特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

撤収

2007年06月27日 | 運営指針

ひとまず現状追認で決着しましたので、このブログは撤収に入ります。今後は基本的に更新しません。必要と判断したものについては段階的に「セットポジション」に取り込むつもりですが、その際も重複するページは削除せず、ブログ全体をしばらく残します(「放置します」という意味です)。

別のブログで「残されたものは何だったのか?」というコメントを頂戴しました。高野連様が勝手に“自爆”に突き進んだことは(結果的には)「よし」としても、その過程で選手に傷を負わせたことは間違いないわけですから、「教育の一環」を掲げるなら、やはり「名誉回復」は不可欠です。それをしないのなら、「責任問題」が生じてくるだけのことです。

なお、管理上の問題から、従来のトラックバックはすべて保留(非公開)とし、今後は一切受け付けません。コメントに関しては、事前承認設定のままにしておきますが、頻繁にチェックするわけではありませんので、公開まで時間がかかるはずです。お急ぎであれば、「セットポジション」の「メールのページ」または「んだ」の関連するページをご利用いただけるよう希望します。


憂鬱

2007年06月23日 | 脇村語録

高野連様が“緩和”措置の検討に入ったのは5月7日の夜です。同日の午前に伊吹文科相は衆院教育再生特別委員会で「できるだけ生徒に被害が及ばないよう話をしたい」と述べています。“緩和措置”を決めたのは10日です。翌11日に伊吹-脇村会談を控えていました。

高野連が憲章見直し 第三者機関発足…自民党本部訪問
(2007年6月23日06時00分  スポーツ報知)
 「以前、私は13条は見直さないと言うことで、『頭の固い高野連の会長』とおしかりを受けたが、決してそういうつもりではありません」かたくなに13条を錦の御旗としていた高野連トップが、突然の“軟化”。驚きを隠せない報道陣に、脇村会長は真意を説明した。
 「第三者機関も含め、検討してもらおうと思っている。私が13条を見直そうと言ってるわけではない。誤解のないようにして頂きたい」日本高野連では今秋、有識者による第三者機関を発足させる方針で、26日の全国理事会の承認を経て正式に発表される。この第三者機関によって、13条を聖域とせずに、検討を重ねる姿勢を示した。これまで、脇村会長は13条見直しについて、議論の余地すらないとの意向だったが「多少、柔軟になったかもしれない」と“軟化”を認めた。

今度は政権与党の提言をほとんど丸呑みしたようです。どうやら、この組織を動かすには政治の力を借りるのが一番早いようです。政治の圧力に弱い高野連という印象は拭えないでしょう。

もともと学生野球憲章とは、行政の介入を許さないために定められたものだったはずです。結果的に、脇村氏の言動は学生野球憲章の“立法の精神”を踏みにじるものになっています。

これほど見苦しい撤退を重ねるなら、最低限「生徒にも責任がある」との発言だけは撤回すべきでしょう。それができないのなら、脇村氏は秋を待たずにお辞めになるべきです。

だいたい、脇村氏はどのツラを下げて開会式や閉会式に臨めるというのでしょう。「責任がある」と言われた特待生が開会式をボイコットしたいと言い出したら、私が部長なら自分の責任においてこれを認めるしかありません。

97年:智弁和歌山-[申]平安
98年:[申]横浜-[申]京都成章
99年:[申]桐生第一-岡山理大付
00年:智弁和歌山-東海大浦安
01年:日大三-[申]近江
02年:明徳義塾-智弁和歌山
03年:[申]常総学院-[申]東北
04年:[申]駒大苫小牧-[申]済美
05年:[申]駒大苫小牧-[申]京都外大西
06年:早稲田実-[申]駒大苫小牧

過去10年間の決勝のカードは上のとおりです。申告校同士の決勝は4回あります。「生徒にも責任がある」を撤回しないまま、今年も申告校同士の顔合わせになったら、脇村氏は何を語れるのでしょうか。

