東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

中学入試問題H29(12)【灘中】

2017-01-31 12:46:25 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と比べるとぐっと気温が下がりましたが、外出時に手袋が絶対必要というほどでもなく、なれなりの寒さになりました。これからしばらく冬日もなく、同じような天気が続くようです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「図1のような長方形の細長い紙を3つの折り目で折り込み、図2のようにしました。5個の点A、B、C、D、Eを頂点とする五角形は正五角形です。また、点FはAEの真ん中の点です。


▲図1.問題図



▲図2.問題図


(1)紙を折り込むと、下の図すべての黒点は図2の点A、B、C、D、Eのどれかの位置に来ます。9か所の空欄にA、B、C、D、Eのうち当てはまるものをを記入しなさい。


▲解答図(1)


(2)図2の紙を直線CFに沿ってはさみで切るとき、切り口を下の図に書き込みなさい。なお、下の図の黒点は(1)の図と同じ位置にあります。」


▲解答図(2)
   
です。

早速、取り掛かりましょう。

(1)は図3のように、図1の上と下の辺をなぞっていけばOKでしょう。


▲図3.上の辺(青色)と下の辺(緑色)をB、Cの左から出発してなぞりました

その結果、上の辺では、B→A→C→B→Dになり、下の辺では、C→E→D→A→Eになります。

したがって、答えは図4です。


▲図4.(1)の答え

続いて(2)です。

まず図5のように、正五角形に折り込んだものを手前から1枚ずつ切り取りましょう。


▲図5.正五角形に折り込んだものを手前から1枚ずつ切り取りました

そして図6のように、これらの切り取った4つの部分を元の紙の状態に並べ替えます。


▲図6.切り取った4つの部分を元の紙の状態に並べ替えました

これらの4つの部分をくっつけると、図7のようになり、これが(2)の答えです。


▲図7.(2)の答え



面白い問題です。

中学入試問題H29(11のつづき)【灘中】

2017-01-30 11:46:50 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予想最高気温の20℃には届かないようですが、晴れてとても暖かい日になりました。夕方から冷え込んで、明日から寒い日が続くようです。とは言っても、今週末が立春で、今シーズンの寒さの底は抜けつつあります。

さて、今回は前回の平成29年度灘中入試問題のつづきです。

問題は、
「[1]、[2]、[3]、[4]と書かれた4枚のカードが横一列に並んでいます。この列に、次のA、B、Cのうちのいずれか1つだけを行うことを1回の操作として、この操作を繰り返し行います。

  A:左端にあるカードを、左から2番目にあるカードと左から3番目にあるカードの間に移動させる。
  B:左端にあるカードを、左から3番目にあるカードと左から4番目にあるカードの間に移動させる。
  C:左端にあるカードを、右端に移動させる。

[1][2][3][4]の順にカードを並べた状態から、この操作を始めます。
例えば、BACの順に操作を行うとカードの並びは
[1][2][3][4]→[2][3][1][4]→[3][2][1][4]→[2][1][4][3]
と変化します。

(1)この操作を3回繰り返し行うことにします。

 (ア)ACBの順に操作を行った後のカードの並びは[ ][ ][ ][ ]です。

 (イ)操作を3回行う方法は、各回ごとにA、B、Cのどれを選択するかで、全部で27通りあります。このうち、3回の操作後に左端のカードが、
    [4]であるような操作の方法は(  )通り、
    [3]であるような操作の方法は(  )通り
    [2]であるような操作の方法は(  )通り
    [1]であるような操作の方法は(  )通りあります。

 (ウ)27通りの操作方法のうち、例えばAAAのときも、BABのときも、操作後のカードの並びは[2][1][3][4]となります。このように2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びで[2][1][3][4]以外のものは、[ ][ ][ ][ ]と[ ][ ][ ][ ]です。

(2)この操作を3回繰り返し行うと左端のカードが[2]になり、さらに3回繰り返し行うとカードの並びが[1][2][3][4]となるような計6回の操作方法は全部で何通りありますか。

(3)この操作を6回繰り返した後、カードの並びが[1][2][3][4]となるような6回の操作方法は全部で何通りありますか。」
です。

前回の結果をまとめておくと、
(★1)2通りの操作方法(一連の3回の操作)で、同じカードの並びになるのは、
・[1][2][3][4]-AAA または BAB→[2][1][3][4]
・[1][2][3][4]-AAB または BAA→[2][3][1][4]
・[1][2][3][4]-AAC または CAA→[2][3][4][1]
で、これらのいずれの場合も、操作前の左から2番目のカードは、操作後に左端になります。

(★2)2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びは3通りとあり、それらは、すべて左端のカードが[2]であるような操作方法で実現されるので、左端のカードが[1]、[3]または[4]である操作方法には重複がありません。

さらに、左端にあるカードを除いた3枚のカードの並べ方は3書ける2×1=6通りなので、左端のカードが[1]、[3]または[4]である操作方法によって、すべてのカードの並び方を実現できます。

(★3)操作を3回繰り返して行うと左端が[2]になるのは、
AAA⇒[2][1][3][4]
AAB⇒[2][3][1][4]
AAC⇒[2][3][4][1]
BAA⇒[2][3][1][4]
BAB⇒[2][1][3][4]
BAC⇒[2][1][4][3]
CAA⇒[2][3][4][1]
CAB⇒[2][4][3][1]
CAC⇒[2][4][1][3]
の9通りです。

それでは(2)に取り掛かりましょう。

(★3)の9通りのカードの並びに操作を3回繰り返して、カードの並びを[1][2][3][4]にするには、
【1】 [2][1][3][4]、 [2][1][3][4]、 [2][1][4][3]に、(1)の(イ)の「左端のカードが[2]であるような操作の方法」を施す、 
【2】 [2][3][1][4]、 [2][3][1][4]、 [2][4][1][3]に、「左端のカードが[3]であるような操作の方法」を施す、
【3】 [2][3][4][1]、 [2][3][4][1]、 [2][4][3][1]に、「左端のカードが[4]であるような操作の方法」を施す必要があります。

【1】の[2][1][3][4]にAAAを施すと、[1][2][3][4]になり、(★3)のなかのBABは、AAAと同じカードの並びを実現するので、[2][1][3][4]にBABを施しても[1][2][3][4]になります。

したがって、[1][2][3][4]から、[2][3][1][4]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、4通りになります。

次に、【1】の[2][1][4][3]にBACを施すと、[1][2][3][4]になりますが、(★3)のなかにBACと同じカードの並びを実現するものはありません。

