東久留米 学習塾 塾長ブログ

東京都東久留米市滝山の個別指導型学習塾 塾長白井精一郎のブログ

3変数の整数方程式

2014-09-30 12:29:30 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と同様、秋晴れになりました。昨日に比べて湿度が高いようで、少し蒸し暑く感じます。

先日、東大大学院入試問題で、mn-3m-2n=0 を満たす自然数m、nの組を求める問題を紹介しましたが、今回は変数が3つあるものを紹介します。

問題は、2002年の同志社大に出題されたもので、
「0<x≦y≦z である整数x、y、zについて、
xyz+x+y+z=xy+yz+zx+5
を満たす整数x、y、zをすべて求めよ」
というものです。

これも東大大学院の問題と同様に因数分解すれば簡単です。まず、右辺のxy、yz、zxの項を移項して、
xyz-xy-yz-zx+x+y+z=5
とし、左辺を因数分解すると、
(x-1)(y-1)(z-1)+1=5
より、
(x-1)(y-1)(z-1)=4
を得ます。

ここで、x-1、y-1、z-1 は正の整数で、0≦x-1≦y-1≦z-1 が成り立ち、かつ、4の約数なので、
(x-1、y-1、z-1)=(1、1、4)、(1、2、2)
となります。

したがって、
(x、y、z)=(2、2、5)、(2、3、3)
が正解になります。

実はこの問題には続きがあって、
「0<x≦y≦z である整数x、y、zについて、
xyz=x+y+z  
を満たす整数x、y、zをすべて求めよ」
というものです。

残念ながら、
xyz=x+y+z  (1) 
は、因数分解できないので別の方法を考えなければならないのですが、東大大学院入試問題で示したように、(1)の両辺をxyzで割るのが定番のテクニックです。

すると、
1=1/yz+1/zx+1/xy  (2)
となります。

ここで、0<x≦y≦z なので、
3/z^2≦1/yz+1/zx+1/xy≦3/x^2   (x^2はxの2乗を表します。また、左の不等式は不要です)

したがって、
1≦3/x^2
x^2≦3
より、
x=1
となります。

(1)にx=1を代入すると、
yz=y+z+1   (3)
となり、これは因数分解できるので((y-1)(z-1)=2))簡単に解けるのですが、ここでは(3)の両辺をyzで割って解きます。

1=1/z+1/y+1/yz   (4)
3/yz≦1/z+1/y+1/yz≦3/y

したがって、
1≦3/y
y≦3
となります。

最後に、(3)に、y=1、2、3を代入し、zを求めると、
y=1のとき、
z=z+2
で不適

y=2のとき、
2z=z+3
より、
z=3

y=3のとき、
3z=z+4
より、
z=2
これは、y≦zより不適

となり、正解は、(x、y、z)=(1、2、3)となります。

また、より簡単な解法として、
xyz=x+y+z≦3z
から
xy≦3
を導く方法もあります。

以上のような整数方程式の問題では、因数分解して約数を調べるか、因数分解できなければ、一番次数の高い項で割って不等式を作り、変数の範囲を絞り込むというテクニックを覚えておきましょう。

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」-家督相続-

2014-09-29 11:55:06 | 学習塾塾長の日記
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

秋晴れで、気温26℃、湿度39%と過ごしやすい日になりました。暫く良い天気が続くようです。

昨夜のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」は、聚楽第落首事件、棄誕生と官兵衛の隠居を中心に展開しました。

聚楽第落首事件というのは、天正17年2月25日に聚楽第南門に秀吉を中傷する落書きを発端とする事件で、これに激怒した秀吉が多くの人を処刑します。

この事件については、「多聞院日記」に記述されていて、2月28日には、警備担当の10大名を追放、3月18日には、警備担当者17名を磔としています。

さらに事件の容疑者と目された尾藤次郎右衛門入道道休を自害させ、その妻子や近所に住む町人など無関係な人々も多数処刑します。

その後の5月27日には、淀城で茶々が棄(鶴松)を出産しますが、棄は病弱だったようで、2年後の天正19年8月5日に病気のため亡くなってしまいます。しかし、その2年後の文禄2年8月3日に茶々は捨を産み、この捨が後の豊臣秀頼になります。