いっそのこと、申告校が優勝したら辞任、非申告校が優勝したら留任ということにすれば、新たな球趣?も湧くというものです。


自民党小委員会

2007年06月22日 | ブルータス

自民党の「高校野球特待生制度問題小委員会」による提言がまとまりました。特待生容認は当然のことであって、むしろ高野連様に対して「透明性の高い組織作り」を求めた点が評価されます。

各地区の私学部会は、トーンに差があるにせよ、憲章見直しか弾力的運用での特待生容認を求めていますので、方向性としてはほとんど固まったと見ていいでしょう。

特待生制度、公正な運用図り容認を…自民が提言
(2007年6月21日12時20分  読売新聞)
 「中・長期的に取り組む課題」として、<1>野球部員を理由にした特待生制度を認めていない日本学生野球憲章の見直し<2>甲子園大会でのチーム内の県外出身枠のルール化の検討<3>高野連の組織の在り方<4>プロ・アマを通じた野球関係団体の話し合いの場の設立の検討を挙げた。
 このうち、県外出身枠のルール化については、委員から「私立学校は全国から生徒を集めているため一律的なルール化は難しい」など、慎重な意見も出たという。

私は「落としどころ」のページで、「短期的には特待生問題の後始末が急務ですが、中期的には学生野球憲章の見直しが必要であり、長期的には組織の統一が求められています」と書きました。

「野球統制令と学生野球憲章」でも述べたように、学生野球憲章第3条の「試合はすべて学業に支障がないときに行なわなければならない」が大学野球に適用されて、高校野球には(条文上)適用されないというのは、「教育の一環」を損ねるはずです。高野連様サイドに立っても、ここは変えざるを得ないのです。

“解釈改憲”は好ましくありません。せめて憲章の見直しまで進まなければ、この2カ月間のすったもんだが無駄になります。

さて、自民党小委員会の「中・長期的に取り組む課題」ですが、<1>と<3>は積極的に支持します。<4>については、すでに「話し合いの場」になってもいい全日本野球会議があります。もうこれ以上、新たに別の団体をつくる必要はありません。全日本野球会議の発展的解消でいいのです。

<2>に関しては、今さら言うまでもなく、私は反対です。他紙の報道によれば、プロ野球の外国人選手枠のようにベンチ入り何人までという線を引けということのようですが、高野連様は「プロ野球の外国人選手枠を模範にせよ」と言って、耳を貸す相手ではありません。こんなところでプロ野球を引き合いに出すのは、わざとぶち壊そうとしているとしか思えません。

たとえば、埼玉県春日部市は東京と千葉、茨城県古河市は栃木と埼玉、三重県桑名市は愛知と岐阜、奈良市は大阪と京都から普通に通学圏です。かりに5人までという制限を設けたら、その規定に泣く選手が出てくるでしょう。

高校野球は学校単位でチームを編成しているのであって、だからこそ「教育の一環」たりうるわけです。代表校はその県の高校の代表であり、その県の中学出身者の代表ではありません。そんなに都道府県対抗戦をやりたいのなら、高校のチームではなく、出身中学別都道府県選抜チームを編成すればいいことです。

もし、野球留学をそんなに問題視するのなら、熊本工あたりに関東や関西出身の選手がいることも問われるべきでしょう。福岡ならいざ知らず熊本に関東や関西からの転勤者がコンスタントにいるとも思えません。

県民の税金で成り立っているはずの県立高校に隣接県でもない他県出身者が紛れ込んでいるということは、定員が限られている以上、はみ出して不合格になった県民の中学生もいるということにほかならないのです。数が少なければいいという問題ではないはずです。

というより、「県外生は何人まで」という制限を設けたら、道州制が実現し都道府県がなくなったときも、旧都道府県境という過去の遺物を引きずらねばならないのでしょうか? まあ、この程度の与党議員なのでしょう。


ハンカチ王子

2007年06月18日 | 憲章見直し

きのうの続きです。

高野連様は「ハンカチ王子」が流行語大賞にノミネートされることを拒みましたが、昨日の全日本大学野球選手権では早大が33年ぶりの優勝を果たしました。斎藤投手は、リトル-軟式-早実と進んでおり、シニアには在籍していないようです。別のページとかぶりますが、サンデー毎日に再登場してもらわねばなりません。

