか・・・』
『話を割って失礼するが、ここでお会いし確認を』

『こちらも失礼致しますが、お断りします。ここへ参れば余計に妻が知れ渡るでしょう・・・
これから先も狙われながら暮らせと?』

『・・・』
『子から母親を取り上げるのですか?』
『・・・』

ムッとした声音が響くが静かに項垂れたレイルに総統だけが苦笑いをした。

『皆様・・・申し訳ないが妻子がいる事は声にも出さずに頼みます。
漏れたが最後・・・二人で噂を消しに向かうやも知れないのでね(笑)』

不意に総統が話し出す・・・その声は、いつもの楽し気な声音でもなかった。

挑むような・・・捉え方によっては脅されているような雰囲気さえあった気がした。

誰もが黙る・・・宥めるように立った部下へ出ろと促したのは総統だった。


深く溜め息をしたレイルに苦笑いをする友人達・・・
『(笑)いくつだ?』
『一歳を過ぎた(笑)』

『(笑)可愛いよな。家は二歳の女の子だ』
『家は(笑)春に産まれる』
『(笑)おめでとう』

それぞれに呟き、独り身の者は聞き入った・・・

『聞いていいか?』
『ん』
『まだ来てるか?ライル達にも?』
『半分になった』

『(笑)余裕で倒せるのか?』
『本当に強いんだ(笑)、ライルとダイルが時々(笑)習ってる』
『『・・・』』

『あの・・・ダリ・・・ラデルのダリとは友人で(笑)、あの話を聞いた事があって・・・』
『(笑)助けられたと聞いて?』

『恥ずかしそうに(笑)。ま、酔ったから話したんでしょうが・・・』
その話はと呟き思い出す姿に皆で笑うのだった。



屋敷へ着いた・・・が、綾音へ伝える事を忘れていた事にレイルは気付いた・・・呼び出された事でダイルと来ていた。

何故なら呼ばれた理由で次の行動を考え動かしたかったから・・・密かに聞かせダイルを出そうと連れてきたのだ。

この理由を知り戻ってくれた事を願うしかないと思いながら屋敷へ入った。

蹄の音がする・・・これは家へかと思い外へ出てみた・・・その間に自分が帰った事を知ったライルが出てきた。

『(笑)ヤバいよね今回は』
『総統がな・・・会いに来るかもしれない・・・』

『集団見合い(笑)らしいじゃん。総統へ誰も知らせてなかったのか?』
『(笑)俺の真似して黙ってたらしい』

苦笑いしながら呟く兄に笑み返した。

馬の背にいたのは綾音だった・・・その彼女の姿を見惚れるように驚き眺めているレイルに皆で笑う。

下ろせと笑む綾音が両手を伸ばしていた・・・抱き止めたレイルに苦笑いの綾音だった。

中へ早くと兄へ促すが、綾音を抱いたまま見つめていて笑えた・・・二人を押し込む・・・地へ下ろさない様子に呆れてしまった。

下ろせ下ろさないと話し合う二人に使用人達が笑いながら持ち場へ戻っていく。

そこへ・・・護衛を数人だけ連れてきた人が後ろに居た事に綾音が気付いた・・・

『来てたっぽい』
そっと耳打ちした綾音に苦笑いをし小声で謝るレイル・・・そっと地へ下ろし振り向くと出迎え頭をさげた。

綾音もまた視線をさげ会釈する・・・張り付く視線だと地面だけを見つめる綾音だった。

言葉もない・・・ジッと観察するだけだったが、必要以上に門戸を明るくしていなかったからかと見返した。

『信じて頂けましたか?』
『悪かった・・・』

いつにない真剣そうな声音に本当に納得してくれたのだと思えばホッとした。

身形の綺麗さに感心した・・・それでも武術もするからか、普通の雰囲気とは違った。

暗さでハッキリとは見えないが、これは対策の一つなのだろうと思えレイル達を眺めた。

おしとやか・・・にも見えるが、気配を探るような雰囲気があり武術は本当に出来るのだと思えた。

そっと隣へ控えたレイル・・・少し下がり自分に見えない場所まで綾音が身を引いた事に驚いた。

スッと繋いだ手を眺める・・・レイルを助ける者なのだと気付く・・・互いを思う、そう見えた。

これで良かったのだと思えた自分もいた・・・
『(笑)次はないと約束する』
『感謝します』

礼をしたレイル・・・中へと手招き見返せば、控えていた部下の元へ戻っていく姿に驚いた。

その途中で、パスッと地面へ矢が突き刺さった・・・総統を守る者達は素早く囲み門扉の影へ促した。

反対の扉を素早く閉じたのはレイル・・・そこに準備はしていたのだろう剣や弓があった事に驚いた。

特殊な形状の弓・・・それを手にしたのはレイルの妻だった・・・慌てる事なく矢を放つ。

一気にも来ない・・・様子を探りながら眺めていたが、的を絞ったのか続け様に数本もの矢を放った。

捕まえるべく走り出したのはダイル達だった・・・その連携した動きに感心した。

『ライル!』
『裏手だ!』
暗さで分からないが二人の声だけがする・・・その間に綾音は振り返り総統へ呟いた。

『お怪我は?』
『・・・』
『皆さんも?』
『・・・(笑)大丈夫だ』

『警護しますので戻りましょう』
『(笑)次々とは来ないだろ・・・呼び込んだ事は詫びよう・・・』
『・・・』

そう言われ驚いたが、そっと視線を下げた綾音・・・扉の前で気配を探るように佇むレイルの隣へ戻り一緒に眺める。

『・・・数人だろうが、これ』
『半分は素人っぽい・・・最初に逃げた人は刺客じゃないな・・・訓練?』

『試しか?・・・』
『え・・・射っちゃったけど』
『挑んだ向こうが悪い(笑)』

二人が戻って来たが、その後ろを歩いていた数人が手や足を押さえながらきた姿に想像した事は正解だったと口を引いた二人がいた。

『あ・・・解毒・・・』
『『あ!』』
綾音の呟きに驚き唸ったのは後ろにいた人達だった・・・そして二人は気付いた。

『総統・・・悪ふざけ過ぎます・・・弓だから これですみました・・・』
『・・・違ったらどう・・・』

『確実に死んでます』
『・・・その覚悟は持ってきたはずだ、なにせ将軍家に挑んだのだからな(笑)』
『『・・・』』

レイルとライルが驚き眺めていた・・・解毒剤はダイルが渡し飲ませている・・・綾音は呆れ眺めた。

『・・・失礼だとは思いますが、腕が見たいと仰るなら知らせを下されば ココでお待ちします。

総統を守る者が怪我をすれば本当に刺客が来た時に守れなくなるのでは?』

『・・・すまなかった』
『お気をつけて お帰り下さい』
『(笑)大丈夫だ、向こうで待機はしていたのだ・・・』
『無礼しました』

話し出した綾音に驚きレイルが彼女の手に触れ止めようとしたが、その言葉で確かにと思え繋いだ手は外さず黙って見守った。

自分の様子を観察しながら話している気もした・・・夜だけに、この暗さにレイルはホッとし 先に気付けた事に安堵した。


一気に放った事で、ライルとダイルは残る者は居ないか確認する為に向かった・・・生きていれば何処に所属している者かは知れるから。

行けば痛みを堪え仲間同士で支え歩いてくる者を見つけたが・・・近寄れば その姿で味方の兵士達と気付き声も出なかった。

普通なら矢を放った後は、数人なら次々と狙いを定めるように襲ってくる。

なにより一気に攻め込んでくる・・・脅しと見せかけた矢だけで次は無かった。

何より地面へ刺さった事で違和感を持ちながら捕まえに来た・・・滅多に外さない綾音の腕を知る。

違和感を抱いたから動きだけを止める為に放ったのだとダイルと話しながら戻った。


案の定、楽し気に笑う総統の姿が見え声も出なかった・・・綾音の腕を見に来たのだと直ぐに思えた。

兄達のやり取り・・・門前の灯り、何より使用人達は最初から居なかった。

予測した兄達が凄いと眺める二人だった。





or −17

2023-05-27 00:29:44 |  or




ようやく終わったのだと自宅へ戻れば、自分の部屋が無くなっていた事に気付く。

そこを任されていた父の弟子ノギが笑いながら話してくれたが、完全に引き払った事でグランへ行ける事を知った。

『荷は全部(笑)師匠が持ってった・・・そこで暮らすとさ(笑)・・・残念だ・・・』
『(笑)お元気で』

『アヤもな(笑)・・・頑張れ』
『ありがとうございます(笑)』
ともにした職人達へ挨拶に回り綾音は鍛冶屋を出たのだった。


外で待っていたのは里瑠・・・見送りに来たのはユリ達だった。

『ほんとに行くのね(笑)』
『隊長・・・(笑)ありがとうございました』
『早く行け(笑)、やつが来るぞ』
『・・・』

『リル(笑)、貴女も?』
『行き来して(笑)楽しみまーす』
素早くタクシーへ綾音を押し込めた里瑠が乗り込むと笑いながら手をふった。


そこはグイム社が管理する場所でもあった。

『(笑)グイムさん。助かりました』
『それは私の方だよ(笑)・・・ナオキ君が居なければ会社を立ち上げる勇気はなかった。
何より社員まで確保してくれた事で(笑)直ぐに出来たのだから』

