北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

デンのホームレス学生が住宅不足を嘆く

2008-08-23 | デンマーク最新
アイルランド、ライデンから再び話題はデンマークの
最新情報へ。
(写真に意味はないが、デンマークの話題であることを
お知らせするために、ロイヤルコペンハーゲン本社を
背にして撮ったホイブロ広場のものを掲げました)

ホームレス学生といっても、ホームレスではなく
「住宅のない学生」の意味でございます。

デンマークでは、
「家のない学生が住宅不足を嘆いている」とのこと。

デンマークにおいては、18歳になると同時に親元を離れて
家を出て、自分で生計をたてる。
この時、国から毎月8万円前後の補助金が出るのだが、
この時の生活の基盤となるのが「若者住宅」である。

若者住宅とは、若者向け公営住宅のことで、
日本の市営住宅、県営住宅の若者版ととらえてよいだろう。

しかし!

デンマークの公営住宅は、持ち家が持てない層への救貧対策として
位置づけられている日本の住宅政策(デュアリズム、二元主義)とは異なり、
全ての国民に質の高い住宅を供給する社会保障の一環として位置づけられて
いる点、注意が必要である。

日本のそれが、持ち家を持てる人とそうでない人を二つにわける
二元主義(デュアリズム)であるのに対して、
デンマークのそれは一元化(ユニタリズム)されていている。

日本では、「持ち家を持ちましょう」というのが基本であり、
持ち家を持てない人に対して、公共住宅(市営住宅、県営住宅)を用意する
二元主義の住宅政策をとっている。

よって、公営住宅入居には所得制限があり、
一定以上の収入がある人は公営住宅には住めない。
しかし、デンマークでは、公営住宅は誰にも門戸が開かれていて、
家賃が払えない人には、家賃補助という制度で、公平性を確保
している。

まさに、住宅は福祉の基盤であり、北欧諸国やオランダでは、
ユニタリズムに基づく公営住宅が、国民の20%整備されている。

そういうデンマークにおいて「若者住宅」は、若者向けに用意された
公営住宅で、誰でも申し込むことができる。

サイズとしては、1DKで50㎡くらいの広さがある。
家賃は、公営住宅と言えでも市場価格との連動しなければならないので、
毎月6-7万円くらい。

日本のワンルームマンションてなもんではおまへん。
キッチンだって、ごく普通の住宅と変わりはなく、
貧乏暮らしに変わりはないけど、きちんとした住宅に住んでいる。

金がなくても、住宅がきちんとしていれば、
「幸福感」は高いよね。

こうした、「若者住宅」が不足しており、
待機リストの数がどんどんと増えているとのこと。

そこで、デンばあは人口構成を調べてみた。

デンマークでは、1980年代なかばに少子化の底を打ち、
その後は1995年に戦後最大のベビーブームを迎えた。
現在も、年間6万5千人前後のベビーが生まれており、
今後の税金負担層が確実に増えている。

少子化が底を打って、まさに人口増加への道を歩み始めた年代
に生まれたベビーが、今まさに「若者住宅」に入らんとせん、状況なのである。

実際問題として、今24歳、25歳の若者は5万8千人なのに対して、
毎年多くなって18歳の若者は6万5千人もいる。
そして、戦後最大のベビーブームと言われる1995年生まれのベビーは
今13歳になって、7万2千人もいるのである。

こうした若者が、親から独立して「若者住宅」を求めているのである。

今年はとくに不足しているというが、人口構成を見ると、
今後ますます「若者住宅」の需要は増えるだろう。

若者たちの不平不満は「不足」にのみあるのではなく、
もし、空いた若者住宅に「入りたくない」と入居を拒めば、
待機リストの最後にまわって長い列をまたなければならないという
「システム」にもあるようである。

デンマークでは、「住宅政策は社会保障の基盤である」が実践されている。
若者たちにどのような対策が講じられるのか、
成り行きに注目したい。


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1 コメント

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Unknown (当然)
2011-09-18 20:34:50
燃料資源国はすごいですね。