特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

もどかしさ

2007年05月11日 | 田名部語録

7日の伊吹答弁は「特待生そのものが悪いのではなく、各地から選手を集める野球留学は好ましくない」という内容でした。この発言は落とし所を示唆したものです。今日11日に伊吹-脇村会談が予定されているのですから、高野連様が大臣発言に迎合した「修正」を施すのは当然のことでしょう。

高野連が特待制度申告者に緩和措置
(2007年5月11日06時01分  スポーツ報知)
 日本高野連は10日、大阪市内で緊急の全国理事会を行い、日本学生野球憲章違反のスポーツ特待制度の申告者のうち、経済的な事情で就学継続が困難となる部員に限り、卒業まで学校長や関係審査機関の裁量で設けた奨学金を受けられる緩和措置を決めた。
 各都道府県高野連を通じて違反校のその後の状況を調べた日本高野連は、退学や転校する部員が出る可能性を重く受け止め、5月末までの対外試合出場禁止と解約同意書提出の上なら、暫定的に設けたスポーツ以外を理由とする奨学制度は憲章違反とせず、制度の内容も問わない。田名部和裕参事(61)は「野球留学の行き過ぎ是正が今回の目的。十分に事情を知らない生徒、熱心な指導者への影響を考えると緩和が必要」と説明した。

本当に「野球留学の行き過ぎ是正」が目的なら、最初から特待生をターゲットにする必要はなかったわけです。福翔のようなケースは、とても「行き過ぎた野球留学」につながるとは思えませんが、それまでバッサリ切り捨てたのはなんだったのか、という話にしかなりません。

「行き過ぎた野球留学」が問題なら、解消に向けて手順を踏んでいけばいいわけです。大学側がほとんど一顧だにしなかった「憲章」を振りかざして解約を迫ったことで得られたものは、混乱と反発だけでした。

“目的が正しければ手段を選ばないというのは、あんたらが好むフェアプレイ精神とやらに反するだろう”と簡単に突っ込まれてしまうわけです。普段からきれいごとばかり並べているこの団体の場合、それを逆手にとることは容易です。

まあ、これでようやく話が本線に入ってきて、私もやりやすくなりますが、せっかく集めたコレクションですので、「高校別」は週に1~2本でも続けようと思います。

野球留学反対派には2つの流れがあります。1つは、伊吹氏のような「親元を離れて…」派です。これはおそらく故・神田順治元東大野球部監督あたりが源流になるはずです。地元の生徒でないと応援したくないというケ○の穴の小さい人たちです。高校野球が都道府県対抗という色彩を持つために、この考え方は根強く残っています。

心情的には理解できなくもありませんが、「では、オリンピックその他で日本人以外の選手に心を打たれたことはないのか」ということにしかなりません。この層は放っておくしかありません。「成長」を待つしかないのです。自分がそうだからといって(それは自由です)、よそ様の進路先を規制しようとするのは越権行為です。

誤解も多いはずですが、実は高野連様は「野球留学」それ自体を問題にしているのではありません。先の報知の記事でも田名部氏は「野球留学の行き過ぎ是正」と発言しています。田名部氏だけでなく脇村氏の発言も同じです。

特待制度:高野連緩和策「退学者など出すのは意図にない」
(毎日新聞 5月10日20時15分)
 一方で、日本高野連は憲章の順守と、金銭の絡む行き過ぎた野球留学などにメスを入れる方針に変わりがないことを強調。脇村春夫会長は「最大の問題は野球留学などに伴う不正で、フェアプレー、アマチュア精神に反する。根幹を手術しなくてはいけない」と話した。

ここで脇村氏が「フェアプレイ」だの「アマチュア精神に反する」だのと発言してしまうので、逆に反発を買うのです。今回はっきりとわかったように、こんなものはいくらでも都合よく解釈できてしまいます。先に「憲章」を持ち出したのと同じ愚です。

「野球留学などに伴う不正」の具体的事例を語れば、世論の理解も得られて、話は進展するはずです。「行き過ぎ」とは何なのか、「…などに伴う不正」とは何なのか、「手術を要する根幹」とは何か、ということになります。

おそらくこの問題は、高校の制度をいじっても解決しません。野球留学に規制を設けても本質的な解決にはなりません。県内ならいいのかということにしかならないからです。本丸を攻めることができないので、外堀を埋めようとしたのが、今回の事件の真相ということになるのかもしれません。この2人なら、きっとまた同じ愚を犯すでしょう。

ただし、高野連様は高校の競技団体にすぎず、高校以外のところには手を出すことができません。そうした意味では、2人の能力の欠如だけが問題なのではなく、野球界全体を束ねる統一組織がないことが根本的な問題として強調されなければなりません。

次のような記事もありました。

特待制度で高野連が緩和措置 (日刊スポーツ 2007年5月10日20時38分)
実態調査で違反なしの申告をした学校の規約を精査した結果、新たな違反校はなかった。

また、次のような報道もあります。

特待制度:打ち切りで就学継続が困難なら緩和措置 高野連
(毎日新聞 2007年5月10日 20時05分)
各校の来年度募集要項の作成に間に合わせるため、憲章に違反しない特待制度の基準作りを当初予定していた11月から早め、6月下旬をめどに決める。

