梅雨の晴れ間を狙って友人と2人、穂高岳の西側の山麓に出かけました。初日は、天気予報に反して午後まで霧雨が降りかかりっぱなし。晴れ間はまったく出ず、レインギアはびっしょりです。栃尾の露天風呂に浸って疲れを癒しました。
翌日の天気予報はかなり好転しています。4時に起きて朝食を摂り、行動開始。うっすらとガスのかかっている林道を辿りはじめました。彼方には先行する登山者がたった一人、急ぎ足で消えていきました。
穂高平の牧場は山小屋ともどもひっそり。人っ子一人見えません。
雪渓が現れてきました。滝谷の出合いだと勘違いしてしまいましたが、沢の奥の山の形状が穏やか過ぎます。上流から吹き降りてくる風がとても冷たく感じられました。
こちらが滝谷の出合い。ようやく晴れ間が顔を出してくれました。
滝谷の上部には北穂高直下の第一尾根やクラック尾根、P2フランケ、ドームなど、青春の情熱をぶつけた険しい岸壁がくっきりとそそり立っていました。タハラッチが10代のころ、さまざまなルートを登攀していたのです。滝谷を遡上したことはありませんが、まだ雪渓がたっぷり残っています。井上靖の氷壁の主人公魚津恭太は厳冬期の月明かりの夜、ここから山頂を目指したのですが・・・。
滝谷周辺をたっぷりと散策した後、白出し沢に戻ると、往きにはガスの中だった奥穂高の稜線がくっきり。あの辺りにもタハラッチの足跡がたっぷり残っているのですが・・・。
往きも帰りも穂高平小屋はひっそりしています。朝の先行者のほか、たった1名の登山者の姿を見ただけ。団体ツアーの行列に煩わされず、のんびりマイペースで楽しめた一日でした。
初日は過酷な天候の中での沢登りに終始し、2日目は雪渓の登り降り。どちらも半世紀ぶりのことでしたし、ピッケルやアイゼンを持参したわけでもありません。少し無鉄砲だったような気がしないでもありませんが、この調子でしたら少しトレーニングをすれば、奥穂から前穂の頂上まで、登ることが可能かもしれません。今までは上高地からのルートだけを考えていましたので、もうこの歳では無理かなと思っていましたが、新たな情熱が湧き上がってきました。