特待生と野球留学

「特待生」、「野球留学」、「アマチュアリズム」に焦点を絞って展開します。

妥当な人選

2007年07月03日 | 憲章見直し
有識者会議のメンバーが発表されました。15人は多すぎる気もしますが、おおむね妥当な人選と思われます。

浅井慎平/写真家
伊藤進/日本教育法学会会長、駿河台大学法科大学院教授
宇津木妙子/元ソフトボール女子日本代表監督、ルネサス高崎総監督
奥島孝康/早稲田大学大学院教授、元早大総長
河上一雄/元全国高等学校体育連盟会長、元都立日比谷高校長
北村聡/京都外大西高校長、近畿地区私学検討部会会長
草野一紀/全日本中学校校長会会長、新宿区立牛込二中校長
栗山英樹/スポーツキャスター、元スワローズ
後藤寿彦/元慶応大野球部監督、元全日本監督
島宮道男/全国高等学校校長協会会長、都立芦花高校長
ヨーコ・ゼッターランド/スポーツキャスター、元アメリカチーム五輪代表
田村哲夫/日本私立中学高等学校連合会会長、学校法人渋谷教育学園理事長
辻村哲夫/独立行政法人国立美術館理事長、元文部省初等中等教育局長
堀田力/さわやか福祉財団理事長、元東京地検特捜部検事
望月浩一郎/日本スポーツ法学会副会長、弁護士(スポーツ事故などが専門)

堀田氏や奥島氏や辻村氏のような「?」も入っていますが、彼らにしても年度途中に適法な私的契約の解除を求めることの異常さに気付かない人たちではありません。

ハンカチ王子

2007年06月18日 | 憲章見直し

きのうの続きです。

高野連様は「ハンカチ王子」が流行語大賞にノミネートされることを拒みましたが、昨日の全日本大学野球選手権では早大が33年ぶりの優勝を果たしました。斎藤投手は、リトル-軟式-早実と進んでおり、シニアには在籍していないようです。別のページとかぶりますが、サンデー毎日に再登場してもらわねばなりません。

斎藤獲りに総長も動いたワセダの鼻息 (サンデー毎日 今週の1本)
(リンク先はGoogleのキャッシュ)
 そもそも、斎藤投手の早実入りにも、早実・早大OBの社会人野球関係者が密接にかかわった。和泉監督とは小学生時代に在籍した東京・調布リトルリーグからの友人関係にあり、早実、早大でもチームメートだったという、この社会人野球関係者はこう回想する。
「斎藤投手が中2の時、試合で投げる姿を偶然に見ました。わずか3球投げた時点で『逸材を見つけた』と和泉監督に電話を入れました。アイツ(和泉監督)を応援してやりたかった」

配慮の行き届いた記事ですので、この記事の範囲で話を展開します。勧誘行為そのものは憲章によっても否定されていませんが、高野連様が「中学生の勧誘行為の自粛について」という通達を出したのは、05年11月のことです。当時、斎藤投手は早実の2年生でした。

OBの1人が高校の監督に「こんな中学生がいる」と言うこと自体は、前記通達によっても否定されていませんし、否定できるものでもありません。まあ、「密接にかかわった」のですから、電話して終わりということでもないでしょうけど…。

いわば仲介役となった社会人野球関係者のその後の行為は、05年11月の通達によって禁止されたと解釈していいのでしょう。「中学生募集段階の問題点」は、高野連様が私学部会に投げかけた3項目のうちの1つでもあります。

前記通達では、勧誘が(OBを含めて)全面的に禁止されているわけです。一部に「行き過ぎ」た勧誘があるからといって、「いかなる場合でも」勧誘を禁止するのは、まるで金属バットによる殺人事件があったので、全面的に金属バットの所持を禁じるようなものです。

今回の特待生問題でも、高野連様は基本的には同じ発想に立っているわけです。一部に「行き過ぎ」があるので、そこにつながりかねない全部を根絶するという手法です。「行き過ぎ」があるなら、「行き過ぎ」だけを処分すればよかったのではないでしょうか。

「いかなる場合でも」勧誘はNGというのは、いささか窮屈です。一片の通達で処理するより、この部分を含めて、最初から憲章をつくり直すほうがいいのではないかと思われます。

【トラバ指針】 このページに関しては、斎藤投手の中学時代に触れていないものは受け付けません。大量削除の予感がありますので、たいした効果はないかもしれませんが、申し添えておきます。必要に応じ(王子?)て晒すこともありますので、十分ご注意ください。


他人事?

