東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学生でも手が届く京大入試問題(58)

2019-01-12 12:15:52 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今回は、平成12年度京大入試問題(前期、文系)です。

問題は、
「三角形ABCにおいて辺BC、CA、ABの長さをそれぞれa、b、cとする。この三角形ABCは次の条件(イ)、(ロ)、(ハ)を満たすとする。

(イ) ともに2以上である自然数pとqが存在して、a=p+q、b=pq+p、c=pq+1 となる。
(ロ) 自然数nが存在してa、b、cのいずれかは
   
   である。
(ハ) ∠A、∠B、∠Cのいずれかは60°である。

このとき次の問いに答えよ。

(1) ∠A、∠B、∠Cを大きさの順に並べよ。
(2) a、b、cを求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

図1に、(イ)の条件を示しました。


▲図1.(イ)の条件を示しました

三角形の角の大きさは対辺の長さの順になるので、a、b、cの大きさを調べましょう。

ここで、pとqは2以上の自然数なので、pq+p>pq+1 から、b>c です。

次に、c-a=pq+1-(p+q)=(p-1)(q-1)>0 から、c>a です。

したがって、b>c>a になり、∠B>∠C>∠A が(1)の答えです。

続いて(2)です。

(ハ)の条件から ∠A、∠B、∠Cのいずれかが60°です。

ここで∠A=60°とすると、(1)の結果から∠A+∠B+∠C>3∠A=180°と三角形の内角の和が180°より大きくなるので、∠A≠60°です。

また∠B=60°とすると、∠A+∠B+∠C<3∠B=180°と三角形の内角の和が180°より小さくなるので、∠B≠60°です。

したがって、∠C=60°になります。

そこで図2のように、頂点Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとすると、△ACHは内角が90°、60°、30°の直角三角形になります。


▲図2.頂点Aから辺BCに垂線を下ろし、その足をHとしました

このとき、

から、

です。

ここで、直角三角形ABHに三平方の定理を適用すると、

が成り立ち、これにAB=pq+1と(1)を代入して整理すると、

から

が成り立ちます。

この左辺を因数分解すると、

で、q+1≠0、p-1≠0から
p-q+1=0             [2]
になります。

[2]から
q=p+1
で、これをa、b、cに代入すると、
a=p+q=p+p+1=2p+1
b=pq+p=p(q+1)
 =p(p+1+1)=p(p+2)
c=pq+1=p(p+1)+1     [3]      
になります。

このときaは奇数で、cについては、p(p+1)が偶数なので、cも奇数になります。

したがって(ロ)の条件から、

が成り立ちます。

[4]からpは

の約数なので、

とおき、[4]に代入すると、

になります。

このとき、



の約数なのでk=1になり、したがって、p=2です。

最後に、p=2を[3]に代入すると、
a=2×2+1=
b=2×(2+2)=
c=2×(2+1)+1=
で、これが答えです。


簡単な問題です。