東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

平成29年度都立高校入試問題(10)【共通】

2017-03-31 13:28:51 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

東西に長くのびた前線を伴う南岸低気圧の影響で、気温がぐっと下がりました。さらに明日も下がって、最高気温が10℃に届かない真冬のような寒さになるようです。暖かくして過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度都立高校数学入試問題を取り上げます。

問題は、共通問題に出題された大問2の創作問題で、それは、
「ある中学校で、Sさんが作った問題をみんなで考えた。

 次の各問に答えよ。

[Sさんが作った問題]
下の図1のように、上から順に、1段目に2個、2段目に3個、3段目に4個と、1段ごとに1個ずつマスを増やし、左端のマスが縦にそろうように10段目まで、並べたものを考える。


▲図1.問題図(1)

全ての段の左端のマスに5、右端のマスに-3を入れる。

2段目以降にある両端のマス以外のそれぞれのマスに、1つ上の段にある真上のマスと、その左隣のマスに入っている2つの数の和を入れる。例えば、2段目の中央のマスには、1段目の-3と1段目の5の和である2が入る。

このとき、10段目あるで示したマスに入る数を考えてみよう。

なお、図1は、全て段の左端のマスに5、右端のマスに-3を入れ、両端のマス以外のそれぞれのマスについて、2段目、3段目の順に、3段目まで数を入れた場合を示している。

[問1] [Sさんが作った問題]で、10段目にあるで示したマスに入る数を、次のア~エのうちから選び、記号で答えよ。

     ア -22   イ -19   ウ 37   エ 42

先生は、[Sさんが作った問題]をもとにして、次の問題を作った。

[先生が作った問題]
下の図2は、上から順に、1段目に2個、2段目に3個、3段目に4個と、1段ごとに1個ずつマスを増やし、左端のマスが縦にそろうように5段目まで並べたものである。


▲図2.問題図(2)

図3は、図2において、全ての段の左端マスに1、右端のマスに4を入れ、2段目以降にある両端のマス以外のそれぞれのマスに、1つ上の段にある真上のマスと、その左隣のマスに入っている2つの数の和を入れたものである。


▲図3.問題図(3)

図3のそれぞれの段において、全てのマスに入っている数の和について考えると、
1段目は、1+4=5
2段目は、1+5+4=10=5×2
3段目は、1+6+9+4=20=5×4
4段目は、1+7+15+13+4=40=5×8
5段目は、1+8+22+28+17+4=80=5×16となり、
2段目以降のそれぞれの段において、全てのマスに入っている数の和は、1段目の2個のマスに入っている数の和である5の倍数となっている。

図2において、全ての段の左端のマスに入れる数をa、右端のマスに入れる数をbとし、2段目以降にある両端のマス以外のそれぞれのマスに、1つ上の段にある真上のマスと、その左隣のマスに入っている2つの数の和を入れるとき、5段目にある6個のマスに入っている数の和は、1段目の2個のマスに入っている数の和の16倍となることを確かめなさい。

ただし、a、bは自然数とする。

[問2] [先生が作った問題]で、5段目にある6個のマスに入ってい数をそれぞれa、bを用いた式で表し、5段目にある6個のマスに入っている数の和は、1段目の2個のマスに入っている数の和の16倍となることを証明せよ。」
です。

まず、[問1]です。

n段目の右端から1つ目のマスの数は、n-1段目の右端から1つ目のマスの数から3を引いたものです。

したがって、10段目にあるで示したマスに入る数は、5+(-3)×(10-1)=5-27=-22で、答えは になります。

続いて[問2]です。

全ての段の左端のマスに入れる数をa、右端に入れる数をbとすると、図4のようになります。


▲図4.全ての段の左端のマスにa、右端のマスにbを入れました

ここで、問題に与えられた方法で、図4の空いているマスに数を入れると、図5のようになります。


▲図5.空いているマスに数を入れました

5段目の6個のマスに入っている数は、左から、a、4a+b、6a+4b、4a+6b、a+4b、b で、これらの和は、
a+4a+b+6a+4b+4a+6b+a+4b+b=16a+16b=16(a+b)
です。

一方、1段目の2個のマスに入っている数の和はa+bです。

したがって、5段目の6個のマスに入っている数の和は、1段目の2個のマスに入っている数の和の16倍です。


例年より問題文が長く判り難かったかもしれません。

中学生でも手が届く京大入試問題(31)

2017-03-30 13:46:19 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

厚手のコートを着ていると汗ばむほど暖かい日になりました。ところが、明日から気温が下がり始め、明後日の最高気温は10℃を下回るようです。ここ何日か寒暖差が激しいので、体調に気をつけて過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度京大入試問題(前期、理系)です。

問題は、
「△ABCは鋭角三角形であり、∠A=π/3であるとする。また△ABCの外接円の半径は1であるとする。

(1) △ABCの内心をPとするとき、∠BPCを求めよ。
(2) △ABCの内接円の半径rのとりうる値の範囲を求めよ。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。(π/3=60°です)


▲図1.問題の図を描きました

まず(1)です。

図1で、
∠B+∠C=180°-∠A
       =180°-60°
       =120°
です。

一方、点Pは△ABCの内心なので、
∠ABP=∠PBC=1/2∠B
∠ACP=∠PCB=1/2∠C
で、
∠PBC+∠PCB=1/2∠B+1/2∠C
           =1/2×120°
           =60°
です。

したがって、
∠BPC=180°-(∠PBC+∠PCB)
     =180°-60°
     =120°
で、これが答えです。

続いて(2)です。

図2のように、∠A=60°なので、点Aは、△ABCの外接円(藍色の円)の周上の△ABCが鋭角三角形となる領域にあり、さらに、∠BPC=120°なので、点Pは、辺BCを弦とする円周上(紫色の円)の△ABCの内部で、かつ、△ABCが鋭角三角形となる領域にあります。


▲図2.点AとPはそれぞれ藍色と紫色の円の弧の上にあります

このとき、△ABCの内接円(緑色)の半径rは、線分PHの長さで、点Pは紫色の円の△ABCの内部の領域にあるので、線分PHが最大になるのは、図3のように、点Pが弧BCの中点にあるときです。


