「昭和9年頃、さくら音頭が大大大流行したっぽい!」86へえ!
「朝日新聞縮刷版 昭和9年3月ほか」より
********************************
・・・とにかく昭和9年3月の広告を見ると、あっちにもこっちにも「さくら音頭」なんですよ。松竹少女歌劇の「東京踊り」の主題歌が「さくら音頭」・・・なんですけども、どうも「さくら音頭」はコレだけじゃないらしい。
日活オールトーキー「ニッポンさくら音頭」の主題歌がポリドールから出ていて、その広告が3月3日に載ってますねー。日活映画で「さくら音頭」があったんだね。
同じく3月3日、東京劇場の広告は新派大合同をうたう「宵節句さくら音頭」(この主題歌はコロンビアから出ているらしい)。
3月5日になりますと、3/24~3/29の東京劇場の前売開始広告、松竹少女歌劇の「東京踊り」(主題歌:さくら音頭 コロンビアレコード)。
3月7日の東京宝塚劇場の上演予定広告は「東宝ヴァラエティー さくら音頭」です。「巷にあふれるビクターの「さくら音頭」を皆様御存知でせう。これは「さくら音頭」のスペクタクル化です」と書いてありますんで、ビクターレコードから出た「さくら音頭」が流行だったんかな?(ビクターのさくら音頭が最初の流行なのかなぁ?)
3月14日、小さな松竹座の囲み広告によれば、京橋新富座とゆー劇場では「新編成松竹 さくら音頭舞踊団」松組二十名出演。新宿松竹座では「新編成 松竹さくら音頭舞踊団」竹組二十名出演だって。・・・松組と竹組??これは松竹少女歌劇??組分けがあったんですかね。(単なる松竹お抱えの舞踊団?少女歌劇じゃないの?)
3月20日、ビクターレコードの広告には「新小唄 さくら音頭」の文字が。その真下に、ライバル社のコロムビアレコードが広告を出していて、こっちには
松竹少女歌劇「東京踊り」レヴュー歌
松竹「春のおどり」レヴュー歌
松竹蒲田オール・トーキー化
の三つの肩書きつきで、4月新譜として「さくら音頭」が宣伝されとります。うぬぅー!松竹少女歌劇「東京踊り」と、松竹「春のおどり」、どう違うんだー?同じ主題歌を、松竹内のいろんな興行で使って売り出したということなのかっ!?
3月21日、浅草松竹座に「東京踊り」上演予告です。東京劇場のあと、浅草松竹座に移って続演ってことかな。ひとつの土地の違う劇場で同じ演目やるっていうのが、なんか不思議ですなぁ。(いまの感覚だと)
3月22日、リーガルレコードっちゅーところから、流行歌の肩書きつきで「さくら音頭」の広告。・・・これはなんか、便乗商売っぽいな(笑)
3月23日、lコロムビアレコードが、さくら音頭のキャンペーン広告をデカデカと出してきましたよ。
山口貯水池完成祝賀 松竹のさくら音頭踊り大会
最近完成された東洋一の『山口貯水池』へ武蔵野電車「さくら音頭列車」臨発!
二千五百名御招待
だって。そういえば、NewOSKの秋のおどりのPRに、貸切電車が走ったんだっけ。列車で宣伝!は松竹系伝統のワザなんだねえ。
ほかに、複数の「公園」でさくら音頭のイベントみたいなのやってたらしい。よっぽど流行ったのか、よっぽど力いれて売ったのか。
どっちにしろ、松竹少女歌劇のレヴュー歌「さくら音頭」は、かなり知名度を得たみたいですよ。
3月29日の、これは記事なんだけど、外国のえらい人(ナントカ特使・・・固有名詞の漢字が、つぶれてて読み取れないっ)の接待に、宮内庁雅楽部員とともに、松竹少女歌劇が呼ばれて、さくら音頭を披露したそうな。
3月31日の東京宝塚劇場には、宝塚少女歌劇「春のをどり宝塚音頭」の文字。(こちらの発売元はポリドール) ・・・「松竹がさくら音頭なら、阪急は宝塚音頭だっ!」とゆー宝塚歌劇団の制作部の声が聞こえてくるような・・・気のせい?(笑)
さて、すこし時は戻って3/21の記事に、おもしろいのがあります。
「さくら音頭」に浮かれ娘
今流行の「さくら音頭」を恨んで娘を留置して下さいと二十日朝九時頃日暮里署にその娘を連れて頼み込んで来た母親があるーー(中略)ーー母親の語るところによると、きくは昨年夏には流行した「東京音頭」に凝ってあちらこちらと踊り歩き遂には各所の競演会にも出演するほどの腕達者となり、その頃から不良性がはげしくなり不良少年と遊び歩き出し去る二月二十六日にはとうとう家出してしまった。
やっと母親が去る十五日千住遊郭内の某喫茶店の女給をしているのを見つけて連れ帰ったがまたまた「さくら音頭」に熱中して家財を入質したりして、遊び歩き手がつけられぬので……といふのである、同署では娘を説諭の上帰宅させた。
この娘さんは19歳だそうです。あははは(笑)これ、面白いよね!説諭!(笑)
それにしても踊り歩きって、ドコで踊るんですかねえ。先に出た「さくら音頭大会」みたいなヤツですか??3月だから盆踊りってこたぁ、ないだろうし。
え、ええええーーーーーっ!す、すごい・・・!
