武弘・Takehiroの部屋

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狐狸庵(こりあん)先生・遠藤周作さんのこと

2024年06月19日 02時29分26秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
〈2019年6月に書いた以下の文を復刻します。〉
 
1) 作家の遠藤周作さんについて書きたい。と言っても、私は彼と話したことはないし、その著作を数冊しか読んでいない。『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『宿敵』などか。 だから、遠藤さんについて語る資格はほとんどないが、妙に彼について書きたくなるのはどうしたことか。
それは遠藤さんの子息(龍之介氏)が、昔 私がいた某テレビ局の社長に就任すると聞いたからだろう。 よって、思うままに気楽に書くのでお許し願いたい。
遠藤周作さんとは面識はないが、一度だけ、後輩の結婚披露宴に彼と同席したことがある。あれは30年余り前だったか、後輩の女子アナ・NさんがA新聞の記者と結婚した時だった。遠藤さんは新婦側の主賓で出席していたが、やがて挨拶の番がやってきた。
有名な作家の挨拶ということで皆が注目したようだが、彼はいたって気軽にくつろいだ感じで話し始めた。立ち上がると、遠藤さんは180センチぐらいあっただろうか、少し猫背だがかなりの長身である。話の中身は、Nさんら数人の女子アナと会食した時の模様などだった。きっと彼がご馳走したのだろう。
よく覚えていないが、遠藤さんは「彼女たちは食べるは食べるは、しゃべるはしゃべるはで呆然としてただ見ていた」と話したと記憶している。その話し方が面白かったので、われわれは大笑いしたものだ。主賓の挨拶にしては、とてもユーモラスでおかしなものだったと思う。
 
2) そんな思い出しかないが、一時、遠藤さんは“狐狸庵先生”と呼ばれたことがある。狐狸庵とは、狐(キツネ)や狸(タヌキ)のいる土地の庵(いおり)という意味だそうだが、要するに、人里離れた所に住む仙人みたいな人を指すのだろう。 これはテレビCMでも有名になり、私は遠藤さんに親しみを覚えたのである。
その“狐狸庵先生”は、私生活でもなかなかユニークで面白かったらしい。一例だが、龍之介氏のインタビュー記事によると、彼は大の手品好きでよく手品を披露したようだ。ただし、不器用で下手くそだから、そこにいる人はすぐに仕掛けを見抜いたそうだ。
私は龍之介氏とは職場がまったく違ったので、彼と直接 話したことはない。しかし、周作親子の噂はよく耳にした。それだけ、この親子は注目されていたのだろう。 例えば、息子は将棋がめっぽう強かったので、周作さんはまったく歯が立たなかったというようなものだ。
噂話で最も興味をひいたのは、ある晩、周作さんが顔などを血だらけにして帰宅したというのだ。家族が心配していろいろ聞くと、彼はやっと少しだけ話したという。なんでも、若者の不良グループと喧嘩になり怪我をしたのだそうだ。
この話を聞いて、私なりにピ~ンと来た。正義感の強い周作さんは、何かのことで不良グループに注意したところ、逆にボコボコに殴られ血だらけになったのではないかと・・・ もしそうだとすれば、年を取っても立派な正義感があるなと勝手に推測したものだ。もちろん、くわしいことは龍之介氏に聞かないと分からない。
 
3) 以上、勝手気ままに遠藤周作さんについて述べたが、彼の『イエスの生涯』はとても参考になった。私は以前、『イエス・キリストと山上の垂訓』という短文を書いたことがあるが、遠藤さんの著作からいろいろ引用させてもらった。
また、『沈黙』や『海と毒薬』はいつ読んでも引き込まれる。この2作品は映画にもなったので観た。今は私の本棚の奥に眠っているが、証拠として写真を撮っておこう(笑)。 最後に、遠藤周作さんにいささかの無礼があったのなら、この場であやまっておきたい。(2019年6月10日)
 
 
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2 コメント

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お久しぶりです (おキヨ)
2019-09-23 12:44:10
お久しぶりです!
私も遠藤周作の大ファンでしたのでこの欄からコメントをさせていただきます。
画像の著書も懐かしいですね。遠藤氏の愛息龍之介くんがFテレビの社長に就任されましたね。
20代の頃から氏のファンで、あのひょろりとした龍之介君?がFテレビに入社されたことも記憶に残っていますので、この度社長になられたことがまるで身内の事のように感慨深く感じました。
私も遠藤氏にかんして、自分勝手な思い出を持っています。
遠藤氏はクリスチャンとして知られていましたが、私の画友と教会が同じということで、絵画会に〔時間があったら観にいく〕と云われたそうで、私はその画友以上にソワソワと会場を張っていたことがありました。結局遠藤氏は会場に来られなかったと思います。
馬鹿でしょう(~_~;)あのドキドキ感、忘れられません。
お元気でなによりです (矢嶋武弘)
2019-09-24 09:16:55
おキヨ様
はじめに、お元気になられてなによりのことです。これからもよろしくお願いします。
遠藤さんについては上記のことしか思い当たりませんが、龍之介氏がFテレビ社長に就任したのは結構なことだと思います。その活躍を見ていきましょう。
遠藤さんの著作は数冊した読んでいませんが、けっこう教えられたと思います。クリスチャンと言う前に、その人柄が面白かったですね。
また、なにか印象に残る話などがあれば、いろいろと紹介してください。よろしくどうぞ。

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