goo blog サービス終了のお知らせ 

特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

自民党小委員会

2007年06月22日 | ブルータス

自民党の「高校野球特待生制度問題小委員会」による提言がまとまりました。特待生容認は当然のことであって、むしろ高野連様に対して「透明性の高い組織作り」を求めた点が評価されます。

各地区の私学部会は、トーンに差があるにせよ、憲章見直しか弾力的運用での特待生容認を求めていますので、方向性としてはほとんど固まったと見ていいでしょう。

特待生制度、公正な運用図り容認を…自民が提言
(2007年6月21日12時20分  読売新聞)
 「中・長期的に取り組む課題」として、<1>野球部員を理由にした特待生制度を認めていない日本学生野球憲章の見直し<2>甲子園大会でのチーム内の県外出身枠のルール化の検討<3>高野連の組織の在り方<4>プロ・アマを通じた野球関係団体の話し合いの場の設立の検討を挙げた。
 このうち、県外出身枠のルール化については、委員から「私立学校は全国から生徒を集めているため一律的なルール化は難しい」など、慎重な意見も出たという。

私は「落としどころ」のページで、「短期的には特待生問題の後始末が急務ですが、中期的には学生野球憲章の見直しが必要であり、長期的には組織の統一が求められています」と書きました。

「野球統制令と学生野球憲章」でも述べたように、学生野球憲章第3条の「試合はすべて学業に支障がないときに行なわなければならない」が大学野球に適用されて、高校野球には(条文上)適用されないというのは、「教育の一環」を損ねるはずです。高野連様サイドに立っても、ここは変えざるを得ないのです。

“解釈改憲”は好ましくありません。せめて憲章の見直しまで進まなければ、この2カ月間のすったもんだが無駄になります。

さて、自民党小委員会の「中・長期的に取り組む課題」ですが、<1>と<3>は積極的に支持します。<4>については、すでに「話し合いの場」になってもいい全日本野球会議があります。もうこれ以上、新たに別の団体をつくる必要はありません。全日本野球会議の発展的解消でいいのです。

<2>に関しては、今さら言うまでもなく、私は反対です。他紙の報道によれば、プロ野球の外国人選手枠のようにベンチ入り何人までという線を引けということのようですが、高野連様は「プロ野球の外国人選手枠を模範にせよ」と言って、耳を貸す相手ではありません。こんなところでプロ野球を引き合いに出すのは、わざとぶち壊そうとしているとしか思えません。

たとえば、埼玉県春日部市は東京と千葉、茨城県古河市は栃木と埼玉、三重県桑名市は愛知と岐阜、奈良市は大阪と京都から普通に通学圏です。かりに5人までという制限を設けたら、その規定に泣く選手が出てくるでしょう。

高校野球は学校単位でチームを編成しているのであって、だからこそ「教育の一環」たりうるわけです。代表校はその県の高校の代表であり、その県の中学出身者の代表ではありません。そんなに都道府県対抗戦をやりたいのなら、高校のチームではなく、出身中学別都道府県選抜チームを編成すればいいことです。

もし、野球留学をそんなに問題視するのなら、熊本工あたりに関東や関西出身の選手がいることも問われるべきでしょう。福岡ならいざ知らず熊本に関東や関西からの転勤者がコンスタントにいるとも思えません。

県民の税金で成り立っているはずの県立高校に隣接県でもない他県出身者が紛れ込んでいるということは、定員が限られている以上、はみ出して不合格になった県民の中学生もいるということにほかならないのです。数が少なければいいという問題ではないはずです。

というより、「県外生は何人まで」という制限を設けたら、道州制が実現し都道府県がなくなったときも、旧都道府県境という過去の遺物を引きずらねばならないのでしょうか? まあ、この程度の与党議員なのでしょう。


森本栄浩アナ

2007年06月17日 | ブルータス

MBS(大阪・毎日放送)のWebサイトには、数人のアナウンサーによるコラムが不定期掲載されています。「青春甲子園」というタイトルで01年6月から執筆しているのが森本アナです。05/05/27付のコラムは「裏金」を予言?したものです。

毎日放送>森本栄浩の青春甲子園 05/05/27
 (リンク先はGoogleのキャッシュ)
甲子園もさることながら、プロ選手を送り出せばその高校の指導者、少年野球の指導者にとっては最高の名誉ですし、そこに一銭のお金も存在しないということなどあり得ない話です。ここにこそ問題があるのです。

森本氏は、せっかく「ここにこそ問題がある」と指摘したにもかかわらず、その後の話は野球留学に終始します。森本氏は「裏金」を得たい大人が「野球留学」を助長しているのだと言いたいのでしょう。たしかに、それはそれで一面の真理であって、「裏金」を排除できるなら、“不純”な「野球留学」を抑止することにはなるでしょう。

