病院のお風呂場で
(2011年)
(2011年)
2011年9月19日(入院9日目)
「明日は看護婦の人数が少ないので、今日が入浴の日に、変更になりました」
朝、看護婦さんから説明があった。
(通常は火曜日と土曜日が入浴の日らしい)
お昼頃、看護婦さんが私のところにやってきて言った。
「yamacさんは、今日から4階のお風呂場です。4階の患者さん全員の入浴が終わったら、知らせに来ます」
どうやら私のいる3階のお風呂場は、看護婦や介護士の手伝いが必要な車椅子の患者で、4階のお風呂場は、自分一人で入浴できる患者専用みたいだ。(この頃の私は車椅子ではなく、キャスター付き点滴棒も持たないで一人で歩ける様になっていた)
前回の様に点滴の管もはずされて、ベッドで待っていると、2時半頃看護婦さんが呼びに来た。
4階のお風呂場の前に行くと、女性の介護士さんがいて、右腕の点滴のところが水に濡れない様にビニールでかぶせ、両端をテープで留めてくれた。でも、不安だったのか更にテープでグルグルまいてから自信たっぷりに言った。
「はい、これでもう大丈夫!」
私も、ここまでしっかりテープで留めれば、水は入らないだろうと思った。介護士さんの優しい心遣いが嬉しかった。
「さあ!一人でお風呂に入れるぞ!」
浮き浮きした気持ちでお風呂場に入った。そこまではよかった。だが、パジャマを脱ぐ時に気が付いた。
「あれ?右手が曲がらないぞ」
介護士さんが丁寧にテープを留めてくれたのは嬉しかったが、あまりにもグルグルまいてくれたから、右ひじが曲がらなくなってしまったのだ。
「なんてこった!右手が使えないよ~」
入院してから右手だけが頼りで今まで何でもやってきたのに、その右手が使えないとは…
しかたなく、あまり動かない左手でなんとか洗った。いつもと逆のパターンだった。
その後お風呂から出て、タオルで身体や頭を拭くまでは出来た。ところが左手だけではパジャマを着る事が出来なかった。何度も何度も挑戦してみた。
しかし、数分間の悪戦苦闘も空しく、ついにヘルプミー!……
ナースコールのボタンを押した。
つづく