パンダとそらまめ

ヴァイオリン弾きのパンダと環境系法律屋さんのそらまめによる不思議なコラボブログです。
(「初めに」をご一読ください)

帰郷

2007-07-28 13:10:56 | 生活
 先週末の話ですが、2人で早起きして出かけた場所はぁ~
   

 そう、香川です。帰国して早々行っておきたいし、祖母のお葬式に間に合わなくって早くお墓参りしたいってのもあったし。私は週末だけ、一泊二日で戻らざるを得なかったので親族回りだけの結構短いスケジュール。でもノンビリ回ろうとか言って先延ばしてもずっと先になっちゃいますしね。
 スケジュール決めが遅れて安い航空券がなかったので新幹線で帰ったのですが、前の座席との間隔とか広々しててビックリ。こんなに快適でしたっけ(・ ・?) 岡山駅の乗り換えが信じられないぐらいに簡便化されててここでも快適。多分明石大橋ができて高速バスとの競争が激しくなってるからでしょう。坂出で降りてNYでもお世話になったうどん屋さんで舌鼓。いやぁ、さすがにうまい。

 結局30時間ぐらいしか香川にいられなかったのですが、やっぱり故郷はいいですねぇ。時間の流れが違ってて独特ののんびりさがあるし、山も田んぼも海も全部ありますからね。いや後者の良さに気づいたのは実はこの週末で、というのもちょうど姉夫婦一家も同時期に帰省してたのですが、甥っ子が目の前に山があるだけではしゃぐんですよね(紫雲山です)。
   
山も海も近くにありますよっていうシチュエーションを考えると、関東圏でパッと思いつくのは確かに横浜の元町辺りぐらいしかないなぁ。でも、横浜港よりも海はもっとキレイだし、高速道路と橋も市中心部にはないし、山ももっと大きいし、当たり前に育った環境は実はとんでもなく素晴らしいものだったのかと甥っ子のはしゃぎようを見て気づきました。

 家族うち揃って栗林公園でお食事っていう素晴らしいシチュエーションを作って頂いてみんなで感激。ここは知らなかった。栗林公園は昔ながらの観光地ですが、地元民(特に若い人)はほとんどいかないというような雰囲気が少なくとも私が高校生だった頃はあったんですよね。でも、やっぱり、観光地として栄えてきた理由はあるなぁというか、完璧な日本庭園が久しぶりっていう事情を差し引いてもホント素晴らしい。部屋からライトアップされた松たちが見えて、ちょっと顔を出すとお月様まで見える。写真には撮れなかったですけど(>_<)
   

観光地つながりだと、新水族館ができて屋島が元気だと聞いたので視察?に行ってみたんですが、一時期休廃止施設だらけで人もまばらでこんなに素晴らしいところ何て勿体ないと思っていた様子はどこへやら、人がいっぱい来てて感激。やればできるんじゃん。2つ3つある休廃施設は残ってましたけど、ステキなアートギャラリーを見つけてさらに感激。ちなみに屋島の北嶺に洞窟があって、小学校の遠足で一回だけ行ってメチャクチャ面白かったのを覚えていますが、今行くとやっぱり印象は違うんだろうなぁ。

 ドライブしててうーんと思ったのは、幹線道路沿いの看板。以前からどうよと思ってはいましたが、アメリカ帰りもあって(屋外広告規制が厳しい)、幹線道路沿いの看板が余計に見苦しく映る。元々道路が狭いのに看板を林立させるからさらに圧迫感がでる。景観法の誕生は遅すぎたし、法体系上はほぼ完璧に見える都市計画法も、運用しづらい(線引きできない)という致命的欠陥に気づいた時点で(いやそれは制定時だったという議論もありますが)軌道修正すべきだったんですかね。

 パンダさんはいよいよ再離日が近づいてますが、今週は香川にいてもらって、のんびりしてもらう・・・というつもりでいたら、やっぱりそうもいかなくて何やかんやで立て込んでたよう。そういうタチなのかもしれないですねぇ、我々

お久しぶりです

2007-07-16 23:25:42 | 生活
台風が通り過ぎ、ホッとしたところ、新潟での大きな地震。そして夜にはまた別の震源地での地震。なんだか心が痛む自然現象が続いています。。。自然の何かの歯車が噛み合わなくなっちゃっているのでしょうか