「青春甲子園」という恥ずかしさのかけらもないタイトルで丸出しですが、森本氏は甲子園大会というビッグイベントの“守旧派”です。一歩間違えば「輝け!甲子園の星」になりかねないコラムばかりですから…。

たとえば、01/09/07付には「甲子園は素晴らしいところで、若者の無限の可能性を引き出し、大きく成長させる場なのです」とあります。私なら、こんなクサイことは絶対に!書きません。森本氏は私と対極に位置します。

「セットポジション」をサイト内検索してみました。「青春」は出版社名と書名で3ページだけヒットしますが、地の文では一切出てきません。私のボキャブラリーにはそんなものはないからです。私は「さわやか」も使っていません。

さて、このコラムには、いわゆる「行き過ぎ」と思われるケースが紹介されています。次に引用する部分の最後のセンテンスは「行われています」と断定になっています。断定する以上、きっとそれなりの裏付けがあるのでしょう。同じ関西でも捏造した局とは違いますので、とりあえず信憑性のある情報として受け取っておきましょう。


少年野球の監督から、「お前は○○高校へ行け」と言われたり、Aくんを送り込むからBくんもついでにという抱き合わせケースや来年の有望選手が欲しいから今年うちのチームからこの選手を、といった先行投資ケースが知られています。多くの場合、授業料免除の特待生扱いで、大人の間の「取引」が行われています

監督から「お前は○○へ行け」と言われたり、抱き合わせや先行投資で進路先が決まるのは、中学・高校間の専売特許というわけではありません。むしろ、高校・大学間、大学・社会人間、アマ・プロ間で広く続いてきた「慣習」とさえ言っていいはずです。

こうした進学が「行き過ぎ」なのかどうかはかなり微妙です。高校生が他県の大学に進学する場合には「親の反対を押し切って」というケースもあるでしょうが、中学生が他県の高校に進学するには保護者の積極的同意が必要になるはずです。

本人や保護者が望まない進路先を示されて、泣く泣くこれに従った結果、離れ離れの生活を余儀なくされるのなら、ほとんど「人権問題」でしょうが、どうせ卒団するのですから、弟が在籍していない限り、従う義理などないはずです。保護者の積極的同意があるなら、第三者が口を出すような問題ではありません。

一方、もし、選手の進学に際して、その紹介・仲介・斡旋にあたって、第三者なり少年野球関係者が私立高校側から金銭を受け取ったとしても、これに対するペナルティはありません(税法上の問題は別の話)。

学生野球憲章とは、高校と大学の野球部関係者だけに適用されるものです。少年野球側や第三者が制約を受けるわけではありません。また、学生野球憲章は金品を受け取ることを禁じていますが、金品を差し出すことを禁じていません。

「謝礼」なり「仲介料」なりを私立高校が支出した場合はもちろん、たとえ私立高校の野球部長がポケットマネーで支払ったとしても、憲章違反とはならないはずです。これを「行き過ぎ」だと考えるなら、ここに網をかけることが必要になるはずです。

それは学生野球憲章では難しいのではないかと思われます。20条4項に定める「学生野球の健全な発達を阻害」を拡大解釈すれば、できなくはないかもしれませんが…。

もし、網をかけるなら、その網は中学・高校間だけでなく、高校・大学間にも適用されねばなりません。さあ、どうする?


盛岡商に学べ?

2007年06月11日 | ブルータス

06-07年シーズンの高校サッカー日本一は盛岡商でした。05-06年シーズンの野洲高校に続いて公立高校の連覇です。

★高校サッカー選手権
【06-07年】優勝:盛岡商 準V:作陽 4強:神村学園、八千代
【05-06年】優勝:野洲 準V:鹿児島実 4強:遠野、多々良学園
【04-05年】優勝:鹿児島実 準V:市立船橋 4強:国見、星稜

実は、盛岡商は06年秋の高円宮杯では1回戦で星稜高校に1対8と大敗しています。

★高円宮杯全日本ユースサッカー選手権(U18)大会
【06年】優勝:滝川第二 準V:名古屋グランパス8ユース 4強:初芝橋本、ガンバ大阪ユース
【05年】優勝:東京ヴェルディユース 準V:コンサドーレ札幌ユース 4強:滝川第二、サンフレッチェ広島ユース
【04年】優勝:サンフレッチェ広島ユース 準V:ジュビロ磐田ユース 4強:鵬翔、鹿児島実

同年代のユースチームと高校チームが競う高円宮杯では、ここ数年ユース優勢が続いています。冬の国立で公立高校が連覇した背景には、有力選手がユースに流れている事情があるに違いありません。