『連絡は・・・』
『取り合ってるさ(笑)、だが向こうで装飾品だけ作るとか・・・』
『(笑)それが夢でしたから』

『材料も豊富な場所らしいね(笑)、こちらで流通先は見つけたと(笑)伝えてくれ』
『(笑)感謝します』

『不具合は直ぐに連絡を(笑)』
『了解です(笑)』
『(笑)元気でな・・・』

笑みを浮かべ話す人へ頭をさげ礼をした綾音だった・・・里瑠と見あい笑むと二人はスイッチに触れ、静かに消え入ったのだった。


新たに開発したベルトは時計として強化した・・・厳選された者だけが買い求められ、出発点と終点は決められ預けられる。

何より終点だけが自分で決められる事は後で知った・・・そして、綾音達の終点はグランにある自宅裏地にしてあった。

その時計は専用であり他の人は使えない・・・特殊なケースに収納し使う時だけ出すのだ。

そしてグイム社へ連絡し予約を入れてからの出発となる・・・出発地点はグイム社の管理している場所にあり、そこから向かう。

到着だとホッとする・・・小部屋の壁一面に名が記され、それぞれにケースは並んでいた・・・自分の名を見つけた二人は時計をしまうと外へ出た。


突然あらわれた二人の姿に驚いた人達・・・戻って来たと安心した父に抱き込まれ苦笑いだ。

久しぶりだと里瑠はリカを探しに行ってしまうと家へと促された。

『レアは?』
『(笑)元気にしてるさ・・・リョウさんが世話をしてくれてる。
そうだ(笑)いろいろ準備して持ってきたんだな・・・』

『(笑)届いた?』
『ナオキが運んでくる(笑)』
『リカに必要なモノも持ってきたけど・・・本当にこっちで産めるの?』

『(笑)産まれたよ。二人とも無事に』
荷物をかかえ家へ入ってきた直己の呟きに綾音が見返した。

『(笑)おめでと』
『サンキュ(笑)、男の子だよ。名前はリオにした』

『(笑)リカは?休めてる?』
『オールに居た頃よりね(笑)』
『より寒くなるから(笑)気をつけてあげてね』

『ん(笑)、どこまでか知らないけど屋根にソーラー付けた(笑)』
『準備万端(笑)な訳だ』

『慣れも(笑)必要だけどね。あ、レアなら今はレイルさんの所だけど(笑)少ししたら帰ってくるよ』
『・・・』

『(笑)トールが狙われ始めたらしくて助っ人に隊員連れて出てる』
『戻りは未定よね(笑)』

『・・・行くの?』
『行く行く(笑)。ちゃんと持ってきたし。アヤもよね(笑)着替えよ!』

一人楽し気に返事をした里瑠・・・頑張れと励ましたリカは綾音に笑み抱き締めた。

『(笑)無理は禁物だからね』
『了解です(笑)』
『無事で良かった(笑)』
『心配してくれて(笑)ありがとう』

『ん(笑)、行ってくる』
『ほんとに行くの?』
『(笑)頑張る』
『気をつけて・・・』
了解と笑う二人は準備し向かった。



まずは現状を調べる為に密かに探る二人がいた。
トールの将軍は知るが敵は知らない事で二人は探りに向かった・・・

『後方にグランって事は、トールが敵に威張りたいからかな・・・』
『(笑)じゃなきゃ、トールを狙う場所が増えてくじゃん』

『なら(笑)トール軍の服きて・・・』
『それじゃグランに迷惑をかける事になるはず』
『・・・面倒だ』

『確かに』
『・・・これ、トールが押されてるからだよね?』
『そう見えるけど・・・』

『この際さ(笑)トールの将軍に会って押し込まない?相談(笑)・・・
あれ(笑)後方のさ・・・疲れ過ぎて参ってるよね(笑)・・・』

地べたへ座り項垂れたように体を休ませている兵士は多く、この最中でも休む姿は可笑しくて笑うリルだった・・・望遠鏡で眺め呟く事に綾音が笑いながら確かにと考えた。

『後ろへ行く連絡だけして挟み撃ちする?』
『する。あれ敵の将軍でしょ?違うかな・・・先発隊?』

『の、気もするけど面倒だし』
『分かった(笑)行ってくる・・・というか一緒に行こう(笑)』

笑いながら自分の手を引く里瑠に苦笑いした綾音は顔を隠すと二人は静かに向かうのだった。



最後の勢いなのか激しくなり爆薬まで増えたようで出し渋り 迷う将軍を眺めていたが・・・

『失礼致します・・・』
そう言いながら二人の隊員が入ってきて驚いた・・・見た事もない身形で前に聞いた話を思い出した。

『グラン軍所属の者です。先発と出ますので一気にカタをつけませんか?』
『・・・グラン』

『将軍直属ですが、勝手してます・・・』
『・・・アヤ?』
『ん?リルか?』

『あれ(笑)、ダイル達まで何でここに?』
『将軍に報告する為・・・に』
『へぇ』

端にいて声にした二人に苦笑いをする・・・トール側の護衛の兵士達は驚き眺めているだけだった。

『出ませんか?』
『君たちは前に・・・』
『前将軍の・・・時に』

『はい。この先にいる敵の数は、手前と同数、その先も狙えそうですが』
『・・・奥にある谷に』

『はい、火薬類は多く・・・そこを叩けば安心し出向けますか?』
出来るのかと騒がしくなり静かになるまで待つ者を見返した。

『その剣・・・それはグランのレイル将軍と似てるが・・・』
『・・・挟み撃ちしませんか?』

知りたくて話したが返る返事は違っていて驚いた・・・

『・・・』
『より勢いは増している気もします。中間に指揮を取れそうな者が来たので理由はそこかと』

『見てきたのか・・・』
『時間を使えば向こうが整い出遅れます・・・その前に押せるなら勝算はあがるのでは?』

『ダイル、決まったならグラン側へ報告し加勢は四方から』
『伝える。それより』
『(笑)真っ直ぐきたし・・・(笑)頑張れ』
『・・・(笑)』

『取りあえず(笑)谷へ行き爆破して来ますね・・・仕掛けたモノで減らし手前から片付けて頂けますか?』
『・・・分かった』

『(笑)私達は後ろからココへ戻りま~す。』
『『・・・』』
里瑠の言葉の軽さに戸惑う男達・・・綾音は静かに会釈し出ていった。

『(笑)強いのよ?私達は!』
『分かるが、知らない者には』
『でも味方と知れたでしょ?出来る人が行けば早く終わるし(笑)兵士も楽になるのよ?』

『武器の補充は?』
『(笑)大丈夫です。落ちたモノで利用してけますから』
『リル・・・気を付けろ』

『(笑)了解、トールのメンツも守れるようにカタをつけてくるね。
そうそう中間の後方から奥は休んでたから(笑)そっと隠してきました』

『何を・・・』
『ん?・・・あー(笑)火薬。あ、この花を目印にしたから矢に火をつけて放ってみて』

綺麗に咲いた花を摘んできたのか自分へ手渡す女を見返した。

『(笑)この花へ向けて狙えばドカン!敵が近付いた頃にすれば大丈夫かと・・・
(笑)仕掛けたモノがそれ。さっき言ってたやつ・・・ほんとに大丈夫?』

『それはグラン兵でする。トール軍は手前から倒し進めて貰うから』

ダイルがトール側分かりやすく説明をしていた・・・ライルは将軍へも話し始めた。

『どれだけ・・・』
『(笑)根回しも上手いのよ?』
『・・・』
『遠すぎて駄目だったら平らな石が二つ並んだ場所を探して(笑)』

『何故・・・』
『導火線みたいに・・・あーえっと、大量に隠した火薬に離れた場所から爆破出来るように・・・火薬?の道・・・みたいに細工を(笑)・・・

でも、ほんとに駄目だったらにしてね煙で見つかったら困るの味方の兵になるよ?』

『了解(笑)、エン将軍・・・始めましょう・・・』
『長丁場でトール兵の疲れがみえる・・・半分を出し交代でなら行けそうだが・・・』

『ならば、次の交代の時にグラン兵も共に前へ出ると報告しますよ』
『本音はな・・・』

『(笑)レイル将軍なら、さっきの兵士に任せてしまうかもしれません』
『腕がいいと・・・』
『(笑)はい』

『前将軍が助かったと聞いていたが、私は別の場所に居たので会っていなかったのだ・・・』

『二人なら確実に壊せるので(笑)』
『分かった(笑)準備せよ!』
声を聞いたライルとダイルは外へ飛び出して行った。


将軍の声に勢いは増していく・・・各部隊へ回る声に笑みを浮かべるトール将軍達だった。

風に流れ響いてくる地鳴り・・・空へ慌て飛び立つ鳥の群れまで勢いつく。

疲れが見え押し込まれるが誰一人引かず助かったと斬り込んで行くトール軍だった。

新たに近場で聞こえる爆発音・・・谷の方でも激しい音は何度も聞こえてくる事に気付いた。

暫くすれば敵の数が目に見えるほどに減っていく気がした・・・グランの将軍が率いる兵士が加勢と姿を見せた。

押し込んでいく・・・向こうから来る兵士は敵側だったが自分達へ勢いつけている気もしなかった。

逃げている・・・そんな様子が目に見え味方の兵士は驚いても倒しまくり始めた。

終われる・・・そう思えた・・・長く続きトップがグラン側へ話を持っていった。