最近すっかりご無沙汰しておりましたパンダです。そらまめさんに「おさぼり」と言われておりましたすみませんパンダも元気にしています。そらまめさんが書いているような違和感も感じつつ、元気に過ごしております。

そしてここ最近のパンダは、とにかくお世話になった方々先生や友人、生徒さんに会う充実した忙しい日々を送っています。本当にみなさんが2年以上ぶりの私を温かく迎えてくださり、そしてパンダのために忙しい中時間を作ってくれ、会うたびに感謝の気持ちでいっぱいになります改めて、素晴らしい人たちに囲まれて幸せだな~と思うと同時に、最高の宝物を持っているんだなぁ~と思っているのでもあります。

いろいろ慣れないことや違和感もいっぱいですが、みなさんの変わらぬ笑顔を見て、日本の夏を楽しんでいます。残り少ない日本生活、時間がある限り、いろいろな人に会って、元気なパンダの様子を見てもらいたいものです。しっかしやっぱ湿気がすごいっすねパンダのヴァイオリンちゃんが、この気候の変化を物語ってくれてますよぉ

開通と違和感の続き

2007-07-14 23:51:00 | 生活
 ブロードバンドがようやく開通しました。火曜にようやく一式届いて、無線LANの構築もプリンタ含めて終わったのでようやく普通のネット環境になりました。これで船便が届けばセットアップ完了ですー。

 帰国後大分経ったけど、すぐ慣れるんだろうという帰国前の予想と違って驚きシリーズはまだ続いています、実は。凄く奇妙に見えるのは電車に乗ってる人の相当割合が寝ていることかなぁ、あんまり人のこと言えませんが。なんでこれが不思議じゃなかったのかという気もしますが、やっぱり東京は安全なんだろうかというか、すっかり安全になったとはいえ、NYの地下鉄でもあんなに無防備に寝るなんてことはあり得なかったので。戸外に出れば自分の身は自分で守るっていう程度の警戒感は常に持っていましたし今もそうですが、こうも人前で大胆にスキをさらされるとこっちが心配になる。
 一番の違和感は、やっぱりみんな同じっていう雰囲気がどうしても漂うことですかね。根っこには、ほとんどみんなが日本人だという当たり前のようで実は全く当たり前じゃないことがあるわけですが、例えば街を歩いていてほとんど同じようなテイストの服装(例えばスキニーパンツ)に同じような高めのヒールで、しかも同じようにうまく履きこなせなくて同じように膝がガクガクしながら歩いているグループを見たりすると失笑を禁じ得ない。履きにくいなら「私には合わない」と思って履かなきゃいいだけなんですけど、そうできないんですねぇ。今考えたらクールビズだぁとか騒がれる前にどんなに蒸し暑かろうが上着を着てネクタイを締めていたのは、やっぱり「私は暑いからダメ」とか言って違う服装をするわけにいかないせいですよね。
 話を元に戻しますが、最初引っ越した先がちょっと郊外なのでそのせいで皆同じイケテない格好になっちゃってるのかと思って、イヤ、確かに半分はその通りですが、銀座に行っても表参道に行っても実は今度はみんなが同じように着飾っているだけで、残りの半分の根本的な違和感はどうしても抜けないですね。
 こういう違和感は抜けなくていいんだろうとも思うのですが、ちょっと切ないのは私達がNew Yorkで散々自慢してきた日本ってこんなんだったっけ(・ ・?)ってことなんですけどね。New Yorkでいい加減な事務処理や無礼な応対に合うたびに、日本は緻密で丁寧で親切だと思ったし、実際そう宣伝してきたんですけおど、いいトコロばっかりじゃなかったかぁと。当たり前っちゃぁ当たり前で、ぶつかられても誰も謝らないのは分かってたんだけど、傍若無人の酔っ払いとか、駅前で堂々と存在をアピールできるパチンコや風俗店とか、オレは客なんだと店員を罵倒する人とかはもうガッカリですよ。ガッカリついでですが、前にネーミングで文句を言った東京ミッドタウン、食わず嫌いは良くないと思って今日2人で行ってきたんですが、予想してた外から有名なモノもって来ましたという安直さもさることながら、消費者の見る目をバカにしてるんじゃないかという値段設定の方が残念だったかな。例えばですけど、39ドルの12粒チョコ7800円するってどう考えてもヘンですよ。