▲図3.線分PHが最大になるのは点Pが弧BCの中点のときです

このとき、点Aは辺BCの垂直二等分線上にあり、△ABCは正三角形、つまり、鋭角三角形になり、問題の条件を満たします。

そこで、図3のときの線分PHを求めましょう。

△BPHに着目ずると、これは内角が30°、60°、90°の直角三角形なので、
BP:PH=2:1
です。

一方、BPは△ABCの外接円の半径1なので、
PH=1/2
です。

したがって、△ABCの内接円の半径rの最大値は 1/2 になります。

次に線分PHが小さくなる場合を調べましょう。

点Pが紫色の円の△ABCの内部にある領域で点BまたはCに近づいていくと、△ABCの内接円の半径rは0に近づきますが、そのとき△ABCは鈍角三角形になります。

つまり、点Pは、△ABCが鋭角三角形から直角三角形(∠Bまたは∠Cが90°)になるまでの領域に存在することができます。

そこで図4のように、∠C=90°の場合を調べると、△BPHは内角が15°、75°、90°の直角三角形で、また、PH=PQです。


▲図4.△BPHは内角が15°、75°、90°の直角三角形です

ここで、前回の内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比が登場です。(図5)


▲図5.内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比です

図4で、△ABCは内角が30°、60°、90°の直角三角形なので、
AB:BC=2:√3
が成り立ち、辺ABは△ABCの外接円の直径なので
AB=2
ですから、
BC=√3
です。

すると、
BH:PH=BC-HC:PH
     =BC-PQ:PH
     =√3-PH:PH
です。

一方、図5から、
BH:PH=2+√3:1
なので、
√3-PH:PH=2+√3:1
から、
√3-PH=(2+√3)PH
(3+√3)PH=√3
で、
PH=√3/(3+√3)
  =√3(3-√3)/((3+√3)(3-√3))
  =(3√3-3)/(9-3)
  =3(√3-1)/6
  =(√3-1)/2
です。

したがって、△ABCの内接円の半径rは (√3-1)/2 より大きくなります。

以上から、△ABCの内接円の半径rのとりうる値の範囲は、(√3-1)/2<r≦1/2 で、これが答えです。


簡単な問題です。

直角三角形の辺の比

2017-03-29 13:45:31 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

雲があって、時々陽射しが弱くなりますが、風はなく過ごしやすい日になりました。明日、明後日は同じような天気になりますが、明々後日には南岸低気圧が近づいて、真冬のような寒さになるようです。

さて、今回は直角三角形の辺の比についてです。

図1のような、三角定規の2つの直角三角形の辺の比は、三平方の定理から導くことができますが、定期考査や入試で頻出なので、覚えておくほうがいでしょう。


▲図1.三角定規の2つの直角三角形の辺の比

さらに、難関高校の入試問題には、図2のような、内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比を利用するものもあります。


▲図2.内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比

ところが、この直角三角形の辺の比は、三角定規の2つの直角三角形の辺の比に比べて、単純ではなく、おまけに頻出ではないので、忘れてしまいがちです。(私は覚えていません)

そこで今回は、この直角三角形の辺の比の導き方を紹介したいと思います。

まず図3のような内角が30°、60°、90°の直角三角形ABCの辺ABを、Aの方向に辺ACの長さ延長し、その端点をDとします。


▲図3.直角三角形ABCの辺ABを、Aの方向に辺ACの長さ延長し、その端点をDとしました

そこで、CとDを結ぶと、△ACDは二等辺三角形で、∠CAD=150°なので、∠ACD=∠ADC=15°です。

つまり、△DBCは内角が15°、75°、90°の直角三角形になります。

ここで、△ABCの辺の長さを、AB=√3、BC=1、CA=2とすると、AD=2なので、DB=2+√3です。

そこで、直角三角形DBCに三平方の定理を適用すると、

が成り立ち、これに、DB=2+√3、BC=1を代入して、

から、

です。

最後に、右辺の二重根号を外すと、(因数分解と同じ要領です)

になり、

です。

以上から、内角が15°、75°、90°の辺の比は、1 : 2+√3 : √6+√2 になります。

他にも、△ABCで∠Aの2等分線を引き、角の2等分定理を利用しても求めることができます。


次回は、内角が15°、75°、90°の直角三角形の辺の比を利用する京大入試問題を取り上げます。

中学生でも手が届く京大入試問題(30)

2017-03-28 12:14:34 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

雲一つない青空で、春の陽気が戻ってきました。教室に来る途中にある桜の木に、ちらほらといくつかの花が咲いていました。満開まで間もなくです。

さて、今回は平成29年度京大入試問題(前期、文系)です。

問題は、
「nを2以上の自然数とする。さいころをn回振り、出た目の最大値Mと最小値Lの差M-LをXとする。

(1) X=1である確率を求めよ。
(2) X=5である確率を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

まず、(1)です。

X=1になるのは、(M,L)が、(2,1)、(3,2)、(4,3)、(5,4)、(6,5)の場合です。

ここで、(2,1)になるのは、n回振って出たさいころの目が1か2ということで、これは、さいころをn回降って1または2の目が出る確率から、さいこをn回振ってすべて1の目が出る確率と、さいころをn回振ってすべて2の目が出る確率を引いたものになります。

したがって、(2,1)になる確率P(2,1)は、
P(2,1)=(2/6)^n -(1/6)^n -(1/6)^n
      =(1/3)^n -2(1/6)^n
です。

また、(3,2)、(4,3)、(5,4)、(6,5)も同様なので、
P(2,1)=P(3,2)=P(4,3)=P(5,4)=P(6,5)=(1/3)^n -2(1/6)^n
になり、したがって、X=1である確率は、
5×(1/3)^n -2(1/6)^n=5(1/3)^n -10(1/6)^n
で、これが答えです。

続いて(2)です。

X=5になるのは、(6,1)の場合です。

ここで、図1のように、さいころをn回振ったとき、6の目が出ない事象をAとすると、その余事象(緑色の領域)は、さいころをn回振ったとき、少なくとも1回以上6の目が出る事象になります。


