特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

アマチュア資格とは?

2007年05月09日 | アマチュアリズム

学生野球憲章には「アマチュア資格」「アマチュア規定」という言葉は一切出てきません。

野球特待生:高野連の解消策 歓迎と実効性疑問の声
(毎日新聞 2007年4月20日 23時56分)
会見で、高野連の田名部和裕参事は「本来は憲章違反の学校は対外試合禁止で、選手もアマチュア資格喪失となるが、ある程度の免責措置をとった。

まあ、学生野球憲章がアマチュア規定そのものだとも言えるでしょうが、「アマ」という言葉さえ学生野球憲章にはありません。だいたい、もし奨学金が「アマチュア規定」に照らして「アウト」なのだとすれば、午前中しか仕事をしていない社会人の選手はほとんど丸々「アウト」になります。

どう言い繕っても、勤務時間中に練習しています。これは、野球によって報酬を得ていることにしかなりません。このような事情から、学生野球憲章の中には「アマ」の言葉が入らない(入れられない)のです。だからこそ、「学生」という逃げ道を見つけたはずなのです。

何を今さら「アマチュア資格」なのか、時代を(すくなくとも)30年ほど逆回転させているとしか思えません。さかのぼれば、体育教師がアマチュアではない時代がありました。新聞配達も「プロ」(非アマ)だった時代がありました。アマの概念など時代とともに変わっていくものでしょう。

問題は、高校生としてどうなのかということではないのでしょうか。高野連様がよりかかるものが「アマチュア規定」であってはなりませんし、特待生の問題はアマチュアリズムの問題ではありません。


函館大有斗、柏稜

2007年05月09日 | 高校別

函館大有斗は休み明けの5月1日の朝、全校集会で生徒に事情説明、その日の午前中に北海道高野連函館支部に春季大会出場辞退を申し入れています。有斗は最近では珍しくなった男子校であり、柏稜は商業科併設の共学です。

北海道の私立高校と言えば、夏に連覇した駒大苫小牧は別格としても、野球ファンにはまず北海高校ですが、「グレーゾーンだが申告した」という潔さが、同情を集めたばかりでなく、大量申告の呼び水になったように思われます。

高校野球特待制度問題:函館大付属有斗、柏稜も  春季大会出場辞退
(毎日新聞北海道版 2007年5月1日)
 有斗は部員49人のうち29人、柏稜は27人のうち11人が入学金や授業料の免除など奨学金を受けていた。有斗は春夏計13回、甲子園に出場した名門校。
 両校を経営する学校法人「野又学園」(野又肇理事長)は野球部員に限らず、「スポーツ・芸術などに優れた能力を有する者」など5項目を満たす入学生の中から「特別奨学生」を選考していた。日本学生野球憲章第13条は野球を対象に定めており、鈴木校長は「高野連に問い合わせたら『抵触しているともしていないとも言えない』という回答だった」という。
 鈴木校長は「グレーゾーンだが、スポーツで校名を上げているのでフェアプレーの精神にのっとり辞退した」とコメントした。

私はこの記事を読んだとき、学校側が問い合わせたのは北海道高野連だと思ったのですが、そうではなく高野連様そのものだったようです。

野球特待制度 「部員は悪くない」 函大有斗全校集会で校長
(北海道新聞 05/01 14:21)
集会で同校の鈴木健校長は、自校の特待制度が憲章違反かどうか日本高野連に判断を仰いだところ、「違反とも違反でないとも言えない。学校裁量で自己申告してほしい」との回答だったと明かした。

ずいぶん無責任な話です。突然「特待生はダメ」と言い出した挙句、「(たった10日ほどの)期間内に申告せよ、さもなくば夏は出られないぞ」と恫喝しておいて、お伺いを立てたら「てめーで判断しろ」ということだったようです。どういう感性なら、ここまで強圧的な姿勢に出られるものなのか不思議でなりません。

道内では野球の特待生制度は13高校に。道高野連が発表(北海道)
(2007年5月3日  読売新聞北海道版)
 特別奨学生になるため、生徒は必ず部活動に参加しなければならないということはない。しかし、「学力優秀や経済的条件の明確な適用基準」について具体的な明文規定がないため、抵触していると判断したという。

明文規定がないのは、学校側としては学力優秀や経済的条件を総合的に判断したり、弾力的に運用したいからでしょう。それが「不正」か何かの温床になると言われてしまうのなら、やはり“宗教”の問題でしかないわけです。

柏稜の06年夏は函館予選1回戦で函館大谷に4対5で敗れていますが、05年夏は2勝しており、有斗との代表決定戦兄弟対決を戦っています(0対16)。