 なんかネガティブなことばっか書いちゃいましたが、復帰したお仕事も楽しそうだし、段々落ち着いてくると行動範囲も広がるだろうから楽しみはそれからですかね

日本

2007-07-04 23:27:30 | 生活
 というわけで丸2年ぶりの日本なわけですが、成田に降り立った第一印象は何もかもが小さいというちょっとアメリカンな感想。工事中だった南ウィングが完成してたんですけど、Brand Newなのになーんか通路が無駄に狭い、天井が無駄に低いとかと思ったりしたけど感覚おかしくなっちゃってるんですかね。あと、セットアップ中に大量に手続をしたり買い物したりして思ったんですが、日本=サービスがいいというわけではないですね、当たり前ですけど。傾向として完璧な対応にあう確率が圧倒的に高い気はしますが、ダメなとこは本当にダメだったし、なんかサービス良くするために疲れ果ててますみたいな雰囲気を感じることもしばしばなんですけどね。もっと楽しくやりましょうよというか。
 帰国した方の話だと3,4日するとあっと言う間に慣れるみたいな話を聞いてたんだけど、住宅の関係で全く土地勘のない場所に引っ越してきたってこともあって、違和感はそんなに衰えることもなく継続中。パンダさんはどう(・ ・?)
 ホントに久しぶりの日本で、なんだか「ついていけるかな!?」状態で不安を抱えながら戻ってきたパンダ。まだまだ住まいの場所に慣れていないこともあり、不安もありますが、やっぱり日本のご飯はおいしいですね(^。^)都内にもまだ出てないので、街の変化にまだ疎いのではありますが、お家の準備もだんだん落ち着いてきたので、これから少しずつ探検に行こう!と思ってます。また時間がある限り、できるだけ多くの人に会いたいなぁ~と欲を出しているパンダでもありました。
でも実は・・・NYも恋しくなっているのでありました(^_^;)


 ちょっとまだナローバンドなのでそんなにネットサーフィンも巡回先のチェックもできてないのですが、来週ぐらいにはいろいろと落ち着いてくるかなぁ。

The rest is still unwritten.

2007-06-26 00:50:36 | 生活
 というわけで、今日帰国します。パンダさんは一緒に一時帰国しますが、もう一学期残ってるのでまたNYに戻ってきますけどね。その意味では2人にとっての非日常は続くわけで、このブログも少なくともそれまでは続けようかなぁと思っています。と言っても仕事に少しでも関係あるネタは全く書かなくなるでしょうし、更新頻度も空いて細々続けてますという感じになるだろうし、何より私にとっては思ったことを書きとめる場所だったので、そうはいかなくなってしまうでしょうからちょっと雰囲気変わっちゃいますけど。

 New Yorkを離れることが寂しくないといえば絶対ウソですが、むしろ新しいチャレンジに向けてexcitedといった方が近いかな。人生の一番いい部分が終わったと悲観的に捉えることも可能なんでしょうが、そうじゃないよねぇというか、さらに新しい一歩を踏み出すんだというのがスゴク正直な気分ですね。自分らしくなったみたいなこと言ったけど、私にできることでお役に立ちたいものだなぁと。

 とかとか拙く書き連ねるより、たったの4分弱で今の気持ちをシェアできます、音楽って素晴らしいですね 映画館で何度もかかるのでチェックしたら歌詞が猛烈に気に入ってしまった。とりあえずYoutube→Unwritten NATASHA BEDINGFIELD

  I am unwritten, can't read my mind, I'm undefined
  I'm just beginning, the pen's in my hand, ending unplanned

  Staring at the blank page before you
  Open up the dirty window
  Let the sun illuminate the words that you could not find
  Reaching for something in the distance
  So close you can almost taste it
  Release your inhibitions

  Feel the rain on your skin
  No one else can feel it for you
  Only you can let it in
  No one else, no one else
  Can speak the words on your lips
  Drench yourself in words unspoken
  Live your life with arms wide open
  Today is where your book begins
  The rest is still unwritten