▲図1.緑色の領域が、さいころをn回振ったとき、少なくとも1回以上6の目が出る事象です

同様に、図2に示すように、さいころをn回振ったとき、1の目が出ない事象をBとすると、その余事象(黄色の領域)は、さいころをn回振ったとき、少なくとも1回以上1の目が出る事象になります。


▲図2.黄色の領域が、さいころをn回振ったとき、少なくとも1回以上1の目が出る事象です


したがって、図1の緑色の領域と図2の黄色の領域の重なった領域、つまり図3の青色の領域が、さいころをn回振ったとき、1と6の目がいずれも少なくとも1回以上出る事象になります。


▲図3.青色の領域が、さいころをn回振ったとき、1と6の目がいずれも少なくとも1回以上出る事象です

したがって、X=5になる確率P(6,1)は、
P(6,1)=1-P(A)-P(B)+P(A∩B)
      =1-(5/6)^n -(5/6)^n +(4/6)^n
      =1-2(5/6)^n+(2/3)^n
で、これが答えです。


簡単な問題です。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(123)

2017-03-27 13:14:13 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予報通り、冷たい雨が降る寒い日になりました。最高気温が7℃と冬のようですが、明日は16℃に上がり、春の陽気になるようです。

さて、今回は2006年ジュニア数学オリンピック予選に出題された計算問題を取り上げます。

問題は、
「次の計算をしなさい。

     39×37+41×82+43×80+45×39  」
です。

2桁同士の掛け算を4回やって、それらを足し算してもOKですが、あまり芸がありません。与えられた式を眺めると、40に近い数(39,37,41,43,45,39)と40の2倍(80)とそれに近い数(82)だけなので、ここはA=40とするのがよいでしょう。

すると、与式Xは、
X=(A-1)(A-3)+(A+1)(2A+2)+(A+3)×2A+(A+5)(A-1)
 =(A-1)(A-3)+2(A+!)^2+2A(A+3)+(A+5)(A-1)
になります。

ここで、第1項と第4項を、それらの共通因数A-1で括ると、
X=(A-1)(A-3+A+5)+2(A+1)^2+2A(A+3)
 =(A-1)(2A+2)+2(A+1)^2+2A(A+3)
 =2(A-1)(A+1)+2(A+1)^2+2A(A+3)
です。

続いて、第1項と第2項を、それらの共通因数2(A+1)で括ると、
X=2(A+1)(A-1+A+1)+2A(A+3)
 =2(A+!)×2A+2A(A+3)
です。

さらに、共通因数2Aで括ると、
X=2A{2(A+1)+A+3}
 =2A(3A+5)
です。

ここで、A=40を代入して、
X=2×40×(3×40+5)
 =80×125
 =10×8×125
 =10×1000
 =10000
で、これが答えです。


簡単な計算問題です。

中学生でも手が届く東大入試問題(7)

2017-03-26 12:09:18 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

南岸低気圧の影響で雨が降り、おまけに最高気温が8℃と気が晴れない日(稀勢の里が大怪我してしまったせいもありますが)になりました。天気は明日から回復に向い、明後日には春らしい陽気に戻るようです。

さて、今回は平成29年度東大入試問題(前期、理系)を取り上げます。

問題は、
「座標平面上でx座標とy座標がいずれも整数である点を格子点という。格子点上を次の規則に従って動く点Pを考える。

 (a) 最初に点Pは原点Oにある。
 (b) ある時刻で点Pが格子点(m,n)にあるとき、その1秒後の点Pの位置は、隣接する格子点(m+1,n)、(m,n+1)、(m-1,n)、(m,n-1)のいずれかであり、また、これらの点に移動する確率は、それぞれ1/4である。

(1)点Pが、最初から6秒後に直線y=x上にある確率を求めよ。
(2)点Pが、最初から6秒後に原点にある確率を求めよ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

下図のように、点Pがある格子点にあるとき、1秒後にその格子点の右、上、左、下の格子点に移動します。ここで、これらの4通りの移動をそれぞれA、B、C、Dとしましょう。


▲図.点Pの1秒後の移動をA、B、C、Dとします

(1)では、時刻0秒に原点にあった点Pが、6秒後に直線y=x上にある確率を求めますが、このとき点Pが6秒後に移動できる直線y=x上の格子点は、
(0,0)、(1,1)、(2,2)、(3,3)、(-1,-1)、(-2,-2)、(-3,-3)
になります。

そこで、上の各格子点に移動する場合のA、B、C、Dの組合せを調べていきましょう。

●(0,0)にある確率 (これは(2)の答えになります)
AとC、BとDの2つの移動を組合わせた移動で点Pは元の格子点に戻るので、時刻0秒で原点にある点Pが6秒後に原点(0,0)にあるのは、AとC、BとDの2つの移動を組合わせた移動を、3つ組合わせた場合です。

つまり、
[1] A3回、C3回、B0回、D0回
[2] A2回、C2回、B1回、D1回
[3] A1回、C1回、B2回、D2回
[4] A0回、C0回、B3回、D3回
の移動をした場合になります。

ここで、[1]から[4]のそれぞれの場合の数(同じものを含む順列の数です)を計算すると、
[1] 6!/(3!・3!)=20通り
[2] 6!/(2!・2!・1!・1!)=180通り
[3] 6!/(2!・2!・1!・1!)=180通り
[4] 6!/(3!・3!)=20通り
で、合計400通りです。

一方、A、B、C、Dの確率はいずれも1/4なので、点Pが6秒後に(0,0)にある確率は、400×(1/4)^6=25/256です。

●(1,1)にある確率
AとBを組合わせた移動1回と、AとCまたはBとDを組合せた移動を合わせて2回行った場合、点Pは6秒後に(1,1)に移動します。

つまり、
[5] A1回、B1回、A2回、C2回、B0回、D0回 → A3回、B1回、C2回、D0回
[6] A1回、B1回、A1回、C1回、B1回、D1回 → A2回、B2回、C1回、D1回
[7] A1回、B1回、A0回、C0回、B2回、D2回 → A1回、B3回、C0回、D2回
になり、それぞれの場合の数は、
[5] 6!/(3!・1!・2!)=60通り
[6] 6!/(2!・2!・1!・1!)=180通り
[7] 6!/(1!・3!・2!)=60通り
で、合計300通りです。

