劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇とプライベートの徒然

週刊月曜日 第24号

2022-11-07 13:46:26 | 2020-2022 日記
劇団夢桟敷「週刊月曜日」
〈第24号 2022.11.7発行〉
https://yumesajiki.jimdofree.com/
※バックナンバーを見れます。

11月23日の井上弘久独演「椿の海の記」熊本公演協力が気忙しくなる。
井上弘久さんより同志と呼ばれる。どーし!どーどー。
石牟礼道子の語りを熊本・水俣で演ることの意味は大きい。

演劇は生々しい「ナマの世界」である。一度きりで現れては消える。消えるが心の中で姿を変えながら生き延びることがある。出会いがあり感動…!
文学は読み返すことができる。演劇は?記憶の中で時間と共に育まれる。
熊本の特徴〈肥後時間〉はスロークイック。ゆっくり慌てる。世の流れはスピードアップしてきた。時間よ止まれ。
待て、待て。止まって右見て左見て!もう一度左右見てススメ。場合によっては後戻り。

昨年までのTERAYAMA PROJECT「あたしはあなたの病気です」創作上映と寺山偏陸氏トーク終了から第2弾として「訪問劇・市街劇」の準備に入ったのだがワークショップで昨年から取り組むも開催維持困難が続いていた。
足踏み状態はコロナ禍ばかりが原因ではなく、今年に入ってから山南の検査入院、初期の食道癌手術・糖尿病治療と「あたしの病気」と重なった。「あたしの名前は病気です」になり日常との壁男となる。
座長は熊本市と山都町(矢部)の二重生活に追われるようになり50kmピストン女となった。
そして、親亀の背中に子亀を乗せて、子亀の背中に孫亀乗せて♪親亀転けたら皆転けた♪にならぬように!
病気と交通事故に気をつけながら、
親亀は爺婆亀になって尚盛ん!と子亀孫亀から煙たがれるか勇気を与えられるか?…さぁ、どっち?

TRRAYAMAを引きずるプロジェクトはMNAMATAに向かった。…相変わらず良い意味でunder groundである。
良い意味で?…避難場所としての解放区。



◎11月5日(土)のロケハン水俣での気づき。
座長夢現は石牟礼道子の本を読み耽り、自作台本から芝居仕立ての「苦海浄土」ひとり芝居に向かっている。
もしや「海に帰る」悟りの境地に達したのではないだろうか?
文学少女だった面影が変容したように見える。年齢だけの問題ではなく女優としての新たな境地が見え隠れしてきた。
彼女は前から念願の〈ひとり芝居〉である。
MINAMATAのお婆さんになれるか?
変幻自在に時を彷徨うことが生身の役者にとっては魅力であり困難さもある。
デビューから老婆にはまってサァ大変だった。
女優という商品からは程遠いライフワークを一貫として歩み続けて来た。
自分のスタイルを苦海で生み浄土で確立する良い機会となるだろう。井上弘久独演が大いなる参考になれば良し。
劇団夢桟敷公演の次回は来年2023年春を目標にしている。
会場と期日は今月11月中に発表としているが、一部の映像「不知火」が二部「苦海浄土」芝居と上手く噛み合うかどうか?…その一歩として水俣へロケハンとなる。
撮影場所を探す。風景との出会いを求めた。
熊本歩きシリーズは風景ハンターの様相となった。風景の中に生命と時間の流れがある。それを感じる力は年老いても残っているから味に代わる。どんな味かを楽しもう。甘いか苦いか?
今回はアポなしで臨んだ。ハプニング訪問劇とはならなかったが、何ヵ所もの撮影場所の目処は立った。
海を巡る途中、山南は座長夢現を見失って慌てた。
もしや海に帰ってしまったのではないだろうか?と。
妄想が膨らむ。半分片足が不知火の灯りに引きずり込まれそうになったが、何食わぬ平然とした顔つきで座長は現れた。
2回目に行く時は11月26日一泊二日の独演「椿の海の記」水俣公演になる。夜の不知火を見ることができる。
多くの出会いもあるだろう。
先日のロケハン水俣11月5日は土曜日ということもあり、go to MINAMATA (自分で叫ぶ)で県外ナンバーが目立った。観光の街に見えた。福岡、鹿児島はもとより大阪弁の関西ナンバーもあった。水俣は観光地か〜。
海が垢抜けて見えたから癒される。
私たちは、
水俣病資料館・エコパークから海→
おれんじ館・月浦ふれあい公園から海→
とんとん峠から海→
湯の児温泉・湯の児海水浴場から海、
観月橋・湯の児公園・一の島、ニの島から海。
海、海…海を求めて歩いた。
圧倒的な自然!不知火を見て回った。
天候に恵まれた不知火の海は光っていた。…何処で踊れるか?まだ見ぬ景色とオドリを想像しながら水俣の「M」を形取った「飛龍」と慰霊地蔵が浮かんだ。
踊れるか?語れるか?不知火と溶け合えるか?
とんとん峠から夕陽の不知火海を見て水俣に住み着いてしまった人がいると聞いた。

水俣病資料館で見た

「永遠の記憶Eternal Memories
水俣病で多くの生命が失われました。そして、壊された当時の自然も取り戻すことはできません。
そこに生きていた人々、暮らし、思い出したい大切なものたち。それらえお『永遠の記憶』として、思いを巡らせるところです。
ありし日の人々、自然、風景と語り合ってみませんか。」

「百間の排水口からですな、
 原色の黒や、赤や、青色の、
 何か油のごたる塊(かたま)りが、
 座ぶとんくらいの大きさになって、
 流れてくる。
 そして、はだか瀬の方さね、
 流れてゆく。
 あんたもうクシャミのでて。」
(1969年に刊行された石牟礼道子「苦海浄土 わが水俣病」より)

私たちは海を眺めて目を凝らし、耳を傾けた。
歩きながら見えるもの、聞こえるもの…。立ち止まり見る、聞く。
一部門の映像製作は不可視の不知火、無言の不知火へ向かい、そして届けよう。
ロケハンは続く。同時進行で芝居の稽古と映像で撮るダンスや語り、演劇台本や映画シナリオに取り組む。
完成までには途方もない時間が必要だと思われるが、未完であってもそのプロセスを表して行こう。(山南)

【告知】
九州巡回熊本公演
井上弘久独演「椿の海の記」
原作◎石牟礼道子
時 11月23日(水)祝日
開場16:30 開演17:00
会場 熊本市国際交流会館5F広間
入場料2000円
予約お申込先 ・劇団夢桟敷
090-4581-5190
まだ席に余裕があります。近づくと慌てて予約殺到の可能性があります。
お早めにお願いします。

【編集後記】
映像出演者、撮影・舞台スタッフを募集しています。
尚、劇団夢桟敷は次世代に繋げる活動へ旋回します。
演劇に限らず、美術・音楽・映像に関心のある方はお問合せください。
090-4681-5190劇団夢桟敷まで。

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