対馬のタイワンモンシロチョウ絶滅の理由。
2000-6-10~11 の短期間であったが対馬に滞在し、ツシマウラボシシジミの撮影などを行なった。
ツシマウラボシシジミは島内各所を探索して唯一比田勝で多数の個体を確認した。
この間、各所でタイワンモンシロチョウ ( Pieris canidia juba Fruhstorfer )を確認したがどこでも個体数はとても多く、この時の感じでは山間部や林縁を中心に、まさにどこにでもいる全くの普通種と考えられました。
我が国のタイワンモンシロチョウは、1990年頃から南方の与那国島に飛来したと思われる原名亜種 ( Pieris canidia canidia Sparrman )と 対島固有の亜種 ssp.juba が知られるが、この際と思い、多少の採集も行なっています。
対島で採集したタイワンモンシロチョウ ssp. juba
オス表面
メス表面
メス裏面
タイワンモンシロチョウがとても多い反面、日本産Pieris 代表とも言うべきモンシロチョウ、およびスジグロシロチョウは驚くほど少なくてそれぞれ 1オス、および1メスを採集できたに過ぎなかった。
対島産モンシロチョウオス表面。
対島産スジグロシロチョウメス表面。
このほか多数見られたテングチョウが印象的であった。イシガケチョウ、キチョウも少数採集できた。そのほかの蝶類を全く見かけなかったことも今にして思えば異常な気がします。
対島産テングチョウ。
対島産キチョウ。
対島産イシガケチョウ
ところで、2000年度、このように対島ではごく普通に見られたタイワンモンシロチョウがその数年後には急速に個体数を減じ始め、短期間のうちにたちまち消えてしまい現在では絶滅状態と考えられています。
理由は種々検討されていますがはっきりとは解明されていません。
最も考えやすいのは大繁殖した鹿による本種の食草アブラナ科食物の食害、越冬蛹が早春羽化体制に入ったところでの急激な寒波襲来、大陸からの汚染物質飛来、その他といったところでしょうか。
一方、我が家の庭に毎年発生するエゾシロチョウ、オオモンシロチョウ、モンシロチョウにとりわけ興味を持ってを長年観察してきた私の経験からは、鹿による食草食害で激減した状況に、寄生蜂によるオーバーコントロールが効いてしまったという図式を最も考えたいところです。
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