したがって、点Pが6秒後に(1,1)にある確率は、300×(1/4)^6=75/1024です。

●(2,2)にある確率
AとBを組合わせた移動を2回、AとCまたはBとDを組合せた異同を1回行った場合、点Pは6秒後に(2,2)に移動します。

つまり、
[8] A2回、B2回、A1回、C1回、B0回、D0回 → A3回、B2回、C1回、D0回
[9] A2回、B2回、A0回、C0回、B1回、D1回 → A2回、B3回、C0回、D1回
になり、それぞれの場合の数は、
[8] 6!/(3!・2!・1!)=60通り
[9] 6!/(2!・3!・1!)=60通り
で、合計120通りです。

したがって、点Pが6秒後に(2,2)にある確率は、120×(1/4)^6=15/512です。

●(3,3)ある確率
AとBを組合わせた移動を3回行った場合、点Pは6秒後に(3,3)に移動します。

つまり、
[10] A3回、B3回
になり、この場合の数は、
[10] 6!/(3!・3!)=20通り
です。

したがって、点Pが6秒後に(3,3)にある確率は、20×(1/4)^6=5/1024です。

また、(-1,-1)、(-2,-2)、(-3,-3)の場合は、(1,1)、(2,2)、(3,3)の場合で、AとC、BとDを入れ替えた場合と同じなので、それらの確率はそれぞれ75/1024、15/512、5/1024になります。

以上から、点Pが6秒後に直線y=x上にある確率は、
25/256+75/1024×2+15/512×2+5/1024×2=320/1024
                                     =5/16
で、これが答えです。

(2)の答えは、上記の「●(0,0)にある確率」で、25/256 です。


n個のもののなかに、p個の同じもの、q個の同じもの、r個の同じもの、・・・があるとき、これらのn個のものを1列に並べる順列の数は、
n!/(p!q!r!・・・)、(p+q+r+・・・=n)になります。頭に入れておくとよいでしょう。

東久留米の学習塾学研CAIスクール 東久留米滝山校
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TEL 042-472-5533

因数分解-「たすきがけ」と置換法-

2017-03-25 11:23:24 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日より少し寒さを感じるものの、よく晴れて過ごしやすい天気になりました。ところが、これも今日までで、明日は最高気温が10℃に届かない花冷えで、春らしい陽気に戻るのは来週末に近い頃になるようです。

さて、今回は因数分解の「たすきがけ」と置換法についてです。

春に高校に進学する塾生は、高校の学習内容を勉強しているのですが、そのなかの数I に「たすきがけ」という因数分解の方法が出てきます。

例えば、

という2次式を因数分解する場合、2次の項の係数の6を1×6、2×3、定数項の値の絶対値を1×8、2×4と2つの整数の積にして、それらの組合せを調べて、
な図を作り、

を見つけます。

このとき、(1,6)と(1,8)、(1,6)と(2,4)、(2,3)と(1,8)、(2,3)と(2,4)の4つの組合せを試行して、上の図を探すわけですが、これが煩雑に感じるとき(例題は簡単ですが)があります。そのようなとき、次の方法を使うのも一手です。

まず、与式に2次の項の係数6を掛けて、

を作ります。

次に、

として、与式を置換すると、

になります。

これを中学でやった方法で因数分解すると、

になり、ここで、Xをxに戻すと、

です。

最後に、初めに掛けた6で割り戻すと、

になり、因数分解できました。


「たすきがけ」と比べると、定数項の値が大きくなるという難点はありますが、組合せを複眼的に調べなくて済むので便利かもしれません。頭にいれておくとよいでしょう。

中学生でも手が届く京大入試問題(29)

2017-03-24 12:51:31 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝の少し冷たい風が昼過ぎには治まって、過ごしやすい春の陽気になりました。明日も同じような天気になりますが、その後南岸低気圧が近づいてきて、日曜日は雨模様になるようです。

さて、今回は平成29年度京大入試問題(前期、理系)です。

問題は、
「nを自然数とする。n個の箱すべてに、[1]、[2]、[3]、[4]、[5]の5種類のカードがそれぞれ1枚ずつ計5枚入っている。各々の箱から1枚ずつカードを取り出し、取り出した順に左から並べてn桁の数Xを作る。このとき、Xが3で割り切れる確率を求めよ。」
です。

漸化式を利用する問題です。

まず、n桁の数Xが、3で割り切れる確率をPn、3で割って1余る確率をQn、3で割って2余る確率をRn とします。

ここで、n+1枚目のカードを加えてn+1桁の数を作ると、これが3で割り切れるのは、
・Xが3で割り切れるとき、n+1枚目のカードが[3]
・Xが3で割って1余るとき、n+1枚目のカードが[2]または[5]
・Xが3で割って2余るとき、n+1枚目のカードが[1]または[4]
の3通りの場合です。

つまり、n+1桁の数が3で割り切れる確率Pn+1 は、
Pn+1=1/5・Pn+2/5・Qn+2/5・Rn       (1)
と表すことができます。

ここで、
Pn+Qn+Rn=1
なので、
Qn+Rn=1-Pn
で、これを(1)に代入して、
Pn+1=1/5・Pn+2/5・(1-Pn)
    =-1/5・Pn+2/5               (2)
です。

(2)の特性方程式
α=-1/5・α+2/5
から、
α=1/3
で、(2)を
Pn+1-1/3=-1/5・(Pn-1/3)
と変形します。

すると、
Pn-1/3=(-1/5)^n-1・(P1-1/3)
で、ここで、P1=1/5なので、
Pn=(-1/5)n-1・(1/5-1/3)+1/3
  =(-1/5)^n-1・(-2/15)+1/3
  =2/3・(-1/5)^n+1/3
になり、Xが3で割り切れる確率は 2/3・(-1/5)^n+1/3 で、これが答えです。     

