山さんぽ花さんぽ

奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

谷川連峰 朝日岳

2013年11月03日 | さんぽ


2013年11月2日(土) 晴れ

土合→松ノ木沢ノ頭→白毛門→笠ヶ岳→朝日岳の往復

群馬県と新潟県の上越国境に位置する谷川連峰。一ノ倉沢や幽ノ沢などの谷川岳東面の岩壁の絶好の展望台となっているのが白毛門だ。あれは確か2年半前か1年半前の春のことである。今日とまったく同じコースを残雪の季節に土合から朝日岳を往復した。その際、帰りしなに大烏帽子辺りで水を切らせてしまった。それはカンカン照りの夏日で、喉がカラカラに直ぐ乾いてしまった気温だった。水がなければ歩くことも出来ず、悩んだ末、仕方なく足元の山道を流れる雪解け水をすすったことを思い出す。先日、谷川にも冠雪があったらしい。それでもって、今日は身が引き締まるような寒さになるだろうと推測した。冬山装備とまではいかないが、それ相応の身支度で挑まなければならないと思い、アンダータイツを履き、防寒手袋も準備する。寒さに震えながら行動するのも辛いものがある。もし、暑ければ脱げばいいだけだ。一方、朝日岳は湯檜曽川左岸の山々の中で最高峰であり堂々とした山体を形成しているようだが、連峰にあっては山頂に湿原もあり、女性的な山容だと思われているようだ。とにかく今回は天気予報と白毛門の麓が見頃になっているという紅葉情報に期待して、早朝に出掛けてみた。比較的アクセスの良い谷川岳周辺は時間にすれば奥秩父とたいして変わりはない。距離こそは長いが、山は早出が基本なので高速を利用すれば便利な山域だろう。雪化粧したあの荒々しい谷川岳の絶壁を眺めたいと、久々に水上ICを目指した。


<朝日が差し込んでくる>
土合の駐車場へ着けば既に車は十数台が駐車されていた。薄暗い時間帯だが身支度して、出発しようとしているグループや車中泊の方達がまだ寝ている。私も予定通り準備を開始した。足元は薄明るくヘッデンは必要ない。少々肌寒く、予想した気温だった。そして、ゆっくりゆっくり歩き出す。沢に掛かる橋を渡り、いつものように一本調子の登り坂に取り付いた。続いて数人が後ろからやって来る。相手との距離が狭くなった時点で道を譲り、ペース作りに専念した。とにかく休まず急がず、焦らずだ。日が昇り辺りが明るくなると晩秋を思わせる風景に出合う。少々厚着してしまったかと考えたが、程よい寒さである。しかし、時間が経つにつれ、にじんでくる汗が玉になってきた。気温も上がっているようだったので、一枚脱いで、また一枚脱ぐ。最後には半袖のTシャッ姿になってしまった。しかし、時折吹く風は冷たい。


<古き一枚が安心に>
どこの山でも、ある時はこの古びた一枚が道迷いを防いでくれる場合もある。ましてやこれから雪の季節にもなれば山道も埋もれてしまう。それは低山でも同じだ。不安に駆りたてられながら歩くとき、この一枚がとてつもなく心強い。白毛門は土合から登り上げる一本の道筋なので迷うことはないだろうが、大切な標識には違いない。いつの時も見守ってきた古き道しるべだ。


<やっと観られる山容に>
樹間から時々眺めながら登って来たが、やっと落ち着いて眺められる山容になった。雪はどこにも見当たらない。融けてしまったようだ。期待していた雪景色だが、その名残もなくなってしまった。しかし、天気予報は当たった。まさしく、青空の広がる「天高く馬肥ゆる秋」だ。一時は心配していたが、赤城高原辺りから雲が薄くなっていた。


<草紅葉に包まれた白毛門>
松ノ木沢ノ頭へ到着する。ここは一息入れる絶好の展望台だ。白毛門が目の前に飛び出てくる場所でもあり、谷川岳がパノラマサイズで見渡せる。森林限界を超えたこの展望所からは白毛門という名前の元になったといわれる「ジジ岩ババ岩」の二つの岩頭が並んで立って見える。


<湧き上がる雲>
ガスが湧き上がってきた。山の天気の変化は早い。ここへ来ると風が冷たく、一枚羽織るような寒風だ。手袋もしっかりする必要がある。遮るものがないのでまともに北風を受けてしまう。しかし、日差しも強く、寒かったり暑かったりと目まぐるしく感じる稜線だ。ここで大きな三脚をザックにくくり付けて下山してきた方に出合う。真夜中の3時頃から登っていたという。ご来光を撮りに来たらしい。


<晩秋の山肌>


<白毛門山頂>
とりあえず白毛門の山頂に着いた。天気は上々、空気が澄んでいるのだろう、冠雪した火打と妙高が遠望された。手前には特徴のある苗場山も眺められた。ここで気になっていた靴ひもを締めなおす。左右の締め具合が気になると、その事が頭から離れない。休憩すると同時に次の目的地、笠ヶ岳への準備をする。


<笠ヶ岳と大烏帽子>


<笠ヶ岳山頂>
山頂から一人の男性が下山してきた。風が強くて休んでいられないという。山頂まであと数mの場所でのスライドだった。そして笠ヶ岳の山頂からは巻機山、清水峠も眺められた。ここまで来れば谷川連峰、馬蹄形の山並みが見渡せる。いい眺めだ。しかし、休憩は朝日岳でゆっくりする予定なので早々に歩き出す。おにぎりは白毛門で一つ食べたのでお腹は満たされていた。行動食は甘いチョコレートを今日はたくさん持参した。好物のピーナッツチョコである。夏場は解けてしまうのでこれからの季節はこれも楽しみの一つだ。この先、上越国境の山並みを楽しみながら進もう。馬蹄形は展望が魅力的な尾根だ。