自己研鑽の途は続くわけだし、自分にできること、自分にしかできないことを深めながら、毎日新しいページを埋めていきたいと思います。 

2年間の変化

2007-06-25 23:33:08 | 生活
 そろそろ帰国ってことで。外形的な変化は修士号(公共法と環境法)をゲットしたとか、弁護士資格(NY州)をゲットしたとか、学会発表したとか、インターンである国の国連代表部でリーガルアドバーザーを勤めたとか、ちょっとしたpublicationの予定があるとかで、履歴書とかに書くのはこういうことなんでしょうけど、この手の変化はどうでもいいとはいいませんが、大して重要じゃないですねぇ、私にとっては。形あるものでしか評価できないことへの反発があるせいかもしれませんが・・・これ語りだすと長くなるんですけど。例えば北野武はいい映画を作るから立派なんであってベネチアで金獅子を取ったからエライわけではないとか、オリンピックのメダリストはメダルを取ったからスゴイんじゃなくてスゴイプレーをしたからスゴイんだとか。逆に言うと北野監督だって変な映画は作るし、メダリストだっていつも勝つわけじゃない。賞とかは後でついてくる結果でしかないんだけど、映画のよさとかプレーの質とか分からない人はそれしか見ないし、人を見る目についても同じことが言えると思っているので、単に○○大出身とか仕事は○○ですとかだけで感心されると引いてしまうことが何度かあって、だから帰国して外形的な変化だけで感心されたりすると多分引いてしまうと思う。同じ文脈で、外形的な肩書きだけで誰かを蔑むような論調をみると、そういうことを言ってる人が逆にかわいそうになる。目を見開いて眼前のものを自分の目で見て自分で判断できないんですから。ちょっとエンドレスになりそうなのでこの辺りでやめますが、ブログを一応!?匿名で続けたのもどこの誰だか分からない透明な存在になって内容だけで判断してもらいたかったという部分もあったのかなぁ、多分。

 2年で期待以上だったこと、予想通りだったこと、予想外だったこと等々いろいろだけど、期待以上だったのは何より勉強が面白かったことかな。ある程度何でもできるけどその人なりの特長があるみたいな人材像をイメージとして持っていて(だから理想はオーフェルマウスやコクーなんですけど(ちょっと古))、特長を伸ばそうというのが留学の動機だったわけですが、実際来て思い通りの勉強になるかどうかなんて分からなくてそれなりの不安はやっぱりあったわけです。留学準備を始めた3年半ぐらい?前のアメリカはまぁ一言でいうと環境ネタにとってはDark Timesで、アメリカでいいのかなぁというのもあったし。言語の問題とか法学教育の充実っぷりとか考えて渡米したわけですが、いる間に非常にドラマティックに変わって、そうなると元々法制度面でInnovationが得意な強みが活きてきてもう最近は活気がみなぎっているし、そういうのと併せて、勉強も一部不満(ごく一部には強烈な不満)はあるけど全体で見れば非常に満足度の高い勉強になったと思う。勿論やればやるほどというか不十分な点ばかりで今後も何とかimproveしていきたいなぁと。そのための基礎ぐらいはできたんじゃないかと思う。

 予想外だったのは英語。頭の回転どおり言葉が出てくるって状態には最後までならなかった気がする。いや一応英語でポポンポポーンとと出てくるんだけど、日本語で脳を回しているときのドドドドドドーンという感覚とはどーも違う(訳分かんないですね)。英語で夢をみるようになると聞いたことがあったから期待したたけどそれもなし・・・というか、これは言語に関わらず夢を見てない(覚えていない)だけなので参考にならないか。もっともいつの間にやら電子辞書を持ち歩かなくなって久しいし、気分転換にカタメの英語の本を読んでそりゃ違うだろと突っ込んだり、映画やミュージカルも苦労しなかったり、まぁ進歩したのよね、と慰めてみる

 一つ嬉しいのはパンダさんが非常に忙しそうにしてることで、エントリも少ないですよね 留学ってまぁ言ってみれば私の都合で、日本での仕事もやめて渡米ということになって、英語の問題もよりハードルが高かったわけで、うーーーんどうかなぁと思っていたけど、なんとか頑張って、半年遅れて始めたマスター・プログラムも順調!?だし(私より成績断然いいし)、オケにも入って演奏機会も増えて仲間も増えて、予定が合わなくて困るぐらいなので、有難いことだなぁと。そういう意味では環境法という非常にニッチな分野も音楽も存分に満足させてくれるニューヨークエリアには感謝しきれません。