11月に決めてもらっても私立校は困るだろうと思っていましたが、6月下旬ではもう2カ月足らずしかありません。夏の予選が始まってからは対応できないのが実情でしょうが、拙速の恐れがあります。来年度に関しては暫定措置をとることも1つの知恵です。

特待制度:高野連緩和策「退学者など出すのは意図にない」
(毎日新聞 5月10日20時15分)
--緩和措置が必要なケースとはどのようなものか。どのように救済するのか。
 田名部 多くの学校に家庭の経済的事情などを理由にした奨学金制度があるが、その給付基準に達しなくても転校、退学に追い込まれかねない生徒がいる。このような生徒に対して、一般生徒と異なる基準で給付するのは憲章違反としてきたが、一般生徒とは別枠の制度で給付をしても憲章違反としないこととした。

きのうまでNG、きょうからOK、その前は黙認、こんな朝令暮改では振り回されるほうが迷惑です。決めるのは俺だと言わんばかりのこういう態度は改めてほしいものです。


処分なし、調査なし、期限なし

2007年05月10日 | 大学野球連盟

大学野球の特待制度について、次のような記事がありました。記事では東北のほかの大学にも触れてありますので、必要ならリンクをたどってください。

大学も特待制度「野球憲章違反なのか」東北関係者戸惑い
(河北新報 2007年05月09日)
 富士大(岩手)は、野球部員の約8割が特待生。関係者は「授業料免除などをしないと、地方の大学でわざわざ野球をする選手はいない」と率直に話す。

まあ、匿名の「関係者」ですから、率直な話もできるのでしょう。さて、9日の大学野球連盟常任理事会の結論は、「処分なし」で「調査なし」、そのうえ違反の恐れがあっても是正に「期限なし」というものでした。

大学野球連盟:特待生に処分科さず 高野連とは異なる対応
(毎日新聞 2007年5月9日 21時23分)
 全日本大学連盟は(1)学費、入学金などの軽減や免除を約束して入学・入部させること(2)野球部員のみを対象とした奨学金制度--の2点については、学生憲章違反になる恐れがあると指摘。期限は設けず、実態調査もしないが、違反行為があれば是正するよう求めた。
 特待制度に対して厳格な指導をした日本高校野球連盟とは異なる対応になったことについて、大学連盟の内藤雅之常任理事は「大学連盟として初めて13条についての解釈を示した。それをすぐに『こうしなさい』と求めるわけにもいかない」と説明。体育専門の学部なども多く、より幅広い教育の場である大学
の特性なども考慮したという。
 高校と大学で学生憲章の解釈に違いが出たことについて、同連盟の八田英二会長は「理事会としては13条を未来永劫(えいごう)守っていこうと話したわけではない。今後検討して改正が必要ならば、正式なルートに乗せて提起していきたい」と憲章の見直しにも言及した。

この内容では、「学生野球憲章って(まだ)あったっけ。じゃあ、みんなで守ってることにしようや」としか聞こえません。

同じ学生野球憲章の解釈が180度と言っていいぐらい異なるのなら、学生野球憲章を白紙に戻して、新たに大学野球憲章と高校野球憲章をつくればいいのです。もともと学生野球憲章は、大学と高校の2本立てですから、別々にしたほうがわかりやすいわけです。学生野球憲章がなくなれば、学生野球協会という組織も必要ありません。

いずれにせよ、これでまた一段と高野連様の暴走ぶりが際立ってきました。高体連が高野連様に追随するとも思えず、私学部会での反撃も必至でしょうから、脇村執行部はいよいよ窮地に立たされたわけです。

元セリーグ事務局長の渋沢良一氏からはこんな皮肉も浴びています。これまで度々、憲章を盾にされた積年の恨みでもあるのかもしれません。

【四季折々】いまだに憲章改正の機運見られぬ学生野球界
(サンケイスポーツ東北版 2007年05月08日)
高野連の脇村会長は学生野球界きっての、憲章の使い手だ。高野連は義務と責任をまっとうするに違いない。

8000人を“犯罪者”扱いしたのですから、渋沢氏に言われるまでもなく、義務も責任も重いはずです。今日10日は、高野連様の緊急理事会が開かれます。この場でなすべきことは、まず処分の撤回であり、名誉回復です。今ならまだ間に合うかもしれないのです。

まあ、せっかく申告してもらったのですから、8000人をシニア、ボーイズ、その他の硬式、軟式という形で出身別に振り分けるべきでしょう。前向きな話に持っていくつもりなら、そこに踏み込むべきだということは、田名部氏も脇村氏もわかっていることです。


アマチュア資格とは?