したがって、[1][2][3][4]から、[2][3][4][1]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、1通りになります。

【2】と【3】のカードの並びについては、(★2)から、それらを[1][2][3][4]にする操作方法は、それぞれについて1通りです。

したがって、[1][2][3][4]から、【2】と【3】のカードの並びを経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、6通りになります。

以上から、操作を3回繰り返して行うと左端のカードが[2]になり、さらに3回繰り返して行うとカードの並びが[1][2][3][4]になるような計6回の操作方法は全部で4+1+6=11通りで、これが答えです。

続いて(3)です。

ここでは(2)と同じように、3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[1]、[3]または[4]の場合で分けて調べるのがよいでしょう。

●3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[1]の場合
続いて施す3回の操作は、(1)の(ウ)の「左端のカードが[1]であるような操作の方法」で、これによって実現するカードの並びに重複はありません。

したがって、[1][2][3][4]から[1][*][*][*]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は6通りになります。

●3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[3]の場合
この操作を施した後に実現する4枚のカードの並びは、
[3][1][2][4]
[3][1][4][2]
[3][2][1][4]
[3][2][4][1]
[3][4][1][2]
[3][4][2][1]
の6通りです。

[3][1][2][4]にBAAを施すと、[1][2][3][4]になり、(★3)のなかのAABは、BAAと同じカードの並びを実現するので、[3][1][2][4]にBAAを施しても[1][2][3][4]になります。

したがって、[1][2][3][4]から、[3][1][2][4]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、2通りになります。

[3][1][4][2]にCACを施すと、[1][2][3][4]になりますが、(★3)のなかにCACと同じカードの並びを実現するものはありません。

したがって、[1][2][3][4]から、[3][1][4][2]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、1通りになります。

その他の[3][2][1][4]、[3][2][4][1]、[3][4][1][2]、[3][4][2][1]については、続いて施す3回の操作が、(1)の(ウ)の「左端のカードが[3]または[4]であるような操作の方法」になり、これらによって実現するカードの並びに重複はありません。

したがって、[1][2][3][4]から、[3][*][1][*]または[3][*][*][1]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、合わせて4通りになります。

以上から、3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[3]の場合の操作方法は、2+1+4=7通りになります。

●3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[4]の場合
この操作を施した後に実現する4枚のカードの並びは、
[4][1][2][3]
[4][1][3][2]
[4][2][1][3]
[4][2][3][1]
[4][3][1][2]
[4][3][2][1]
の6通りです。

[4][1][2][3]にCAAを施すと、[1][2][3][4]になり、(★3)のなかのAACは、CAAと同じカードの並びを実現するので、[4][1][2][3]にAACを施しても[1][2][3][4]になります。

したがって、[1][2][3][4]から、[4][1][2][3]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、2通りになります。

[4][1][3][2]にCABを施すと、[1][2][3][4]になりますが、(★3)のなかにCABと同じカードの並びを実現するものはありません。

したがって、[1][2][3][4]から、[4][1][3][2]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、1通りになります。

その他の[4][2][1][3]、[4][2][3][1]、[4][3][1][2]、[4][3][2][1]については、続いて施す3回の操作が、(1)の(ウ)の「左端のカードが[3]または[4]であるような操作の方法」になり、これらによって実現するカードの並びに重複はありません。

したがって、[1][2][3][4]から、[4][*][1][*]または[4][*][*][1]を経由して、[1][2][3][4]にする計6回の操作方法は、合わせて4通りになります。

以上から、3回の操作を繰り返した後の左端のカードが[4]の場合の操作方法は、2+1+4=7通りになります。

ここで、いままでの結果をまとめると、
[1][2][3][4]から[1][*][*][*を経由して[1][2][3][4]になる計6回の操作方法は、6通り、
[1][2][3][4]から[2][*][*][*を経由して[1][2][3][4]になる計6回の操作方法は、11通り、
[1][2][3][4]から[3][*][*][*を経由して[1][2][3][4]になる計6回の操作方法は、7通り、
[1][2][3][4]から[4][*][*][*を経由して[1][2][3][4]になる計6回の操作方法は、7通りであることが判りました。

したがって、操作を6回繰り返した後、カードの並びが[1][2][3][4]になるような6回の操作方法は全部で6+11+7+7=31通りで、これが答えです。


長くなってしまいましたが、調べている内容は簡単なので、解答時間はそれほどかからないでしょう。

中学入試問題H29(11)【灘中】

2017-01-29 12:44:05 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

前線を伴った低気圧が本州を横切って東に進むので雲の多い空模様になりました。明日も曇りがちの天気ですが、予想最高気温は20℃と暖かい日になるようで、楽しみなことです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「[1]、[2]、[3]、[4]と書かれた4枚のカードが横一列に並んでいます。この列に、次のA、B、Cのうちのいずれか1つだけを行うことを1回の操作として、この操作を繰り返し行います。

  A:左端にあるカードを、左から2番目にあるカードと左から3番目にあるカードの間に移動させる。
  B:左端にあるカードを、左から3番目にあるカードと左から4番目にあるカードの間に移動させる。
  C:左端にあるカードを、右端に移動させる。

[1][2][3][4]の順にカードを並べた状態から、この操作を始めます。
例えば、BACの順に操作を行うとカードの並びは
[1][2][3][4]→[2][3][1][4]→[3][2][1][4]→[2][1][4][3]
と変化します。

(1)この操作を3回繰り返し行うことにします。

 (ア)ACBの順に操作を行った後のカードの並びは[ ][ ][ ][ ]です。

 (イ)操作を3回行う方法は、各回ごとにA、B、Cのどれを選択するかで、全部で27通りあります。このうち、3回の操作後に左端のカードが、
    [4]であるような操作の方法は(  )通り、
    [3]であるような操作の方法は(  )通り
    [2]であるような操作の方法は(  )通り
    [1]であるような操作の方法は(  )通りあります。

 (ウ)27通りの操作方法のうち、例えばAAAのときも、BABのときも、操作後のカードの並びは[2][1][3][4]となります。このように2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びで[2][1][3][4]以外のものは、[ ][ ][ ][ ]と[ ][ ][ ][ ]です。

(2)この操作を3回繰り返し行うと左端のカードが[2]になり、さらに3回繰り返し行うとカードの並びが[1][2][3][4]となるような計6回の操作方法は全部で何通りありますか。