斎藤獲りに総長も動いたワセダの鼻息 (サンデー毎日 今週の1本)
(リンク先はGoogleのキャッシュ)
 そもそも、斎藤投手の早実入りにも、早実・早大OBの社会人野球関係者が密接にかかわった。和泉監督とは小学生時代に在籍した東京・調布リトルリーグからの友人関係にあり、早実、早大でもチームメートだったという、この社会人野球関係者はこう回想する。
「斎藤投手が中2の時、試合で投げる姿を偶然に見ました。わずか3球投げた時点で『逸材を見つけた』と和泉監督に電話を入れました。アイツ(和泉監督)を応援してやりたかった」

配慮の行き届いた記事ですので、この記事の範囲で話を展開します。勧誘行為そのものは憲章によっても否定されていませんが、高野連様が「中学生の勧誘行為の自粛について」という通達を出したのは、05年11月のことです。当時、斎藤投手は早実の2年生でした。

OBの1人が高校の監督に「こんな中学生がいる」と言うこと自体は、前記通達によっても否定されていませんし、否定できるものでもありません。まあ、「密接にかかわった」のですから、電話して終わりということでもないでしょうけど…。

いわば仲介役となった社会人野球関係者のその後の行為は、05年11月の通達によって禁止されたと解釈していいのでしょう。「中学生募集段階の問題点」は、高野連様が私学部会に投げかけた3項目のうちの1つでもあります。

前記通達では、勧誘が(OBを含めて)全面的に禁止されているわけです。一部に「行き過ぎ」た勧誘があるからといって、「いかなる場合でも」勧誘を禁止するのは、まるで金属バットによる殺人事件があったので、全面的に金属バットの所持を禁じるようなものです。

今回の特待生問題でも、高野連様は基本的には同じ発想に立っているわけです。一部に「行き過ぎ」があるので、そこにつながりかねない全部を根絶するという手法です。「行き過ぎ」があるなら、「行き過ぎ」だけを処分すればよかったのではないでしょうか。

「いかなる場合でも」勧誘はNGというのは、いささか窮屈です。一片の通達で処理するより、この部分を含めて、最初から憲章をつくり直すほうがいいのではないかと思われます。

【トラバ指針】 このページに関しては、斎藤投手の中学時代に触れていないものは受け付けません。大量削除の予感がありますので、たいした効果はないかもしれませんが、申し添えておきます。必要に応じ(王子?)て晒すこともありますので、十分ご注意ください。


森本栄浩アナ

2007年06月17日 | ブルータス

MBS(大阪・毎日放送)のWebサイトには、数人のアナウンサーによるコラムが不定期掲載されています。「青春甲子園」というタイトルで01年6月から執筆しているのが森本アナです。05/05/27付のコラムは「裏金」を予言?したものです。

毎日放送>森本栄浩の青春甲子園 05/05/27
 (リンク先はGoogleのキャッシュ)
甲子園もさることながら、プロ選手を送り出せばその高校の指導者、少年野球の指導者にとっては最高の名誉ですし、そこに一銭のお金も存在しないということなどあり得ない話です。ここにこそ問題があるのです。

森本氏は、せっかく「ここにこそ問題がある」と指摘したにもかかわらず、その後の話は野球留学に終始します。森本氏は「裏金」を得たい大人が「野球留学」を助長しているのだと言いたいのでしょう。たしかに、それはそれで一面の真理であって、「裏金」を排除できるなら、“不純”な「野球留学」を抑止することにはなるでしょう。

「青春甲子園」という恥ずかしさのかけらもないタイトルで丸出しですが、森本氏は甲子園大会というビッグイベントの“守旧派”です。一歩間違えば「輝け!甲子園の星」になりかねないコラムばかりですから…。