漸化式の基本問題です。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(203)

2017-03-23 12:53:27 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昼前は弱々しい陽射しでしたが、昼過ぎから段々強くなってきて、それに伴い少しずつ暖かくなってきました。明日も同じような暖かさになりますが、それ以降、気温が下がっていくようです。

さて、今回は平成29年度東大大学院新領域創成科学研究科環境学研究系海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「下のカレンダーのように、第1日が木曜日で月末が31日になる月がある。この月で、研究室に一つしかない実験装置をA、B、C、D、E、Fの6人の学生が使用する計画を立てる。実験装置は1日に1回、1人でしか使えない。各学生の希望は以下のとおりである。


 A: 毎週同じ曜日に続けて4回使いたい。
 B: 7日間続けて使いたい。
 C: 5日間続けて使い、その後いつでもよいので最低1回は使いたい。すべて平日(土・日以外)にしてほしい。
 D: 1日おきに続けて6回使いたい。
 E: 同じ曜日に2回使いたい。
 F: 3回使いたい。

(1) 学生全員の希望を満たしつつ、Eの使用する2回目の日が最も早くなるように計画を立てた場合、Fの使用する3回目の日が最も早くなるのはいつになるか示せ。

(2) 学生全員の希望を満たしつつ、Fの使用する3回目の日が最も早くなるように計画を立てた場合、Eの使用する2回目の日が最も早くなるのはいつになるか示せ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

まず、条件が厳しそうで簡単なA、B、Cを調べましょう。

Bは7日間連続、つまり、日曜日から土曜日まで1日ずつ使い、Cは平日に5日間連続、つまり、月曜日から金曜日まで1日ずつ使います。

したがって、BとCの使う曜日を合わせると、日、土は1日、月、火、水、木、金は2日になります。

また、この月は、日、月、火、水は4日、木、金、土は5日なので、これからBとCの使う曜日を差し引くと、残りは、日は3日、月、火、水は2日、木、金は3日、土は4日になります。

一方、Aは同じ曜日に4日使うので、Aが使う曜日は土曜日になり、AとBが使う日は図1のようになります。


▲図1.AとBが使う日

このとき、Cは平日に5日連続使い、さらに、その後最低1日使うので、図1の左側の第4週(18日からの週)と右側の第5週(25日からの週)はありません。

さらに、Dは1日おきに続けて6回使うので、これは2週間以上に渡ります。

以上から、図1にCとDの使う日を書き加えると、図2のようになります。


▲図2.CとDの使う日を書き加えました

ここで、図2の右側で、Bの使う日を7日間にすると、図3のような4通りの場合があります。


▲図3.Bの使う日を7日間にしました

あとは、(1)(2)の条件に合わせてE、Fの日を決めるだけです。

(1)では、図3で同じ曜日に2日あり、その遅いほうの日が最も早いものがEの2回目の日になります。

これは、図4の左上側のカレンダーで、4日と11日にEが使う場合で、そのとき、Fが最も早く使うのは、1日、2日、13日なので、Fの使用する3回目の日が最も早くなるのは 13日 になります。


▲図4.Eは4日と11日に使うことになります

(2)では、図5の左上側のカレンダーで、1日、2日、4日にFが使う場合ですが、その場合、Eが同じ曜日に2日使えなくなります。


▲図5.Fは2日、4日、11日に使うことになります

そこで、Fが使う日を2日、4日、11日とすると、Eは木曜日の1日と15日に使えるようになり、Eの使用する2回目の日が最も早くなるのは 15日 になります。


楽しい問題です。

平成29年度都立高校入試問題(9)【共通】

2017-03-22 13:56:51 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日の雨から一転して、晴れのいい天気になりました。昨日には桜の開花発表があり、花見の季節が目前です。

さて、今回は平成29年度都立高校数学入試問題を取り上げます。

問題は、共通問題に出題された大問3の1次関数のグラフの問題で、それは、
「図1で、点Oは原点、直線 l は一次関数y=-3x+9のグラフを表している。
 直線 l とy軸との交点をA、直線 l とx軸との交点をBとする。
 直線 l 上にある点をPとする。


▲図1.問題図(1)

次の各問に答えよ。

[問1] 次の[ ]の中の「あ」「い」に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。
     点Pのx座標が-1のとき、点Pのy座標は、[あい]である。

[問2] 図2は、図1において、点Pのx座標が3より小さい正の数であるとき、x軸上にあり、x座標が-12である点をCとし、点Aと点Cを結び、2点C、Pを通る直線をmとした場合を表している。


▲図2.問題図(2)

次の①、②に答えよ。

① 直線mが△ACBの面積を2等分するとき、直線mの式を求めよ。

② 次の[ ]の中の「う」「え」に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。
  図2において、y軸を対称の軸として点Bと線対称な点をDとし、点Dと点Pを結んだ場合を考える。

△CDPの面積が△ACPの面積の2/5倍になるとき、点Pのx座標は、[う]/[え]である。」
です。

まず[問1]です。

直線 l は、y=-3x+9で、点P(-1、p)は、直線 l 上にあるので、
p=-3×(-1)+9
 =12
で、点Pのy座標は 12 です。(あ:1、い:2)

続いて[問2]の①です。

直線mは△ACBの面積を2等分するので、図3のように、点Pは線分ABの中点になり、その座標は、(3/2,9/2)です。


▲図3.点Pは線分ABの中点です

ここで、直線mの式をy=ax+bとすると、これは点Cと点Pを通るので、
0=-12a+b
9/2=3/2・a+b
が成り立ちます。

このa、bについての連立方程式を解くと、a=1/3、b=4なので、直線mの式は、 y=1/3・x+4 です。

最後の②です。

図4のように、点Dの座標は(-3,0)です。そして、点Pの座標(p’,h)としましょう。


▲図4.点Pのy座標をhとしました

すると、
(△CDPの面積)=9×h×1/2
           =9/2×h
です。

一方、
(△ACBの面積)=15×9×1/2
(△CBPの面積)=15×h×1/2
から、
(△ACPの面積)=(△ACBの面積)-(△CBPの面積)
           =15×9×1/2-15×h×1/2
です。