 私にとって一番重要な変化は自分らしくなったことかな。私を知ってる人は元からマイペースだったじゃんと突っ込むだろうけど、いやそれでもそうなんですよ。道を歩いて誰にも見られないことにも慣れたし(Tシャツ、短パン、サンダルで42ndをウロウロするの最初タメらうんですけど)、皆が違うから「あぁそうなの、違うものだねぇ」と認め合うことにも慣れたし、何でもない場面でもオカシイと思ったらすぐ実行に移すやり方に影響された点も大きい。平均的なNew Yorkerなんて概念はそもそも存在しないし、誰かに合わせてればそれでいいなんてことはココではあり得ないですから。おかげで何の気兼ねもなく「私はこうです」というままでいられたと思うし、似てる点・違う点考えているうちにどんどん自分らしくなった気がします。日本に帰るとそうは言ってられない場面が多いと思うけど、まず自分の頭で考えることは大事にしていきたいと思う。

『日米コーポレートガバナンスの歴史的展開』

2007-06-23 23:53:07 | Weblog
 ちょっと前にインテル優勝記念にサッカー雑誌でも買っておくかと思って5番街の紀伊国屋に行ったらなくて(>_<)、とぼとぼ店内を歩いているときに面白そうと見つけて買った本。比較法にはまっていたっていうのもあるし、さらっと立ち読みしたらステレオタイプと違うものを示してそうだったので。
   
んで短いのでサクッと読んだのですが、そうなのあぁというか、コレを批判的に読み解く能力は私には正直言ってないです。が、著者が言うようにいわゆる日本的経営の頃のコーポレートガバナンスの異質性を強調するだけじゃダメってのはやっぱりそうなのかなぁと思う。戦前(というより戦間期)は直接金融が盛んでむしろ市場中心型のコーポレートガバナンスだった、戦時期を通じてメーンバンク体制になったが(この辺の過程は詳細な研究が必要とも)、持ち合い比率は必ずしも高くなく、メーンバンクへの依存度も業種によって差があり一概には言えない、最近の動向は市場中心型コーポーレートガバナンスの復活だが、IT技術の革新を背景に世界的に収斂していく方向、もっとも必ずしも業績とは結びついていないようである云々。

 このネタに関心を持つなら本なんか読まずにみんなと飲み会をやった方が手っ取り早い気もしますが、まぁそれはともかく、何で気になったかというと学期末にpaperで規制緩和というか事業再編というか自由化というかいろんな言葉で表現されてますが電気事業ネタの在り様をアメリカのと日本のとさらさらと眺めていたから。いや、paper自体はオリジナリティもへったくれもない手抜きだったのですが、必然的にううーんというネタをゴロゴロ目にしてしまったわけです。
 いや断片的にしか見てなかったんですが電力会社の河川法の記録改竄・虚偽報告だったり原子炉等安全法のこれまた記録改竄・虚偽報告がいろいろで、その国交省の発表資料で掲載されてある塩原ダムの事例が本当ならちょっと言葉もでませんというか。「法に違反する=悪」的な法実証主義的立場は取りませんが、02年に原子炉の報告義務の改竄で散々ロビーして維持基準を作らせた上でこれなんですかというか、結局違うじゃんかというか、中国電力の社長が辞任する事態にまで発展してしまったのもやむを得ないのかもしれません。
 マスコミ的には、経営陣が交代すれば、スキャンダルで大臣を辞任させてスッキリする野党国対と同様、自慰行為が終わったがごとくスッキリしてあとは知らんぷりなのかもしれませんが、一歩引いてなんでそうなるのかとやっぱり気になるわけです。仮説としてはずっと破ってましたというのと、もう一つは規制緩和/自由化/事業再編(面倒くさくなったので規制緩和等)が90年代前半からアジェンダに登場して重電メーカーからバカ殿様呼ばわりされてたような経営姿勢が一変してっていう流れで安全面が何となく軽視されるようになったというような、尼崎事故の時にJR西日本が批判されたのと同じような文脈での勘ぐりと両方あると思うのです。あれ、今考えるとアメリカでのエンロンもワールドコムもかつては規制業種でしたね。
 どっちなのかそれ自体に興味はあるのですが、大きな文脈で言うと、規制緩和等(金融分野における規制緩和等の間接的な影響含めて)というのは役所によるガヴァナンスから市場によるガヴァナンス*に舵を切るところにポイントがあって(*面倒くさいのでコーポレートガヴァナスと内部統制のメタ概念的に使ってます)、そもそも経営者が合理的なら長期的な損得を判断してきちんとコンプライアンスに励むはずですが、実際はとりわけ情報の非対称性が深刻でどうも後者のそれが必ずしも十分じゃなかったという反省があって、過去2,3年で会社法&金融商品取引法もできたので今から頑張ってくださいねーという状態にあるってことなんですかね。後知恵で考えると規制緩和等と情報の非対称性対策を同時にやっときゃ良かったですねということですが、役所によるガヴァナンスの副作用がとんでもなくてそれを除去するベネフィットに目が向いていたからまぁ仕方ないかと。
 んで、会社法&金融商品取引法ができたから直ちに情報の非対称性が(少なくとも市場によるガヴァナンスが機能する程度に)解消すると言われると悪い冗談でしょうと突っ込みたくなるわけで、さっきも言いましたがこれからの頑張り次第ってことですよね。ただ気合で頑張るというのは長続きしないのであって、理屈で言うとそうするベネフィットが増えるか、そうしないコスト(含むリスク)が増えるかのいずれかでしかないはずです。実際問題、情報公開度・透明度が高いと株価が上がって給料も上がって叙勲までされちゃうかもなんて退職間近の経営者が考えてるとは思えないし、社外取締役含めて素人さんには分かりっこないと確信できるならばバレるリスク率を低く見積もるでしょうね。
 じゃぁどうしましょうってのがガヴァナンスやコンプライアンスのサブスタンスだと思うのですが、なーんかMagic Formulaはありませんっていうよくある結論にしかなりっこないように思えますね。途上国のDevelopmentネタで結局全てのメタ概念的なガヴァナンス*に行き着いてMagic Formulaがありませんねとなった状態に似てますけど。(*単に汚職防止とかに止まらないもっと広義のメタ概念的に使ってるのですが、むしろ「適応能力」とかと言ったほうがいいかも) Developmentネタのアナロジーでいくと、でも例えばrule of lawは万能薬じゃないけど大抵役に立ちますよーっていう発想があったのと同様、「大抵役に立つ」っていう処方箋はあるんでしょうし、いろいろ売り込まれてるのもこの手のものでしょうけど、例えば監査法人が言ったとおりのペーパーワークをしたら大丈夫かというときっとそんなことはないでしょうね、一社一社状況は違うんですから。