2007年05月09日 | アマチュアリズム

学生野球憲章には「アマチュア資格」「アマチュア規定」という言葉は一切出てきません。

野球特待生:高野連の解消策 歓迎と実効性疑問の声
(毎日新聞 2007年4月20日 23時56分)
会見で、高野連の田名部和裕参事は「本来は憲章違反の学校は対外試合禁止で、選手もアマチュア資格喪失となるが、ある程度の免責措置をとった。

まあ、学生野球憲章がアマチュア規定そのものだとも言えるでしょうが、「アマ」という言葉さえ学生野球憲章にはありません。だいたい、もし奨学金が「アマチュア規定」に照らして「アウト」なのだとすれば、午前中しか仕事をしていない社会人の選手はほとんど丸々「アウト」になります。

どう言い繕っても、勤務時間中に練習しています。これは、野球によって報酬を得ていることにしかなりません。このような事情から、学生野球憲章の中には「アマ」の言葉が入らない(入れられない)のです。だからこそ、「学生」という逃げ道を見つけたはずなのです。

何を今さら「アマチュア資格」なのか、時代を(すくなくとも)30年ほど逆回転させているとしか思えません。さかのぼれば、体育教師がアマチュアではない時代がありました。新聞配達も「プロ」(非アマ)だった時代がありました。アマの概念など時代とともに変わっていくものでしょう。

問題は、高校生としてどうなのかということではないのでしょうか。高野連様がよりかかるものが「アマチュア規定」であってはなりませんし、特待生の問題はアマチュアリズムの問題ではありません。


函館大有斗、柏稜

2007年05月09日 | 高校別

函館大有斗は休み明けの5月1日の朝、全校集会で生徒に事情説明、その日の午前中に北海道高野連函館支部に春季大会出場辞退を申し入れています。有斗は最近では珍しくなった男子校であり、柏稜は商業科併設の共学です。

北海道の私立高校と言えば、夏に連覇した駒大苫小牧は別格としても、野球ファンにはまず北海高校ですが、「グレーゾーンだが申告した」という潔さが、同情を集めたばかりでなく、大量申告の呼び水になったように思われます。

高校野球特待制度問題:函館大付属有斗、柏稜も  春季大会出場辞退
(毎日新聞北海道版 2007年5月1日)
 有斗は部員49人のうち29人、柏稜は27人のうち11人が入学金や授業料の免除など奨学金を受けていた。有斗は春夏計13回、甲子園に出場した名門校。
 両校を経営する学校法人「野又学園」(野又肇理事長)は野球部員に限らず、「スポーツ・芸術などに優れた能力を有する者」など5項目を満たす入学生の中から「特別奨学生」を選考していた。日本学生野球憲章第13条は野球を対象に定めており、鈴木校長は「高野連に問い合わせたら『抵触しているともしていないとも言えない』という回答だった」という。
 鈴木校長は「グレーゾーンだが、スポーツで校名を上げているのでフェアプレーの精神にのっとり辞退した」とコメントした。

私はこの記事を読んだとき、学校側が問い合わせたのは北海道高野連だと思ったのですが、そうではなく高野連様そのものだったようです。

野球特待制度 「部員は悪くない」 函大有斗全校集会で校長
(北海道新聞 05/01 14:21)
集会で同校の鈴木健校長は、自校の特待制度が憲章違反かどうか日本高野連に判断を仰いだところ、「違反とも違反でないとも言えない。学校裁量で自己申告してほしい」との回答だったと明かした。

ずいぶん無責任な話です。突然「特待生はダメ」と言い出した挙句、「(たった10日ほどの)期間内に申告せよ、さもなくば夏は出られないぞ」と恫喝しておいて、お伺いを立てたら「てめーで判断しろ」ということだったようです。どういう感性なら、ここまで強圧的な姿勢に出られるものなのか不思議でなりません。

道内では野球の特待生制度は13高校に。道高野連が発表(北海道)
(2007年5月3日  読売新聞北海道版)
 特別奨学生になるため、生徒は必ず部活動に参加しなければならないということはない。しかし、「学力優秀や経済的条件の明確な適用基準」について具体的な明文規定がないため、抵触していると判断したという。

明文規定がないのは、学校側としては学力優秀や経済的条件を総合的に判断したり、弾力的に運用したいからでしょう。それが「不正」か何かの温床になると言われてしまうのなら、やはり“宗教”の問題でしかないわけです。

柏稜の06年夏は函館予選1回戦で函館大谷に4対5で敗れていますが、05年夏は2勝しており、有斗との代表決定戦兄弟対決を戦っています(0対16)。


南日本新聞

2007年05月08日 | 君子

南日本新聞の5月6日付社説を読んで、ひったまげました。この新聞は、4月18日付の社説では次のように書いていました。

04/18付社説 [野球特待生] 悪弊は絶ち切るべきだ
他のスポーツや学業面でも、特待生制度を設けている私立高は少なくない。だが、高校野球だけは特待生制度を認めていない。金銭を受け取ることで、誤った優越感を生み、健全な成長を損なう恐れがあるからだ。野球は人気が高いだけに、選手を獲得するため金が動きやすい。だが、ルールがある以上、守らないことにはスポーツは成り立たない。問題は、高野連が特待生制度を禁じる通達を過去2回出したのに、徹底していないことだ。フェアプレーを教えるのは大人の役割なのに「知らなかった」と答えた指導者が多かったという。この際、実態を徹底して調べた上で、抜本的対策を練る時期に来ているのではないか。