さて、滝口氏の「記者の目」は5月16日付でした。5月24日に毎日新聞は再度、「記者の目」を特待生問題に費やしています。書いているのは盛岡支局の安田光高氏です。

■記者の目:発端の地から野球特待制度を考える(リンク先はGoogleのキャッシュ)

安田氏は「岩手県は高校野球の後進県だ」と言います。まあ、否定するのは難しいところです。07年春までの春夏通算は28勝76敗、戦後の春夏通算は19勝62敗、87~06年の20年間では6勝25敗、97~06年の10年間では2勝13敗、どの期間で区切っても勝率で46位です(→「いつか、テイクオフ」)。ブービー4冠?なのです。

安田氏は次のように書いています。

今年1月、東京の国立競技場で全国高校サッカー選手権大会を取材した。優勝した岩手県代表の盛岡商は冬場、雪でグラウンドが使えない。このハンディを克服し、県立高校が県内選手だけで戦って全国制覇した。

この冬は暖冬だったよなあと思いながら、意地悪な私は気象庁のWebサイトを調べてみました。06年12月、盛岡市で1センチ以上の降雪が観測されたのは5日ありました。たしかに12月17日の雪は痛かったかもしれませんが、すくなくとも大会直前に関しては「ハンディ」を強調するようなことでもなかったようです。

安田氏は続けます。

05年に夏の甲子園を取材した時のことだ。<略>花巻東は15年ぶりの出場。アルプススタンドは満席になると思っていた。しかし、空席が目立った。<略>04年のセンバツでは、岩手県から県立一関一が出場した。この時、スタンドは満席だった。「これが地元代表ということなのか」と思ったものだ。選手の構成が、純岩手県チームだからだったのかもしれない。

アルプスの話ですから、それはそのとおりだったのでしょう。04/03/24(水)14:52開始の第3試合は、拓大紅陵が一関一を6対0で降しました。この試合の観衆は1万5000人と発表されています。05/08/12(金)8:30開始の第1試合は、樟南が花巻東を13対4で退けました。 この試合の観衆は1万2000人です。

一関一も花巻東も平成19年度の募集人員は240名です。一関一は1898年創立ですが、花巻東は1956年の開校です。一関一は49年ぶりの出場でした。前回出場が1955年春です。花巻東はその翌年の開校なのです。こうした条件を無視して、単にアルプスの入りだけで、花巻東を引き合いに出すのは失礼な話です。 

だいたい、一関一は「21世紀枠」というお情けで出ただけの話ですが、花巻東はトーナメントを勝ち上がってきたのです。花巻東の05年夏のベンチ入り選手に県外中学出身は秋田の1人しかいません(花巻市は内陸部)。

04年春の一関一のキャッチャーは宮城県の中学出身者でした。「純岩手」ではありません。まあ、一関市は宮城県に隣接しています。一関一は昔から宮城からの越境入学を認めてきたはずです。「まず岩手が「留学」廃止を」と言うなら、そっちも禁止すべきでしょう。先に結論がある記事の見本のようなものです。


元特待生記者

2007年06月08日 | ブルータス

昨日、「過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目になります」というヴァイツゼッカー演説を引用しました。(元)大統領はこう続けています。「非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危機に陥りやすいのです」(『荒れ野の40年』岩波ブックレット)。

滝口氏は元特待生です。「高校時代、学費を免除される特待生として野球をしていた」と自ら書いておられます。

記者の目:元特待生として思う (リンク先はGoogleのキャッシュ)
ttp://www.mainichi-msn.co.jp/today/archive/news/2007/05/16/20070516k0000m070183000c.html

この記事は5月16日付の紙面に掲載されています。救済措置が発表されたあとです。高校の名前は書いてありませんが、高校野球ファンなら読めばすぐにわかります。同期生5人がプロ入りした厚い選手層にベンチ入りできなかった滝口少年は、受験勉強を始めて「自分が特殊な世界の住人だったと気づいた」のだそうです。

記事全体を通して言えば、共感できる部分もあります。そういえば、ある大学出の黄金ルーキーが「週刊文春」を「…ぶんはる」と読んだという有名な話もあります。今は某プロ球団の監督になっていますが…。

滝口氏の「記者の目」には、2つほど欠落している視点があります。1つは、適法な私的契約を年度途中に解約せよと申し渡した高野連様の“絶対専制君主”ぶりに対して、元特待生としてどのように感じているのかという点です。

田名部氏によれば、「学生野球憲章に時効はない」のですから、特待生だった滝口氏もアウトです。20年前に、いきなり今回のような横暴な態度に出られたら、学費免除を受けていた滝口氏はどのように感じたでしょうか? 