さて、主人公の官兵衛ですが、天正17年5月に家督を長政に譲ります。このとき、官兵衛44歳、長政22歳です。

このときの様子を黒田家譜には、
「孝高、秀吉公に被申上けるは、私事病者になり候間、とても長生は仕るまじく候。願くは存生の内、愚息吉兵衛に領地を譲り、吉兵衛が身に引受、拝領の地の仕置を仕らせ、家人共能召つかひ、上の御用に立候様に後見いたし、安堵仕度由、重畳こひ申されけれども、秀吉公あへて許容したまはず。孝高猶黙止がたくて、北の政所をたのみ、内請つよく申されければ、領地を長政にゆづり給ふ事は、願のごとく相かなひけり。」
と記されていて、北の政所(おね)を通じての請願で家督相続が認められます。しかし、官兵衛の隠居は認められず、秀吉の側に居て軍師として働くことになります。

このように急いで家督を長政に譲った背景について、黒田家譜には、
「孝高早く禄をゆづり官職を捨給ふ事は、利欲うすくして昿達なるのみならず。秀吉公其大志と武略すぐれたる事を知て、忌おそれ給ひ、其権臣等も、孝高の功名英才の大に人に過たるを妬む者多ければ、其讒をさけ災をのがれん為也。是明哲にして身を保つの道なるべし。」
とあります。ここで「昿達」というのは、心がひろく,物事にこだわらない・こと(さま)のことで、権臣の代表は三成なのでしょう。

このように家督相続を許された長政は、6月17日に従五位下諸大夫に叙され、甲斐守に任じられます。めでたしめでたしと言ったところでしょうか。

さて、来週は小田原攻めです。ドラマの終盤に北条氏政、氏直親子が出てきましたが、氏政は早雲から数えて4代目にあたる後北条氏当主で、堅城小田原城を拠りどころにして大軍勢の秀吉軍を迎え撃ちます。乞うご期待。

5感を表現する動詞

2014-09-28 10:41:23 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

少し風がありますが、晴れて過ごしやすい天気になりました。少し前の予報では明日は雨模様ということでしたが、新しい予報では暫く晴れが続くようです。

中3の英語で、 “look” の後に形容詞がきて、「~のように見える」という意味になる語法を勉強します。例えば、 “Miki looks happy.”(美紀は幸せそうに見えます)などです。

さらに、この “look” は話し手が視覚から受けた印象を表していますが、他の感覚器官を通して受けた印象を表す動詞には、 
“sound”(~に聞こえる)
“taste”(~な味がする)
“smell”(~な臭いがする)
“feel”(~肌触りがする)
などがあります。 

また、これらの動詞の後ろに形容詞の代わりに名詞を使いたい場合、つまり、「〈名詞〉のように・・・する」を表すには、 動詞の後ろに “like” を置いて、それに名詞を続けます。例えば、 “Miki looks like an actress.”(美紀は女優のようだ) などです。(“taste” と “smell” の場合は、 “like” の代わりに “of” を使うこともできます)

高校入試問題でよく見かけるのは、 “look” と “sound” ですが、5つともしっかり覚えておくと良いでしょう。 

従属接続詞と時制の一致

2014-09-27 11:29:59 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今朝、教室に来るとき、運動会の太鼓の音や花笠音頭が聞こえてきました。秋晴れとはいきませんが、雨にならずに良いことです。

中2の英語では、 “that”、 “when”、 “if”、 “before”、 “after” などの従属接続詞を勉強します。その従属接続詞で従属節が構成されるのですが、従属節の動詞の時制が主節の動詞の時制との関係で決まることを「時制の一致」と呼びます。

例えば、 “I know that he is busy.”(私は彼が忙しいことを知っています) の主節の動詞 “know” を過去形の “knew” にすると、従属節の動詞 “is” を過去形 “was” にして、 “I knew that he was busy.”(私は彼が忙しいことを知っていた)となります。

ところが、上に挙げた2つの例文の従属節の和訳部分は、2つとも 「彼が忙しいこと」となっていて違いはありません。(もっとも、“I knew that he was busy.” を 「私は彼が忙しかったことを知っていた」と訳して従属節の時制を和訳に反映させることもできますが)

それでは、従属接続詞 “before” の例をみてみると、例えば、 “Before I went to New York,I studied English.”(ニューヨークに行く前に、私は英語を勉強した)では、「ニューヨークに行った前に、私は英語を勉強した」とは言いません。

日本語の場合、「前」(“before”)に対しては「いく」(現在形)、 「後」(“after”)に対しては「行った」(過去形)という言い方が普通で、これは英語との大きな違いです。

この理由をマーク・ピーターセン著「日本人の英語」では、英語が「時」のことばかり気にするのに対して、日本語は「時」自体に関しては特に気にせず、いつも「相」のことを気にしているからと述べています。

これを言い換えると、英語にとっては行動と状態の時が最も大事なのに対して、日本語にとっては行動と状態の完了の程度が最も大事であるということです。

つまり、先の例文で、“Before ~”(前) であれば、~した行動の時を問わず、未だ始まらない状態を言っているので、「~した前」にはならない訳で、 “After”(後)であれば、行動の時を問わず、もう終わった状態を言っているので、「~する後」にはならないという訳です。