詫びと報告へ向かえば、平穏に戻す為にと言われ手を結んだ・・・表はトールが先へ出る・・・少なくなった兵士達は勇気づけられ諦めなかった。

自分の国の為に・・・そう思う兵士が増えた事はホッとした・・・そう仕向けるグランの将軍に礼をした。

あと一息・・・そう思えば向こう側に居たはずの敵が減っている事に気付く。

剣を振り身構えると素早く降参だと武器さえ投げ捨て両手を上げた敵の姿に驚いた。

端へ並ばされ列をなす・・・怯えた顔の敵の姿に理由は知らず考えながら眺めた。

放った矢が一人の腕に当たったが、痛いと叫び敵へ斬り込み倒してしまった。

刺さらない・・・傷口さえ見つからない二人に恐れをなした事を知った・・・倒れない二人に怯えたのだと気付いた。

剣を振り飛んでくる矢を弾く・・・斬りつけられた場所から血は飛び散る事もない・・・受けるなと叫ぶ一人に振り向く。

何かを話ては倒してもいた・・・本当に奥から敵を自分達の前へ運んで来た二人に驚くしかない。

既に諦めた者は二人が離れても暴れず、身動きもせず待つ・・・促されれば歩いていた。

驚きはトール軍兵士へ移ったように視線は二人へ向けて行く・・・驚いた目をした兵士達に呆れ見返す二人もいた。

それでも討たれそうな者に走り込み素早くトール兵を守りながら敵を倒し動きまくっていた。

座れと敵の兵士へ叫ぶ・・・怯えた顔の兵士達は素早く地面へ座った姿にトール兵士が驚きながら眺めていた。

ホッとしたのか・・・トール兵の疲れが倍増したからか、それとも終わったのだと気付けたからか地面へ座り喜び始めた姿に苦笑いしかない。

捕縛しに来たトール軍に任せ頑張ったと褒めながら眺めるエン将軍だった。

『(笑)終わりましたね・・・』
『助かりました(笑)、いづれ礼をしに参ります』
『・・・(笑)戻ります』
『感謝します(笑)』

いいえと笑むレイル将軍・・・撤退すると叫べば、次々と号令が叫ばれグラン軍が引いていった。

『(笑)戻るぞ!』
誰かへ叫んだレイル将軍の声に驚き振り向いた・・・返す言葉は聞こえなかったが手をあげ近寄っていた。

先発すると出た二人だった事に余計に驚き眺めれば・・・いつの間にか準備された馬車があった。

そこへ歩いて行く二人・・・途中、自分へ会釈した二人もいた。

通り過ぎた二人へ礼をすれば、勝手した事に謝り驚いて声に出来なかった自分もいた。

『久しぶりだ(笑)』
『(笑)ただいま』
将軍との会話に驚く・・・抱き上げ馬車にまで乗せたレイル将軍の様子で近い人なのだと知った。

楽し気な会話はライル達としていた・・・改めて会釈した姿に笑み返す。

出発と号令がかかりグラン軍は帰路へついた姿を見送ったのだった・・・



疲れたと笑う里瑠に可笑しくて・・・それでも会話を続けるのが里瑠・・・綾音を見れば疲れた笑みのような気がした。

足取りも重そうな気もして抱き上げれば軽くて驚いた・・・そんな自分に気づいた綾音が苦笑いをした。

『(笑)食べてないのよねぇ私達は』
『休んで』
『来なかった(笑)。アヤも直ぐに来たしね。さっき(笑)気づいたんだ』

『・・・(笑)助かった』
『(笑)帰ったら食べながら話そ』
『久しぶりだもんな(笑)』

『ね(笑)、それを楽しみに来たんだよねー(笑)私は』
里瑠の嬉しそうな話し声にライル達が笑った。

アヤはと見返せば、床へ腰を下ろし眠っていた・・・レイルが優しく眺め足踏みの揃う兵士達を眺めていた。

良かったと思えたライル達・・・トールへ軍配が上り報告も出来る事でホッとした。


用を済ませたレイル・・・酔いながらも楽し気に話している三人の姿に苦笑いをした。

二条の屋敷の一つ・・・ライル達の住まいは兵舎に造り直し、二人は自分が使っている屋敷に住まわせた。

別宅も三人で住み行き来の面倒さを省いた・・・その場所は軍施設の奥であり綾音の家族が住む敷地とも門戸で繋げてあるが誰にも教えていない。

そこに近い場所に自分用に作って移り住んでいた・・・それぞれに専用の塀で敷地内は分けてある。

手前は使用人が住み客間等も準備してあり、辺りは庭で遮った・・・門扉までの小路は四季の花や木々で楽しめるようにした。

今は別宅が本宅のようになり滅多に戻らない・・・だからより使えるよう家屋を手直していた・・・

楽し気な空間は、皆で寛げるような部屋にしてある所で楽しんでいた・・・数多くの料理があったろう皿は笑えるほどに空になっていく。

新しく準備してくれたリョウに笑み返す・・・それを食べながら三人の会話を聞き入った。

オールでの事・・・静かに聞いていたミッションの事・・・そして綾音の事まで。

その理由を聞き頑張ったと里瑠を褒める弟たちに笑う・・・眠そうな綾音は笑みながらも飲んでいた。

酔いの可笑しさ・・・親だろうと からかう楽しさ・・・可愛いのだと呟く嬉しさに浸っていた。

今の綾音は親という自覚はない事に笑う里瑠・・・今日までだと囁く声は睡魔と戦っていた。

楽しそうな会話を聞きながら飲む綾音を三人から離す・・・そっと連れ出したのはレイルだった。

自分の部屋へ押し込む・・・やっと綾音を連れ戻せた事を味わうように見つめた。

『・・・(笑)・・・戻れた・・・』
小さな綾音の囁く声に笑みが浮かぶ

『会いたかった・・・』
『・・・(笑)』
『無事でよかった(笑)頑張ったな』

笑みながら頷く綾音・・・酔いも助け眠気に襲われていく姿に口を引く。

自分へ乗せて抱き締める・・・優しい笑みで見返す綾音が首へ手を回して抱き付いた。

優しく背を撫でれば身が凭れ始め睡魔に連れ出されたようだった・・・久しぶりに腕に抱く手が喜んだ。

焦がれていた自分の手が彼女に向かう・・・
『・・・(笑)眠くて・・・』
『(笑)頑張れ』

『・・・』
『(笑)着込んでなくて助かった』
『・・・あー・・・(笑)』

理由を知ったのか笑いながら頭を撫でる綾音の手があった・・・寝るなと脱がし優しく触れた。

肌寒くなる気がしたが、中から騒ぐ何かが自身を熱くしていく・・・触れ撫でる指先が巡り始めれば互いに寒さも気にならなくなった。

絡み付く互いの唇が笑みを溢し始める・・・喜び巡る手は確認するように触れていった。

吐き出される吐息が互いを撫でていけば余計に昂り身が震えた・・・忍ばせ浸れば中は熱く、より激しく駆け巡った。

彼女の両手が自分の頬に触れ額をつける・・・微笑んだ彼女が近いと笑みが浮かぶ自分に照れた。

唇が目尻へ触れる・・・吐息の熱さに酔う・・・囁きを止め唇を塞ぎ絡み付けた。

溢れる思いごと深みへ運ぶ・・・出るなと押し込む自分に笑みを浮かべた綾音に照れた。

味わうように沈ませていく・・・溺れるように求める自分がいた・・・抱き締める・・・出るなと引き留めた。

奥底で浸る・・・ビクつく互いは自身を煽っていく・・・吐息の荒さに堪えながら駆け巡る熱さに酔いしれた。

震え跳ねても掴まえる・・・照れた笑みも愛しくて、熱く返す彼女に笑み返した。

浮いた彼女の身へキスを落とせば優しく微笑んだ顔が見れた・・・自分が手に入れた嬉しさに印を刻む。

触れ撫で巡る手を追いながらキスを落としていった・・・自分がつけたと眺めれば自身が煽られ焦がれ始める。

線を引く唇が焦れったく昂る身が恋しがった・・・より深みへ引き摺っていく・・・堪えた身は熱く駆け巡り二人は落ちていった。


落ち着かせながらも綾音を抱き込み互いの心地好さに浸った・・・自分へ腕を回し睡魔へ向かう彼女に苦笑いだ。

彼女の手が頬に触れ・・・反対の手が自分へ回される・・・腕の中で抱けた彼女は本物だと教えてくれたようで嬉しくなった。

額にキスをし抱き寄せる・・・穏やかな自身にホッとした・・・この心地好さを味わいながら深い眠りへ共に落ちたのだった。







or −16

2023-05-22 12:37:36 |  or


人の声がし始め少しずつ騒がしくなって来た事に気付き眺める・・・三人は許可した部下が来たか確認し身形を整え出向く事にした。


それぞれの容姿が違う事に驚いた・・・店主が出迎え挨拶をかわす・・・

『この者が皆様のお世話をします』
『構わず・・・』
『いえ(笑)・・・言語が違う方々とも話をし見聞を広げて下さいませ(笑)』

『大丈夫です(笑)。他の方々へも誰か一人は付き、訳してくれますから』
『(笑)席は、こちらをお使い下さい』
『決めてあるのか・・・(笑)』

『簡素で申し訳ありませんが(笑)なんなりと・・・』

そこだと案内される間に声をかけられたが、世話役の者が教えてくれて挨拶をした。

シーランから来たと言った者は店主と馴染みだと聞きグランの二条の店主とも話したと言った。

