前回は、青汁を飲む際の注意点をご紹介したので、今回は、青汁がなぜがんに有効なのかということを、『森下流 驚きの自然医食療法 ガンにも効く食べかた』(森下敬一:著、メトロポリタンプレス:2016年刊)という本を参考にしてご説明します。
なお、著者の森下敬一氏は、東京歯科大学助教授や東京都葛飾赤十字血液センター所長などを歴任した血液生理学専攻の医学博士で、プロ野球・西武ライオンズの広岡達朗監督が、森下氏の指導のもと選手に玄米食を推奨し、日本一になったことは有名です。
また、森下氏は、「正食・整腸・浄血・細胞賦活」によって多くのがん患者を治療したそうです。
このうち、「正食」については、本ブログで何度もご紹介してきましたが、この本では、玄米・雑穀を主食とし、野菜、海藻、小魚、貝類を副食とする食事を推奨しています。
そして、肉・牛乳・卵などの動物性たんぱくをとると、腸内で腐敗し、毒素が発生することが分かりやすく説明されています。
これを読んで思い出すのは私の父のことで、私は、がんを宣告された父に玄米・菜食を強く勧めたのですが、父は「肉は栄養だ」と言って聞く耳を持ちませんでした。
おそらく、多くの日本人も、私の父と同じように栄養学の専門家やマスコミに洗脳されて、「肉は栄養だ」と思い込んでいるのではないかと思われますが、この本にはそういった人たちの洗脳を解く力があるように思われます。
2番目の「整腸」とは、腸内の環境を善玉菌優位に保ち、悪玉菌による毒素の発生を抑制することで、森下氏は酵素の摂取を推奨しています。
ただし、私はこれだけでは不十分だと思いますので、本ブログの「大腸の管理-乳糖」なども参考にしていただきたいと思います。
3番目の「浄血」とは、血液を汚す飲食物を廃止し、血液を浄化する食品を積極的に摂取することで、この本には、森下氏が推奨する食材やメニューが載っています。
最後の「細胞賦活」(さいぼうふかつ)とは、細胞を活性化させ、新陳代謝を高めて自然治癒力を強化することです。
それでは、ここからが本題です。
まず最初に予備知識ですが、植物の緑色のもとはクロロフィル(葉緑素)であり、当然のことですが、青汁には大量のクロロフィルが含まれています。
一方、血液の赤色のもとはヘモグロビンですが、これはクロロフィルと化学構造が非常に似通っていて、中心にある金属元素が鉄かマグネシウムかという違いしかありません。(次図参照)
【クロロフィルとヘモグロビンの違い】(画像はYouTube動画「Chlorophyll vs Hemoglobin」より)
森下氏によると、食事によって体内に取り込まれたクロロフィルは、腸壁を通り抜ける過程でマグネシウムが鉄に変換されてヘモグロビンとなり、複雑なプロセスを経て最終的に赤血球が誕生するのだそうです。
このことを裏づける事実としては、赤血球のもとになる細胞(赤血球母細胞)が腸粘膜の、特に腸絨毛組織内で見られることが挙げられるそうです。
また、がんやその他の多くの病気の原因は血液の汚れであり、血液を浄化することによって病気を治療することができるというのが森下氏の主張です。
そして、葉緑素には、以下のような効果があるそうです。
1.食べ物として摂取すると、非常に効率よくきれいな血液ができる。
2.血液中の毒素を体外に排出する作用がある。
3.細胞の若返りを促す。
4.傷口を乾燥させ、治りが早くなる。
5.病菌の活動を弱める。
6.アレルギー反応を鎮める。
したがって、葉緑素には強力な血液浄化作用があり、がんの原因が血液の汚れであるのなら、青汁が抗がん作用を示すのも当然だと納得できます。
現在がんで闘病中の方には、前回の注意事項を参考にしていただき、かつ、農薬にも注意しながら、ぜひ青汁を活用していただきたいと思います。
最後に、西洋医学では、血液は骨髄でつくられるという説が定説となっていますが、この本にはそのことを否定する証拠が列挙されているので、ついでにご紹介します。
1.オタマジャクシには、骨髄を持つ骨がないが、カエルとオタマジャクシの赤血球や白血球の形や数がほとんど同じであること。
2.敗戦後、戦争で四肢を失った患者さんたちを診察したが、これらの人々は骨髄の9割以上がなく、理論上は極度の貧血状態になるはずなのに、血液を調べると正常だった。
3.先輩や指導の先生の意見は、残っている骨(扁平骨)の骨髄で血液がつくられているというものだったが、検査してみると、それらは造血能力のない黄色骨髄だった。
このように、この本は、現代医学で認められていないことについてもその正しさを堂々と主張し、逆に現代医学の間違った常識に対しては、分かりやすく論理的に反論しているので、がんを宣告された人が最初に読むべき好著ではないかと思います。