「おいおい、いいのか?」と私は思っていました。この時点では高野連様の尻馬に乗って、「悪法を守れ!」とおっしゃっていたわけです。3週間たつと、今度は「悪法は見直せ!」に変化しました。

05/06付社説 [野球特待制度] 「憲章」見直しも必要だ
だが、61年前に作られた憲章が形骸(けいがい)化し、時代にそぐわないものになってきたことも認めなければならない。他の多くのスポーツで特待制度は取り入れられ、競技力の向上に貢献し、保護者の経済的負担を軽減しているのも事実だ。「なぜ野球だけが特別なのか」との疑問が広がっている。高野連は他競技とは違う歴史があると説明、「教育の一環、フェアプレーの精神」を繰り返すだけだ。しかし、それでは説得力を欠き、野球を志したがゆえの逆差別が生じかねない。豊かな才能を伸ばすためには、高体連と歩調を合わせた線引きも考えたい

ずいぶん、ものわかりがよろしくなったようで…。まあ、3週間あれば、君子が豹変しても不思議ではありません。たぶん、定見などというものは社説子が備えるべき必要条件ではないのでしょう。むしろ、こうした変わり身の早さこそ賞賛されなければならないのかもしれません。

と言うより、もともと「君子豹変す」に続くのは「小人(しょうじん)は面(おもて)を革(あらた)む」です。私は「君子」だと言っているのです、はい。これは褒め言葉です(ホントか?)。さて、次の君子は誰でしょう?

【ブログ運営指針】
リンクは「各紙社説」のページから張りました。今後も社説コレクションは続けます。著作権法39条の関係で、個別記事にくらべて利用しやすいからです。いずれリンク切れが生じることは計算していますが、社説の場合は見出しで大まかな内容がわかります(わからない社説は失格です)。


東海大相模

2007年05月08日 | 高校別

東海大の付属高校は国内に11校(通信制の望星を含む)あり、ほかに系列高校が3校(山形、甲府、菅生)あります。野球部のある10校の付属高校のうち、相模、翔洋、第二、第三、第五の5校が申告し、浦安、高輪台、第四、仰星、望洋の5校は申告しませんでした。別法人の系列3校は例外なく申告組です。

学校法人東海大学の総長は松前達郎氏です。全日本大学野球連盟の会長だった松前氏が広岡知男氏の後任として学生野球協会の会長に選任されたのは2000年のことです。松前氏は高野連様の最高顧問でもあります。

最高顧問は議決権のない名誉職にすぎませんが、高野連様のジャッジで付属・系列の8校が「アウト」とされたのですから、学生野球憲章を定めた学生野球協会の会長がその地位にとどまるのはおかしな話でしょう。まあ、学生野球協会の会長として、高野連様の暴走に待ったをかけるべくリーダーシップを発揮するのなら、話は別ですが…。

さて、東海大相模は、春季神奈川県大会の準々決勝で横浜に敗れました。横浜は今回の件で県大会およびベスト4進出で決めていた関東大会出場を辞退し、繰り上げ出場の権利があった東海大相模も同様に辞退しました(準決勝は慶応の不戦勝)。

特待制度 県内16校に 春季県大会相次ぐ辞退『経済的理由の部員も』
(東京新聞神奈川版 2007年5月3日)
準々決勝で横浜に敗れた東海大相模は高野連から代替出場を打診されたが「事態を重く受け止めたい」として固辞した。

特待生制度の内容は報道されていませんが、19人が入学金・授業料を免除されていたようです。

横浜高校も特待生制度申告へ 春季大会準決勝を辞退 - 特待生制度
(朝日新聞 2007年05月02日10時55分)
 神奈川県内では、東海大相模高校(神奈川県相模原市)も2日、一部の野球部員へ授業料や入学金を免除していたと日本高野連に報告する。人数は3学年合わせて19人になるという。
 梶原美邦副校長は「包み隠さず高野連に報告する。今後の対処は高野連の判断を待ちたい。改めて野球部の保護者にも事情を説明する」と話している。

神奈川は16校一括発表でしたので、横浜の影に隠れた形になって、東海大相模に関する「19人」以上の突っ込んだ報道は見つかりません。

高校野球特待制度 横浜、東海大相模も
(東京新聞 2007年5月2日 夕刊)
同校の梶原美邦副校長は「今後は高野連の方針に従う」と話している。


伊吹文明文科相

2007年05月08日 | ブルータス

もう少し先になってから登場してもらうつもりでしたが、こういう展開になってしまった以上、仕方がありません。

生徒に不利益ないよう要請 野球特待生問題で文科相
(2007年05月07日 11:41 共同通信)
 伊吹文明文部科学相は<略>「できるだけ生徒に被害が及ばないよう話をしたい」と述べ、文科省として特待生が厳しい処分を受けることがないよう高野連側に要請する考えを示した。
 文科相は「制度を知らなかった少年が被害者になるのを避けるのが、教育に携わる大人の責任だ」と強調した。