かりに「行き過ぎ是正」という目的が正しいにせよ、この手法が受け入れられるか、それとも受け入れ難いかという点です。これはぜひお聞きしたいところです。まあ、分別がつくはずの新聞記者さんが触れておられないのですから、きっと粛々と受け入れるということなのでしょう。

2つ目は、滝口氏がなぜ(野球では)名門と呼ばれる高校に特待生として入学したのかという点です。他律的なものだったのか、自ら望んだのか、せめてその程度は書いていただかないと、「元特待生」をカミングアウトした意味がありません。

ご自身のことなのですから、取材する必要などありません。いくらでも書けるはずです。田名部氏や脇村氏は「行き過ぎた勧誘行為」を問題視しているようですから、勧誘があったのかなかったのかについて触れてこそ立派な記事になるはずです。

あるいは滝口氏は母校に累が及ぶ可能性を考慮されたのかもしれません。だからこそ、この問題を追及するにあたっては、「北風より太陽」で免責を与えることのほうが重要なのです。不幸なことに、「過去は問わない」と言える器量が田名部氏にも脇村氏にもありません。


2つの南北問題

2007年06月03日 | ブルータス

ちょっと「ブルータス」には無理があるのですが、まず某政令指定都市の市議会議員のブログをどうぞ。

■広島市議会議員 谷口おさむのブログ>高野連VS高体連

このブログはいきなり「西ライオンズ」という、いかにもありがちな誤字から始まります。4月27日付ですから、特待生調査が進行中に書かれたものです。

導入部分は、産経新聞社がベータ版として公開中の「イザ!」のニュース記事をほとんど丸ごとコピーしたものです。中盤は、もともと共同通信の配信記事だと思われます。産経とスポニチに同じ内容のものがありました。文末を変えてあるだけです。

■iZa>「スポーツ特待、他競技は容認」 専大北上高野球部解散
■スポニチアネックス>特待生「全面否定は避けたい」

広島市議会のWebサイトによれば、谷口修議員は実在します。安佐南区選出で当選3回、所属会派は自由民主党新政クラブです。建設委員長を務めておられるようです。別に、適法な「引用」でないことを指摘したいのではありません(結果的にそうなってしまうのですが…)。

ご本人のWebサイトによると、氏は呉工、国泰寺、広島工で体育の教員を務めておられたようです。すると、「高野連には係わらないほうが良いと教えられ」たのは呉工時代でしょうし、寄付金集めの特別チームをつくったのは広島工時代でしょう。親が応援バスを出して近所の人を連れて行ったのも広島工ということになりそうです。

谷口氏はおそらく野球以外の競技で中京大や広島修道大大学院に進まれたのでしょう。高校野球が「特別」扱いされることを苦々しく思っていたに違いありません。これは野球以外の競技者に共通する心情だと思われます。

実は、ここにもう1つの「南北問題」が起きているわけです。高野連理事で毎日新聞大阪本社運動部長の堂馬隆之氏は、高野連は特待生を禁止しているのだから高体連も同調せよと主張されました。後日扱いますが、堂馬氏の(忠実な)部下である滝口隆司氏もほぼ同様のことを述べています。

高野連と高体連が等しく規制すれば、野球だけが突出している現状が固定されます。高野連が特待生を規制すれば、伝統校優位が固定され、新興私立校は事実上排除されます。2つの南北問題を抱えて利害関係が錯綜しているわけです。

要は、高校野球がマイナースポーツになれば、「特待生」など雲散霧消するだけのことですが(私はそれでもいいと考えています)、主催新聞社は人気を維持しつつ(どこにも書いてない)「アマチュアリズム」を墨守したいという贅沢な考えから脱却できないようです。


高野連新役員

2007年05月28日 | ブルータス

5月25日の日本高野連評議員会で新役員が決まっています。どの新聞でもいいのですが、ここはやはり滝口氏の記事を引くのが「礼儀」というものかもしれません。

高野連:脇村会長を再選 (毎日新聞 2007年5月25日 19時40分)
新しい副会長には、大阪大医学部名誉教授の越智隆弘・行岡病院骨関節センター長(65)、和歌山県高野連会長の田井伸幸・県和歌山商校長(57)を選出した。越智氏は春夏の甲子園大会で投手の肩ひじ関節機能検査に携わってきた。田井氏は箕島が春夏連覇した79年夏に野球部長を務めた。
 新理事には新副会長を含む14人が選ばれ、西岡宏堂・元滋賀県高野連会長が審議委員長、野村利夫・元大阪府高野連会長が同副委員長に内定した。

