2013年9月28日(土) 晴れ
浦山口駅→橋立橋→城山→高わらび尾根→小持山→岩峰→大持山→西尾根→浦山大日堂→西武秩父駅
今回は静かな山歩きが目的であり、体力と山の感覚を取り戻すことも含め、近場のバリエーションルートを歩く事にした。まだ骨折の後遺症があり、電車の中でケツをモジモジさせながら移動する。降車駅はおなじみの秩父鉄道の浦山口駅である。駅を降りて右に進むと左に湧水の水場がある。次のY字路を左斜めに進み、鍾乳洞方向へ歩けば、左の山の斜面に赤い鳥居が並ぶ稲荷神社が目につく。その神社の急な石段を上がって参拝が終わったら、そのまま右に真っ直ぐ進み浦山ダムに通じる車道を歩く。すると大きく右にカーブして橋立川に掛かる橋を渡り、S字カーブの左側に5~6段の階段が刻まれた側壁があるので、そこから尾根に取り付くことにした。低山で楽しむことができる季節になり、秋はまた格別な感じだ。長時間運転できれば山の選択肢も広がるのだろうが、近場の山でも楽しみ方はたくさんあると思う。人気のないこの尾根はどんな尾根なのだろうか。植林が多い尾根だと聞いているが、それでも眺めたことのない景色に出会うと快感を覚え、新鮮な気持ちになれる。
<尾根取り付き>
高わらび尾根の末端から取り付くことにした。駅から歩く場合はここが一番近い入口である。階段を上がれば赤いテープが入口を示しているので分かり易い。しかし、山仕事の道だと思うが、薄い踏み跡が四方八方に描かれていた。まずは、上の鞍部をめがけて登る。丁度、朝日が差し込んできたあたりだと思う。
<高わらび尾根>
小刻みにゆっくり足を運ぶ。橋立側は雑草が膝まで伸びているが、ダム側はまったく草が生えていない非常に歩き易い尾根だ。案の定やはり急登になってきた。ある程度上がるまでは急勾配が続いた。やや薄暗い尾根が静けさをかもし出している。時々後ろを振りくが、見えるのは木立に囲まれてしまった自分の存在だ。ここでは言葉もいらない。ただ風が葉っぱと会話している山の声が聞こえるだけだ。
<城山>
やっと城山に着いた。だだっ広い山頂に小さな山名表示。見つけるのもキョロキョロした。ここで休憩に入る。小腹を満たす為、今日は「みたらし団子」にした。毎回、山で食べるのもは考えさせられるが、定番のおにぎりとパンにプラスして持参した次第である。ザックの中で団子のたれが踊ってしまうのでないかと心配したが以外にも型崩れせず食べることができた。山歩きは安く楽しくを念頭に置いているので割引商品を好んでそろえている。このみたらし団子も半額だったことが持参するきっかけになった。それで、その団子の味といえばとても美味い。半額と思えば尚更おいしく感じた。貧乏性には節約が喜びとなる。
<岩稜>
高ワラビ尾根の岩稜は二か所あるという。たぶん、ここがその最初の一つだと思う。尾骨を骨折して以来、岩場は慎重過ぎるというくらい慎重にゆっくりと歩いている。骨折のあの日からはダブルストックは嫌っていたが、ここまでの急登では左手に枯れ枝をストック代わりにして、ダブルで登って来た。ここは用心に用心を重ね、手を使い通過する。
<西秩父の山々>
岩稜の頭に出ると見晴らしの良い場所が待っていた。秩父盆地が丸見えで、市街地が良く見える。右に派生している稜線は武甲山からののもだが、その山容からしてまだまだ先は長いようだ。奥には神流川流域の山も遠望され、空が既に秋の装いだ。ここまで樹間から浦山ダムの湖面を眺めて来たが、この岩頭から眺める景色は清々しい。
<秩父市街地>
<武甲山から派生した尾根>
<明るい尾根>
植林もなくなり、明るい雑木林に変わった。のんびりもしていられないが、木漏れ日の中を歩くことがとても心地良く、微かな風が更にそうさせれくれた。一人静かに何も考えず、ただひたすら歩く。単純だが、こんな居心地がバリエーションルートの魅力だと考える。
<伐採地から武甲山>
まだシラジクボの距離まで到達していないようだ。ここから眺める限り、長者屋敷の頭程度だと思う。この尾根の中間点位は歩いて来たのだろうか。地図を広げても皆目検討がつかない。標識という標識がまったくない。目印となる赤いテープも忘れたときに出てくる程度だ。武甲山の標高からすれば、まだまだ先が長く感じられる。変化に乏しい尾根だが、リハビリの山には丁度いいかもしれない。
<秋>
尾瀬の草紅葉も見頃を向えたという。奥多摩、奥武蔵もそろそろ秋本番となるだろう。そう思えば周囲の木々も薄く色変わりしてきたように思える。空も清んできて、山肌はやがて赤や黄色が目立つようになるのであろう。