高校では勉強する時制も増えて、また時制の一致の例外なども勉強することになるので楽しみにしてください。 

「楽しむ」を表す英語

2014-09-26 12:48:49 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

良い天気になりました。気温も28℃くらいになるようで少し汗ばむほどです。

中1の英語教科書に日本語で「楽しむ」という意味の “enjoy” と “have fun” が登場します。その用例は、
“I enjoyed many events.”(私はたくさんの行事を楽しんだ)、 “But I had fun with Kumi.”(しかし、私は久美と楽しんだ)
です。

これらをそれぞれ言い換えると、
“I had fun with many events.”  、 “But I enjoyed myself with Kumi.” となります。

“enjoy” は目的語なしに用いることができないので、「楽しむ」、「楽しく過ごす」と言うとき、 “enjoy oneself” という表現を使います。

中2になると動名詞を勉強し、次のような用例がでてきます。 

“Our class will enjoy cooking and eating them.”(私たちのクラスはそれらを料理して食べることを楽しむでしょう)

これを “have fun” を使って表すと、
“Our class will have fun cooking and eating them.” でOKです。

他の表現には、 “have a good time” や “have a great time” などもあるので覚えておくと良いでしょう。  

“Would you like ~?” と “Do you want ~?”

2014-09-25 11:42:43 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

朝から細雨で、予報では終日降ったり止んだりということでしたが、今は晴れ間も見られます。いずれにしても、明日から週末は晴れになるようです。

中3の英語では、 “Would you like ~?”(~はいかがですか)という丁寧な依頼や申し出をするときによく使われる表現がでてきます。例えば、“Would you like to play tennis with me?”(私とテニスをしませんか)などです。

これを “want” を使って表現すると、 “Do you want to play tennis with me?” となりますが、三省堂「ウィズダム英和辞典」によると、これも聞き手の希望を尋ねる丁寧な申し出としてしばしば用いられる表現になります。しかし、 “Would you like ~?” よりは直接的表現で、イギリス英語よりアメリカ英語で好まれるようです。

この2つの表現の違いを “Oxford Advanced Learner’s Dictionary” で調べてみると、
“Would you like ~? is the most usual polite question form for offers and invitations,especially in BrE.”(“Would you like ~?” は、特にイギリス英語では、申し出や依頼についてのもっとも一般的な丁寧な表現(疑問文形式))
に対して、
“Do you want ~? is less formal more direct. It is more common in NAmE than BrE.”(“Do you want ~?” は、やや堅くなく、より直接的で、イギリス英語よりアメリカ英語でよく使われる)
ということです。

ところが、 “I want you to play tennis.” などの形で聞き手に対する依頼を表現する場合、これは先ほどの疑問文の場合と違ってぶっきらぼうな言い方となり、家族や親しい友人など以外には、 “I would like you to play tennis.” を使うほうが無難ということです。

ついでに、より丁寧な表現としては、 “Would you care ~?” というのがあるのですが、これはとても形式ばった表現で古臭く聞こえるということです。

海外に行ったら取りあえず “would like ~” を使っておけば大きな間違いはないようです。 

“as” と “like” の話

2014-09-24 11:57:13 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今は雲りですが、塾生が来塾するころに雨になるようです。明日も同じような空模様ですが、明後日には晴れ間が見られるようです。

学生のとき、「へーっ」と思ったのが、 “as” と “like” です。両方とも「~のように(な)」と同じような意味を表すのですが、それぞれの品詞は、 “as” が接続詞、 “like” が前置詞です。つまり、 “as” の後ろには、主語と動詞を伴う節がくるのに対し、 “like” の後ろには、名詞や代名詞がきます。

例文として、 “I left as I had promised.”(私は約束通りに出かけた) や “Ⅰ worked like a slave.”(私は奴隷のように働いた) などを挙げることができます。

これだけで終わってくれると簡単な話で、「へーっ」などと思う必要はないのですが、これからが七変化です。(少しオーバーですが)

まず、 “as” の後で節が省略されることもあり、先に挙げた例文が、“I left as promised.” となることもあります。まあ、節の主語が省略されたと思えば大したことはないのですが。

おまけに “as” は前置詞でもあって、 前の2つ目の例文の “like” を
 “as” に置き換えると、 “I worked as a slave.”(私は奴隷として働いた) という意味になります。品詞が違うので、 “as”(前置詞:~として)と覚えておけばOKなのですが。 