たとえば、01/09/07付には「甲子園は素晴らしいところで、若者の無限の可能性を引き出し、大きく成長させる場なのです」とあります。私なら、こんなクサイことは絶対に!書きません。森本氏は私と対極に位置します。

「セットポジション」をサイト内検索してみました。「青春」は出版社名と書名で3ページだけヒットしますが、地の文では一切出てきません。私のボキャブラリーにはそんなものはないからです。私は「さわやか」も使っていません。

さて、このコラムには、いわゆる「行き過ぎ」と思われるケースが紹介されています。次に引用する部分の最後のセンテンスは「行われています」と断定になっています。断定する以上、きっとそれなりの裏付けがあるのでしょう。同じ関西でも捏造した局とは違いますので、とりあえず信憑性のある情報として受け取っておきましょう。


少年野球の監督から、「お前は○○高校へ行け」と言われたり、Aくんを送り込むからBくんもついでにという抱き合わせケースや来年の有望選手が欲しいから今年うちのチームからこの選手を、といった先行投資ケースが知られています。多くの場合、授業料免除の特待生扱いで、大人の間の「取引」が行われています

監督から「お前は○○へ行け」と言われたり、抱き合わせや先行投資で進路先が決まるのは、中学・高校間の専売特許というわけではありません。むしろ、高校・大学間、大学・社会人間、アマ・プロ間で広く続いてきた「慣習」とさえ言っていいはずです。

こうした進学が「行き過ぎ」なのかどうかはかなり微妙です。高校生が他県の大学に進学する場合には「親の反対を押し切って」というケースもあるでしょうが、中学生が他県の高校に進学するには保護者の積極的同意が必要になるはずです。

本人や保護者が望まない進路先を示されて、泣く泣くこれに従った結果、離れ離れの生活を余儀なくされるのなら、ほとんど「人権問題」でしょうが、どうせ卒団するのですから、弟が在籍していない限り、従う義理などないはずです。保護者の積極的同意があるなら、第三者が口を出すような問題ではありません。

一方、もし、選手の進学に際して、その紹介・仲介・斡旋にあたって、第三者なり少年野球関係者が私立高校側から金銭を受け取ったとしても、これに対するペナルティはありません(税法上の問題は別の話)。

学生野球憲章とは、高校と大学の野球部関係者だけに適用されるものです。少年野球側や第三者が制約を受けるわけではありません。また、学生野球憲章は金品を受け取ることを禁じていますが、金品を差し出すことを禁じていません。

「謝礼」なり「仲介料」なりを私立高校が支出した場合はもちろん、たとえ私立高校の野球部長がポケットマネーで支払ったとしても、憲章違反とはならないはずです。これを「行き過ぎ」だと考えるなら、ここに網をかけることが必要になるはずです。

それは学生野球憲章では難しいのではないかと思われます。20条4項に定める「学生野球の健全な発達を阻害」を拡大解釈すれば、できなくはないかもしれませんが…。

もし、網をかけるなら、その網は中学・高校間だけでなく、高校・大学間にも適用されねばなりません。さあ、どうする?


田名部氏の暗躍?

2007年06月16日 | アマチュアリズム

タイトルはジョーク?です。別に、田名部氏が悪いことをしていると言いたいのではありません。日本スポーツ用品協同組合連合会のWebサイトに田名部氏の名前があります。

■日本スポーツ用品協同組合連合会>機関誌第16号
(リンク先はGoogleのキャッシュ、元はPDFファイル、5ページ目の右側)
高野連の田名部事務局長より最初に提案のあった「加盟高校のうち、予算不足でピッチャーヘルメットやキャチャープロテクターを買換え出来ない学校があるので援助を」との要請に応じ、理事長が事務局長と話し合う方向で、JSRの力のおよぶ範囲で協力することになった。

まあ、 「ピッチャーヘルメット」はたぶん「キャッチャーヘルメット」のことでしょうが、同連合会の機関誌第15号4ページの「第四回理事会報告」によれば、2000年11月28日に当時事務局長だった田名部氏が同連合会(の幹部)と接触して、上のような“要請”をおこなったようです。

