特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

特殊な団体

2007年05月31日 | 脇村語録

いつものように滝口氏の記事から始めます。

脇村高野連会長と伊吹文科相が会談 基準作りで温度差
(毎日新聞 2007年5月12日 東京朝刊)
 日本高野連の脇村春夫会長と伊吹文明文部科学相が11日に東京都内で会談し、伊吹文科相は「(特待制度を認めている)他のスポーツとのバランスも考えて制度の基準を検討してほしい」と要望した。【滝口隆司】
 日本高野連は6月下旬をめどに日本学生野球憲章に違反しない特待制度の基準をまとめる。会談後、脇村会長は「我々には(戦前に野球統制令で活動を制限された)歴史的な問題や野球留学の問題もある。他との関係より、高校野球がどうあるべきかを考えていきたい」と述べ、他競技に影響されず、主体的に基準を作る意向を強調した。

意外なことですが、脇村氏や田名部氏は「(野球は)特別」と発言していないようです。すくなくとも私が保存している記事のなかには見当たりませんでした。ただ、複数の社説では「野球は特別」が出てきますので、そのように受け取られても仕方のない発言を繰り返したことは間違いないわけです。

上の記事は、文科相との会談後に脇村氏が語ったものです。彼らは、いわゆる「野球は特別」論を主に歴史的背景から語るのですが、ちょっと珍しい側面から「野球の特殊性」を示してみます。

総務省の「公益法人データベース」で「野球」をキーワード(部分一致)にして、得られた検索結果を設立順に並べ替えてみました。

●S23/03/01社団法人日本野球機構
●S28/02/12財団法人日本学生野球協会
●S28/04/01財団法人全日本軟式野球連盟
●S33/11/10財団法人野球体育博物館
●S38/02/27財団法人日本高等学校野球連盟
●S39/12/24財団法人東京都軟式野球連盟
●S48/04/05財団法人神奈川県高等学校野球連盟
●S51/04/01財団法人千葉県高等学校野球連盟
●S52/03/28財団法人静岡県高等学校野球連盟
●S52/05/24財団法人埼玉県高等学校野球連盟
●S54/06/13財団法人全日本大学野球連盟
●S55/08/15社団法人日本プロ野球選手会
●S56/01/19財団法人横浜野球友の会
●S57/03/04社団法人少年軟式野球国際交流協会
●S58/12/28財団法人兵庫県高等学校野球連盟
●S62/03/26社団法人神奈川県少年野球交流協会
●H02/12/25財団法人栃木県軟式野球連盟
●H01/11/16財団法人吉澤野球博物館
●H02/06/28財団法人日本野球連盟
●H04/08/12財団法人世界少年野球推進財団
●H10/04/23社団法人全国野球振興会
●H17/05/19財団法人全日本リトル野球協会
●H17/05/19財団法人日本少年野球連盟

このように、名称に「野球」が含まれる公益法人は23団体あります。まあ、「横浜野球友の会」というのは、私も初めて知りましたが…。

実は、「サッカー」で検索すると30団体あります。これは日本サッカー協会が下部組織の法人化を促している帰結であって、その財団法人日本サッカー協会を除けば、H04/04/01付で財団法人認可を受けた静岡県サッカー協会がもっとも古く、大半はこの4~5年の間に社団法人の認可を受けています。

公益法人制度の見直しが進行中の今では事情が異なると思われますが、数年前までは財団法人認可を受けるには1億円以上の資産が必要だと言われていました。高野連様の場合、ローカル組織にすぎない神奈川、千葉、静岡、埼玉、兵庫の5県が財団法人認可されています。

「野球」という競技の中の「高校」という階層の県レベルの団体が5つも財団法人になっているのです。こんな競技はほかにないでしょう。申請すれば、東京や大阪なども簡単に認可をとれるはずです。このような意味において、(高校)野球が特別であることは事実です。