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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

春を背負って雁坂小屋(二日目)

2014年05月26日 | さんぽ


2014年5月25日(日) 曇り/晴れ

雁坂小屋→雁坂峠→雁坂小屋→地蔵岩→樺避難小屋→突出峠→雁道場→水の本→川又

夜中に目が覚めたが、まだ2時前だった。トイレを済ませ、もう一度寝る。しかし、一度起きてしまうとなかなか寝つくことができない。この時季、日の出は4時半頃だ。その時間に合わせ、雁坂峠まで登ってみることを予定しているが、天気は雲が薄く出ている様子で、月に霞が掛かっていた。空を見上げても星は見えない。これでは到底富士山を眺めることができるとは思えないが、計画通りしばらくしてテントを出た。既に出発準備を進めている方もいる。小屋番の方も目が覚めたらしく部屋が明るい。静かにテント場を後にした。


<薄暗い雁坂峠へ出て見れば>


<和名倉への稜線(残念、雲が多くて富士山は見えない)>


<水晶山へと続く縦走路>


<これでは戻るしかないが、朝ごはんを食べて帰ろう>


<雁坂峠を後にして>
時間的には日の出前に峠へ着いた。しかし、星どころか、月も雲に隠れていた。注目の富士山は残念だが、全く望むことができない。仕方なく、夜が明けるのを峠で待った。温かいコーヒーに朝食のパンをかじる。小屋から甲武信へ行く方が一人、反対の雁峠方向へ行く方が一人上がって来た。交わす言葉は少なく、朝の挨拶とお気を付けての別れの言葉だけだ。展望には気落ちするが、山で迎える夜明けは何故か清々しい。そのうちに元気な紳士淑女達が峠へ上がって来られた。小屋番をされる方一人と女性三人である。甲武信から西沢へ降りるという。その方達を見送りながら小屋へ戻った。


<雁坂小屋の煙突から朝の煙が>


<テント撤収して小屋を後にする>


<小屋の水場(お世話になりました)>
テントは2張が残されていた。他の方達は既に出発した様子だ。6時ともなれば山の陽は高い。夜露もなくテントはすんなり撤収できた。小屋番さんに挨拶をして川又めがけ秩父往還を下り始める。この日、水は小屋の前まで呼ばれていた。


<豆焼沢から水を呼ぶ>
小屋を後にして相当歩いた感じだ。山道脇には黒くて太いホースが延々と続いていた。水を呼んでくる…。水とパイプに入った空気と高低差を見ながら、バルブの開け閉めを行い、途中の空気を抜きながら、ご機嫌を伺いながら、1kmもの距離を来てもらうのだという。流れてくるというよりも、何度も呼んで、やっと、やっと小屋まで水が来てもらえる感があるようだ。水を得るための苦労を知らずして何気なく使っていた。そんな貴重な水源がここにある。


<雁坂小屋を見送り>


<奥秩父らしい静かな雰囲気で>


<バイカオウレン>


<山桜も終わり>


<和名倉と黒岩尾根(手前)>


<スミレ>


<こちらにもスミレが>


<地蔵岩へ立ち寄り休憩をする>


<雁坂嶺から破風山、木賊山>
地蔵岩から奥秩父の山肌を眺め、一休みをした。今朝のラジオで、日中は気温が上がり午後は雷に注意との内容だった。川又からのバスは14時38分発を考えている。充分余裕のある時間だ。展望が得られる場所はここだけだというので、ここはのんびり腰を下ろした。途中、昨日の孫四郎峠へ通じる分岐を気にしながら歩いて来たが、それらしい踏み跡は見つけられなかった。やはり完全に廃道になったもようだ。


<原生林に囲まれながら>


<コミヤマカタバミ>


<樺避難小屋>
小屋から巻き道が続いていたが、地蔵岩辺りからのびやかな尾根道へ変わった。秩父往還はその昔、甲州と秩父を結ぶ生活道路だった。その頃にもここには今でいう避難小屋的なものがあったという。その後も山仕事の方達に使われ、水場へ向かう途中には陶器などのかけらがあるとのこと。時間的にそろそろお腹が空いてきたので我慢せず、小屋の前のベンチで二度目の朝食を食べることにした。メニューは至って簡単でアルファ米だ。夜明けを迎えた雁坂峠でお湯を注ぎ、大事にしていたものである。中身は赤飯でごま塩が添付されていた。ちょっとお湯の量を間違えたのか、柔らかく水気が多い。それでもやはり山で食べる美味しさには変わらない。