実はここが問題で、口語体のアメリカ英語では、 “I can’t cook like my mother can.”(私は母のように料理できない) などのように、 “like” を “as” の代わりに接続詞として使うことが多く、この用法はイギリス英語でも一般的になってきていているところです。今は “like” を接続詞として使うことは誤りとする人もいるので、試験などでは “as” を使うほうが無難ですが、そのうち正しい用法になっていくのでしょう。

ついでに、 古い用法では、 “like as”(ちょうど~のように) や “(as)like as not”(恐らく) もあります。

まとめると、 “like” が接続詞として使われることも多いことを頭に入れておくと良いでしょう。 

中学教科書の英単語今昔

2014-09-23 10:51:17 | 英語の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

予報通り良い天気になりました。お彼岸なので近所の菓子屋におはぎを買いに行ったのですが、日向は結構暑かったです。明日、明後日は、台風の影響で崩れるようですが、それ以降は晴れるようです。

中学校では、今月末から来月初めに2学期の中間試験があります。この中間試験は内申点に大きく影響するので、特に3年生は頑張ってください。

中間試験で思い出したのですが、中学の英語教科書に出てくる英単語も時代とともに変わっていて、「試験」という英単語は、“examination” → “exam” となりました。

“exam” は “examination” の短縮形で、 “Oxford Advanced Learner’s Dictionary” には、 “Examination is a very formal word.”(Examination は、とても格式ばった言葉) とあるので、今は “exam” が普通なのでしょう。

同じように、“bicycle”(自転車) → “bike” 、 “mathematics”(数学)→“math” 、 “refrigerator”(冷蔵庫) → “fridge”  もあります。(“refrigerator” が昔の教科書にあったかは定かではありませんが)

そこで中学のときに使っていた岩波の英和辞典でそれらを調べてみると、
“exam” ⇒《口語》=“examination”
“bike” ⇒《俗》=“bicycle”
“math” と “fridge” は載っていませんでした。

さらに高校で使っていた研究社の辞典では、
“exam” ⇒《口語》=試験。“examination” の省略形
“bike” ⇒《口語》=“bicycle”、“motorcycle”
“math” ⇒《米口語》=“mathematics”
“fridge”⇒《口語》=“refrigerator”
とありました。

因みに、最新の “Oxford Advanced Leaner’s Dictionary 8th edition” では、
“bike”⇒(informal) “a bicycle” とあり、“word origin”(語源)には、19世紀後半、省略形、 とあります。

“math” には、=“mathematics” とあるだけで、 “math” がアメリカ英語、 “maths” がイギリス英語とあります。

“fridge” は、“BrE ”(イギリス英語)で、その語源には、1920年代、省略形、多分、商標名 “Frigidaire” に由来、とあります。この “Frigidaire” は、アメリカの家電製品を製造している会社です。 

一方、 “refrigerator” は、“NAmE or formal” (アメリカ英語、または、堅苦しい言葉) となっています。

昔と今の教科書に出てくる英単語の変化を取り上げましたが、より簡単な省略形の台頭が著しいようで、生徒にすれば喜ばしいことですね。

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」-宇都宮氏滅亡-

2014-09-22 12:02:04 | 学習塾塾長の日記
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

少し暑く感じるほど良い天気で、明日の秋分の日も秋晴れになりそうです。

昨夜のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」では、先週謀殺された宇都宮鎮房に続き、官兵衛に従い肥後に従軍していた鎮房の嫡男朝房も誅されました。黒田家譜にはこの辺りの状況を次のように記しています。

「城井が館即時に攻やぶられ、妻子もみなとられ、忽に彼地平ぎね。中務の父長甫は、豊後をさして落ちゆかんとしけるが、追手をかけてからめとり殺されける。長政は其日中津川へ帰り給ふ。城井が父子一族十三人、中津川に磔にぞかけられける。城井を討たる事を、長政より孝高へ注進給ひければ、城井彌三郎も肥後にて誅せられぬ。抑此城井中務は、其勇猛に誇り、其上城井谷は極てよき要害にて、他所より侵し攻る事なければ、其切所を頼て、ますます近方を掠めけるが、時勢をしらずして、小以大につかふる理をわきまへざる故、公命にしたがはずして叛逆をなし、終に先祖より久しき家をほろぼし、身もほろびけるこそ愚なれ。」

ドラマでは、鎮房の娘鶴姫は逃がされることになりましたが、先の黒田家譜にある中津川での城井一族十三人のなかに含まれていたとする説もあるようです。

この鶴姫は、黒田氏と宇都宮氏との和睦のとき、黒田家に預けられるのですが、その身分が人質という説と長政の側室または正室という説があるのですが、このことについて黒田家譜には、次のように記しています。