 <略>
 伊吹文科相は、野球以外のスポーツや学業成績が良い生徒の特待制度もあることを踏まえ、「特待制度そのものが悪いとは思わない」と表明。その上で「高野連が世間一般の風潮を考えてどう対応するかが大きなポイントだ」と指摘した。

これを受けて?(としか思えません)、高野連様がさっそく動いたようです。世論に叩かれた挙句、とうとう文科相からも口を挟まれる辛い立場に追い込まれたようです。文字どおりの“自爆”ですから自業自得なんですが…。

選手への影響を最小限に 特待生問題で緊急理事会
(2007年05月07日 20:34 共同通信)
 日本高校野球連盟は7日、日本学生野球憲章が禁じるスポーツ特待制度の実態調査で376校が違反を申告したことを受け、今後の対応について10日に緊急の全国理事会を開くと発表した。田名部和裕参事は「選手の受ける影響をできるだけ少なくするのが目的。転校や退学を回避できる緩和措置を出せるのかを話し合う」と語った。
 審議内容は、(1)特待制度解約により就学継続が困難となる部員への緩和措置の検討(2)野球部長の処分軽減(3)新たに設置する特待生問題私学検討部会の目的など今後の進め方-の3点。

つい先日までの強気の姿勢はどこに行ったのかと揶揄したくなりますが、緩和や軽減ではなく撤回してほしいと私は考えています。

田名部氏や脇村氏は「なぜ野球だけ?」の問いに対して、戦前に文部省から「野球統制令」を突きつけられた歴史があることを理由にあげてきました。結果的に、この「野球統制令」はプロ野球の誕生を促したのですが、一方では(戦局の悪化という特殊な状況にあったとはいえ)現在の東京六大学リーグが解散を命じられるなどの制約を受けたことも事実です。

皮肉な話ですが、過剰反応の末に暴走してしまったばかりに、嫌っていたはずの政治の介入を逆に呼び込んでしまったことになります。

さて、伊吹氏の昨日の国会答弁は、いずれ国会図書館Webサイトの議事録に収録されるでしょうから、改めて取り上げる機会を設けなければなりませんが、伊吹氏は4月17日の会見では次のように述べています。

文部科学省>平成19年4月17日大臣会見概要
記者)
 専修大学北上高校が、学費免除等、日本学生野球憲章に違反して、結局解散ということになったのですが、それについて大臣の所感をお願いします。
大臣)
 私自身の考えは、野球の才能を伸ばすということは悪いことではないとは思いますが、各地から学生をスカウトして強いチームを作るというやり方は、本来の学生スポーツ、アマチュアスポーツに本当にいいのかなという気がします。特待生になった子どもに罪はないという意見もありますが、同時に、特待生になることは子どもも保護者も知っておられるわけです。特に保護者のお立場からすると、子どもの才能を伸ばしてやりたいというお気持ちは分からないわけではないですが、親元を離れて、野球の上手な人たちだけを特定の学校地域に集めるという在り方そのものを、考えなければいけないのではないかと思います。
記者)
 解散ということで子ども達に影響が出てきていますが、文部科学省として何かアクションというものは有り得るのでしょうか。
大臣)
 単に野球だけのことではありません。率直に言えば、特に私立の場合は何処へ行っても良いわけです。そういう議論に入る前に、安倍流に言えば、学校や両親の規範で解決していかないといけないと思います。文部科学省がそこへ口を出すことはどうかと思います。私は本来のアマチュアスポーツの在り方からすると、あまり適切なことではないという気がします。
記者)
 特待生制度というのは野球以外では結構幅広くあるようですけど、それ自体もあまり良くないというお考えでしょうか。
大臣)
 ずっと昔から特待生制度は、学校成績など色々ありましたよね。だから特待生制度そのものがいけないということではないと思います。アマチュアスポーツというのは、そのスポーツ行為に対して対価を与えないということによって成り立っているわけです。

政治家特有の言い回しですから、「言語明瞭、意味不明」ほどではないにせよ「論理明快」とは言えないでしょう。この会見で伊吹氏は次の諸点を述べたわけです。

  1. 野球の才能を伸ばすことは悪いことではない(原則論)
  2. 各地から選手を集めるのはアマ、学生として好ましくない(野球留学はNG)
  3. 特待生になることは、保護者も生徒も知っているはず(故意である)
  4. 親元を離れて特定の学校に集まるのはよろしくない(野球留学NG)
  5. 私立に学区はない(原則論)
  6. 行政が口出しすることではない(原則論)
  7. アマチュアの本来の姿から逸脱している(アマとは?)
  8. 特待生制度そのものは悪くない(これも原則論)
  9. アマチュアスポーツは対価を求めてはいけない(古典的発想)

