がんに克つ

父のがんを治すためにがんを研究しました。がんは意外と簡単に治ることを知ってもらえたら、亡き父も喜んでくれると思います。

生涯発がんリスクの比較

2012-09-08 13:55:40 | 健康・病気

前回、日本人の無機ヒ素による皮膚がんの生涯発がんリスクが0.0016(1000人中1.6人)であることや、世界保健機関(WHO)が定めたヒ素の水道水基準による生涯発がんリスクが0.0006(1万人中6人)であることをご紹介したので、今回はその他の生涯発がんリスクについてまとめてみました。

まず、多くの方が気にしているのが、農薬の危険性ではないでしょうか。『リスク学事典』(日本リスク研究学会編)の「農薬の健康リスク」(蒲生昌志、2000年)によると、1990年代の農薬使用量は74,200トン/年で、生涯発がんリスクは0.00041(1万人中4.1人)と推定されているそうです。

これはヒ素に比べて意外と少ない感じですが、前回ご紹介したように、大気汚染の環境基準は、生涯発がんリスクが0.00001(10万人中1人)以下となるよう決められているので、これと比べるとかなり高い値です。政府がこういった事態を放置しているのは、農薬のリスクよりも、収穫量を増やすことの方が優先順位が高いと判断しているからでしょうか?

一方、自然界の放射線のリスクはどうでしょうか。放射線のリスクについては、「単位被曝線量(1シーベルト)あたりの生涯過剰発がん死リスク推定値」を2つの機関が発表しています。

●国際放射線防護委員会(ICRP、1990年) 500人/1万人

●国連科学委員会(UNSCEAR、1993、1994年) 1200人/1万人

日本人が1年間に自然界から浴びる放射線の量は約1.4ミリシーベルトだそうなので、一生の間に100ミリシーベルト程度被曝すると考えられます。単純に死亡リスクが被曝線量に比例すると仮定すれば、自然界の放射線によって日本人が死亡するリスクは、0.005(1000人中5人)、または、0.012(1000人中12人)となります。

したがって、ヒ素や農薬よりも、自然界から浴びる放射線の方が危険性が高いと考えられます。ただし、微量放射線は健康に良いとする説もあるので、日常生活における放射線のリスクはもっと低くなる可能性があります。

最後に、国立がん研究センターの「最新がん統計」による、部位別の生涯発がんリスクをご紹介します。

【男性】全がん   0.54 (100人中54人)
第1位:胃がん   0.11 (100人中11人)
第2位:肺がん   0.09 (100人中9人)
第3位:大腸がん  0.08 (100人中8人)
第4位:前立腺がん 0.06 (100人中6人)

【女性】全がん   0.41 (100人中41人)
第1位:大腸がん  0.07 (100人中7人)
第2位:胃がん   0.06 (100人中6人)
第3位:乳がん   0.06 (100人中6人)
第4位:肺がん   0.04 (100人中4人)

これらのがんの多くは、喫煙や飲酒、過食、偏食、運動不足などの生活習慣が原因と考えられますから、放射線やヒ素や農薬の害を心配する前に、まずは自分自身の生活習慣を早急に見直すことが必要なのではないでしょうか?

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【追記】 2022年1月4日

被ばく線量およびそのリスクについて訂正があります。

日本人が自然界から浴びる放射線量 → 2.1ミリシーベルト

自然界の放射線によって死亡するリスク → 10万人あたり約2.6人

詳しくは「放射線の被ばく量について」、および「低レベル放射線被ばくリスクの訂正」をご覧ください。

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