2007年06月14日 | 憲章見直し

何をおっしゃりたいのか理解不能です…。発言しているのは、 “発祥の地”岩手県高野連の藤沢義昭理事長です。なお、05/22付の記事ですので、「日本高野連東北地区選任理事を兼務」と書いてありますが、05/25の人事で理事から評議員に“降格”されています(おそらく東北6県の持ち回りなのでしょう)。

河北新報>揺れる特待制度 私はこう見る(1)大人こそ憲章順守を
(リンク先はGoogleのキャッシュ)
―現場では憲章の見直しを求める声が強い。
 「憲章は金品の授受を禁じた13条など、順守すべき点が非常に多い。だが、時代に合わせ、手直しする部分は当然出てくる。議論の余地はある」
―裏金問題や特待制度問題で、高校野球への信頼が揺らいでいる。

 <略> 
 「野球界もサッカー界のように、プロがアマ選手育成のため、資金援助することも必要だ。ハイレベルな技術を持ったプロ選手には次世代の人材を育てる義務もあるはず。今回の問題を機に、プロを頂点としたピラミッド型のよりよいシステムを構築してほしい」

「金品授受を禁じた13条は順守すべき」と、「プロが資金援助することも必要」とは、相容れないものです。

資金援助ができないように規定しているのが13条なのですから、資金援助を求めるなら、13条は見直さざるを得ないわけです。逆に、もし13条が順守すべきものであれば、資金援助を求めることは憲章違反を誘引する発言になります。

「プロ選手には次世代の人材を育てる義務がある」と一方的に言われたのでは、(元)プロ選手もいい迷惑でしょう。プロが技術指導できないように縛っているのは、学生野球憲章です。指導して責任を問われるのは、プロではなく指導された側です。それがわかっているから、誰も手を出さないのです。

「義務がある(のに果たしていない)」のは、どっちでしょうか? プロに人材を育てる義務があると言うなら、憲章の制約を撤廃すればいいだけのことです。まるで他人事のような“評論”ですが、藤沢氏は当事者です。高野連様の理事なり評議員とは、皆さんこの程度の弱いオツムしかお持ちでないのでしょうか?

一番最後の「プロを頂点としたピラミッド型」は、もっとも重大な発言です。本当に「プロを頂点」としていいのですね、と問いかけたくなります。アマが「プロを頂点」とすることを嫌がってきたからこそ、プロは(表面上)アマを立てて一歩引いているわけです。

プロを頂点としていいのなら話は簡単です。Jモデルをそのまま持ち込めばいいわけです。私がわざわざ「ユースではなく社会人で」と主張するのは、プロを頂点としたくない勢力に受け入れられやすいと考えるからです。

本当に高野連様が「プロを頂点とするピラミッド」を容認するのであれば、話はトントン拍子で進むでしょう。5年で片付くかもしれません。シニアやボーイズに異存があろうはずはなく、社会人も乗れます。軟式も乗れるはずです。残すは大学だけです。


諸団体一覧

2007年06月10日 | 憲章見直し

これだけの団体が入り乱れていたら、神奈川新聞の社説子でなくても混乱するものでしょう。<>内は、当ブログで用いている略称?です。

●社団法人日本野球機構<NPB、プロ>
いわゆるプロ野球の組織
●財団法人日本高等学校野球連盟<高野連
高校の硬式と軟式を統括
●財団法人全日本大学野球連盟<大学野球連盟>
大学の硬式(のみ)を統括
●財団法人日本学生野球協会<学生野球協会>
高野連と大学野球連盟の上部組織
●財団法人日本野球連盟<日本野球連盟>
いわゆる社会人野球(硬式)を統括
●全日本アマチュア野球連盟<アマチュア野球連盟>
日本野球連盟と学生野球協会で構成、JOCに加盟
●財団法人全日本軟式野球連盟<全軟連>
高校を除く軟式野球を統括
●財団法人日本リトル野球連盟<シニア>
通称リトルシニア、学校単位ではない少年硬式野球の団体、日本野球連盟に加盟
●財団法人日本少年野球連盟<ボーイズ>
通称ボーイズリーグ、学校単位ではない少年硬式野球の団体、日本野球連盟に加盟