褒められた町並みに会釈した。
歓談・・・話しながら食べている人達の姿はそれぞれで身形も違う事で住む場所は違うのだと知った。

静かに教える者も目立たず呟く・・・聞けば丁寧に教えてもくれた。

部下の子供へも料理を運んでくれ、飽きれば連れ出し遊ばせてくれた事は感謝だ。

初めて見るモノに驚き戸惑った子に寄り添い待ってくれる・・・テーブルへ戻った頃には楽しかったと笑みを浮かべる姿だった。

挨拶と招いた人達と話をしに回る店主達・・・色んな国や場所での情報のやり取り・・・世話役の言葉で様子を見れば、確かにグランにも必要だと思えた。

ライル達は初めて見る料理の数に驚き、知らない飲み物にまで探しては飲む姿に笑えた。

独り身の部下までが料理や酒を運び楽しげだった・・・

『(笑)食べられてますか?』
『大丈夫だ(笑)・・・じゅうぶんに』

『良かったです(笑)。皆様のご家族は呼ばなかったんですか?』
『(笑)・・・』

『時間はまだありますから、呼ばれては?』
『(笑)気を遣わせたようで申し訳ない』

『いえいえ(笑)』
『(笑)店主は?』
『合間に(笑)、知りたい事があれば控えた者へ話を(笑)、すれば関係者へ案内もできますよ・・・』

『さきほど(笑)話せた・・・』
『この機会に(笑)多く接しグランがより潤うことを願いますよ・・・』
『(笑)感謝する』

『・・・』
『(笑)店主の用が終わらないなら、行って下さい(笑)こちらは遠慮なく』
『・・・・(笑)・・・ごゆるりと』

途中から何故か戸惑い始めた姿に気づいた・・・理由が分からず話は続けたが、感情を隠すように話をする店主もいた。

もう一人の店主 江田が来て話をする事で見返したが、いまだ自分からの視線が外れない気がした。

二人が離れてから一人考えるレイルだった・・・


客の間を通り抜ける者に目を止めたが、それは店主の息子だった・・・父親を探しているのか、上手く避ける姿は機敏で笑えてしまう。

=そこも似るのか・・・=
そう思った途端、そんな自分に驚いた・・・居ない事のと新たに過った言葉に苦笑いだ。

知らず知らずに店主と、その息子が綾音の家族だと結び付けていた事に気づいたから。

フッと笑えば探していた直己という店主の息子と目があった・・・笑みを浮かべ見返したが親を呼び近寄っていった。

暫く話していたが直己は直ぐに離れて行った。



その店主が来て静かに声にする・・・

『少しだけ・・・私へお時間を頂けますか?』
『・・・分かった』
『こちらへ・・・』

どうぞと手招く・・・天幕が張られた場所から出た主は自宅なのだと言いながら入らせてくれた。

入れば驚きの連続で言葉も見つからなかった・・・入り口で履き物は脱ぐ・・・案内された場所には変わった椅子が並び寛げるようだった。

四角い布で出来たモノが椅子に並び触ってみれば柔らかく驚いた。

『・・・』
『(笑)オールに住んでいた家で使っていて・・・それを背にお座り下さい(笑)』

そう言った店主が自分の前に飲み物のようなモノを置く・・・お茶だと言われ口にした。

話し出す事なく考える姿に苦笑いしかでない・・・

『(笑)言い難い話でしたか?』
『・・・(笑)申し訳ありません・・・どう話そうかと・・・何処から話せば良いのか・・・』

『なんなりと(笑)遠慮なく話されては?』
『・・・』

『(笑)ただ・・・オールで使う言葉は多く知らないので・・・そこは分かりやすく話して貰えますか?』

『・・・(笑)』
『大丈夫です(笑)どうぞ・・・』
『・・・その・・・将軍様の』
『(笑)レイルと申します・・・名で呼んで頂けますか?』

『・・・(笑)・・・レイル様の、その飾りにある・・・』
『(笑)これは代々、我が家が使う石で兄弟もみな持っています』
『・・・』

『これが何か・・・』
『・・・去年まで・・・娘がオール軍に所属しておりました』
『・・・』

『ようやく戻ったのですが直ぐに戻され・・・』
『・・・』

激しく驚き声も出なかった・・・恐らくと思ってはいた・・・事実だったが話を続ける言葉で綾音に何かが起きたのだと知った。

それでも、自分もまた どう話し始めればいいのか見返すだけになった。

『・・・どうにも抜けられず会えなくなりました。暫くして娘の友人から聞き知りました』
『どん・・・な・・・』

自分の中で鳴り止まない音が響きそうで焦ってしまう・・・はやる気持ちは抑え話を続けて欲しくて我慢した。

『・・・その時の仕事・・・一切の責任を押し付けられそうだと』
『責任?』

『どうやら勝手したようで・・・
ですが隊長が代弁し共に行った者達が今は助けていると・・・』
『・・・・』

『ですがレイル様にお聞きしたい事は別にあり・・・どう話せばよいやら』
『どんな話でしょう・・・』

『・・・この地へ・・・娘が来たのですか?』
『・・・ミッションを聞いては』

『軍ですから・・・その友人さえ教えてくれませんでしたが・・・』
『・・・なんです?それと飾りの話と・・・何の繋がりが?』

『・・・レイル様は娘と・・・』
『失礼・・・申し訳ないが、はっきりと話して頂けますか?』

『・・・娘の友人が秘密だと密かに連れ出された場所は病院でした・・・そこで・・・娘の仲間が隠した子を引き取りました・・・』

『子・・・子供?』
『娘の・・・アヤネの子だと。隠し通せず倒れ病院に行ったと・・・そこで初めて娘の友人が秘密裏に産ませたのだと聞いたのです・・・

その孫に託された首飾りが、レイル様の石と造りが同じようで・・・』

『その友人は何と?』
『父親と似たモノで作ったから、子の証しは失くすなと言われたと・・・』

『軍に知られる事なく?』
『娘の親友でハルカという子が居ます・・・その友人が、娘の仲間の一人からハルカと一緒に教えて貰い手配したと。

そして軍に運ばれた病院名を偽り時間を稼いだ事で無事に産めたと聞かされました』

『アヤネは無事でしたか?確認は?出来たのですか?』
『・・・』
『行くに行けず・・・』

『・・・(笑)誰の子かとハルカが聞いても濁され・・・(笑)ナオキが聞いていた事で、この地へ逃げて参りました・・・もちろん他国の繋がりで考え・・・(笑)ここは偶然・・・』

『もしかしてベルトを作った者を探し出せた?』
『・・・(笑)どうぞ秘密に』
『(笑)分かっています。いつかと約束はしましたが・・・それきりで』

『姉弟の繋がりは(笑)強く・・・マントの話は息子から聞いておりました・・・さっき・・・レイル様の飾りをみて、もしやと・・・』
『今・・・子は何処に?』

『(笑)ナオキが連れて来てます・・・向こうで息子の嫁が危うく連れ出されそうになり慌て連れ戻ったそうです』
『・・・』

『オールでは息子夫婦の子と(笑)誤魔化し世話をしていました』
『名・・・は・・・』

『(笑)男の子でレアと付けると聞いたので名付けました』
『レア・・・』

『(笑)レイル様の名からも貰ったのですね・・・』
『会えますか?』

優しい目が頷く・・・暫くして直己の妻だろう女が抱いてきた・・・その人もまた お腹にいるのだろう歩きで気づいた。

抱かせて貰う・・・穏やかな笑みで寝ていた・・・自分の息子なのだと、綾音が産んでくれた事に感謝した。

が・・・今の綾音は大丈夫なのかと直己へ目を向けた・・・誰かを手招く姿に誰を呼んだのかと視線を追った。

『『・・・兄さん?』』
『兄弟だったんですか?』
驚いた直己の声に苦笑いしたレイル・・・それよりも兄が抱く子へ目が向いた。

『その子・・・誰の子?』
『本当にアヤの家族だった?』
『そうだ、レア(笑)。おじさんに抱かれろ』

笑いながらライルへ抱かせれば、驚いた顔で自分を見ていて苦笑いだ・・・子を見ろと促したが、今度はとダイルへ抱かせ一緒に眺めた。

泣き出した事で慌て兄へ戻したダイルが謝りながらあやす・・・直ぐにまた眠り始めた様子に三人はホッとした。

『もしかしてマントで?(笑)気づいたと・・・』
『はい(笑)、あれは姉専用から始まりリルさんへ・・・それから直ぐに売り出してました、(笑)限定で』

『剣は(笑)助かってる。倒す間に動きも止められたから』
『・・・良かったです(笑)。
姉に急かされ作りましたが、今度チェックしますね(笑)』

『チェ・・・』
『(笑)確認させて下さい』
『分かった(笑)』

子を眺め、首にある紐を取り出したレイルの手を皆が眺めた。

『同じ石を探せと仕事中なのに連絡が来てたんですよね・・・(笑)参りました』
『礼をする(笑)』

『(笑)向こうで採掘されてなかったようです。こっち側だけしか取れない石らしいですが・・・やっと探し作って・・・(笑)渡してから間もなくレアが来たんで(笑)・・・』

