高体連に動きがあったようです。
29競技で調査の可能性も (共同通信 2007年05月14日 20:27)
全国高等学校体育連盟(全国高体連)は14日、基本問題検討委員会を開き、高校野球で問題となっているスポーツ特待制度に関する小委員会を新設することを決めた。
野球以外の高校の競技を統括する全国高体連には特待制度についての明確な規定がなく、梅村和伸専務理事は「特待制度の全面否定は望まないが、社会的な問題になっており、高体連としての見解を出さないといけない。規定を明文化するか、付加することになる」と設置の理由を説明した。
また同専務理事は「どういう弊害があるのか、どういうメリットがあるのか検討する」と話し、インターハイで実施する29競技で特待制度の実態を調査する可能性も示唆した。
小委員会は金丸哲志・千葉県高体連理事長を座長に基本問題検討委員会メンバーのうち5人で構成され、年度末までに見解をまとめる方針。
高野連様のように、年度途中で解約を迫り、該当者を処分するというものではありません。年度末までに見解をまとめるということは、もし何らかの制限が設けられることになっても、現在の2年生は「セーフ」ということにしかなりません。
まあ、特別協賛企業として日本コカコーラが名を連ねている全国高体連の場合、高野連様のような態度に出ることはまずあり得ません。高体連には32競技の専門部がありますが、もともと競技人口が多くないマイナー競技では特待生を歓迎することはあっても、否定することにはならないでしょう。
あまり知られていないかもしれませんが、「もう1つの甲子園」の元祖とも言うべき「全国高等学校定時制通信制軟式野球大会」を主催しているのは全国高等学校定時制通信制軟式野球連盟や東京都教育委員会などであり、高野連様は文部科学省や全国高等学校長協会などとともに後援に回っているにすぎません。
高体連には32競技の専門部のほかに「定通部」がありますので、同じ野球であっても定通大会に関しては高体連側の“管轄”になるわけです。
なお、高体連の「競技者及び指導者規程」第1条には「高等学校における体育・スポーツ活動は、学校教育の一環として行われるものであり、その活動はアマチュア・スポーツマン精神に則り実施されなければならない」と定められています。学生野球憲章にはない「アマチュア」が堂々と出てくるのです。
第3条の第4項には「スポーツ活動を行うことによって、物質的な利益を自ら受けない」とあり、同条第5項は「スポーツ活動によって得た名声を、自ら利用しない」と定めています。しかしながら、高体連は自らこれを反故にした歴史があります。
日本卓球協会が競技者規定でプロ登録を認めたのは1986年でした。1999年に福原愛は10歳でプロ登録しました。プロである福原は、全中にもインターハイにも国体にも(例外的に)出場しています。
ちなみに、卓球協会は2001年にプロ制度を廃止しました。「廃止」とは、プロを認めないという意味ではなく、わざわざ登録しなくても誰でもいつでもプロになれるという意味です。もはや卓球ではプロもアマもありません。そんな区別などなくなっているのです。「アマチュア規定(規程)」なるものは“20世紀の遺物”なのです。
今回の件で「悪法も法」だと主張した人たちは、きっと福原がインターハイに出たときにも、同じように「悪法も法なのだから、出るのはまかりならぬ」と主張されたに違いありません。
ついでに言えば、卓球協会が「マスタープラン」を制定したのは2003年です。 Jリーグが「百年構想」を打ち出したのはリーグ発足3年後の1996年でした。一方では、100年先を見据えている競技団体があるわけです。他方には、60年前につくられた憲章で選手を縛りつける団体もあります。
競技者もファンも競技団体の幹部を選ぶことができません。半世紀先のビジョンを示してくれと言いたいわけでありません。どうせ高野連様だけでは示しようもないのです。せめて半世紀前の憲章ぐらいは古文書として博物館に収めてほしいというのが野球ファンとしてのささやかな望みです。