以上、<全日本野球会議>のWebサイトに「日本野球界団体図」のページがあります。実際にはもっと複雑なんですが…。

このうち、学生野球協会はすでに歴史的役割を果たし終えており、今では邪魔にしかなりません。アマチュア野球連盟は、(プロが参加しない時代の)五輪出場のために便宜的につくられた組織ですから、学生野球協会の解散によって高校が外れたところで、深刻な影響はありません。

学生野球憲章13条をめぐる解釈が割れてしまった以上、高校は高校で高校野球憲章をつくり、大学は大学で大学野球憲章をつくればいいだけのことです。あるいは、次のような考え方もあるでしょう。

プロ・アマ球界ウラの真相(13) (スポーツニッポン07/05/22付5面)
すべてを統括した「日本野球憲章」を作れないか。今回の連載の最後に提言として記しておきたい。

なお、ほかに関連するスポーツ団体は次のとおりです。

●財団法人日本高等学校体育連盟<高体連>
高校競技を統括、野球は含まない。インターハイを主催
●財団法人日本中学校体育連盟<中体連>
中学競技を統括、軟式野球を含む。全中(全国中学校体育大会)を主催
●財団法人日本オリンピック委員会<JOC>
IOCの国内組織。アマチュア野球連盟が加盟
●財団法人日本体育協会<体協>
国内各競技団体を統括。国体を主催し、スポーツ少年団を組織。日本野球連盟と全軟連が加盟

特待生問題を高野連様だけで解決しようとするのは、最初から無理があります。


落としどころ?

2007年05月23日 | 憲章見直し

小関順二氏が次のように述べています。

プロ野球偏愛月報>「特待生問題」の落としどころ
(Number Web 2007年5月16日)
 高野連(高等学校野球連盟)のように高校野球を教育の一環ととらえれば特待生はとんでもないということになるが、野球を世界に誇るスポーツ文化と位置づけ、その強化が国民に喜びを与えると考える僕のような人間にとっては、技量のすぐれた高校球児を特待生として遇するのは当たり前ということになる。

野球は「世界に誇るスポーツ文化」だと言われると、私はちょっと引いてしまいます。私は「セットポジション」の「来訪者要件」で、「野球は文化だと思っている人」を掲げてきました。その私でさえ引いてしまうのです。

「その強化が国民に喜びを与える」とまで言われると、後ずさりしたくなります。せいぜい「ファンに喜びを与える」程度でしょう。私も「国民」を使っていないか、「セットポジション」をサイト内検索してみました。6件ありましたが、すべて引用や固有名詞でした。ひと安心です。

小関氏は続けます。


高野連もつらい立場に立たされているが、ここは頭を柔軟にして考えてほしい。1校10人に特待生を制限すれば違反も摘発しやすい。しかし、特待生を認めなければグレーゾーンが新たな問題として浮上してくる。つまり「学業などで特待生の待遇を得ているから問題ない」と主張する選手が蔓延してくるはずである。そういうあやふやなゾーンを払拭する意味でも、高野連には人数を制限した上での特待生を認めてほしいと思う。

表題からすれば、これが小関氏のおっしゃる「落としどころ」なのでしょう。これは100%あり得ません。断言できます。グレーゾーンがあるのなら、人数を制限したところで、摘発は容易ではありません。

人数を制限すれば、グレーゾーンは払拭できるのでしょうか? ほとんど何も考えていないに等しいようです。高野連様は「野球部員であることを理由とした特待生」を認めないと言ってきたわけですから、たとえ1校1人でもこれを認めるはずがありません。結局、アマをドラフトの道具にしか思っていない方なのでしょう。

一方、次のような意見もあります。

野球特待生問題、高野連を責めるのは簡単だが…
(稲見純也の週刊Bylining Sports 2007/05/21)
第13条(と第19条)を改定して特待制度や奨学金を認めた上で、その額に「他の競技と比べても常識的な」上限を一律に設定し、連盟側が責任持ってその上限が遵守されているか監視すべきである。

人数の上限を定めるより、金額の上限を定めるほうが現実的です。これなら、高野連様の顔を立てることができます。一般常識として許容される金額で線を引くのは「落としどころ」になり得ます。