『ナオキ、(笑)デザインもか?』
『そうだよ(笑)、姉さんの細かさは参る・・・』
『(笑)毎度のことだしな』

『アヤネは・・・今は何処に?・・・ナオキは聞いてたか?』
『・・・逃走中(笑)。証人が散らばったから集めて捕まえる事になったとかで』

『捕まったとか聞いてたぞ?』
『上の人が証拠集めの為に出してくれたらしいよ。それを知ったから捕まえやすいリカの方が狙われたんだ・・・マジでヤバかった』

『外なら、連絡は取れそうか?』
『こっちからは無理なんだ・・・』
『無事だといいが・・・ナオキ』
『ん?』

『向こうはいいからリカを休ませなさい・・・』
『私は』
『初めて来たろ(笑)、まずは身体を休めなさい・・・大丈夫だ(笑)』

『『(笑)ありがとう・・・』』
息子夫婦へ笑み自分達へは、ここでもいいと話し出ていった。

腕に抱きジッと見つめている兄の姿は初めて見た・・・優しい笑みを浮かべたままだったから。

ダイルは部下達がいる場所へ解散だと伝えに行った・・・自由に過ごせと言えば驚いていたが、店主の刀堂が夕方までは大丈夫だと言ってくれた。

子供たちが遊ぶ姿に笑みながら夫婦の時間や仲間たちと寛ぎ始めた。

戻り報告と話を始めたが、兄の子を眺めながらだった事に苦笑いだ・・・それでも嬉しそうな兄の笑みにつられる二人もいた。



静かに部屋から出てきた直己・・・何処からか誰かの声がして驚いたレイルが直己を眺めた。

『繋がりましたが、こっちの声は姉さんだけに聞こえます・・・でも状況によって話さない事が多いので・・・』

『(笑)様子を知る事が出来るなら構わない・・・聞かせて貰えるか?』

『通話は姉さんのスイッチ次第なんで・・・あ、会話する場合に押しながら話すんです』

『こっちの?』
『(笑)残念ながら』
『大丈夫だ(笑)聞かせてくれ』

分かったと頷いた直己の手にあるモノ・・・それを調整したのか音は初めより聞きやすくなった。



『追う?』
『頼んだ・・・回り込んで戻して』
『了解・・・』
『リル!早すぎるっ!』

『ん?回線全部あいてる?』
『じゃないと不味いじゃん・・・』
『話す余裕があるなら捕まえて来い!』

『二人ですよ?ユリ隊長・・・そこ(笑)ばれてません?』
『リルより上手だろ(笑)』
『余裕こくな!そこ!右だ!』
『了解・・・』

ザザッと新たに音が入る・・・

『キノ・・・』
『50先でアヤが待機中』
『動けるのか?』
『(笑)頑固で。サクもいるので』

『待ってますよ・・・』
サクという隊員が囁くような静かな声がした。

『確認・・・あ・・・』
『なんだ?ライトが消えたぞ?』
『狙撃手を狙って下さい』
『行ってない?』

『証人二名確認・・・』
『ねぇ、真っ暗よ?』
『リル・・・持たなかったのか?』
『ごめんなさい・・・』

『リル・・・発光弾使って』
『目視むり・・・』
ピピッ!っと音がし綾音の声がした。

『〈ナオ!無事だった?それより腕時計の使えた?〉』
『〈サンキュ(笑)。それ、暗闇はムリ(笑)、それより鞄 背負ってるなら左のポケットに発光弾あるよ?〉』

『〈銃ない〉』
『〈(笑)弓あるじゃん〉』
『〈あー。それより誘導してよ〉』
『〈ごめん(笑)グランに居る〉』

『〈・・・〉』
『〈(笑)レアと待ってる・・・いいよな〉』
『〈・・・了解〉』

『ねぇ、誰と話してる?何で静かになった?アヤ?アーヤーさーん』
『『『煩い!』』』
『げっ・・・』

数人に怒鳴られ唸る里瑠の声にライルとダイルが笑った。

『え!見える?』
『(笑)感度良好』
『アヤ(笑)来たぞ!会えたな!』
『・・・』
『ん?』『所属どこ?』

その声は誰だと呟く声は増えていった・・・押し黙っていた綾音が、証人1完了、2完了と声にしながら移動しているようだった。

『発光している者は生かし捕まえる者です』
『了解・・・』
『・・・完了』

『(笑)さすが』
『オール側から部隊が投入・・・』
『見えたの?』
『キー副隊長・・・明かり・・・』

『(笑)見つけた。スイッチいれるぞ?ゴーグル外したか?』
『はい(笑)ありがとうございます』

敵だろう人達と交戦している音は 数多く倒せば報告され、捕まえれば報告と残りの数まで声にしていた。

これだけ動いているのに楽し気な会話も続く・・・数多くの敵と遭遇しているようだが味方との連絡も途絶えなかった事には驚いた。

『アヤ・・・すまなかったな』
『こちらこそ感謝しますアスカ主総・・・ですが何で連れて来たんです?』

『勝手に付いて来たんだ・・・さっき気づいた』
『レイジン様が守って下さいね』

『ユリに会ったからで・・・何で来た!狙われるぞ!戻れ!』
『ヤバい!逃げるよ!』
『『・・・』』

叫び始めた声がし、誰かが叫びながら離れて行ったようだった。

『・・・キー副隊長・・・手が空いたら頼みます』
『・・・だれが来た?』
『ウル・・・』
『あ?』『それ』『ヤバい』

不味いと驚く声が始まる・・・聞いていた直己が苦笑いをしたことでダイルが誰だと聞いた。

『(笑)体験したい本人が、誰にも言わず抜け出してミッションに勝手に交ざり邪魔をする人(笑)です』
『隊員として?』

『(笑)違います。勇気と逃げが得意のオール国のを担う方の息子らしいです』
『・・・』

『(笑)腕のいい隊員は、敵を倒しながらウルという甥っ子を守るらしく、その地位を盾に邪魔をしに来るのだとか(笑)』

『罰はないのか?』
『軍のトップさえ(笑)断れず声も出せない遥かに上の位に居る人らしいですけど・・・』

連絡しあい守りへ入る隊員の声は止まらなかった・・・


『丁寧に入るとは・・・』
『すまない・・・』
『えっ!撃たれた?』
『弾道に自ら・・・』
物凄く深い溜め息は重なった。

『一つしかない弾道に・・・ウルよ・・・そろそろ気付け』
『邪魔をする為に来た訳じゃ』

『なら何だ・・・
みなが反撃する為に戦ってるのだぞ?腕のない お前が交ざれば動いてる隊員が怪我をする』

『すみません・・・アヤと話をしたくて・・・』
『いい加減、あき』

『諦めない(笑)、反対されてるのは自分の敵と思い込んでるからで・・・違うと証拠を一緒に集めたかったからだし・・・』

『ウル・・・今のお前が出来る事は、ここではなく中で!だ・・・』

『あー(笑)適材適所・・・おじさんが言ってる言葉だね』
『『『・・・』』』

複数もの息をのむ音は重なり大きく聞こえた・・・

『裁判を引き伸ばしたのは俺なんだけどな・・・
総監が驚いて主総に願い出てたけどさ、宮のレイジンが止めてくれて』

『宮側まで出て来たのか?』
『(笑)頼んだし。今日も一緒に来たしね』
『『・・・!?』』

『(笑)ジン様と争うと・・・』
『レイジンにフィアンセいるじゃん(笑)。ね、ユリさん(笑)』
『え!』『あ?』『ん?』『は?』
唸る一声が重なる・・・



『ナオキ・・・』
『(笑)・・・ユリ隊長の頃から今の場所まで、レベ・・・腕のいい部隊に入るので不思議と上の人達と会う機会は多かったみたいです。
なので、その頃に知り合ったのかもしれませんが・・・』

『繋がりは?』
『(笑)・・・すみません』
分からないと苦笑いした直己に諦め皆は静かに聞き入った。


『全隊員の怪我は?隊長達は確認したか?』
聞こえた声に大丈夫だという声は次々と始まった・・・

『オールクリア』
『はぁ・・・お前だけだ(笑)』

『かすった事はラッキーだったが、お前を守っていた隊員を必ず守れよ』

『分かってる。母さんを味方につけるし』
『・・・・・戻ろう。アヤは』
『(笑)牢へ戻り待機します』

『それは駄目だ(笑)、報告してる間に運ばれたら無駄に終わる。
共に行き(笑)知らしめる・・・』

新たに了解という言葉は皆が呟いているようだった。

終わったと連絡が来たのは暫くしてからだった・・・



領内の人は絶え間なく潤った・・・江田店主の妻サチコが宿を作れば、その特殊な宿は賑わった。

六条町にある宿・・・そこは客を選ぶ・・・独り身が利用する事は出来ないのだと知り驚いたが、その人達は二条へ行かされていた。

出される料理は二条の宿でも出されるようになれば、二条もまた潤い始めた事を聞いた。

刀堂の腕に驚き・・・直己の腕を知り、軍内の鍛冶へ指導を頼めば店主の刀堂は豊富な技術法まで教えていて驚いた。

隊員たちが怪我をする事のないようにと笑いながら言った言葉に、鍛冶職人達が感謝し より腕を磨いた。

安定してきたグラン内にレイルは安堵する・・・残るはと思いを馳せ待つ楽しみを味わった。

レアは直己の妻リカが見ているが、リョウがマメに出向いている事を知り苦笑いをした。

時に泊まりリカの世話までする事は刀堂が教えてくれた・・・時間が出来るとレアを連れ屋敷に戻るリョウがいた。

『それは不思議だよな(笑)』
ミルクというのだと笑みながら見せ、別のモノを溶かして飲ませていたのだ。

『(笑)オールは凄いですね・・・これなら乳を貰えず死んでいく子が少なくなる(笑)・・・
ですが(笑)、これはアヤネさんのモノらしいですよ?リカさんが(笑)言っておりました』