<秩父往還>


<ここは突出峠というが、広くてただ平坦だけの感じだが>


<見事な巨木>


<ツツジ>


<雁道場>
「がんどうば」、毎年秋に雁の群れが南へ飛んでいく時に、山を越す前にひと休みした場所らしい。雁坂峠や雁峠など、この辺は渡り鳥のルートとなっているみたいだ。そういえば、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、雁ヶ腹摺山や笹子雁ヶ腹摺山も雁が渡るとき腹が摺れるほどの高さだと聞いたことがある。その山はこの雁道場から南の方角にある山だ。


<だいぶ下がって来た>


<ヤマツツジ>


<ニリンソウ>


<水の本(水の元)>
ここは水の元、一杯水とも言うらしい。昔、往還を行き来した人の為の避難小屋的建物があり、山仕事にも使われたとか。お地蔵様には武田家の隠し財宝の言い伝えがあるようで、武田家滅亡の折、金の延べ棒など甲州金をこの秩父往還に埋蔵し、目印として北向地蔵を建てたと言われているようだが、今となっては定かなことは分からない。そして、国道へ出た。ここまで来れば時期に川又だが、国道140号線を20分ほど歩かなければならない。計画では13時30分に下山としたが、まだ12時30分である。バスが来るまで2時間も待たなくてはならない。運よく、地元の方がいた。入川渓谷へハイキングに電車バスを乗り継いで来たという方だった。伺ってみれば、13時30分発の市営バスで大滝温泉行きに乗車し、その大滝温泉で乗り換えれば三峰口駅へ出られると教えてくれた。これなら丁度いいという事で、市営バスの発車時間までその方と会話した。年齢を伺ってみればビックリ、成人式を4回、それにおつりがくるという元気なおばあちゃんだった。そして、大滝温泉は道の駅で「これはここの名物だから食べなさい」って、大きな饅頭をご馳走になってしまった。饅頭の中身は、しゃくし菜、あんこ、それにもうひとつ、三種類楽しめるものだ。親切なおばあちゃんとの出会い、心温かく出迎えてくれた雁坂小屋の小屋番さん、今回は印象的な出会いが心に残る山旅であった。


4 コメント

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春を背負って (HIDEJI)
2014-05-29 22:16:07
あんぱんさん、こんばんは。
黒岩尾根からの周回コース、落ち着いた感じで良さそうな尾根ですね。
あの惨事もあって、近寄り難い雰囲気があり、一度は歩いてみたいと思いつつも、足が向かずじまいでしたが、歩いてみたくなりました。
「山は心の避難小屋」良い言葉ですね。「春を背負って」の梓小屋のような山小屋で、幽玄な奥秩父の深山に抱かれて、一晩過ごせれば、命の洗濯にもなるでしょうか。
テント泊憧れます(^_^)
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HIDEJIさん (あんぱん)
2014-05-30 05:21:10
おはようございます、HIDEJIさん。
出会いの丘から周回するのがいいと思います。雁道場から国道140号へ出られますので、機会を見計らって訪れてみてはいかがでしょうか。でも、今の時季、小さな虫が多いです。コバエでしょうが、歩いていても顔の周りにうるさいほどまとわりついてきました。秋の紅葉時期はお勧めですが、日が短くなるのを考慮する必要があるかもしれませんね。いずれにしても、あの縦走路の稜線は富士山を見ながら歩けますので、天気の良い日に足を運んで下さいませ。
ありがと~う。
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Unknown (風花爺さん)
2014-05-30 18:19:52
雁坂峠は明るく伸びやかで実に素晴らしい峠ですね。
映画「春を背負って」は確か6月14日に公開になりますが、楽しみにしています。
舞台が奥秩父でないのは残念な気がしますが、ハートウオームな原作がどのように映画化されるか、期待はしています。
ところで写真の綺麗さ(特に花のアップ)にいつも関心させられますが、カメラは何をお使いですか?
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風花爺さん (あんぱん)
2014-05-31 03:55:04
おはようございます、風花爺さん。
春を背負っては私も楽しみにしてるところです。確かに奥秩父でないのが残念ですが、山小屋の素朴な雰囲気に触れたくて、足を運んだ次第です。カメラはキャノンを使っています。写りではニコンがいいと思っていますが、-20℃の冬山でも気にするところなく使えました実績でキャノンを愛用しています。しかし、最近ではリコーのK-3もいいなぁ~と思い始めているところです。
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