高野連様はすでに憲章の「解釈改憲」を示唆しています。金額で線を引き、この程度なら、「野球部員であることを理由とした特待生」には該当しないと解釈変更するだけで済みます。ただ、学費は学校によって異なります。一律に金額で線を引こうとすると折り合いがつかないかもしれません。

授業料や入学金といった一般生徒が負担する性質のものを減免しても「野球部員であることを理由とする特待生」とはみなさない、と解釈変更することのほうがより現実的な気がします。寮費、遠征費、用具代などは一般生徒は負担しませんから、これらの減免や補填をNGとする考え方です。

どのみち高野連様単独では学生野球憲章を変えることはできません。とりあえず、あと1カ月少々の時間的制約のなかで、私学部会がまとめられるのは、この程度の内容にしかなりません。

当座は「解釈改憲」でしのぐしかないわけですが、最終的には「改憲」の必要があることは言うまでもありません。主にサッカーを担当していた元NHKアナウンサーの山本浩氏は次のように述べています。

時論公論 「野球特待生制度を救うもの」
(NHK解説委員室ブログ 07/05/08)
プロ野球界には、これまでも登録をしたスカウトしか交渉に行けないというスカウト登録制度があります。このスカウトは自分の球団のために働く存在ですが、それを全日本野球会議が認定する資格制度にするのです。「移籍認定者」とでもいったらいいのでしょうか。この資格を持つ人物を全ての組織が受け入れる。移籍認定者が介在しない移籍や登録は、どこの組織も認めない。そうした制度を検討することはできないのでしょうか。

山本氏の“ボリューム感にあふれた”主張こそ理想なのです。どうせ今の各団体の規定でも二重登録はできません。少年野球からプロ野球まですべての野球選手・指導者らが全日本野球会議に登録し、全日本野球会議が各団体に応じた指導者資格、審判資格、記録員資格、ゼネラルマネージャー資格、スカウト資格、トレーナー資格などのライセンスを発行するというシステムに移行しなければなりません。

つまり、短期的には特待生問題の後始末が急務ですが、中期的には学生野球憲章の見直しが必要であり、長期的には組織の統一が求められています。全日本野球会議にはまだ実質的な権限はありません。

本来なら、あと2つ3つぐらい“爆弾”が炸裂しないと、統一組織の話までいかないのでしょうが、せっかく高野連様が“自爆”してくださったのですから、これを憲章の見直しで止めてしまったのでは高野連様に申し訳が立ちません。

なお、このブログで扱うのは憲章までですので、念のため。ちなみに、「ボリューム感」とは小関氏が選手評でよく使う言葉です。何を意味するのか私は知りません。


長谷川滋利氏

2007年05月20日 | 憲章見直し

元マリナーズの長谷川滋利氏が自身のブログで次のように述べています。

Shiggy From USA>高校野球特待生
正直私は高校野球の規則の中で、特待生が禁止されている事はまったく知りませんでした。

とぼける実益があるとも思えませんので、本当に知らなかったのでしょう。長谷川氏でさえ知らないようなら、今の高校生が知っているはずもありませんし、校長先生あたりが知らないのはむしろ当然です。

厳密には、特待生を禁じているのは「高校野球の規則」ではなく、学生野球憲章であり、その解釈の問題です。まあ、大学側は事実上不問に付しているわけですから、高野連様の(勝手な解釈による)規則であるとの認識は間違いではありませんけど…。


今まで私達をはじめ、皆が暗黙の了解として認めていた事を急に今年から禁止し、生徒を罰するという事(5月中の対外試合禁止など)は、どう考えてもおかしいと思います。

はい、おっしゃるとおりです。これを先月(4月)にうちに語っていたら、私は長谷川氏を将来のコミッショナー候補に考えるのですが…(NPBのコミッショナーはオーナー会議で選出されます。まあ、「たかが選手」と発言した元オーナーがおられたぐらいですから、すくなくとも今のところ可能性はきわめて低いのですが、10~20年後も同じだとは限りません)。


今からでも遅くないと思うので、まずは特待生制度を認め、ブローカーを排除する事に主眼をおいて取り組みなおしたほうが良いと思います。ついでに言わせて貰いますが、プロ野球選手(大リーグ選手も含めて)が高校生を指導できないという、どうしようもないルールもこの際撤廃してもらいたいと思います。野球界の発展を考えればこのルールは完全に足かせとなっています。