伊吹氏の会見での発言は一貫しています。すべて原則論を述べたうえで、最終的には野球留学やアマチュアリズムの話に流れます。このブログのテーマそのものです。

野球留学やアマチュアリズムについては改めて扱うこととして、今日のところは伊吹氏の発言の変化だけ強調しておきます。2番目の問いに関する応答で伊吹氏は「口をだすことはどうか」と発言しています。口を出すつもりはなかった大臣に口出しさせてしまったのは、それを恐れていたはずの高野連様の失態です。

また、4月17日の記者会見で、伊吹氏は「特待生になることは子どもも保護者も知っている」と述べています。これに対して、昨日の答弁では「制度を知らなかった少年が被害者になるのを避ける」べきだとおっしゃっています。

おそらく、ここに言う「制度」とは特待生制度のことではなく、学生野球憲章を指しているのでしょう。ですから、決定的に矛盾するものではありませんが、「制度を知らなかった」生徒が免罪されるのでしょうか?

8000人の中に10人ほど学生野球憲章を知っていても不思議ではありません。もし、「制度を知らなかった」がゆえに免責されるのであれば、知っていたか知らなかったか確認する作業が必要になるはずです。

なんども繰り返しているような気がしますが、彼らが免責されるのは「制度を知らなかった」からではありません。無知ゆえに免責されるのではないのです。最初から無実だというそれだけの話であって、ほとんど言いがかりの冤罪でしかありません。

これまた、かぶるはずですが、特待生の「契約」とは生徒の法定代理人である保護者と学校側との間の適法な私的契約であって、一競技団体が「憲章」とやらを盾に年度途中で破棄を迫るような性質の問題ではありません。

もし、違法な契約であれば、なおさら一競技団体がでしゃばってはならないのです。問題の所在を指摘すれば足りることであって、あとはしかるべき機関に任せればいいだけです。競技団体がその枠を超えて、自らの(朽ち果てた)価値観を押しつけてはなりません。

まあ、こういう展開になってくると、早々に白旗を掲げて高野連様の軍門に降り、ひたすら恭順の意を示した校長先生のコメントを読み返すのが楽しみになってきます。私はこのブログでは徹底的に悪趣味を貫くつもりです。「学校別」はまだ終わるわけではありません。

学生野球憲章は、高校と大学の野球部関係者を対象にしたものです。高野連様の言うとおり、野球部員だけが奨学生にもなれないのだとすれば、学生野球憲章は法の下の平等を定めた憲法14条に触れるのではないかという議論もこれからは起きてくるでしょう。


大学野球連盟の理事

2007年05月06日 | 大学野球連盟

次の焦点は、5月9日に開かれる全日本大学野球連盟の常任理事会です。すでに同連盟の内藤常任理事(学生野球協会では事務局長)は次のように発言しています。ちなみに、氏は立大のOBです。

日本学生野球協会、違反校300超にも冷静
(2007年5月2日23時17分  スポーツ報知)
内藤氏は「高校とはまったく同じ対応にはならない」と、あらためて高野連とは違反の線引きを変える方針を示した。

まあ、スポーツ特待生がダメということになると、日本体育大、大阪体育大、鹿屋体育大(国立)、びわこ成蹊スポーツ大などは身動きがとれなくなります。もっとも内藤氏の発言にもブレがありますが…。

大学野球連盟の寄付行為(株式会社の定款に当たるもの)第18条によれば、理事は評議員会で選任されることになっています。また、寄付行為第24条によれば、評議員は理事会で選出し会長が任命することになっています。

全日本大学野球連盟のWebサイトでは、同連盟の理事は23名です。次に掲げる役職は名誉職的なものより野球の現場に近いものをピックアップしました。カッコ内には学生野球協会のWebサイトに記載されている評議員に推薦した加盟団体を付しました。

【会長】
八田英二★(理事会推薦)日本私立大学連盟副会長、同志社大学長
【副会長】
南原晃★(理事会推薦)元東京六大学野球連盟監事、元日本銀行理事
尾郷良幸★(首都)東海大常務理事
神田俊輔★(理事会推薦)?
【専務理事】
小野忠彦★(関西学生)関西学生野球連盟理事長
【常任理事】
小宮谷紀男★(北海道)?
大竹榮★(仙台六)東北福祉大野球部部長
田和一浩★(東京六)東京六大学野球連盟先輩理事
内藤雅之★(東京六)東京六大学野球連盟事務局長
大谷哲夫★(東都)駒沢大野球部部長、駒沢大総長、東都大学野球連盟理事長
工藤房雄★(神奈川)元関東学院大野球部監督、神奈川大学野球連盟理事長
浪川正己★(愛知)愛知大学野球連盟理事長
村上博★(関西六)関西六大学野球連盟理事長
高本登★(広島六)元広島工業大野球部監督
太田紘一★(九州地区)九州地区大学野球連盟理事長
榊原敏一★(理事会推薦)元慶応大野球部監督
八頭司義久★(理事会推薦)関西学生野球連盟常任理事
中山実★(理事会推薦)
【理事】
岩井美樹★(千葉県)国際武道大野球部監督
高橋昭雄★(東都)東洋大野球部監督
河野通方★(理事会推薦)元東京大野球部部長
石井連藏★(理事会推薦)元早稲田大学球部監督
奥田裕一郎★(理事会推薦) ?