<急登>
たぶん、ここが二つ目の急登の場所だろう。高わらび尾根最大の難関だが、直登気味に根っ子に頼って上がればそう難しくもない。距離は他の場所と比べれば幾分長いが、登り易いルートを目で追うことで難なくクリアーできる。ただ注意する点は両手を使って登ることだと思う。下りは要注意だ。
<タワ尾根分岐>
ここまで来れば一安心だ。武士平への分岐に到達した。先を急ごう。予定では12時から12時半ごろにいつもの岩頭でお昼ご飯にしたいところだ。そこから大持山の西尾根を下り、16時発のぬくもり号に乗車しなければならない。目算では4時間で小持山とふんでいる。
<有間山>
ここは雪が降った翌日に武士平へ降りたが、この見晴し場所は記憶になかった。突然、南側がポッカリ開けたこの場所から眺められる秩父の山並み、自然と気持ちも広々とした気分になる。
<矢岳>
<一般道と合流>
やっと一般道と合流した。目的の場所は近いが、時間が迫っている。遅くても13時には下りたい。時間を気にしながら歩くはめになってしまった。高わらび尾根でのんびり遊びながら登って来たつけが出てしまった格好だ。そうは言っても先を急ぎ、場合によってはお昼ご飯をおにぎり一つで行動する覚悟でいた。
<武甲山と二子山と丸山>
こういう時に限って、小持山と大持山の間が長く感じられるものだ。ここは焦らず注意して通過だ。もしかして、ここが一番の難関かもしれない。小刻みに急峻な岩稜が現れる。
<高わらび尾根>
目的地にやっと着いた。時間は13時を回っている。急いでカップ麺にお湯を注いだ。この景色を眺めながらお昼ご飯にすることが目的だったのでホットした。しかし、ここでゆっくり景色に見入っている時間はない。早くおにぎりを二つ食べて下山しよう。
<大ドッケ、大平山、矢岳、熊倉山>
<武川岳、伊豆ヶ岳>
<両神山(右奥)>
<長沢背稜の青空>
<大持山西尾根入口>
慌てて食べたが、せっかくなのでコーヒーも頂くことにした。14時前に下り始めればバスの時間には十分間に合う予想だ。そう言い聞かせ、忙しさの中であれこれを欲張った。展望のきく岩頭からは大持山の山頂は近い。そこから尾根を下るだけなので2時間もあればいいだろうと考えた。
<西尾根>
大持山の山頂で靴ひもを締め直し、熊除けの鈴を再びザックにつけた。何もなければ16時前には下山できると駆け降りた。途中、中ほどに尾根が広くなっているので、そこを注意すればほぼ一直線に下ればいい尾根である。しかし、小さな枝尾根が派生している場所では進む方角を慎重に確認したいところだ。ここの西尾根は直接、浦山大日堂のバス停へ降下できるのでエスケープルートとして使いたい尾根だろう。
<山仕事小屋>
この尾根の下には送電線の鉄塔が建っているので、巡視路が整備されている。今日は下刈りもされていた。更に下れば広い山仕事の道を利用して下ることもできる。ここの小屋に着いてやっと安心する。バスの発車までにはたっぷり時間があるのでぶらぶら下山した。
<川俣集落>
ついに西尾根の出口に出た。まだバスの発車時間まで約40分もある。バス停で身支度を済ませ、待つことにしよう。のんびりしていると待望のぬくもり号がやって来た。運転手と四方山話をしながら発車時間を待っていると、若い男女のハイカーがやって来た。川乗橋でバスを降り、鳥屋戸尾根を登り、仙元尾根を降りて来たという。発車時間ぎりぎりで間に合った訳である。長かったと疲れた表情をして乗車した。西武秩父駅までの料金は300円、前金制で料金箱へ入れる仕組みだ。この浦山区間は途中乗車も可能なので手を上げて合図すればいいらしい。マスの養殖場で魚のハラワタをさばいてそのままにしていたら、熊がそれを食べに来たという話しを運転手の方がしてくれた。この辺りでは熊が頻繁に出てくるのだという。いろいろな話を聞きながら西武秩父駅に着いてしまった。例によって冷えたコーラを飲みながら帰路につく。考えていた尾根をこの青空のもと、無事歩けた。尾根では誰にも会わない静かな山歩きを堪能した一日であった。
大持山西尾根はそのうち歩いてみたいな~と考えておりましたので、参考になりました。
タワ尾根の延長線上にある大塚山、雄山なども気になっております。熊も気になりますが。。
それに小持山から大持山へ続く岩稜は個人的に好きなコースでもあり、これから良いシーズンに迎えますね。
それにしても「ぬくもり号」って、名前がいいですね。
思わず乗ってみたくなります。(^_^;)