はい、そのとおりです。排除すべきは特待生でも野球留学でもないのです。田名部氏はともかく、脇村氏はそのことがわかっているはずです(そのわりには発言が一貫しません…)。

「どうしようもないルール」も学生野球憲章に行き着きます。04年の話ですが、こんな記事もあります。

落合監督、高野連に謝罪 長男が選手と一緒にビールかけ
(スポニチアメックス大阪>名古屋 2004年10月9日)
5年ぶりにリーグ優勝を決めた中日がナゴヤドームで行った祝勝会に落合監督の長男で国士舘野球部の福嗣さん(17)が参加していたことについて球団が日本高野連に謝罪していたことが8日、分かった。<略>事前に学校側から東京都高野連に対して試合観戦などの許可はとっていたものの、祝勝会参加については触れていなかった。

試合観戦だけなら許可は必要ないはずですが、野球部員でなければ、こんな面倒な手続きは要らないわけです。04年のドラゴンズが優勝を決めたのは10月1日です。謝罪がいつなのか記事だけではわかりません。

高野連側が発表していることから、球団側が違反?に気づいて慌てて謝罪したのではなく、高野連側が違反?を指摘して、球団側が応じただけなのではないかと思われます。きっと田名部氏は祝賀会の中継をご覧になっていたのでしょう。あるいは田名部氏と同じ“信者”の誰かが注進に及んだのかもしれません。親が認めた同席にダメ出しするのはいかにも高野連様らしいと言わざるを得ません。

ところで、分離ドラフト以前は、退部届を出したプロ志望の高校3年生は宙ぶらりんの状態に置かれていました。成長のチャンスが奪われていたのです。分離ドラフトによって少しだけ状況が改善されましたが、たとえ親子であっても(元)プロが高校生を指導できないことに変わりはありません。13条以外にも見直すべきところはたくさんあるのです。


山形県高野連会長

2007年05月13日 | 憲章見直し

県立山形南高校長で4月20日に山形県高野連会長に就任した高橋健二氏が読売新聞のインタビューで学生野球憲章の見直しに言及しています。

特待生問題「野球憲章見直し必要」 県高野連会長
(2007年5月12日  読売新聞山形版)
――山形県では東北地方で最も多い11校(計388人)が、日本学生野球憲章13条が禁じた特待生制度があったと申告した。
 「ルールは順守するのが筋で、各校はそれに従ったということ。数字自体を気にすることはない。ただ、申告した各校の制度に関する要項を見たが、どれも野球部員だけを特別扱いしたものではなかった。憲章の解釈を巡り、現場が苦渋の選択を迫られたのは事実。憲章は文言が古く、規制に重点を置いている点を考えると、今の時代にそぐわない。この機会に、前向きな見直しを検討した方が良い」

都道府県高野連の役員は、ほとんどの場合、加盟校の校長が兼務しています。野球部とは無縁だった先生がたまたま会長になることもあるわけです。むしろ、そのほうが多いのかもしれません。理事長については、野球部長か監督の経験が求められるのではないかと思われます。

いずれにせよ、都道府県高野連の幹部クラスが公にこうした発言をするのは、私の知る限りでは初めてのことです。しかも、高橋氏は私学側ではありません。公立高校の校長先生です。なお、高橋氏は高体連との連携についても発言していますので、記事のほうもご覧ください。

山形がそうだと言うわけでありませんが、一部の県高野連では、特待生について日本高野連が先般示した基準とは異なる解釈をしていたのではないかと思われるフシがあります。大量申告になったのは、そういう背景があったのだと解釈するのが自然です。田名部氏の言う「僕たちのコミニュケーション不足」です。

高野連、軟化 明確な基準作りへ「私学部会」設置
(2007年5月4日06時03分  スポーツ報知)
田名部和裕参事(61)は「甲子園を沸かせたチーム、選手の顔が浮かんだ。寝られなかった。僕たちのコミュニケーションが不十分だとあらためて思った」と声を詰まらせ、涙をぬぐった。

「僕たちのコミニュケーションが不十分」だったと認めるのなら、第一義的な責任の所在は日本高野連の指示を加盟校に徹底しなかった(させられなかった)歴代の都道府県高野連幹部にあるわけです。今の生徒に責任を押しつけるのは横暴というものです。

高橋氏の発言は、過去に(直接的)責任を負わない新任会長だからこそ、問題を冷静に見つめられるということなのでしょう。