劇団夢桟敷 ☆2018.6〜山南ノート5

熊本アングラ万華鏡〜演劇とプライベートの徒然

週刊月曜日 第19号

2022-09-26 11:28:41 | 2020-2022 日記

劇団夢桟敷「週刊月曜日」
〈第19号 2022.09.26発行〉
https://yumesajiki.jimdofree.com/

公演協力告知【水俣篇①】

独演「椿の海の記」
原作 石牟礼道子
出演 構成演出
   井上弘久 
音楽 吉田水子(生演奏)

時 11月23日(水)祝日
  開場16:30  開演17:00
入場料2000円
予約 劇団夢桟敷
  090-4581-5190
  yumesajiki @ybb.ne.jp

◎井上弘久さんよりアピール
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石牟礼道子の『椿の海の記』―井上弘久
90年前の水俣、まだ有機水銀に汚される前の豊かで美しい海と山。
その自然に包まれて育つ4歳の石牟礼道子=みっちん。
私は驚きながら読み進む。
自然と人間と生き物たちと神々が、共に生きて暮らしていた世界が、
貧しくとも人情が通い合うこんなにも豊かな世界が、
ついこの間まで、この日本にあったのだと!
そして決意する。
残りの役者人生をかけて、『椿の海の記』を演じつづけようと。
もはや現実には消滅したかのような「もうひとつのこの世を、」
自分と皆さんの心に蘇らせるために・・・

【失わせてはならぬモノ】メディアの皆さまへ
石牟礼道子さんが亡くなられた2018年の4月から独演『椿の海の記』はスタートしました。全十一章の一章ごとを舞台化していく試みで、最終章まで何年かかるのか、果たして観客はついてきてくれるのか等、不安まじりの旅立ちでしたが、第三章あたりから観客数も伸びはじめ、コロナ禍も必死に乗り越えて、2021年6月に最終第十一章を上演することができました。
その間、舞台を映像で、あるいは直接ご覧になった方々からお招きを受けまして、北九州・調布・相模原・大和・柏で上演。二度三度お招きくださる所もあって、その都度好評を博することで、じつに多くの方々が石牟礼道子が描く昭和初年代のこの作品世界を求めておられることを実感しまして、「全国行脚公演をやってみよう!」と思い立つに至りました。
そして昨2021年秋より、「独演 椿の海の記 全国行脚公演」を開始。まずは、鴨川・東中野など首都圏の七か所で上演。そして今秋、いよいよ念願でもありました作品の舞台・水俣を含みます九州公演(北九州~耶馬渓~熊本~水俣)を行うこととなりました。
この九州公演は上演しますそれぞれの土地に協力してくださる方々いて、公演を支えてくださっています。4度目となる北九州市では複数の方々が、耶馬渓ではTさんが、熊本では劇団夢桟敷が、水俣ではもう一人のTさんが支えてくださっていまして、それは首都圏での行脚公演でも同様でした。
何故、各地の方々がかくも快く迎えて支えてくださるのか?それは石牟礼道子の作品世界がどれほど貴重なものであるのかを、皆さんがよーく知っておられるからなのだと、私は思っております。だからこそ、世間的にはほとんど無名といえる一舞台役者の公演がこれほど多くの土地で実現出来るのだと!
『椿の海の記』は90年前の、昭和初年代の水俣の物語です。南九州の一地域の話しであるにもかかわらず、どの土地の方々も、ご自分たちの父や母や祖父母たちがそこに登場してもおかしくないほどに身近な物語に思われる。身体の奥に眠っている記憶の核のようなものが、石牟礼道子の言葉によって揺さぶられる。それは生まれも育ちも東京人の私が、最初の二ページを読んだだけで、大正3年生まれの父の面影がページの間に浮かんできて、作品の世界に引きずり込まれたことからも分かります。父や母が心の中に持ち続けていた精神世界が、言霊となって甦ってくる。それは静かな衝撃でした。その貴重な世界は、しかし高度経済成長を遂げようとする社会の中で破壊され無視され続けて、他者をも顧みない自己中心的で、自然を破壊しつづける人間中心の世界が出来あがってしまったのではないのか!そして私自身も「古い」とか「迷信」だとか言いながら、じつは貴重だったあの精神世界を破壊する手助けをしてきたのではないだろうかと気づかされたのでした!
独演『椿の海の記』は私の生き直しの舞台です。
そして、この石牟礼道子の作品世界こそは失われてはならないと、失わせてはならないとの思いの結実が、今回の九州公演でございます。
各メディアの皆さまには、このささやかな試みを、どうか世間のより多くの方々にお伝えくださいますよう、心よりお願い申し上げます。


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