実は、学生野球協会のWebサイトでは真鍋豊宏氏(元松阪大野球部監督)を含めた24名になっていますが、やはり当事者のものを信用するしかありません。

太田紘一や中山実という元プロ野球選手も実在しますが、単に同姓同名ではないかと思われます。また、「"奥田裕一郎" 野球」でGoogle検索したら、「都市対抗監督勝利数」のページがヒットして、びっくりしたのですが、ご本人かどうかはわかりません。

なお、9日は常任理事会とのことですので、平理事の5人は関係ないのでしょう。いずれにせよ、大半は私学関係者です。

もともと日本の野球は大学から始まっており、野球部特待生も大学が端緒であることは疑いようもありません。NPBの観客概数発表にしても、元をたどればアマの慣習を引き継いだだけのことです(つまり、概数発表をやめることでNPBはようやく「プロ」らしくなったわけです)。私はこの問題がなくても、特待生の起源をたどりたいと思っていましたので、ちょうど好都合なんですが…。

さて、学生野球憲章の第7条には次のように定められています。

学生野球憲章第7条
入場料は、入場者の整理、試合及び練習に要する経費に充てる場合に限りこれを 徴収することができる。但し、日本学生野球協会の承認ある場合はこの限りでない。

この規定の本則部分は高校野球には適用されません。但し書きの部分は第19条によって、高校野球にも準用されます。これに関連する次のような記事もあります。

斎藤獲りに総長も動いたワセダの鼻息(サンデー毎日 今週の1本)
斎藤投手は野球部にとって即戦力であると同時に貴重な〝財源〟にもなりそうだ。74年から10年間、早大野球部監督を務め、プリンスホテル監督や巨人軍編成本部長などを歴任した石山建一氏が解説する。「野球部は六大学リーグ入場料収入の分配金などが主な収入源です。チームの運営費はもちろん、合宿所の経費までを賄っているのです。甲子園のスター選手が六大学リーグで活躍すれば、野球部も潤いますよ」

こういうことになっている以上、「奨学金をもらうとプロ」というきれいごとの論理は、とても大学野球では通用しそうにありません。「入場者の整理、試合及び練習に要する経費」という憲章の条文を拡大解釈しない限り、「合宿所の経費まで」賄うことはできません。

というわけで、まさか大学が高野連様に足並みをそろえることにはならないでしょう。高野連様の暴走のとばっちりを受けて、せっかくのハンカチ効果を台無しにしたくはないはずです。


各紙社説

2007年05月05日 | 社説

私は高野連様が全国調査に乗り出したとき、「やりたいんなら、どうぞ」と思いました。彼らの思惑どおりには動かないことに確信がありました。騒ぎが大きくなればなるほど、注目が集まれば集まるほど、「学生野球憲章」が世論の攻撃にさらされるのがわかっていたからです。

新聞各紙の社説も微妙に変化していますが、もっとも面白いのは、読売系列の福島民友が読売とは派手に異なる論調を維持していることです。なお、同社説によれば、学法石川と日大東北は野球部員を特待制度の対象外にしているそうです。なるほど、それで聖光学院のほうが強くなったということでしょうか。