ところで、第12号2ページ目には「野球用品無償提供の廃絶について」と題する文書があります。これは、昭和58年(1983年)2月25日付であり、当時の牧野会長名で出された“申し入れ”です。孫引きします。

「無償提供」はご存知のように全国大会に出場が決まったチームに対して、業界の一部がユニホーム等の野球用品を無償で提供したことに始まって、全業界の競争心をあおり一チームに数着のユニホーム等が贈られるという状態に立ちいたった<略>こうしたことにつきましては日本学生野球憲章第十三条で「金品の受け取り」を明確に戒めておりますのでこの点よくご勘案のうえ対処されんことを切望します。さらに昨今は出場校に定価の一割にも足らない常識はずれの安値で売り渡したり、いったん対価を受領後、同額を当該校に寄付をする等のケースもあると聞きました。こうしたことは「無償でなければ憲章に違反していないだろう」という考え方がはっきりと見られ、いきどおりすら感じると共に、憂慮すべき状態であると断じざるを得ません。

この文書にも学生野球憲章第13条が出てきます。対価なきユニフォームの受領は憲章違反だそうです。趣味の悪い私は、いつか必ず使えるはずだと2つをワンセットにして、ひっそりとしまい込んでいました。これを発見したのは、1年以上前のことでした。

さて、甲子園出場校にメーカーから無償で贈られるユニフォームは憲章違反とのことですが、田名部氏は予算不足の高校のために小売店に「援助」を求めています。“こうしたこと”は、きっと憲章違反にはならないのでしょう。

昔から13条は(勝手に)都合よく解釈されるものでした。極端に言えば、社会通念上妥当な範囲の値引きさえ「違反」になってしまいかねないのが13条なのです。甲子園出場校が対価なきユニフォームを受領するのが憲章違反なら、たとえ予算不足の高校でも「援助」を受けることは憲章違反でなければならないのです。それこそが“アマチュア精神”というものです。

一方で「無償提供廃絶」を言い、他方で「援助」を要請するのは、“いい度胸”だとしか言いようがありませんが、現行規則では1大会に1着しか使用できないユニフォームが数着あっても、たしかに無駄です。また、予算不足のチームに対する配慮はあってしかるべきです。

それなら、高野連様自体が一定の収益を確保することで、“富の再分配”をおこなえばいいだけのことではないのでしょうか。せっかくの晴れ舞台を新調したユニフォームで、というのは親心でしょう。

そこにメーカーなり小売店なりが目をつけるなら、各都道府県高野連が窓口になって、手を挙げた業者の中から抽選で選べばいいのです。抽選に参加するには、キャッチャー用具一式をヘルメットまでつけて4点セットで提供させればいいわけです。

甲子園の大会自体が、すでに高校生の大会としてふさわしくありません。“アマチュア”を逸脱しているのです。大会期間はオリンピック並みですし、全試合が全国中継される大会などほかにありません。金まみれになるのが嫌なら、NHKの中継を謹んで辞退するのが近道です。

ビッグイベントを維持しつつ秩序を保とうとするなら、学生野球憲章やアマチュアリズムとは異なる発想で対処するしかなく、それこそ「頭を柔らかく」する必要があります。


行き過ぎ

2007年06月15日 | 脇村語録

私学部会の県(地区)レベルの会合が各地で開かれています。福島は過激です。

憲章見直し求める/高校野球特待生問題(2007年6月12日 福島民友新聞)
(リンク先はいずれもGoogleのキャッシュ)
森座長は部会後、「日本高野連は『野球憲章を順守した上で、各校で対応を考えてほしい』と伝えてきたが、部会の結果は、野球憲章そのものを否定する内容になった」と話し、日本高野連との対立を強調した。

高野連様のお膝元・大阪も強硬姿勢のようです。

「特待生制度は維持を」で一致…関東地区私学検討部会
(2007年6月11日19時52分  読売新聞)
大阪府私学検討部会(部会長、坪光正躬・大阪明星学園長)もこの日、大阪市内で行われ、日本学生野球憲章などの見直しを求める意見が相次ぎ、14日の近畿地区私学部会に報告することを決めた。

