2013年4月29日(祝) 晴れ
三峰口駅→神明社→聖尾根→聖岩→大峠→1,307m点→勝ちゃん新道→大血川→太陽寺入口バス停
この頃になると熊倉山の開山式に行きたくなってしまう。山頂の開山式は午前11時から始まるので今日は時間的に参加できない。そこで、去年聖岩をトラバースした経緯があり、その聖岩を乗越し、花を楽しみながら登って「勝ちゃん新道」なるものを歩いてみたいと思う。熊倉山へは一般コースとして、沢の日野コース、小幡尾根の城山コース、それに谷津川の林道コースがある。林道コースは崩壊により今年も通行止めだろう。その他に、酉谷山からの縦走路、宗屋敷尾根、聖尾根がバリエーションルートとして知られている。更に「勝ちゃん新道」なるものが新たにあるということなので訪ねてみることにした。秩父鉄道を利用する場合、「ぶらり!おでかけきっぷ」がお得だという。終点の三峰口駅へ着いたのが8時ちょい前。明神社を探しながら麓へ近づく。本来ならお寺さんの中から尾根に取りつくようだが、一本東寄りの尾根に取り付いてしまった。昨年は深入沢から入って、大峠もトラバースしてしまったようだ。明神社を右に見て、突き当りを左。小さな沢を渡って細い舗装された林道を右へ入る。沢沿いに山の方へ進めば奥に三峰山荘の家(廃屋かも)がある。そこを突き進んで行けば行き止まりとなるので、適当に尾根を目指して登った。聖尾根を歩いて熊倉山の山頂へたどり着くには5箇所程の岩稜をクリアーしなければならない。どれもこれも難癖があり、容易ではない。しかし、花に癒やされながらの静寂さには感服させられる尾根だ。
<新緑のシャワーがお出迎え>
適当に尾根を歩いて上を目指す。常に尾根歩きを意識して上を目指す。道がないのでどこを歩いてもいいが、歩き易い一本の糸のようなすじ道がある。近くに寄りすぎると分からないが、遠目に眺めればそれとなく見えるすじだ。獣道とはこのすじ道をいうのであろうか。落葉の上にもそれがうかがえる。
<時々山村の風景も眺めて>
一汗かいたが、やっと本来の尾根に乗ることができた。聖岩がどのあたりにあるのか、皆目見当がつかない。慌てることもないだろう。聖岩がだめなら、大きく巻けばいいだけの話だ。
<右は切れ落ちた尾根>
ここの尾根はヤセ尾根が多い。ゆっくり歩けば何の問題もない。むしろ新緑の美しさに目が惹かれる。
<聖岩>
見えた。あれが聖岩だろう。葉っぱで全体の大きさが分からないが、とにかく右側はスッパって切れ落ちているようだ。あれだ、あの岩峰は去年の記憶にない。今日の目的のひとつにこの岩をクリアーすることがある。ちょっとドキドキもんだが、じっくり行って見よう。
<妙法ヶ岳>
葉っぱが開けた場所があるので、時々覗くことができる。景色を眺め、飽きることもない。
<ヒトリシズカ>
だいぶ大きくなってしまったが、花があるとやはり心も和む。
<聖岩への取り付き>
とにかく直進してみよう。根っ子がはびこっているので今のところ普通の尾根だ。
<聖岩の中段から>
聖岩の岩壁が前に立ちはだかる。直登はできない。大きく左から上を目指せばいいような感じだ。やはり根が露出しているので要所要所で確保できた。落石もありそうな感じだが、ルートミスせず中段に乗ることができた。その中段から展望も多少得られるが、ここは尾根のひとつに感じられる場所だ。そのまま進むとまた岩壁が現れた。両端は切れ落ち、直進するしかない。できるだけ根がしっかりした場所を選んでよじ登る。すると岩峰の真上に飛び出た。ここまで来るとまったく踏み跡らしきものが見当たらない。それに、展望など楽しむ余裕もないほどだ。どこをどう降りればいいのか、周りを見下ろした。覗き込むように下を見たが、どこも絶壁の上にいるようだ。どうもここから乗越できない状況の様子。登って来た道を戻るにしても危険だ。巻き道らしきルートがないか探し回る。岩の上から辺りを何回も見回す。すると幸運にも、青く色あせたテープを発見した。その下には足場が確保できそうなルートがあった。助かった。これで下りられると感じた。しかし、そこまで行くには10m程下がらなければならず、少々痛い目に合うことに。それは、つかんだ枯れ枝の破片が爪の中に入り、突き刺さってしまった事だ。
<大峠>
無事降りられて良かった。一時はどうなるかと思ったが。そして、尾根にはまた岩壁がでてきた。今度はなだらかだが、とても大きい。手と足を確保しながら登り切ったが、息が切れる思いであった。しかし、これで一安心だ。
<眼下は荒川村辺り>
<和名倉山を遠望>
ここに来てやっと胸をなで下ろした。後はだいたいの様子を記憶している。気がかりな岩稜はあるが、巻き道を探すことにしよう。
<萌える聖尾根を見上げて>
<山桜が映えて>