おっ、やっぱり来たな県和商ってな感じもありますが…。


新任理事(副会長を除く)は次の通り。

 
森田郁朗(東京都高野連理事長)山口雅生(日本高野連事務局長)石井晃(元朝日新聞社論説委員)松倉展人(毎日新聞社総合事業局スポーツ事業部長)西岡宏堂(元滋賀県高野連会長)野村利夫(元大阪府高野連会長)木村淳(宮城県高野連理事長)渡辺圭一郎(山梨県高野連理事長)小山修一(長野県高野連理事長)伊原登(大阪府高野連理事長)正木陽(高知県高野連理事長)松元泰(宮崎県高野連理事長)

この結果、高野連様の理事は会長・副会長を含んで33人となりました(ほかに監事が3人)。

会長●脇村春夫(再)
副会長●新妻義輔(再)
副会長●山武久(再)
副会長●越智隆弘(←顧問)
副会長●田井伸幸(新)

理事●清澤忠彦(再)
理事●和泉健守(再)
理事●杉中豊(再)
理事●木嶋一晃(再)
理事●尾藤公(再)
理事●浜村康弘(再)
理事●相澤孝行(再)
理事●吉井秀一(再)
理事●高木正皓(再)
理事●速水徹(再)
理事●堂馬隆之(再)
理事●森田郁朗(←評議員)
理事●山口雅生(←評議員)
理事●石井晃(新)
理事●松倉展人(←評議員)
理事●坂本浩哉(再)
理事●木村淳(←評議員)
理事●渡邊圭一郎(←評議員)
理事●小山修一(←評議員)
理事●神谷良治(再)
理事●伊原登(←評議員)
理事●河原丈久(再)
理事●正木陽(←評議員)
理事●松元泰(←評議員)
理事●田名部和裕(再)
理事●田中元男(再)
理事●西岡宏堂(←評議員)
理事●野村利夫(←監事)

監事●山下雅広(再)
監事●萩尾千里(←評議員)
監事●常本明(新)

財団法人においては理事は必置機関であり、意思決定、業務執行、対外代表の権限を有するものとされています。反高野連様の態度をとる一部には誤解があるはですが、「参与」という肩書きで登場する田名部氏は理事の1人ですから、財団法人日本高野連を代表する権限は(法的にも)認められます。

現実には、理事の大半は兼職であって、ほかに本業を持っています。結果的に、「専業」である田名部氏と脇村氏ばかりが表に出てくるわけです。彼ら2人の首をとったとしても、本部が大阪であることから、後任を探すのはコミッショナー探しより難しいでしょう。

また、「実質的に高野連様を支配しているのは最高顧問の4人だ」とする向きもあるようですが、すくなくとも彼らは法的な権限を有しておらず、また実態としても名誉職にすぎないはずです。

最高顧問●箱島信一
最高顧問●松前達郎
最高顧問●北村正任
最高顧問●秋山耿太郎

顧問●大本修
顧問●藤城亘男
顧問●鵜山治
顧問●佐山和夫
顧問●鬼頭鎭三
顧問●三輪武
顧問●奥尾幸一
顧問●渡部義徳
顧問●河村正(←副会長)
顧問●吉田孝(←副会長)
顧問●永野元玄(←理事)
顧問●達摩省一(←理事)

さて、理事または顧問で、今回退任したのは次の方々です。

上宮厚慧(顧問):大谷高校長、京都府私立中学高等学校長会会長
寺尾理(顧問):静岡東高校長
西川征志郎(理事):兵庫県高野連会長
高塚昌倶(理事):カネカサンスパイス社長、鐘淵化学野球部監督
西建策(理事):大阪市教育委員長
佐藤道輔(理事):東京都高野連理事長、東大和高野球部監督
藤澤義昭(理事):岩手県高野連理事長、盛岡工野球部長
多賀義彦(理事):奈良県高野連理事長?

藤岡行弘(理事→評議員)
岡村清(理事→評議員)
小森年展(理事→評議員)
小倉好正(理事→評議員)

まあ、この顔ぶれなら170人リストとはほぼ無関係でしょう。理事会は株式会社で言えば取締役会のようなものですが、一般的に財団法人は理事会とは別に評議員会を設けていることが多いようです。監事は監査役と考えればいいはずです。

また、高野連様に対して「天下り組織」との批判?がありますが、これはまったく的外れです。すくなくとも脇村氏は「無給」を条件に会長に就任しています。朝日や毎日との関わりが深いのは昔からのことであって、彼らは民間人ですからいわゆる「天下り」ではありません。

ついでに言えば、事務局員が報酬を得ているのは当然のことですが(「参与」となった田名部氏がどうなのかは知りませんが…)、役員報酬がもしあるとしても、せいぜい足代程度のものでしょう。この裏を返せば、だからこそ彼らは頑迷なアマチュアリズムから抜け出せないとも言えるわけです。