都道府県レベルでは憲章見直しの発言も出るでしょうが、地区レベルで集約されたときに「憲章見直し」が残るかどうかは微妙なところでしょう。まあ、東北は残りそうな気配ですが…。

脇村氏は05/24の第1回私学検討部会後の記者会見で「憲章見直しを求める声はなかった」旨の発言していましたが、次回もそう言えるとは限りません。

■全私学新聞>特待生問題私学検討部会開く
脇村会長と田名部参事の二人が記者会見に臨み、脇村会長は「私学の経営のことも頭にあるが、具体的基準作りに向かって三項目を含め検討していただく」としながらも、私学関係者から憲章を見直すべきだとの意見は検討部会で出なかったこと、仮に各地区の私学関係者から憲章の見直しが提案されても見直す考えのないことを強調した。
 またこの会見の中では〝野球留学〟については、金銭が関与する特待生制度と結びついていない限り問題にはしないこと、高校野球として行き過ぎた行為を列挙して書き上げてほしいとも語り

この記事によれば、「行き過ぎた行為を列挙してほしい」と語ったのは脇村氏のようです。いったい誰に対して「書き上げてほしい」と語ったのでしょうか?

「行き過ぎ」の具体的な中身は私も一番知りたいところです。もともと田名部氏や脇村氏の中では、そこから話が始まっているはずなのです。こういう「行き過ぎ」があるから今回の措置をとったのだと言えば、脇村氏はこんなに悪役にならずに済んだはずです。

もしかすると、把握しないまま暴走したのでしょうか? そんなはずはありません。「行き過ぎ」については、噂では足りず、ある程度の裏付けが必要になります。ガセネタを掴まされ(てい)ることもあり得るわけです。

まずは高野連様が把握している「行き過ぎた実態」を開示すべきだと私は考えますが、「列挙してほしい」とおっしゃっているぐらいですから、ご本人もあまりご存知ではないのかもしれません。 


他人事?

2007年06月14日 | 憲章見直し

何をおっしゃりたいのか理解不能です…。発言しているのは、 “発祥の地”岩手県高野連の藤沢義昭理事長です。なお、05/22付の記事ですので、「日本高野連東北地区選任理事を兼務」と書いてありますが、05/25の人事で理事から評議員に“降格”されています(おそらく東北6県の持ち回りなのでしょう)。

河北新報>揺れる特待制度 私はこう見る(1)大人こそ憲章順守を
(リンク先はGoogleのキャッシュ)
―現場では憲章の見直しを求める声が強い。
 「憲章は金品の授受を禁じた13条など、順守すべき点が非常に多い。だが、時代に合わせ、手直しする部分は当然出てくる。議論の余地はある」
―裏金問題や特待制度問題で、高校野球への信頼が揺らいでいる。

 <略> 
 「野球界もサッカー界のように、プロがアマ選手育成のため、資金援助することも必要だ。ハイレベルな技術を持ったプロ選手には次世代の人材を育てる義務もあるはず。今回の問題を機に、プロを頂点としたピラミッド型のよりよいシステムを構築してほしい」

「金品授受を禁じた13条は順守すべき」と、「プロが資金援助することも必要」とは、相容れないものです。

資金援助ができないように規定しているのが13条なのですから、資金援助を求めるなら、13条は見直さざるを得ないわけです。逆に、もし13条が順守すべきものであれば、資金援助を求めることは憲章違反を誘引する発言になります。

「プロ選手には次世代の人材を育てる義務がある」と一方的に言われたのでは、(元)プロ選手もいい迷惑でしょう。プロが技術指導できないように縛っているのは、学生野球憲章です。指導して責任を問われるのは、プロではなく指導された側です。それがわかっているから、誰も手を出さないのです。

「義務がある(のに果たしていない)」のは、どっちでしょうか? プロに人材を育てる義務があると言うなら、憲章の制約を撤廃すればいいだけのことです。まるで他人事のような“評論”ですが、藤沢氏は当事者です。高野連様の理事なり評議員とは、皆さんこの程度の弱いオツムしかお持ちでないのでしょうか?

