昨日と今日の1泊2日、友人と2人でギフチョウを採集してきました。
行った先は関東甲信越の二つの県。いずれも稀少産地とされているところです。
うち一ヶ所はタハラッチがその昔、半世紀以上も前、夢中になってギフチョウを追い掛け回していたころに訪れた山の少し先。蝶の採集を復活させて以来3、4年になりますが、その間間、ずっと採りたいと思っていたところです。
まずはもうひとつのエリア。真偽のほどは判りませんが20年ほど放置されていたらしい産地とのこと。昨年、その話を聞き及んだタハラッチは単身出かけました。そのときは20年振りなんて話は気にもしていません。高尾山でさえ、半世紀以上も前はたくさん採れていたのですから・・・。
お墓の裏山の頂上付近がそのポイントとのこと。かすかな踏み跡、というより獣道を辿って竹藪を抜けると、さらに勾配のきつい笹薮になります。
ほうほうの体でそこを抜けると少し開けてきますが、これまた急斜面の連続。やがて普通の山道程度の勾配の尾根状の地形に辿り着きます。
ここからはこの上にギフチョウがいるのだといわれれば信じられるかもしれませんが、それまではこんなところを辿って行ってもいいのだろうかと疑わしいほどの藪漕ぎの連続でした。
小1時間で山頂付近に達すると、そこは所々が開けた緩斜面。昨年は到着直後に1頭が飛来しましたが、今回はまったく気配がありません。
山桜がまったく咲いてなく、日当たりの良い東斜面の杉林との境目にタチツボスミレがちょこっと咲いている程度。まだ少し時期尚早なのかもしれません。
予報では最高気温は20度以上で15時頃まで上昇し続けるとのこと。じっくり粘ることにしました。
初めて訪れた友人はさらに奥へと踏み跡を辿りました。タハラッチは昨年の実績を信じて、そのポイントを死守。どちらかで採れたら連絡を取り合うことにしましたが、こちらもダメならあちらも同様。結局友人は戻ってきました。
最高のポイントとおぼしき地点で待機するよう友人に促し、タハラッチは次点のポイントで飛来を待ちます。
そうこうするうち10時半ごろ、友人が1頭をネットイン。やってきた甲斐がありました。
続いてタハラッチの目指したポイントにあのギフチョウが飛来。胸の動悸が高まり、ポールを握る腕に力が入ります。
彼か彼女かわかりませんが、そのギフチョウはタハラッチのネットの先をヒラヒラ飛んでいて、いっこうに止まる様子がありません。左右の視力に差がある、いわゆるガチャ目のタハラッチは遠近感が不正確ですから、できるだけ静止した状態でネットを振りたいのが本音なのです。
でも止まってくれないどころか、遠くへ遠くへと向っています。業を煮やしてネットを振ります。でも中は空っぽ。1頭目は逃げてしまいました。
友人は2頭目を採集。いずれにしてもタハラッチは採集した個体を持ち帰って展翅し、標本にして保存するということはしません。採集したギフチョウにしろクモマツマキでも、友人に進呈しますから、彼が採ってくれたほうが合理的なのです。
とはいえ大自然の中を狙ったチョウが飛翔し、それをみごとネットにおさめた感激は、本業の沖釣りで狙い澄まして大物を仕留めるのと同じこと。やはり自分で採らないと面白くないのです。
待てば海路の日和ありといいます。再びあのポイントにあのギフチョウが戻ってきてくれたのでしょう。今度はさらに慎重を期して今年の1頭目をネットにおさめることに成功。感激に浸りました。
結局このポイントでタハラッチは3頭をゲット。1頭目は同行した友人に、ほかの2頭はたぶん雌雄でしょうから、依頼を受けていた知人への土産として、山を下りることにしました。
この日はお昼ごろから風が少し吹いてきましたが、終日良い日和でした。
翌日は大幅に場所を変えました。そこでは前日、知人がいい採集をしたとの情報が入っています。
採集者が多いかもしれないから早めにポイントを確保するようにとのアドバイスを受けて待機しましたが、いっこうにギフチョウの姿が見られません。
この産地は今年初めて情報を得て、少し前に一度訪れたところ。まだここではギフチョウの飛来を目撃したことさえありません。
ほかの採集者と出会ったのは1名だけ。タハラッチたちが待機しているところより上部にもよいポイントがあるとのことで、そこへ登るとのこと。概要を教えていただきました。
しばらくしても飛来がないので、友人を残したまま、そのポイントを目指します。
風が強いものの、風裏の陽だまりもあり、先ほどの方は2頭を見たうえで1頭を採集したとのこと。少し離れたポイントで待機することにしました。
下のポイントで待機している友人に状況を電話していたその瞬間、タハラッチのブルーネット目指してギフチョウが飛んできました。青色に反応したのですからきっとオスでしょう。
慌てて電話機を落とし、ネットを振り回しましたがもちろん振り逃がし。目の前をヒラヒラ飛んでいきます。電話機を拾い上げて追いかけていったのですが、結局陽当たりのよい谷間へと飛び去っていってしまいました。
でもしばらくするともう一度飛んできました。だが今度ももう少しというところで逃げられてがっくり。ところが幸運なことに三度目の正直が訪れたのです。
地べたの枯葉に止まってくれたので興奮を抑えながらネットイン。
待望の、東京近郊のギフチョウを採集することができました。