非常勤は別にしても、常勤の理事ならそれなりの報酬を得るのは自然なことであって、法外な退職金などが支給されない限り、非難されるようなことではありません。


朝日だけではありません

2007年05月14日 | ブルータス

出しそびれているうちに先を越されて、この件に関しては「お任せ」のつもりでしたが、続報が出ませんので便乗します。

高野連「熱烈擁護」の記事 書いた朝日記者は高野連理事
(J-CAST ニュース 2007/5/ 7)
朝日新聞だけが高野連を擁護するかのような「記事」を掲載した。一見すると、一般の記者が署名入りで主張を書いたかのように見えるが、記者は高野連の理事も務めていた。

よくある話であって、別に珍しいことではありません。今回は佐山氏もそうでした(尾藤氏には高野連常任理事の肩書が載っていましたが…)。たしか「21世紀枠」のときも同じことをやっていました。いつもの手口です。今さら私は驚きません。

高野連:特待制度根絶策 中止徹底を最優先 今後、二重基準に
(毎日新聞 2007年4月21日 東京朝刊)
◇他競技も調査を--大阪本社運動部長・堂馬隆之
 専大北上の特待生問題を発端に、日本高野連が加盟校に対し、特待制度の全国実態調査と同制度解消に踏み切る。学業との両立が本分の高校スポーツの健全化に向けた第一歩として評価したい。ただし、これが野球だけにとどまっていては中途半端ではないか。他競技団体も調査するなどのアクションを起こすべきだ。

このように主張している(た?)堂馬隆之氏もまた高野連様の理事を務めています。高野連様の理事がよその競技団体に対して、「お前らも俺の後をついて来い」なんてことを言っているわけです(肩書きを変えればそうなります)。

私はストックしていたこの記事を読んで、大阪本社運動部長の肩書だけでピンと来ました。実は、堂馬氏の名前を見つけようとしたら、佐山氏の名前も見つかったという次第です。引用しなかった部分を含めて、堂馬氏の論旨は次のようなものです。

  1. 専大北上高野球部は学生野球憲章違反で解散に追い込まれた。
  2. 同校は他競技でも同じような特待制度を運用している。
  3. 他競技には学生野球憲章のようなルールがない。
  4. この際、他競技も実態調査すべきだ。

言論は自由です。記者個人として、このような発言をすることは別に否定されることではありません。脇村氏や田名部氏がこんなことを言えば(言ったようですが…)、“内政干渉”にしかなりません。傲慢きわまりない話です。「大きなお世話」だと言い返されるだけでしょう(穏便に済んだようですが…)。

しかしまあ、こうして見ると、4月21日付の毎日新聞は、高野連様の幹部が肩書を替えて第三者であるかのごとく装いながら、高野連様の広報を垂れ流していただけだったようです。残念ながら、思惑どおりに進まなかったようですが…。


伊吹文明文科相

2007年05月08日 | ブルータス

もう少し先になってから登場してもらうつもりでしたが、こういう展開になってしまった以上、仕方がありません。

生徒に不利益ないよう要請 野球特待生問題で文科相
(2007年05月07日 11:41 共同通信)
 伊吹文明文部科学相は<略>「できるだけ生徒に被害が及ばないよう話をしたい」と述べ、文科省として特待生が厳しい処分を受けることがないよう高野連側に要請する考えを示した。
 文科相は「制度を知らなかった少年が被害者になるのを避けるのが、教育に携わる大人の責任だ」と強調した。

 <略>
 伊吹文科相は、野球以外のスポーツや学業成績が良い生徒の特待制度もあることを踏まえ、「特待制度そのものが悪いとは思わない」と表明。その上で「高野連が世間一般の風潮を考えてどう対応するかが大きなポイントだ」と指摘した。

これを受けて?(としか思えません)、高野連様がさっそく動いたようです。世論に叩かれた挙句、とうとう文科相からも口を挟まれる辛い立場に追い込まれたようです。文字どおりの“自爆”ですから自業自得なんですが…。

選手への影響を最小限に 特待生問題で緊急理事会
(2007年05月07日 20:34 共同通信)
 日本高校野球連盟は7日、日本学生野球憲章が禁じるスポーツ特待制度の実態調査で376校が違反を申告したことを受け、今後の対応について10日に緊急の全国理事会を開くと発表した。田名部和裕参事は「選手の受ける影響をできるだけ少なくするのが目的。転校や退学を回避できる緩和措置を出せるのかを話し合う」と語った。
 審議内容は、(1)特待制度解約により就学継続が困難となる部員への緩和措置の検討(2)野球部長の処分軽減(3)新たに設置する特待生問題私学検討部会の目的など今後の進め方-の3点。