一番最後の「プロを頂点としたピラミッド型」は、もっとも重大な発言です。本当に「プロを頂点」としていいのですね、と問いかけたくなります。アマが「プロを頂点」とすることを嫌がってきたからこそ、プロは(表面上)アマを立てて一歩引いているわけです。

プロを頂点としていいのなら話は簡単です。Jモデルをそのまま持ち込めばいいわけです。私がわざわざ「ユースではなく社会人で」と主張するのは、プロを頂点としたくない勢力に受け入れられやすいと考えるからです。

本当に高野連様が「プロを頂点とするピラミッド」を容認するのであれば、話はトントン拍子で進むでしょう。5年で片付くかもしれません。シニアやボーイズに異存があろうはずはなく、社会人も乗れます。軟式も乗れるはずです。残すは大学だけです。


2007年06月13日 | 脇村語録

まんざら、皮肉というわけでもないのですが…。

脇村高野連会長吊し上げ、辞任要求も…「自民特待制度小委員会」出席
(2007年6月8日06時02分  スポーツ報知 リンク先はGoogleのキャッシュ)
出席議員からは「野球だけ高野連として独立していなければならない理由は何なのか」「会長はもっと頭を柔らかくすべきだ」といった厳しい声が続出。さらに特待制度導入校の野球部長を解任した越権行為を指摘され、「高野連は大会の運営だけに専念すればいい」といった意見も出るなど、まさに「針のむしろ」状態だった。

せっかく政権与党の国会議員と面談するチャンスを得たのですから、脇村氏は次のように言うべきでした。

これこれの問題がある。この問題を放置してきたのは行政や立法の怠慢(不作為の責任)であって、もはや高野連ごとき一競技団体では手の施しようがない。ぜひ議員の皆さんの知恵を貸してほしい、と。

まあ、次のような共同電もありますから、それに近いことは言ったのでしょう。

評議員会に進退諮る 日本高野連の脇村会長
(東京新聞 2007年6月7日 12時40分 リンク先はGoogleのキャッシュ)
脇村会長は「会長は頭を柔らかくした方がいいと言われた。(特待制度問題の)背景などを説明したが、なかなかご理解いただけなかった」と話した。

「なかなかご理解いただけな」いのは、何をNGとしているのか伝わって来ないからです。「これこれ」の部分に何が入るのか、もう2カ月になろうとする今でもまだわかりません。もともと高野連様は朝日新聞がつくった組織であって、そこに毎日も噛んで来て、試合はNHKが全国中継するので、広報の必要がなかったわけです。

野球特待生の問題なのか、野球留学の問題なのか、勧誘の問題なのか、脇村氏の発言は一向に腰が定まりません。

さて、自民党の「高校野球特待制度問題小委員会」というのも、少しピントが外れているような気がします。政党が議論する場合、「高校野球」というくくりは必要ありません。むしろ、高校における特待生制度全体を広い視野で吟味すべきでしょう。

野球部だけでこんなにいるなら、ほかの部や学業特待生を加えると、全校生徒に占める特待生の割合が相当な比率になるはずだと思える高校もあります。「広く薄く」の考え方は否定できないでしょうが、どうもそういうわけでもなさそうです。

このブログでは、そこまで踏み込むつもりはありませんが、ここまで問題が広がってしまうと、まずは社会的な合意形成が必要になってきているはずです。その意味では、様子見を決め込む高体連の対応は「正しい」のです。

そろそろ、朝日や毎日は「行き過ぎ」の具体的な中身を語るべきです。学生野球憲章があろうがなかろうがダメなものはダメなのであって、「行き過ぎ」とはそうした性質のものでしょう。

知っていても書けないのは、高野連様の「一罰百戒」主義が背景にあるからです。「頭を柔らかく」という自民党議員の発言は的を射たものです。