 ついでですが、企業不祥事がある度にマスコミのバッシングの方向が役所のガヴァナンスが弱いという方向に向かっているように見えるんですがそれは違うんじゃないんでしょうか。エンロンが発覚したのもWSJのスクープが元々だったように思いますが、ジャーナリズムの役目は情報を必要なところに行き渡らせることであって、それは市場によるガヴァナンスを機能させることに向けられるべきなんじゃないんでしょうかねぇ、規制緩和等後の時代にあっては。あるある後の放送法改正が役所ガヴァナンス強化になってしまいましたが、ちょっと方向性が違うという気がする(いや時間がなくて何もなしでは政治的にもたなくて前例豊富なスキームをコピペしましったってところなんでしょうけど)。
 
 コーポレートガバナンスに戻りますが、勿論環境ネタとも無縁ではなくて、例えばSECの情報公開規制のMD&Aの部分でのMaterial Impactを与えるKnown Uncertaintiesに環境ネタとりわけ温暖化が含まれるんでしょうかとかホットイシューで、株主行動主義とも相まってそれなりのインパクトがあるかもしれません。(もっとも株主行動主義は実際限定された影響しかないと聞いたこともあるが???) 特にMass v. EPA後は全くの知らん振りはできないのではないか的な議論も聞こえてくるので(例えばコレ)、ウォッチ続けられればいいなぁ。
 なんか本の感想というよりまとまりのない呟きになっちゃいましたけど

「年金問題を争点にした参議院選挙」にダブルでシラける理由

2007-06-22 14:27:43 | Weblog
 海外にいるせいかもしれませんが、盛り上がれば盛り上がるほどシラけざるを得ないんですよねー、「年金問題を争点にした参議院選挙」には。今日もこんなニュースがあって、
   社保庁、手書きの年金台帳83万件を違法に廃棄(朝日)キャッシュ
 社会保険庁が1959年から82年ごろにかけ、厚生年金の記録の原簿にあたる手書きの「被保険者台帳」83万件を、マイクロフィルム化や磁気テープ化せず、違法に廃棄していたことが22日分かった。現時点で90歳以上の人の記録とみられ、社保庁は「いずれも本人が受給年齢に達し、年金額の確定後に捨てた」としているが、内訳の分からないものも12万件含まれ、追加調査を行う。
 社民党の福島党首の問い合わせに答えた。
   厚生年金「旧台帳廃棄は違法」社保庁認める(読売)(キャッシュ)
 失われた計83万件の記録について、同庁は「永年保存すべき文書で、廃棄などは厚生年金保険法違反に当たる」と認めた。(略)
 同庁は、なくなった83万件の記録は、マイクロフィルム化して保存されている「被保険者名簿」という別の資料にも同じ内容が保存されているため、申し出があればさかのぼって調査することが可能としている。
 
