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ザインクラス通信16「色彩を使った空間構成 part.2」

2012-04-10 13:06:17 | デザインクラス

今回のデザインクラス通信は、再び教室に目を向けまして、前々回の続きで、基礎デザイン課題「色彩を使った空間構成」の様子をお届けします。

デザインクラス初めての立体課題も、もう大詰め。
テストピースをつくりながら繰り返し広げたイメージを、実際に形にしていく作業です。

こちら、完成作品です。

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課題のタイトル通り、とても色彩の印象が鮮やかなステキな空間が出来上がりました。
テーマは「歩く空間」だそうです。
屋外ホールのような構造は、細かなスリッドを入れることでとても軽やかで、風が通リ抜けるような涼しげな感じを与えています 。中から上を見上げると、そのスリッドから光と色が一緒にこぼれてくるのが目に浮かびあがってくるようです。
また、ホールの両端にそびえる柱のようなオブジェがアクセントとして添えられており、空間に張りと色彩の鮮やかさをもたらし、「歩きたくなる」空間の演出に一役買っています。

前回のデザインクラス通信で少し触れたように、色は光の変化によって如何様にも見え方が変わります。空間に色彩を配置するということは、その光と色彩を戯れさせるということです。そこでの関わりを楽しむことは卓上の課題では少し難しいかも知れませんが、それでも作りながら、ここに朝方の日差しが差し込んだら、ここに夕暮れの日差しが当たり影が伸びたら、そう想像力を働かせる ことができたら、それは間違いなく豊かな作品を生むのではないかと思います。

生徒さんにとっても慣れない課題だったとは思いますが、いつもと少し違った視点で想像力を働かせることができたなら、それだけでもやってみた甲斐があったかなと考えています。

(アベカイタ)


デザインクラス通信15「色のある場所」

2012-03-05 14:24:58 | デザインクラス

「色彩を使った空間構成」と銘打った二月の課題。せっかくなので今回のデザインクラス通信は、色と建築にまつわる話をしようと思います。

僕の専門はグラフィックや絵画など主に平面の分野なので、特別に建築の勉強をしてきた訳ではありませんし、もともと関心もそれ程強くありませんでした。しかし、学生のときに初めて自分の意志で海外を訪れ、色々な場所を巡り歩く中で、ひとつひとつの建物の中に入る度に、新鮮で、今まで感じたことのない空気に触れるお驚きや 興奮を味わうこととなりました。異国の建物は、その天井の高さや光を採る窓や照明の仕組み、そして色彩などあらゆる要素が日本のものと違っていて、その差を肌で感じたことが、僕が建築への興味のアンテナを伸ばすきっかけであったように思います。

僕の目にした数々の印象的な建築の中で、とくべつ色彩の印象が濃く残っている建築を二つ、今回は紹介します。

まず一つ目は、「ロンシャンの礼拝堂」。
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こちらは建築界の大巨匠、ル・コルビュジエによるもの。フランスの片田舎の小高い丘の上ぽつんと建っています。険しい山道をえんやえんやと登っていると、パッと木々が消え、この不思議な建物がすっと見える。その感覚は、どこか非現実的です。 中に入ると待っていたのは闇に響くような色と光のシャワー。もう言葉なんて出てきません。そのくらい美しい。くり抜かれたような窓や、光を受けて輝く椅子達は、本来の機能とはまた別の、礼拝堂としての神聖な空気を生む役割を担っていると言えます。色の使い方はステンドグラスのような装飾的な使い方ですが、それはただの飾りというより、まるで空間自体に色彩がちりばめられたような、そんな印象を与えます。

コルビュジエは「詩」を歌ったんだ。
この建築を体験した際、僕はそう強く感じました。建物を建てたのではなく、歌った「詩」が建物となった。そう思えるほど、この礼拝堂には理屈では表現しきれない美しさで溢れていました。この感覚は、僕の建築の概念をひっくり返す程の衝撃でした。

そして二つ目は、「ヒラルディ邸」。
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こちらも建築界の大巨匠、ルイス・バラガンの最後の作品です。
バラガンはその色使いが有名なメキシコの建築家で、奇抜(と思われがちな)な色の壁面を用いた建築を数多くデザインしています。
上の画像は邸宅の中にある、玄関から続く廊下です。
この黄色い廊下を抜けた先は、
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青と赤のプールのあるリビングルームです。
彼の建築の魅力はその色彩の演出ですが、その一見奇抜に見える色彩が、その空間にぴったりとなじみ、派手さとは逆のむしろ静寂と言っても良いくらい、落ち着いた印象を生むところにあると思います。それは、色をただの平面的な要素としてではなく、光を受けることで如何様にも変化するものして捉え、デザインに取り入れているからこその表情なんだと思います。写真だけで見たら、こんなとこ住めたもんじゃない、なんて思う人もいるかもしれませんが、実際この場所を訪ねてもらえれば、出てくるころには全く逆の意見になっていることでしょう。