「或説に此時長政城井か婿に成給ふといふは虚説なり。是より以前長政既に蜂須賀彦左衛門正勝の息女を娶て内室とし、女子を誕生す。故有て離別し給しは是より後年の事なり。」

わざわざこのようなことを書き記すというのは、何か裏がありそうな気配ですが、少なくとも虚説と言って否定しているということは、これが広く知られていたということの証左でしょう。

また、ここに書かれているように、後日、長政は正室の糸姫と離縁します。これは、秀吉の死後、家康は有力大名との婚姻政策を進め、黒田家に対しては家康の養女(保科正直の娘)栄姫を正室として迎え入れさせます。これ以来、黒田家と蜂須賀家は仲が悪く、150年間に渡り不通大名(絶交した大名同士)となりました。

さて、来週は官兵衛の隠居を中心にストーリーが展開するようです。その後、小田原攻めということになるのでしょう。乞うご期待。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(8)

2014-09-21 11:04:22 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

ここ二、三日でめっきり涼しくなりました。今日は晴れて穏やかな過ごしやすい天気で、滝山名店会では「100円商店街」が催されていて、結構な人出でした。

今日は、平成19年度東大大学院工学系研究科システム量子工学の問題で、
「mn-3m-2n=0 を満たす正の自然数m、n の組をすべてもとめよ」
を取り上げます。

以前に書いたように、東大大学院入試では論理的思考を試すということで、規則性、魔方陣、推理算、暗号などパズルが出題されるのですが、今回の問題は、高1レベルの数学の問題です。(もちろん中学生でも解けますが)

多くの数学の問題には解法パターンがあり、この問題も例外ではありません。与式、
mn-3m-2n=0    (1)

(m-2)(n-3)=6  (2)
と変形します。

さらに、m、nは自然数なので、(2)の左辺の(m-2)と(n-3)は整数となります。つまり、(2)の右辺の6の約数を見つける問題になり、それらを求めると次のようになります。

m-2=±1、n-3=±6→(m、n)=(3、9)、(1、-3)
m-2=±2、n-3=±3→(m、n)=(4、6)、(0、0)
m-2=±3、n-3=±2→(m、n)=(5、5)、(-1、1)
m-2=±6、n-3=±1→(m、n)=(8、4)、(-4、2)

ここで、m、nは自然数なので、満足する組み合わせは、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
になります。

このように解法パターンを知っていれば簡単に解ける訳ですが、それを知らない場合、どのように正解に辿りつくことができるかを考えてみます。

まず、このような自然数や整数の組み合わせを求める問題ではその解が有限個なので、mとnの取り得る範囲を求めて、その範囲にある数が与式を満足するか片っ端から調べて正解に辿りつくことができます。

それでは、(1)からmとnの取り得る範囲を求めてみましょう。初めに、(1)をmn(≠0)で割ると、
1-3/n-2/m=0   (3)
となり、
3/n=1-2/m     (4)
です。

(4)の左辺は正なので、
1-2/m>0
より、
m>2   (5)

nについても同様に、
2/m=1-3/n      (6)

(6)の左辺は正なので、
1-3/n>0
より、
n>3   (7)
となります。

ここで、(3)-3/nと-2/mの項を右辺に移項して、
1=3/n+2/m     (8)

(8)の右辺は、(7)より、n=4のとき最大となるので、
1≦3/4+2/m
より、
1/4≦2/m
故に、
m≦8   (9)
となります。

つまり、(5)と(9)から
2<m≦8  (10)
ここで、mは自然数なので、
m=3、4、5、6、7、8    (11)
とmの取り得る範囲が判りました。

次に、(11を(4)に代入していくと、
m=3のとき、
3/n=1-2/3=1/3 より、n=9
m=4のとき、
3/n=1-2/4=1/2 より、n=6
m=5のとき、
3/n=1-2/5=3/5 より、n=5
m=6のとき、
3/n=1-2/6=2/3 より、n=9/2
m=7のとき、
3/n=1-2/7=5/7 より、n=21/5
m=8のとき、
3/n=1-2/8=3/4 より、n=4
なので、この組み合わせからm、nが自然数のものを選ぶと、
(m、n)=(3、9)、(4、6)、(5、5)、(8、4)
と正解に辿りつきました。

しかし、この解法は、(1)の定数項が0だったので簡単にできましたが、例えば、
mn-3m-2n=1    (12)
のような場合、M=m+1、N=n-2/3 などと置換し、
MN-(7/3)M-3N=0
と変形する必要があります。

