キコリン、コメントありがとうございます。
岩だらけの山に木が生えているのは、「夕立山森林塾」で一緒に行った恵那市の笠置山でも同じでしたね。ヒノキの実生の天然木や広葉樹が、大きな岩の上にたくさん生えていました。
植物が育つのに土壌が厚いほどいい、という見方は誤りです。多くの植物が、土壌のあまりない場所を生育適地としています。土壌の中にはいろいろな菌類やバクテリアがいて、それがさまざまな働きをすることもあるし、水分条件もあります。 大きな岩の表面には水が流れるだけでなく結露もあります。岩自体も水分を持っています。岩の上のコケもスポンジの役割をして、種子の快適なベッドになります。
特にヒノキは岩の上によく生えます。だから尾根筋にも生育できるのです。そもそもヒノキ林の中に20cm以上のものを差し込めること自体をあまり前提にしない方がよいと思います。
私はこれらのことを、京都の高田先生から教わりました。今年の秋セミナーでみっちり勉強させていただきました(中にはまちがって理解していることもあるかもしれません)。
針葉樹の切り株や倒木上も、多くの植物の実生更新に適しています。生育を妨げる菌類が少ないため、土の上よりも育ちやすいのです。多くの針葉樹は、倒木更新、切り株更新を自然の更新の基本パターンにしているようです。 切り株に生えた樹木は、後に切り株が腐るので「根上がり」になり、さらにその木が倒れると、そこに次の木が生えて、もうひとつ高い根上がりができます。私が知る中でこの様子が最もよく見られるのは、岐阜と長野の県境の野麦峠です。
根上がりについては、尾瀬のクロベの例で、前述の高田研一先生が『尾瀬の森を知るナチュラリスト講座』に詳しく書かれています。これは専門的なことが大変分かりやすく書かれ写真も満載のおすすめの本です。
森林インストラクター仲間にもここのヒノキ林に行きたい人がたくさんいるので、来年は必ず見学を企画します。今年は秋まで通行止めで入れなかったのです。