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デザインクラス通信4 「BAUHAUS」

2011-10-22 13:35:44 | デザインクラス
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どうもこんにちは。第三回目のデザインクラス通信は、デザインをやるなら知っておきたい、知らねばならぬ、「BAUHAUS」についてです。

「BAUHAUS」(バウハウス)とは、1900年代初頭のドイツ、ワイマールにて創設された、世界で最初のデザインの学校のことです。
簡単に歴史の背景を説明すると、産業革命の波を受けたヨーロッパでは、工業化に伴う製品の品質の悪化が目立ち始めていました。それを危惧した職人やアーティストが、産業と芸術の統合を目指した「産業芸術』を理念として、誰でも芸術教育を受けられる教育機関をつくりあげます。それがBAUHAUSUです。
(この当時の他の美術学校では、才能を認められた数少ない人達しか教育を受けることができませんでした。)

ドイツ語で「BAU=建築」、「HAUS=家」という名前の由来からもわかる通り、BAUHAUSでは建築が「総合芸術」と呼ばれ、多くの分野の頂点として扱われています。要するに建築は、例えば絵画、グラフィック、プロダクトデザイン(家具などの物のデザインのこと)、空間デザイン、ファッション、その他全ての芸術分野を含む、芸術の館ということです。

教授陣には、建築家はもちろん、デザイナー、絵描き、写真家など、その時代の芸術を引っ張っていた個性溢れる人たちが集まりました。
上の画像は、僕が通っていた大学の美術館で何年か前にやったBAUHAUS展のポスターですが、その後ろに並んでいる彼らこそ、デザインの基礎を築き上げた偉大な先輩達という訳です。

ちなみに、僕は左から二番目のワシリー・カンディンスキー、三番目のパウル・クレーのファンです。二人とも絵描きですが、どちらもグラフィックデザインに通じる感性の持ち主です。というより、このころはまだデザインとアートの間に、それほど大きな違いはありませんでした。そこの点が、この時代の芸術に僕が個人的に関心をもっている理由であったりもします。
Photo
BAUHAUSは不運にもわずか15年しか続かなかったのですが、それにもかかわらず現代のあらゆる芸術にその影響を色濃く残しています。
一人一人の教授陣の作品やエピソードも数知れませんが、上にあげた二人の絵描きについては、僕からまた紹介したいと思っています。

興味のある人は、本屋さんや図書館で、分厚いBAUHAUSの本(たいてい分厚い本しかありません)をめくってみてはいかがでしょうか。
(あべかいた)



デザインクラス通信3 「デッサン・教室で描く面白さ」 

2011-10-19 11:17:26 | デザインクラス

Img_4929_2今週のデザインクラスはスプーンのデッサンをやりました。
テーマは、「見える物全てを描く」です。

こういう光を反射するような質感のモチーフは、なかなか最初は描きづらいものですが、根気よくじっくりとそのディテールを追っていけば、自ずと絵の中のモチーフも光り出します。

こちらの生徒さんの作品も、まだまだ描き足りない部分もありますが、金属の複雑な色味を非常にやわらかく捉えられています。そして、スプーンがそこに置かれているような自然な佇まいが出ているところがとても魅力的です。
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授業の最後には、毎回その日描いた絵を並べて、講評会を行います。
描いた絵にたいする感想を聞いたり、講師から次の作品に繋がるようなアドバイスをしたりします。こうやって絵から離れて、誰かと一緒になってもう一度作品を見直す時間は、なかなかお家ではできない貴重な時間です。自分の目と誰かの目、それぞれの目で色んな見方が生まれるのは、名画だってデッサンだって同じこと。
それこそが、一つ屋根の下で誰かと制作する教室のお面白さです。
(アベカイタ)


デザインクラス通信2 「観る力」

2011-10-17 19:35:25 | デザインクラス

「デッサン」という言葉を知っていますか?
簡単に言うと、モノトーンでモチーフの形や明暗を捉えた絵のことです。

ここまでは知っている人もいるかもしれません。

では、
デッサンって何語か知ってますか?