それに対して、初めの解法では、(12)を
(m-2)(n-3)=7   (13)
と変形し、(13)の右辺の7の約数を調べればOKなので簡単です。

ということで、m、nが整数で、
mn+pm+qn+r=0
を満たす整数m、nの組を求めよ、という問題に出会ったら、
(m+α)(n+β)=s
と変形し、sの約数を調べるという解法パターンを覚えておくと良さそうです。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(7)

2014-09-20 10:38:54 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今日は終日曇りのようですが、涼しくて過ごしやすいです。予報では暫く雨も降らないようです。

さて、昨日提示した平成20年度東大大学院工学系研究科システム創成学の暗号問題で、それは、
「次の2つの例は、あるルールに基づいて作られた暗号である。
(49,75,113,126,129):key37=labor
(71,45,53,67,112,82):key31=invest
このルールに基づくと、以下の暗号は何と読むことができるか?
(106,112,77,107,92,71):key29=???」
というものです。

まず全体を見渡すと、左にある数列を右にあるアルファベット列に変換するもので、さらに、数列にある数の個数とアルファベット列の文字数が同じであることから、数列の各数がアルファベットに1対1に対応していることが予想できます。

また、等号の左のkeyの数がアルファベット文字数の26より大きいのでkeyの数で数列の各数の剰余がアルファベットに対応していそうです。

ということで与えられた2式について、それぞれの数列にある数のkeyの数による剰余を計算します。

(49,75,113,126,129):key37→(12,1,2,15,18)
(71,45,53,67,112,82):key31→(9,14,22,5,19,20)

あとは、変換した数とアルファベットの対応を考えれば良いわけですが、変換した2つの数列の1つ目にある(*,1,2,*,*)の1、2に注目すると、それぞれに対応するアルファベットが a、bであることが判ります。つまり、アルファベット順に1、2、3、・・・と対応することが予想できます。下表にその対応表を示します。


▲表.数とアルファベットとの対応表

この対応表を使って、先ほど計算した数列をアルファベット列に変換してみると、
(12,1,2,15,18)→(l,a,b,o,r)
(9,14,22,5,19,20)→(i,n,v,e,s,t)
と問題に与えられた式を満たすことが判ります。

そこで最後に、(106,112,77,107,92,71):key29 を復号します。まず、数列の各数のkeyの数29による剰余を計算し、
(19,25,19,20,5,13)
を得ます。

次に表を使ってそれぞれの数をアルファベットに変換すると、
(19,25,19,20,5,13)→(s,y,s,t,e,m) となり、正解はシステム創成学に因んで “system” でした。

このような暗号は古典的なもので換字式暗号と言われます。本問はとてもシンプルなものですが、例えば、数とアルファベットの対応に一ひねり加えると一段と難しくなり、所定時間(10分/1問)で解けなくすることも可能でしょう。入試問題なのである程度正解する人が必要なところが、本来の暗号の持つ目的に反するところです。とは言ってもこれほど簡単では全員正解で、これは入試問題の持つ目的に反しているのかもしれません。

明日は、平成19年度工学系研究科システム量子工学の問題を取り上げます。
「mn-3m-2n=0 を満たす正の自然数m、n の組をすべてもとめよ」

よろしかったら挑戦してみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(6)

2014-09-19 11:38:41 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昨日と同様過ごしやすい日になりました。何人かの塾生が、修学旅行で京都、奈良に行っているので、そちらのほうも雨ではなく良かったです。

今日の問題は、平成17年度工学系研究科システム量子工学の
「図の数字はある規則で並んでいる。Aに入る数字を答えよ」


問題図

というものです。

一見して、各行の隣り合う数の差の絶対値をとると、ほとんど上手くいきます。ただ、1行目の右の2つの数、つまり、162と687については、
|162-687|=525≠30
となって上手くいかないのですが、この辺りはいくらでも方法があります。

例えば、図1のように、3桁の数については、百の位の数を下2桁の数に足して2桁の数に変換する(図1の青字の数)という規則と、先ほどの各行の隣り合う数の差の絶対値をとるという規則を組み合わせれば、求めるべきA(図1の赤字の数)は2となります。


▲図1.3桁の数で百の位の数を下2桁の数に加える規則


ここでちょっと引っかかるのは、上述した2つの規則、つまり、
(1)3桁の数の場合、百の位の数を下2桁の数に加え2桁の数に変換する
(2)各行の隣り合う数の差の絶対値をとる
の(1)を無視しても、言い換えれば、1行目の右の2つの数について(2)の規則が成り立たないことを無視しても、Aが2となってしまうところです。