(3)この操作を6回繰り返した後、カードの並びが[1][2][3][4]となるような6回の操作方法は全部で何通りありますか。」
です。

長い問題文です。早速、取り掛かりましょう。

(1)の(ア)については、実際に操作して答えを求めましょう。

[1][2][3][4]にAを施すと、[2][1][3][4]で、続いてCを施すと、[1][3][4][1]で、最後にBを施すと、[3][4][1][2]になります。

したがって、[3][4][1][2]が答えです。

次に(1)の(イ)です。

3回の操作後に[*]が左端になるためには、2回の操作後に[*]が左から2番目にある必要があり、3回目の操作はA、B、Cのいずれでも構いません。これを基にそれぞれの場合を調べていきましょう。

まず、[4]が左端になる場合です。

初めの状態([1][2][3][4])で、[4]は右端にあり、1回目の操作がAまたはBのとき、[4]の位置は変わらず、2回の操作後に左から2番目になることはありません。

つまり、1回目の操作はCでなければならず、2回目の操作でBまたはCを施せば、2回の操作後[4]は左から2番目になります。

したがって、[4]が3回の捜査後に左端になるのは、CBA、CBB、CBC、CCA、CCB、CCCの6通りで、これが答えです。

[3]が左端になる場合です。

1回目の操作がBまたはCのとき、[3]はその操作後に左から2番目になり、2回の操作後に左から2番目になることはありません。

つまり、1回目の操作はAでなければならず、2回目の操作でBまたはCを施せば、2回の操作後[3]は左から2番目になります。

したがって、[3]が3回の操作後に左端になるのは、ABA、ABB、ABC、ACA、ACB、ACCの6通りで、これが答えです。

[2]が左端になる場合です。

1回目の操作がA、B、Cのいずれの操作でも、その操作後[2]は左端になります。その状態から2回目の操作後に左から2番目になるためには、2回目の操作がAでなければなりません。

したがって、[2]が3回の操作後に左端になるのは、AAA、AAB、AAC、BAA、BAB、BAC、CAA、CAB、CACの9通りで、これが答えです。

[1]が左端になる場合です。

1回目の操作がAのとき、[1]は左から2番目になり、2回目の操作後に左から2番目になることはありません。また、1回目の操作がCのとき、[1]は右端になり、2回目の操作後に左から2番目になることはありません。

つまり、1回目の操作はBでなければならず、2回目の操作でBまたはCを施せば、2回目の操作後[1]は左から2番目になります。

したがって、[1]が3回の操作後に左端になるのは、BBA、BBB、BBC、BCA、BCB、BCCの6通りで、これが答えです。

続いて(1)の(ウ)です。

(1)の(イ)の結果から[2]が左端になる3回の操作は9通りであることが判りました。

ところが、[2]以外の[1]、[3]、[4]の3枚のカードの並べ方は、3×2×1=6通りですから、[2]が左端になる3回の操作後の4枚のカードの並び方のうち、3通りが重複していることが判ります。

つまり、2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びでは、左端のカードは[2]になります。

そこで、(1)の(イ)で求めた左端が[2]になる9通りの操作を、[1][2][3][4]に施してみると、
AAA⇒[2][1][3][4]
AAB⇒[2][3][1][4]
AAC⇒[2][3][4][1]
BAA⇒[2][3][1][4]
BAB⇒[2][1][3][4]
BAC⇒[2][1][4][3]
CAA⇒[2][3][4][1]
CAB⇒[2][4][3][1]
CAC⇒[2][4][1][3]
になり、[2][1][3][4][2][3][1][4][2][3][4][1]が重複していることが判ります。

したがって、2通り以上の操作方法で実現できるカードの並びで[2][1][3][4]以外のものは、[2][3][1][4][2][3][4][1]で、これが答えです。


長くなったので、(2)と(3)は次回に調べていきます。

中学入試問題H29(10)【灘中】

2017-01-28 11:56:46 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝の冷え込みが和らぎ晴れの暖かい日になりました。明日も同じような天気が続き、驚くことに、明後日の予想最高気温は20℃です。本当に20℃になるのか楽しみです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「辺ABの長さが8cm、辺ADの長さが6cm、辺AEの長さが5cmである直方体ABCD-EFGHがあります。点Pは辺AB上に、点Qは辺BF上にあり、APの長さは2cmで、BQの長さは3cmです。3点G、P、Qを通る平面Sとこの平面による直方体の切り口Kを考えます。


▲問題図

(1)直方体を平面Sで2つの立体に切り分けたとき、点Cを含む側の立体の体積を求めなさい。

(2)切り口Kの辺PQ上に点Rをとり、RとGを直線で結ぶと、三角形GQRの面積は切り口Kの面積の1/3倍になりました。このとき、(PRの長さ):(RQの長さ)を最も簡単な整数の比で表しなさい。」
です。

早速、取り掛かりましょう。

図1のように、問題の条件を書き入れました。


▲図1.問題を条件を書き入れました

まず、平面Sを調べましょう。

面ABFEと面DCGHは平行ですから、これらの2平面と平面Sとの交線は、図2のように平行になります。


▲図2.2つの交線PQとIGは平行です

これを基に平面PQGを拡げてみると、図3のようになります。


▲図3.平面PQGを拡げました

図3の赤色でマークした平面PQGIは、まだ直方体ABCD-EFGHを2つに切り分けていないので、さらに平面PQGIを拡げると、図4のようになります。


▲図4.さらに平面PQGIを拡げました

これで直方体ABCD-EFGHの平面Sによる切り口K、平面PQGIMが現われました。

あとは、立体PQGIM-PBCDMの体積を計算するだけですが、そのために図5のような直方体LNOT-EFGHをつくるのがよいでしょう。


▲図5.直方体LNOT-EFGHをつくります

このとき、平面LPQGIMは直方体LNOT-EFGHの体積を2等分するので、
(立体PQGIM-PBCDMの体積)=(直方体ABCD-EFGHの体積)-{(直方体LNOT-EFGHの体積)×1/2-(三角錐M-APLの体積)}
になります。

ここで、直方体ABCD-EFGHの体積は8×6×5=240cm3、直方体LNOT-EFGHの体積は8×6×6=288cm3で、三角錐M-APLは図6のようになり、その体積は1×2×1/2×3×1/3=1cm3です。