『・・・どう』
『(笑)知るはずないでしょう・・・』
『だったな(笑)』
『さ、(笑)飲み終わりましたよ。あとは父親の役目です』

『・・・ひと、一人で?』
『(笑)当然です』

飲ませた入れ物を持ち出ていくリョウに戸惑う・・・預けられたレアを抱き、リョウの後ろ姿を目で追った。

腹を満たした事で眠りへ入ると静かになった・・・そっと抱きベッドへ寝かせ隣へ寝そべり眺めた。

優しく撫でる・・・綾音の分身・・・そう思えば余計に可愛いと愛でたレイルだった。






or −15

2023-05-21 00:16:16 |  or


元デイナ領地の軍事施設はグラン軍の常駐施設に変わったが、狙い来る国はあり国内が荒れ始め軍内が忙しくなっていった。

『二条へ戻りませんか?』
『もう少し時間を・・・』
『大丈夫か?休んでないと聞いているぞ?』

『(笑)ご心配なく』
『分かった(笑)任せよう』
『(笑)ありがとうございます』
『他は予定地に運んだか?』
『はい』

『しかし・・・あの場所が上手く活用されてなくて助かったな・・・』
『ですね。(笑)そこは』
『本当に出来そうか?』

『(笑)人を増やす予定です・・・それから東側の空き地の買い手が見つかりました。本当にいいんですか?』
『(笑)身元は調べてからだ』

『今しています。貴金属から多種で買い付け装飾品等を作るとか。各地を巡り手を拡げているそうです』
『武器等は?』

『依頼があれば出来ると。ですが本来の目的は生活面の品を作り出すとか』
『・・・各地か・・・』

『はい。各国に置き必要な品を行き来もさせ売るのだとも聞きましたが本当に出来るのかは分かりかねます』

『・・・それは・・・もしかして』
『聞きました。商業船も使うとか』
『・・・詳しく調べられるか?』

『聞いて直ぐに指示は出しましたので暫くお待ち下さい。
許可されたら設備など必要で、作業場兼自宅を建ててから始めるそうですが』

『作るのか・・・』
『一年ほど必要なのだとか・・・』
『(笑)どれだけ』

『他の希望者は怪しくて数件ほど断りました。
東側は商業関係にする事で業種を豊富に集めようかと・・・』

『それでいい(笑)。頼んだ』
『かしこまりました』
『(笑)レイルよ・・・』
『はい(笑)』
『・・・去ったのだろう?なら』

『(笑)申し訳ありません・・・今の自分はココで始めたく・・・この地を落ち着かせてから考えようかと』

『(笑)・・・将軍の地位が安定した事で余計に話が持ち上がっているんだぞ?』

『その話なら諦めて貰えませんか?政に繋がるような地位は自分には』

『分かった分かった(笑)、隠しているとだけ伝えよう・・・妻はいるとな(笑)』

『(笑)感謝します』
レイルの呟きにフーと・・・これみよがしに溜め息を吐く姿になり深々と笑みながら頭を下げた。


今・・・グランへ挑む場所は少なくなった・・・だがデイナの土地がグランになった事は、なかなか広がらず苦戦していた。

軍の本隊が常駐し始め整備していった事で、ようやく領内だけが落ち着きだしたのだ・・・別宅とレイル将軍始め上役達が住み始めた。

そして今までの場所は訓練場として整備し家屋も直した・・・知らしめれば二条もまた静かになった。

バルはトールが取った事で他国から、この地へ色んなモノが入ってきた。

海の向こうから来て商売を始める者が近隣諸国に出回り潤った・・・ならばグランもと交流を深めた。

だから商売したいと申し込まれる話は増えて来ていた・・・国内を潤す為に計画し、それを総括する為にレイルが願い出た。

新たな将軍が仕上がるまではレイルが担う条件付きだった・・・そして新たな将軍を鍛えながら、新しい場所での仕事と担った。

海を渡ってくる者達に驚く事が増えた・・・全てを受け入れる国もあったが早々に荒れた事を知り慎重過ぎる程に観察はした。

この忙しい日々に助かるとさえ思えたレイルがいた・・・ライルとダイルだけが心配し補佐として助けていた。

戦う以外の仕事は楽しくなったが、集中し過ぎる兄の様子に無理やり休ませていた。

リョウに相談すれば住む場所を準備して欲しいとまで自分達へ呟く・・・ならばと考えてから行動に移した。

そして同じように兵士達の住む地域と似た造りの家屋も増やす事にした。

東側の商売地域は六条町・・・軍関係の地域は五条と名を付けられ、その間は高く聳える塀が仕切りのように作られた。

軍施設の塀に隣接する場所・・・今は空き地だが近い場所なだけに信頼出来そうな者を選び抜かなければ不味い。

厳選している最中でもある・・・この地だけは必ずと上からも指示はされていた。

申請する者は多かった・・・報告は貰う、聞けば濁さず答える、滞在する者・・・等、質問を繰り返す。

怪しい動きや違和感を持てば即座に却下した。

厳選する自分達の言動に嫌気もさすのだろう取り消す者もいた事には苦笑いだ。

それでも構わない所だけを待たせたが、今のところ1件だけになった。

その迷いは海の向こう側でも商いはあるという事・・・それが各国だと言われ渋った。

行った事もなく自分達には知らない場所でもある・・・知る国はオールだが聞いただけだ。

そこにもあると聞いたが迷いが出てしまった・・・店主が二人と弟子が数人・・・その家族と移り住みたいと聞いてもいた。

十分な広さはある・・・そこは構わないが、数基もの炉を造るという事で理由を聞いた。

納得はしたが変に迷った自分もいた・・・店主になる一人から理由はと声にされ十分に考えてから話して欲しいと帰って行った。

その期間が一月先で驚いた・・・各国を巡り観光してくると言ったからだ・・・悩んだ末に上へ相談をしに向かう。

それでも初めて受け入れる自分達であり、上も悩んだが・・・総統の一声で確定した。

『(笑)事が本当に起きてから改めて相談しあおう。自分達が安心出来るまで観察していけば良いだろう?』

隣にあるのだからと笑う総統、確かにと思えた・・・残り数日で来る者達だと、今は残る仕事を片付ける事にした。


許可した事で感謝され暫くして挨拶に来た者達に驚いた・・・日を開けず始めるという報告でくる。

技術を盗まれないようにと、家族を守れるように敷地を囲う塀を高くしたいと聞いてきた事にも驚いた。

全てに構わないと教えれば計画表だと行程表を準備し持ってきた・・・これには苦笑いだ。

大丈夫だと念を押すように言ってみると丁寧にまた感謝されてしまったが取りあえず時々だが顔はだすと言ってみた。

だからかマメな報告はしに来なくなった・・・他国はするのかと驚き考えたが初めての事だ・・・いいかと本当に思い出した時にだけ出向く事にした。


初めて見る製法に驚き兵士達が見学と休みの度に覗く事が増え苦笑いしかない。

軍施設の上階に上がり眺めている事を知った・・・自分も見に行けば理由を知りたくなった。

これは完成してからだと思い、暫く黙った。

どれだけ進んだ国なのだろうと眺める・・・進化し過ぎたと言った綾音の言葉を思い出すレイルだった。


ライルとダイルが驚き見あった・・・悲し気な目をした兄の姿だったから・・・部下達は既に訓練場へ向かっていた。

ここは、腕が上がった者だけの訓練場になった・・・腕が足りない者は二条の施設で過ごし鍛える。

時間を作りココでは訓練が終われば自分達の自由な時間が持てるようになった。

この場には三人だけになりホッとしたライルもいた・・・

『・・・兄さん?』
『・・・』
『大丈夫ですか?・・・兄さん?』

ライルが呼んだが答えなかった事で、今度はダイルが呼んだ。

我に返ったのか分からないが自分に笑ったような顔をした事に驚いた・・・

『兄さん?』
『・・・すまない(笑)』
『何を考えて?』
『・・・(笑)アヤネの言った言葉だ』
『『・・・』』

『(笑)大丈夫だ。前に・・・アヤネが言って笑ってたんだ。
(笑)進化し過ぎたオールだから狙われたと・・・そう言ってた・・・これを見て(笑)そのオールは どれだけ凄いのかと考えてしまっただけだ』

『し過ぎ・・・』
『今の(笑)グランから何年後なのだろうとな・・・』
『比べたら・・・』

『な・・・(笑)・・・暇な時間は困るな・・・ 』
話していても思い出していくのだろう笑みは少しずつ悲し気な顔へ変わってきた気がした。


それからの日々・・・
初めて見るモノが増えていく・・・時に確認しないのかと聞きにまで来る店主に苦笑いをした。

新たに来たのだと、店主の息子だろう者が挨拶に来た・・・手土産だと持ってきた菓子は大量にあり驚いた。

『こんなに・・・』
『多すぎましたか?・・・・すみません(笑)、大勢居ると聞いたので分けて渡して貰おうかと(笑)持ってきてしまいました』

『これは何処の・・・』
『(笑)オールで流行っている菓子です。日持ちもすると聞いたので(笑)選んで来ました、どうぞ召し上がって下さい』

『君も(笑)職人なのか?』
『はい(笑)、工房で働いてます』
『工房・・・オールでも?』
『(笑)はい。今は父の弟子が担ってます』

『なら君はココで仕事をするのかい?』
『はい(笑)。何でも作りますよ?声さえあれば(笑)』
『声?』

『はい(笑)、こーいうのが欲しいと言ってくれたら(笑)ですが』
『・・・なら(笑)形が自在になるマントとか・・・作れるか?』

『(笑)あー衣類ですね。材料があるなら作れます・・・ん?見た事が?』
『『ある・・・』』
『そう・・・だったん・・・ですね』

『・・・どうした?』
『いえ・・・(笑)』
『(笑)頼んでも?』
『・・・時間(笑)貰えますか?今は材料がないので・・・・』

『(笑)分かってる。今は忙しくないから大丈夫、待てるよ』
『(笑)ありがとうございます』

『三人分頼むが・・・仕入は何処から?』
『シーランです、ソコの生地が一番合うので・・・』
『・・・』

『オールの近くにあり(笑)海に面した国なんです・・・』
『へぇ(笑)』

オールを知りマントの出来を知る人達に驚いた・・・自分の話を聞いているだけの人の姿が気になった。

遠い先を眺めているだけ・・・ただ静かに・・・そう思えば苦笑いをされた。

『(笑)我らの兄だが・・・気になったのか?』
『・・・少し(笑)・・・何を思って懐かしんでるのかなって・・・(笑)。
それより皆さんも軍隊に所属しているんですか?』

