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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

雨乞岩目指すも大持山西尾根16号鉄塔で諦め、大日堂のおばあちゃんとお茶飲み

2014年02月09日 | さんぽ


2014年2月9日(日) 晴れ

川俣→大日堂→大持山西尾根16号鉄塔→川俣→お茶飲み

昨日からの雪は東京の都心で昭和44年以来、45年ぶりに27センチに達したという。交通機関にもその影響が現れ、新幹線をはじめ首都圏のJR私鉄は運転見合わせ、一部運休など、ダイヤが大幅に乱れた。土曜の朝は薄っすらと雪化粧程度だったが、日中に降り続いた雪は見る見るうちに真白くなり、雪掃きをする始末になってしまった。走る車もしだいに少なくなり、夕方には深々と降り続ける雪の勢いに、翌日の積雪を案じた。先週は通夜に告別式と多忙な週末であったが、今週末は雪に見舞われ、運動不足気味に過ごしている。そこで、明日の日曜日はどうしても山へ行きたい、山歩きがしたい、雪景色が見たい。そんな事を考えていた。


<川俣>
そして、いよいよ日曜日の朝を迎えた。布団から起きるなり真っ先に窓を開け、昨晩降り続いた雪の積もり具合を確認した。すると駐車場の屋根から優に20cmは越えている様子だった。まだ外は暗く、頭の中は「どこの山へ行こうか」、「足は電車か車か」、「電車なら安心だが」、「車となるとスリップ事故に注意しなければならない」、そんな言葉が次々に浮かんでは消えていった。テレビで鉄道の運行状況を確認し場所を考え続けた。直ぐに出たいが、出掛ける前に家の周りの雪掃きをしなければならない。その雪掃きが終わるまでに場所と移動方法を決める必要がある。そして、用事が終わってみれば時間は既に7時を回っていた。悩みに悩んだが車で出掛けることにして家を出た。まずは食糧の調達でコンビニへ立寄る。お目当てのおにぎりは品薄だがしょうがない。おかかと日高昆布を購入する。そしてまだ迷っていた。奥多摩にするか、秩父にするか。イメージは幹線道路沿いの駐車場から登ることの出来る山を考えていた。何故なら道路にも雪が大量に積もっていて、走行することに不安があったからだ。浮かんだのが奥多摩は鷹ノ巣駅前の町営駐車場、秩父は芦ヶ久保の道の駅を考えていた。そして、最終的には行きつけの299号線に乗って正丸峠越えをする判断をした。道路を走行している車は極々少なく、走る先々でトラックや乗用車が雪で立ち往生していた。道路にはタイヤチェーンや破損した車の破片が所々に落ちている。スピードも前方を走る車でノロノロだ。その上、ワゴン車が横になって道路をふさいでいる。走るにはワダチが出来てハンドルを取られながらである。そんなかんなで、やっと芦ヶ久保の道の駅へ到達したが、横瀬二子山か丸山の選択肢であることに不満が残り素通りをしてしまう。心の中では展望の良い武甲山のてっぺんから雪景色を見たい、そう思っていた。そうであれば次に向かうは浦山鍾乳洞にした。昨日の積雪では生川の登山口までは到底入れない。浦山から武甲山を登ろう。そう考えた。ところが浦山の林道は除雪されていたが、鍾乳洞の広い駐車場はまったく除雪されていない。民家のある場所までは車で入ったが、駐車出来る場所がない。仕方なく、武甲山は諦め、大持山の雨乞岩を目指すことを考えた。途中、山の斜面から雪が落ちたということで除雪中ではあったが、浦山大日堂までは問題なく車を入れることができた。やれやれである、時間は既に11時近い。身支度を済ませ、尾根に取り付くが、その前に大日堂へ立ち寄ってみる。ここで積雪量を把握したい為だ。その状況によってはコースを冠岩から回り込み、下山は西尾根をと考えた。しかし、お堂へ渡る赤い橋の上で既に膝上から腿ぐらいの積雪があった。これでは回り込むのは無理だ。直接、西尾根から雨乞岩を目指し登ることにした。


<大日堂>
浦山大日堂のバス停横は綺麗に除雪され、難なく駐車出来たが歩き始めると「あらあら」と近くで雪掃きをしていたおばあちゃんに発見されてしまった。「どこへ行くかね」から会話が弾み、「では、帰りに待っているからね」と念を押されてしまう。ここのおばあちゃんは去年、大ドッケの福寿草を見に来た時に「お茶でも飲んで行きな」と呼び止められ、ご馳走になったおばあちゃんだ。時間も無く、話し込むと長くなってしまうので、「下山後に立ち寄るからね」と、その場はうまく切り抜けた。





<西尾根へ取り付く>
こんな大雪の時に…、と思ったのだろうか。集落の方達が雪掃きをしていたが、「どこから来たかね」と声を掛けられた。「これから大持山へ行く予定です」と答えれば「あ、無理だね。この雪では行けない、道も分からない。」と忠告を受けた。行けるところまで行って、戻ることを告げたが、民家の軒先を数m進んで立ち止まってしまった。どこを登ればいいのやら、雪でまったく取り付き口が分からない。しかし、しばらくそこで立ち止まり、記憶を思い起こしてみれば、目の前の急斜面を民家スレスレに進んだことを思い出す。足を雪の中へ差し込んで、階段らしきものが想像できた。