▲図6.三角錐M-APLです

これらから、
(立体PQGIM-PBCDMの体積)=240-(288×1/2-1)=240-143=97cm3
です。

したがって、直方体を平面Sで2つの立体に切り分けたときの点Cを含む側の立体の体積は97cm3で、これが答えです。

続いて(2)に進みましょう。

図7のように、四角形LQGIは平行四辺形で、切り口Kは五角形PQGIMです。


▲図7.四角形LQGIは平行四辺形で、切り口Kは五角形PQGIMです

そこで平方四辺形LQGIの面積をXとして、切り口K(五角形PQGIM)の面積をXで表しましょう。

図8で、△MLQの面積はX/4で、さらにLP:PQ=1:3なので、△MLPの面積はX/4×1/4=X/16になり、したがって、切り口Kの面積は、X-X/16=15X/16です。


▲図8.切り口Kの面積は15X/16です

一方、△GQRの面積は切り口Kの面積の1/3なので、△GQRの面積は、15X/16×1/3=5X/16です。

図9で、△GQLの面積はX/2で、△GQRの面積が5X/16から、QL:QR=X/2:5X/16=8:5になります。


▲図9.QL:QR=8:5です

図9から、PR=PQ-RQ=[6]-[5]=[1]、RQ=[5]なので、(PRの長さ):(RQの長)=1:5で、これが答えです。

見通しのよい問題です。

中学入試問題H29(9のつづき)【灘中】

2017-01-27 11:48:09 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝は雲が多い空でしたが、昼前から陽が射してきました。残念ながら、気温は昨日の予想を大分下回り3月並みの暖かさにはならず、これから1週間ほど同じような天気が続くようです。

さて、今回は前回のつづきの平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の図で、三角形ABCは直角三角形です。また、四角形BDEC、ACFG、AHIB、EKLF、HGMN、IOJDはすべて正方形です。


▲問題図

(1)六角形DEFGHIの面積を求めなさい。
(2)辺JK、LM、NOの長さをそれぞれ求めなさい。
(3)六角形JKLMNOの面積を求めなさい。     」
です。

前回、(1)と(2)が終わりました。(中学入試問題H29(9)【灘中】

早速、(3)に取り掛かりましょう。

図4のように、六角形JKLMNOを4つの三角形と3つの長方形に分割すると、
(六角形JKLMNOの面積)=(△STUの面積)+(長方形NOTSの面積)+(長方形IRUTの面積)+(長方形LMSUの面積)+(△SMNの面積)+(△TOJの面積)+(△UKLの面積)
です。


▲図4.六角形JKLMNOを4つの三角形と3つの長方形に分割しました

このとき、(長方形NOTSの面積)=12×3=36cm2、(長方形IRUTの面積)=20×5=100cm2、(長方形LMSUの面積)=16×4=64cm2 です。

ここで問題なのが、残りの△STU、△SMN、△TOJ、△UKLの面積です。

まず、△STUの面積ですが、△STU∽△ABCで、その相似比は4ですから、(△STUの面積)=(△ABCの面積)×4^2=6×16=96cm2です。

続いて、△SMN、△TOJ、△UKLの面積ですが、これらはそれぞれ△AGH、△BID、△CEFと合同(3組の辺がそれぞれ等しい)なので、(△SMNの面積)=(△AGHの面積)=6cm2、(△TOJの面積)=(△BIDの面積)=6cm2、(△UKLの面積)=(△CEFの面積)=6cm2 になります。

以上から、
(六角形JKLMNOの面積)=96+36+100+64+6+6+6=314cm2 で、これが答えです。


他にもいろいろな解き方があると思います。興味のある人は調べてみてください。

中学入試問題H29(9)【灘中】

2017-01-26 14:56:43 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日も冬日ですが、日中は昨日より若干暖かくなりました。明日は曇りがちの空模様で、気温はぐっと上がり過ごしやすい日になるようです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の図で、三角形ABCは直角三角形です。また、四角形BDEC、ACFG、AHIB、EKLF、HGMN、IOJDはすべて正方形です。


▲問題図

(1)六角形DEFGHIの面積を求めなさい。
(2)辺JK、LM、NOの長さをそれぞれ求めなさい。
(3)六角形JKLMNOの面積を求めなさい。     」
です。

早速、取り掛かりましょう。

まず、(1)です。

六角形DEFGHIで、直角三角形ABC、AGH、正方形BDEC、ACFG、AHIBの面積は簡単に計算できます。つまり、問題は、三角形BDIとCEFの面積なのですが、図1のように、これらの三角形をBおよびCを中心にして回転させると簡単です。(ジュニア数学オリンピックの簡単な問題(7)


▲図1.△BDIと△CEFを回転させました

このとき、△BDI≡△BD’A、△CEF≡△CE’Aで、BD’=CE’=5cmです。そして、△BD’Aと△CE’Aで、底辺をそれぞれBD’およびCE’としたとき、これらの高さは、Aから辺BCに下ろした垂線の長さになります。

そこで、△ABCの面積を底辺AB、高さACとして計算すると、(△ABCの面積)=3×4×1/2=6cm2 で、さらに、底辺をBCとすると、(△ABCの面積)=5×(Aから辺BCに下ろした垂線の長さ)×1/2=6から、(Aから辺BCに下ろした垂線の長さ)=2.4cm になります。

したがって、△BD’Aと△CE’Aの面積は、どちらも5×2.4×1/2=6cm2 です。

以上から、
(六角形DEFGHIの面積)=(△ABCの面積)+(△AGHの面積)+(正方形BDECの面積)+(正方形ACFGの面積)+(正方形AHIBの面積)+(△BD’Aの面積)+(△CE’Aの面積)=6+6+25+16+9+6+6=74cm2 で、これが(1)の答えです。

続いて(2)です。

図2のように、AB、AHに垂直(平行)な補助線を引き、合同な三角形を調べると簡単です。


▲図2.AB、AHに垂直(平行)な補助線を引きました

このとき、PQ=HI=3cm で、△AGH≡△PHNから、NP=HA=3cm、PH=AG=4cm です。

すると、QI=PH=4cm で、△QOI≡△RIDから、RD=QI=4cm です。

また、△RBD≡△ABCから、BR=3cm で、したがって、RI=6cm になります。

ここで、△QOI≡△RIDですから、QO=RI=6cm です。

以上から、NO=NP+PQ+QO=3+3+6=12cm になります。

JK、LMについても同様にして求めてもOKですが、ここでは、図3のように、台形IHNO、EDJK、GFLMを△ABCにくっつけて△STUを作ってしまいましょう。


▲図3.△STUを作りました

ここで、AB//ST、BC//TU、CA//USなので、△ABC∽△STUで、さらにAB=3cm、NO=12cmなので、この相似比は4です。

したがって、JK=TU=BC×4=20cm、LM=US=CA×4=16cm です。

以上から、(2)の答えは、JK=20cm、LM=16cm、NO=12cm です。

最後の(3)ですが、時間がなくなってしまったので、次回にさせて頂きます。

中学入試問題H29(8)【灘中】

2017-01-25 14:50:27 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

北風がすっかり治まり、昨日より過ごしやすくなりましたが、空気が冷たく寒い日になりました。明日も冬日で寒い日が続きますが、明後日はぐっと気温が上がるようです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「平面上に辺ABの長さが6cmの直角二等辺三角形ABCの板があり、半径が6cmの円の形をした輪をはじめ下図1の位置に置きます。この輪が、下の①、②、③の順に動き、図1の位置にもどるまでの間に通過する部分の面積は(  )cm2です。ただし、板は動かず、輪の太さは考えないものとします。また、回転の向きは時計の針が回る向きです。