今回紹介したものは二つとも海外の建築でしたが、もちろん日本にも素晴らしい建築はたくさんあります。しかし、どこか日常と違う違和感を感じることより、空間に対するセンサーが敏感に働くのは、異国の建築体験ならではなのかもしれません。
とにもかくにも、建築の表現するその壮大な芸術に触れる度、絵描きの自分としては「うーん、ずるいなあ…」と思わずにはいられません。
(アベカイタ)


デザインクラス通信14「色彩を使った空間構成」

2012-02-21 21:19:35 | デザインクラス

一週お休みを挟んで、デザインクラスは二月の課題に入りました。
今回はうって変わって、立体の課題に挑戦です。

題して、「色彩を使った空間構成」です。
今まではずっと一枚の紙の上でデザインの勉強をしてきましたが、今回は机から顔を上げるように視野を広げて、空間的に色や形の構成を楽しみたいと思います。
材料はケント紙、スチレンペーパー、色紙(ラシャ紙)のみ。
このペラペラの平面素 材を折る、切る、曲げる等の加工を施し、建築模型のように自由に架空の空間をデザインします。

かなり自由度の高いこの課題。でも、ただ好き勝手にやってもデザインに締まりが出ません。そこで、この課題のポイントが二つ。

1、スケール感 (人間の大きさを想定し、その空間が実際にどれほどの大きさかを考える)
2、テーマ(そこをどのような場所、空間にしたいかを考え、色彩や形を選択し、デザインしていく)

この二点を考えることで、それぞれの形や色が意味を帯びます。

立体課題でもなんでも、まずはエスキースでアイディア出し。
今回は手で素材を触りながらテストピース(試作)をつくっていきます。
さて、どんな未知の空間と出会えるでしょうか。
(アベカイタ)
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デザインクラス通信13「構成デッサンpart3」

2012-02-03 13:33:08 | デザインクラス

構成デッサン三日目、最終日。構成も決まり、あとは描きこみ。
もう一度新鮮な目でモチーフを観察し直し、その陰影、質感を鉛筆で追っていきす。
こちら、完成作品です。

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まずは構成の美しさが目に飛び込んできます。無駄がなく、一つ一つの形や動きが自然と連動し、何か音楽が聞こえてくるような、そんな印象を僕は受けました。クラシックのコンサートや、バレエや舞台のポスターにも使えそうですね。

デッサンに関しては、光がどちらの方向から来ているかを意識することで、陰の落ち方を観察し、それが立体感の描写へと繋がっているのがわかります。あとは、もう少し遠目での観察を増やし、陰どうしの暗さの比較、モチーフどうしの質感の比較など、比較を広く、細かくしていくことができてくれば、よりリアリティが出てくると思います。

デッサンはこの比較がとても重要。明るさの違い、形の違い、色の違い、質の違い、あらゆる違いを描くには当然、その違いを見分ける目が必要です。人間の目は、鍛えれば鍛えるほど、細かい差異を見極める力がつきます。それにはとにかく比較を繰り返すこと。そして、自分の中に潜む思い込みを引き剥がすこと。

「影は黒 い。空は青い。リンゴはまるい。…本当に?」

こういう視点は、ものを観察するときにどうしても必要になってきます。
もし、自分が生まれて初めてリンゴを目にしたとする。
あなたの目にはいったいどんなふうに映るでしょうか。
(アベカイタ)


デザインクラス通信12「構成デッサン part2」

2012-01-26 12:30:42 | デザインクラス

こんにちは。雪、都心も降りましたね。
いくつになっても、降る雪を目にしたときの喜びは変わりませんね。

さて、前々回に引き続き、構成デッサンの課題です。
前回でおおまかな構成がきまったので、今回はそれを本画面に写しつつ、細かな調整を加えていきます。
こちら、生徒さんの作品です。
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まだまだ途中ですが、画面全体を大きく使い、豊かな流れを感じる構成が既に見えてきています。手と紙テープの関係もとても自然に演出ができています。
あとは描きこみ。様々な観察から、その陰影、質感をどこまでの本物に近づけることができるかです。
完成はしばしお待ちを。
(アベカイタ)
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