特待生と野球留学

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田名部氏の暗躍?

2007年06月16日 | アマチュアリズム

タイトルはジョーク?です。別に、田名部氏が悪いことをしていると言いたいのではありません。日本スポーツ用品協同組合連合会のWebサイトに田名部氏の名前があります。

■日本スポーツ用品協同組合連合会>機関誌第16号
(リンク先はGoogleのキャッシュ、元はPDFファイル、5ページ目の右側)
高野連の田名部事務局長より最初に提案のあった「加盟高校のうち、予算不足でピッチャーヘルメットやキャチャープロテクターを買換え出来ない学校があるので援助を」との要請に応じ、理事長が事務局長と話し合う方向で、JSRの力のおよぶ範囲で協力することになった。

まあ、 「ピッチャーヘルメット」はたぶん「キャッチャーヘルメット」のことでしょうが、同連合会の機関誌第15号4ページの「第四回理事会報告」によれば、2000年11月28日に当時事務局長だった田名部氏が同連合会(の幹部)と接触して、上のような“要請”をおこなったようです。

ところで、第12号2ページ目には「野球用品無償提供の廃絶について」と題する文書があります。これは、昭和58年(1983年)2月25日付であり、当時の牧野会長名で出された“申し入れ”です。孫引きします。

「無償提供」はご存知のように全国大会に出場が決まったチームに対して、業界の一部がユニホーム等の野球用品を無償で提供したことに始まって、全業界の競争心をあおり一チームに数着のユニホーム等が贈られるという状態に立ちいたった<略>こうしたことにつきましては日本学生野球憲章第十三条で「金品の受け取り」を明確に戒めておりますのでこの点よくご勘案のうえ対処されんことを切望します。さらに昨今は出場校に定価の一割にも足らない常識はずれの安値で売り渡したり、いったん対価を受領後、同額を当該校に寄付をする等のケースもあると聞きました。こうしたことは「無償でなければ憲章に違反していないだろう」という考え方がはっきりと見られ、いきどおりすら感じると共に、憂慮すべき状態であると断じざるを得ません。

この文書にも学生野球憲章第13条が出てきます。対価なきユニフォームの受領は憲章違反だそうです。趣味の悪い私は、いつか必ず使えるはずだと2つをワンセットにして、ひっそりとしまい込んでいました。これを発見したのは、1年以上前のことでした。

さて、甲子園出場校にメーカーから無償で贈られるユニフォームは憲章違反とのことですが、田名部氏は予算不足の高校のために小売店に「援助」を求めています。“こうしたこと”は、きっと憲章違反にはならないのでしょう。

昔から13条は(勝手に)都合よく解釈されるものでした。極端に言えば、社会通念上妥当な範囲の値引きさえ「違反」になってしまいかねないのが13条なのです。甲子園出場校が対価なきユニフォームを受領するのが憲章違反なら、たとえ予算不足の高校でも「援助」を受けることは憲章違反でなければならないのです。それこそが“アマチュア精神”というものです。

一方で「無償提供廃絶」を言い、他方で「援助」を要請するのは、“いい度胸”だとしか言いようがありませんが、現行規則では1大会に1着しか使用できないユニフォームが数着あっても、たしかに無駄です。また、予算不足のチームに対する配慮はあってしかるべきです。

それなら、高野連様自体が一定の収益を確保することで、“富の再分配”をおこなえばいいだけのことではないのでしょうか。せっかくの晴れ舞台を新調したユニフォームで、というのは親心でしょう。

そこにメーカーなり小売店なりが目をつけるなら、各都道府県高野連が窓口になって、手を挙げた業者の中から抽選で選べばいいのです。抽選に参加するには、キャッチャー用具一式をヘルメットまでつけて4点セットで提供させればいいわけです。

甲子園の大会自体が、すでに高校生の大会としてふさわしくありません。“アマチュア”を逸脱しているのです。大会期間はオリンピック並みですし、全試合が全国中継される大会などほかにありません。金まみれになるのが嫌なら、NHKの中継を謹んで辞退するのが近道です。

ビッグイベントを維持しつつ秩序を保とうとするなら、学生野球憲章やアマチュアリズムとは異なる発想で対処するしかなく、それこそ「頭を柔らかく」する必要があります。