<作業小屋>
これだけ積もってしまうと山道はまったく想像できない。しかし、それらしき凹んだ雪の道筋を目で追って進んだ。ピンクのリボンが出てくるが、それはまったくあてにならない。林業用の目印だからだ。途中、送電線の鉄塔を示す杭が建てられている。これが唯一の道標だ。尾根に乗ってしまえば問題ないが、その尾根までは難儀のしどおしであった。上からは雨の様に滴がパラパラ落ちてきて、雪は相変わらず膝上、吹き溜まりや雪崩れた場所では腿から股下の雪に阻まれぱなしである。そろそろ腹ごしらえをと考えてもうまい場所が見つからず、作業小屋の中で食べることにした。しかし、ここも風当たりが良く、とてもゆっくり休憩できる場所ではない。結局、日当たりの良い平らな南面を探してお昼にすることを考える。


<滝入ノ頭>
送電線の16号鉄塔下へ出た。ここは吹きっつぁらしなのでそれほどでもないかと思えば相変らず雪深い。ここから先は自然林に囲まれた尾根が続くが、思案した。この場所でおにぎりを食べようとしたが、風が冷たくてここも無理だ。この先の日当たりの良い場所を見繕って食べることにする。




<大ドッケ>


<三ツドッケ>


<大平山>


<有間山周辺>
尾根から緩い南斜面を下りて場所探しである。下り過ぎちゃうと登り返しが辛い。風が無く、日差しが射しこめる暖かくて平な場所。そんな贅沢な場所は当然ない。急斜面に雪を踏み固め、一人分の休憩場所を整地する。手袋は汗と雪でビショビショ。ザックも帽子も濡れていた。素手ではやはり冷たい中、おにぎりと貰い物のどら焼きを二つ食べまくった。とうに昼時は過ぎていたので腹ペコだった。三ツドッケ辺りは雪煙が舞っている。相当風が強いようだ。このまま進んでも途中で時間切れになってしまう公算が強い。それにこの積雪では濡れるばかりだ。そう考えるとここで諦めて帰るのが一番だと結論付けた。いとも簡単に諦めてサッサと下山である。そうと決まれば下りはあっという間だ。来た道を戻ればいいだけである。





<民家の軒下をくぐって下山>
何とも短時間で諦めてしまって下山したもんだ。雨乞岩でのんびりと雪化粧した山並みを眺めながら熱々のラーメンを食べることを楽しみにしていたが、それは無理だった。車を走らせることが危険極まりない大雪だっただけに残念だったが、この歳では無理が効かないことも承知していた。もう直ぐ3月、三月ともなれば早春の花が咲きだす季節だ。ここ川俣では大ドッケの福寿草が咲き出すが、天目山林道入り口へ誘われながらブラブラと散策した。





<大日堂のおばあちゃんとお茶飲み>
集落の方達は家の中へ戻って誰もいないが、あの話し好きなおばあちゃんはせっせと一人で玄関前の雪掃きをしていた。車へ戻る為にはその家の前を通らない訳にはいかず、「まだ雪掃きをしているの、お疲れ様」と声を掛けた。すると「お帰り、休憩しましょう、お茶でも飲みましょうよ。」と家の中へ案内される。道路は除雪されたが、玄関先が埋もれてしまい、出るに出られない様子だった。運動不足解消の為。簡単に家の前の雪を取り除くことにした。その間、おばあちゃんは家の中でお茶の支度をしてくれて、一段落したところで二人してお茶飲み会となってしまった。去年の春のことだったが、見ず知らずの私にご馳走してくれたことが嬉しくて、またそれに甘えてしまった次第だ。コンニャクの味噌田楽、甘い黒豆の煮つけ物、それに煎餅と厚焼き玉子。遠慮なく食べてしまった。食べている最中はおばあちゃんの話しに相槌をしながら聞き入る。孫の話しから始まって若かった独身の頃の思い出話し、それに今の暮らしぶりなど等。その内容は延々と続きそうだった。


<ごちそうさまでした>
寒いだろうからと薪ストーブに太い角材を入れて暖を取らせてくれた。話を聞きながらそのストーブの前の椅子に腰かけ、ご馳走になっていれば、濡れたパンツも乾きはじめた。心地よい暖かさと、美味しい手料理を頂き、すっかりお世話になってしまった。「また、福寿草が咲く頃に来るからね」と頭を下げた。そして帰り際にまた、「道中、温かいこれでも飲みながら行きな」と温かいお茶の缶まで頂いてしまった。そんなおばあちゃんに手を振って浦山大日堂を後にする。再び正丸峠から帰る予定でいたが、芦ヶ久保の道の駅から先は交通事故で通行止めだという。仕方なく140号へ戻って254号線を経由して無事帰宅した。


2 コメント

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大日堂 (たそがれオヤジ)
2014-02-11 09:00:00
こんにちは。
あんぱんさんも好きですね、といったところでしょうか。
こうなったら根性ものですよ。うの雪の中、山を歩くことそのものを想定いたしませんでした。
考えてみれば、大日堂まではバスも通っていますから、車でも行けるわけですよね。
足跡もない雪、そしてハイカーの姿も見えない。さぞ、気持ちもよかったでしょう。風さえ除けばの話ですが。
それにしても、絵になるようないいエピローグですねぇ。あんぱんさんも顔つなぎがあったから、引くに引けない状況だったかと拝察いたしますが。
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たそがれさん (あんぱん)
2014-02-12 20:17:20
こんばんは、たそがれさん。
恐れ入ります。お馴染みの山が雪景色になるなんて、少年のような気分でした。いてもたってもいられず、出掛けてしまった訳です。しかし、後で思いました。やはり道路は普通じゃないと…。話は変わりますが、山歩きもお酒も達者なたそがれさんは金メダルですね。
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