『・・・(笑)今はね』
『(笑)いつかは辞める?』
『出来たらね(笑)』
『(笑)危険ですもんね・・・俺はしませんけど』
『・・・』

『(笑)オールでも作り手なんで』
『刀を?』
『(笑)炉があれば作り出せますよ?』
『ここでも?』

『(笑)依頼されたなら・・・ですが本音は拒否したいですよ(笑)、その道具より(笑)食べ物を切る道具を作る方が楽しいですから』
『・・・(笑)』

『(笑)装飾品を作りに来たので、
誰かへ渡す品は当店で(笑)』
どうぞと笑う人に笑み返したライルとダイルだった。


奥へ伸びている建物が出来たようだった・・・その隣には家屋もだろう建物が数棟たった。

店になるのだろう建物は 敷地の手前にあり、敷地への入り口は大きく塀に取り付けられた門扉もまた厳重そうで驚いた。

全てに知らない姿だった・・・他国の家屋も違う作りなのかと想像は膨らんでいく。

これなら月日は必要なのだろうと変に納得した自分に笑った・・・そしてふと思い出した。

ライルがマントを頼んでいたはずで、その男の姿は見た事もなく日が流れていた。

今は留守にしていたのかと思った自分が可笑しくて笑ってしまう・・・その日から一年という月日は流れていた。

彼女が戻るという思いは自分の中で燻り思い出せば姿さえ消えず、目の前にいない彼女に囲われている気までする。

これが消えたなら、どれだけ楽なのだろうとさえ思った・・・なのに自分が言った言葉が頭の中で木霊した。

ふと・・・菓子を持ってきた店主の息子と会った日を思い出した・・・マントの話になり急に戸惑うように見返し始めた。

特殊なマントは綾音が準備して持ってきたが、里瑠には貸した話をしていたことを思い出した。

『特殊・・・』
自分の中で何かが弾みだした・・・変に信じたい思いが強くなる気がし戸惑った。

店主に聞いてみようかと思えたが、この話を誰かに聞かれ噂が広がれば不味い・・・今度は悩み始めるレイルになった。


ようやく完成したと報告され頑張れと励ましの言葉を言えば、始める前に宴を開くと聞き驚いた。

『(笑)験担ぎとも言いますか・・・隣近所もですが周りへ開店すると知らせる意味も含め招きます・・・
(笑)皆様も来て頂けますか?』

『・・・』
『二条で知り合った店主の家族も含め招く予定ですし、関係者にも(笑)連絡し招きます』

『それが普通なのか?』
『(笑)これから始めると皆様へ報告し、宜しく頼むと願う意味を込めた宴です・・・』

『屋外ですが敷地内で行います(笑)もしもと天幕は張り準備しますから是非・・・(笑)お出で下さい』
『全員とは参りませんが(笑)』

『(笑)セルフだから大丈夫じゃ?』
『あぁ(笑)』
そうかと笑む店主二人に、それは何だと驚き見返した。

『店主・・・そのセルフ・・・』
『申し訳ありません(笑)。
数多くの酒と食事の準備はしますが、それぞれに料理を自分で取り近場の席で食べられる宴の事です。

招く客が多い時(笑)それ以上の客が来た場合、膳が準備できない事態に困る者の考えだったのでしょうね。

(笑)今では主流になり喜ばれております・・・』

『自分で取るのか・・・』
『・・・こちらでは気遣いのない宴になるのでしょうね・・・』
『残念だが(笑)そうなる』

『立食とも言い(笑)、他国の方との話も気軽に近場で出来ます・・・(笑)座れば隣の方としか話せずですから』

『各国の商人にも(笑)話をしており参加すると連絡は受けました。
なので顔を広げる意味でも(笑)体験してみませんか?』
『・・・』

『(笑)家族がおられるなら一緒にどうぞ。端へ(笑)お子様ように準備もしております。』

『(笑)招く予定数の倍は準備する気でおりますから・・・その日に仕事のない方に声をかけて共にいらして下さい(笑)』

交互に説明してくれる店主に苦笑いをしたが、参加すると言えば喜んでくれた。

隣に控えていたライル達にも是非と声をかける・・・分かったと答えれば丁寧に会釈されダイルが驚いた。

『そうだ(笑)、息子さんへ依頼したが・・・オールへ?』
『ナオキにですか?』
『・・・』

『(笑)材料の調達かもしれませんが、何を・・・』
『(笑)マントを頼んだ・・・』
『・・・マントを・・・』

『刀堂(笑)、ナオキの得意分野が知られてたのだな(笑)・・・』
『・・・(笑)有難いが・・・』
『我ら三人だけで他へ話してはいないが・・・』

『(笑)申し訳ありません、それは軍武用なので・・・知る者にしか売っておりませんでした・・・』
『だろうな・・・』

『何処でお知りに?』
『(笑)前に会った者が使っていて知った・・・その時は他国までの交流はなかったが』

『(笑)・・・ここでも秘密にと頼めますか?』
『・・・』

『あまりに特殊なモノを作りすぎて(笑)大変な目にあいました・・・逃げ隠れはせず表で暮らしたく・・・』

『分かっている(笑)安心しとけばいい』
『『(笑)ありがとうございます』』
二人の安堵した笑みに苦笑いをしたレイル達だった。

戻ったら連絡するとだけ言った店主に頷けば余計にホッとした笑みで帰っていった。


『・・・兄さん。もしかしてさ』
『ダイルも?同じだ・・・アヤの親族なんじゃ?』
『・・・』
『特殊だらけの・・・』

『言えば二人で考えるし、言えば作り出す弟がいると聞いてはいたが』
『・・・本物?』
『あ・・・だからグランに?』

来たのかと呟く二人に、余計に信じたくなる自分に気付いた。

『それでも違う可能性は高い・・・』
『何でです?』

『・・・本人が居ない・・・この一年・・・』
『会ってないけど・・・』

確かにと、この日々に観察していた自分達・・・女は居ても年上だったり女の子しか見ていなかった。

店主達の家族が、これから暮らす場所を見に来ているのだとしか思っていなかった。

年配だろう人の手を引き家屋を見せていて声をかけた事もある・・・ここで暮らす息子を心配し確認しに来たのだと寂しそうに笑っていた。

それは嫁の親だという人まで・・・そこで初めての船旅だと聞いたが、その時は そうかとしか思わなかった。

『・・・ベルトが存在しているのか?』
『民間で?軍だけじゃなく?』
『『・・・』』

店主の親族でもある年老いた者達は数多く見に来ていた・・・遥かに遠く、途中には来るにも困難な場所があると言っていた。

来れたとしても日数は必要だとも聞いた事を思い出した。

『・・・逃げた作り手と接触出来てたとか?』

ダイルの呟く言葉は変に納得してしまう自分達・・・夢は現実にと願っている気までし苦笑いするのだった。







or −14

2023-05-18 09:40:23 |  or




本当に久しぶりだった・・・この何もしない時間は滅多に取って来なかったのだ。

だらけた生活ともいうべき時間・・・腹が減れば食べ、眠ければ寝る・・・暇だと庭を散策もする。

寝そべり窓から外を眺める・・・頭をからにするように眺め、何も考えなくていい時間を潰した。


この自由な時間をレイルと過ごす・・・長期の休みだと威張り自分から離れない。

彼もまた久しぶりだと寛ぎ自分の時間を楽しんだ・・・本を読んだり昼寝と近場で眠った。

離れようとすればグッと自分を掴み引き戻される・・・浅い眠りは治らないのかと驚いた。

冬に近付いているのか朝晩の冷え込みには驚いた・・・レイルが隣で眠る事で温まれた事を知った。

今は風呂まで着いてくる・・・拒否し追い出してから入るが・・・湯船に浸かれば音で気付くのか堂々と入ってきた。

睡魔が来た頃にレイルが静かに入ってくる・・・少しの冷気も室内に流れる事に驚いた。

換気と部屋は上手く出来ている気もしたが、手繰り寄せた睡魔が離れてしまう。

布団に潜り戻れと願う綾音だったが戻る気配もなくベッドへ入り自分を抱き込む。

気にはならなくなった自分に苦笑いだ・・・この温かさは終わりを告げるのにと思えば苦笑いしかない。

同じように思うレイルもまた離れがたくて来ているのだろうと思えた・・・だから余計に拒否もしなかった自分がいた。

自分の中で理由をつけていた・・・戻らなければならない自分が可哀想だとさえ思えたから。

最初は中へ止めるなと言い聞かせた綾音だった・・・自分への・・・一つ一つの言動が優しく撫でてくる。

レイルの思いが響き自分の中で染み込むように入る・・・受け止めないよう気を付けても無駄だと笑う笑みに捕まった。

今は帰る日まで・・・勝手に理由をつくり許した時間は共に過ごした。

その理由さえ消えていく・・・レイルへ向かう思いが何かを知り、自覚した途端に揺らぎは消えた。

里瑠が来る・・・彼女の声で気付いた自分に苦笑いをした・・・遂行中の自分に戻らなければと。

自分を抱き締めたレイルに笑み返した。


様子の違う綾音に気付き顔を押し込め見ないようにしたが・・・彼女の手が自分の頬へ触れた。

見ろと言いたげに触れる・・・目があえば綾音が微笑んだ・・・包まれた頬に照れ笑みを浮かべた自分に驚いた。

何も言わない綾音の笑みで、帰るのだと気付いた・・・

悲し気なレイルの笑みになり苦笑いだ・・・自分が言うはずの言葉に気付いた気がした。

『(笑)ありがとう・・・』
『・・・(笑)』
色んな意味を含めた綾音の言葉で、今までの事が流れるように思い出された。

ゆっくりと自分を近寄せる・・・優しい笑みで自分へ口付けた綾音に苦笑いだ。

別れの挨拶かと思えた自分・・・引き止める事は出来ないと知る・・・辞めたのに来た・・・当然、今もオールの隊員なのだから、戻らなければならない。

自分が行く事も出来ない・・・なぜならオールという国が何処にあるのかも分からないから。

戻って来いとも言えない・・・ベルトを使いグランへ来たが、戻れば取られると聞いた・・・場所を知っているだろうが簡単に来れない事は知った。

『アヤネ・・・』
『(笑)ん・・・』
頬へ触れたまま互いの額が触れた・・・近いと見つめれば綾音は祈るように目を閉じていた。

何度も重ねた身が恋しがり綾音を離せなかった・・・色んな顔を見せる彼女を思い出す自分に照れた。

巡る思いが溢れていく・・・溢すなと願う自分は綾音へ刻み込んでいった・・・果てはないと触れ、忘れるなと撫でていく。

自分へ刻めと浸った・・・吐き出す吐息の熱さに触れれば互いに焦がれ互いに昂り煽られていった。

息の荒さに堪え忍ばせた場所から熱く広がっていく・・・潤んだ目にキスをする・・・笑みを浮かべた綾音に口付けた。

絡み付け後を追う・・・深みへ運び揺れに耐える・・・沈ませ奥底で共に味わうように浸る。

より抱き込まれた自分・・・心地好い身が恋しがる・・・包み込んだ綾音に笑み返した。

震え跳ねれば自分の中まで心地好く身が弾みだし・・・腕から出したくないと押し込めた。

『いつか・・・』
『・・・(笑)』
昂りは激しくそれでも堪え彼女を見つめ思わず声にした自分に驚いた。

優しい笑みを浮かべた綾音に笑む・・・答えは同じと願うだけだった。

ビクつく互いに笑み深みへ引き摺られ連れ出される・・・より奥底へ二人で落ちていくのだった。




寝ていた自分の身へ凭れた綾音に気付いた・・・そっと腕を回し抱き締める。

『勝手するけど・・・』
『・・・構わない』
綾音の手が胸にのり・・・囁くような声音が響き、自分の中へ落としていった気がした。



大きな宿に居た仲間達に会いに向かう・・・過ごしやすそうな宿は将軍が準備してくれたと聞いた。

仕事と来たが、休暇のように過ごせたからか笑みは和らいでいた。
食堂のような広い場所はあるのか集まり共に考えた。

『それは仕方ない・・・』
『だな・・・罰は受けねば・・・』
『諦めるしかない』

それぞれの呟き・・・そして戻れば謝り説明はしようと話し合った。

それからグランと交渉すれば和解は出来ると、揃って言おうと決めた。

そして最後はユリ隊長の事だった・・・

『まずはユリ隊長以外の・・・全員をココで戻します・・・』
『アヤ・・・』

『(笑)それから牢へ出向き一緒に戻る事にします』
『・・・大丈夫か?』

『(笑)隊長、私がアヤとユリ隊長を挟んで戻りますよ(笑)』
だから大丈夫と笑む里瑠に皆も笑みを浮かべた。

『誰に聞かれても(笑)同じ答えになれば疑われる事も少なくなる。許しは聞き入れてくれるはずと願おう(笑)』
『オールの先も大丈夫と・・・』

