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絵画クラスだより140405

2014-04-06 12:20:49 | 絵画クラス
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3月は「楽園」というテーマで、水彩絵の具による点描画に挑戦しました。
今回はデッサンや先生がモチーフを用意した静物画と違い、自分の心の中のイメージを表現する課題です。どのような絵になるのか見当がつかない課題で、始まる前からとても楽しみでした。
まず1週目は、水彩絵の具を色々なアプローチで遊ぶことから始めました。
混色、重色の様々な実験や、グラデーション、水でのぼかし、ローラーでのマチエール作り、点描など、時間の中でそれぞれできることをやりました。
技法の幅が広がることは、表現の幅、自分の絵の世界の想像力の幅を広げることに繋がります。鉛筆で輪郭線を描いてから、はみ出さないようにきちんと絵の具を塗っていくという描き進め方は、数 多ある絵のアプローチの中の一つでしかありません。大抵の人は、自分の「できること」の範囲の中でしか絵の完成形をイメージできませんので、色々な技法に触れてみるのは脳のいい運動になります。
そして、モネやスーラなどの代表的な点描画の参考作品資料を見せると、「すごい」「綺麗」と感嘆した様子で、参考になったようでした。
絵が上手になるには、自分で描くこと(アウトプット)だけでなく、色々ないい作品を観ること(インプット)もとても効果的です。子どもの頃は学校でも描く方に偏りがちですので、絵が上手になりたい子ども達には、是非美術館などを積極的に訪れて印刷物ではない本物の作品にふれてほしいです。子ども向けのイベントを行っている美術館も沢山ありますので、 是非活用してください。
2週目から、早速「楽園」の絵にとりかかりました。
点描のいいところは、少しづつ前に進めるので、じっくりと作品に取り組めるところです。
また、点描ではグラデーションや、複雑な色の重なりを作りやすく、べた塗りよりも深みのある表現ができるところが魅力的です。
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「楽園」というのはとても良いテーマで、それぞれの美意識や、興味が素直に出たように思います。花畑や、夕焼け、湖と白鳥といった風景を描く人もいれば、スポーツと青春のワンシーンを描く人、大きくて壮大な船がひしめきあう雄雄しい世界を描く人など、それぞれの興味は多種多様でした。心の中の奥行きのある「楽園」の情景を平面的な色と形で表現するためには、何度もその風景を心に描き、 表現に必要なポイントを確認しないといけないわけですが、何度も「楽園」を想像する、ということ自体がとても心安らぎ、幸福感のあることだと思います。そういった自分だけの自由な夢想の世界に浸って、一時、色々な現実から距離を置く行為こそ、藝術の醍醐味ではないでしょうか。
次回の油彩もイメージ画です。油絵に初めて取り組む人も多いので、最初はストレスもあるでしょうが、油絵の具の色の美しさや、多様な技法の面白さといった絵の具の魅力を全力で伝えたいと思います。またみなさんの夢中で描く顔を見られるのが楽しみです。
(やえのまりえ)
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