とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

アルバン・ベルク R.リーバーマンのヴォツェック

2007年07月22日 | オペラ
音の世界では高校時代にカール・ベームとベルリンドイツオペラのヴォツェック全曲を取得した。この時の驚きは「春の祭典」を聴いたときの驚きと同じだった。
ベームはその後CDでの復活盤を今でも愛聴している。しかし「絵の無いオペラはオペラじゃない」と音だけでは作品の真価は量れない。しかしヴァツェックの映像はすぐには現れなかった。
1987年のザルツブルク音楽祭のアバドの指揮によるLDが発売された。すぐに購入した。アバドの精緻な音造りと、舞台の転換ごとの照明の使い方等、この映像に魅了された。舞台全体を包む荒涼感と言うより、救いようの無い絶望感。ヴォツェックのF.グルントヘーパー、マリーのH.ベーレンスの主役の演技を含め理想的と思えた。この映像を手にしてから、ベーム盤を取り出す機会は減った。しかしこの映像は見るにはかなり精神的に負担がある。なぜこのLDがDVD化されないのか不思議だ。

先日、退院して自宅療養中、手持ち無沙汰でNet漁りをしていたら2205円でリーバーマンのプロダクションでハンブルグ州立歌劇場の映画のDVDが売り出していた。値段の安さに釣られすぐにオーダーした。
1970年製作、すぐに映像の古さを感じたが時間が進むにつれ、ブルーノ・マデルナの音楽が冴えてくる。T.ブランケンハイムのヴォツェックの演技が光る。ベーレンスに比べマリー役のユリナッチは役柄にズレがあるが、進行ともにそれを忘れさす。舞台と違いロケを多用した映像は物語を語る。
アバドの隙の無い緊張感はある意味見終わった時の疲労感が残るが、映像が物語の道案内を務めるマデルナ盤は、音楽も躍動する。いつの間にか社会ドラマの錯覚を覚える。まさに役者の演技が冴える。徒弟職人1としてクルト・モルが顔を出す。正にに端役。でも存在感はある。これはお買い得なDVDと思った。





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