ここで、
(△CDPの面積)=(△ACPの面積)×2/5
なので、
9/2×h=(15×9×1/2-15×h×1/2)×2/5
が成り立ちます。

これを整理して、
9/2×h=27-3h
15/2×h=27
h=18/5
です。

ここで、点P(p’,18/5)は直線 l 上の点なので、
18/5=-3p’+9
p’=9/5
で、点Pのx座標は 9/5 です。(う:9、え:5)


簡単な問題です。

平成29年度都立高校入試問題(8)【共通】

2017-03-21 11:54:57 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

太平洋沿岸を前線を伴った低気圧が移動していて、久しぶりの雨になりました。冬の雨とは違ってそれほど冷たくなく、普段と違って静かで、春雨もなかなかよいものです。明日は一転して快晴になるようです。

さて、今回は平成29年度都立高校数学入試問題を取り上げます。

問題は、共通問題に出題された大問4の平面図形問題で、それは、
「図1で、四角形ABCDは、AB=6cm、BC=12cmの長方形である。
 辺BCを直径とする半円Oの弧BCは、2つの頂点B、Cを通る直線に対して頂点Aと同じ側にある。
 点Pは、辺AD上にある点で、頂点Aに一致しない。
 頂点Bと点Pを結んだ線分と、弧BCとの交点のうち、頂点Bと異なる点をQとする。


▲図1.問題図(1)
 
 次の各問に答えよ。

[問1] 図1において、∠PBC=a° とするとき、弧CQの長さを表す式を、次のア~エのうちから選び、記号で答えよ。
     ただし、円周率はπとする。

    ア 12πa cm   イ 6πa cm  ウ 1/10・πa cm  エ 1/15・πa cm

[問2] 図2は、図1において、頂点Cと点Qを結んだ場合を表している。
     次の①、②に答えよ。


▲図2.問題図(2)

  ① △ABP∽△QCB であることを証明せよ。

  ② 次の[ ]の中の[お][か][き]に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。
    図2において、AP:PD=1:3のとき、
    線分PQの長さは、[お]√[か]/[き] cmである。」
です。

まず、[問1]です。

図3のように、点Oと点Qを直線で結びましょう。


▲図3.点Oと点Qを直線で結びました

このとき、∠QOCと∠QBCは中心角と円周角の関係なので、
∠QOC=2∠QBC
     =2a°
です。

一方、弧BCの長さは、
弧BC=12π/2=6π cm
ですから、弧CQの長さは、
弧CQ=弧BC×2a°/180°
    =6π×2a°/180°
    =1/15・πa cm
で、 が答えです。

次に、[問2]の①です。

図4のように、半円周に対する円周角が直角と、平行線の錯角に気がつけば簡単です。


▲図4.∠BQC=90°です

『 △ABPと△QCBにおいて、
四角形ABCDは長方形なので、
∠BAP=90°
と   
半円周に対する円周角は90°なので、
∠CQB=90° 
から、
∠BAP=∠CQB   (1)

AD//BCで、平行線の錯角は等しいので、
∠APB=∠QBC   (2)

(1)(2)から、2組の角がそれぞれ等しいので、
△ABP∽△QCB 』
です。

最後の②です。

図5のように、AP:PD=1:3から、
AP=3cm
PD=9cm
です。


▲図5.AP=3cm、PD=9cmです

あとは、①の相似関係と三平方の定理を使えば良さそうです。

△ABPに三平方の定理を適用すると、
BP^2=AB^2+AP^2

が成り立ち、ここに、AB=6、AP=3を代入して、
BP^2=36+9
    =45
です。

したがって、
BP=3√5
になります。

一方、△ABP∽△QCBから
AP:BP=QB:CB
が成り立ち、ここに、AP=3、BP=3√5、CB=12を代入して、
3:3√5=QB:12
で、
QB=12√5/5
になります。

したがって、線分PQの長さは、
PQ=BP-QB
   =3√5-12√5/5
   =3√5/5
で、これが答えです。


簡単な問題です。

ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(122)

2017-03-20 12:15:38 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

毎日春らしい陽気が続いています。今夜から天気は下り坂ですが、明後日には回復して、週末にはいよいよ桜の開花になるようです。春真っ盛り目前といったところです。

さて、今回は2017年ジュニア数学オリンピック予選に出題された場合の数の問題を取り上げます。

問題は、
「nを正の整数とする。 xy平面からn個の点を選ぶと、これらは次の条件をみたしていた。

● いずれもx、y座標がともに0以上2017以下の整数である。

● この中から相異なる2点(a,b)、(c,d)を選ぶと、2点の選び方によらず la-cl≠lb-dl をみたす。

このようなことが起こりうるnのうち最大のものをNとしたとき、xy平面から条件をみたすようにN個の点を選ぶ方法は何通りあるか。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

1つ目の条件は、xy平面から選ばれたn個の点が、0≦x,y≦2017を満たす格子点であることを表しています。

2つ目の条件は、図1のように、xy平面上のある格子点(a,b)が選ばれた場合、他の点は、(a,b)を通る傾き±1の直線(紫色の直線)上にないということです。

▲図1.(a,b)が選ばれた場合、他の点は紫色の直線上にありません

これらを基にして、nの最大値Nを調べましょう。

図2のように、点Pを領域の周辺上に置いた場合、点Pを通り傾きが1の直線上(紫色の直線上)と傾き-1の直線上(赤色の直線上)にある格子点には他の点を置くことができません。


▲図2.領域の周上と内部に点を置いた場合を比べます

それに対して、領域の内部に点Qを置いた場合、点Qを通り傾きが1の直線上(紫色の直線上)と傾きが-1の直線上(青色の直線上)に他の点を置くことができません。

ここで、点Pの場合と点Qの場合を比べると、紫色の直線上にある格子点の個数は同じですが、青色の直線上にある格子点の個数は赤色の直線上にある格子点の個数より多く、点Pのように領域の周上に点を置くほうが、点Qのように領域の内部に点を置くよりも、点を置くことができる格子点を多くすることができます。