 パッと見て本当に「違法」なのか、どうもピンと来ない。どうも厚生年金保険法の28条のことを言っているのかもしれないが、
 第二十八条  社会保険庁長官は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう。以下同じ。)その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。
全般的な記録義務を述べただけの条文でなぜに原本を永久保存すべきという具体的な解釈をして違法ですと社保庁自身が認めたと新聞に書かれているのか(長谷部教授風(というよりドウォーキン)に言うと「原理」(principle)を「準則」(rule)的に解釈することのおかしさ)、加えて「原簿」が定義されているわけでもないのに「原簿」=「被保険者台帳」と固定的に解釈しなければならないのはなぜなのか、さっぱり訳がわからない(もっと別の条文があるのかな(・ ・?))。この程度なら「違法ではない」という結論でもある程度理論武装してキチンと説明すればいいだけなのに社保庁は一体どういう脇の甘さなんだというか、マゾなんですかとでも言いたくなるが、それで片付けていいんだろうか。12万件が本当にどこにも記録がないならそれは問題だけど。社民党の福島党首にそう説明したってことらしいけど、こういう時期にいずれの党であれポイントを稼がせる政治センスも理解できないわけで、今回の一連の騒ぎが解体間近の社保庁の自爆テロなんて声も聞こえてくるけど(にしても言葉遣いが悪すぎる)、確かに社保庁改革法はさっさと通した方がいいと思う。

 本件含めた膨大な処理ミスはさっさと直すしかないのであって、どうやったらさっさと直せるのかの提案競争こそが知りたいわけですが、どうも妙案を競い合っているようでもなさそうで、結局このネタは○○党が悪いと言い合ってるだけか、オレが一番社保庁を懲らしめてるんだという義賊ごっこ競争にしか見えない。さっさと直すこと自体は対立してないんだから論理的には争点になりっこないし、社会保険庁けしからん、全部チェックしろというだけで解決するなんてファンタジーは誰も信じないでしょう。

 それでも騒がれるのは、やっぱり団塊だからですかってこと。3年前もそうですが、年金ネタが前々から問題点満載であったにも関わらずトップアジェンダになったのは単純に団塊の世代がそういう時期に達したからではないかとどうしても醒めた目で見てしまうしまう。消えた年金云々なら僅か5年前に年金資金運用基金の市場運用が累積損失6兆円を超えていた方がよっぽど問題だったんじゃないのか(市場環境好転で今は累損一掃して黒字のハズ、皆これを予見してたってこと(・ ・?))。有権者数が大体1億3百万人ほど、3年間ほどの団塊世代が700万人弱で、その周囲を含めて圧倒的なボリューム感だからっていうか。単純多数決の限界の一つというか、世代ごとの声の大きさが違いすぎて、なんでしょうね、”As always, 団塊 prevails”(V for VendettaのGood guys win, bad guys lose, and, as always, England prevails風)とでも皮肉りたくなる。しかも地域的な一票の格差でさらにこの差は増幅されますからね・・・団塊ジュニアの投票パワーが流行創出パワー(バブル期終盤意向のトレンディドラマとか90年代のJ-POPsとか2、3年?前からのLeonやNikita)に比して大きくないのはこのせいか(・ ・?) 団塊世代よりもう少し上の世代がお世話になってる医療制度とか介護とかもいろんな矛盾満載ですが、4、5年後ぐらいにはこっちがトップアジェンダになってるんでしょうか。。。