という訳で、違う規則を探すのですが、そこで目に付くのが右上の687とその下の30です。

1行目の4つの数を比べると687が突出して大きく、2行目の3つの数を比べると、1行目の687ほどではありませんが、30が大きいことが特徴的です。つまり、大きい数から少し大きい数が生じているので各桁の数の和や積が関係していそうと感じるわけです。

そこで、各桁の数の和を作ってみると、1行目の4つの数は、左から順に、
160→7
144→9
162→9
687→21
となり、次に隣り合う数の和をとると、
7+9=16
9+9=18
9+21=30
と2行目の3つの数と一致しました。

新しい規則(各桁の数の和を作り隣り合う2つの数の和を作るという操作を繰り返す)を適用すると、図2にあるように、A=16(図2の赤字の数)となります。


▲図2.各桁の数の和を作る規則

初めの規則と新しい規則を比べると、新しい規則のほうがすっきりしていますが、だからと言って初めの規則が複雑すぎるということもないような気もします。まあ、新しい規則が正解で初めの規則は誤答だと思いますが、実際の採点はどうしたのでしょうか。興味のあるところです。

明日は、平成20年度工学系研究科システム創成学の暗号問題です。

「次の2つの例は、あるルールに基づいて作られた暗号である。
(49,75,113,126,129):key37=labor
(71,45,53,67,112,82):key31=invest
このルールに基づくと、以下の暗号は何と読むことができるか?
(106,112,77,107,92,71):key29=???」

あまりにも簡単なのでつまらないとは思いますが・・・。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(5)

2014-09-18 13:14:49 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

北風が吹いて秋らしい涼しい日になりました。明日も同じような天気ですが、土曜日から雨模様です。

昨日提示した平成19年度工学系研究科システム量子工学の入試問題を見ていきます。問題は、
「暗号文「970」は「○□△☆×」、「2220」は「△□△☆×」、「2930」は「☆△□○×」で表される。このとき、「781」はどのように表されるか」
というものです。

暗号文というと第二次世界大戦当時のドイツの「エニグマ」とか、素数を利用した暗号システムRSAとか想像してしまいますが、それらは普通の試験問題とはいささか縁が薄いようで、入試に出題されるものは簡単な数学規則で数値を数値に変換するようなものでしょう。

実際、この問題も易しくて、直ぐに10進法から5進法への変換かなと予想できました。その理由は、
(1)3桁の970と4桁の2220が同じ数の記号で表されている
(2)記号の種類が5種類
ということです。

(1)については、○と△の桁数が違えば理由にならないのですが、細かいことは気にせず、取りあえず挙げられた数を5進法に変換してみるのが手っ取り早いです。図1に970、2220、2930を10進法から5進法に変換した結果を示します。


▲図1.10進法→5進法

案の定、( (  )10 は、10進法表記、(  )5 は5進法表記を表します)
(970)10→(12340)5
(2220)10→(32340)5
(2930)10→(43210)5
となり、
○=1
□=2
△=3
☆=4
×=0
と解読できました。

次に、(781)10 を5進法に変換し、各桁の数を記号に置き直せば終わりです。図2に(781)10 を5進法に変換する計算を示します。


▲図2.(781)10 の5進法表記

つまり、(781)10=(11111)5 なので、これを記号で表した、○○○○○ が正解となります。

もし、10進法→p進法と予想したならば、
 970=○・p^4+□・p^3+△・p^2+☆・p+×  (1)
2220=△・p^4+□・p^3+△・p^2+☆・p+×  (2)
2930=☆・p^4+△・p^3+□・p^2+○・p+×  (3)
と立式し、(2)-(1)から
2220-970=1250
=2・5^4
=(△-○)・p^4
からp=5を導き出して進める方法もありそうです。

明日は、平成17年度工学系研究科システム量子工学の
「図の数字はある規則で並んでいる。Aに入る数字を答えよ」


問題図

を取り上げます。気が向いたら挑戦してみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(4)

2014-09-17 12:02:03 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

今は曇りですが夜には雨が降りそうで、さらに週末にかけて下り坂ということです。

さて、今回も東大大学院入試問題を取り上げます。問題は、平成20年度工学系研究科環境海洋工学入試の
「以下の数字はある規則に従って並んでいる。(A)に入る値は何か
π/4、49π/36、17π/36、19π/12、25π/36、(A)」
というものです。

5分掛からずに解けた(つもり)ので難しくないと思うのですが、はたしてそれが正解なのかどうか判りません。

では、どのようにアプローチしたかを交えながら進めていきます。

まず、目に付くのが「π」で、左の2項が分子、分母とも平方数になっているのでなんとなく円の面積に関連していそうな気がします。しかし、第3、4項目と平方数からずれてきて、また、円の面積で単調でない変化する例など思い浮かばないので、円の面積については棄却します。(というか図形を使って考えないということで、この数列が円の面積を表していようとどうでもいい話なのですが)