実際に図3のように、0≦x,y≦2017の領域の周上であるy軸上(0≦y≦2016)とx=2017(0≦y≦2016)に合計2017×2=4034個の点を並べた場合を考えると、これは与えられた条件を満たしています。(2点がともにy軸またはx=2017上にあるとき、la-cl=0で、このとき、1≦lb-dl≦2016、2点がy軸とx=2017に1個ずつあるとき、la-cl=2017で、このとき、0≦lb-dl≦2016です)


▲図3.y軸上とx=2017上の0≦y≦2016に点を置きました

ここで図4のように、領域の周上にある1個の点を取り除くと、の格子点に点を置くことができるようになりますが、そのなかの1つに点を置くと、で示した格子点に点を置くことができなくなります。


▲図4.領域の周上の格子点に点を置くとき、nを最大にすることができます

つまり、領域の周上の格子点に点を置くとき、点の個数を最大にすることができ、nの最大値Nは4034個になることが判ります。

あとは、領域の周上に4034個の点を置く場合の数を勘定すればお仕舞いです。

図5のように、xy平面上の0≦x,y≦2017の領域の周辺(原点、(2017,0)、(0,2017)、(2017,2017)は除く)に頂点を持つ45°傾いた長方形を考えると、この長方形の対角線上にある2点を選ぶことができます。


▲図5.45°傾いた長方形の対角線上の2点を選ぶことができます

このとき、長方形の個数は2016個で、対角線は2本なので、点の選び方は、2^2016通りです。

さらに、周辺の角に置く点の選び方は、正方形の領域の1つの辺上にある2点の選び方になるので、4通りになります。

したがって、すべての点の選び方は、2^2016×4=2^2018通りで、これが答えです。


楽しい問題です。

平成29年度都立高校入試問題(7)【共通】

2017-03-19 12:20:20 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

春らしい気持ちのいい天気が続きます。予想最高気温は19℃で、午後からさらに暖かくなるようです。明日も同じような陽気で、よい3連休になるようです。

さて、今回は平成29年度都立高校数学入試問題を取り上げます。

問題は、共通問題に出題された大問5の立体図形問題で、それは、
「図1に示した立体A-BCDは、AB=8cm、BC=BD=6cm、∠ABC=∠ABD=90°、∠CBD=60°の三角すいである。


▲図1.問題図(1)

 辺ADの中点をMとする。
 辺BC上にある点をPとし、点Mと点Pを結ぶ。

 次の各問に答えよ。

[問1] 次の[ ]の中の「く」に当てはまる数字を答えよ。

点Pが辺BCの中点となるとき、線分MPの長さは、[く]cmである。

[問2] 次の[ ]の中の「け」「こ」に当てはまる数字をそれぞれ答えよ。

図2は、図1において、辺AC上にある点をQとし、頂点Bと点M、頂点Bと点Q、点Mと点Q、点Pと点Qをそれぞれ結んだ場合を表している。

BP=5cm、AQ=2cmのとき、立体M-QBPの体積は、[け]√[こ]cm3である。」


▲図2.問題図(2)

です。

まず図3のように、与えられた条件を書き入れましょう。


▲図3.与えられた条件を書き入れました


それでは、[問1]から取り掛かりましょう。

[問1]では、図4のように、点Pは辺BCの中点です。


▲図4.点Pは辺BCの中点です

そこで図5のように、点Mから辺BDに垂線を下ろし、その足をNとすると、∠ABD=∠MND=90°からAB//MNです。


▲図5.点Mから辺BDに下ろした垂線の足をNとして、△MPNを調べます


すると、△ABDにおいて、中点連結定理から、点Nは辺BDの中点になり、MN=AB×1/2=4cmです。

続いて、△BCDに着目すると、点P、Nはそれぞれ辺BCと辺BDの中点なので、中点連結定理から、PN//CD、PN=CD×1/2です。

ここで、△BCDは1辺の長さが6cmの正三角形なので、CD=6cmで、したがって、PN=3cmです。

さらに、面ABDと面BCDは垂直に交わっているので、∠PNM=90°で、△PNMは斜辺でない2辺が3cmと4cmの直角三角形です。

以上から、△PNMに三平方の定理を適用して、
MP^2=MN^2+PN^2
    =3^2+4^2
    =9+16
    =25
から
MP=
で、[く]は になります。

次は[問2]です。

三角すいA-BCDの体積から三角すいM-BCDと三角すいA-BMQの体積を差し引いてもよいのですが、後者の体積を計算するのが煩雑そうです。

そこで、ここでは図6のように、△QBPを底面とし、点Mと底面との距離を計算することにしましょう。


▲図6.△QBPを底面とします

まず、底面とする△QBPの面積を計算しましょう。

そこで図7のように、点Qから辺BCに下ろした垂線の足をRとします。


▲図7.底面(△QBP)の面積を計算します

直角三角形ABCに三平方の定理を適用して、
AC^2=AB^2+BC^2
    =8^2+6^2
    =64+36
    =100
から
AC=10cm
です。

次に、△ABC∽△QRCなので、
AB:AC=QR:QC
が成り立ち、ここに、AB=8cm、AC=6cm、QC=AC-AQ=10-2=8cmを代入して、
8:10=QR:8
から
QR=32/5cm
です。

したがって、△QBPの面積は、
(△QBPの面積)=BP×QR×1/2
           =5×32/5×1/2
           =16cm2
です。

続いて、三角すいM-QBPの高さを計算しましょう。

図8のように、辺ABと辺ACの中点をそれぞれSとTとすると、中点連結定理から、MS//DB、MT//DC、ST//BCで、面BCDと面STMは平行で、面ABCと面STMは垂直です。