▲問題図


① 点Cの周りに60°回る。
② 点Bの周りに30°回る。
③ 点Aの周りに60°回る。


▲問題図


なお、下図4は、図1、図2、図3の位置にある輪を重ね合わせてかいたものです。」


▲問題図

です。

早速、取り掛かりましょう。

①の移動で輪が通過する部分は、図5の青色部分になります。


▲図5.青色部分が①の移動で輪が通過する部分です

このとき、左下にある円の中心Bと右上にある円の中心PをそれぞれCと結ぶと、∠BCP=60°です。

ここで、半円CPEXを反時計回りに60°回転移動すると、半円CBDAPに重なり、左下の円の弧CPと弦CPで囲まれた部分は、2つの半円に共通なので、半円CPEXと青色部分の共通部分の面積は、半円CBDAPから弧CPと弦CPで囲まれた部分を除いた面積に等しくなります。

つまり、図5の青色部分の面積は、半径12cm、中心角60°の扇形CDEの面積と同じです。

したがって、図5の青色部分の面積は、12×12×3.14×60/360=75.36cm2 になります。

続いて、②の移動です。この移動で輪が通過する部分は、図6の緑色部分になります。


▲図6.緑色部分が②の移動で輪が通過する部分です

このとき、左上にある円の中心Pと右下にある円の中心QをそれぞれBと結ぶと、∠PBQ=30°です。

ここで、緑色部分BCHGYの面積は、半円BQHGYから図形BQHCを除いた部分の面積です。

一方、半円BQHGYと半円BQHGJIAおよび図形BQHCと図形BPIAは合同で面積は等しので、半円BQHGYから図形BQHCを除いた部分の面積は、半円BQHGJIAから図形BPIAを除いた部分の面積と等しくなります。

さらに、図形GHJと図形FIJは合同で面積が等しいので、図6の緑色部分の面積は、半径12cm、中心角30°の扇形BFGの面積と同じです。

したがって、図6の緑色部分の面積は、12×12×3.14×30/360=37.68cm2 になります。

最後に、③の移動です。この移動で輪が通過する部分は、図7の黄色部分になります。


▲図7.黄色部分が③の移動で輪が通過する部分です

このとき、左下にある円の中心Bと右上にある円の中心QをそれぞれAと結ぶと、∠BAQ=60°です。

ここで、半円ABLZを反時計回りに60°回転移動すると、半円AQKBに重なり、右上の円の弧ABと弦ABで囲まれた部分は、2つの半円に共通なので、半円ABLZと黄色部分の共通部分の面積は、半円AQKBから弧ABと弦ABで囲まれた部分を除いた面積に等しくなります。

つまり、図7の黄色部分の面積は、半径12cm、中心角60°の扇形AKLの面積と同じです。

したがって、図7の黄色部分の面積は、12×12×3.14×60/360=75.36cm2 になります。

以上から、①、②、③の移動で輪が通過する部分の面積は、75.36+37.68+75.36=188.4cm2で、188.4が答えになります。


それぞれの移動を調べていけば難しくはないですが、結構骨の折れる問題です。

中学入試問題H29(7)【灘中】

2017-01-24 12:33:56 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日の冷たい風は止んだものの、明日、明後日まで冬将軍が居座り続けるようです。明々後日には東に去って少し暖かくなるのですが、そのあと直ぐに次の寒波が到来です。しばらく寒い日が続きますが、風邪などひかぬよう暖かくして過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「展開図が下の図のような立体の体積は(  )cm3です。ただし、4つの四角形の面はすべて合同な台形です。また、三角形の面のうち、2つは直角二等辺三角形、残り2つは正三角形です。」

▲問題図

です。

まず、見取り図を描きましょう。問題図からイメージするのが難しければ、図1の辺ABを切って、辺BCとBDが重なるように回転させると、少しは簡単になるかもしれません。


▲図1.辺ABを切って、辺BCとBDが重なるように回転させます

すると図2のようになり、緑色の4つの台形が胴体部で、その上下に三角錐がくっついている立体を簡単にイメージできます。


▲図2.緑色の4つの台形が胴体部で、その上下に三角錐がくっついている立体を簡単にイメージできます

これを基に、見取り図を描くと図3のようになります。


▲図3.見取り図です

あとは中央部の立方体と上下の三角錐の体積を計算するだけです。

立方体の体積は、3×3×3=27cm3 です。

上下の三角錐は合同で、その1つの体積は、3×3×1/2×3×1/3=9/2cm3なので、2つで、9/2×2=9cm3です。

したがって、立体の体積は、27+9=36cm3で、答えは36になります。


簡単な問題です。

中学入試問題H29(6)【灘中】

2017-01-23 11:36:49 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

3月の陽気だった昨日とは一転して、冷たい風が吹く寒い日になりました。明日、明後日はもっと寒くなり冬日になるようです。風邪など引かぬよう暖かくして過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「3桁の整数ABCを3/4倍すると3桁の整数BCAになり、さらにBCAを3/4倍すると3桁の整数CABになります。このような3桁の整数ABCは全部で2つあり、(①  )と(②  )です。ただし、①、②の順序は問いません。」
です。

ABC=100A+10B+C、BCA=100B+10C+A、CAB=100C+10A+Bとし、これらから2つの文字の関係を導き、さらに、1≦A、B,C≦9から簡単にA、B、Cを求めることができますが、ここでは別の解き方を試してみましょう。