いつもながら、行動力に敬服します!
家出娘が出るほどのヒット曲、よほど魅力的な音楽なんでしょう(笑)
>テープおわけしますので(いつだよっ)
わーっ!きゃーっ!
ありがとうございます!
機会があったらゼヒよろしくおねがいします(お辞儀)
あ、じゃあ、レコード先行・・・なんですかね??先に売り出しておいて、ショーの話題にしたとか??それとも、売れていた曲を使ってショーにしたのかなー。
>宝塚でも「さくら音頭」をやってたらしいんですよ。
そうでしたか。もう、どこもかしこも「さくら音頭」なんですね!それは、よほど流行ったんでしょうねえー。それだけ流行ったら、歌謡界の伝説として残っていてもよさそうなものですが・・・あまりにも一過性の流行だったということなんでしょうか(笑)
>さすが昭和初期、と思うのは、和歌の寄稿があること。
高声低声、ありますあります。毎号、熟読してます。
和歌!(笑)すごーーーい!!
個人的なことですが、わたし、中学ん時に学校の正課クラブみたいなので短歌を習ってて、わりと好きだったんですよー。惜しいことをしました。もう数十年早くうまれていたら、ターキー様のために腕を振るった(かもしれない)のに(笑)
まだかけてませんが。
よっぽど流行したのか、松竹系の「さくら音頭」のレコードは、ちょくちょく古書サイトやオークションで見ます。
テープおわけしますので(いつだよっ)見かけても買わないように。(いや買ってもかまいませんが、別に)
「東京踊り号」だそうです。
1ページ目に東京踊り主題歌のコロムビア「さくら音頭」の広告です。
巻頭グラビアは踊る渋谷正代(可憐な娘役ということです)と「さくら音頭」の歌詞。
既に、「さくら音頭」はとても流行っているらしく、出演者もファンもみんな東京おどりの「さくら音頭」に力が入っているみたい。
東宝との「さくら音頭」対決、という一節もあります。宝塚でも「さくら音頭」をやってたらしいんですよ。
大阪楽劇部(後のOSKですね)の「春のをどり」の広告にもサブタイトルに「さくら音頭」が入っています。
ファンのページ(『歌劇』の高声低声って、今でもあるのかしら、それみたいな感じ)を見ると、今のファンと同じような人っていたんだなあ、と思います。
ただ、さすが昭和初期、と思うのは、和歌の寄稿があること。
一例をあげます。
オリエ津阪さんに捧げたものですが、他の人でもあてはまるでしょう。
君知りて憂ひもつ子となりにけり
きみにかよはぬおもひいだきて
な、なるほど・・・。深い!そして難しいですね・・・!教えてくださってありがとうございます。(これからもいろいろ教えてくださいませ☆)
>『夢のレビュー史』
じつは「少女歌劇の光芒」といっしょに、ダメもとで(←もう絶版かもと思ってました)本屋で注文してみたら、十日かかって昨日届いたんです、「夢のレビュー史」。まだざーっと目を通しただけですけど、年表になっているのはわかりやすいですね!秋月さんと東雲さんの対談とか、面白いです。(OSKのスターさんのインタビューや対談って、ほとんど読んだことがなかったもので)
>同じ26日に宝塚にも行っておりまして
おおおー!そうだったんですか。トイレかロビーですれ違っていたかもしれませんね☆
あれはなかなか・・・ヅカファンのあいだでも賛否両論というか・・・語りにくい作品ですよねえ~。
>本来の宝塚ネタも熟読して
うーーん、わたしはわりと何事も少数派なので、参考になりますかどうか・・・。何より長いのを読んでいただいて本当にありがとうございます!