▲図8.面BCDと面STMは平行で、面ABCと面STMは垂直です

また、△BCD∽△STMなので、△STMは1辺の長さが3cmの正三角形です。

そして、点Mから辺STに下ろした垂線の足をUとすると、線分MUの長さが点Mと面BPQとの距離になります。

ここで、線分MUの長さは、1辺3cmの正三角形の高さなので、
MU=3√3/2cm
です。

以上から、三角すいM-QBPの体積は、
(三角すいM-QBPの体積)=(三角BPQの面積)×MU×1/3
                  =16×3√3/2×1/3
                  =8√3cm3
で、[け]は 、[こ]は が答えです。


簡単な問題です。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(202)

2017-03-18 10:58:28 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

空に薄い雲がかかっていますが陽射しは十分で、気持ちのいい陽気になりました。明日は晴天で、気温も20℃近くになるようです。

さて、今回は平成29年度東大大学院新領域創成科学研究科環境学研究系海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「段数が無限大の階段がある。ある人が、最初の0段目にいて、コインを投げて表が出たら1段上がって立ち止まり、裏が出たら2段上がって立ち止まり、これを繰り返していくとする。ただしコインの表と裏は同じ確率で出るとする。

(1)4段目に立ち止まることがある確率P4を求めよ。

(2)N段目に立ち止まることがある確率PN をNを使った式で示し、Nが非常に大きくなったときにPN が収束する値を示せ。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

(1)では、高々4段目に立ち止まる確率P4を求めるので、以下のようにすべての場合を書き上げて、計算することもできます。

・0段目-(表)-1段目-(表)-2段目-(表)-3段目-(表)- 4段目 [p=1/16]
・0段目-(表)-1段目-(表)-2段目-(裏)-4段目 [p=1/8]
・0段目-(表)-1段目-(裏)-3段目-(表)-4段目 [p=1/8]
・0段目-(裏)-2段目-(表)-3段目-(表)-4段目 [p=1/8]
・0段目-(裏)-2段目-(裏)-4段目 [p=1/4]
から、
P4=1/16+1/8+1/8+1/8+1/4=11/16
です。

また、下図のように、漸化式を使って計算することもできます。


▲図.漸化式を使って計算します

N段目に立ち止まるのは、N-1段目でコインが表の場合とN-2段目でコインが裏の場合ですから、各段に立ち止まる確率をPN、PN-1、PN-2とすると、

が成り立ちます。

ここで、N=4とすると、
P4=1/2・P3+1/2・P2
  =1/2・(1/2・P2+1/2・P1)+1/2・P2
  =3/4・P2+1/4・P1
で、P1=1/2、P2=1/2+1/2・1/2=1/2+1/4=3/4なので、
P4=3/4・3/4+1/4・1/2=9/16+1/8=11/16
で、前の値と同じになりました。

続いて(2)です。

ここは漸化式

からPNを求めます。

特性方程式

の解は、1と-1/2なので、



になります。

これらからPN+1 を消去して、P1=1/2、P2=3/4を代入すると、

になり、PN をNを使った式で表すことができました。

そして、Nが非常に大きくなったとき、(-1/2)^(N-1) は0に近づくので、PN は2/3に収束します。


確率と漸化式についての基本問題です。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(201)

2017-03-17 14:01:04 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昼前は少し風がありましたが、それも治まり、陽射しの強い暖かい日になりました。明日からも同じような陽気が続くようで、行楽日和の3連休です。

さて、今回は平成29年度東大大学院新領域創成科学研究科環境学研究系海洋技術環境学の入試問題です。

問題は、
「A、B、C、Dの4人は全員10歳以上50歳未満である。下の4人の発言より、考えられる年齢の組合せを全て答えなさい。ただし素数に1は含まれない。

 A:私の年齢は素数である。また、A、B、C、D4人の年齢を足し合わせても素数となる。

 B:私の年齢は3つの異なる素数の積で表される。

 C:私は4人の中で一番年上である。また、私とDとの年齢の差は、私とBとの年齢の差の2倍である。

 D:私は4人の中で一番年下である。私とAの年齢の和は素数の2乗となる。」
です。

A、B、C、Dの年齢をそれぞれA、B、C、Dとして、与えられた条件を立式しましょう。

(1) 10≧A,B,C,D<50
(2) A=11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47
(3) A+B+C+D=p (pは素数)
(4) B==30、42 (30=2×3×5、42=2×3×7)
(5) C>A、B、D
(6) C-D=2(C-B)
(7) D<A、B、C
(8) A+D=p’^2 (p’は素数)

(1)から、20≦A+D<100なので、(8)を満たす素数p’は、5または7で、A+D=25 または 49です。

ここから、A+D=25と49で場合分けして調べましょう。

●A+D=25の場合
(1)、(2)、(7)から、A、B、C、Dの組合せ(A,B,C,D)は、
(13,*,*,12)
で、さらに(4)から、
(13,30,*,12)、(13,42,*,12)
になります。

この2つの場合について(6)からCを計算すると、それぞれ、Cは、48と72で、(1)から、Cは48です。

したがって、
(13,30,48,12)
で、この組合せのA、B、C、Dの和は103で、これは素数なので(3)を満たします。さらに、この組合せは、(5)、(7)も満たしています。

●A+D=49の場合
(1)、(2)、(7)から、
(29,*,*,20)、(31,*,*,18)、(37,*,*,12)
で、さらに(4)から,
(29,30,*,20)、(29,42,*,20)、(31,30,*,18)、
(31,42,*,18)、(37,30,*,12)、(37,42,*,12)
になります。

これらの6つの場合について、(6)からCを計算すると、それぞれ、Cは、40、64、42、66、48、72で、(1)からCは、40、42、48です。

したがって、
(29,30,40,20)、(31、30、42、18)、(37,30,48,12)
で、これら組合せのA、B、C、Dの和は、それぞれ119、121、127で、このなかで127が素数なので、
(37,30,48,12)
が(3)を満たします。さらに、この組合せは、(5)、(7)も満たしています。

以上から、与えられた条件を満たすA、B、C、Dの年齢の組合せは、
(13,30,48,12)(37,30,48,12)
で、これが答えです。


119(=7×17)で素数ではなく、103、127は素数であることを知っていれば簡単な問題です。