とりとも雑楽帳

狭山丘陵の里山歩きとクラッシク音楽の鑑賞日記です。

プラハの春 カレル・アンチェルの我が祖国

2008年07月29日 | Weblog
1968年のプラハの春音楽祭の実況DVDを買った。演奏者カレル・アンチェルの最期のプラハの春だ。1968年は私にとっても忘れられない年だ。
曲目はスメタナの我が祖国のオープニングコンサートとヘンリック・シェリングのソロによるベートーベンのバイオリン協奏曲だ。当時の放送技術の限界か、画面は粗く、音も聞ける程度で、良い音とは言えない。しかしこのDVDには我が青春のスタートだった。
大学入学の開放感と世界的な政治の季節のうねりの中で、当時のベトナム戦争反対運動、大学管理法案の提出による大学の自治権擁護、その先の全共闘運動へとのめりこむ先の頂点が、その年8月のソ連軍プラハ進駐による反ソ運動とつながり、反米・反ソの高まりの渦の中に我が青春もあった。
このDVDでのアンチェルはこのあとのカナダへの亡命となりこの演奏がプラハの春での最後の演奏になった。
演奏だけで選ぶのなら、同じ音源でもCDに残された物のが良いし、シェリングのベートーベンを聴くなら、イッセルシュテットとロンドン交響楽団の演奏が良い。
でもこのDVDには歴史の重みがわが青春と重なり、モノクロの画像に指揮者アンチェルの政治に翻弄された悲劇を聴くとともにその偉大な芸術家の叫びが聞こえる。このDVDは彼の生誕100年を記念してのドキュメンタリーも含まれ、その中にアウシュビッツでの彼の指揮姿が入っていた。
私は彼のショスタコービッチもマーラーもベルクも好きだ。ペシミズムな曲でも何か「生」への叫びが聞こえるからだ。


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