ABC、BCA、CABは3桁の整数なので、
1≦A,B,C≦9                   (1)
です。

ABC×3/4=BCA、BCA×3/4=CAB   (2)
から
A≧B≧C                       (3)
です。

(2)から
ABC×3=BCA×4、BCA×3=CAB×4
で、3と4は互いに素ですから、ABC、BCAは偶数になり、したがって、
A,Cは偶数                      (4)
です。

(2)から
ABC×3/4×3/4=CAB
ABC×9=CAB×16
で、9と16は互いに素ですから、
ABCは16の倍数                  (5)
です。

さらに、CABは9の倍数なので、
A+B+Cは9の倍数になり、(1)から3≦A+B+C≦27ですから、
A+B+C=9,18,27               (6)
になります。

これから上記した(1)(3)(4)(5)(6)の条件を満たすABCを求めていきましょう。

まず、(4)と(5)の条件から、ABCは2百、4百、6百、8百台の16の倍数で、それらは、
208、224、240、256、272、288、
400、416、432、448、464、480、496、
608、624、640、656、672、688、
800、816、832、848、864、880、896
になります。

ここで(1)の条件を満たさないものを削除すると、
224、256、272、288
416、432、448、464、496
624、656、672、688
816、832、848、864、896
になり、さらに(3)の条件を満たさないものを削除すると、
432、832、864
になります。

最後に、残った3つの数で、(6)の条件を満たさないものを削除すると、
432、864
の2つが残ります。

これらのそれぞれについて、与えられた条件を満たすか調べると、
432×3/4=324、 324×3/4=243
864×3/4=648、 648×3/4=486
となり、条件を満たすことが判りました。

したがって、①、②は432864(順不同)で、これが答えです。


他にも面白い解き方があるかもしれません。興味のある人は調べてみてください。

中学入試問題H29(5)【灘中】

2017-01-22 12:02:33 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日の風もすっかり止んで、暖かく過ごしやすい日になりました。明日からシベリア高気圧が張り出してきて晴れの日が続きますが、少し寒くなるようです。風邪などひかぬよう暖かくして過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「次のように、ある規則にしたがって数が並んでいます。

1,2,1,3,1と1/2,1,4,2,1と1/3,1,5,2と1/2,1と2/3,1と1/4,1,6,3,2,1と1/2,1と1/5,1,7,3と1/2,2と1/3,・・・

このとき、はじめから100番目の数は(①  )です。また、はじめから(②  )番目に3回目の2と1/3が現われます。」
です。

与えられた数列の規則性を見つければ、あとは勘定するだけです。

まず、この数列のなかにある整数と帯分数を仮分数に書き換えてみると、

1/1,2/1,1/1,3/1,3/2,1/1,4/1,2/1,4/3,1/1,5/1,5/2,5/3,5/4,1/1,6/1,3/1,2/1,3/2,6/5,1/1,7/1,7/2,7/3,・・・

になります。

ここで、青色でマークした5/1,5/2,5/3、5/4 に注目すると、どうやら分子が同じで、分母が分子より小さい数のグループが並んでいるようです。

そこで、再度、数列を見直すと、

2/2,2/1,
3/3,3/1,3/2,
4/4,4/1,4/2,4/3,
5/5,5/1,5/2,5/3,5/4,
6/6,6/1,6/2,6/3,6/4,6/5,
7/7,7/1,7/2,7/3,・・・          (★)

となり、規則性が判りました。

それでは、100番目の数を求めましょう。

(★)の数列で、分子がkの分数の集まりをkグループとします。すると、kグループにはk個の数があるので、2からnグループまでに含まれる分数の個数S(n)は、
S(n)=(2グループに含まれる個数)+(3グループに含まれる個数)+・・・+(nグループに含まれる個数)
    =2+3+・・・+n
です。

そこで、足し算を繰り返して、Sを計算していくと、
 n  S(n)
 2    2
 3    5
 4    9
 ・    ・
 ・    ・ 
 ・    ・
12   77
13   90
14  104
になります。(等差数列の和の公式を使ってもOKです)

これから、2から13グループまでの数の個数が90個なので、100番目の数は14グループの10番目であることが判ります。

そこで、14グループの数を1から10番目まで並べると、
14/14,14/1,14/2,14/3,14/4,14/5,14/6,14/7,14/8.14/9,
になり、100番目の数は14/9=1と5/9です。(10番目なので分母は10-1=9で14/9としてもOKです)

したがって、①の答えは1と5/9です。

続いて、2と1/3が3回目に現われる順番を調べましょう。

2と1/3を仮分数に直すと7/3なので、2と1/3が3回目に現われるのは、(7×3)/(3×3)=21/9になり、これは21グループに属します。

そこで、2から20グループまでの数の個数S(20)を計算すると、
S(20)=2+3+・・・+20
     =209(個)
になります。

ここで、21グループに属する数を書き上げていくと、
21/21,21/1,21/2,21/3,21/4,21/5,21/6,21/7,21/8,21/9,・・・
になり、21/9は21グループの10番目であることが判り、全体の数列の209+10=219番目の数になります。(分母が9なので9+1=10番目としてもOKです)

したがって、②の答えは219です。


複雑な規則性ではないので簡単な問題です。

中学入試問題H29(4)【灘中】

2017-01-21 12:59:52 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝には強い風が吹いていましたが、思いのほか冷たくはなく、昼過ぎからそれも治まってきたようです。昨日に比べて、随分暖かくなり、気持ちのいい土曜日になりました。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の図のような、辺の長さがすべて10cmの四角すいO-ABCDがあります。辺OA、OB、OC上に点P、Q、Rを
(OPの長さ)=(ORの長さ)=(   )cm、(OQの長さ)=6cm
となるようにとると、3点P、Q、Rを通る平面上に点Dがあります。」


▲問題図

です。

問題図に与えられた条件を書き入れると、図1のようになります。


▲図1.与えられた条件を買い入れました

ここでは、図2のように、四角すいO-ABCDの断面△OBDを調べるのがよいでしょう。


▲図2.四角すいO-ABCDの断面△OBDを調べます

△OBDは、△ABDと合同(3組の辺がそれぞれ等しい)です。

また、△ABDは正方形をその対角線で分割したものですから、△ABDは直角二等辺三角形で、したがって、△OBDも直角二等辺三角形になります。

ここで図2のように、OとQからBDに下ろした垂線の足をそれぞれLとMとし、DL(BL)の長さをaとします。さらに、OLとDQの交点をNとします。このとき、OLは面PQRDと面OBDの交線です。