つい先日までの強気の姿勢はどこに行ったのかと揶揄したくなりますが、緩和や軽減ではなく撤回してほしいと私は考えています。

田名部氏や脇村氏は「なぜ野球だけ?」の問いに対して、戦前に文部省から「野球統制令」を突きつけられた歴史があることを理由にあげてきました。結果的に、この「野球統制令」はプロ野球の誕生を促したのですが、一方では(戦局の悪化という特殊な状況にあったとはいえ)現在の東京六大学リーグが解散を命じられるなどの制約を受けたことも事実です。

皮肉な話ですが、過剰反応の末に暴走してしまったばかりに、嫌っていたはずの政治の介入を逆に呼び込んでしまったことになります。

さて、伊吹氏の昨日の国会答弁は、いずれ国会図書館Webサイトの議事録に収録されるでしょうから、改めて取り上げる機会を設けなければなりませんが、伊吹氏は4月17日の会見では次のように述べています。

文部科学省>平成19年4月17日大臣会見概要
記者)
 専修大学北上高校が、学費免除等、日本学生野球憲章に違反して、結局解散ということになったのですが、それについて大臣の所感をお願いします。
大臣)
 私自身の考えは、野球の才能を伸ばすということは悪いことではないとは思いますが、各地から学生をスカウトして強いチームを作るというやり方は、本来の学生スポーツ、アマチュアスポーツに本当にいいのかなという気がします。特待生になった子どもに罪はないという意見もありますが、同時に、特待生になることは子どもも保護者も知っておられるわけです。特に保護者のお立場からすると、子どもの才能を伸ばしてやりたいというお気持ちは分からないわけではないですが、親元を離れて、野球の上手な人たちだけを特定の学校地域に集めるという在り方そのものを、考えなければいけないのではないかと思います。
記者)
 解散ということで子ども達に影響が出てきていますが、文部科学省として何かアクションというものは有り得るのでしょうか。
大臣)
 単に野球だけのことではありません。率直に言えば、特に私立の場合は何処へ行っても良いわけです。そういう議論に入る前に、安倍流に言えば、学校や両親の規範で解決していかないといけないと思います。文部科学省がそこへ口を出すことはどうかと思います。私は本来のアマチュアスポーツの在り方からすると、あまり適切なことではないという気がします。
記者)
 特待生制度というのは野球以外では結構幅広くあるようですけど、それ自体もあまり良くないというお考えでしょうか。
大臣)
 ずっと昔から特待生制度は、学校成績など色々ありましたよね。だから特待生制度そのものがいけないということではないと思います。アマチュアスポーツというのは、そのスポーツ行為に対して対価を与えないということによって成り立っているわけです。

政治家特有の言い回しですから、「言語明瞭、意味不明」ほどではないにせよ「論理明快」とは言えないでしょう。この会見で伊吹氏は次の諸点を述べたわけです。

  1. 野球の才能を伸ばすことは悪いことではない(原則論)
  2. 各地から選手を集めるのはアマ、学生として好ましくない(野球留学はNG)
  3. 特待生になることは、保護者も生徒も知っているはず(故意である)
  4. 親元を離れて特定の学校に集まるのはよろしくない(野球留学NG)
  5. 私立に学区はない(原則論)
  6. 行政が口出しすることではない(原則論)
  7. アマチュアの本来の姿から逸脱している(アマとは?)
  8. 特待生制度そのものは悪くない(これも原則論)
  9. アマチュアスポーツは対価を求めてはいけない(古典的発想)

伊吹氏の会見での発言は一貫しています。すべて原則論を述べたうえで、最終的には野球留学やアマチュアリズムの話に流れます。このブログのテーマそのものです。

野球留学やアマチュアリズムについては改めて扱うこととして、今日のところは伊吹氏の発言の変化だけ強調しておきます。2番目の問いに関する応答で伊吹氏は「口をだすことはどうか」と発言しています。口を出すつもりはなかった大臣に口出しさせてしまったのは、それを恐れていたはずの高野連様の失態です。

また、4月17日の記者会見で、伊吹氏は「特待生になることは子どもも保護者も知っている」と述べています。これに対して、昨日の答弁では「制度を知らなかった少年が被害者になるのを避ける」べきだとおっしゃっています。

おそらく、ここに言う「制度」とは特待生制度のことではなく、学生野球憲章を指しているのでしょう。ですから、決定的に矛盾するものではありませんが、「制度を知らなかった」生徒が免罪されるのでしょうか?