『願うしかない・・・
捕まってからの事も全て話す』
『皆も居るし(笑)納得して貰えるまで話すさ・・・』

『確かに、体験した全てを自分も話す事にする・・・実際、陣頭指揮を執ったユリ隊長に従って牢から出ずにいたし・・・』

それぞれに呟く仲間達を眺める綾音だった。

ベルトの説明をすれば驚き見返す姿に口を引く・・・だから手は離すなと声にする・・・

皆の手が繋がれ・・・綾音はベルトに触れたのだった。




里瑠と二人でユリ隊長の前に座り眺めた・・・柵に寄りかかり動かない隊長だった。

『何のよう?』
『帰ろかなって・・・』
『・・・』
里瑠が話したがジッと見返すだけだった。

『ずっと・・・オールを守ってきたのに急に反撃に出た理由を隊長は知ってるんですか?』

『・・・知らないわ。
トップの会議が少しずつ荒れだした事で意見の ぶつかり合いに嫌気がさしたと聞いてたわ』

『副主総が?』
『・・・の、一人よ。辞職すると声にした途端に争い始めたとは聞いてたけど・・・』

『それで何でこうなりました?』
『(笑)父が中にいるからって、何でも知ってるとは限らないのよ?
オールの先を守る為に必要だからと出されたわ・・・』

『そこで何で奪う事に?』
『・・・』
『奪い取る計画は知って来たんですか?』

『・・・半分は人質よ・・・軍内が不安定になったのよね・・・きっと。
だから隊員は見捨てられたんだと思う・・・』

『ユリ隊長も同類だったじゃないですか!』
今までと全く違う反応にムカついたのか里瑠が苛立ちながら呟いた。

『隊長・・・皆は戻しました』
『そ・・・』
『・・・ユリ隊長が戻ったら、皆を助けてくれませんか?』

『・・・』
『奪い取らず、輸入とか・・・』
『貴女達が言えば』
『むり!』『出来るはずない!』
綾音と里瑠が叫んだ。

『一番下にいる私達の声は届かないと知るでしょ・・・』

『命令された事はクリアしますが、その後の事は無視し勝手しましたから聞き入れて貰えないと思います』
『・・・』

『リルは罰と来てます』
『アヤは辞めたのに出されたんですよ?来て直ぐに仲間に解毒剤を渡したし二国の戦いで減らしましたから取りあえずのクリアです』

『一緒に戻れば本当のクリアです』
『拒否したら?』
『一生ここで?』
『・・・』
『そうなりますよ?』

ユリへ交互に話す彼女達・・・殆んどは諦めたような顔で見返す姿にガッカリする。

『これ以上の時間は向こうが強くなる・・・』
『ベルトは・・・』

『ここに。向こうに着いたら取られる前に壊そうと思います・・・それでいいですよね?』

『・・・それをしたら裁判になるわよ?』
『奪う国に手を貸すようで嫌なんです・・・暮らしが豊かになっても軍だけが大きい理由になってしまった事は残念ですよね・・・』

『必要だもんね・・・国民まで狙われてるから・・・
なら・・・今度はオール国民が軍人として生きなきゃならない・・・』

『突破されるまでの力は残ってると聞いてるから』
『大丈夫かは分かりませんよね、ココでの時間は長すぎたから』

『・・・』
『捕まった時から全員で戻る事を考え計画までしてたら今と違ってたはずなのに・・・』
『・・・』

『本当に資源が豊かな国なら資金を作り、買えば良かったはず・・・』
『私がトップではないのよ?知るはずも』
『・・・』

『トップの中の一人が身内なら声に出来たはず・・・』
『結局・・・従っただけ』
『彼は?・・・私が戻した隊員は?』

『死んだと聞いてます』
『・・・何で?大きな怪我はなかったわ』
『拷問を受けていたと・・・そこに毒で』

『侵されてなかったはずよ?確かに多少の怪我はしてたけど・・・』
『これも騙されてたんだ・・・』

『『どこまで・・・』』
『本当の狙いは何だったのか分からないね・・・』

何処まで騙され出されたのかと驚いたのはユリと綾音だった・・・項垂れ声も出ない二人もいた。

ならなんだと思わず声にした里瑠に静かに頷く・・・互いに見あうが言葉が出なかった。

不意にユリの視線が自分達の後ろへ向けられたが、綾音も里瑠も黙ってユリ隊長を眺めていた。

ベルトの音が鳴り電話だと苦笑いしたユリが黙れと指を口へ運ぶ・・・里瑠へ目配せた綾音はベルトへ触れた。

『80部隊所属のアヤか?』
『もいます。私は別隊隊長のユリです。全部隊のミッションが遂行出来ず申し訳ありません』

『構わない。君はクリアしたのかね?』
『いいえ。こちらが落ち着き隊員が集められた隙に戻しましたが、詳細はお聞きに?』

『軍内の施設で管理されていると報告は受けた・・・』
『・・・』
『戻れそうか?』
『戻っても構いませんか?』

『残るは三人と聞いていたが近くに?』
『おります』
『詳細は受けたか?』
『だいたいは』

『全てではなく?』
『はい。軍で・・・』
『他国の動きが激しく、部隊長以下で今は担っている』
『軍の上・・・は・・・』

『取りあえず施設内に全て集め話をしとけと伝え 拘束している・・・』
『・・・それは軍の』

『そうだ。残念だが、総統以下の者がオール国内から切り離すべく寝返った中でのミッションだった・・・

報告を受けたじてんで軍の統治は停止させ、今は政府が担い動かしているのだ。

怪我がないなら戻り制圧に協力してくれないか?』

『・・・』
『戻した隊員を部隊へ戻し動かせばよいのでは?』
『・・・アヤか?』

『はい、話を止め失礼致しました。隣におり聞いてます・・・代表で一名残し、その隊員から全てを聞いた方が良いかと』

『部隊の強化なら戻し動かした方が早いはずです』
『・・・君らが上手と聞いたのでな・・・戻れないか・・・』

『なら先に、こちらの方々と話をされては?』
『・・・オールの現状は知るのか?』

『我らは予測し無闇に動かなかっただけです。その間に近隣国が纏まり落ち着いたと聞きました』

『資源は(笑)枯渇していないが、技術の半分が漏洩していた。
軍独自で調べ計画を練ったと報告を受けたのだ・・・』

『寝返った者から?』
『・・・(笑)ユリ、君の父が反対していた者達を説得し報告しに来たのだよ・・・』

『申し訳ありません・・・』
『(笑)構わない。79、80所属の副隊長二人が反乱を起こした事で、裏で調べさせ知ったのだ。
今も(笑)密告者の調べで助かってもいる・・・』

『『『・・・』』』
『(笑)罰してはおらん。
そこの国々は・・・その地を隠したのは数代前の主総だ・・・こちら側と同じ末路を辿って欲しくないと地図から消したのだ』
『でも・・・隣国の地図にも』

『(笑)その頃のトップは隣国と近かった事で賛同し抹消したようだ。

飛行する進化を止めた事で余計に知られずにすんだ・・・ちょうど半分辺りの区域は天候も関係なく荒れる事で船もまた伸びずだった』

『潜水艦なら』
『(笑)そう思うだろうが・・・海底もまた激しく唸っている事は記録にも残されている。

デイナの記録は(笑)消し忘れのようだった・・・来年度に向け、事実を公表し正す事にした』

『賛同した国々はオールを狙い』
『その(笑)オール軍を止めた事で、根回しした無関係の場所から来ているのだ・・・』

『・・・シーラン、サーバル、以外の国でしょうか・・・』
『隣国リールが他国と裏で同盟を結んだと聞いた・・・小国が集まり苦戦しているようだ』

『・・・リール軍のトップが変わってから雰囲気が違い始め』
『理由を知るか?』

『隊員の強化とか・・・
80部隊のキノ副隊長が知ります、報告させて聞かれて下さい』

『今、連絡させた。ユリ』
『はい』
『そこは』
『グラン領地内におります』

『ならグランのトップに詫びようと思う。ベルトを運びなさい』
『・・・お会い出来るか・・・』
『おります・・・』

不意に声にしたのはレイルだった・・・誰かが来始めた事は知ったが、そこまで大勢で来ていたのかと驚いた。

スッと集まっていた兵士達が両側へ退けていく・・・誰かを出迎えるように頭を下げた。

『グランを纏める一人(笑)だが、話あっていると聞いて 代表で来てみました。』
『出向いて下さり感謝します』
『(笑)様子見でしたが・・・』

『・・・声だけだが、これで失礼する。オール国主総オーリガンと申します。
この度の件ですが・・・我が軍の不始末に巻き込み申し訳ありません。謝罪致します・・・』

『それが誰か、全て把握出来ましたかな?』
『残らず。今すぐとも処罰すべき所、我が国が落ち着かず』

『・・・(笑)こちらは助っ人と、事を運ぶ事もでき落ち着けましたので安心されて下さい』

『安堵しました・・・
そこの者から詳細は』
『それは結構です(笑)。オール国が落ち着いた・・・ら・・・』

『(笑)出来るかはベルトの状態次第となりました。
その者達を戻しオールを正常に戻したく・・・』
『(笑)オールの技術なら、いつか』

『通信する何かを(笑)・・・いつの日か、必ず・・・』
『待ってみようと思う(笑)』

『感謝します(笑)・・・
グラン発展に向け手助け出来れば幸いです(笑)・・・』
『(笑)こちらも感謝します』

笑みを浮かべたまま話を続けていた様子でホッとしたが、離し終えれば戻って行った。

ドキンとした自分・・・それは隣にいた里瑠もまた驚いた顔で自分を見始めた。

『何で私まで見た?』
小さな、囁くような声で呟いた里瑠に 分からないと首をふる綾音だった。

『・・・アヤ』
『はい?』
不意に背からユリの声がし振り向いた。

『貴女、誰かと近く・・・将軍と?近くなったの?リルも?誰かと?』
『『・・・』』

『こっちはプライベートも何もない国なの?』
『『・・・知るわけない』』
『・・・知ったから見て確認していったんでしょ・・・』

『それより』
『何よ』
『・・・ユリ隊長・・・寝てばっかだったから?鈍りました?』

『だから何がよ!』
『通信!』
『電話!切られましたよ!』
『あ・・・・・なんで?』
『こっ壊れた?』
『『・・・』』

驚き声もでなかったが、暫くして電話が来た・・・笑いながらベルトに触れたが、声はなく笑い声だった事に苦笑いだ。

『(笑)アヤ、怪我は?してないか?』
『キー副隊長?』

『そうだ(笑)呼ばれて来てみたら主総が笑いながら出て行って驚いたぞ。
もしかしてリルが笑わせたとか?』
『違いますよ!』

『(笑)ん、元気そうで何よりだ』
『(笑)リル!』
『あ(笑)カー副隊長ー。頑張りましたよぉ』

『(笑)偉い偉い。早く戻って来い』
『はーい(笑)』
『ん(笑)。全て装備して帰って来いよ(笑)』
『『えっ・・・』』

キノ副隊長の言葉に驚いた二人が今度はユリを眺め考え始めた。

『ユリ(笑)、久しぶりだ。元気だったか?』
『(笑)貴方達もね。通信にでれるなんて(笑)出世したわね』

『お前も元気そうで(笑)良かった。皆で戻り交戦する(笑)、ユリもフル装備した部下が待ってるぞ』

『それ・・・リールでしょ?』
『正解(笑)、うろちょろしてて邪魔だから頼みたい』
『・・・』

『あー・・・ミナの従姉・・・逃げろって知らせるかな・・・悩むな』
『逃げは上手いんだから 放っておけば?』

『・・・知ってるの?』
『髪色が同じでしょ?無駄に転ぶまで走ってて面白い(笑)』
『・・・正解』

『あ・・・切らないでくれて』
『深く傷はつけないけど面倒なのよ?あれ・・・』

『あれ言うな!追わなきゃ』
『追ってない、リルが邪魔してたじゃん』
『・・・・ごめん』

『喧嘩は後回しよ・・・
剣を返して貰ってから戻ろう』
『・・・・』
隊長のかと驚いたが、あったかとグラン兵士へ目配せた。

『どんな・・・どれでしょう』
一人が呟いた・・・前に皆のだと返して貰ったがユリ隊長の剣は誰も気付かなかった。

『おい!(笑)繋げてるぞ!』
『既に繋げ待機しとく。戻れ(笑)』
『『『・・・(笑)了解』』』
ビッと音がし互いに苦笑いだ。


時間はかかったが探しだしてくれた兵士に感謝し彼女達は迷惑をかけたと頭を下げた。

輪になり互いに笑みを浮かべる彼女達がいた・・・走り込んできた音に笑う里瑠。
『(笑)ばいばい』

三人の姿に笑みを浮かべ・・・里瑠が呟いた・・・スーっと三人の姿が薄くなり消え入った。

頑張れと祈るしか出来なかった・・・見返した彼女が微笑んだ姿を胸に刻むレイルだった。

静かになった牢内・・・驚いた顔は止まらず暫く佇み互いに見あうしかなかった。