<馬蹄形縦走路>


<谷川岳>


<巻機山遠望>


<清水峠>


<燧ケ岳、至仏山、上州武尊>


<草紅葉>


<朝日岳>
ここへ来てやっと朝日岳の山頂を捉えた。こんなにも時間が掛かったのかと、前回よりも長いような気がする。それとも体力が落ちたのか。これなら予定時間内に到達できそうだ。風も南風に変わった。暑い。インナータイツが蒸し暑い。もこもこしている。脱げばいいが、面倒くさい。そう思いながら我慢しながら歩く。


<大源太山、清水峠>


<朝日岳山頂>
到着だ。これでやっとゆっくり出来る。そう思うと力が抜けた。山頂で食事をしていた方が一人。蓬ヒュッテから来たという。辺りをウロウロして昼食にした。食事はいつも簡単に済ませているが、今日もおにぎり二つに塩味のカップヌードルだ。下山はぶらぶらしながら帰ればいい。コーヒーを飲んで食後ものんびりする。トレラン姿の若い男性二人がやって来た。何か食べて早々に走って行く。日帰りで馬蹄形に走るのだろう。一方、谷川岳は雲に覆われてしまった。テント縦走する方は清水峠が見えたのでホットしている様子だった。ここで引き返す旨を伝えて別れた。彼とはほぼ同時にここまで歩いて来た。その後から、もう一人テントを背負った方も到着した。


<上越の山々>


<朝日岳の祠>


<中ノ岳、八海山>


<避難小屋>
「この山に消えし若き友の 天に憩える魂を偲びて」    1990年9月22日
朝日岳から笠ヶ岳避難小屋まで戻って来た。これは避難小屋の入り口に掲載されている内容だ。時々、山歩きをしていると遭難碑に出合うことがある。先週の奥秩父でも山道脇で目にしたが、その年齢を知れば涙が出てくる思いだ。手を合わせ静かに合掌してしまう。


<笠ヶ岳から白毛門を>
笠ヶ岳山頂まで戻って来た。先ほどまで数名がこの山頂にいたが私がたどり着く前に下山したらしい。後ろから男性一人に抜かれてしまう。時間が気になりだした。ぶらぶらしながらとは言え、少し遊び過ぎのようだった。この時間になると日が傾いてくるのがわかる。まだ3時前だがちょっと急ごう。


<日も傾き始める>


<後ろに誰もいない>


<ジジ岩ババ岩>
これは見れば直ぐに分かる容だ。どちらがジジ岩で、どちらがババ岩か。思考力が低下したこの歳でも、これだけは想像することができる。うる覚えだが。


<だいぶ暮れてきた>


<見頃に>
途中、4人グループの男女を抜き、老夫婦を抜き、順調に下った。変わり種はテント装備の単独の方が登って来たことだ。訪ねれば先ほどの笠ヶ岳避難小屋へ泊るという。水場がないので下から担ぎ上げるのであろう。大柄のガッチリした体格の方だったが、すごいスピードで上がって行った。そうかと思えば、救急車のサイレンが下で鳴っていた。それと同時にヘリが飛んで来て一ノ倉沢辺りをグルグル旋回している様子だった。誰かが滑落したのだろうか。山でヘリといえば、荷揚げか遭難救助だと想像してしまうが、救急隊の方も命がけだ。いつの頃だったか、奥秩父のブドウ沢で救助用のヘリが墜落してしまい、多くの方の尊い命を奪ってしまった。その数日前には取材の為に入山した、記者の方二人も亡くなったことを記憶している。


<日が落ちるのは早い>


<芸術の秋に>
沢まで無事下山した。ぎりぎりで間に合った。暗くなるとやはり不安材料が増えてしまう。まだ後ろに4人のグループがいるはずだが、どうしたろうか。老夫婦の二人連れは沢で手を洗っている間に追い抜いて行ったが。それにしても、今回も水不足だった。辛うじて下山までは持ったが朝日岳まで足を延ばすには3リットルの水を準備しなければ駄目だ。肝に銘じておこう。谷川岳の冠雪した山容は眺められなかったが、青空の広がる良い天気に恵まれた。帰路は渋滞なき様、願うばかりだ。そして、今日も一日ありがとうと、感謝せずにはいられない休日だった。


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
朝日岳 (たそがれオヤジ)
2013-11-04 16:27:54
こんにちは。お疲れさまでした。
今回もまた充実のお歩きだったようですね。うらやましい限りです。
それにしても、いい色づきですね。あんぱんさんの写真の腕前が確かなだけになおさらですよ。私なんかが撮ったら、くすんだ紅葉になっちまいます。
普通、白毛門でおさらばなのですが、朝日岳まで行かれるとは、もう完治ですね。
返信する
たそがれさん、おはようございます。 (あんぱん)
2013-11-05 05:23:31
やっと秋の季節を実感することができました。運が良ければ霧氷が見れるかもしれないと思いましたが、今年は寒くなるのがちょっと遅いような気がしますね。今日あたりに木枯らし1号が吹くといっていますが、どうなんでしょうかね。
白毛門は駐車場が無料なのでここばっかりです。ロープウェイを使えばのんびりゆっくり谷川もいいのですが、谷川岳そのものが眺めたくて、変わり映えのない選択でした。
返信する

コメントを投稿