 ダブルでシラけるっていうのは、これが参議院選挙だってこと。首班指名権で劣位の一院のしかも半分を改選するに過ぎないという元々の位置づけが中途半端極まりない選挙なわけですが(これはデザイン・デフェクトじゃないか)、大して重要じゃないとは誰も言わない。例外は小泉前総理ぐらいか(「参院選に負けたって、どうってことない」(6/13)・・・さすがですね)。21世紀臨調は制度論からは政権選択選挙じゃないけど安倍政権後初めてだから政権審判選挙ですと制度論に土地勘のない人には訳の分からないことを言ってるし。国政選挙のうち、総理を選ぶ選挙とそうじゃない選挙があるというのを分かった上で参議院選挙に投票しないと「選挙じゃ何も変わらない」(外山恒一風)というおかしな幻滅感につながるのではないかと逆に心配になる。まぁ衆議院選挙が「総理を選ぶ選挙」と言ってもおかしくなくなったのは政治改革後でそんなに時間が経ってないからしょうがないかという気もするけど。アメリカにいて去年の中間選挙を見てると上下院同時の選挙(上院の1/3と下院全部)だからとっても分かりやすかった。例えば衆議院選挙は3年おきにして毎回同日選にすればいいのに。

 参議院選挙だぁと盛り上がってる人たちは89年のリクルート・消費税ショックの幻影を追いかけてるんでしょうかねぇ、時代背景も何もすっ飛ばして。年金に限らずもうちょっと腰をすえた議論を見たいのですが、このままだと結局のところ盛り上がっていたのはマスコミの政治部だけでしたったてことになってしまうんじゃないかと懸念します。

コパ・リベルタドーレス Final (ネタばれ注意)

2007-06-20 23:52:15 | サッカー
 リーガ・エスパニョーラの劇的な幕切れとともに今シーズンのヨーロッパ・サッカーは終わりましたが、南米はもうちょっとだけ熱気が残ってる!ってことで、テレビでやってたコパ・リベルタドーレス Final2戦目を観てしまった(ネタばれ注意)。今度はボカがグレミオのホームへと乗り込んでの試合。


 んで一戦目でボカが3-0にしていた段階で粗方勝負あったという感がありましたが、2戦目を見てもちょっとあまりの強さに舌を巻いたというのが正直なところでしょうか。この5,6年?で3度目?のリベルタドーレスなんて凄すぎる。ドリーム・バルサとグランデ・ミランを粉砕したテレ・サンターナのサンパウロを凌いでいるのではないかと思えるほどで、何よりリケルメを見るのは本当に楽しい。代表を引退しても、ヨーロッパからいなくなっても、衰えるどころか進歩しまくっている。とりわけスゴイのが、ボールを持った後のファースト・チョイスが以前のようなスルーパス一本槍ではなくてシュートも加わってたことで、決勝2試合の5点全部に絡んでるのも決して偶然じゃないと思う(パレルモがPKはずしてなければ6点)。どれもスーパーゴールだったし。今確かボカにレンタル中のハズで終了後の動向は良く知りませんが、このままクラブWCで日本に来て欲しいですね。同じピッチにカカ&リケルメなんて想像しただけでもゾクゾクしますし、ガットゥーゾとのマッチアップとか今から期待が膨らんじゃいます まぁとにかく今夜はおめでとうございました

アップ終了~NP etc.旅行

2007-06-18 23:48:20 | 旅行
 先週のNational Park等々の旅行をアップし終えました。結構な量になっちゃった気がする
 ・NP旅行①~ザイオン
 ・NP旅行②~ブライス・キャニオン
 ・NP旅行③~Scenic Byway, Capitol Reef, Dead Horse Point
 ・NP旅行④~アーチーズ
 ・NP旅行⑤~モニュメント・バレー
 ・NP旅行⑥~アンテロープ
 ・NP旅行⑦~グランド・キャニオン
 ・NP旅行⑧~ルート66 to ラスベガス
 ・NP旅行⑨~サン・ディエゴ

 やっぱり見ておいて良かったというか、その場に行ってみないと分からないことというのはこういう時代になっても(だからこそ!?)引き続きあるんじゃなかろうかと思っているので、公園管理の体制とか責任の突き放し具合とかボリューム感とか、キチンと感覚として残しておきたいなと思います。細かく言い出すと連邦政府の権限の根拠とか(言ってしまえば連邦政府の財産管理)、それとの比較でいうと連邦制でもないのに地方分権時に日本の国立公園管理を国直接執行事務としたことは必ずしも合理的ではなかったのではないかとかのそもそも論と見てきた実態をミックスしてエンドレスですが、全くブログ向きじゃないのでやめます。まぁ単純に楽しかったというのも大きいし、一足早い私の帰国を控えて、演奏予定が詰まってたパンダさんを無理矢理?誘ったかいはあったかなぁと思ってます