過去の作品をまとめる必要が出てきたので、この場を借ります。ご了承ください。
破壊されたソ連軍の戦車(ブダペスト)
処刑されたナジ・イムレ氏
http://blog.goo.ne.jp/yajimatakehiro/e/9f3ba2ee9487bfcbdd963bec1dcb5dd6http://blog.goo.ne.jp/yajimatakehiro/e/f32ec . . . 本文を読む
第十場(ブダペストの社会主義労働者党本部。カダルの部屋。 カダルのいる所にアプロが入ってくる)
アプロ 「いま入った報告だ、ナジ夫妻を逮捕したぞ」
カダル 「そうか・・・それで、ルーマニアへ連行するというのか」
アプロ 「うむ、隠密のうちにソ連軍兵士が連行している。 国民は誰も知るまい」
カダル 「私は、知って知らぬ振りをするわけか」
アプロ 「仕方がないだろう」
カダル 「ナジは反逆 . . . 本文を読む
第七場(ブダペストの社会主義労働者党本部。 カダル、アプロ、ミュニッヒ、マロシャン)
アプロ 「民衆の暴動はようやく鎮圧されたようだ。 まだ、所によっては、散発的な抵抗が続いているが、大したものではない。 国防軍も大人しくなってきたし、なにしろ、強大なソ連軍が要所要所を押さえてしまったから、反政府分子はもう身動きが取れない状態だ」
ミュニッヒ 「思っていたより、容易に暴動を鎮めることが出来たよ . . . 本文を読む
第四場(ブダペストのペスト地区の街路。 小銃などを手にした市民や学生が、右往左往している。 ソ連軍戦車が行き来する音。時々、機関銃の発射音が聞こえる)
市民一 「おい、みんな、戦車がこっちの方へ来るぞ! 建物の陰に隠れろ!」(市民達、建物の陰に集まる。 その場に、機関銃を持ったソ連兵が10人ほど登場)
ソ連兵一 「無駄な抵抗は止めろ!」
ソ連兵二 「この一画は、すでにソ連軍の戦車に包囲されて . . . 本文を読む
第四幕
第一場(ブダペスト工科大学の講堂。 30人ほどの学生の中に、メレーやペジャも加わっている。舞台の両側から、学生達の喚声や掛け声が聞こえてくる)
学生の代表 「祖国ハンガリーを愛する学友諸君、すでにご承知のように、ソ連軍は今日未明から、全国の主だった都市へ一斉に攻撃を開始し、ここブダペストにも大部隊が侵入してきた。 国会議事堂や放送局は、すでにソ連軍によって占拠されたようだし . . . 本文を読む
第七場(ブダペストのソ連大使館。アンドロポフ大使の部屋。 ミコヤン、スースロフ、アンドロポフがいる所に、カダル、アプロ、マロシャン、ミュニッヒが入ってくる)
カダル 「おや、ミコヤン同志、スースロフ同志もおられたのですか」
ミコヤン 「ええ、今日は重大な話しがあるので、あなた方をお待ちしていたのです。 さあ、そこに座って下さい」(カダルら、ミコヤンらとテーブルを挟んで椅子に座る)
カダル 「 . . . 本文を読む
第四場(ブダペストの首相官邸。 ナジがいる所に、国防相のマレテル・パール将軍が入ってくる)
マレテル 「総理、お呼出しにより参りましたが、どういうご用件でしょうか」
ナジ 「将軍、一体、ソ連軍の動きはどうなっているのかね」
マレテル 「東部国境から進攻してきたソ連軍は、一向に撤退する気配を見せていません」
ナジ 「うむ、アンドロポフ大使からの報告によると、ソ連政府はハンガリーにいるソ連人の . . . 本文を読む
第三幕
第一場(ブダペストのウィラキ家の応接間。 メレー、ノーラ、彼女の母親のアニコー)
メレー 「お母さん、退院できて良かったですね。病状もすっかり回復しましたね」
アニコー 「ありがとう、オルダスさん。もう、あまり咳き込まなくなったし、熱も治まってきたようです。 デアーグ先生の話しですと、このままゆっくりと療養していれば、きっと快方に向うということです。 でも、肺炎って怖いも . . . 本文を読む
第十一場(モスクワ・クレムリン内の一室。ソ連共産党政治局会議が開かれている。 フルシチョフ、ブルガーニン、モロトフ、カガノヴィッチ、ミコヤン、スースロフの他に、この日はマレンコフも出席)
モロトフ 「ブダペストにいるアンドロポフ大使からの報告によると、ナジは明日にも、連立政権を樹立するというではないか」
フルシチョフ 「そうらしい」
カガノヴィッチ 「そうらしいでは、済まされない問題だぞ。 . . . 本文を読む
第八場(ブダペストの勤労者党本部会議室。 ゲレー、ナジ、カダル、アプロと、ミコヤン、スースロフがテーブルを挟んで座っている)
ミコヤン 「先ほどから話しを聞いていると、軍隊までが民衆の側に立って、秩序維持に乗り出したソ連軍に対抗しているではないか。 これでは、党と政府が何かしようとしても、何も出来ない状況だ。 しかも、民衆の暴動はブダペストだけでなく、ハンガリー全土に一挙に拡大しそうな気配となっ . . . 本文を読む
第五場(ブダペストの国会議事堂前。 大勢の市民、学生、労働者が集会を開いている)
学生の代表 「われわれは先ほど、ベム将軍の銅像前で集会を開き、ポーランドの英雄的な人民と一致協力して、自由で民主的な社会主義国家を建設しようと誓い合った。 そして今や、ハンガリー人民の意志を象徴するこの国会議事堂の前で、一大決起集会を開くことになった。
同志諸君、市民の皆さん、見てほしい。 今ここには、20万人 . . . 本文を読む
第二幕
第一場(10月下旬。 ブダペストの勤労者党本部。ゲレー・エルネ第一書記の部屋。 ゲレー、アプロ、ヘゲデューシュ、カダル、ピロシュ)
ゲレー 「けさベオグラードから帰ってみると、ブダペストの情勢は一変してしまったようだ。 内務大臣、一体どうなっているのか、説明してほしい」
ピロシュ 「昨日、工科大学で学生の決起集会が開かれ、16項目にわたる“とてつも無い&rdq . . . 本文を読む
第四場(モスクワ・クレムリン内の一室。ソ連共産党政治局会議が開かれている。 フルシチョフ、ブルガーニン、モロトフ、カガノヴィッチ、ミコヤン、スースロフが出席。なお、マレンコフは病気療養中で欠席)
モロトフ 「一体、ポーランドはどうなっているのだ。 明日から中央委員会を開いて、ゴムルカを第一書記に選ぼうというのは本当なのか」
フルシチョフ 「そうらしいな、困ったものだ」
カガノヴィッチ 「困 . . . 本文を読む
《前書き》
この戯曲は、1956年に起きた“ハンガリー動乱”を題材にしたものである。ハンガリー動乱は当時、全世界に大きな衝撃を与え、社会主義と自由や民主主義のあり方、軍事介入した旧ソ連邦の国家的性格などについて深刻な論議を呼び起こした。
現代史はその後、旧ソ連軍によるチェコスロバキア、アフガニスタンへの侵攻などの事態を引き起こし、ソ連邦自体は1991年に崩壊、消滅し . . . 本文を読む