>>「東京踊り」がSSK、「春のおどり」がOSSK版ではないかと推測します
> ああー、なるほど・・・。広告が【松竹「春のおどり」】って表記なのは、東京の新聞だから、(東京の読者には)OSSKを出すとまぎらわしいという配慮?だったんでしょうかねえ~?
『夢のレビュー史』という本の巻末にある年表によれば、OSKの前身である「松竹楽劇部」が「大阪松竹少女歌劇団(OSSK)」に改称したのは、昭和9年8月となっています。
つまり、3月の時点では、まだ「松竹楽劇部」だったので、「楽劇部」というのを略して「松竹」とだけ記されていたのか、と思われます。
なお、SKDはその時点で既に「松竹少女歌劇団」でした。
いつも、トリビア記事を興味深く拝読しております。
ついでにスレ違いで恐縮ですが、「秋のおどり」の感想も楽しく読ませていただきました。
さらに、私はなまいき娘さんと同じ26日に宝塚にも行っておりまして、実は内容が???だったものですから、ここの解説を読んでやっと理解できた次第です。
というわけで、本来の宝塚ネタも熟読して参考にさせていただいております。
ハクション大魔王(笑)
ちどりさんが詳しく解説コメントしてくださるのを、いつも楽しみにしているんです。お手数かけますがこれからもひとつご指導のほどよろしく(?)お願いします!
>実は手元にチラシが1枚ありまして
うわー!さすがちどりさん!昔のチラシなんて、よく手に入りますね。そうそう、新聞自体も、この時期になると「戦争の影」を感じますねえ・・・。さくら音頭と同じく東京踊りの主題歌で、「輝く日本」なんてレコードも出てますもんねえ。(宣伝が少ないから、これはあんまし売れなかったのかな?こっちはSSKの団員さんが歌ってるっぽいのに)
チラシに踊り方解説つきだなんて、「マツケンサンバ」みたいですね(笑)
>「東京踊り」がSSK、「春のおどり」がOSSK版ではないかと推測します
ああー、なるほど・・・。広告が【松竹「春のおどり」】って表記なのは、東京の新聞だから、(東京の読者には)OSSKを出すとまぎらわしいという配慮?だったんでしょうかねえ~?
はー。昭和9年はそんなことになってたのですか。実は手元にチラシが1枚ありまして。コロンビアレコード(レコード番号27757)松竹少女歌劇レビュー「さくら音頭」の歌詞と、裏には踊り方解説!(これで私も「踊り歩き」できます。)
新富座の松竹さくら音頭舞踊団は松竹少女歌劇団からの編成だったのかどうかはわかりません。SSK(松竹少女歌劇団)から編成された宣伝チームなのかも知れません。ちなみに戦前と戦後のOSKでは「松組・竹組」編成をしていた時期があります。
OSKでもこの年のこの時期に「さくら音頭」を吹き込んでレコード発売をしているとの記録がありますので、「東京踊り」がSSK、「春のおどり」がOSSK版ではないかと推測します。同じ歌だったかどうかはこれまたわかりません。
ところで、手元のチラシの歌詞ですが「ハアー 国の鎮めに出でゆく人の ヨンヤサ 手綱持つ手に 手綱持つ手に散る桜 ヤーンレナトコセ ヤーンレナコトセ」とご時世をあらわす内容です。
ソロは柳橋と赤坂の芸者さんが歌い、合唱にSSKが参加しています。
戦後にも「さくら音頭」はレコード化されていて、それは別歌のようです。
とんでもないです!
いつも「こんな長い文だれが読むんだよ!」と思いながら書いてますのでー、読んでいただいたうえに、コメントをいただけるのはとてもうれしいことです!
>私の場合は、宝塚しか目にはいらなかったのですが、
亡き母は、大阪松竹歌劇団なども観ていたそう。
その母に連れられて宝塚観劇を始めた私。
おおおーー!そうだったんですか。お母様はひろく歌劇のファンでいらしたんですね!いいなぁー!ウチの母は興味さっぱりで・・・。叔母は宝塚ファン(春日野八千代サマファンだったらしい)なんですけどね。
>色々な話を聞いておくのだった・・・と
きっと珍しい、貴重なエピソードをたくさんご存知だったでしょうねー。わたしも叔母にいろいろ聞いておかなきゃですねー。春日野八千代サマの魅力とか(笑)
私の場合は、宝塚しか目にはいらなかったのですが、
亡き母は、大阪松竹歌劇団なども観ていたそう。
その母に連れられて宝塚観劇を始めた私。
ああ、亡くなる前に、色々な話を聞いておくのだった・・・と今頃になって反省しております。
(すみません、厚かましくコメントしてばっかりで。。。)