この辺りで大休憩に入る。どうしたことだろう。ヘリが頭上で旋回している。熊倉山で何かあったのだろうか。この聖尾根をなめるようにバタバタと飛んできた。そして、山頂付近を行ったり来たりしていた。一昨日の疲れが残っているのだろうか、身体が重く、体力不足を感じる。しかし、お腹を満たして、再び歩き出した。
<落葉が積もる斜面にロープが>
ここの斜面はだだっ広く、ロープがなければ迷うところだ。それに長い急登を強いられる。
<赤い道標、三峰口へ>
急斜面を登り切れば、ここは直角に左へ曲がる場所のようだ。標識は目につき易いが、文字が消えかかっていた。
<1020m点の岩壁を巻いて>
ここが気がかりであった岩稜だ。前回は訳も分からず岩と岩の間を直登していた。疲れた割には距離が稼げなかったことを記憶している。古びたロープもあったが、巻き道優先でここは回避する。
<断続的に現れるヤセ尾根>
<眼下に秩父盆地を>
ここがいいだろう。眺めもまずまずで、アカヤシオも咲いている。景色と花を眺めながらお昼ご飯にしよう。時間も丁度いい。山開きだというのにここまで誰とも会わなかった。聖尾根ではここが唯一憩の場所だ。
<アカヤシオが咲き乱れていた>
<露岩に咲くイワウチワ>
「うお~!、ありがと~う」と思わず声が出てしまった。そっと咲いていたイワウチワを驚かせてしまったが、宝物でも見つけたように笑顔がこぼれる。
<群生している場所もあった>
これがあるから、山はやめられない。この時季、この場所、忘れないようにしよう。でも、明日になればどうなるかわからないが…。
<数少ないがカタクリが残っていた>
<1307m点からの聖尾根>
ここも古びた細いロープが掛けられている岩峰だ。ただ、それほど危険はない。とは言っても、やはり確保はする必要がある。
<ここにも三峰口駅への道標(三峰駅となっているが)>
<聖尾根から勝ちゃん新道へ>
聖尾根のこの上にはもうひとつ直登する岩峰がある。去年、そこには新しくて太いロープが掛けられていた。そこに巻き道があるのか確かめたかったが、ここは「勝ちゃん新道」を下って大血川へ下山する。
<尾根を忠実に下る>
しばらくは赤いテープを目にしていたが、そのうちに、そのテープもなくなってしまった。見落としてしまったかと心配する程だ。踏み跡もあるような、ないような。できればもう少し頻繁にマーキングしてほしいと思う部分だ。
<明るい斜面>
尾根を下れば、道標が現れた。向かって左へ降りるらしい。尾根から外れ、ザレた斜面にジグを切る。
<熊倉山を見上げて>
ここまで下ると林道が近いように思える。土砂崩れの工事現場が見えた。早目に下がってきて良かった。これから長い長い車道歩きが待っているからだ。一昨日も長い林道を歩いたが、舗装道路は硬くて、足が痛くなる思いだ。しかし、周回コースの場合はこれもしょうがない。
<作業小屋>
今にも崩れ落ちそうな屋根だけの小屋に出くわすが、山仕事の方にとっては憩の場所なのだろう。
<下山した勝ちゃん新道の登山口>
勝ちゃん新道の道標にペットボトルがくくり付けてあった。中にはメモ用紙とペンがあり、登山届として書くのであろう。それを取り出して「勝ちゃん」へのお礼の言葉を書き記した。「無事下山できました。ありがとう」と。熊倉山の山頂へは到達できなかったが、聖岩を乗越し、これで勝ちゃん新道の様子が分かった。そして、国道140号線の入口まで歩き、1時間半待ってやっとバスに乗車する。この聖尾根はまだ下りに使用する自信はない。
熊倉山方面とは、聖尾根歩きだったのですか。昨年も同じ日のお歩きでしたよね。
最新の尾根情報ありがとうございます。何か、すごく壮絶な感じの尾根のようですね。聖岩ですか。あれは、自分には無理。絶対に巻きます。それ以前に、私の場合、破線路歩きをするつもりでおりますから、聖岩には出くわすこともないでしょうが。
それから、勝ちゃん新道。以前から興味はありましたが、これもまた、マーキングが少なくて、一筋縄ではいかないようですね。よく、下りで使えるものです。感服いたします。
いやはや何とも、尻すぼみの状態になってしまいましたよ。
西上州の山で茶を濁している方が無難かなと思ったりして。
聖はたそがれさんなら尻すぼみをすることもないと思いますよ。勝ちゃん新道は中間まで尾根一本です。その後は頻繁にテープされていますので、ご安心を。
近々、この尾根は後追いさせていただくかもしれません。
でも、聖岩はパスですね。私のような未熟者には怖くてだめです。
変なところに入り込まないように注意したいと思います。
今頃の聖尾根は新緑に包まれ、とても明るいです。アカヤシオもだいぶ咲いていて、なかなか他にはない、変化に富んだ尾根だと思います。少々長いのでお天気と相談しながらがいいでしょうね。