ここから、それぞれの線分の長さを求めていきましょう。

まず、OQ:QB=LM:MB=6:4から、LM=6a/10、MB=4a/10です。

また、△MBQは直角二等辺三角形なので、QM=MB=4a/10です。

一方、△DLNと△DMQは相似なので、DL:NL=DM:QMが成り立ち、これにDL=a、DM=DL+LM=a+6a/10=16a/10、QM=4a/10を代入すると、a:NL=16a/10:4a/10から、NL=a/4です。

このとき、OL=aなので、ON=OL-NL=a-a/4=3a/4になります。

続いて図3のように、四角すいO-ABCDの断面△OACを調べます。


▲図3.四角すいO-ABCDの断面△OACを調べます

ここで、PとRを結んだ直線はNを通り、OP=ORからPR//ACで、△OALと△OPNは相似になります。

このとき、ON:NL=3a/4:a/4=3:1なので、OP:PA=3:1、つまり、OP:OA=3:4です。

ここでOA=10cmですから、OP:10=3:4から、OP=10×3/4=7.5cmになり、これが答えです。


簡単な問題です。

中学入試問題H29(3)【灘中】

2017-01-20 12:57:47 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

心配していた雪はどうやら降らないようですが、大寒らしい厳しい寒さになりました。明日、明後日はぐっと気温が上がって過ごしやすい週末になるようです。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の図のような、同じ大きさの正方形からなるマス目があり、12個の正方形には対角線が引かれています。
 図の正方形の辺や対角線をたどって、最短距離でAからBまで移動する経路の選び方は全部で(①  )通りあります。また、最短距離でAからCまで移動する経路の選び方は全部で(②  )通りあります。」


▲問題図

です。

対角線が引かれているマスが並んでいる領域が2つありますが、これらの領域を下から上に移動する場合、最短距離でAからBまたはCに移動するためには、必ず対角線をたどらなければなりません。

そこで図1に示すように、対角線が引かれているマスの縦線と、それらに関係する不要な線を消してしまいましょう。


▲図1.対角線が引かれているマスの縦線など不要な線を消しました

あとは、図2のように、Aの右側と斜め右上側の分岐点に1(緑色)を書き込んで、残った分岐点に左側と、斜め左下側または下側の数の和(青または赤色)を書き込んでいけば、最短距離でAからBまで移動する経路の選び方は全部で通り、最短距離でAからCまで移動する経路の選び方は全部で70通りであることが判ります。


▲図2.最短距離でAからBまたはCまで移動する経路の選び方はそれぞれ6通りと70通りです

したがって、①は、②は70で、これが答えです。


簡単な問題です。

中学入試問題H29(2)【灘中】

2017-01-19 11:54:30 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

冷たい風が吹いていて、それが明日の厳しい寒さを連想させます。明日の雪は、降ったとしても雪が舞い散る程度で大雪にはならないようです。助かります。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の図で、
      (ACの長さ):(ADの長さ)=1:1
      (ABの長さ):(BEの長さ)=1:2
      (BCの長さ):(CFの長さ)=1:3
です。このとき、三角形ADGの面積は、三角形ABCの面積の(  )倍です。」


▲問題図

です。

3組の線分の長さの比が与えられているので、これらを使っていくつかの三角形の面積比を求め、最後に△ADGと△ABCの面積比にたどり着くといった感じになりそうです。

まず図1のように、与えられた3組の線分の長さの比を書き入れましょう。


▲図1.3組の線分の長さの比を書き入れました

続いて、△ABCの面積をSとして、いくつかの三角形の面積を求めましょう。

△XYZの面積をS(△XYZ)とすると、
AB:BE=1:2 ⇒ S(△ABC):S(△BEC)=1:2 ⇒ S(△BEC)=2S
BC:CF=1:3 ⇒ S(△ABC):S(△CFA)=1:3 ⇒ S(△CFA)=2S
AC:AD=1:1 ⇒ S(△ACE):S(△ADE)=1:1 ⇒ S(△ADE)=3S
           ⇒ S(△ACF):S(△ADF)=1:1 ⇒ S(△ADF)=3S  (★)
で、これらを図2に書き入れました。


▲図2.いくつかの三角形の面積を求めました

ここで、線分FBをB側に延長し、それと線分DEとの交点をHとすると、
AB:BE=1:2 ⇒ S(△ABH):S(△BEH)=1:2
で、S(△ABH)=Tとすると、S(△BEH)=2Tになります。

さらに、
AC:AD=1:1 ⇒ S(△ACH):S(△ADH)=1:1 ⇒ S(△ADH)=S+T
から、
S(△ADE)=S(△ADH)+S(△ABH)+S(△BEH)
       =S+T+T+2T
       =S+4T
です。

一方、(★)から、S(△ADE)=3Sなので、
S+4T=3S
T=S/2
になります。

ここまでの結果を図3に示します。


▲図3.三角形の面積をSで表すことができました

あとは、1つの辺を共有する△ADHと△FDHに注目してAGとFGの比を求め、それを使ってS(△ADG)を計算すればお仕舞いです。

S(△ADH)=3S/2
S(△FDH)=S(△FAC)+S(△ABC)+S(△ABH)+S(△ADH)+S(△FAD)
        =3S+S+S/2+3S/2+3S
        =9S
なので、図4のように、
AG:FG=3S/2:9S
     =1:6
になります。


▲図4.AGとFGの比が判りました

すると、
AG:AF=1:5 ⇒ S(△ADG):S(△ADF)=1:5
で、(★)からS(△ADF)=3Sなので、S(△ADG)=3S/5になり、
S(△ADG)/S(△ABC)=3S/5÷S=3/5
です。

したがって、三角形ADGの面積は、三角形ABCの面積の3/5倍で、これが答えです。


見通しのよい簡単な問題です。

中学入試問題H29(1)【灘中】

2017-01-18 12:40:36 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

2つの前線を伴った低気圧があって、一つは本州を横切り、もう一つは太平洋沿岸を東進しています。これらの影響で、天気は夜から下り坂で、明後日は雪になりそうです。一段と冷え込みが厳しくなるので、風邪などひかぬよう暖かくして過ごしましょう。

さて、今回は平成29年度灘中入試問題を取り上げます。

問題は、
「下の表はある月のカレンダーです。この月の(ア)~(オ)の各週から1日ずつ、すべて異なる曜日の5日を選んでそれぞれ丸で囲みます。丸で囲んだ5つの数の和が81になるのは、(①   )曜日と(②   )の2つの曜日を除いた5つの曜日から5日を選ぶときです。ただし、①、②の順序は問いません。そして、丸で囲んだ5つの数の和が81になる選び方は全部で(③   )通りあります。」