8000人の中に10人ほど学生野球憲章を知っていても不思議ではありません。もし、「制度を知らなかった」がゆえに免責されるのであれば、知っていたか知らなかったか確認する作業が必要になるはずです。

なんども繰り返しているような気がしますが、彼らが免責されるのは「制度を知らなかった」からではありません。無知ゆえに免責されるのではないのです。最初から無実だというそれだけの話であって、ほとんど言いがかりの冤罪でしかありません。

これまた、かぶるはずですが、特待生の「契約」とは生徒の法定代理人である保護者と学校側との間の適法な私的契約であって、一競技団体が「憲章」とやらを盾に年度途中で破棄を迫るような性質の問題ではありません。

もし、違法な契約であれば、なおさら一競技団体がでしゃばってはならないのです。問題の所在を指摘すれば足りることであって、あとはしかるべき機関に任せればいいだけです。競技団体がその枠を超えて、自らの(朽ち果てた)価値観を押しつけてはなりません。

まあ、こういう展開になってくると、早々に白旗を掲げて高野連様の軍門に降り、ひたすら恭順の意を示した校長先生のコメントを読み返すのが楽しみになってきます。私はこのブログでは徹底的に悪趣味を貫くつもりです。「学校別」はまだ終わるわけではありません。

学生野球憲章は、高校と大学の野球部関係者を対象にしたものです。高野連様の言うとおり、野球部員だけが奨学生にもなれないのだとすれば、学生野球憲章は法の下の平等を定めた憲法14条に触れるのではないかという議論もこれからは起きてくるでしょう。


尾藤公氏

2007年05月01日 | ブルータス

前回と同じ記事に箕島の監督だった尾藤公氏の発言があります。尾藤氏も今では高野連様の幹部の1人です。ですから、別に「ブルータス」ではない(意外ではない)のですが…。

クローズアップ2007:高野連の特待制度根絶策 実効性が課題、歓迎する声も
(毎日新聞 2007年4月21日 東京朝刊)
特待制度が廃止されると中学球児の進学先にも変動が起きそうだ。和歌山の箕島高元監督の尾藤公・高野連常任理事は「高校野球の勢力図が変わってくる。今は県立校の甲子園出場は少ないが、県立校にもチャンスが増えてくるかもしれない」と話す。

まあ、このへんが本音なのでしょう。とくに和歌山と言えば、今ではあの高校ですし…。真実がそうでないとしても、そのように矮小化されてしまうのは仕方のないことです。

かりに、公立高校が復活することで高校野球が隆盛を迎えたとしても、高校野球だけが繁栄すればいいのか、ということは問われなければなりません。

(同)
尾藤さんは「『あこがれの学校に行きたい』『この指導者の下で野球をやりたい』との考え方は当然認められる。しかし、おカネで勧誘して生徒を集める今の特待制度は不公平だ」と見る。

授業料や入学金は私立校のほうが高いわけです。それは「不公平」ではないのでしょうか? 同じ公立校でも学区に縛られる高校と全県から集められる高校があります。この併存は「不公平」ではないのでしょうか? 公立高校でも生徒数の規模は異なります。それは「不公平」ではないのでしょうか? なによりも、野球部員だけ特待生になれず奨学金も受けられらないのは「不公平」ではないのでしょうか?

高校で転校することは稀ですから、私立高と公立高の両方に在学した経験のある人は少ないでしょう。自分の高校だけを基準にものごとを考えるのは「井の中の蛙」です。ちなみに、私は公立高出身であり、受験が許される普通科の公立高はそこだけでした。


佐山和夫氏

2007年04月27日 | ブルータス

とても意外でしたが、佐山和夫さんが次のような発言をされています。

クローズアップ2007:高野連の特待制度根絶策 実効性が課題、歓迎する声も
(毎日新聞 2007年4月21日 東京朝刊)
◇調査徹底し前進を--ノンフィクション作家の佐山和夫さんの話
 学生野球憲章の精神を守るのは当然のことで、その具体的方策が示された。これまで不透明だったものが透明になる。調査、分析を徹底して、高校野球本来の姿で前進してほしい。フェアな精神を追求する方向に注意が喚起されるよう望みたい。

まさか、こんな形で佐山さんと「対決」することになるとは思いませんでした。まあ、読売や産経と同一歩調をとるのもむずかゆいところです。厳密には、西武「裏金」問題 高野連の対応は疑問だらけ(4月26日付・読売社説)に全面的に同調するものではありませんけど…。

新聞に掲載される識者のコメントは、電話取材の記者の問いを否定せずに相槌を打つと、その問いがそのまま掲載されてしまうものだそうですが、佐山さんが「学生野球憲章」の信者だとは知りませんでした。

よく調べてみたら、佐山氏は高野連様の「顧問」でした。なるほど、身内の決定は否定できないものでしょう。佐山氏を中立的な立場であるかのごとく「ノンフィクション作家」の肩書で紹介しているこの記事は、ミスリードを意図しているのかもしれません。