英語じゃありません。フランス語です。
”dessin”と書くそうです。
ちなみに”dessign ”(デザイン、こちらは英語ですが)と語源が同じで、“計画を記号に表す”という意味のラテン語designareからきているそうです。

今回は、10月の課題になっているデッサンについて話をしようと思います。

僕たちは寝る時と顔を洗う時以外、だいたい目を開けて生活しています。開いた目からは光が入り、それが信号として脳に届き、映像を映します。そうやって、毎日毎日様々な物を見るし、決まって繰り返し見る物もあります。

例えば、デッサンの定番のモチーフのひとつに林檎があります。
見たことのない人はいませんよね。誰もが知ってるあの赤い果物です。

ではここで、その林檎を、見ないで、思い出してデッサンするとします。どれでけ正確に描けるでしょうか。
林檎の丸みってどんな感じ?へたの形は?色の濃いところ、薄いところはどこ?

知っている物でも、いざ正確に描くとなるとそんなに簡単な話ではありません。見慣れているはずなのにと思うかもしれませんし、見ないで描くなんて無理だよっていう意見もあると思います。

でも、それが答えなんです。

物は観ないと描けません。それも、普段と同じように見ていては描けません。穴があくほど、近くから、遠くから、上から、下から、目を細めて、あらゆる手段で観察を行うことが何より重要です。デッサンで鍛えるのは、鉛筆の動かし方や形の描き方ではなく、その「観る力」なのです。
(「観る」は、見るではなく、観るという字です。)

この「観る力」をつける一番のコツは、見慣れない、ということです。「見たことあるよ」、「だいたいこんな感じでしょ」、という見方をしているうちは上達しません。

Img_9443林檎は自然物ですので、一つとして同じ形や色の物はありません。
まだ絵の勉強をし始めた頃の僕に、ある講師の方がこう教えてくれました。
「この林檎は今しか描けない林檎だ。モチーフはいつだって一期一会なんだよ。」
この一期一会という響きに、当時の僕はえらく感動しました。

デッサンは目のトレーニングです。
それは、細かい物を見るということだけではなく、様々な視点から多様な観察ができる力をつけるトレーニングです。
そこで養った目は、デザインや、その他全てのクリエイティブに活きてきます。例えコンピューターがいかに進化したって、それを操るデザイナーが独自の視点をもたなければ良いデザインは生まれません。そういう意味で「観る力」は、どんな分野であろうと物作りの基本だと言えるでしょう。

そして何より、デッサンで鍛えた目でもう一度見慣れた世界を見直すとき、今まで見てきた世界に急に色がついたような、そんな気分が味わえる。それは、絵を描く人の持つ特権のうちの一つなのかもしれません。


デザインクラス通信1 「創る楽しみ」

2011-10-13 12:51:57 | デザインクラス

Img_4526 「楽しみ」って、色々あります。
人それぞれ、形も大きさも様々です。
でもそんな様々な「楽しみ」は、実は大きく二つに分けられるんじゃないかって、よく僕は考えます。

「創る楽しみ」と、それを「享受する楽しみ」、この二つ。

例えば芸術。
絵を描く人がいる。
アーティストやデザイナーにとって、これは「創る楽しみ」のひとつです。
そして美術館でその絵画を鑑賞する人がいる。
アートやデザインが好きな人にとって、これは「享受する楽しみ」のひとつです。

言ってみれば、創り手と受け手。
どっちがより楽しいか。
もしそう尋ねられたら、僕は大声で、
「絶対創り手!」と答えます。

「創る楽しみ」は、待っててやってくるものではありません。
自分の頭を、自分の目を、自分の手足を惜しみなく使うことで味わえるものです。だから簡単にはいかないときもあるし、頭を抱えることもあります。
でも、そこを怖がらずに自分の可能性に思い切って踏み込むことができれば、そこには全く別の景色が現れます。
その広がりと深さは、絶対に受け手のままでは目にできないものです。

デザインクラスは、この「創る楽しみ」を知ってもらうために生まれました。ただの「好き」から、一歩踏み込んで「やってみる」人のためのクラスです。
そこに大きな野望はいりません。
年齢も、経験の有無も関係ありません。
自分から、何か楽しみをつくり出したいと思う気持ちが何より重要です。

子供の頃、よく何もない道ばたで、友達と一緒になって自分たちで好き勝手に遊びを発明し、日が暮れるまで遊んでいたことを覚えています。
そういう自由でわくわくするような感覚で、いつも満ちていたい。そうやって物を創っていきたい。
それが僕自身、一人の創り手として目指すところであり、同時にこのクラスの目指すところです。

まずはご挨拶ということで、大きなデザインクラスのテーマをお伝えしました。
今後も主任講師の阿部海太より、クラスの様子やまじめな話、ちょっとしたつぶやきなどをお伝えしていこうと思っています。どうぞよろしく。
(アベ カイタ)