です。

関西、埼玉、千葉では中学入試が始まりました。灘中を代表とする難関中の入試問題はパズルのようで面白いです。今回は、1日目の算数(灘中は1日目と2日目の2回算数の試験があります)で出題された問題(問7)です。

早速、取り掛かりましょう。

カレンダー問題なので、7で割った余りに着目しましょう。

図1に、それぞれの曜日の日を7で割った余りを書き入れました。


▲図1.それぞれの曜日の日を7で割った余りを書き入れました

一方、81を7で割った余りは、
81÷7=11・・・4
なので、その余りは4になります。

したがって、日~土曜日に記した7で割ったときの余りについて、相異なる5つの曜日のそれらの和を、7で割ったときの余りは4にならなければなりません。

そこで、相異なる5つの曜日の余りの和の最小値と最大値を求めましょう。

最小値は、5つの曜日が日~木曜日のときで、0+1+2+3+4=10になります。

また、最大値は、5つの曜日が火~土曜日のときで、2+3+4+5+6=20になります。

つまり、5つの曜日の和は、10以上20以下で、これらの数のなかから、7で割って4余るものは、11と18であることが判りました。

次に、0から6までの数のなかから5つを選んで、それらの和が11または18になる組合せを調べると、11になる組合せは、(0,1,2,3,5)で、18になる組合せは、(1,2,4,5,6)と(0,3,4,5,6)になります。

つまり曜日の選び方は、(日、月、火、水、金)、(月、火、木、金、土)、(日、水、木、金、土)のいずれかになります。(大分絞込みができました)

続いて、上記の3つの場合について、5日の和の最小値と最大値を調べましょう。

●(日、月、火、水、金)の場合
5日の和が最小になるのは、(ア)の週はなるべく右側(土曜日に近い側)を選び、(オ)の週はなるべく左側(日曜日に近い側)を選ぶときで、最大値についてはその逆です。そのようにして選んだ結果を図2に示します。


▲図2.(日、月、火、水、金)の場合の5日の和の最小値と最大値の選び方です

これから、(日、月、火、水、金)の場合の5日の和は81以上81以下で、つまり81と判りました。

●(月、火、木、金、土)の場合
上記と同じようにして選んだ結果を図3に示します。


▲図3.(月、火、木、金、土)の場合の5日の和の最小値と最大値の選び方です

これから、(月、火、木、金、土)の場合の5日の和は88以上88以下で、つまり88と判りました。

●(日、水、木、金、土)の場合
上記と同じようにして選んだ結果を図4に示します。


▲図4.(日、水、木、金、土)の場合の5日の和の最小値と最大値の選び方です

これから、(日、水、木、金、土)の場合の5日の和は88以上88以下で、つまり88と判りました。

以上から、相異なる5つの曜日の和で81になるのは、(日、月、火、水、金)の場合で、除かれる曜日は、木曜日と土曜日になります。

したがって、①、②の答えは、(順不同)です。

続いて、選び方の場合の数を勘定しましょう。

上で最小値と最大値が同じになったことからも判るように、日、月、火、水、金のそれぞれの曜日に対して、(ア)から(オ)の週から1つずつ選ぶとき、どのような選び方をしても5日の和は81になります。したがって、そのような選び方がすべての場合の数になります。

このとき、少し厄介なのが、(ア)の週の日曜日と、(オ)の週の木、金、土曜日です。

そこで、日曜日に当てる日をどの週にするかで場合分けして勘定することにしましょう。

●(オ)の週を日曜日にする場合(28日を選ぶ場合)
(エ)の週からの選び方は4通り、(ウ)の週からの選び方は3通り、(イ)の週からの選び方は2通り、(ア)の週からの選び方は1通りなので、合わせて、4×3×2×1=24通りです。

●(エ)の週を日曜日にする場合(21日を選ぶ場合)
(オ)の週からの選び方は3通り、(ウ)の週からの選び方は3通り、(イ)の週からの選び方は2通り、(ア)の週からの選び方は1通りなので、合わせて、3×3×2×1=18通りです。

●(ウ)の週を日曜日にする場合(14日を選ぶ場合)
(オ)の週からの選び方は3通り、(エ)の週からの選び方は3通り、(イ)の週からの選び方は2通り、(ア)の週からの選び方は1通りなので、合わせて、3×3×2×1=18通りです。

●(イ)の週を日曜日にする場合(7日を選ぶ場合)
(オ)の週からの選び方は3通り、(エ)の週からの選び方は3通り、(ウ)の週からの選び方は2通り、(ア)の週からの選び方は1通りなので、合わせて、3×3×2×1=18通りです。

したがって、すべての選び方は24+18+18+18=78通りで、これが③の答えです。


面白い問題でした。

日本数学オリンピックの難しい問題(14)

2017-01-17 13:34:54 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

寒かった先週末に比べると、大分寒さも和らぎ、少し過ごしやすくなりました。明日も同じような天気になりますが、それ以降雨模様で、明々後日には雪が降るようです。

さて、今回は2002年日本数学オリンピック本選に出題された図形問題を取り上げます。

問題は、
「円C0の周上に相異なる3点A、M、Bがあり、AM=MBが成り立っている。直線ABに関してMと反対側の弧AB上に、点Pをとる。円C0に点Pで内接し、弦ABに接する円をC1とし、C1と弦ABとの接点をQとする。このとき
  点Pのとり方によらず、MPとMQの積 MP・MQが一定である
ことを示せ。ただし、2点X、Yに対し、線分XYの長さをXYで表すものとする。」
です。

早速、図1のように、問題の図を描きましょう。


▲図1.問題の図を描きました(AM=MBを弧AM=弧MBにしました)

ここで図2のように、Mを接点とする接線mを引くと、AM=MBなので、m//ABになります。したがって、MとQは、Pを相似の中心とする相似形の対応する点になり、P、Q、Mは同一直線上にあることが判ります。


▲図2.P、Q、Mは同一直線上にあります

続いて図3のように、AとM、Pを直線で結びます。


▲図3.AとM、Pを直線で結びました

すると、弧AM=弧MBから、∠MPA=∠MAQで、さらに∠AMP=∠QMAなので、△MPA∽△MAQです。

したがって、MP:MA=MA:MQ になり、これから MP・MQ=MA^2 が成り立ち、点Pのとり方によらず、MPとMQの積 MP・MQが一定になることを示すことができました。


見通しのよい問題です。