野球特待制度*「教育の一環」が原点だ(06/28北海道新聞)
特待生制度 高野連の体質・機構も改革せよ(06/28読売新聞)
野球特待生 まず原点に立ち返れ(06/28東京新聞)
野球特待制度 現場の声に柔軟な対応を(06/28産経新聞)
野球特待生―時代に合うルール作りを(06/27朝日新聞)
野球特待生 不正の介入許さぬ制度を(06/27毎日新聞)
[スポーツ特待制度]肝要なのは学業との両立(06/26沖縄タイムス)
高校野球の特待制度 納得ゆく基準づくりを(05/31岩手日報)
野球特待生問題 立ち止まって、考えるとき(05/31しんぶん赤旗)
高校野球特待制度「過熱化のゆがみ是正の時期」(05/14陸奥新報)
高校野球の特待生問題 将来を見据えて見直しの議論を(05/14教育新聞)
■野球特待問題 憲章見直しは避けられぬ(05/13新潟日報)
■野球特待制度 ルール作りを急ぐとき(05/13信濃毎日新聞)
■野球特待生―行きすぎをどう防ぐか(05/12朝日新聞)
■野球特待生 不正の根源は手付かずだ(05/12毎日新聞)
■「特待生」救済 高野連の独善がもたらした混乱(05/12読売新聞)
野球特待制度 拙速ではない論議重ねよ(05/12産経新聞)
■高校野球*尊重したい憲章の精神(05/12北海道新聞)
特待制度の緩和措置(05/12神奈川新聞)
野球特待生  問題を先送りした救済(05/12京都新聞)
高校野球連盟 特待制度は柔軟な対応で(05/12山陽新聞)
■高校野球特待制度 憲章の見直しを急ごう(05/11北国新聞)
高校野球特待生  妥当な救済措置だ(05/11徳島新聞)
時代に合ったルール必要/野球特待制度中止(05/09東奥日報)
是非論を深めてはどうか 高校野球特待制(05/09西日本新聞)
野球特待制度/スポーツ全体での論議を(05/08北日本新聞)
高校野球特待制度 誰もが納得するルールが必要(05/06宮崎日日新聞)
[野球特待制度] 「憲章」見直しも必要だ(05/06南日本新聞)
■野球特待制度*求められる明確な基準(05/04北海道新聞)
■高野特待制度/「フェアプレー」を取り戻せ(05/04福島民友新聞)
■野球特待制度  拙速な調査は何のためか(05/04新潟日報)
高校野球の特待制度 高野連は明確な指針を(05/04福井新聞)
野球特待生/幕引きにせず議論始めよ(05/04神戸新聞)
■野球特待制度 明確な基準づくりを急ぎたい( 05/04愛媛新聞)
【特待制度】高野連は独善を排して(05/04高知新聞)
■野球特待制度 禁止だけでは解決できない(05/04熊本日日新聞)
まずはフェアプレーから(05/04沖縄タイムス)
高野連 きれいごとでは済まない(05/02産経新聞)
野球特待生 これを機に新ルールを(04/27中国新聞)
■西武「裏金」問題 高野連の対応は疑問だらけ(04/26読売新聞)
特待制度の是非 この一石を生かせるか(04/26東京新聞)
■野球特待制度調査 憲章の見直しも視野に(04/25秋田魁新聞)
野球特待制度  うみを出し切れるのか(04/22京都新聞)
甘え一掃、ルール順守を(04/21神奈川新聞)
専大北上解散  高校球界に一石投じた(4/20徳島新聞)
■専大北上高 「憲章」の見直しも検討課題(04/19毎日新聞)
■専大北上高 高野連にも「放置」の責任がある(04/18読売新聞)
専大北上高 学生野球憲章こそ見直せ(04/18産経新聞)
■高校野球 汚れから目を背けるな(04/18東京新聞)
■野球部解散 「特待制度」が諸悪の元か(04/18新潟日報)
■「もぐらたたき」では駄目 専大北上野球部(04/18西日本新聞)
[野球特待生] 悪弊は絶ち切るべきだ(04/18南日本新聞)
■専大北上問題―特待生制度を考えよう(04/17朝日新聞)
西武の裏金  うみを吐き出せ、野球界(04/06京都新聞)


福翔(福岡)

2007年05月05日 | 高校別

申告したなかで唯一の公立校として一躍有名になりました。06年夏は3回戦で福岡第一に2対4、05年夏も3回戦で春日に8対9で敗れています。福岡市立福岡商業高校だった90年代前半はもっと強かったはずです。

2000年に普通科・商業科・情報処理科を「総合科」として一本化したとき、現校名に名称変更しています。略称の「商」を「翔」に変えたということでしょう。商業高校が消えていくのはここだけのことではありません。甲子園出場がないので「たそがれの商業高校」には載せていませんが…。

福岡市立福翔高野球部、公立で唯一の特待生違反
(5月4日 読売新聞 九州発 週間ニュース)
 福翔の清水昭男校長によると、同校には1学年あたり10人にそれぞれ月1万円を支給する同窓会組織の奨学金制度があり、野球部では2、3年生計3人が対象になっていた。
 1日に日本高野連に問い合わせたところ、2日夕に「憲章に抵触する」との回答があった。清水校長らは同日中に奨学金制度の対象になっている3人の自宅を訪問し、本人と保護者に事情を説明して奨学金打ち切りの同意を得たほか、野球部長が辞任した。清水校長は「高野連の判断には従う」としながらも、「本校の制度は入学後に支給者を決めるもので、中学生の勧誘には使えない。生徒を励まし、育てるのが学校の仕事で、奨学金も方法として間違っていない。『金をもらうのはいけない』の一点張りは賛成しかねる」と話した。

何が引っかかったのか、この記事だけでは判然としませんが、高野連様から「アウト」だと聞かされた校長先生は♪「何をおっしゃる、うさぎさん~」と歌い出したくなったかもしれません。

まあ、そんなにかわいいものではありませんが、ここまで石頭だと反発を買わないほうがおかしいわけです。校長先生や部長先生や本人や保護者にとっては降ってわいたような災難でしかありません。

実は、これに類する話はもっと(野球で)有名な公立高校でも聞いたことがあります。申告されていないのですから、きっと今ではそういう制度はないのでしょう。