そこで、不要な「π」を取ってしまうと、考えるべき数列は、
「1/4、49/36、17/36、19/12、25/36、(A’)」
となります。

次に目に付くのは、いくつかの項の分母にある「36」で、さらに、第1、4項の分母の「4」、「9」も「36」の約数なので、通分すると、
「9/36、49/36、17/36、57/36、25/36、(A’)」
となり、考えるべき数列は、
「9、49、17、57、25、(A”)」
となります。

実は、この辺りで解けたなと感じていて、とりあえずいつものように階差を調べてみると、
 9→49  差+40
49→17  差-32
17→57  差+40
57→25  差-32
のように+40と-32が繰り返していて、少し拍子抜けです。

つまり、一般項をa(n)とすると、
a(n+1)=(a(n)+40)π/36  nが奇数
a(n+1)=(a(n)-32)π/36  nが偶数
ということで、求める(A)は、65π/36 になります。

しかし、奇数項と偶数項との2つに場合分けしたところが少し引っかかっていて、階差の+40と-32をひねり出せないかと少し考えたのですが、良いアイデアもなく(正解と思っていてあまり真剣に考えていないのですが) 終わりにしました。もし、正解を知っている方がいましたら教えて頂けるとありがたいです。

明日は、以下に示す平成19年度工学系研究科システム量子工学の入試問題を取り上げます。

「暗号文「970」は「○□△☆×」、「2220」は「△□△☆×」、「2930」は「☆△□○×」で表される。このとき、「781」はどのように表されるか」

興味があれば挑戦してみてください。

中学生でも解ける東大大学院入試問題(3)

2014-09-16 12:30:04 | 数学・算数の話
こんにちは。東久留米市の学習塾塾長です。

昼過ぎに大きな地震があり驚きました。物が落下するなどの被害もなく良かったです。

これまで何回か取り上げましたが、東大大学院入試には論理的思考を試すということで、規則性、魔方陣、推理算、暗号などパズルが出題されます。それらの問題は、中学生でも解ける、結構面白いもので、今回は平成19年度工学系研究科システム量子工学の問題を取り上げます。

問題は、
「以下の(A)に入る数字は何か?
64→28→68→76→50→(A)→2→4→16→38→70」
というものです。

これは数列の規則性を見つける問題です。なかなか難しく、解くのに約15分掛かりました。(但し、正解を知らないので合っているかわかりませんが)今回は、この問題にどのようにアプローチしたかを説明しながら進めて行きたいと思います。

まず、与えられた数列全体を見渡すと、項間の増減は、減→増→増→減→?→?→増→増→増→増と増減を不規則に繰り返しているので、高校で勉強する等差、等比、階差数列で表すのは難しそうです。

また、増加と減少を繰り返すためには、減算(引き算)か除算(割り算)の関与が予想できますが、除算では割り切れない場合があるので減算のほうが簡単そうです。(結局、これは関係なかったのですが)

次に、与えられた数列の細部に目をやると特徴的なのが、(A)の右側の2→4→16で、4と16は、2の2乗、4の2乗で表せます。

さらに、16の次項が38で16の2乗の256とは大きくずれてしまうのですが、38に近い平方数36を思い浮かべると(ここがポイントです)、それは16の一の位の6の2乗です。そこで十の位の1を使って、その2倍を36に加えて38を作ります。

つまり、ある項を (10a+b) とすると次の項が (b^2+2a) (b^2はbの2乗を表します)と予想する訳です。

この規則を数列の端から適用してみると、
64→4^2+2×6=28
となって、これは解けたかもしれないと、脳にドーパミンが出始める次第です。

さらに検証を重ねると、
28→8^2+2×2=68
68→8^2+2×6=76←ここで確信します
76→6^2+2×7=50
50→0^2+2×5=10←これが(A)
10→0^2+2×1=2
 2→2^2+2×0=4
 4→4^2+2×0=16
16→6^2+2×6=38
38→8^2+2×3=70
と予想が正しいことがわかりました。

もし、ある項を (10a+b) とし、次の項が (b^2+7a) 、つまり、(A)の右側の項が、2→4→16→43 となると、また一段と難しくなりそうです。

明日は下記の数列の問題を説明します。興味があれば挑戦してみてください。

明日の問題(平成20年度工学系研究科環境海洋工学入試問題)
「以下の数字はある規則に従って並んでいる。(A)に入る値は何か
π/4、49π/36、17π/36、19π/12、25π/36、(A)」